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【発明の名称】 ピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品及びその製造方法
【発明者】 【氏名】前 田 浩 明
【住所又は居所】東京都世田谷区三軒茶屋1−16−19 大和薬品株式会社内

【氏名】二 宮 泰 夫
【住所又は居所】東京都世田谷区三軒茶屋1−16−19 大和薬品株式会社内

【要約】 【課題】ピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品を得る。

【解決手段】培地として大豆又はその加工品を用い、納豆菌を培養させることにより得られた培養生成物より固形分を分離した液状物に、無機塩類を添加して析出した固形分を分離回収することを特徴とする、ピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の製造方法。及び、それにより得られたピロロキノリンキノンを100ng/g以上の濃度で含有することを特徴とする、ピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆又はその加工品を培地に用いて、納豆菌を培養させることにより得られる培養生成物を固形分と液状物に分離して、その液状物に無機塩類を添加することにより析出させた固形分を分離回収することを特徴とする、ピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の製造方法。
【請求項2】
大豆又はその加工品が、大豆ペプチド含有物である、請求項1に記載のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の製造方法。
【請求項3】
大豆ペプチド含有物が大豆を粉砕した後、水抽出したものである、請求項2に記載のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の製造方法。
【請求項4】
納豆菌の培養を水性媒体中で行う、請求項1〜3のいずれかに記載のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の製造方法。
【請求項5】
固形分と液状物との分離を遠心分離器を用いて行う、請求項1〜4のいずれかに記載のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の製造方法。
【請求項6】
ピロロキノリンキノンを100ng/g以上の濃度で含有することを特徴とする、ピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品。
【請求項7】
ピロロキノリンキノンを0.01〜0.2g/gの濃度で含有する、請求項6に記載のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品。
【請求項8】
ピロロキノリンキノンが、ピロロキノリンキノンのナトリュウム塩として含有されている、請求項6又は7に記載のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、新種のビタミンとして知られるピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビタミンは人間の健康を維持する上で必須の物質であり、その必要とされる量としては微量ではあるが、人間の体内で作り出すことができない為に、人間は野菜や果物等の各種の食物から摂取しなければならない。
この様なビタミンとしては既に多数の種類があることが知られているが、今年(2003年)の4月に、理化学研究所の研究グループによって、ピロロキノリンキノン(PQQ)が新しいビタミンB群の一つとして機能していることを明らかにして、新種のビタミンであることを発表した(例えば、非特許文献1参照)。
このピロロキノリンキノン(PQQ)はニコチン酸アミドとフラビンに次ぐ第3番目の酸化還元補酵素として細菌から発見された有機高分子であり、必須アミノ酸であるリジンの分解に関わっており、リジン分解酵素の補酵素として働いていることが証明された。
それ故、この新しいビタミンであるピロロキノリンキノン(PQQ)は、人間が健康的な生活をおくる上で重要な役割を演じていることは明らかであり、これが欠乏すると何らかの病気の原因となるので、やがてはその病気の治療に役立てられるものと思われる。
この様なピロロキノリンキノン(PQQ)は、日常摂取されている多くの野菜や果物や発酵食品の中に、以下の表1に示す割合で含有されていることが知られている(例えば、非特許文献2参照)。

表 1

トマト 9ng/g
ジャガイモ 17ng/g
大豆 9ng/g
人参 17ng/g
キャベツ 16ng/g
ホーレンソウ 22ng/g
リンゴ 6ng/g
オレンジ 7ng/g
パセリ 34ng/g
ピーマン 28ng/g
キウイフルーツ 27ng/g
緑茶 30ng/g
納豆 61ng/g
味噌 17ng/g
豆腐 24ng/g
牛乳 3ng/g

しかしながら、これらピロロキノリンキノン(PQQ)は多くの食品の中含まれているが、多量に含まれているものでも、パセリ34ng/g、ピーマン28ng/g、キウイフルーツ27ng/g、緑茶30ng/g、納豆61ng/g程度の濃度の含有量でしか含まれていない。
【非特許文献1】理化学研究所 平成15年4月24日 プレス発表情報一覧 「半世紀ぶりの新種ビタミンPQQ(ピロロキノリンキノン)」
【非特許文献2】Kumazawa et al, Biophys, Res, Commun. 193, 1-5 (1993)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、この様なピロロキノリンキノン(PQQ)を100ng/g以上の高含量で含まれている食品は未だ見いだされていないことから、現在のところ病気の治療等でピロロキノリンキノン(PQQ)を大量に摂取する必要がある場合においては、前記ピロロキノリンキノン(PQQ)を多く含んでいる食品を大量に摂取しなければならない。
しかしながら、従来の食品では高い濃度でピロロキノリンキノン(PQQ)を含んでいる食品といえども、その食品中にはその含有量が余りにも微量でしか含有されていない為に、大量にピロロキノリンキノン(PQQ)を摂取することは事実上不可能なことであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、ピロロキノリンキノン(PQQ)を比較的高濃度で含有しているものが納豆であることから、培地として大豆又はその加工品を用いて納豆菌を培養し、得られた液状培養生成物に無機塩類を添加して塩析によってピロロキノリンキノン(PQQ)を無機塩として析出させれば、高含量で、且つ、高純度のピロロキノリンキノン(PQQ)を含有する食品を製造することができるとの知見に基づき本発明を完成するに至ったものである。
【0005】
すなわち、本発明のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の製造方法は、培地に大豆又はその加工品を用いて、納豆菌を培養させて得られた培養生成物より固形分を分離した後、無機塩類を添加することにより析出した固形分を分離回収すること、を特徴とするものである。
本発明のもう一つの発明であるピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品は、ピロロキノリンキノンを100ng/g以上の濃度で含有すること、を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような本発明のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品及びその製造方法は、高濃度でピロロキノリンキノン(PQQ)を含んでいる食品であることから、少量の摂取でピロロキノリンキノン(PQQ)を大量に摂取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[I] ピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の製造方法
(1) 原材料
(A) 納豆菌
本発明のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の製造方法において、原料として用いられる納豆菌としては、食品としての安全性等を考慮すると、納豆を製造する為に用いられる納豆種菌に含有される公知の枯草菌(Bacillus subtilis natto)が使用される。
納豆種菌としては、特に制限されないが、高橋菌(高橋祐蔵研究所製、山形)、成瀬菌(株式会社成瀬醗酵化学研究所製、東京)、宮城野菌(有限会社宮城野納豆製造所製、仙台)、朝日菌(株式会社朝日工業製、東京)、日東菌(株式会社日東薬品工業製、京都)、目黒菌(株式会社目黒研究所製、大阪)等の市販の納豆菌;及び雲南SL-001菌等を挙げることができる。
なお、雲南SL-001菌は、平成11年5月7日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所にて、受託番号FERM BP−6713号として国際寄託されている。
この納豆菌は、枯草菌の一種である為に、α−アミラーゼ、プロテアーゼ、ナットウキナーゼ等の菌体外酵素を著量に分泌するので、培養後の培養生成物中にはピロロキノリンキノンを比較的多量に含有させることができる。
【0008】
(B) 培 地
(a) 大豆又はその加工品
本発明のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の製造方法において、納豆菌の培養にて培地として使用される大豆又はその加工品としては、大豆を粉砕したもの、大豆を粉体化したもの、又は、それらを煮沸したもの、それらを水で抽出したもの等の加工品を挙げることができる。
具体的には、例えば、雪花菜、大豆、味噌や納豆製造時に副生する大豆煮汁、豆腐や油揚げ製造時に副生する豆腐粕、大豆を水で抽出した大豆ペプチド含有物、大豆を原料とした製油時に副生する大豆粕、味噌製造時の副産物である大豆の種皮等、納豆菌によって発酵できる材料を等を挙げることができる。
これら大豆又はその加工品の中でも、大豆を水で抽出した大豆ペプチド含有物を用いることが好ましい。
【0009】
窒素源
本発明による納豆菌の培養において使用できる窒素源もまた、使用する種類によって異なり、使用する菌株が良好に生育し、ピロロキノリンキノンを効率よく産生できるものであれば特に制限されない。
具体的には、例えば、肉エキス、麦芽エキス、ペプトン、大豆由来のポリペプトン(例えば、ポリペプトン−S)、酵母エキス、味液(大豆タンパク酸加水分解物)、大豆粉末、ミルクカゼイン、カザミノ酸、各種アミノ酸及びコーンスティープリカー等の有機窒素化合物、及び、アンモニア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸ナトリウム等の硝酸塩、尿素等の無機窒素化合物等を挙げることができる。
これらの窒素源の中でも、ナットウキナーゼの産生の観点から、大豆由来のポリペプトン(例えば、ポリペプトン−S)及び大豆粉末が好ましく使用することができる。これらの窒素源も、単独或いは2種以上の混合物の形態で使用することもできる。
【0010】
無機塩
本発明による納豆菌の培養に使用できる無機塩もまた、使用する種によって異なり、使用する菌株が良好に生育し、ピロロキノリンキノンを良好に産生でき得るものであれば特に制限されない。
具体的には、例えば、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、銅、鉄及び亜鉛等のリン酸塩、塩酸塩、硫酸塩及び酢酸塩等から選ばれた1種または2種以上を使用することもできる。
【0011】
(2) 製造方法
(A) 培 養
(a) 菌 体
本発明のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品を得るのに使用される納豆菌としては、安全性やピロロキノリンキノンの産生量等を考慮すると、枯草菌類(Bacillus subtilis)に属する公知の納豆菌(Bacillus subtilis natto)が使用される。
納豆菌としては、特に制限されないが、高橋菌(高橋祐蔵研究所製、山形)、成瀬菌(株式会社成瀬醗酵化学研究所製、東京)、宮城野菌(有限会社宮城野納豆製造所製、仙台)、朝日菌(株式会社朝日工業製、東京)、日東菌(株式会社日東薬品工業製、京都)、目黒菌(株式会社目黒研究所製、大阪)等の市販の納豆菌;及び雲南SL-001菌等を挙げることができる。
なお、雲南SL-001菌は、平成11年5月7日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所にて、受託番号FERM BP−6713号として国際寄託されている。
【0012】
(b) 培地の調製
本発明のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の製造方法において、納豆菌の培養にて培地として使用される大豆又はその加工品としては、大豆を粉砕したもの、大豆を粉体化したもの、又は、それらを煮沸したもの、それらを水で抽出したもの等の加工品を挙げることができる。
具体的には、例えば、雪花菜、大豆、味噌や納豆製造時に副生する大豆煮汁、豆腐や油揚げ製造時に副生する豆腐粕、大豆を水で抽出した大豆ペプチド含有物、大豆を原料とした製油時に副生する大豆粕、味噌製造時の副産物である大豆の種皮等、納豆菌によって発酵できる材料を等を挙げることができる。
使用しても良い。
これら大豆又はその加工品の中でも大豆を水で抽出した大豆ペプチド含有物を用いることが好ましい。
【0013】
大豆ペプチド含有物
本発明のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の製造方法において、上記納豆菌を培養させる培地として好適に用いられる大豆ペプチド含有物としては、大豆種子中に35重量%の割合で含有されている大豆タンパク質であり、化学構造的にはアミノ酸がペプチド結合で結ばれた高分子の物質である。
【0014】
この大豆ペプチド含有物は、具体的には、大豆を粉砕したものを水と混合して、水により抽出した液状物で、固形物が除去されたものであるか、或いは、この液状物の水分を蒸発させて粉末化させた粉末状物である。この粉末化された粉末状物を用いる場合には、再度、水を添加して液状物としたものが用いられる。
従って、各種培養成分を適宜混合することにより調製しても、或いは、市販の培地をそのまま使用しても、或いは、市販の培地に下記の炭素源、窒素源及び無機塩及びその他の栄養素等を補助成分として適宜添加した培地を使用しても良い。
この際、培地は、固体又は液体培地のいずれを使用しても良いが、生産性の観点から液体培地が好ましく、使用目的によって適宜選択され、また、使用する微生物が資化し得る栄養素を含有する培地であれば、合成培地又は天然培地のいずれであっても良い。
【0015】
炭素源
本発明における納豆菌の培養に使用できる炭素源としては、使用する種によって異なり、使用する菌株が良好に生育し、ピロロキノリンキノンを効率良く産生できるものであれば特に制限されない。
具体的には、例えば、澱粉又はその組成画分、焙焼デキストリン、加工澱粉、澱粉誘導体、物理処理澱粉、α−澱粉、可溶性澱粉、アミロース、アミロペクチン、マルトオリゴ糖、シクロデキストリン、プルラン、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉及びデキストリン、グリセリン、ソルビトール、麦芽汁、グルコース等の炭水化物を挙げることができる。
これらの炭素源の中でも、ピロロキノリンキノンの産生の観点から、グルコース及び澱粉が好ましく使用される。これらの炭素源は、単独或いは2種以上の混合物の形態で使用することもできる。
【0016】
窒素源
本発明による納豆菌の培養において使用できる窒素源もまた、使用する種によって異なり、使用する菌株が良好に生育し、ピロロキノリンキノンを効率よく産生できるものであれば特に制限されない。
具体的には、例えば、肉エキス、麦芽エキス、ペプトン、大豆由来のポリペプトン(例えば、ポリペプトン−S)、酵母エキス、味液(大豆タンパク酸加水分解物)、大豆粉末、ミルクカゼイン、カザミノ酸、各種アミノ酸及びコーンスティープリカー等の有機窒素化合物、及び、アンモニア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸ナトリウム等の硝酸塩、尿素等の無機窒素化合物等が挙げられる。
これらの窒素源の中でも、ピロロキノリンキノンの産生の観点から、大豆由来のポリペプトン(例えば、ポリペプトン−S)及び大豆粉末が好ましく使用することができる。これらの窒素源も、単独或いは2種以上の混合物の形態で使用することもできる。
【0017】
無機塩
本発明による納豆菌の培養に使用できる無機塩もまた、使用する種によって異なり、使用する菌株が良好に生育し、ピロロキノリンキノンを良好に産生でき得るものであれば特に制限されない。
具体的には、例えば、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、銅、鉄及び亜鉛等のリン酸塩、塩酸塩、硫酸塩及び酢酸塩等から選ばれた1種または2種以上を使用することもできる。
【0018】
(c) 培養条件
本発明において、納豆菌の培養は、従来公知の方法と同様にして行われ、その際の培養条件としては、使用する菌株、培地の組成及び培養法によって適宜選択され、使用する菌株が増殖しピロロキノリンキノンを効率よく産生できる条件であれば特に制限されないが、培養は水性媒体中で行うことが好ましい。
培養温度は、通常、20〜45℃、好ましくは37〜42℃で行われ、固体培養における湿度としては、通常60〜100%、好ましくは90〜95%で行われ、また、培養に適当な培地のpHは、通常、6.0〜9.5、好ましくは7.0〜8.5で、培養時間は、通常10〜100時間、好ましくは12〜48時間で行われる。
【0019】
(B) 液状物の分離
本発明の方法によって培養された納豆菌の培養物の固形成分を、濾過や限外濾過や遠心分離等の既知の方法により集菌し、濾液を濃縮する。
遠心分離の場合、一般に1,000〜5,000G、好ましくは2,500〜3,000Gにて分離される。
【0020】
(C) 塩 析
上記固形成分を分離した液状物にアルカリ成分を添加して塩とすることにより不溶化して固形成分として析出させる。
上記アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウム、水酸化バリウム等を挙げることができる。
これらアルカリ成分の中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いることが好ましい。
上記液状物に対して添加するアルカリ成分の割合としては、液状物100重量部に対してアルカリ成分を通常5〜20重量部、好ましくは8〜15重量部添加することが好ましい。
【0021】
(D) 固形物の分離
上記塩析により析出した固形成分を、濾過や限外濾過や遠心分離等の既知の方法により分離して回収する。
遠心分離の場合、一般に5,000〜20,000G、好ましくは8,000〜12,000Gにて分離される。
【0022】
(E) 乾 燥
そして、この固形成分を凍結乾燥、風乾、真空熱乾燥等の公知の方法により乾燥することにより、粉体として得ることができる。
【0023】
[II] ピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品
(1) 構成成分
(A) 原料大豆に由来する成分
本発明のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品は、大豆を納豆菌によって発酵させて得られるものであることから、その構成成分として、原料大豆に由来する大豆蛋白や大豆炭水化物や大豆脂質等が含まれているものであり、特に、大豆蛋白が分解されて粘着性物質となったグルタミン酸のポリペプチドとフラクトースの重合物が含まれている。
また、上記成分以外にも納豆菌によって生産されるアミラーゼ、プロテアーゼ、リバーゼ、ナットウキナーゼ等の酵素や、ビタミンDやK等が微量成分として存在している。
【0024】
(B) ピロロキノリンキノンの無機塩
本発明のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品の中には、上記成分の他に、ピロロキノリンキノンの無機塩が、一般に100ng/g以上の濃度で、好ましくは0.001〜0.5g/g、特に好ましくは0.01〜0.2g/gの濃度で含有されている。
上記ピロロキノリンキノンの無機塩としては、具体的には、ピロロキノリンキノンのナトリュウム塩、又は、ピロロキノリンキノンのカリウム塩、又は、ピロロキノリンキノンのカルシウム塩、又は、ピロロキノリンキノンのマグネシウム塩等が含有されている。
これら無機塩の中でも特にピロロキノリンキノンのナトリュウム塩であることが好ましい。
【0025】
(2) 構成割合
本発明のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品を構成する上記原料大豆に由来する成分としては、大豆蛋白が一般に5〜15重量%、大豆炭水化物が一般に80〜90重量%、大豆脂質が一般に0〜5重量%の割合で含まれているものである。
上記以外に納豆菌によって生産されるアミラーゼ、プロテアーゼ、リバーゼ、ナットウキナーゼ等の酵素や、ビタミンDやK等が微量成分として存在している。
また、上記ピロロキノリンキノンの無機塩成分としては、一般に100ng/g以上の濃度で、好ましくは0.001〜0.5g/g、特に好ましくは0.01〜0.2g/gの濃度で含有されている。
【実施例】
【0026】
以下に示す実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明する。
[I] 評価方法
(1) ピロロキノリンキノン(PQQ)の分析
ピロロキノリンキノン(PQQ)の分析は、T.Kumazawa、O.Suzuki等の手法に従い、ガスクロマトグラフ/マススペクトロメーターの組合せ(GC−MS)により行った。(Biochem.J.(1995)307.331−333)。
(2) 食品中の構成成分の分析
食品中の構成成分の分析は蛋白質はケルダール法、脂質は酸分解法、灰分は直接灰化法、水分は常圧加熱乾燥法により行った。
【0027】
[II] 実施例及び比較例
実施例1
(1) 種菌培養
内容積30リットルのファーメンターに、大豆ペプチド2.0重量%、グルコース0.5重量%、消泡剤(シリコンペースト)からなる液体培地を入れて、更に、種菌として納豆菌(Bacillus Subtilis natto)を添加した後、37℃の温度、pH6.8〜7.2、空気0.5リットル/分の速度で通気しながら、48時間の種菌培養を行った。
【0028】
(2) 本培養
内容積500リットルの培養タンクに、上記大豆ペプチド2.0重量%、グルコース0.5重量%、消泡剤(シリコンペースト)からなる液体培地250リットルを充填した後、納豆菌(Bacillus Subtilis natto)を添加して、37℃の温度、pH6.8〜7.2、空気0.5リットル/分の速度で通気しながら、72時間の本培養を行った。
【0029】
(3) 固形分の除去
上記培養液を10,000Gにて遠心分離することにより固形の菌体を除去した後、その上澄み液を分析した結果、該上澄み液中にはピロロキノリンキノン(PQQ)が1ミリリットル当たり100ngの量で含まれることが判明した。
【0030】
(4) 濃 縮
上記澄み液を真空凝縮装置を用いて5倍の濃度に濃縮させた。
【0031】
(5) 塩 析
上記濃縮液50リットルに10重量%の濃度となるように食塩を添加し、塩酸でpH2.5に調整し、5℃の温度で24時間静置して、ピロロキノリンキノンをナトリウム塩として析出させた。
【0032】
(6) 分 離
得られた析出物を10,000Gにて遠心分離することにより塩析非水分として750gを回収した。
この回収されたピロロキノリンキノンナトリウム塩粗精製物中には、分析の結果、ピロロキノリンキノン(PQQ)を125g含有するものであった。
その結果を表1に示す。
【0033】
実施例2
(1) 本培養
グルコースを0.5重量%添加した雪花菜を121℃の温度で30分間滅菌した後、納豆菌(Bacillus Subtilis natto)を添加して、37℃の温度、pH6.8〜7.2で、72時間培養した。
【0034】
(2) 固形分の除去
その後、培地10kg当たり20リットルの水を加えて攪拌抽出して、濾過した後に、遠心分離して、上澄み液を15リットル回収した。この上澄み液1ミリリットルからは60ngのピロロキノリンキノン(PQQ)が検出された。
【0035】
(3) 濃 縮
この上記澄み液を真空凝縮装置を用いて3リットルにまで濃縮させた。
【0036】
(4) 塩 析
この濃縮液に10重量%となるように食塩を添加し、ピロロキノリンキノンをナトリウム塩として析出させた。
【0037】
(5) 分 離
この塩析により析出された塩析非水分は45g回収された。この塩析非水分中には、分析によってピロロキノリンキノン(PQQ)が900mg含まれていることが判明した。
この塩析非水分をピロロキノリンキノン(PQQ)高含有食品(1kg当たり20g含有)とした。
その結果を表1に示す。
【0038】
比較例1
実施例1において濃縮、塩析、精製工程を実施しない以外は実施例1と同様に実施した。
その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】


【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品及びその製造方法は、新種のビタミンであるピロロキノリンキノンを高含量で含有する食品であることから、少量の摂取でピロロキノリンキノン(PQQ)を大量に摂取することができるので、ピロロキノリンキノンの欠乏による病気の治療に極めて有効である。
【出願人】 【識別番号】595154122
【氏名又は名称】大和薬品株式会社
【住所又は居所】東京都世田谷区三軒茶屋1−16−19
【出願日】 平成15年9月4日(2003.9.4)
【代理人】 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次

【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝

【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男

【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝

【公開番号】 特開2005−80502(P2005−80502A)
【公開日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願番号】 特願2003−312416(P2003−312416)