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【発明の名称】 フィルム形成方法および該方法を用いて形成されたフィルム
【発明者】 【氏名】間宮 稔
【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区新港9番地 株式会社ニチレイ技術開発センター内

【要約】 【課題】ベースと被処理物とが接触した際にベースと被処理物との良好な剥離性を得ることができるフィルムをベースの表面に形成するフィルム形成方法および該方法を用いて形成されたフィルムを提供する。

【解決手段】板1aの表面に塗布した食用油2を火炎に接触させることにより板1aとの剥離性を有するフィルム7を形成した。フィルム7を介して板1aと食材8とが接触した際にフィルム7は剥離性を有するため、板1aと食材8との良好な剥離性を得ることができる。フィルム7は容易に再生することができ、板1aと食材8とが接触及び剥離を繰り返す場合にも半永久的に板1aと食材8との固着を容易に防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースの表面に塗布した油を火炎に接触させることにより前記ベースとの剥離性を有するフィルムを形成することを特徴とするフィルム形成方法。
【請求項2】
前記油は食用油であることを特徴とする請求項1記載のフィルム形成方法。
【請求項3】
請求項1または2記載のフィルム形成方法を用いて形成されたものであることを特徴とするフィルム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースの表面にフィルムを形成するフィルム形成方法および該方法を用いて形成されたフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベースと被処理物とが接触することによるベースと被処理物との固着を防止するため種々の方法が提案されている。
【0003】
例えば、被処理物としての成形された食品を、ベースとしての型から容易に離脱するための種々の離型剤や離型油が開発、提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
また、被処理物としての冷凍食品をベースとしての容器から容易に離型するための離型剤も知られている(例えば、特許文献3)。
【0005】
さらに、被処理物としての食材を焼成する際に食材がベースとしての焼板へ焦げ付くのを防止するための方法として、焼板表面に油を塗布する方法や、焼板表面にテフロン(登録商標)をコーティングする方法が一般に知られている。
【特許文献1】特開昭62−1926号公報
【特許文献2】特開昭64−37249号公報
【特許文献3】特開平2−53433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術では、離型剤をスプレー方式により型に塗布する場合には、均一に塗布するために離型剤の粘度の調整とその粘度の維持などが必要であるほか、スプレー装置が目詰まりしやすいなどの問題があった。また、離型剤を過剰に塗布してしまった場合には、被処理物の表面にベタツキが生じて品質を悪くするので、洗浄等によって除去する必要があった。また、離型剤はそれぞれに特性を有しており、オールマイティに使用できるものは知られていかった。さらに、離型剤それぞれの特性を発現させるためには様々な成分を混合する必要があり、コスト高となっていた。
【0007】
また、焼板表面にテフロン(登録商標)をコーティングする方法では、定期的にコーティングを張り替える必要があり、そのためのコストが膨大であるという問題点があった。
【0008】
以上のように、連続した工業生産に適しており、容易に被処理物をベースから剥離できる方法が求められていた。
【0009】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、ベースと被処理物とが接触した際にベースと被処理物との良好な剥離性を得ることができるとともに、ベースと被処理物との接触及び剥離の1サイクル毎に容易に再生可能であるフィルムをベースの表面に形成するフィルム形成方法および該方法を用いて形成されたフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するため、本発明に係るフィルム形成方法および該方法を用いて形成されたフィルムは、つぎのような手段を採用する。
【0011】
請求項1記載のフィルム形成方法は、ベースの表面に塗布した油を火炎に接触させることにより前記ベースとの剥離性を有するフィルムを形成することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2記載のフィルム形成方法は、請求項1において、前記油は食用油であることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項3記載のフィルムは、請求項1または2記載のフィルム形成方法を用いて形成されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のフィルム形成方法によれば、ベースの表面に塗布した油を火炎に接触させることにより、ベースとの剥離性を有するフィルムがベースの表面に形成される。したがって、当該フィルムを介してベースと被処理物とが接触した際に当該フィルムは剥離性を有するため、ベースと被処理物との良好な剥離性を得ることができる。また、当該フィルムは、ベースの表面に塗布した油を火炎に接触させて形成されるため、ベースと被処理物との接触及び剥離の1サイクル毎に容易に再生することができる。このため、ベースと被処理物とが接触及び剥離を繰り返す場合にも半永久的にベースと被処理物との固着を容易に防止することができる。
【0015】
また、請求項2記載のフィルム形成方法によれば、前記油は食用油であるので、食品用途に用いることができる。
【0016】
さらに、請求項3記載のフィルムによれば、請求項1または2記載のフィルム形成方法で形成され、ベースとの良好な剥離性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るフィルム形成方法および該方法を用いて形成されたフィルムの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明のフィルム形成方法の第1の実施形態である工程を示す図である。
【0019】
工程1では、ベースとしての金型1b,1cの内面に食用油2を塗布する。食用油2は塗付装置3で金型1b,1cの表面に塗付される。金型1b,1cの素材としては、ステンレス鋼等が挙げられる。食用油2は、上記第1実施例と同様のものを用いることができる。なお、金型1b,1cの温度は、40℃以上が好ましく、また、240℃を超えると食用油が金型1b,1cに固着するため240℃以下が好ましい。
【0020】
工程2では、工程1で塗付した食用油2を布、ブラシ又はウエス4等で拭き取る。本工程2で金型1b,1cの内面に薄く均一に食用油2が塗布される。なお、布、ブラシ又はウエス4等は水等を含んでいる場合が金型1b,1cの内面に食用油2を広げやすく好適である。
【0021】
工程3では、工程2で金型1b,1cの内面に薄く均一に塗付された食用油2の表面を燃焼装置6の火炎を接触させて食用油2の表面を炙り、金型1b,1cの内面に金型1b,1cとの剥離性を有するフィルム7を生成する。このフィルム7は、ゲル化した状態に形成される。本実施例においても、燃焼装置6の火炎の温度は1000℃以上が好ましく、燃焼装置6の火炎を接触させる時間は、外炎部が1500℃以上である場合には一瞬でよい。
【0022】
工程4では、金型1b,1cを閉じて成形品8bを成形する。
【0023】
工程5では、金型1b,1cを開いて工程4で成形された成形品8bを金型1b,1cから除去する。
【0024】
なお、工程5が終了すると工程1に戻る。また、工程2は、省略することが可能である。
【0025】
以上、本実施形態によれば、工程1で食用油2が金型1b,1cの内面に塗付され、工程3で金型1b,1cの内面に塗布された食用油2の表面が燃焼装置6の火炎に接触して金型1b,1cの内面に金型1b,1cとの剥離性を有するゲル状のフィルム7が形成され、工程4で金型1b,1cを閉じて成形品8bが成形され、工程5で成形された成形品8bが金型1b,1cから除去される。したがって、工程3で形成されたフィルム7を介して金型1b,1cで成形品8bが成形されるがフィルム7は剥離性を有するため、工程5で成形された成形品8bが除去される際に金型1b,1cと成形品8bとの良好な剥離性を得ることができる。また、フィルム7は、工程3で金型1b,1cの内面に塗布された食用油2の表面を燃焼装置6の火炎に接触させて形成されるため、工程1から工程5の1サイクル毎に容易に再生することができる。このため、工程1から工程5を繰り返すことによって半永久的に金型1b,1cと成形品8bとの固着を容易に防止することができる。
【0026】
なお、本実施例では食用油2を用いた場合を例にとって説明したが、火炎に接触してフィルムを形成できればこれに限らないなど、種々の変形実施が可能である。
【実施例2】
【0027】
図2は、本発明のフィルム形成方法の第2の実施形態である工程を示す図である。
【0028】
工程1では、ベースとしての板1aの表面に食用油2を塗布する。食用油2は塗付装置3で板1aの表面に塗付される。板1aは、食用油2が染み込まない表面を有すると共に耐熱性を有する素材から形成されている。具体的に板1aの素材としては、鉄(SS400)、合金(SUS430、SUS304)等の金属、及び、磁器、陶器等の非金属が挙げられる。尚、板1aが油をはじく表面を有する素材から形成されている場合には、食用油2を塗付する前に界面活性剤等を板1aの表面に付着させる必要がある。食用油2は、不飽和脂肪酸を含む油脂である。具体的に食用油2としては、動物油脂、及び、大豆白絞油、菜種油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、パーム油、ヤシ油等の植物油脂が挙げられる。また、食用油2は、食材に含まれる牛脂や豚脂等であってもよい。なお、フィルムの形成しやすさを考慮すると、食用油2は、リノール酸やリノレイン酸が多く含まれる油脂が好適である。
【0029】
工程2では、工程1で塗付した食用油2を布、ブラシ又はウエス4等で拭き取る。本工程2で板1aの表面に薄く均一に食用油2が塗布される。尚、布、ブラシ又はウエス4等は水等を含んでいる場合が板1aの表面に食用油2を広げやすく好適である。
【0030】
工程3では、板1aの表面に薄く均一に塗付された食用油2の表面に燃焼装置6の火炎を接触させて食用油2の表面を炙り、板1aの表面に板1aとの剥離性を有するフィルム7を形成する。このフィルム7は、ゲル化した状態に形成される。燃焼装置6の火炎の温度は1000℃以上が好ましい。燃焼装置6の火炎を接触させて炙る時間は、外炎部が1500℃以上である場合には一瞬でよい。燃焼ガスとしては、ブタンガス、アセチレンガス、都市ガス13A等が挙げられる。
【0031】
工程4では、工程3で板1aの表面に形成されたフィルム7上に食材8を載置する。
【0032】
工程5では、工程4で板1aの表面に形成されているフィルム7上に載置された食材8を冷凍装置9で冷凍する。
【0033】
工程6では、工程5で冷凍された食品8を板1aから除去する。
【0034】
なお、工程6が終了すると工程1に戻る。また、工程2は、省略することが可能である。
【0035】
以上、本実施形態によれば、工程1で食用油2が板1aの表面に塗付され、工程3で板1aの表面に塗布された食用油2の表面が燃焼装置6の火炎に接触して板1aの表面に板1aとの剥離性を有するゲル状のフィルム7が形成され、工程4でフィルム7上に食材8が載置され、工程5で食材8が冷凍され、工程6で冷凍された食品8aが板1aから除去される。したがって、工程3で形成されたフィルム7上に工程4で食材8が載置され工程5で食材8が冷凍されるがフィルム7は剥離性を有するため、工程6で冷凍された食品8aが除去される際に板1aの表面と食材8の表面との良好な剥離性を得ることができる。また、フィルム7は、工程3で板1aの表面に塗布された食用油2の表面を燃焼装置6の火炎に接触させて形成されるため、工程1から工程6の1サイクル毎に容易に再生することができる。このため、工程1から工程6を繰り返すことによって半永久的に板1aと食材8との凍結固着を容易に防止することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、工程1で塗布された食用油2が工程2で板1aの表面に薄く均一に広げられるため、工程3でフィルム7を短時間で生成することができる。
【0037】
また、フィルム7は、油に火炎を接触させることで極めて簡単に形成でき、食材8を載置して冷凍した場合に、板1aと食材8との優れた剥離性を得ることができる。また、フィルム7が付着したまま冷凍された食材8aを解凍して必要に応じて調理して食べる際には、このフィルム7が食材8aの食感や味に何ら影響を及ぼすことがない。このように、食材と一緒に食べても何の違和感もなく、板1aとの優れた剥離性を有する、極めて優れた機能性を有するフィルムを提供することができる。
【0038】
また、食材8は板1aの表面に形成される剥離性を有するフィルム7上で冷凍されるため、食材8の剥離痕をなくすことができる。
【0039】
なお、上記実施例では、フィルム7上に載置した食材8を冷凍装置9で冷凍した例を示したが、これに限らず、食材8をフィルム7上に載置した後、食材8を板1aの裏面から加熱装置5で加熱して焼成してもよい。この場合も、焼成された食材8が除去される際に板1aと食材8との良好な剥離性を得ることができるとともに、板1aと食材8との焦げ付きを容易に防止し、食材8に均一な焼目をつけることができる。なお、フィルム7を形成する前に、表面に食用油2が薄く均一に塗付された板1aをその裏面から、熱源としてガス燃焼、電磁誘導加熱(IH)、蒸気等を利用した加熱装置で加熱してもよいが、加熱される板1aの温度は、40℃以上が好ましく、また、240℃を超えると食用油2が板1aに固着するため240℃以下が好ましい。さらに、食材8をフィルム7上に載置した後、冷凍や加熱を施さずに、そのまま保管した場合にも、板1aと食材8との良好な剥離性を得ることができる。
【0040】
また、上記実施例では、板1a上でフィルム7を形成したが、例えばベルトコンベアなどの既知の装置を用いた大量生産に適した形態で実施してもよい。ベルトコンベアを用いる場合は、ベルトコンベアに食用油2を塗布して拭き取り、その後、食用油2の表面に燃焼装置6の火炎を接触させてフィルム7を形成するように、連続的に構成された製造装置を用いればよい。さらに、このフィルム7上に食材8を載置し、これを冷凍、または加熱するように製造装置を構成すればよい。
【0041】
本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、上記各実施例のような食品加工や型成形に限らず、被処理物とベースとの剥離を容易にすることが必要とされる種々の分野に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のフィルム形成方法の第1の実施形態である工程を示す説明図である。
【図2】本発明のフィルム形成方法の第2の実施形態である工程を示す説明図である。
【図3】同上フロー図である。
【符号の説明】
【0043】
1a 板(ベース)
1b,1c 金型(ベース)
2 油(食用油)
7 フィルム
【出願人】 【識別番号】000134970
【氏名又は名称】株式会社ニチレイ
【住所又は居所】東京都中央区築地6丁目19番20号
【出願日】 平成15年8月29日(2003.8.29)
【代理人】 【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護

【識別番号】100119312
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 栄松

【識別番号】100119884
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 博光

【識別番号】100119334
【弁理士】
【氏名又は名称】外山 邦昭

【公開番号】 特開2005−73560(P2005−73560A)
【公開日】 平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願番号】 特願2003−307142(P2003−307142)