| 【発明の名称】 |
生活習慣病予防改善効果を有するタンパク質食品素材 |
| 【発明者】 |
【氏名】森山 達哉
【氏名】前渕 元宏
【氏名】丸山 伸之
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| 【要約】 |
【課題】生活習慣病の予防・改善効果を有する食品素材を提供する。
【解決手段】ダイズタンパク質の主要構成成分であるβ−コングリシニンが有する脂質代謝調節作用は、そのアミノ酸組成に起因するのではなく、β-コングリシニン由来の機能性成分によるものであることを明らかにした。これにより、β-コングリシニンが生活習慣病の予防・改善効果を有する有効な食品素材となりうることが明らかとなった。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを含み、脂質代謝調節作用を有することを特徴とする食品素材。 【請求項2】 上記脂質代謝調節作用は血中トリグリセリド濃度、血中コレステロール濃度、血中グルコース濃度または血中インスリン濃度の少なくともいずれかを低下させる作用であることを特徴とする請求項1に記載の食品素材。 【請求項3】 上記脂質代謝調節作用は脂肪酸合成酵素の活性抑制作用であることを特徴とする請求項1に記載の食品素材。 【請求項4】 ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを含み、不適切な食生活または運動不足に起因する生活習慣病を予防および改善する作用を有することを特徴とする食品素材。 【請求項5】 上記生活習慣病は、肥満、高脂血症、高血圧症または糖尿病の少なくともいずれかであることを特徴とする、請求項4に記載の食品素材。 【請求項6】 請求項1ないし5に記載の食品素材を含むことを特徴とする食品。 【請求項7】 ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを含み、肥満、高脂血症、高血圧症または糖尿病の少なくともいずれかを予防および改善する作用を有することを特徴とする医薬品。 【請求項8】 ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを用いることを特徴とする脂肪酸合成酵素の活性抑制方法。 【請求項9】 上記脂肪酸合成酵素の活性抑制は、脂肪酸合成酵素遺伝子の発現抑制または脂肪酸合成酵素タンパク質量の減少によるものであることを特徴とする請求項8に記載の脂肪酸合成酵素の活性抑制方法。 【請求項10】 不適切な食生活または運動不足に起因する生活習慣病の予防または改善方法であって、ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを用いることを特徴とする生活習慣病の予防または改善方法。 【請求項11】 上記生活習慣病は肥満、高脂血症、高血圧症または糖尿病の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項10に記載の生活習慣病の予防または改善方法。 【請求項12】 血中トリグリセリド濃度、血中コレステロール濃度、血中グルコース濃度または血中インスリン濃度の少なくともいずれかを低下させることを特徴とする請求項10に記載の生活習慣病の予防または改善方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、生活習慣病予防改善効果を有するタンパク質食品素材に関するものである。 【背景技術】 【0002】 近年、糖尿病、高脂血症、高血圧症等、不適切な食生活や運動不足に起因する生活習慣病の発症率増加が社会的な問題となっている。これらの生活習慣病に対しては様々な治療法が開発されており、重症患者には効果が認められる場合も多い。しかしながら、これらの生活習慣病に関しては、医学的な治療に加えて食事療法が必要不可欠である。 【0003】 ダイズタンパク質は、血中のコレステロールやトリグリセリド濃度を低下させる脂質代謝調節作用を有することが古くから知られている。最近では、ダイズタンパク質の主要構成成分であるβ−コングリシニン(7Sグロブリン)を与えたマウスやラットにおいて、血清トリグリセリド濃度、血清コレステロール濃度、血清インスリン濃度、血糖値などが、対照の乳タンパク質であるカゼインを与えた場合に比べて有意に低下することが報告されている(非特許文献1、2、3)。 【非特許文献1】Aoyama, T., Kohno, M., Saito, T., Fukui, K., Takamatsu, K., Yamamoto, T., Hashimoto, Y., Hirotsuka, M., Kito, M.; Reduction by phytate-reduced soybean β-conglycinin of plasma triglyceride level of young and adult rats. Biosci. Biotechnol. Biochem.65: (2001) 1071-1075. 【非特許文献2】前渕元宏、岸本恵子、裏出令子、小川正、森山達哉;ダイズ7Sグロブリン(β−コングリシニン)食によるマウス血清トリグリセリド低下作用とそのメカニズム.日本栄養・食糧学会大会、北海道、2002.発表抄録集 p.250. 【非特許文献3】Maebuchi, M., Machidori, M., Nagai, K., Komori, M., Urade, R., Ogawa, T., Moriyama, T.; Evaluation of beneficial effects of dietary soybean protein by transcriptome, proteome, and lipidome approaches. The 5th International Workshop on Advanced Genomics (2003) p.81. 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 β−コングリシニンは、完全タンパク質であるカゼインと比較した場合にアミノ酸バランスに偏りがあるため、β−コングリシニンのみを長期間摂取すると、タンパク質栄養状態の悪化が懸念される。 【0005】 また、β−コングリシニンの脂質代謝調節作用が、β−コングリシニン由来のペプチド等の有効成分に起因するものかどうかは不明であり、β−コングリシニンとカゼインとのアミノ酸バランスの違い、またはβ−コングリシニンに混入しているイソフラボン等の微量成分に起因する可能性は否定できない。 【0006】 したがって、β−コングリシニンによる脂質代謝調節作用が、β−コングリシニン中の有効成分に由来するものであることが明らかとなれば、β−コングリシニンを機能性食品素材として有効に利用することが可能となる。 【0007】 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、β−コングリシニンによる脂質代謝調節作用が何に起因するのかを明らかにし、新たな食品素材を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、β−コングリシニンによる脂質代謝調節作用はβ−コングリシニン中の有効成分に由来するものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。 【0009】 すなわち、本発明に係る食品素材は、ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを含み、脂質代謝調節作用を有することを特徴とする。この脂質代謝調節作用は、具体的には、血中トリグリセリド濃度、血中コレステロール濃度、血中グルコース濃度または血中インスリン濃度の少なくともいずれかを低下させる作用であり、脂肪酸合成酵素の活性抑制が関与している。また、本発明に係る食品素材は、不適切な食生活または運動不足に起因する生活習慣病を予防および改善する作用を有することを特徴とする。このような生活習慣病としては、肥満、高脂血症、高血圧症、糖尿病を挙げることができ、本発明に係る食品素材は肥満、高脂血症、高血圧症または糖尿病の少なくともいずれかを予防および改善する作用を有する。 【0010】 また、本発明は、上記食品素材を含む食品である。さらに、本発明にはダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを含み、肥満、高脂血症、高血圧症または糖尿病の少なくともいずれかを予防および改善する作用を有する医薬品が含まれる。 【0011】 また、本発明は、ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを用いる脂肪酸合成酵素の活性抑制方法であり、この脂肪酸合成酵素の活性抑制は、脂肪酸合成酵素遺伝子の発現抑制または脂肪酸合成酵素タンパク質量の減少によることを特徴とする。 【0012】 また、本発明は、ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを用いる、不適切な食生活または運動不足に起因する生活習慣病の予防または改善方法である。このような生活習慣病としては、肥満、高脂血症、高血圧症、糖尿病を挙げることができ、本発明は肥満、高脂血症、高血圧症または糖尿病のうち少なくともいずれかの予防または改善方法である。具体的には、血中トリグリセリド濃度、血中コレステロール濃度、血中グルコース濃度または血中インスリン濃度の少なくともいずれかを低下させることを特徴とする。 【発明の効果】 【0013】 本発明に係る食品素材および当該食品素材を含む食品、並びに医薬品は、ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを含んでいるため、β−コングリシニン中の有効成分に起因する脂質代謝調節作用を発揮し、血中トリグリセリド濃度、血中コレステロール濃度、血中グルコース濃度または血中インスリン濃度を低下させ、肥満、高脂血症、高血圧症または糖尿病等の生活習慣病を予防および改善するという効果を奏する。 【0014】 また、本発明に係る脂肪酸合成酵素の抑制方法および生活習慣病の予防または改善方法は、肥満、高脂血症、高血圧症または糖尿病等の生活習慣病の予防および改善に応用することができるという効果を奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明は、これに限定されるものではない。 【0016】 (1)β−コングリシニンの機能 ダイズタンパク質は、血中のコレステロールやトリグリセリド濃度を低下させる脂質代謝調節作用を有することが古くから知られており、ダイズタンパク質の主要構成成分であるβ−コングリシニンを与えたマウスやラットにおいて、血清トリグリセリド濃度、血清コレステロール濃度、血清インスリン濃度、血糖値などが、対照の乳タンパク質であるカゼインを与えた場合に比べて有意に低下することも、既に知られていた。しかし、このようなβ−コングリシニンの脂質代謝調節作用は、β−コングリシニン由来のペプチド等の有効成分に起因するものかどうかは不明であり、β−コングリシニンとカゼインとのアミノ酸バランスの違い、またはβ−コングリシニンに混入しているイソフラボン等の微量成分に起因する可能性は否定されていなかった。 【0017】 本発明者らは、β−コングリシニンの脂質代謝調節作用がβ−コングリシニン由来のペプチド等の有効成分に起因するものか否かを確認するため、β−コングリシニンをエタノール処理することによりイソフラボン等の微量成分を除き、さらに対照であるカゼインとアミノ酸バランスを合わせたβ−コングリシニンを用い、脂質代謝に及ぼす影響を解析した。その結果、アミノ酸バランスを合わせたβ−コングリシニンにおける血清トリグリセリド濃度、血清コレステロール濃度、血清インスリン濃度および血糖値の低下作用は、β−コングリシニン単独と比べて遜色なく、β−コングリシニンの脂質代謝調節作用は、そのアミノ酸組成によるものではなく、β−コングリシニン由来の機能性成分(ペプチドなど)に起因することが明らかとなった。 【0018】 さらに、カゼインとアミノ酸バランスを合わせたβ−コングリシニンにおいて、β−コングリシニン単独と同程度の脂肪酸合成酵素活性の抑制が認められた。また、この脂肪酸合成酵素抑制作用は、脂肪酸合成酵素遺伝子の発現抑制または脂肪酸合成酵素タンパク質量の減少に起因することも明らかとなった。すなわち、β−コングリシニンの脂質代謝調節作用には、脂肪酸合成酵素活性の抑制作用が関与していることが明らかとなった。特にβ-コングリシニンが有する血清トリグリセリド濃度の低下作用は、脂肪酸合成酵素活性の抑制と強く関連しているものと考えられる。 【0019】 以上の知見を総合すると、β−コングリシニンは、血清トリグリセリド濃度、血清コレステロール濃度、血清インスリン濃度、血糖値等を低下させる機能、すなわち、脂質代謝調節機能を有しているということができる。そして、この脂質代謝調節機能には脂肪酸合成酵素活性の抑制が関与しており、脂肪酸合成酵素活性の抑制は脂肪酸合成酵素遺伝子の発現抑制または脂肪酸合成酵素タンパク質量の減少に起因するものである。 【0020】 上記脂質代謝調節作用、具体的には、血清トリグリセリド濃度、血清コレステロール濃度、血清インスリン濃度、血糖値等を低下させる作用は、カゼインとアミノ酸バランスを合わせたβ−コングリシニンにおいても確認されたことから、様々な食品素材からタンパク質成分を摂取しているヒトにとって、食事内容を偏らせることなく、日常的な食生活にβ−コングリシニンを組み入れることで、脂質代謝調節効果を得ることができると考えられる。 【0021】 したがって、血清トリグリセリド濃度、血清コレステロール濃度、血清インスリン濃度、血糖値等が高値である人が、通常の食事にβ−コングリシニンを添加して摂取したり、食後にサプリメントとしてβ−コングリシニンを摂取すれば、肥満、高脂血症、高血圧症、糖尿病等の生活習慣病を予防・改善することが可能となる。 【0022】 なお、β−コングリシニンに含まれる機能性成分、すなわち脂質代謝を調節する機能性ペプチドが単離されれば、上記生活習慣病の治療薬の開発に応用されることが期待できる。 【0023】 (2)食品素材および食品、並びに医薬品 ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンは、ダイズを原料として製造することが可能である。製造方法は公知の方法を用いればよく、特に限定されるものではない。例えば、ThanhとShibasakiの方法(J. Agric. Food Chem., 24, 1117-1121, 1976)や、この方法を改良したNaganoらの方法(J. Agric. Food Chem., 40, 941-944, 1992)により製造することができる。また、近年、脱脂豆乳からフィチン酸を除去したβ−コングリシニンを精製する方法がSaitoら(Biosci. Biotechnol. Biochem., 65, 884-887, 2001)により開発された。 【0024】 本発明に係る食品素材は、ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを含み、脂質代謝調節作用を有するものであればよい。したがって、β−コングリシニンのみからなる食品素材でもよく、β−コングリシニン以外の成分を含む食品素材でもよい。β−コングリシニン以外の成分としては、β−コングリシニンが有する脂質代謝調節作用を阻害しないものであれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、β-コングリシニン以外のダイズ成分、植物および動物性タンパク質、炭水化物、食物線維、脂質、各種ビタミン、ミネラル類等を挙げることができる。食品素材の形状についても特に限定されるものではなく、固体状、液体状、粉末状、ペースト状等様々な形状とすることができる。 【0025】 本発明に係る食品は、上記食品素材を含むものであればよい。したがって、β−コングリシニンのみからなる食品でもよく、β−コングリシニン以外の成分を含む食品でもよい。本発明に係る食品の具体例としては、例えば、いわゆる栄養補助食品(サプリメント)としてβ−コングリシニンを含む錠剤、顆粒剤、散剤、ドリンク剤等を挙げることができる。これ以外に、β−コングリシニンを含む調味料、菓子、パン、惣菜、飲料水等を挙げることができる。 【0026】 また、本発明に係る医薬品は、ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを含み、肥満、高脂血症、高血圧症または糖尿病の少なくともいずれかを予防および改善する作用を有するものであればよく、β−コングリシニン以外に含まれる成分としては、特に限定されるものではない。本医薬品は経口的に投与できる剤形であることが好ましい。具体的には、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、ドリンク剤、シロップ剤等を挙げることができる。 【0027】 本発明に係る食品素材および食品、並びに医薬品はヒトを対象とするものであることはいうまでもないが、ヒトに限定されるものではなく、広く動物全般を対象とすることができる。特に、不適切な食生活や運動不足に陥っているイヌやネコ等の愛玩動物は対象として好適である。 【0028】 (3)本発明の利用 本発明に係る、ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを用いる脂肪酸合成酵素の活性抑制方法は、脂肪酸合成酵素遺伝子の発現抑制または脂肪酸合成酵素タンパク質量の減少によるものである。本方法は、脂肪酸合成の亢進が悪影響を及ぼす様々な疾患の予防、改善、治療等に利用することができる。脂肪酸合成の亢進が悪影響及ぼす疾患としては、例えば、高脂血症、高血圧症、糖尿病等を挙げることができる。また、本方法は、脂質代謝の基礎研究に利用することができる。β−コングリシニンによる脂肪酸合成酵素活性の抑制が、脂質代謝にどのような効果を及ぼすかを解明することは、様々な疾患の病態解明等に有効に応用することができる。 【0029】 また、本発明に係る生活習慣病の予防または改善方法は、ダイズ由来タンパク質であるβ−コングリシニンを用いて血中トリグリセリド濃度、血中コレステロール濃度、血中グルコース濃度または血中インスリン濃度の少なくともいずれかを低下させることにより、生活習慣病を予防または改善する方法である。対象となる生活習慣病としては、不適切な食生活または運動不足に起因する生活習慣病が好適であり、具体的には、肥満、高脂血症、高血圧症、糖尿病を挙げることができる。β−コングリシニンをどのように用いるかについては特に限定されるものではないが、経口的に摂取することが好ましい。本生活習慣病の予防または改善方法は、例えば上記生活習慣病の食事療法に利用することができる。 【0030】 本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。 【実施例】 【0031】 (1)実験材料および方法 〔β−コングリシニンの調製〕 β−コングリシニンは、ダイズからダイズタンパク質中のβ−コングリシニンを精製する方法に関する論文(J. Agric. Food Chem., 40, 941-944, 1992)を参考にして調製した。さらに、β−コングリシニン中に混入しているイソフラボンやサポニンなどの微量成分を除くために、Kudouらの論文(Agric. Biol. Chem., 55, 2227-2233, 1991)を参考にして、β−コングリシニンをエタノール処理した。 【0032】 〔食餌〕 コントロールタンパク質として、カゼインを使用した。エタノール処理したβ−コングリシニンとカゼインとのアミノ酸バランスを合わせるために、それぞれのアミノ酸成分分析を日本食品分析センターに委託した。アミノ酸成分分析の結果に基づいて、それぞれに不足分のアミノ酸を補填し、両者のアミノ酸バランスを補正した。 【0033】 表1にβ−コングリシニンおよびカゼインのアミノ酸組成とアミノ酸の補填量を示した。本実施例においては、アミノ酸補正したカゼイン、β−コングリシニン単独およびアミノ酸補正したβ−コングリシニンをそれぞれ含む飼料を用いた。β−コングリシニン単独飼料のタンパク質濃度は、他の2種類の飼料に合わせた。 【0034】 【表1】
〔使用動物〕 肥満・2型糖尿病モデルマウスであるKK−Ayを用いた。KK−Ayマウス(雄、7週齢)30匹を日本クレアから購入した。個別ケージに収容し、食餌および飲料水は自由に摂取させた。7日間の馴化期間を設け、この間は市販の飼料(オリエンタル酵母社製、CRF-1)を与えた。馴化期間終了後、平均体重がほぼ同じになるように、無作為に3群に群分けした。群分け後、飼料を上記3種類の実験用飼料に切り換え、2週間飼育した。 【0035】 〔測定項目および測定方法〕 体重および摂餌量は、飼育期間中毎日測定した。2週間の飼育期間終了後、採血および臓器摘出を行った。 【0036】 採血の4時間前から絶食し、麻酔下にて眼窩静脈から採血した。採血後、遠心分離により血清を取得した。摘出した臓器は肝臓および精巣周囲脂肪組織であり、摘出後直ちに重量を測定した。血清は、アルブミン、総タンパク質、血糖値(グルコース)、トリグリセリド、コレステロールおよびインスリンの測定に供した。血清インスリン濃度の測定にはELISA Insulin Kit(森永生化学研究所製)を使用し、インスリン以外の血清パラメータの測定は、和光純薬工業株式会社製のキットを使用した。 【0037】 〔脂肪酸合成酵素活性測定方法〕 Nepokroeffらの方法(Methods Enzymol., 35, 37-44, 1975)にしたがって、肝ホモジネートの9,000×g上清を酵素源として用い、アセチルCoAとマロニルCoAの縮合反応に依存したNADPHの減少速度を脂肪酸合成酵素活性とした。NADPHの減少速度は340nmの吸収減少として測定した。 【0038】 〔統計解析〕 各測定値は、平均値±標準誤差で示した。Dunnett法により有意差検定を行い、有意水準5%未満の場合に有意差ありと判断した。 【0039】 (2)結果 図1に、マウスの一般的性状に関するパラメータの測定結果を示した。図中の“Casein+A.A.1”はアミノ酸補正したカゼイン群、“7S”はβ−コングリシニン単独群、“7S+A.A.2”はアミノ酸補正したβ−コングリシニン群を表す。“**”はp<0.01であることを示す。 【0040】 図1Aは体重の測定結果を示すグラフである。図1Aから明らかなように、群間に有意差は認められなかった。図1Bは肝臓重量の測定結果を示すグラフである。図1Bから明らかなように、β−コングリシニン単独群およびアミノ酸補正したβ−コングリシニン群で、アミノ酸補正したカゼイン群に対し、有意な減少が認められた。図1Cは精巣周囲脂肪組織重量の測定結果を示すグラフである。図1Cから明らかなように、群間に有意差は認められなかった。図1Dは総摂餌量の測定結果を示すグラフである。図1Dから明らかなように、群間に有意差は認められなかった。図1Eは血清アルブミンの測定結果を示すグラフである。図1Eから明らかなように、群間に有意差は認められなかった。図1Fは血清総タンパク質の測定結果を示すグラフである。図1Fから明らかなように、群間に有意差は認められなかった。 【0041】 図2に、脂質代謝に関するパラメータの測定結果を示した。図中の“Casein+A.A.1”はアミノ酸補正したカゼイン群、“7S”はβ−コングリシニン単独群、“7S+A.A.2”はアミノ酸補正したβ−コングリシニン群を表す。“*”はp<0.05、“**”はp<0.01であることを示す。 【0042】 図2Aは血糖値の測定結果を示すグラフである。図2Aから明らかなように、β−コングリシニン単独群およびアミノ酸補正したβ−コングリシニン群で、アミノ酸補正したカゼイン群に対し、有意な減少が認められた。図2Bは血清インスリンの測定結果を示すグラフである。図2Bから明らかなように、β−コングリシニン単独群およびアミノ酸補正したβ−コングリシニン群で、アミノ酸補正したカゼイン群に対し、有意な減少が認められた。図2Cは血清トリグリセリドの測定結果を示すグラフである。図2Cから明らかなように、β−コングリシニン単独群およびアミノ酸補正したβ−コングリシニン群で、アミノ酸補正したカゼイン群に対し、有意な減少が認められた。図2Dは血清コレステロールの測定結果を示すグラフである。図2Dから明らかなように、β−コングリシニン単独群およびアミノ酸補正したβ−コングリシニン群で、アミノ酸補正したカゼイン群に対し、有意な減少が認められた。 【0043】 図3に、肝臓における脂肪酸合成酵素活性の測定結果を示した。図中の“Casein+A.A.1”はアミノ酸補正したカゼイン群、“7S”はβ−コングリシニン単独群、“7S+A.A.2”はアミノ酸補正したβ−コングリシニン群を表す。“**”はp<0.01であることを示す。 【0044】 図3から明らかなように、β−コングリシニン単独群およびアミノ酸補正したβ−コングリシニン群で、アミノ酸補正したカゼイン群に対し、有意な活性低下が認められた。データは示していないが、同様の傾向は、ウエスタンブロットによるタンパク質発現レベルやマイクロアレイ解析による遺伝子発現レベルにおいても認められた。 【0045】 以上の結果より、アミノ酸補正したβ−コングリシニン群においても血糖値、血清インスリン、血清トリグリセリドおよび血清コレステロールの低下作用および肝臓における脂肪酸合成酵素活性が抑制されることが確認されたことから、β−コングリシニンによる高脂血症、高血糖、高インスリン血症などの改善効果は、β−コングリシニンのアミノ酸組成によるものではなく、β−コングリシニン由来の機能性成分(ペプチドなど)に起因するものであると考えられた。さらに、β−コングリシニンによる肝臓脂質代謝の調節に関して、脂肪の合成抑制はβ−コングリシニン由来の有効成分に起因することが明らかとなった。 【産業上の利用可能性】 【0046】 本発明は、高脂血症等の生活習慣病を予防・改善する食品素材、食品および医薬品として実施することができる。したがって、食品産業や医薬品産業において利用可能である。 【図面の簡単な説明】 【0047】 【図1】マウスの一般的性状に関するパラメータの測定結果を示したグラフであって、図1Aは体重の測定結果を示すグラフであり、図1Bは肝臓重量の測定結果を示すグラフであり、図1Cは精巣周囲脂肪組織重量の測定結果を示すグラフであり、図1Dは総摂餌量の測定結果を示すグラフであり、図1Eは血清アルブミンの測定結果を示すグラフであり、図1Fは血清総タンパク質の測定結果を示すグラフである。 【図2】脂質代謝に関するパラメータの測定結果を示したグラフであって、図2Aは血糖値の測定結果を示すグラフであり、図2Bは血清インスリンの測定結果を示すグラフであり、図2Cは血清トリグリセリドの測定結果を示すグラフであり、図2Dは血清コレステロールの測定結果を示すグラフである。 【図3】肝臓における脂肪酸合成酵素活性の測定結果を示したグラフである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】504132272 【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
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| 【出願日】 |
平成15年9月5日(2003.9.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080034 【弁理士】 【氏名又は名称】原 謙三
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| 【公開番号】 |
特開2005−80533(P2005−80533A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月31日(2005.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願2003−314358(P2003−314358) |
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