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【発明の名称】 ゼリー食品及びその製造方法
【発明者】 【氏名】潮 健次
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区神崎町4番12号 味覚糖株式会社内

【要約】 【課題】滑らかで口どけの良い豆腐様食感を有するゼリー食品及びその製造方法を提供する。

【解決手段】少なくとも蒟蒻粉0.02〜1.0重量歯、ゲル化剤及び糖類を含有し、さらに油脂分を0.5〜10.0重量%含有してなり、滑らかで口溶けの良い豆腐様食感を有するゼリー食品であり、このゼリー食品を製造するには、ゼリーを構成する蒟蒻粉以外の成分を混合した溶液と、別に作成した蒟蒻粉の溶液とを混合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも蒟蒻粉0.02〜1.0重量歯、ゲル化剤及び糖類を含有し、さらに油脂分を0.5〜10.0重量%含有してなり、滑らかで口溶けの良い豆腐様食感を有することを特徴とするゼリー食品。
【請求項2】
請求項1記載のゼリー食品を製造する方法であって、ゼリーを構成する蒟蒻粉以外の成分を混合した溶液と、別に作成した蒟蒻粉の溶液とを混合することを特徴とするゼリー食品の製造方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼリー食品及びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは蒟蒻粉を主成分にしているにもかかわらず、滑らかで口どけの良い豆腐様食感を有し、咀嚼力の劣る老人や幼児にも食べやすいゼリー食品を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
蒟蒻粉を主成分にしたゼリーは、従来から広く食用に供せられてきた。例えば、寒天溶液、果汁類、糖類、酸味料等を含有する従来のゼリー食品に植物繊維豊富な蒟蒻粉を加える提案がなされている(特許文献1参照。)。又、やはり蒟蒻粉(コンニャクマンナン)を主成分にして寒天等の糊料を添加した軟質ゲルに微アルカリ性化合物(例えば水酸化カルシウム)を添加することによって餅状食感を出したゼリーの提案がなされている(特許文献2参照。)。さらに、粒度が150メッシュパスの蒟蒻粉を用いることでゲル化時間を短縮する提案もなされている(特許文献3参照。)。ところが、これら蒟蒻粉を主成分にした従来のゼリーは、食感がいかにも蒟蒻に似せているだけに、口どけが悪く咀嚼能力の劣る老人や子供には硬すぎる傾向にあり、スプーンですくって食べやすい大きさにする必要があった。
【0003】
上記のような蒟蒻粉を含有するゼリー食品を食べ易くする一つの方法として採用された方法は、ゼリー食品の容器の形を変えるものであった。例えば、容器開口部をハート型にするゼリー用容器の提案がなされている(特許文献4参照。)。又、一口ゼリーの容器として中身のゼリーを複数の塊に分割して取り出すことのできるような容器の形状の提案がなされている(特許文献5参照。)。さらに、同じく一口ゼリー等のゲル状食品の容器として、側壁と横断面の形状をほぼ勾玉(まがたま)形にしたカップ状容器の提案がなされている(特許文献6参照。)。
【0004】
しかし、上記のような容器による解決法は、蒟蒻粉を含むゼリーの口どけの悪さや食感の硬さという問題の本質的解決にはならない。この種の食品の食感改良方法としては、例えば特開平11−178520号公報には、乳原料及びゲル化剤を含むプリン等の食品の食感を改良するために発酵セルロースを加える提案がされている。又、ゲル化素材、増粘剤、糖類、甘味料、油脂等を配合した食品の一部又は全部をポリフラクタンで置き換えることでクリーミー感を有するマヨネーズ等の食品の提案がなされており(特許文献7参照。)、ここにはゼリーの実施例も挙げられてはいる。しかし、蒟蒻粉を含有するゼリーの食感改善については記載されていない。
【0005】
【特許文献1】特開平6−284869号公報
【特許文献2】特開平8−56580号公報
【特許文献3】特開平8−196218号公報
【特許文献4】登録実用新案第3036922号公報
【特許文献5】特開平10−86991号公報
【特許文献6】特開平10−59346号公報
【特許文献7】特開平4−356169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、蒟蒻の繊維質の有用性をそのまま生かして、滑らかで口どけが良く食べやすいゼリーの提供が望まれているが、従来、この要求に応えられるゼリー食品は提案されていない。本発明はこのような、蒟蒻粉を含むゼリー食品の現状に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明では、蒟蒻粉を含有するゼリー成分に油脂を加えたことを特徴とするものである。従来においては、本発明のように蒟蒻粉を主成分とするゼリー食品に適当量の油脂を加えて食感の改良をした提案はなされたことがないが、本発明者は、油脂を上手に用いることで、蒟蒻粉を含有するゼリー食品が滑らかで口どけの良い豆腐様食感になることを見出し本発明を完成した。即ち、本発明は、少なくとも蒟蒻粉0.02〜1.0重量歯、ゲル化剤及び糖類を含有し、さらに油脂分を0.5〜10.0重量%含有してなり、滑らかで口溶けの良い豆腐様食感を有することを特徴とするゼリー食品である。
【0008】
さらに、本発明者は、蒟蒻粉を含有するゼリーの製造の際、蒟蒻粉を他の主成分と一緒に混合する従来から普通に行われている方法では、異物のような塊が発生することを見出し、上記ゼリー食品を製造する際の前記の問題を解決しうる製造法もあわせて発明するに至った。即ち、本発明のゼリー食品の製造方法は、前記した本発明のゼリー食品を製造するに際し、ゼリーを構成する蒟蒻粉以外の成分を混合した溶液と、別に作成した蒟蒻粉の溶液とを混合することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のゼリー食品は、蒟蒻粉を使用しながら滑らかで口どけが良い豆腐様食感を有するものである。また、本発明のゼリー食品の製造方法によれば、蒟蒻粉を含有するゼリー食品の製造に際して、ゼリー溶液の調整時に異物のような塊が発生することがなくゼリー溶液中で蒟蒻粉を容易に均一混合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のゼリー食品は、少なくとも蒟蒻粉、ゲル化剤、油脂分及び糖類を含有している。
【0011】
本発明で用いる蒟蒻粉はゼリー食品に一般的に使用されるものである。蒟蒻いもの主成分はグルコマンナンであるが、このグルコマンナンは水を吸収すると膨張して容積が非常に大きくなり、粘度が高くなる。これにアルカリ(石灰乳)を加えて加熱した後に冷却するとゲル化し凝固して半透明の弾力のある固形物の蒟蒻になる。これを乾燥し粉末化したものが蒟蒻粉である。この蒟蒻粉の使用量は、ゼリー食品中に0.02〜1.0重量%、好ましくは0.05〜0.8重量%である。蒟蒻粉の量が前記の範囲より少ないとベースとなる蒟蒻食感は全く失われ、又、前記の範囲より多いと本発明でいう滑らかな口どけの良さは失われる。
【0012】
又、本発明で用いられるゲル化剤としては、通常ゼリーに使用されるものであって、液状から固形状態にするいわゆるゲル化作用を有するものであれば特に制限されず、例えばカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、ジェランガム、寒天、ゼラチン等の天然ガム類が例示できる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上の組み合わせで使用しても良い。ゲル化剤の量は使用されるゲル化剤の種類に応じて種々選択できるが、ゼリー食品中に0.05〜2.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%である。前記ゲル化剤の使用量は、本発明の目的とする滑らかで口どけの良い食感を確保するに好適な範囲である。ゲル化剤の量が前記の範囲より少ないとゲル化が進まずどろどろになり、また、前記の範囲より多いと硬くなり、口どけが悪くなり、滑らかな食感も得られ難い。
【0013】
さらに、本発明のゼリー食品は、上記蒟蒻粉及びゲル化剤に加えて、油脂分を含有することを特徴とする。本発明で用いる油脂としては、サラダ油、なたね油、パーム油等の植物性油脂や乳脂等の動物性油脂が使用できる。その量はゼリー食品中で0.5〜10.0重量%であり、好ましくは1.0〜5.0重量%である。油脂分の使用量を前記の範囲内とすることによって、本発明の目的とする滑らかで口どけの良い豆腐様食感のゼリー食品とすることが可能になる。
【0014】
上記蒟蒻粉、ゲル化剤、及び油脂分以外の成分としては、通常のゼリー食品に使用される糖類、果汁等であり、残りは水である。なお、甘味料、着色料、顔料、乳化剤、蛋白質、フレーバー、香辛料等を適量加えることは何らさしつかえない。さらに、ぶどう、みかん、びわ等の果実を加えることも可能である。
【0015】
また、本発明のゼリー食品の製造方法は、上記のような少なくとも蒟蒻粉、ゲル化剤、油脂分及び糖類を含有するゼリー食品を製造する方法であって、ゼリーを構成する蒟蒻粉以外の成分を混合した溶液と、別に作成した蒟蒻粉の溶液とを混合することを特徴とするものである。ここで、蒟蒻粉以外の成分を混合した溶液とは、天然ガム類等のゲル化剤、油脂分、糖類、果汁類、甘味料その他の添加剤等の混合溶液であり、例えば、天然ガム類等のゲル化剤と糖類、果汁類、甘味料等を混合し、加水して加熱溶解した溶液に、予め乳化安定させた乳化油脂(油脂分)を添加し、攪拌安定したものである。一方、蒟蒻粉の溶液とは、所定量の蒟蒻粉に加水して加熱溶解した溶液であり、この溶液に先に調製した前記ゲル化剤、油脂分等の混合溶液を混合し、さらに、必要に応じてクエン酸等の酸味料でPH調整を行い、ゼリー溶液を得る。このゼリー溶液を容器に充填し冷却するとゲル化して目的とする滑らかで口どけの良い豆腐様食感のゼリーが得られる。このように、蒟蒻粉を、ゲル化剤や油脂分その他の成分とは別に水に加熱溶解したうえで、他の成分の混合溶液と混合することで、異物のような塊の発生を防止できる。
【0016】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。なお、以下の実施例の記載中、「重量%」で示す各成分の量は、ゼリー食品中における使用量である。
【実施例1】
【0017】
カラギーナン0.2重量%、キサンタンガム0.17重量%、ローカストビーンガム0.07重量%、グアーガム0.07重量%と糖類20重量%(水飴、トレハロース)とを混合し、さらに、アセスルファムカリウムとステビアを重量比75:25で混合した甘味料を0.01重量%添加し、加水して加熱溶解した。この溶液に、なたね油、パーム油をO/W型に予め乳化安定させた乳化油脂を5.0重量%(油脂分として1.75重量%)添加し、攪拌安定した。これとは別に、蒟蒻粉0.4重量%に加水し加熱溶解しておき、先に調製した混合溶液と混和し、クエン酸0.3重量%でPH調整を行ってゼリー溶液を得た。このゼリー溶液を容器に充填し冷却によりゲル化させたところ、蒟蒻粉を使用した従来のゼリーとは全く異なる滑らかで口どけの良い豆腐様の食感を有するゼリーが得られた。
【実施例2】
【0018】
実施例1において調製したゼリー溶液に、アップル7倍濃縮果汁10重量%を加え、さらに香料を添加し、それ以外は実施例1と同様にしてゼリーを製造したところ、フルーツ味の豆腐様食感のゼリーが得られた。
【実施例3】
【0019】
実施例1において調製したゼリー溶液に、乳脂を含む発酵乳(乳脂含量0.2%)を5重量%加え、さらに香料を添加し、それ以外は実施例1と同様にしてゼリーを製造したところ、ヨーグルト味の豆腐様食感のゼリーが得られた。
【実施例4】
【0020】
実施例2と同様に調製したゼリー溶液に、乳脂を含む練乳(乳脂含量0.1%)を5重量%加え、それ以外は実施例2と同様にしてゼリーを製造したところ、フルーツミルク味の豆腐様食感のゼリーが得られた。
【実施例5】
【0021】
実施例3と同様に調製したゼリー溶液に、アップル7倍濃縮果汁10重量%を加え、それ以外は実施例3と同様にしてゼリーを製造したところ、フルーツヨーグルト味の豆腐様食感のゼリーが得られた。
【0022】
[比較例1、2]
油脂分(乳化油脂、発酵乳又は練乳)を使用しない以外は実施例4、5と同様にしてゼリーを製造し、比較例1、2とした。
【0023】
[実験]
実施例4、5で得られたゼリーと、比較例1、2で得られたゼリー及び一般に市販されている蒟蒻粉を含むゼリー(比較例3)について、それらの破断強度を山電製レオナー(RE―33005)を使用して測定した。測定検体数は各100検体で行い、その平均を求めた。その結果を表1に示す。
【0024】
【表1】


【0025】
上記の通り、油脂分を含有する実施例のゼリーと乳脂を含有しない比較例のゼリーとでは、いずれも蒟蒻粉を含有するゼリー食品であるにもかかわらず、最大破断強度に大きな差が見られ、本発明のゼリー食品は食感が滑らかで口どけが良いことがわかる。
【実施例6】
【0026】
実施例1に使用したゲル化剤の配合を以下のとおりに変更する以外は同様に調製したゼリー溶液を冷却しゲル化させることで、滑らかで口どけの良い豆腐様食感のゼリーが得られた。ゲル化剤の配合量は、カラギーナン0.20重量%、キサンタンガム0.12重量%、ローカストビーンガム0.10重量%、グアーガム0.05重量%、ジェランガム0.05重量%とした。
【0027】
[比較例4]
蒟蒻粉を水で溶解することなく粉のまま他の成分と一緒に混合した以外は実施例1と同様にしてゼリー溶液を調製したところ、異物のような塊が発生した。

【出願人】 【識別番号】390020178
【氏名又は名称】味覚糖株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区神崎町4番12号
【出願日】 平成16年10月29日(2004.10.29)
【代理人】 【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生

【公開番号】 特開2005−65703(P2005−65703A)
【公開日】 平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願番号】 特願2004−315686(P2004−315686)