| 【発明の名称】 |
卵風味増強用組成物及びそれを含有する卵含有飲食品 |
| 【発明者】 |
【氏名】杉野 豪俊 【住所又は居所】三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽化学株式会社内
【氏名】近藤 圭一 【住所又は居所】三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽化学株式会社内
【氏名】羽木 貴志 【住所又は居所】三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽化学株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】カスタードクリーム、マヨネーズ、プリン、ミルクセーキなどの飲食品のおいしさの一つに卵風味を挙げることができ、卵風味を強化することはおいしさの向上になる。しかしながら、全卵液や卵黄液は殺菌などの加熱時に凝固するために、多量に添加することができなかった。また、鶏卵粉末や鶏卵卵黄粉末は、直接噴霧乾燥すると保存安定性が非常に悪く、風味の劣化があり、使用する食品の風味を低下させたり、溶解性の低下によるザラツキが生じるために、卵風味を強化する素材としての利用は困難であった。本発明は、加熱時に凝固することなく、風味の劣化やざらつきが生じない、卵風味の増強された飲食品を提供することを目的とする。
【解決手段】全卵液や卵黄液からグルコースを除去した後、トレハロースを添加して噴霧乾燥された粉末卵と、卵風味を有する調味油、酵素分解卵の中から選択される1種以上を含有することで本課題を解決する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (1)脱糖された卵黄または全卵を含む液卵にトレハロースを添加する工程及び添加された溶液を噴霧乾燥する工程により得られる粉末卵 (2)卵風味を有する調味油 (3)酵素分解卵 上記(1)に記される粉末卵と、(2)、(3)の少なくとも1種以上を含有することを特徴とする卵風味増強用組成物。 【請求項2】 トレハロースの添加量が卵黄または全卵の固形分に対して5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の卵風味増強用組成物。 【請求項3】 脱糖方法がグルコースオキシタ−ゼを用いる方法である請求項1または2記載の卵風味増強用組成物。 【請求項4】 脱糖された卵黄液または全卵液のグルコース含量が0.01重量%以下である請求項1〜3いずれか記載の卵風味増強用組成物。 【請求項5】 請求項1〜4いずれか記載の卵風味増強用組成物を含有する飲食品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、全卵液や卵黄液からグルコースを除去した後、トレハロースを添加して噴霧乾燥された粉末卵と、卵風味を有する調味油、酵素分解卵の中から選択される1種以上を含有する、卵風味増強用組成物及びそれを含有する飲食品の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、卵黄液や全卵液は、カスタードクリームなどのクリーム、マヨネーズなどのソース類、プリン、ミルクセーキなどの飲食品に原材料として利用されていた。これら飲食品のおいしさの一つに卵風味を挙げることができ(例えば、非特許文献1参照。)、これらの食品の卵風味を強化することはおいしさの向上になる。しかしながら、全卵液や卵黄液は殺菌などの加熱時に凝固するために、多量に添加することができなかった。また、鶏卵粉末や鶏卵卵黄粉末は、直接噴霧乾燥すると保存安定性が非常に悪く、風味の劣化があり、使用する食品の風味を低下させたり、溶解性の低下によるザラツキが生じるために、卵風味を強化する素材としての利用は困難であった。 そのため、卵を主原料とする飲食品に卵風味を強化する方法が望まれている。 【0003】 【非特許文献1】 佐藤泰,外3名共著、「卵の調理と健康の科学」、初版、弘学出版株式会社、1989年11月、p.117−118 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、上述のごとく、加熱時に凝固することなく、風味の劣化やざらつきが生じない、卵風味の増強された飲食品を提供することを目的とするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、全卵液や卵黄液から糖質、特にグルコースを除去し、トレハロースを添加して噴霧乾燥した粉末卵を含有する組成物が、風味の低下がなく、少量の添加で卵風味を強化できることを見いだし本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は全卵液や卵黄液からグルコースを除去した後、トレハロースを添加して噴霧乾燥された粉末卵に、卵風味を有する調味油と、酵素分解卵の中から選択される1種以上を含有する卵風味増強用組成物及びそれを含有する飲食品の製造方法に関する。 【0006】 【発明の実施の形態】 以下本発明を詳述する。 本発明でいうトレハロースとは、分子量が342.3を示す2糖類で2分子のD−グルコースがα1−1グルコシド結合した構造を有するものであり、その結合様式には、α,α結合、α,β結合、β,β結合の3種が存在する。特に限定されるものではないが、トレハロースの添加量は、鶏卵の固形分に対して5重量%以上50重量%以下が好ましい。50重量%を越えるとトレハロースの甘みが強くなるために、利用できる食品が制限されるために好ましくない。5%未満であると脂質のコーティング効果が不十分となり、脂質の酸化安定性が悪くなり風味が低下するために好ましくない。 【0007】 本発明でいう卵黄とは、鶏卵から分離されたものであれば、生卵黄液、冷凍卵黄液、殺菌卵黄などいずれの形態であってもよく、粉末卵黄を水に再溶解し、卵黄を含む溶液としたものも使用できる。特に限定されるものではないが、本来の卵風味の劣化が少ない点より生卵黄液が好ましい。 【0008】 本発明でいう全卵とは、鶏卵から分離されたものであれば、生全卵液、冷凍全卵液、殺菌全卵などいずれの形態であってもよく、粉末全卵を水に再溶解し、卵黄を含む溶液としたものも使用できる。特に限定されるものではないが、本来の卵風味の劣化が少ない点より生全卵液が好ましい。 本発明でいう脱糖とは、卵黄液や全卵液中に含有されるグルコースの除去であり、乳酸菌、パン酵母、ビール酵母を用いた発酵法やグルコースオキシターゼを用いた酵素処理を挙げることができる。特に限定されるものではないが、グルコースオキシターゼを用いた酵素処理が好ましい。グルコースを除去することにより、卵黄液または全卵液中に還元末端を有する糖類は実質的に含有しないこととなる。特に限定されるものではないが、卵黄液または全卵液中にグルコースの含量が0.01重量%以下が好ましい。0.01重量%を越えると、粉末化時および保管時の蛋白変性が進行し、ザラツキが生じるため好ましくない。 【0009】 特に限定されるものではないが、本発明でいう卵風味を有する調味油とは、卵黄固形分、無脂乳固形分、水を含有する組成物を油脂中で加熱した後、不溶解物を分離したことを特徴とする卵風味を有する調味油である。 【0010】 ここで、卵黄固形分とは、鶏卵から割卵分離された卵黄で通常食品に使用されているもので構わない。特に限定されるものではないが、生卵黄液、冷凍卵黄液、殺菌卵黄液、卵黄粉末等が挙げられる。中でも、卵黄粉末が、卵黄固形分、無脂乳固形分、水を含有する組成物の水分調整が容易であるため好ましい。 【0011】 ここで、無脂乳固形分とは、乳脂肪を除いた乳原料で通常食品に使用されているもので構わない。特に限定されるものではないが、脱脂乳、脱脂粉乳、ホエーパウダー、乳清蛋白、乳糖等が挙げられる。中でも、脱脂粉乳、ホエーパウダー、乳清蛋白、乳糖の中から選ばれる1種または2種以上の併用が、卵黄固形分、無脂乳固形分、水を含有する組成物の水分調整が容易であるため好ましい。さらに、ホエーパウダー、乳清蛋白、乳糖の中から選ばれる1種または2種以上の併用が、乳糖含量の調整が容易であるため、さらに好ましい。特に限定されるものではないが、無脂乳固形分中の乳糖含量が25%以上であることが、卵の調理臭の強度が非常に強くなるため、好ましい。 また、該組成物中の水分量が20%以上75%以下であることが好ましく、該組成物の固形分中の卵黄固形分含量が50%以上80%以下であることが好ましい。 さらに、無脂乳固形分の乳糖含量が25%以上であり、また90℃以上150℃以下で、水分が1%以下になるまで加熱することがより好ましい。 【0012】 特に限定されるものではないが、本発明でいう酵素分解卵とは、蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)や、脂質分解酵素(リパーゼ、ホスホリパーゼ)等の酵素により蛋白質成分や脂質成分を分解した鶏卵を意味し、その形態は液状のもの、粉末状のものいずれのものでも差し支えなく使用することができる。 酵素分解卵を調製するために用いる酵素は、植物、動物または細菌由来の蛋白質分解酵素、脂質分解酵素であれば特に限定されるものではないが、蛋白質分解酵素の場合はBacillus属、Aspergillus属、Rhizops属などの菌体より抽出された蛋白質分解酵素が苦味の生成が少なく好ましい。 また、脂質分解酵素の場合は豚のすい臓より抽出された動物由来のもの、Aspergillus属、Rhizops属、Candida属、Mucor属、Penicillium属などの菌体より抽出されたものが使用できる。 なお、酵素加水分解処理の条件は、使用する酵素の活性が失われない範囲であれば特に限定されるものではないが、通常反応温度は0℃〜60℃、反応時間は1時間〜30時間の範囲で実施される。 酵素による分解度については特に限定されるものではないが、脂質の分解率は40%以上、蛋白質の分解度は原料卵に対する遊離ペプチドの含量が3倍以上になることが好ましい。脂質の分解率は、ガスクロマトグラフィーを用いて全脂質のピーク面積とリゾ化した脂質のピーク面積を測定し、その比から求めることができる。蛋白質の分解度は、トリクロロ酢酸で蛋白を除去した後、上清の吸光度を測定することで求めることができる。 【0013】 本発明の卵風味の増強された飲食品としては、特に限定されるものではないが、カスタードクリーム、アングレースソース、カルボナーラソース、マヨネーズ等の卵を原材料に使用したクリームやソース類、プリン、アイスクリーム、クレープ、ケーキ、ビスケット、パイ、ガレットなど卵を原材料に使用したデザートや菓子類、ダシ巻き卵、スクランブルエッグなど卵を原材料に使用した惣菜類などがあげられる。また、和風スープやパスタソースなど卵を隠し味に利用している飲食品も含まれる。 【0014】 特に限定されるものではないが、全卵液や卵黄液からグルコースを除去し、トレハロースを添加して噴霧乾燥した粉末品は、飲食品に対して3重量%以下の添加量で卵風味が強化されるが、さらに本発明でいう卵風味を有する調味油と酵素分解卵の中から選択される一種以上を併用添加することによって、卵風味の深み、拡がり、持続性などを一層増強することができる。その場合、卵風味を有する調味油と酵素分解卵の中から選択される一種以上の添加量は、飲食品に対して3重量%以下で十分な効果を発揮する。 【0015】 また、全卵液や卵黄液からグルコースを除去し、トレハロースを添加して噴霧乾燥した粉末品と本発明でいう卵風味を有する調味油と酵素分解卵の中から選択される一種以上との配合比率は、特に限定されるものではないが10:1〜1:10の範囲が好ましく、卵風味のバランス、深み、拡がり、持続性等の面から5:1〜1:5の範囲であることがさらに好ましい。 【0016】 特に限定されるものではないが、全卵液や卵黄液からグルコースを除去し、トレハロースを添加して噴霧乾燥した粉末品は、カスタードクリームやマヨネーズなどの乳化型食品においては1重量%以下の添加量で加熱工程での凝固が生じることなく卵風味が強化されるが、さらに本発明でいう卵風味を有する調味油と酵素分解卵の中から選択される一種以上を併用添加することによって、卵風味の深み、拡がり、持続性などを一層増強することができる。その場合、卵風味を有する調味油と酵素分解卵の中から選択される一種以上の添加量は、飲食品に対して1重量%以下で十分な効果を発揮する。 【0017】 また、全卵液や卵黄液からグルコースを除去し、トレハロースを添加して噴霧乾燥した粉末品と、本発明でいう卵風味を有する調味油と酵素分解卵の中から選択される一種以上との配合比率は、特に限定されるものではないが10:1〜1:10の範囲が好ましく、卵風味のバランス、深み、、拡がり、持続性等の面から5:1〜1:5の範囲であることがさらに好ましい。 以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これによって限定されるものではない。 なお、実施例中の%は特記しない限り重量%を示す。 【0018】 【実施例】 実施例1 全卵液1000g(グルコース:0.62%)にパン酵母1.2gを添加して、グルコース量が0.01%以下になるまで30℃で発酵した。なお、グルコース量は尿糖試験紙(新ウリエースGa:テルモ(株)製)にて分析し、蛋白質量はケルダール法にて分析した。グルコースを除去した全卵液の固形分に対して、15%量のトレハロース37.5gを添加し、噴霧乾燥して粉末全卵1を得た。 また、比較のために全卵液を噴霧乾燥した対照品1を調製した。 粉末全卵1と卵風味を有する調味油である「たまごゆ(太陽化学(株)製)」、酵素分解卵である「リッチランA(太陽化学(株)製)」、対照品1を用いて表1の配合にてクレープを調製し、風味を比較した。 【0019】 【表1】
【0020】 風味は、官能検査にて、卵風味が強く感じるものを10点、無添加と卵風味に変化がないものを0点として、10人のパネラーによる10段階評点の平均値を用いて評価した。結果を表2に示す。 【0021】 【表2】
【0022】 表2より明らかなように本発明の方法は、少量の添加でクレープの卵風味を強化することが認められた。 【0023】 実施例2 卵黄液1000g(グルコース:0.69%)にグルコースオキシターゼ1000unitを添加し、グルコース量が0.01%以下になるまで10℃にて7%過酸化水素を3.5ml/hourで連続添加して反応した。なお、グルコース量は尿糖試験紙(新ウリエースGa:テルモ(株)製)にて分析し、蛋白質量はケルダール法にて分析した。グルコースを除去した卵黄液の固形分に対して、15%量のトレハロース75gを添加し、噴霧乾燥して卵黄粉末2を得た。比較のために卵黄液を噴霧乾燥した対照品2を調製した。 卵黄粉末2と卵風味を有する調味油である「たまごゆ(太陽化学(株)製)」、酵素分解卵である「リッチランA(太陽化学(株)製)」、対照品2を用いて表3の配合にてカスタードクリームを調製した。 【0024】 【表3】
【0025】 得られたカスタードクリームの加熱時の安定性と風味を評価した。風味は、卵風味が強く感じられるものを10点、無添加と卵風味に変化がないものを0点として、10人のパネラーによる10段階評点の平均値を用いて評価した。結果を表4に示す。 【0026】 【表4】
【0027】 表4より明らかなように本発明品は、加熱時に凝固することなく卵風味を強化することが認められた。 【0028】 実施例3 水戻しした実施例1で得られた全卵粉末1と卵風味を有する調味油である「たまごゆ(太陽化学(株)製)」、酵素分解卵である「リッチランA(太陽化学(株)製)」を用いて表5の配合にてダシ巻き卵を調製した。 【0029】 【表5】
【0030】 得られたダシ巻き卵の風味を比較した。風味は、卵風味が強く感じるものを10点、無添加と卵風味に変化がないものを0点として、10人のパネラーによる10段階評点の平均値を用いて評価した。結果を表6に示す。 【0031】 【表6】
【0032】 表6より明らかなように本発明品は、食感を変えることなく、卵風味を強化することが認められた。 【0033】 本発明の実施態様ならびに目的生成物を挙げれば以下のとおりである。 (1)脱糖された卵黄液または全卵液にトレハロースを添加して噴霧乾燥したものと、卵風味を有する調味油と酵素分解卵の中から選択される少なくとも1種以上を含有添加することを特徴とする卵風味増強用組成物。 (2)トレハロースの添加量が卵黄液または全卵液の固形分に対して5重量%以上50重量%以下である(1)記載の卵風味増強用組成物。 (3)グルコースオキシターゼを用いて脱糖された卵黄液または全卵液である(1)または(2)記載の卵風味増強用組成物。 (4)卵黄液または全卵液中のグルコース含量が0.01%以下である(1)〜(3)いずれか記載の卵風味増強用組成物。 (5)卵を原材料に使用したクリームやソース類の卵風味の強化方法である(1)〜(4)いずれか記載の卵風味増強用組成物。 (6)卵を原材料に使用したデザート類の卵風味の強化方法である(1)〜(4)いずれか記載の卵風味増強用組成物。 (7)卵を原材料に使用した惣菜類の卵風味の強化方法である(1)〜(4)いずれか記載の卵風味増強用組成物。 【0034】 【発明の効果】 本発明は、風味の低下やざらつきがなく、少量の添加で卵風味を強化するため、広く食品に利用できる。 以上のように、本発明は卵風味の強化方法として、食品産業上におおいに貢献できるものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000204181 【氏名又は名称】太陽化学株式会社 【住所又は居所】三重県四日市市赤堀新町9番5号
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| 【出願日】 |
平成15年8月21日(2003.8.21) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−65501(P2005−65501A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月17日(2005.3.17) |
| 【出願番号】 |
特願2003−208126(P2003−208126) |
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