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【発明の名称】 放射線障害軽減味噌
【発明者】 【氏名】松村 文子

【氏名】渡▲邊▼ 敦光

【要約】 【課題】放射線防御作用及び前癌病変抑制効果があり、栄養分が多く風味が良く、美味しい味噌の提供を目的とする。

【解決手段】発芽玄米又は3から5分づき米を蒸煮したものに麹菌を接種して米麹を得て、これに蒸煮後に潰した大豆と麦、及び塩を所定の割合に混合して6ヶ月以上熟成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発芽玄米又は3から5分づき米を蒸煮したものに麹菌を接種して米麹を得て、これに蒸煮後に潰した大豆と塩を所定の割合に混合して6ヶ月以上熟成したことを特徴とする放射線障害軽減味噌。
【請求項2】
発芽玄米又は3から5分づき米を蒸煮したものに麹菌を接種して米麹を得て、これにそれぞれ蒸煮後に潰した大豆と麦、及び塩を所定の割合に混合して6ヶ月以上熟成したことを特徴とする放射線障害軽減味噌。
【請求項3】
混合する塩として天然塩を用いたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放射線障害軽減味噌。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の成分に、海藻を乾燥粉末にしたもの又はエキスを追加混合したことを特徴とする放射線障害軽減味噌。
【請求項5】
杉の木製の桶樽を用いて6ヶ月以上熟成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の放射線障害軽減味噌。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は味噌の製法に関するもので、特に調味料としての美味しさのみならず、放射線障害の軽減に効果的な味噌に係る。
【背景技術】
【0002】
味噌は日本の代表的な発酵調味料の1つである。
従来から味噌には疲労回復、整腸作用、消化促進、胃潰瘍の防止効果、コレステロールの抑制、血圧の低下作用、美白効果、成人病予防、脳卒中の予防、脳の新陳代謝促進、老化予防等の効果があることが認められている。
また、放射線障害の軽減及びがん予防にも効果があるといわれているが、味噌のどの様な成分がこのような効果を示すかは不明であった。
【0003】
味噌の種類としては、米を蒸煮したものに麹菌を接種した米麹の他に、大豆を蒸煮したものに麹菌を接種した豆麹あるいは、麦を用いた麦麹等を用いることにより、白味噌の他に赤味噌やミックス味噌が知られている。
【0004】
特開平10−262591号公報には、精白された米よりも豊富な栄養分を含むとされている発芽玄米を用いた玄米麹を味噌原料とした技術が開示されている。
しかし、この場合でも栄養分の検討はされているものの、味噌のどのような成分が放射線障害軽減等に寄与するかは検討されていない。
【0005】
【特許文献1】特開平10−262591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記背景の下に、まずはどのような味噌及び成分が放射線防御作用及び前癌病変抑制効果があるかを検討し、その上で、栄養分が多く風味が良く、美味しい味噌の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[味噌の放射線防御作用並びに前癌病変(以下ACFという)抑制作用を引き起こす有効成分の解析の試み]
【0008】
(味噌の分画)
仕込み10日目並びに仕込み260日目の米味噌20kgに同量の熱水を加え、約5分間撹拌した後、ろ過によりろ液と残滓に分けた。
ろ液は減圧濃縮した後凍結乾燥を行い、水溶性画分とした。
残滓は凍結乾燥した後エーテル抽出し、溶媒層を減圧濃縮し油性画分とした。
更に残った固形物を乾燥し固形画分とした。各々の画分の収量を図1(表1)に示す。
【0009】
(餌)
味噌画分を各々20kgのMF餌(オリエンタル酵母株式会社)に混入し固形飼料として作成し、動物に投与した。対照群としてMF飼料を与えた。
これらの餌は処理1週間前より与え、実験期間を通して投与した。
【0010】
(動物)
放射線防御作用の実験には6週齢の雄Crj(チャールスリバー社製):B6C3F1マウスを、又、ACF(前癌病変)測定は6週齢雄F344/DuCrj(チャールスリバー社製)ラットを用いた。
動物は広島大学動物飼育規定により、室温24±2℃、温度50±10%、12時間毎の明暗の条件で飼育した。マウスは5日毎、ラットは1週間に2回、滅菌したオガクズの入った新しいケージに交換した。餌並びに飲料水は自由に摂取させた。
【0011】
(照射)
照射は6週齢で行った。小腸再生を検索するために各5匹の動物に対してX線照射を行った。X線(島津製作所親愛号)はフィルター無しで線量率は1分間当たり400cGy(センチグレイ)で12Gyの照射を行った。生存率を検討するためには1分間当たり200cGyの線量率で7Gyを各々10匹の動物に照射した。いずれの場合でも無麻酔で全身照射を行った。本実験では線量率が高いため照射毎、全ての群の動物を一度に照射し、照射の均一化を行った。
【0012】
(小腸再生並びに生存率)
小腸腺窩再生に関しては照射後3.5日で動物を屠殺した。小腸を取り出し、内容物を生理食塩液で洗浄した後、カルノア液で固定した。3時間の固定後70%エタノールに替え、約8mmの長さに切り、これを10〜15の小腸の断面が出るように粘着テープで止め、包埋した。その後横断面を薄切し、HE(ヘマトキシリン エオシン)染色を行い、1小腸断面あたりの再生腺窩数を各々計測した。パイエル板付近では腺窩再生が亢進しているので、パイエル板の無い垂直に切れた断面で計測した。
生存率は照射後動物を1日3回(7:00、12:00並びに18:00)観察し、生死を確認した。
【0013】
(ACF測定)
各々の餌を1週間投与した後にAzoxymethane(AOM、Sigma社製)を体重あたり15mg/kg、3回投与した。AOM投与後、同じ餌で更に2週間飼育した。
実験終了後、ラットはエーテルで屠殺し、体重を測定した。速やかに大腸を取り出し、ペーパータオルの上に広げ、10%中性ホルマリンで固定した。水洗後以前の方法で0.5%のメチレンブルーで染色し、20から30倍の実体顕微鏡でaberrant cryptfoci(ACF)の数、ACが何個で構成されているか、又全AC数を測定した。
【0014】
(統計)
統計的検査にはDunnett法、Coxモデル、t検定、χ検定を行った。
【0015】
(結果)
(小腸腺窩再生)
図2(表2)に示すように、10日目味噌水溶性画分には小腸再腺窩効果は認められなかった。しかし、油性画分や固形物には小腸再生が認められた。260日目味噌では何れの画分にも小腸腺窩再生効果が認められた。
【0016】
(生存率)
図6(グラフ1)に示すように、10日目味噌の何れの画分にも生存率はMF(対照)と差は認められなかった。260日目味噌の水溶性画分では生存期間は有意に増加した。
一方、固形画分は生存期間が有意に減少した。
【0017】
(ACF)
図3(表3)に示すように、摂餌量並びに体重は全ての群で差は認められなかった。
図4(表4)に示すように、10日目味噌の水溶性画分はACFを有意に減少させた。
しかし、他の画分ではその効果が認められなかった。しかし、260日目味噌には何れの画分にもACF抑制効果を認めた。
【0018】
(考察)
図5(表5)に今回の結果のまとめを示す。
10日目味噌の何れの画分にも生存を高める効果を認めなかった。これは分画を行っていない味噌を用いた以前の結果と同様であった。即ち、仕込み10日目の味噌には生存率に対する有効成分は存在しないものと考えられる。一方、260日目味噌では水溶性画分にのみ生存を高める効果を認めたことから、生存率に関係する物質がこの画分に存在し、発酵の過程で新しく合成されたのではないかと示唆される。
以前の実験で小腸腺窩再生効果は10日目味噌には認められなかった。
しかし、本実験では10日目味噌の水溶性画分は小腸腺窩再生を促進しないが、油性並びに固形画分が小腸腺窩再生を行ったことから、水溶性画分には小腸腺窩再生を抑制する物質が存在する可能性が示唆された。このことから10日目味噌でも本来小腸腺窩再生効果を持っているにも拘わらず、その出現を阻害物質が全体的に抑制しているのではないかと考えられる。260日目味噌において水溶性画分には小腸腺窩再生作用を持つ物質が合成されるか、もしくは阻害物質が消失したために全ての画分に効果が認められたのではないかと示唆される。
ACFでは10日目味噌の水溶性画分に抑制効果を認めた。この場合も以前の実験では10日目味噌にはACF抑制効果を認めなかった。
それは油性画分か固形物もしくは両方に阻害物質が存在し、水溶性画分の有効成分の機能発現を抑制している可能性も考えられる。発酵が進につれて水溶性画分にACFを抑制する物質が合成・蓄積されるのではないかと示唆される。
本実験の結果から生存率並びに小腸腺窩再生を増加させる物質、もしくはACFを抑制する物質は各々異なる物質ではないかと考えられる。
更にこのような作用を阻害する物質の存在も示唆される。
【0019】
(実験まとめ)
仕込み10日目の水溶性画分はACF抑制効果が認められた。油性並びに残渣は小腸腺窩再生作用を示した。仕込み260日目の水溶性画分には放射線に対する生存を延長させた。しかし、油性並びに残渣画分にはその作用は認められなかった。
小腸腺窩再生並びにACF抑制効果は3画分何れにしても認められた。
以上の結果から生存率並びに小腸腺窩再生を増加させる物質、もしくはACFを抑制する物質は各々異なる物質ではないかと示唆される。
【0020】
[放射線障害軽減効果か高いと期待される味噌]
本発明は上記知見に基づき、発酵性を促進させ、風味を良くする味噌の製法を検討した結果得られたものである。
具体的には、玄米を1〜2日間水に浸して芽をわずかに発芽させた発芽玄米又は3から5分づき米を蒸煮したものに麹菌を接種して米麹を得て、これに蒸煮後に潰した大豆及び塩を所定の割合に混合して6ヶ月以上熟成させた。
なお、玄米を100%とした場合の搗精歩合が90%のものを精白米と一般に称し、その精白度合が中間のものを5分づき米、玄米に近いものを3分づき米という。
【0021】
精白米では玄米から繊維分が糠として取り除かれてしまうことから、本発明ではこの繊維分を残すために3から5分づき米を用いたものであり、玄米では表皮が堅固なので発芽させたものである。
【0022】
また、大豆とともに麦を蒸煮して混合してもよく、塩としてミネラルが多く含まれる天然塩がよい。
なお、海藻を乾燥粉末にしたもの又はエキスを添加混合するのがよい。
海藻にはヨウ素成分が多く含まれているからである。
更に、上記味噌を杉の木製の桶樽に入れて6ヶ月以上熟成させると発酵性が向上し、味噌の表面に白色の粉がふいてくる。
この白色の部分にアミノ酸の1つであるチロシンが豊富に含まれている。
杉の木製の桶樽の場合に通気性があり6ヶ月で充分に発酵熟成するが、望ましくは1〜2年かけた方がよい。
【0023】
このようにして得られた味噌は、チロシンが豊富で放射線障害軽減効果が期待されることから、エキス化し、飲料にして、あるいはエキスを飲料に添加して飲むこともできる。
この場合に蜂蜜と組み合わせてもよい。
また、菓子類に添加してサプリメントにすることもできる。
【発明の効果】
【0024】
従来から杉の木で造った桶樽を味噌の製造に使用することは行われていたが、最近では殆ど使用されなくなってきている。
本発明においては発芽玄米あるいは3〜5分づき米を用いた米麹と杉樽の組み合わせにて風味が良く、発酵性が高く、放射線障害軽減効果及び前癌病変抑制効果の高い味噌が得られたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
玄米を20〜30℃の水に2日間浸すとわずかに芽が出る。
これを蒸煮後放冷し、約30〜40℃になると麹菌を接種し、この温度に保温しつつ2〜3日保持すると米麹が得られる。
なお、発芽玄米の替わりに3〜5分づき米を用いてもよい。
【0026】
上記米麹に対して、約1.5〜2.5倍重量の蒸煮後潰した大豆を混合する。
なお、大豆と麦が半々になる位に蒸麦を潰して混合するとよい。
更には海藻を粉末にしたものを加える。
また、上記混合物に対して重量1/4〜1/5の天然塩を混合する。
これを杉の木で造られた桶樽に入れて室温にて熟成させる。
3ヶ月位から表面に白い粉が生じはじめる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(表1)味噌20kgに対する画分別収量を示す。
【図2】(表2)味噌画分による小腸腺窩再生を示す。
【図3】(表3)摂餌量並びに体重を示す。
【図4】(表4)味噌画分によるACFの出現差を示す。
【図5】(表5)本実験の味噌画分まとめを示す。
【図6】(グラフ1)生存率の推移を示す。
【出願人】 【識別番号】502321319
【氏名又は名称】有限会社食養の杜とやま
【識別番号】392030771
【氏名又は名称】松村 文子
【出願日】 平成15年8月11日(2003.8.11)
【代理人】 【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一

【公開番号】 特開2005−58076(P2005−58076A)
【公開日】 平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願番号】 特願2003−291797(P2003−291797)