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【発明の名称】 乾燥油調食品およびその製造方法
【発明者】 【氏名】長島 信行

【氏名】鈴木 康之

【氏名】長谷川 成生

【氏名】岳中 三孝

【要約】 【課題】具材の形態が大きく厚みのある場合であっても、湯や水等に浸漬することにより、短時間で容易に乾燥前と同様の状態に復元し得る乾燥油調食品とその製造方法を提供すること。

【解決手段】具材と衣を合わせた揚げ種を常法により油揚げした油調食品を凍結乾燥させることにより製造される乾燥油調食品において、前記衣と具材との総重量に対する衣の比率が5〜70重量%であり、かつ前記乾燥油調食品が、復元率190〜300重量%及び水分値1〜10重量%を有することを特徴とする乾燥油調食品。ここで、前記復元率は、前記乾燥油調食品を熱湯に浸漬し、復元させたとき、次の式:復元率(重量%)={(復元後の重量)/(復元前の重量)}×100により規定されるものとする。本発明の乾燥油調食品は、具材と衣を合わせて成形した種を油調した後の油調食品の含水量を高めた後に凍結乾燥することにより製造することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
具材と衣を合わせた揚げ種を常法により油揚げした油調食品を凍結乾燥させることにより製造される乾燥油調食品において、前記衣と具材との総重量に対する衣の比率が5〜70重量%であり、かつ前記乾燥油調食品が、復元率190〜300重量%及び水分値1〜10重量%を有することを特徴とする乾燥油調食品。ここで、前記復元率は、前記乾燥油調食品を熱湯に浸漬し、復元させたとき、以下の式:
復元率(重量%)={(復元後の重量)/(復元前の重量)}×100
により規定されるものとする。
【請求項2】
前記乾燥油調食品が、油揚げ後の油調食品の含水量を高めた後、凍結乾燥させることにより製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載の乾燥油調食品。
【請求項3】
具材と衣を合わせて成形した種を油揚げした後に凍結乾燥する乾燥油調食品の製造方法において、前記油揚げ後の油調食品の含水量を高めた後、凍結乾燥することを特徴とする乾燥油調食品の製造方法。
【請求項4】
前記乾燥油調食品の復元率が190〜300重量%であることを特徴とする請求項3に記載の乾燥油調食品の製造方法。ここで、前記復元率は、前記乾燥油調食品を熱湯に浸漬し、復元させたとき、以下の式:
復元率(重量%)={(復元後の重量)/(復元前の重量)}×100
により規定されるものとする。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥油調食品とその製造方法に関するものであり、特に、具材の形態が大きく厚みのあるものでも、湯や水等に浸漬することにより、短時間で容易に乾燥前と同様の状態に復元し得る乾燥油調食品とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品の微生物等による腐敗や変質を防止し、保存性を高めるために食品を乾燥させることが行われてきた。このような乾燥食品を食用に供する場合には、水又は湯あるいは調味液を注ぐだけで直ちに乾燥前の食品と同様の性質又は品質に復元させることができる。
【0003】
例えば、即席麺の具材や即席食品として常温で長期間保存可能な乾燥かきあげ天ぷらには熱湯で湯戻しして食するものや、湯戻した麺の上に後からそのままのせて食するものなどがある。これらの乾燥かき揚げ天ぷらは、湯戻りを良くし、食しやすくするために、通常、形状が小さかったり、厚みを薄くしたりしている。
【0004】
一方、近年では即席カップ麺の大型化が著しく、それに伴い具材そのものの大型化、本物感など価値も高まっている。具材の大型化に伴い、従来からの乾燥天ぷらも大きさ厚みとも増大し、また、より本物感を追求する上で野菜類や魚貝類などの天ぷら中の具材量を増やす試みがなされている。しかしながら、これら具材量の多い乾燥天ぷらは従来の湯戻し方法では完全に復元出来ず、食感の硬い商品価値のないものとなってしまう傾向にある。
【0005】
通常、乾燥製品の復元を良くする乾燥方法として、最も広く採用されているのが凍結乾燥法である。具体的には、被乾燥物をまず凍結することにより、その中に含まれる水分を氷結晶として固定し、これを真空条件下において昇華現象により水蒸気に変えて除去し、氷結晶の存在していた部分を空孔とし、乾燥後の組織をポーラスな状態にするものである。ポーラスな状態は、湯あるいは水を注いだ時に吸水しやすく、復元性が良いものとなる。しかし、天ぷらのように油で揚げたものを凍結乾燥するについては、油で揚げることで水を油と置換して水分量を下げているため、氷結晶の量も少なく、油の影響によりポーラスな状態にすることは難しかった。
【0006】
凍結乾燥した油調食品としては、例えば、かきあげ天ぷらを凍結乾燥したもの(例えば、特許文献1参照)が知られているが、油で揚げたかき揚げ天ぷらを凍結乾燥前に遠心分離機などで油を十分切る必要があり、また出来上がったものは衣部分が湯戻しにより溶け崩れ、具材がばらばらになってしまうものであり、形状を保ったままで戻りの良いものは今までになかった。また、乾燥即席食品の製造法として衣つきのフライ食品を油で揚げずに凍結乾燥したもの(例えば、特許文献2参照)も知られているが、油で揚げずに乾燥しているので、そのもの自体の良好な揚げ色は得られず本物感が得られなかった。この他に、かまぼこ等水産練り製品のような、澱粉をつなぎ材または主成分として含む凍結乾燥食品の製造法(例えば、特許文献3参照)があるが、原材料にゲル化剤を加えたものを加熱処理した後、凍結乾燥するもので、通常では得られない孔径の多孔質を任意に形成させ戻りを良くするとするものがある。けれども、この特許文献3に記載される凍結乾燥食品は、通常の原材料で加熱処理したものを凍結乾燥したものではなく、極端にいうと市販のものを凍結乾燥しても戻りを良くすることは出来なかった。また、この特許文献3には、かきあげ天ぷらのように油で揚げるものについてはその効果は開示されていない。
【0007】
【特許文献1】特公平08−004463号公報
【0008】
【特許文献2】特開平08−332042号公報
【0009】
【特許文献3】特公平06−038741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、具材の形態が大きく厚みのある場合であっても、湯や水等に浸漬することにより、短時間で容易に乾燥前と同様の状態に復元し得る乾燥油調食品とその製造方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、常法により油揚げした油調食品を、凍結乾燥する前に食品の含水量を高めることにより、凍結乾燥後の乾燥油調食品の復元性が顕著に高まることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の乾燥油調食品とその製造方法を提供する。
【0012】
(1)具材と衣を合わせた揚げ種を常法により油揚げした油調食品を凍結乾燥させることにより製造される乾燥油調食品において、前記衣と具材との総重量に対する衣の比率が5〜70重量%であり、かつ前記乾燥油調食品が、復元率190〜300重量%及び水分値1〜10重量%を有することを特徴とする乾燥油調食品。ここで、前記復元率は、前記乾燥油調食品を熱湯に浸漬し、復元させたとき、次の式:復元率(重量%)={(復元後の重量)/(復元前の重量)}×100により規定されるものとする。
【0013】
(2)前記乾燥油調食品が、油揚げ後の油調食品の含水量を高めた後、凍結乾燥させることにより製造されたものであることを特徴とする(1)に記載の乾燥油調食品。
(3)具材と衣を合わせて成形した種を油揚げした後に凍結乾燥する乾燥油調食品の製造方法において、前記油揚げ後の油調食品の含水量を高めた後、凍結乾燥することを特徴とする乾燥油調食品の製造方法。
【0014】
(4)前記乾燥油調食品の復元率が190〜300重量%であることを特徴とする(3)に記載の乾燥油調食品の製造方法。ここで、前記復元率は、前記乾燥油調食品を熱湯に浸漬し、復元させたとき、次の式:復元率(重量%)={(復元後の重量)/(復元前の重量)}×100
により規定されるものとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の乾燥油調食品は、具材の形状が大きく、厚みのある場合でも、湯等に浸漬することによりその形状を保ったままで容易にしかも良好な状態に復元することができ、戻り時間も短縮でき、中心まで均一に食べやすい食感を再現でき、より本物感をだすことができる。
【0016】
本発明の乾燥油調食品の製造方法によれば、形状が大きい具材を含み、厚みのある場合でも、湯等に浸漬することにより形状を保ったままで容易にしかも良好な状態に復元することができ、戻り時間も短縮でき、中心まで均一に食べやすい食感を再現でき、より本物感のある乾燥油調食品を製造することができる。
【0017】
また、本発明の製造方法は、市販の油で揚げた食品全般に対して適用することができ、市販の油揚げ食品を湯戻しした際に、上述したものと同様の優れた復元性を有する乾燥油調食品を製造することができる。
さらに、本発明の製造方法は、設備面でも、通常の油で揚げる装置と凍結乾燥装置があればよく、特別な装置等を必要としないので、製造コストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の乾燥油調食品とその製造方法について詳細に説明する。
本発明が対象とする乾燥油調食品としては、生又は予備調理された具材と衣を合わせて種を成形し、これを油で揚げることにより調製され得る食品であれば特に制限はない。具体的には、天ぷら、フライ(カツ、コロッケ等)、から揚げ等が含まれるが、本発明の乾燥油調食品の対象はこれらに限定されず、油調食品全般を対象とすることができる。
【0019】
本発明の乾燥油調食品は、湯等に浸漬することにより短時間に中心まで均一に戻ること、すなわち、良好な復元性を最大の特徴とするものである。本発明では、復元性を以下の条件で測定したものとする。
まず、予め、乾燥油調食品の重量を測定し、復元前の重量とする。この乾燥油調食品を容器に入れる。使用する容器は、一般に即席麺に使用される発泡容器であるが、発泡容器と同様の保温効果が得られる場合には、紙容器やPSP容器等でもよい。この容器に乾燥油調食品を入れ、熱湯(沸騰水)を注ぐ。熱湯の量は、試験する乾燥油調食品の大きさ等により異なるが、例えば、直径10cm、厚み3cmの乾燥かき揚げの場合は、300mL用いる。熱湯を注いだ後、容器の蓋をしない状態で1分間乾燥油調食品を浸漬する。1分後、油調食品が崩れないようにすくい上げ、32メッシュのネットに移し、1分間放置した後に油調食品の重量を測定する。測定は、3回行い、その平均値を復元後の重量とする。復元率は、次の式:
復元率(重量%)={(復元後の重量)/(復元前の重量)}×100
により求めた値とする。
【0020】
本発明では、乾燥油調食品の復元率が、190〜300重量%であることが好ましく、210〜300重量%であると、食味等が良好になりさらに好ましい。
また、本発明では、油調食品を復元させたとき、短時間に中心まで均一に戻ることも特徴の一つである。本発明では、戻りの状態を評価するために、官能試験を併せて行うことができる。この官能試験は、上記復元率測定と同じ条件で復元させた油調食品が、全体に渡り均一にもどっているか否かを複数人のパネラー(例えば、7人)が、以下の4つの基準により判定するものとする:(1)戻りの悪い部分があり、食味不良、(2)一部戻りの悪い部分があるものの食味可、(3)ほぼ均一に戻っており食味良、及び(4)均一に戻っており食味良。
【0021】
さらに、本発明の乾燥油調食品は、水分値1〜10重量%を有することが好ましく、さらに、2〜6重量%であることがより好ましい。ここで、水分値とは、「食品衛生検査指針 理化学編」、財団法人 日本食品衛生協会発行、(1991年)、第18頁〜第21頁に記載の加熱乾燥法により求めた値とする。
【0022】
以下、油調食品の一例として天ぷらを挙げて本発明の乾燥油調食品及びその製造方法を説明するが、本発明の油調食品は、これにかぎられるものではない。
天ぷら具材としては、通常天ぷらに用いるものであれば、どのようなものでもよい。エビ天ぷらにする場合には、エビを使用し、かき揚げ天ぷらにする場合には、玉ねぎ、にんじん、ゴボウ、春菊等の野菜や、エビ、オキアミ、イカ、ホタテの水産物等を併せて用いることができる。
【0023】
エビ天ぷらに用いる原料エビは、生エビでも冷凍エビでもよい。但し、冷凍エビを用いる場合には、エビの組織をできるだけ損傷させることなく解凍するため、加熱による急激な解凍は行わず、常温又は低温で数時間かけてゆっくり解凍することが好ましい。
【0024】
通常、エビの前処理工程としては、原料エビの洗浄、頭部・殻・(必要に応じて)背わたの除去、サイズ・グレイドの選別、筋切り・伸ばしなどが行われる。サイズ・グレイド選別は、製品のバラツキを少なくするための工程であり、筋切り・伸ばしは、熱処理後及び凍結乾燥後のエビの縮み・湾曲を少なくするために行う工程であって、エビの腹部の数箇所に包丁などの鋭利な刃を入れたのち伸ばすという公知の手法を採用すればよい。
【0025】
一方、かき揚げ天ぷらの場合には、上記具材は、通常、適切な大きさに切断して使用するが、本発明の乾燥油調食品は、特に、従来は復元性に問題があり、使用することが困難だった形状が大きい具材を使用し、厚みのあるものであっても良好な復元性を有することを特徴の一つとする。したがって、本発明では、かき揚げで使用する具材の大きさ、厚み等の形状は、従来は復元が困難だった大きさのものでも使用することができる。
【0026】
本発明をエビ天ぷらに適用する場合には、上記通常の工程に加えて、筋切工程よりも前に、リン酸塩、炭酸塩などの水溶液による処理工程を付加することが望ましい場合がある。この処理工程は、熱湯による湯戻りをよくするために行うものであって、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウムなどの水溶液にエビを浸漬し、3〜6時間冷蔵することによりエビを極力膨らませ、次いで水切り(脱水)を行う。中でもポリリン酸ナトリウムが有効である。水溶液の濃度は1〜10重量%、好ましくは7〜9重量%である。
【0027】
天ぷらの衣も、通常、天ぷらに用いるものを使用することができる。具体的には、小麦粉を主成分とし、これに他の穀粉、澱粉等を加え、水と混合したものを用いることができる。衣には、適宜、膨張剤等の添加物を使用することもできる。
衣に使用する小麦粉としては、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉等のいずれをも用いることができる。小麦粉以外の穀紛としては、米粉、コーンフラワー等のいずれをも用いることができる。澱粉としては、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、これらの加工澱粉等のいずれをも用いることができる。膨張剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、みょうばん、焼きみょうばん、焼アンモニウムみょうばん、塩化アンモニウム、フマル酸グルコノデルタラクトン、酸性ピロリン酸カルシウム、第一リン酸カルシウム、フマル酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム等のいずれをも用いることができる。
【0028】
上記衣における小麦粉その他の固形成分類と水との比率は、天ぷらとしての形態を保ち、良好な食感等を得るために適切なものにすればよく、使用する固形成分の種類、かき揚げの具材等に応じて変化させることができる。
上記具材と衣との比率も、天ぷらとしての形状を保ち、良好な食感等を得るために適切なものにすればよい。例えば、衣と具材との総重量に対する衣の比率(以下、「衣率」ともいう)を5〜70重量%の範囲にすることができる。本発明では、特に、従来は困難だった形状の大きい具材を含有する、厚みのある天ぷらであっても優れた復元性を有することを特徴とするものである。例えば、乾燥かき揚げの衣率は、20〜60重量%の場合にあっても優れた復元性を有する。
【0029】
本発明をエビ天ぷらに適用する場合、打ち粉付け、バッター付けを行うが、これらの工程は公知の手段を採用すればよい。また、かき揚げ天ぷらに適用する場合には、上記具材に衣をからませ揚げ種を作製し、これを油揚げする。揚げ種の大きさや形に特に制限はないが、乾燥かき揚げの場合には、直径3〜15cm、厚み5〜30mm程度の円形にすることができる。
【0030】
揚げ種を油揚げする条件(衣の温度、油の種類や温度等)は、通常の天ぷらの油揚げで使用するものと同様にすることができる。
次に、本発明では、この油揚げ後の天ぷらの含水量を高める。本発明では、この油揚げ後の天ぷらの含水量を高めることにより凍結乾燥後の乾燥食品の復元率を高めた点に特徴の一つを有する。通常、乾燥食品を製造するための手法である油揚げは、その食品の含水量を低くすることを目的の一つとするものである。したがって、油揚げにより一旦下げた含水率を再度上げることは通常の乾燥食品の製造過程において行わないことであり、しかもこのように含水率を高めることにより凍結乾燥後の食品の復元性が高まることは全く予想外のことであった。
【0031】
本発明では、油揚げ後の天ぷらに水分を吸収させ、その含水量を高めることにより、凍結乾燥後の天ぷらの復元性を顕著に高めたものである。本発明では、油揚げ後の天ぷらに吸収させる水分の量(吸水量)を、以下に規定する吸水率により表すこととする:
吸水率(重量%)=吸水量/(油調後の天ぷらの重量+吸水量)×100
吸水率は、使用する具材の種類や大きさ、油揚げ温度や時間等により異なるが、例えば、かき揚げ天ぷらの場合には、吸水率を11重量%以上にすることにより、凍結乾燥後の天ぷら復元性を顕著に高めることができる。
この値よりも吸水率が低いと満足な復元性が得られない。かき揚げ天ぷらの場合の吸水率は13重量%以上が好ましく、24重量%以上がさらに好ましい。一方、吸水率が高すぎると、乾燥時間が長くなり、生産効率を落としてしまう。したがって、特に、かき揚げ天ぷらの場合には、吸水率の上限は、50重量%程度が好ましい。
【0032】
油揚げ後の天ぷらの含水を高める方法に特に制限はなく、浸漬、シャワー等の方法により行うことができる。含水量を高める場合、天ぷらの表面のみならず、内部まで含水量が高まることが好ましく、そのためには、例えば、油揚げ後の天ぷらを容器に入れ、これに水を注ぎ、浸漬させることにより行うことができる。使用する水の温度に特に制限はなく、例えば、常温のものを使用することができる。
【0033】
含水量の調節は、使用する水の量、浸漬時間等を変化させることにより行うことができる。本発明では、この油揚げ後の含水量を適切な範囲に高めることにより、凍結乾燥後の天ぷらの復元率を所望の範囲内にすることを可能とする。
また、この含水量を高めるための水には、ゼラチン、デキストリン、増粘剤(例えば、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸、寒天、ペクチン、カードラン、ジェランガム、プルラン等)を1種類又はそれ以上添加することにより、凍結乾燥後の天ぷらの保形性を高めるとともに、復元性も更に高め、良好な食感の天ぷらにすることができる。
【0034】
使用するゼラチン等の添加物は、通常食品添加物として用いているものを使用することができる。また、ゼラチン等の添加物の濃度は、凍結乾燥後の保形性等を考慮し適宜設定することができる。これらの添加物が常温の水に溶けにくい場合には、適宜水の温度を高めることにより溶解させてから用いることが好ましい。
【0035】
含水量を高める工程は、油揚げ後、すぐに行うこともできるが、メッシュのトレー等の上に載せ、油切りし、風冷等により温度を下げてから含水量を高めることが、油調食品全体の含水量を均一に高めるの観点から好ましい。含水量を高める工程は、1回でおこなってもよいし、複数回にわたりおこなってもよい。
【0036】
また、油揚げ後の天ぷらは、使用する衣の量、具材の大きさ、油揚げ温度や時間等により異なるが、通常、10〜55重量%の吸油率を有する。ここで、吸油率は、次の式:
吸油率(重量%)=吸油量/油揚げ後の天ぷらの重量×100
とする。
本発明では、このようにして含水量を高めた天ぷらを凍結乾燥する。凍結乾燥のための冷却温度、圧力、時間等の条件は、通常、食品の凍結乾燥を行うもので行うことができる。
【0037】
上述したようにして製造した凍結乾燥天ぷらは、これを即席乾燥麺の天ぷらとして用いる場合、即席乾燥麺を収容するカップ、あるいは別の袋に収容し、必要に応じてスープ、かやく等とともに、封緘することができる。
また、本発明をフライ(カツ、コロッケ等)、から揚げに適用する場合には、基本的には、上記天ぷらの場合と同様に、油調後の食品に水分を吸収させ、含水量を高めた後、凍結乾燥することにより凍結乾燥後の食品の復元率を顕著に高めることができる。
【実施例】
【0038】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の例において、%はいずれも重量%である。
(実施例1)
以下に示す配合1で、凍結乾燥オキアミ入りかき揚げ用種(直径:約10cm;厚さ:約3cm)を製造した。
【0039】
<配合1>
・天ぷら粉等 25.8%
・玉ねぎ 25.8%
・水 25.8%
・オキアミ 9.3%
・人参 6.5%
・ごぼう 4.0%
・春菊 2.8%
合計 100%
注1)天ぷら粉等には、小麦粉86%、小麦澱粉13%、ベーキングパウダー、食塩1%、炭酸水素ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウムが含まれる。
【0040】
2)衣率(衣(天ぷら粉等+水):具材の割合)は、約52%:約48%である。
【0041】
上記配合1で成形したかき揚げ用種を170℃のパーム油で2分間油調した。
油を切り、風冷した後、かき揚げをトレーに移した。油調後のかき揚げの重量は、80g、吸油率は20%であった。
トレーごと凍結した後、凍結乾燥したものを試料1とした。
【0042】
凍結する前に、かき揚げの上からトレー中に水を注ぎ、かき揚げに吸水させた試料をそれぞれ試料2〜10とした。
さらに、ゼラチン溶液(ゼラチン2g、カラメル0.1g及び湯100gの割合)を調製し、試料2〜10と同様にかき揚げの上からトレーに注いだ。かき揚げに吸水させた量を10〜40gまで5g刻みとしたものを、それぞれ試料11〜17とした。
【0043】
さらに、ゼラチン+デキストリン溶液(ゼラチン2g、デキストリン3g、カラメル0.1g及び湯100gの割合)を調製し、試料2〜10と同様にかき揚げの上からトレーに注いだ。かき揚げに吸水させた量を10〜40gまで5g刻みとしたものを、それぞれ試料18〜24とした。
【0044】
これらの吸水させたかき揚げ試料2〜24を試料1と同様にトレーごと凍結した後、凍結乾燥した。
凍結乾燥後の各試料の重量を測定した。また、各試料を即席麺用の発泡容器に入れ、上述した復元率の測定方法に従い、熱湯300mLを各容器に注ぎ、1分間戻した後、液きりし、重量を測定することにより復元率を求めた(3回の平均値)。
【0045】
また、7人のパネラーにより復元状態を採点し、平均値を求めた。
得られた結果を以下の表1〜3に示す。
【0046】
【表1】


【0047】
【表2】


【0048】
【表3】


表1より、試料1と試料2では、復元率については明らかに差が出ている。また、官能試験においても、試料2は試料1に比べ優位性が見られた。
試料2と試料3の比較では復元率に少々の差があるものの、官能試験においてはより向上している。
【0049】
試料3と試料4では、復元率に差はあるものの、官能試験においては、あまり差が見られなかった。
この結果より、油調後製品に対して、吸水率が11%以上になるように水分を吸収させることにより、復元率が向上することが見出された。さらに吸水率が24%以上であればより復元率及び官能においても好ましい結果が得られた。
【0050】
表2、表3より、水の代わりにゼラチン溶液、及び、ゼラチンにデキストリンを加えた溶液についても同様に試験を行った結果、表1と同様の結果が得られた。
したがって、このようにゼラチン溶液等を利用することによって、乾燥後の製品の保形性を維持しつつ復元性を向上させることが出来た。
【0051】
また、油調後製品に多量の溶液(吸水量30〜40g)を吸収させた場合では、水のみを吸収させた場合よりも、急激な変化を抑えることを見出した。
これにより、即席食品に利用した場合、長時間一定の食味を維持できることになる。
(実施例2)
以下に示す配合2を用い、実施例1で調製した試料の具材及び衣率を変えた試料25〜38を作成した。
【0052】
<配合2>
・天ぷら粉等 15.7%
・水 15.7%
・玉ねぎ 58.0%
・エビ 6.4%
・人参 4.2%
合計 100%
上記配合2で成形したかき揚げ用種を170℃のパーム油で2分間油調した。
【0053】
油を切り、風冷した後、かき揚げをトレーに移した。油調後のかき揚げの重量は、65g、吸油率は15%であった。
給水は、水のみ(試料25〜31)とゼラチン+デキストリン液(試料32〜38)とを用いて行った。
得られた結果を以下の表4及び5に示す。なお、試料1は、実施例1で調製した試料1と同じものである。
【0054】
【表4】


【0055】
【表5】


表4及び表5より、具材及び衣率を変えて乾燥かき揚げを作成しても、実施例1と同様の結果が得られた。すなわち、本発明によれば、衣率の割合が異なっても、復元率及び官能の結果において同じ結果が得られることがわかった。
(実施例3)
油揚げ時間を変更することにより油調後の吸油率を変えた試料(試料39〜41)を作成した。油調後の吸水は、ゼラチン+デキストリン液を用いた。
【0056】
得られた結果を以下の表6に示す。
【0057】
【表6】


表6より、揚げ時間が長いほど復元率が悪くなることがわかる。揚げ時間が長くなることにより、油調後の吸油率も上昇するため復元率が悪くなったと考えられる。ただし、官能の評価は3分揚げにおいても食味良であった。したがって、本発明によれば、吸油率が高い乾燥油調食品であっても、所定時間内に復元させることが出来ることがわかった。
【0058】
(実施例4)
実施例2で作成したものと同じ本発明のかき揚げ(凍結乾燥前処理品)を作成した。油揚げ後、含水量を上昇させないこと以外は本発明のかき揚げと同様にかき揚げを調製し、比較試料(乾燥凍結前未処理品)とした。
これらの比較試料(表面及び裏面)並びに本発明の試料(表面及び裏面)について、凍結乾燥後の写真をそれぞれ図1−a及び図1−b並びに図1−c及び図1−dに示す。これら試料の断面(2個所で切断した)をそれぞれ図2−a〜図2−dに示す。また、各試料の断面図の一部を拡大した(×6)顕微鏡写真を図3−a〜図3−c及び図4−a〜図4−cに示す。
【0059】
図1−a〜図1−dから明らかなように、凍結乾燥前に含水量を上昇させた本発明のかき揚げも、凍結乾燥前に含水量を上昇させないかき揚げも、乾燥かき揚げの外観はほとんど変わらない。しかしながら、図2−a及びbの断面図と図2−c及びdの断面図とを比較すると明らかなように、含水量を上げずに凍結乾燥した比較用のかき揚げは、含水量を高めてから凍結乾燥した本発明のかき揚げよりも厚みが薄く、かつ表面がでこぼこし、厚みが不均一になっている。これに対して、本発明のかき揚げは、かき揚げ内部に空隙が観察できた。これにより本発明のかき揚げは、厚みが大きく、また全体的に厚みがほぼ均一になっている。
【0060】
このような差が生じる理由は、図4−a〜図4−cの顕微鏡写真からも明らかなように、比較用のかき揚げでは、衣がダマになって固まっているのに対して、本発明のかき揚げでは、ポーラスな状態になっているからであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1−a】凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前未処理品)の表面の写真。
【図1−b】凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前未処理品)の裏面の写真。
【図1−c】凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前処理品)の表面の写真。
【図1−d】凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前処理品)の裏面の写真。
【図2−a】図1−aの凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前未処理品)の断面の写真。
【図2−b】図1−bの凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前未処理品)の断面の写真。
【図2−c】図1−cの凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前処理品)の断面の写真。
【図2−d】図1−dの凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前処理品)の断面の写真。
【図3−a】図1−aの凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前未処理品)の断面の顕微鏡写真
【図3−b】図1−aの凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前未処理品)の断面の顕微鏡写真
【図3−c】図1−aの凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前未処理品)の断面の顕微鏡写真
【図4−a】図1−cの凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前処理品)の断面の顕微鏡写真
【図4−b】図1−cの凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前処理品)の断面の顕微鏡写真
【図4−c】図1−cの凍結乾燥後のかき揚げ天ぷら(乾燥凍結前処理品)の断面の顕微鏡写真
【出願人】 【識別番号】000222783
【氏名又は名称】東洋水産株式会社
【識別番号】397009004
【氏名又は名称】アサヒフードアンドヘルスケア株式会社
【出願日】 平成15年9月1日(2003.9.1)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎

【公開番号】 特開2005−73604(P2005−73604A)
【公開日】 平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願番号】 特願2003−309017(P2003−309017)