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【発明の名称】 嗜好性の高い抽出物または発酵物の製造方法
【発明者】 【氏名】高垣 欣也
【住所又は居所】福岡県福岡市博多区博多駅前2丁目19番27号 株式会社東洋新薬内

【氏名】和田 耕一
【住所又は居所】福岡県福岡市博多区博多駅前2丁目19番27号 株式会社東洋新薬内

【要約】 【課題】茎根の持つ独特の苦味や臭いを改善した、嗜好性に優れた抽出物または発酵物の製造方法が望まれていることから、嗜好性に優れた抽出物または発酵物の製造方法を提供することを目的とする。

【解決手段】有機溶媒と水との混合液と根茎を混合して、有機溶媒の沸点以下の温度で加熱する工程、加熱により有機溶媒を揮発させ、該含有量を変化させながら水の沸点まで加熱する工程を包含する、抽出物の製造方法であり、該抽出物を用いた発酵物の製造方法であり、根茎の持つ独特の苦味や臭いを改善した嗜好性に優れる抽出物を得ることができる。また、嗜好性に優れることから、この抽出物または発酵物をそのままで、また、他の食品と混合し、根茎の有する有効成分を摂取しやすくした食品を提供することができ、また、化粧品やトイレタリー用品として、化粧水、化粧クリーム、シャンプー、リンス等に、本発明により製造された発酵物を用いることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒と水との混合液と根茎とを混合して、有機溶媒の沸点以下の温度で加熱する工程、加熱により有機溶媒を揮発させ、該含有量を変化させながら水の沸点まで加熱する工程とを包含する、抽出物の製造方法。
【請求項2】
前記根茎が、ウコギ科植物、ショウガ科植物から選択される1種以上の根茎である、請求項1に記載の抽出物の製造方法。
【請求項3】
前記有機溶媒が、アルコールである、請求項1又は2に記載の抽出物の製造方法。
【請求項4】
有機溶媒と水との混合液と根茎とを混合して、有機溶媒の沸点以下の温度で加熱する工程、加熱により有機溶媒を揮発させ、該含有量を変化させながら水の沸点まで加熱する工程、有機酸を産生する能力を有する微生物を用いて発酵する工程とを包含することを特徴とする、根茎抽出物の発酵物を製造する製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、植物体の根茎の有効成分が高められ、苦味や臭い等が低減した嗜好性の高い抽出物または発酵物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウコギ科パナックス属植物である高麗人参や朝鮮人参、田七人参、オタネ人参等や、ショウガ科のウコン等、ユリ科のニンニク、ヤマノイモ科のヤマイモなどの植物体の根茎は、有効成分に富むため、健康維持の目的やダイエット、肥満、成人病などの予防効果を目的とした食品原料として広く使用されている。
【0003】
近年では、このような根茎の有効成分を高めることを目的とした抽出方法や根茎特有の渋みや苦味等を低減するための加工技術が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−256754号公報
【特許文献2】特開平8−214825号公報
【特許文献3】特開平10−295324号公報
【特許文献4】特開平5−23149号公報
【特許文献5】特開平11−299444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、有効成分の抽出を目的とした場合は渋みや苦味等が残存し、嗜好性を欠いているか、特定の有効成分しか抽出されないといった問題点があった。
一方、苦味や渋み等の嗜好性を高めようとすると、有効成分が十分に抽出できないといった問題点があった。
【0006】
従って、有効成分が高められ、嗜好性に優れた根茎の抽出物または発酵物の製造方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑み、本発明者等は、根茎の有効成分が高められ、嗜好性に優れた抽出物または発酵物の製造方法について鋭意検討したところ、根茎を有機溶媒と水との混合液で加熱抽出し、さらに加温して有機溶媒含量を変化させて、有機溶媒を除去するまで抽出することにより、有効成分濃度が高く、嗜好性に優れた抽出物を得ることができることを見出し、さらに該抽出物を、有機酸を生成する微生物を用いて発酵することにより、効率よく発酵を行うことができ、より嗜好性が高められた有効成分濃度の高い発酵物を得られることを見出し、本発明に至った。
請求項1に記載の発明は、有機溶媒と水との混合液と根茎とを混合して、有機溶媒の沸点以下の温度で加熱する工程、加熱により有機溶媒を揮発させ、該含有量を変化させながら水の沸点まで加熱する工程を包含する、抽出物の製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記根茎が、ウコギ科植物、ショウガ科植物から選択される1種以上の根茎である、請求項1に記載の抽出物の製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記有機溶媒が、アルコールである、請求項1又は2に記載の抽出物の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、有機溶媒と水との混合液と根茎とを混合して、有機溶媒の沸点以下の温度で加熱する工程、加熱により有機溶媒を揮発させ、該含有量を変化させながら水の沸点まで加熱する工程、有機酸を産生する能力を有する微生物を用いて発酵する工程とを包含することを特徴とする、根茎抽出物の発酵物を製造する製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、根茎の持つ独特の苦味や臭いを改善した嗜好性に優れる抽出物を得ることができる。また、根茎の持つ有効成分を効率よく、発酵することができる。
この抽出物を発酵した発酵物は、発酵物をそのままで、または、他の食品と混合し、根茎の有する有効成分を摂取しやすくした食品を提供することができる。
また、化粧品やトイレタリー用品として、化粧水、化粧クリーム、シャンプー、リンス等に、本発明により製造された発酵物を用いることができる。
【0009】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明にかかる嗜好性に優れた抽出物または発酵物の製造方法は、根茎の持つ独特の苦味や臭いを改善した嗜好性に優れる抽出物または発酵物を製造し、該抽出物または発酵物を提供するという目的を、有機溶媒と水との混合液と根茎とを混合して、有機溶媒の沸点以下の温度で加熱する工程、加熱により有機溶媒を揮発させ、該含有量を変化させながら水の沸点まで加熱する工程とを包含する、抽出物の製造方法であり、該抽出物を発酵することによって実現した。
【0011】
(茎根の破砕物または抽出物)
本発明に用いる根茎は、ウコギ科パナックス属の朝鮮人参、特に高麗人参、オタネ人参、田七人参、エゾウコギなどの薬用ニンジンやショウガ科のウコン、ショウガ、キク科のゴボウ、ヤマゴボウ科のヤマゴボウ、アブラナ科のダイコン、スイレン科のレンコン等の根部やサトイモ科のサトイモ、ナス科のジャガイモ、ヤマノイモ科のヤマイモ等の茎部(特に地下茎)の他に、ユリ科のニンニク、百合根などの球根部も含む。
【0012】
これらの根茎は、発酵または抽出の工程の効率を向上させる目的で破砕される。破砕は当業者が用いる定法により行うことができる。例えば、スライサー、ダイサー、カッターミキサーなどで根茎を好ましくは0.1cm〜1cmに破砕する。
さらに好ましくは破砕した根茎を30μm〜500μmに微粉砕する。発酵および抽出工程においては、破砕物の粒径が小さい方が好ましく、1cm以下、好ましくは0.1cm、より好ましくは500μm以下にまで微粉砕することで抽出効率を上げることができ、さらに、抽出物をそのまま不溶物を除去することなく菌を添加して発酵することが可能なためである。
【0013】
次いで、上記破砕物へ有機溶媒と水の混合液を混合し、混合物を調製して、加熱する。
本発明に用いる有機溶媒は、水よりも沸点の低い有機溶媒を用いることが好ましい。
このような有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、エーテル等が挙げられるが、食品や医薬品へ用いる場合の安全性の面から、エタノールがより好ましい。これらの有機溶媒と水の混合比率は、用いる有機溶媒にもよるが、水に対し、3容量%〜70容量%、好ましくは5容量%から60容量%、さらに好ましくは5容量%〜25容量%である。エタノールを5容量%以上含有することで、水のみで抽出する場合に、抽出しにくい有効成分を植物体より溶出させることができ、さらにエタノール含有量を70容量%以下としたほうが、嗜好性がより高い抽出物または発酵物を得ることができるからである。
【0014】
また、根茎と混合液との混合比は、根茎1重量部に対し、1〜50重量部、好ましくは2〜30重量部の混合液と混合すればよい。
混合液の量が少ないと抽出効率が落ち、逆に混合液の量が多いと抽出物の溶出に差が見られないだけでなく、抽出物を粉末化する場合の歩留まりや発酵工程において発酵がうまく進まないといった問題点があるからである。
また、一度上記工程で抽出し、濾過して得られた残渣に再度有機溶媒と水の混合液を添加し、加熱による抽出を再度繰り返して行うことで、抽出効率を高めても良い。
【0015】
次いでこの混合物を有機溶媒の沸点以下の温度で加熱する。
この加熱により通常の水のみの加熱抽出よりも効率よく有効成分を抽出することができる。
加熱は、当業者が通常用いる加熱装置を用いて行うことができる。加熱温度は、溶媒の沸点によって異なるが、好ましくは加熱温度が40℃以上、より好ましくは50℃以上で、加熱時間は10分〜48時間、好ましくは1時間〜24時間となるようにすればよい。また、混合物を40℃から有機溶媒の沸点までの温度に達するまでの時間が上記の時間となるようにして一定の加熱条件下で加熱し続け、後述する煮沸の工程へ連続的に移行させることもでき、より効率よく抽出物を得ることができる。
【0016】
次いで、有機溶媒を加熱により揮発させ、混合物中の有機溶媒含有量を変化させながら、抽出および有機溶媒の除去を行い、抽出物を得る。
この操作によって、各有機溶媒含有量で抽出し得る成分、特にアミノ酸や糖の含有率を飛躍的に向上することができる。この有機溶媒の沸点から水の沸点まで加熱する時間は、長時間の加熱により、特にサポニンが分解され含有量が低下する恐れがあるため、10分〜10時間程度で行うことが好ましい。
このような加熱により、糖やアミノ酸が溶出されるだけでなく、根茎類特有の臭いも低減することができ、さらに、加熱によりアミノ酸の一部が化学反応し、有効成分(マルトロシルアルギニン等)が生成するため、抽出物の有効成分をさらに高めることができる。
このマルトロシルアルギニンは血流改善効果を有する。
なお、殺菌を同時に行う場合は、水の沸点に達してから、10分〜5時間、好ましくは30分〜3時間程度行う。これは、特に植物体の根を用いる場合、熱に耐性を有する菌が存在するため、抽出物を発酵する場合には、発酵の妨げとなる可能性があるためである。
【0017】
この抽出物を発酵する場合、発酵には上記抽出物をそのまま用いても、抽出物を一度濾過してから行っても良い。
なお、根茎類の多くは、菌体が資化することのできる窒素源が乏しく、炭素源もその種類によっては資化できない場合があるため、効率よく発酵させるには、糖質、アミノ酸等を添加する。
添加する糖質、アミノ酸は、用いる菌の種類や株によって適宜調整される。例えば、乳酸菌の場合は、乳酸菌代謝性の糖(蔗糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖等)および大豆タンパク質、酵母エキス、小麦抽出物、トウモロコシ抽出物、綿花抽出物やグルタミン酸などを添加する。
用いる菌により、これらの添加量は異なるが、たとえば、乳酸菌を用いた場合は、根茎の粉砕物に対し、糖質で0.1〜10重量%、好ましくは3〜8重量%、タンパク質またはアミノ酸は、0.05〜1重量%添加する。この場合、糖質の添加量を3重量%以上添加することで、発酵がよく進み、風味も良くなる。
また、発酵前の混合液中のBrix値が40以上の場合は、発酵を阻害する可能性があるため、糖質の添加においては、この値をこえないように添加することが好ましい。
【0018】
発酵に用いる微生物は、有機酸を生成する微生物であればよく、発酵による嗜好性および機能向上を図る観点から、乳酸菌、酵母、酢酸菌、麹菌が好ましい。広く食品原料への応用可能な、乳酸菌、酵母が特に好ましい。
また、有機酸の生成により、有効成分および風味の改善が図られる。
【0019】
このような乳酸菌としては、ロイコノストック・メセントロイデス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、ストレプトコッカス・サーモフィラス、ストレプトコッカス・フェカリス、ビフィドバクテリウム・ロンガムなどが、単独でまたは組み合わせて用いられる。例えば、単独で用いる場合、ラクトバチルス・プランタラムが、その耐酸性、生育温度、および増殖速度の面から好適である。乳酸菌を添加する場合は、菌が優先的に増殖できる環境をつくるため、pHを低くしておくことも好ましい。例えば、ラクトバチルス・プランタラムでは、pH4.0程度に調整してから発酵を開始すれば、短期間でその発酵を終了できる。
【0020】
また、乳酸菌の優先的な生育のために、グルタミン酸またはその塩を加えることもできる。添加するグルタミン酸の量は、該破砕物に対して0.05〜1重量%程度、好ましくは0.2重量%程度である。
【0021】
乳酸発酵する場合は、乳酸菌代謝性の糖を添加することができる。
この糖の添加は、糖分含量が少ない植物を発酵させる場合に有用である。従って、糖分が1〜5重量%含まれる植物を発酵させる場合には糖を添加しなくてもよい。
しかし、糖は、発酵の促進および飲料への甘味の付加という目的で添加してもよい。
添加される糖は、乳酸菌の生育と発酵に用いられる糖であり、例えば、庶糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの糖は、好ましくは、糖分が果物類の糖分と合わせて約1〜6重量%になるように加えられるが、これ以上であってもよい。
【0022】
乳酸発酵する場合は、嫌気性条件下で行うことが好ましい。嫌気性条件は、該破砕物を脱気することにより、または発酵槽を密封するか、窒素ガス、二酸化炭素ガス等のガスで満たすか、減圧することにより、あるいはそれらを組み合わせることにより得られる。また、嫌気条件下で発酵することにより、該発酵物の風味も良くなる。
【0023】
発酵の停止は、上記の糖質の含有量による発酵への効果を応用して、糖を加えて行うことも可能である。このような糖としては、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、オリゴ糖(例えば、マルトオリゴ糖、キトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖)などが挙げられる。このようなオリゴ糖は、整腸作用、う蝕の予防などに効果があり、該発酵物に食品としての機能性を付与し得る。
【0024】
酵母を用いる場合は、清酒酵母、ワイン酵母、ビール酵母、パン酵母等を用い得る。
酵母としてはサッカロミセス属、シゾサッカロミセス属等に属する酵母が用いられ、例えば、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・パストリアヌス、シゾサッカロミセス・ポンベ等が好適に用いられる。特にアミノ酸やビタミンなどの有用物質を産生する観点から、サッカロミセス・セレビシエおよびこれらより単離された株を用いることが好ましい。
発酵時の条件は嫌気性発酵、好気性発酵のいずれを行ってもよいが、酢酸菌などを用いた二段発酵を行う場合はアルコールを産生する嫌気性発酵が好ましく、アミノ酸やタンパク質、ビタミン類などの有用物質を酵母により産生する場合は好気性発酵が好ましい。
【0025】
酢酸発酵を行う場合は、該発酵物へアルコールを添加するか、酵母を用いてアルコールを産生させる。アルコール濃度は、酢酸発酵し得る微生物(酢酸菌)が生育できる濃度であれば、どのような濃度であってもよいが、発酵時間等を考慮して、10容量%以下にすることが好ましく、1〜6容量%が特に好ましい。
【0026】
酢酸発酵に用いる酢酸菌は、アセトバクター属に属する微生物、例えば、アセトバクター・アセチ、アセトバクター・パステウリアヌス、アセトバクター・ハンセニ等が挙げられる。
【0027】
麹菌を用いる場合の麹菌としては、着色効果の有る紅麹の他、市販の麹菌の他にも、アスペルギルス(Aspergillus )属、リゾプス(Rhizopus)属、サッカロミコプシス(Saccharomycopsis)属、バチルス(Bacillus)属、モナスカス(Monascus)属等に属する微生物、例えばアスペルギルス オリゼ、アスペルギルス ニガー、リゾプス デルマー、リゾプス オリゼ、サッカロミコプシス フィブリゲラ、モナスカス ピロサス、モナスカス プルプレウス、バチルス アミロリクイファシエンス、バチルス サブチリス等である。
【0028】
発酵に用いる微生物の量は、予備培養などで得た湿菌体重量で抽出物中に0.001〜15重量%、好ましくは0.01〜10重量%を加えるか、乾燥した市販の菌体を用いる場合は、0.005〜5.0重量%、さらに好ましくは0.01〜2.0重量%を添加する。
【0029】
発酵の温度と時間は20℃〜50℃の場合は、3時間〜96時間、好ましくは6時間〜72時間行う。また、植物体特有の苦味や臭いをさらに抑えた発酵物を得るためには4℃〜10℃で5日間〜14日間で行うとよい。
発酵後に風味の改善を目的として、熟成期間を用いても良く、この場合10℃〜50℃、好ましくは15℃〜40℃で1ヶ月〜5年、好ましくは3ヶ月〜2年である。
【0030】
このようにして得られる抽出物または発酵物は、有効成分および嗜好性が改善されているため、濾過した後に健康飲料として、そのままか、あるいは種々の調味料、例えば、グラニュー糖、蜂蜜、ソルビット等の甘味料、アルコール、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの酸味料、香料、色素等を加えて、好みの味に調整することができる。
【0031】
また、得られた抽出物または発酵物は、他の発酵ジュースや野菜ジュース、果汁など、例えばオレンジ果汁や混合野菜ジュースと混合すれば、更に栄養価の高いジュースとすることができ、これらの混合割合は任意である。
この混合ジュースは120℃、4分の完全殺菌をしなくても、低pHであれば、100℃以下の殺菌条件で殺菌できる。例えば、pHが4.0以下の場合では、65℃、10分相当の殺菌条件で十分に殺菌できる。あるいは、他の製法により得られた液と、または野菜ジュース等と混合して食品に含ませることもできる。例えば、寒天等に混合してゼリーとすることもでき、シャーベット、フローズンヨーグルトあるいはアイスクリームとすることもできる。
【0032】
1つの実施態様において、抽出物または発酵物は、粉末化して、乾燥形態の食品素材、例えば、そのまま乾燥して粉末としたり、濾過して得られた液を乾燥したエキス末とすることができる。このような加工は、当業者が一般的に用いる種々の方法が用いられるが、凍結乾燥、噴霧乾燥が好ましく用いられる。
噴霧乾燥を行う場合、必要に応じてデキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースのような賦形剤を添加して行われる。好適にはデキストリンが用いられ、該組成物を乾燥する場合、該組成物とデキストリンの比は、重量比で1:5〜10:1が好ましく、処理液を乾燥する場合、処理液とデキストリンの比は、重量比で1:10〜5:1が好ましい。
【0033】
このようにして得られる抽出物または発酵物は、必要に応じて、ローヤルゼリー、ビタミン類、ミネラル、キチン・キトサン、レシチン等の他の食品素材と組み合わせられる。そしてさらに、ハードカプセル、ソフトカプセル等のカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤として成形されるか、または粉末、顆粒、ティーバッグなどにする。これらは、その形状または好みに応じて、そのままか、あるいは水、お湯、もしくは牛乳などに溶いて、または成分を浸出して飲むことができる。
【0034】
また、本発明の発酵物または発酵物を医薬部外品、化粧品、トイレタリー用品などに広く適用し得る。例えば、化粧水、化粧クリーム、乳液、パック、ヘアトニック、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、ボディーシャンプー、先顔剤、石鹸、ファンデーション、口紅、育毛剤、軟膏、入浴剤、歯磨剤、マウスウウォッシュ、シップ、ゲルなどが挙げられる。
【0035】
以下本発明の実施様態をより詳細に説明するが、本実施例に限定されないことはいうまでもない。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
オタネ人参300gをエタノールを10容量%含有するエタノールおよび水の混合液 2.7Kgと混合した。次いで、ジャケット付き加熱タンクを用いて加熱し、40℃〜70℃の温度通過する時間を2時間かけて抽出を行い、さらに70℃〜100℃の温度通過時間を2時間となるように加熱を行った。そしてこの抽出液を100℃、30分間過熱して殺菌を行った。殺菌後、精製水を添加して、最終重量を3.3Kgとなるように調製し、抽出物Aを得た。
このうちの200gを分取して濾過を行い、抽出液Aを得た。
【0037】
(実施例2)
実施例1のエタノールの容量を、60容量%とした混合液を用いて、実施例1と同様に行い、抽出物Bおよび抽出液Bを得た。
【0038】
(比較例1)
実施例1の70℃〜100℃の加熱の変わりに、減圧濃縮機を用いて40℃でエタノールを除去したこと以外は実施例1と同様に行い、抽出物Cおよび抽出液Cを得た。
【0039】
(比較例2)
実施例1の混合液の変わりに水を用いたこと以外は同様の操作を行い、抽出物Dおよび抽出液Dを得た。
【0040】
(比較例3)
オタネ人参300gをエタノールを10容量%含有するエタノールおよび水の混合液2.7Kgと混合した。この混合物を2日間常温で放置し、その後エタノールを減圧濃縮機を用いてエタノールを除去し、精製水を添加して最終重量を3.3Kgとなるように調製し、抽出物Eおよび抽出液Eを得た。
【0041】
以上から得られた抽出液A〜Eを用いて下記評価を行った。
【0042】
(有効成分の評価)
(サポニン含有量の評価)
有効成分としてオタネ人参に含まれるサポニンの抽出効率を評価した。
まず、抽出液A〜C,Eを下記条件にて有機溶媒を用いて処理液をいた後に、処理した原液と精製水で処理液を2、4、6、8倍希釈したサンプルと抽出液Dを下記条件のTLC検出を行った。
検出後の評価は、抽出液Dの原液を基準として、スポットの濃さを比較し、各抽出液中のサポニン含有量が抽出液Dの何倍程度であるかを評価した。
結果を表1に示す。
なお表中の+は抽出液Dよりスポットが濃いことを、−は抽出液Dよりも薄いことを示す。
【0043】
【表1】


【0044】
(抽出液の処理条件)
抽出液50mLに対し、25mLのヘキサンを混合し分配して水層部を回収する操作を2回繰り返した後、該水層部へブタノールを25mLを混合して分配し、ブタノールを回収する操作を5回繰り返す。
得られたブタノール溶液を減圧濃縮した乾燥粉末を1mLのメタノールに溶解する。
【0045】
(TLC条件)
TLC:シリカゲルプレート(Merck & CO., Inc.製)
展開溶媒:酢酸エチル/エタノール/水(10/2/1)
検出試薬:10容量%硫酸(噴霧後に加熱して検出)
サンプル量:各10μL
【0046】
表1の結果から、水のみで抽出した抽出液Dのスポットの濃さに対し、抽出液Aは2倍希釈の方が濃く、抽出液Bは、4倍希釈の方が濃かった。一方、抽出液C、Eは原液においてのみ、抽出液Dよりも濃度は高かった。
すなわち、抽出液Aには抽出液Dよりも2〜4倍、抽出液Bには4〜6倍のサポニンが含まれていることを示し、抽出液C、Eよりも、本願発明による抽出物の製造方法により、有効成分が効率よく抽出された抽出液が製造されていることが分かる。
【0047】
(アミノ酸および糖含有量の評価)
アミノ酸量はHPLCを用いて、アミノ酸標準試薬(和光純薬株式会社)を標品として分析し、各アミノ酸量を合計し、含有量を算出した。
糖含有量は、食品の分析に通常用いられるアンスロン硫酸法により糖含有量を測定した。
結果を表2に示す。
【0048】
【表2】


【0049】
表2の結果から、本発明の抽出物の製造方法によって得られた抽出液A、Bのアミノ酸及び糖含有量は、水のみで抽出した抽出液Dと同等であり、減圧濃縮によりエタノールを除去した抽出液Cよりも、アミノ酸、糖含有量は高い。
以上のことから本発明の抽出物の製造方法により製造された抽出液A,Bは全体として有効成分が効率よく抽出されていることが分かる。
【0050】
(官能試験)
抽出液A〜Eを用いて官能試験を行った。
官能試験は、男女5名ずつの計10名によって、苦味と臭いについて下記内容で点数をつけてもらった。そしてこれらの合計値を算出し、評価を行った。
結果を表3に示す。
なお、評価点を以下に示す。
1番目に強い :5点
2番目に強い :4点
3番目に強い :3点
4番目に強い :2点
5番目に強い :1点
【0051】
【表3】


【0052】
表3の結果から、抽出液A、Bは苦味および薬用人参独特の臭いが低減され、サポニンを多く含むにもかかわらず、嗜好性がよくなっていることが分かる。
【0053】
(実施例3)
実施例1の抽出物Aを用いて、下記のようにして発酵を行った。
抽出物A1Kgへ酵母エキス5gとグルコース50gを添加し、良く混合して酸度とBrix値を測定した後に、乳酸菌乾燥粉粉末を0.2g添加し、30℃で48時間の発酵を行い、発酵物Aを得た。
発酵物Aの酸度およびBrix値を測定し、この発酵物Aを、遠心分離し、上清を回収した後に90℃、1時間の殺菌を行い、発酵液Aを得た。
酸度およびBrix値の結果を表4に示す。
【0054】
(実施例4)
抽出物Aの変わりに抽出物Bを用いたこと以外は、実施例3と同様に行い、発酵物Bおよび発酵液Bを得た。
結果を表4にあわせて示す。
【0055】
(比較例4)
抽出物Aの変わりに抽出物Cを用いたこと以外は、実施例3と同様に行い、発酵物Cおよび発酵液Cを得た。
結果を表4にあわせて示す。
【0056】
(比較例5)
抽出物Aの変わりに抽出物Dを用いたこと以外は、実施例3と同様に行い、発酵物Dおよび発酵液Dを得た。
結果を表4にあわせて示す。
【0057】
(比較例6)
抽出物Aの変わりに抽出物Eを用いたこと以外は、実施例3と同様に行い、発酵物Eおよび発酵液Eを得た。
結果を表4にあわせて示す。
【0058】
【表4】


【0059】
表4の結果から、酸度が上昇し、Brix値が低下していたことから、発酵が進んでいることが分かる。
また、本発明の発酵物A,Bのほうが発酵物C、D、Eより酸度の上昇が大きいことから、発酵がより進んでいることが分かる。
【0060】
(有効成分の測定)
前記の発酵液A〜Eを用い、抽出物のときと同様にしてサポニン量を発酵液Dを基準として評価した。
結果を表5に示す。
【0061】
【表5】


【0062】
表5の結果から、抽出液の場合と同様に本発明の発酵液A、Bは発酵液C、D、Eよりも有効成分が多く含有されていることが分かる。
【0063】
(官能試験)
発酵液A〜Eを用いて官能試験を行った。
官能試験は、男女5名ずつの計10名によって、味と香りについて下記内容で点数をつけてもらった。そしてこれらの合計値を算出し、評価を行った。
結果を表6に示す。
なお、評価点を以下に示す。
1番目に好ましい :5点
2番目に好ましい :4点
3番目に好ましい :3点
4番目に好ましい :2点
5番目に好ましい :1点
【0064】
【表6】


【0065】
表6の結果から、本発明の発酵液AまたはBは他の製造方法のものに比べ、優れた嗜好性を有することが分かる。
【0066】
(実施例5)
実施例1の抽出物Aを用いて、下記のようにして発酵を行った。
抽出物A1Kgへ酵母エキス5gととグルコース50gを添加し、炭酸カルシウムを用いてpHを7.0に調整した後に湿重量で1gのパン酵母(オリエンタル酵母工業株式会社)を添加し、30℃、72時間で通気性下で発酵を行い、発酵物を得た。
発酵前のBrix値は10.3であったが、発酵後は8.5にまで低下し、エタノールを0.1(容量/容量)%含有していた。この発酵物を、遠心分離し、上清を回収した後に90℃、1時間の殺菌を行い、発酵液を得た。
この発酵液も乳酸発酵同様に、嗜好性が向上し、苦味および臭いが低減していた。
【0067】
(実施例6)
実施例2の抽出物B2Kgへエタノールの最終濃度を5容量%となるようにエタノールを添加した後、別途、予備培養したアセトバクター・アセチ(IFO 3284:1mLの酢酸菌培養液(ポテト0.2g、破砕酵母0.03g、肝臓エキス0.03g、肉エキス0.005g、チオグリコール酸培地0.01g、グルコース0.05g、グリセロール0.15g、炭酸カルシウム0.15gを含有し、pH7.0に調整された液)で、30℃、24時間振盪培養し、遠心分離後、上清を除去した菌体)を上記調整した破砕物へ添加し、30℃、7日間発酵した。
この発酵液をろ過して酢を得た。この発酵液の酸度は、4.5%であり、苦味および臭いが低減した嗜好性の高い酢を得ることができた。
【0068】
(実施例7)
ウコン300gをエタノールを50容量%含有するエタノールおよび水の混合液3Kgと混合した。
次いで、ジャケット付き加熱タンクを用いて加熱し、40℃〜70℃の温度通過する時間を3時間かけて抽出を行い、さらに70℃〜100℃の温度通過時間を2時間となるように加熱を行った。
次いで、精製水を加えて重量を3Kgとした後に、酵母エキス5gとグルコース50gを添加し、良く混合した後に、乳酸菌乾燥粉末を0.2g添加し、30℃で72時間の発酵を行い、発酵物を得た。
この発酵物を濾過して発酵液とし、この発酵液をクルクミン(和光純薬株式会社)を標品としてHPLCにて測定したところ、0.15重量%のクルクミンを含有しており、ウコン特有の苦味が低減し、嗜好性も向上していた。
【産業上の利用可能性】
【0069】
この発明にかかる抽出物または発酵物の製造方法においては、嗜好性に優れた抽出物または発酵物を製造することができ、当該抽出物や発酵物は嗜好性に優れた食品や飲料等の用途に適用できる。
【出願人】 【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
【住所又は居所】福岡県福岡市博多区博多駅前2丁目19番27号 九勧リクルート博多ビル6階
【出願日】 平成15年8月18日(2003.8.18)
【代理人】 【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓

【公開番号】 特開2005−58133(P2005−58133A)
【公開日】 平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願番号】 特願2003−294623(P2003−294623)