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【発明の名称】 γ−アミノ酪酸含有組成物並びにその製造法
【発明者】 【氏名】戸枝 一喜

【氏名】渡辺 誠衛

【氏名】木村 貴一

【氏名】大友 理宣

【氏名】進藤 真人

【氏名】菊池 継夫

【氏名】京野 勉

【要約】 【課題】添加するグルタミン酸もしくはその塩の残存量が少なく、且つGABAを高濃度で含有する組成物並びにその製造法の提供。

【解決手段】発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものとグルタミン酸もしくはその塩を含む培地で乳酸菌、例えばラクトバチルスブレビスIFO12005株を培養し、必要に応じて固−液分離するγ-アミノ酪酸含有組成物の製造法、及び該γ-アミノ酪酸含有組成物。更にグルタミン酸を除く上記原料の少なくとも1種のものの加水混合液に酸を添加し、pH4.6以下とし、加熱殺菌後、グルタミン酸もしくはその塩を添加した培地で前記と同様に培養してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものとグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌の培養物を有するγ-アミノ酪酸含有組成物。
【請求項2】
乳酸菌がラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株である請求項1記載のγ-アミノ酪酸含有組成物。
【請求項3】
発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものとグルタミン酸もしくはその塩を含む培地で乳酸菌を培養し、必要に応じて固−液分離することを特徴とするγ-アミノ酪酸含有組成物の製造法。
【請求項4】
発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものの加水混合液に酸添加し、pH4.6以下とし、加熱殺菌後、グルタミン酸もしくはその塩を添加した培地で乳酸菌を培養し、必要に応じて固−液分離することを特徴とするγ−アミノ酪酸含有組成物の製造法。
【請求項5】
乳酸菌がラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株である請求項3又は4記載の製造法。
【請求項6】
請求項1又は2記載のγ-アミノ酪酸含有組成物を含有する飲食物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、γ-アミノ酪酸含有組成物並びにその製造法に関し、詳しくは発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものとグルタミン酸を含む培地でγ-アミノ酪酸(GABA)生産能が高い乳酸菌を培養して得られる、γ-アミノ酪酸を高濃度で含有する組成物とその製造法とに関する。
【背景技術】
【0002】
γ-アミノ酪酸(GABA)には、機能性食品の第三次機能として高血圧症の改善作用などがあることが知られている。GABAの生産法として、米胚芽(例えば、特許文献1参照)、茶葉(例えば、非特許文献1参照)を利用する方法などが報告されている。
一方、GABAの機能性を発揮するには、100mg/日程度の摂取が必要と言われている(例えば、非特許文献2参照)。
それ故、GABAの機能性を発揮させるには、食品素材にGABAを高濃度含有させることが重要である。高濃度GABAの高生産法としては、乳酸菌、麹菌、米胚芽(糠)の持つグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)を利用し、グルタミン酸ナトリウム(MSG)を添加することによりGABAを高生産(100mg/100g以上)できることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、MSGを高添加すると未反応のMSGも増加することが米胚芽(糠)で知られている。食品に利用する場合、MSGが多量に残存すると、その食品の持つ味に影響がでることが考えられる。一方GABAは殆ど味が無い。
以上のことから、MSGの残存量が少なく、且つGABAを高濃度で生産させる技術が求められている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−213252号公報
【特許文献2】特開平11−56276号公報
【非特許文献1】JARQ, 24、p105、1990
【非特許文献2】日本農芸化学会、2003年度大会、p53、2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、添加するグルタミン酸もしくはその塩の残存量が少なく、且つGABAを高濃度で含有する組成物並びにその製造法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、未反応のMSGを低減し、GABAを高含有させた食品素材を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものを原料として、これに乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を添加し、MSGを発酵させたところ、菌体生産とGABAの高生産を見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
即ち、請求項1に係る本発明は、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものとグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌の培養物を有するγ-アミノ酪酸含有組成物を提供するものである。
請求項2に係る発明は、乳酸菌がラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株である請求項1記載のγ-アミノ酪酸含有組成物を提供するものである。
請求項3に係る発明は、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものとグルタミン酸もしくはその塩を含む培地で乳酸菌を培養し、必要に応じて固−液分離することを特徴とするγ-アミノ酪酸含有組成物の製造法を提供するものである。
請求項4に係る発明は、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものの加水混合液に酸添加し、pH4.6以下とし、加熱殺菌後、グルタミン酸もしくはその塩を添加した培地で乳酸菌を培養し、必要に応じて固−液分離することを特徴とするγ−アミノ酪酸含有組成物の製造法を提供するものである。
請求項5に係る発明は、乳酸菌がラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株である請求項3又は4記載の製造法を提供するものである。
請求項6に係る発明は、請求項1又は2記載のγ-アミノ酪酸含有組成物を含有する飲食物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものを唯一の栄養源として乳酸菌、例えばラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の増殖を促すと共に、添加したグルタミン酸もしくはその塩を効率的にGABAへ変換し、GABAを高含有した組成物並びにその製造法が提供される。
【0009】
即ち、本発明によれば、発芽玄米、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものを唯一栄養源としてGABA生産乳酸菌を増殖させることが可能である。その結果、GABAを高収率で得ることができる。培養終了時の培養液は、そのまま乳酸発酵のための種培養としても充分に使用可能である。即ち、糠漬け、ナタ漬けなどの漬物、ハタハタずし等の乳酸発酵を用いる食品製造の種培養液として利用できる。その乳酸発酵時にグルタミン酸もしくはその塩を加えることにより、GABAを高含有させた発酵食品の製造が可能になる。本発明の方法は、乳酸菌のグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)を利用することから、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものを滅菌することが出来るために、雑菌による汚染は心配無い。
【0010】
また、本発明によれば、添加するグルタミン酸もしくはその塩の残存量を低減したGABA高含有の発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のもの、或いは添加するグルタミン酸もしくはその塩の残存量を低減したGABA高含有水を提供することができる。
GABA高含有の発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものを製造する場合には、例えば、実施例2のように加水量を減らすことにより、GABA生産効率を維持したまま製造することができる。含水量が少ないので、GABA高含有の発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものの生産のための乾燥コストの低減を図ることができる。GABA高含有水は、清涼飲料、雑酒、スープなどあらゆる食品に利用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を詳しく説明する。
請求項1に係る本発明は、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものとグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌、具体的には例えば請求項2に記載したように、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養物を有するγ-アミノ酪酸含有組成物である。
このような請求項1、2に係る本発明のγ-アミノ酪酸含有組成物は、請求項3に係る本発明の製造法により好適に製造されるので、以下、この請求項3に係る本発明の製造法を参照しながら、請求項1、2に係る本発明のγ-アミノ酪酸含有組成物について説明する。
【0012】
請求項3に係る本発明は、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものと、グルタミン酸もしくはその塩を含む培地で、乳酸菌、具体的には例えば請求項5に記載したように、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を培養し、必要に応じて固−液分離することを特徴とするγ-アミノ酪酸含有組成物の製造法である。
【0013】
本発明において培地に用いる発芽玄米糠としては、どの様な発芽玄米の糠でも良い。米糠も同様である。但し、精米後、時間が経過すると米糠臭の発生、微生物の増加が懸念されるので、使用までは冷蔵保管が好ましい。
米糠は、細かくいうと、米の一番外側の部分から、米の芯に向かって順に、赤糠、中糠、白糠に区分され、本発明ではいずれも用いることができ、勿論全体としての米糠を用いることができる。
また、本発明においては、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮も培地として用いることができる。
ここで脱脂米糠は、前記した米糠を常法により脱脂したものである。
本発明においては、上記した発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた1種のものを単独で、或いはこれらを2種以上併用することができる。
本発明においては、少なくとも発芽玄米糠を用いることが好ましいことから、特に発芽玄米糠単独、又は発芽玄米糠と米糠の混合物が好ましい。
それ以外の米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮、竹小豆種皮を培地として用いる場合では、酵母エキスを添加することが好ましい。
【0014】
次に、本発明においては、培地にさらにグルタミン酸もしくはその塩を用いる。グルタミン酸の塩としては、具体的にはナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
本発明における培地は、上記した発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものとグルタミン酸もしくはその塩を含む培地であればよく、さらに通常、水を含むものである。この他、必要に応じて培地として米糖化液、甘酒、麹エキス等を用いることもできる。
【0015】
また、使用する乳酸菌としては、GABA生産乳酸菌であればどのような菌でも用いることができるが、請求項5に記載したように、GABA生産乳酸菌の中でも特にラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株が好適に用いられる。
このラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を用いることによって、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のもののみを栄養源とすることにより、添加するグルタミン酸もしくはその塩をGABAに変換すると共に、菌体生産が可能である。
発芽玄米糠では乳酸菌が10の8乗オーダーまで増殖可能であり、種培養用の培地としても充分な菌体量である。
【0016】
請求項1に係る本発明のγ-アミノ酪酸含有組成物は、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものとグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌、具体的には例えば請求項2に記載したように、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養物を有するものである。
添加するグルタミン酸もしくはその塩、特にグルタミン酸ナトリウム(MSG)を効率よくGABAに変換するには、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものに対し、重量で0.1〜30%、好ましくは1〜20%のグルタミン酸もしくはその塩、特にMSGを加え、水を発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものの0.5〜20倍、好ましくは2〜8倍重量加え、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を接種し、培養することが望ましい。
【0017】
このときの培養は静置が望ましく、培養温度は1〜40℃、好ましくは3〜35℃であり、培養時間は1日〜30日、好ましくは2日から14日である。
具体的には例えば、発芽玄米糠5g、MSG 0.5g、水40mlの混合液を121℃で15分間オートクレーブ滅菌後、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を接種し、30℃で7日間培養することにより、固形分中のGABA含有量は4.22%に達する。
【0018】
このように発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものとグルタミン酸もしくはその塩を含む培地で乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を培養することにより、目的とするγ-アミノ酪酸(GABA)含有組成物が得られる。
培養後、必要に応じて固−液分離することにより、GABA含有組成物と共にGABA高含有水が得られる。固−液分離は、ろ紙、活性炭、ゼオライトなどにより行うことができる。
また、培養液の濾過性を向上させるために、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼなどの多糖分解酵素、蛋白分解酵素、脂質分解酵素を培養前又は培養終了後に用いることができる。培養前に、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものに、多糖分解酵素、蛋白分解酵素及び脂質分解酵素のうちの少なくとも1種を作用させることにより、糖、アミノ酸、有機酸を乳酸菌の栄養源として富化することもできる。
【0019】
なお、請求項4に記載したように、培養に先立ち、発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものの加水混合液に酸添加し、pH4.6以下としておくことにより、常圧下での加熱殺菌が可能となる。このとき加える酸としては鉱酸でも有機酸でも良い。好ましくはクエン酸、乳酸等の不揮発性の有機酸が望ましい。
このように発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものの加水混合液、つまり発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮よりなる群から選ばれた少なくとも1種のもの、水の混合液に、乳酸などの酸を加え、pHを4.6以下に調整することにより、常圧、100℃以下の加熱条件で殺菌できる。この結果、加圧滅菌装置が不要となる。なお、このとき、添加するグルタミン酸もしくはその塩は別途滅菌処理したものを用いるとよい。
【0020】
具体的には、殺菌、冷却後、MSGを糠重量に対し0.1〜20%を加え、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を接種し、30℃で7日間培養することにより、固形分中のGABA含有量は発芽玄米糠試験区で6.19〜7.02%、米糠試験区で6.27〜7.12%となった。特にMSGの変換率を95%以上にするにはMSGの添加量は20%以下が良い。
【0021】
さらに、請求項6に記載したように、請求項1又は2記載のγ-アミノ酪酸含有組成物を含有する飲食物が提供される。
そのような飲食物としては特に制限されないが、具体的には例えばGABA水では実施例6の様な雑酒、カクテル及び栄養強化飲料、清涼飲料等が挙げられる。また、GABAを含有する発芽玄米糠、米糠、米、脱脂米糠、ふすま、大豆種皮、小豆種皮及び竹小豆種皮では、小麦粉、米粉等を用いるそば、うどん、クッキー、パン等が挙げられる。これらの飲食物に部分の全量又は部分置き換えすることが可能であり、GABAを高濃度に付加した飲食物が製造可能となる。
【0022】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
(1)培養
発芽玄米糠(85%精米)又は米糠(あきたこまち)5g、水40gを100ml三角フラスコに採り、加温しながら均一に分散させ、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。放冷後、別途殺菌した所定濃度のMSG(L−グルタミン酸モノナトリウム一水和物)1mlを加えた(なお、MSGは糠重量に対し、それぞれ1,2,5,8,10%添加した。)。MRS培地にて前培養したラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養液0.8ml(培養3日OD660=6.19)を接種し、シリコセンをセットして、30℃で1週間静置培養した。
発酵液をTCA処理により除タンパクした上澄液中のGABAをアミノ酸分析計により定量した。発酵液中の乳酸菌数はBCP加寒天培地を用いた混釈法で計数した。その結果を、表1に示した。
【0024】
その結果、発芽玄米糠及び米糠共に、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を添加することにより、菌の増殖が認められた。米糠区では107CFU/mlのオーダー、発芽玄米糠区では108CFU/mlのオーダーとなり、発芽玄米糠の方が米糠区に比べ菌の増殖が良好であった。
以上の結果から、発芽玄米糠及び米糠共にラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の種培養として有望であることが示唆された。
【0025】
(2)GABA生成
次に、GABAの生成量を調べた結果を表2に示した。
その結果、発芽玄米糠及び米糠共に、MSG5%添加までの区において、原料のMSG(但し、グルタミン酸(Glu)として)が検出できなかったことから、MSG5%までは全てGABAに変換されたものと考えられる。MSG5%を超える添加区では発芽玄米糠及び米糠共に未反応のMSG(但し、グルタミン酸として)が増加した。その傾向は米糠区で強く、米糠MSG10%区ではGABA重量の43%に達した。しかし、発芽玄米糠MSG10%区では26%と著しく減少し、GABAの生成濃度も全試験区で最大となり、0.53%と高濃度となった。
発芽玄米糠でMSG高濃度添加区においてGABA生成が良好になった原因としては、発芽玄米糠の方が菌の生成が良好であったことと、発芽玄米糠培養液のpH(6.5-6.6)が米糠培養液のpH(7.5-7.6)よりも低かったことが、至適pHが4.2(Y.Ueno:Biosci. Biotech. Biochem., vol.61, 1168-1171, 1997)であるGADにとって有利になったものと考えられる。
【0026】
【表1】


【0027】
【表2】


【実施例2】
【0028】
発芽玄米糠(85%精米)5g、所定量の水を100ml三角フラスコに採り、加温しながら均一に分散させ、121℃で15分オートクレーブ滅菌した。放冷後、別途殺菌したMSG 1mlを加えた(なお、MSGは糠重量に対し8%添加した。)。前培養したラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養液0.8mlを接種し、シリコセンをセットして30℃で1週間静置培養した。発芽玄米糠に対する水の割合を2倍(10ml)から、3倍、4倍、5倍と増やし、培養液中の発芽玄米糠濃度のGABA濃度に対する影響を調べた。対照区には、水の割合を実施例1と同様に8倍加えた。結果を表3に示した。
【0029】
その結果、混合液中のGABA含有量(w/v%)は2倍量の加水区で1.49%と高濃度であった。加水割合が増加するに従い、混合液中のGABA含有量は減少した。しかし、発芽玄米糠重量に対するGABA含有量は3.72〜4.22(w/w%)とほぼ一定であった。また、全ての試験区で未反応のMSGは僅かであった。加水割合を減少させてもGABAの生成量が余り変化しないため、混合液の乾燥によりGABA含有発芽玄米糠を調製することができ、食品素材化するのに都合が良いことが分かる。
【0030】
【表3】


【実施例3】
【0031】
発芽玄米糠(80%精米)35kg、水280Lをステンレス製密閉タンクに投入し、滅菌した。その後、25℃まで冷却し、MSG 3kgを加えた。次に、発芽玄米糠培地で前培養したラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株培養液16Lを接種した。均一に撹拌後、30℃にて1週間静置培養した。培養液を加熱殺菌後、ろ過を行い、ろ過液250Lを得た。ろ過液を活性炭及びセライトによりろ過を行い、無色、無臭の0.79%GABA含有水240Lを得た。一方、ろ過残渣(71.9%)を温風乾燥し、1.27%のGABA含有発芽玄米糠25kgを得た。
【実施例4】
【0032】
米糠(あきたこまち90%精米)15kg、水60Lをステンレス製密閉タンクに投入し、滅菌した。その後、25℃まで冷却し、MSG 1.28kgを加えた。次に、発芽玄米糠培地で前培養したラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株培養液8Lを接種した。均一に撹拌後、30℃にて1週間静置培養した。培養液を加熱殺菌後、ろ過を行い、ろ過液49Lを得た。ろ過液を活性炭及びセライトによりろ過を行い、無色、無臭の1.19%GABA含有水を得た。一方、ろ過残渣25kg(水分69%)を温風乾燥し、1.71%のGABA含有米糠11kgを得た。
【実施例5】
【0033】
発芽玄米糠及び米糠(あきたこまち90%精米)5g、水19.75mlに50%(v/v)乳酸0.25mlを加え、混合液のpHを4.0〜4.5に調製後、100℃で60分加熱滅菌した。別途滅菌したMSG(0.5、1.0g)を含む水溶液20ml加えた。次に、発芽玄米糠培地の培養液を加え、30℃で静置培養した。培養7日後の生成した発芽玄米糠におけるGABA量(乳酸酸性加熱滅菌処理の発芽玄米糠によるGABA生成量)を表4に示した。
その結果、発芽玄米糠に対し、10%(0.5g)MSG添加区では、混合液中のGABA濃度が0.825%となった。このときのMSGからGABAへの変換率は95%以上であり、GABAの固形分濃度は6.19%に達した。
【0034】
また、培養7日後の生成した米糠におけるGABA量(乳酸酸性加熱滅菌処理の玄米糠によるGABA生成量)を表5に示した。
その結果、米糠に対し10%(0.5g)のMSG添加区でも混合液中のGABA濃度が0.836%となった。このときのMSGからGABAへの変換率は95%以上であった。GABAの固形分濃度は6.27%に達した。この様なMSGの高濃度添加においてもGABAへの高変換率を維持できた原因としては、乳酸酸性(pH4.1〜4.5)で加熱滅菌することにより、糠からグルコース(米糠培地中濃度0.56mg/ml、発芽玄米糠培地中濃度1.64mg/ml)、フラクトース(米糠培地中濃度0.55mg/ml、発芽玄米糠培地中濃度1.57mg/ml)などの単糖が生成し、乳酸菌の栄養源に加算されたものと考えられる。また、乳酸添加及び単糖から乳酸によって生成された乳酸により、MSG添加後も培地のpHが4.8〜5.5に調整された結果、GABA生成に伴う培地のpH上昇が抑えられ、至適pHが4.2であるGADにとって好都合になったものと考えられる。また、pHを4.6以下に調整したことにより、常圧による煮沸による滅菌が可能となり、本法では加圧滅菌装置が必要では無くなった。
【0035】
【表4】


【0036】
【表5】


【実施例6】
【0037】
従来の清酒の製造は、仕込時に麹、米、水の全材料を混合し、酵母を添加し、低温で発酵させて製造している。本実施例では、80%精米した発芽玄米を原材料の米として使用し、麹は従来のものを使用した。もろみ発酵日数は20日で圧搾し、清酒とした。成分値は、日本酒度−38.5、アルコール19.6、酸度5.0、アミノ酸度0.7、直糖分1.13となった。
この清酒に、実施例3で調製した0.79%GABA含有水を添加し、発芽玄米酒とした。成分値は、日本酒度−37.0、アルコール14.8、酸度4.1、アミノ酸度1.4、直糖分2.62、GABA含有量85.9mg/100gという結果であった。
得られた発芽玄米酒について官能試験を行った結果、酸味と甘味のバランスがあり、従来の日本酒とは違ったワイン風なライスワインであった。アルコール分が低く、香りもフルーティーなことから、非常に飲み易かった。また、米糠由来の香りも無く、GABA含有量も85.9mg/100gと非常に高いことから、商品化への期待が持てる。
【実施例7】
【0038】
米10g、酵母エキス(酵味)0.2g、水10gを100ml三角フラスコに採り、121℃で20分オートクレーブ滅菌した。試験区としては、米の10%又は50%を赤糠に置き換えた赤区(赤区1と赤区2)も設けた。放冷後、別途殺菌したMSG 水溶液2ml(MSGとして0.3g)を加えた(MSGは糠重量に対し3 %)。前培養したラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養液0.4 mlを接種し、シリコセンをセットして30℃で1週間静置培養した。結果を表6に示した。米のみの試験区でもGABAが生産可能であり、MSGの58%がGABAに変換された。更に赤糠を10%添加することによりGABA生産量が顕著に増加し、MSGの77%がGABAに変換された。
【0039】
【表6】


【実施例8】
【0040】
栄養源(脱脂米糠、大豆種皮、小豆種皮、竹小豆種皮、ふすまをそれぞれ)20g、水150 gを100 ml三角フラスコに採り、加温しながら均一に分散させ、121℃で20分オートクレーブ滅菌した。放冷後、別途殺菌したMSG 水溶液9 ml(MSGとして1.8 g)を加えた(MSGは糠重量に対し9 %)。前培養したラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養液0.8 mlを接種し、シリコセンをセットして30℃で1週間静置培養した。対照区には菌液の代わりに滅菌水0.8mlを加えた。結果を表7に示した。供試した栄養源としては、ふすま、脱脂米糠、大豆種皮が良好であった。特にふすまでは、添加したMSGの94%がGABAに変換された。竹小豆種皮、小豆種皮を用いても生産量は若干劣るもののGABA生産できた。
なお、竹小豆種皮、小豆種皮、大豆種皮に関しては、培養時に酵母エキスを0.4g添加すると、実施例7と同様にGABAの生産が著しく増加し、それぞれMSGの86.9%、69.2%、98.2%がGABAに変換された。
【0041】
【表7】


【実施例9】
【0042】
強力粉(カメリア)280g、砂糖16.8g、食塩5.6g、スキムミルク5g、マーガリン20g、水190g(GABA水添加区のGABA添加量は230mgであり、GABA水としては実施例4のものを使用した。)、酵母(白神こだま酵母生8.4g又はSAFドライ酵母1.2g)を自動ホームベーカリーHBS 403(エムケー精工製)に仕込み、パンを製造した。その結果を表8に示した。焼成後のパンの比容積は、GABA水+白神こだま酵母区及びGABA水+SAFドライイースト区において、対照区と同様に発酵は十分に進んだ。また、官能的にもGABA水添加区は問題ないことが判明した。一方、焼成後のGABA水+白神こだま酵母区及びGABA水+SAFドライイースト区のGABA重量は、それぞれ167.3mg及び187.5mgであり、添加したGABA量のそれぞれ73%、82%残存した。以上の結果から、GABA水はパン製造に十分利用できることが分かった。
【0043】
【表8】


【実施例10】
【0044】
強力粉200g、そば粉200g、水150g(GABA水添加区のGABA添加量は192mgであり、GABA水としては実施例4のものを使用した。)を製麺機IPM-500(泉精器製作所製)で捏ねた後、麺を作成した。生麺を3分茹でた後に、茹で麺及び茹で液中のGABA量を測定した。その結果を表9に示した。その結果、茹で麺中のGABAは11.46mgであり、生麺の56.4%が残存した。茹で液中には47.2%のGABAが出た。官能的にもGABA水を添加しても対照区と変わりは無かった。
【0045】
【表9】


【実施例11】
【0046】
市販の濃縮7倍の比内鳥スープ190g、実施例4で得られたGABA水10g(GABA濃度9.83mg/ml)を混和し、アルミパウチに入れ、レトルト条件(120℃、10分)に加熱滅菌した。滅菌前後でのGABAの濃度を測定した。滅菌前のスープ中のGABA濃度は0.55mg/mlであり、滅菌後の濃度は0.54mg/mlであった。このことから、GABA水はスープのレトルト条件による加熱滅菌においても殆ど分解が起こらないことが分かった。
【実施例12】
【0047】
実施例4で得られた1.71%のGABA含有米糠500g、水680g、塩120gを良く混和し、糠床を調製した。これに1本110g程度のキュウリを2本一夜漬け込みした。漬け込みを終えたキュウリの糠を水洗い後、キュウリ中のGABA量を測定した。その結果、キュウリ100g当たり45mgのGABAが含まれていた。官能的にも従来の糠床を用いて製造した糠漬けキュウリと変わりは無かった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、糠漬け、ナタ漬けなどの漬物、ハタハタずし等の乳酸発酵を用いる食品製造分野や清涼飲料、雑酒、スープなどの飲料製造分野などにおいて幅広く利用することができる。
【出願人】 【識別番号】591108178
【氏名又は名称】秋田県
【識別番号】397066856
【氏名又は名称】秋田銘醸株式会社
【出願日】 平成16年8月3日(2004.8.3)
【代理人】 【識別番号】100074077
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 藤郎

【識別番号】100086221
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 裕也

【公開番号】 特開2005−65691(P2005−65691A)
【公開日】 平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願番号】 特願2004−226423(P2004−226423)