| 【発明の名称】 |
含気性食肉製品およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡惠 賢
【氏名】高橋 征志
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| 【要約】 |
【課題】ソフトでふわっとした食感を有する低カロリーで冷めても固くなりにくい含気性食肉製品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ソーセージ生地に対して25重量%以下の脂肪、増粘剤および卵白を添加し、かつ複数回に分けて25〜50重量%の加水を行って撹拌混合し、脱気を行わずに充填、成形および加熱して製造する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ソーセージ生地に対して25〜50重量%の加水と25重量%以下の脂肪と増粘剤と卵白を含む原材料を添加して撹拌混合し、脱気を行わずに充填、成形、加熱して得られることを特徴とする含気性食肉製品。 【請求項2】 増粘剤は、キタンサンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム、カルボキシメチルセルロースからなる増粘性多糖類から選択される少なくとも1種類をソーセージ生地に対して0.01〜2.5重量%使用することを特徴とする請求項1に記載の含気性食肉製品。 【請求項3】 ソーセージ生地に対して25〜50重量%の加水と25重量%以下の脂肪と増粘剤と卵白を含む原材料を添加し、上記ソーセージ生地と添加原材料がムース状になるまでカッティングすることによりソーセージ生地と添加原材料を撹拌混合し、カッティング終了後は脱気を行わずに充填、成形、加熱することを特徴とする含気性食肉製品の製造方法。 【請求項4】 加水をカッティング開始前、脂肪と増粘剤添加後のカッティング時および卵白添加後のカッティング時の複数回に分けて行うことを特徴とする請求項3に記載の含気性食肉製品の製造方法。 【請求項5】 カッティングを1〜20℃で、合計6〜10分間行うことを特徴とする請求項3または4に記載の含気性食肉製品の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、健康食品として利用される低カロリーで、ソフトな食感を有する含気性食肉製品およびその製造方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、ソーセージ等の食肉製品は肉の弾力を出し、保存性を向上させるため、製造工程において練り肉を脱気して気泡を取り除いていた。しかし、近年ではソフトな食感を持つ製品が、特に子供を中心として好まれる傾向があり、こうした消費者の要望を満たすための手段として食肉製品中に気泡を含ませる技術が知られている。気泡を含んだ食肉製品は、はんぺんのようにフワフワとしたソフトな食感を得ることができる。 【0003】 食肉に通常の植物タンパク素材を混合させただけでは気泡の保持力が弱いため、この点を改善した食肉製品として、ソーセージ生地に加水分解した大豆タンパク質を添加して気泡の安定性を向上させるようにした食肉製品の製造方法が特許文献1に開示されており、また、細砕した食肉に植物性タンパク質の酵素分解物と増粘多糖類を添加して気泡を均一に含有させるようにした多孔性食肉製品およびその製造方法が特許文献2に開示されている。 【0004】 一方、食肉製品では単にフワフワとしたソフトな食感だけではなく、ある程度の弾力、歯ごたえまたはこしも要求される。この点を改善するために気泡を含有するソーセージ生地に塩漬け肉、チーズ、ベーコン、ジャガイモ等の種物を添加するエア入りソーセージが特許文献3に開示されている。また、通常のソーセージ生地より脂肪の量を減らし、加水量を増やし、脂肪酸エステル類と増粘性の気泡安定化剤を添加して強制的に空気を送り込み、撹拌混合、成形、加熱し、低カロリーでありながら弾力性に優れた含気性食肉製品およびその製造方法が特許文献4に開示されている。 【0005】 さらに、ソーセージ生地に山芋粉等を添加したソフトな食感を有する食肉製品が国内で市販されており、欧米では脂肪分を高配合した細挽きタイプのソーセージでソフトな食感のものが市販されている。 【特許文献1】特許第1853277号公報 【特許文献2】特開平4−190766号公報 【特許文献3】特開平2−219562号公報 【特許文献4】特開平9−207号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、特許文献1および2に開示される食肉製品では弾力性や歯ごたえの点で問題があり、特許文献3に開示されるソーセージでは種物の添加によって主原料である食肉の風味が大きく影響を受けるという点で問題がある。また、特許文献4に開示される食肉製品では脂肪分を少なくしているため低カロリーではあるが、脂肪に由来する肉の旨味に欠けるという点でなお問題がある。さらに、山芋粉等を添加した食肉製品は、ソフトではあるが弾力不足という欠点があり、脂肪分を高配合したソーセージは冷めた状態では固くなり、カロリーも高いという欠点がある。高脂肪・高カロリーの食肉製品は近年の健康志向・ダイエット志向の面からも敬遠されつつある。 【0007】 本発明は、従来の含気性食肉製品の欠点を克服し、ソフトでふわっとした食感を有する低カロリーで冷めても固くなりにくい含気性食肉製品およびその製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記課題を解決するため、本発明は、ソーセージ生地に対して25〜50重量%の加水と25重量%以下の脂肪と増粘剤と卵白を含む原材料を添加して撹拌混合し、脱気を行わずに充填、成形、加熱することを特徴とする含気性食肉製品およびその製造方法に関するものである。 【発明の効果】 【0009】 本発明は、通常の食肉製品よりも約2倍加水量を多くすることにより製品にしっとり感とソフト感を持たせ、さらに増粘剤と卵白を添加して、カッティング時間も通常の食肉製品よりも約2倍長くすることによりソーセージ生地に細かい気泡を発生させ、それを安定的に保持することを可能とする。また、本発明は、製造工程において脱気を行わずに充填、成形、加熱するためにソーセージ生地中に発生させた細かい気泡を保持したままの食肉製品を製造することを可能とする。細かい気泡を多く含むことにより食肉製品はソフトでふわっとした食感を有する。 【0010】 本発明の食肉製品は、通常の食肉製品と同様に、ソーセージ生地に対して25重量%以下の脂肪分を含有するため、脂肪由来の旨味を欠かない。また、細かい気泡を多く含むため、冷めても固くなりにくい。さらに、カッティングにより充分に肉の弾力を引き出し、さらに卵白を加えることで細かい気泡を多く含むにもかかわらず「食べ応え」をも有し、通常の食肉製品よりも低カロリーな食肉製品でもある。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 本発明の製造方法は、まず食肉、水、発色剤、食塩等からなるソーセージ生地を高速カッター(3000〜5000rpm)を用いてカッティングすることにより撹拌混合し、ソーセージエマルジョンを得る。次いで、増粘剤、調味料、脂肪、水等を添加しカッティングを続ける。さらに卵白を加えてカッティングを続けることによりソーセージエマルジョンに細かい気泡を多く含ませる。最後に水を添加してソーセージエマルジョンがもったりとするまで(ムース状になるまで)カッティングを行う。カッティング終了後、脱気を行うことなく充填機に投入し、以後は通常の食肉製品と同様に充填、形成、加熱することにより、本発明の食肉製品を製造する。すなわち、本発明においては、通常の食肉製品の製造装置以外に特別な装置を必要としない。 【0012】 本発明の食肉製品の製造に使用する原料肉は、豚肉、牛肉、鶏肉、羊肉、家兎肉等でその品種または部位を問わないが、牛や豚のもも肉等が好ましい。 【0013】 増粘剤は、キタンサンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム、カルボキシメチルセルロースからなる増粘性多糖類から選択された少なくとも1種類をソーセージ生地に対して0.01〜2.5重量%使用する。この場合、0.01重量%未満では乳化性および気泡の安定性に欠け、消泡しやすいものとなる。一方、2.5重量%を超えるとぬめり感や特異な匂いが現れ、食肉製品の風味を損ねるおそれがある。 【0014】 脂肪は、豚脂、牛脂等通常の食肉製品に添加されるものを使用する。本発明の食肉製品は、添加する脂肪を通常の食肉製品と比較して減量することは必要としない。ただし、気泡の安定性を損なうために脂肪添加量は、ソーセージ生地に対して25重量%以下とするのが好ましい。一方、脂肪添加量を減量すればより低カロリーの食肉製品となるが、減量しすぎると食肉製品の食味が悪くなってしまう。食味と気泡の安定性の双方を考慮すると、添加脂肪は好ましくはソーセージ生地に対して10〜25重量%である。 【0015】 本発明の食肉製品は、通常の食肉製品の加水量(約12〜25重量%)の約2倍の加水量であるが、これは食肉製品にしっとりとした食感を与えると共に、ソーセージエマルジョンをカッティングして気泡を含ませ易くするためである。加水量が少ないとしっとり感が少なく、気泡を充分に含ませることができない。特に、加水量がソーセージ生地に対して25重量%未満ではソフト感が失われ、通常の食肉製品との差異が認められなくなる。一方、加水量が多すぎると食肉製品の食感が悪くなり、製造工程においてはソーセージエマルジョン中で水分が分離しやすくなる。特に、加水量がソーセージ生地に対して50重量%を超えると食肉製品の弾力が失われ、水っぽくなり食肉製品としての態をなさない食感となる。このため、本発明の食肉製品における加水量はソーセージ生地に対し、好ましくは25〜50重量%である。 【0016】 なお、ソーセージエマルジョンへの加水は、複数回に分けて行うことが好ましい。本発明は、通常の食肉製品の製造方法よりも長時間カッティングを行うため、最初から全量を加水してカッティングすると、ソーセージエマルジョンをカッティングに適当な温度(1〜20℃)に保つことが困難となるためである。そこで、ソーセージエマルジョンへの加水は、カッティング開始時、増粘剤添加後および卵白添加後の3回に等量ずつ加えることによりカッティング時のソーセージエマルジョンの温度を1〜20℃に保ち、かつ長時間カッティングすることができる。 【0017】 また、本発明の食肉製品の製造方法は、ソーセージエマルジョンに卵白を添加することを特徴とする。本発明の食肉製品の製造方法においては食肉、水と食塩等をカッティングし、さらに増粘剤も添加してカッティングを行った後、卵白を添加する。これは卵白を添加することにより細かい気泡をソーセージエマルジョンに含ませムース状にするためである。発生した細かい気泡は増粘剤の働きと相まって製造工程中安定して存在しており、消滅しない。 【0018】 さらに、本発明の食肉製品の製造方法は、通常の食肉製品の製造方法のカッティング時間(約3〜5分間)と比較してカッティング時間が約2倍長いことを特徴とする。これはソーセージ生地に充分に気泡を含ませるためである。そこで、カッティング時間は合計6分間以上とすることが好ましい。一方、カッティング時間が長すぎるとソーセージエマルジョンの温度が上昇し、脂肪がラード状に溶けるという不都合を生じる。そこで、カッティング時間は、合計10分間以下とすることが好ましい。特に、全ての原料を添加した後のカッティングは、ソーセージ生地がもったりとなるまで行う必要があり、ソーセージ生地の状態を確認しつつ時間調整することが好ましい。 【0019】 カッティング時のソーセージエマルジョンの温度は、1℃以下では脂肪の溶解が不十分で生地が乳化せず、一方、20℃を超えると脂肪がラード状に溶けてしまい、食肉のタンパク質で包含できなくなるため、やはり生地が乳化しなくなる。このため、ソーセー生地のカッティングは、1〜20℃の温度範囲内で行うことが好ましい。 【0020】 本発明の食肉製品の製造方法は、カッティング終了後、細かい気泡を多く含んだソーセージ生地を、脱気することなく充填機に投入し、充填、成形および加熱(約80℃)することも特徴とする。これはソーセージ生地中の気泡を維持するためであり、脱気を行わないことにより最終製品にまで細かい気泡が残存し、本発明の食肉製品にソフトでふわっとした食感を与えることが可能となる。 【実施例】 【0021】 次に、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り下記の実施例に限定されるものではない。 【0022】 表1に実施例および比較例であるウインナーの原材料組成、合計カッティング時間およびカッティング終了後の脱気の有無を示す。なお、表1において、原材料組成および合計カッティング時間の単位は、それぞれ重量部および分である。 【0023】 【表1】
実施例 約3mm角に細断した新鮮な豚肉(ミンチ肉)50重量部、氷水10重量部、亜硝酸ナトリウム0.02重量部、アスコルビン酸0.1重量部、食塩1.5重量部、および重合リン酸塩0.3重量部をこの順番で高速カッターに投入し、2分間4000rpmでカッティングした。次に、増粘剤1.5重量部、調味料(砂糖、グルタミン酸ナトリウム、香辛料等)2重量部、ソルビン酸0.1重量部、豚脂15重量部および氷水10重量部を高速カッターに投入し、1分間4000rpmでカッティングした。その後、高速カッターを4000rpmで駆動させながら卵白5重量部を投入し、1分間カッティングした。更に、高速カッターを4000rpmで駆動させながら氷水10重量部を投入し、生地がもったりとするまで3分間4000rpmでカッティングした。カッティング時間は合計8分であった。 【0024】 カッティング終了後、脱気を行わずに充填機を経てソーセージエマルジョンをケーシングに充填し、以後は通常のウインナーと同じく充填、成形、加熱工程(約80℃)を実施して最終製品である本発明の食肉製品であるウインナーを製造した。 比較例1 豚肉を75重量部、脂肪無添加、加水を全部で15重量部、卵白を10重量部、山芋粉1重量部、増粘剤無添加とした以外は実施例と同じ原材料組成およびカッティング時間とし、カッティング終了後に脱気を行わず、実施例と同じ条件でウインナーを製造した。 比較例2 炭酸水素ナトリウムを膨張剤として0.5重量部添加した以外は比較例1と同じ原材料組成およびカッティング時間とし、カッティング終了後に脱気を行わず、実施例と同じ条件でウインナーを製造した。 比較例3 豚肉を55重量部、脂肪20重量部とした以外は比較例1と同じ原材料組成およびカッティング時間とし、カッティング終了後に脱気を行わず、実施例と同じ条件でウインナーを製造した。 比較例4 豚肉を45重量部、脂肪20重量部、加水を全部で35重量部、卵白無添加、増粘剤無添加とした以外は実施例と同じ原材料組成およびカッティング時間とし、カッティング終了後に脱気を行わず、実施例と同じ条件でウインナーを製造した。 比較例5 実施例と同じ原材料組成とし、カッティング時間を合計4分とし、カッティング終了後に脱気を行わず、実施例と同じ条件でウインナーを製造した。 比較例6 実施例と同じ原材料組成およびカッティング時間とし、カッティング終了後に通常のウインナーの製造方法と同様、気泡がほとんどなくなるまで脱気を行いつつ充填機に投入し、以後は実施例と同じ条件でウインナーを製造した。 【0025】 実施例のウインナーは、食感がソフトで、ふわっと感があり、かつ適度な弾力があった。生地の状態も良好で、冷めても柔らかさが損なわれなかった。また、脂肪由来の旨味も有しており、「食べ応え」もあった。さらに、この実施例のウインナーは水分含量が多く、通常のウインナーと比較して脂肪分が少ないため、日本食品標準成分表(五訂版)に掲げられるフランクフルトソーセージと比較して約30%カロリーをカットできた。 【0026】 これに対して、加水量が通常で、卵白と山芋粉を使用した比較例1は、肉の弾力が弱く、また空気の含有量も少ない為ふわっとした食感が出なかった。 【0027】 比較例1に膨張剤を添加した比較例2は、加熱後、膨張剤によって空気が含有され比較的ふわっとした食感になったが、冷却後の空気の収縮によって製品表面にシワが生じ、商品価値として重要な外観が悪くなった。 【0028】 加水量が通常で脂肪を20重量%添加し、さらに卵白および山芋を使用した比較例3は、脂肪の添加により調理加熱時の食感はソフトになったが、冷めた時の食感がやや固く、また"ムース風"の食感とはならなかった。山芋を含む比較例1〜3においては、山芋が肉の結着を阻害し、さらに水分が少なくネタが固いため、泡立ちにくいという欠点もあった。 【0029】 卵白を使用せず加水量のみ多くした比較例4は、食感がソフトで良好であったが、空気の含有量はやや少なく気泡の安定性に欠けていた。また、カッティング終了後のソーセージエマルジョンがやわらか過ぎ、充填機への投入時の作業性に難があった。 【0030】 カッティング時間を短縮した比較例5は、弾力が不足し、気泡が少ないためにソフト感にも欠けていた。 【0031】 充填工程前に脱気を行った比較例6は、気泡が消滅したために実施例と比較してムースのふわっと感が少なく、通常のソーセージと代わり映えのしない食感であった。 【産業上の利用可能性】 【0032】 本発明は、ソフトな食感をもつ、健康食品としても利用される低カロリー食肉製品として有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000118497 【氏名又は名称】伊藤ハム株式会社
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| 【出願日】 |
平成15年8月25日(2003.8.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065868 【弁理士】 【氏名又は名称】角田 嘉宏
【識別番号】100106242 【弁理士】 【氏名又は名称】古川 安航
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| 【公開番号】 |
特開2005−65581(P2005−65581A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月17日(2005.3.17) |
| 【出願番号】 |
特願2003−299492(P2003−299492) |
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