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【発明の名称】 煮熟魚または蒸煮魚のほぐし装置とほぐし身製造方法
【発明者】 【氏名】原田 春土
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の素株式会社内

【氏名】麻生 唯白
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の素株式会社内

【氏名】松永 辰美
【住所又は居所】静岡県焼津市東小川2丁目1番10号 株式会社柳屋本店内

【氏名】坂本 工
【住所又は居所】静岡県焼津市東小川2丁目1番10号 株式会社柳屋本店内

【氏名】青木 利之
【住所又は居所】静岡県焼津市惣右衛門1320番地の1 株式会社かつお技術研究所内

【要約】 【課題】原料魚を煮熟後ほぐして焙乾し魚節を製造するための、煮熟魚の身部分の筋隔面を表面に露出させて適当な大きさに確実にほぐすことを可能ならしめるほぐし身の製造装置の提供。

【解決手段】水平状態に配設した、ピンが平行位置に数列取付けられた回転ロールとこのピンに対向させた、水平からの下方角度10〜30度の位置、好ましくは15〜25度の位置に取付けた固定ピンを具備したことを特徴とする煮熟魚または蒸煮魚のほぐし装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平状態に配設した、ピンが平行位置に数列取付けられた回転ロールとこのピンに対向させた、水平からの下方角度10〜30度の位置、好ましくは15〜25度の位置に取り付けた固定ピンを具備したことを特徴とする煮熟魚または蒸煮魚のほぐし装置。
【請求項2】
該固定ピンがその先端に、すべり落ち防止機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の煮熟魚または蒸煮魚のほぐし装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のほぐし装置を用い、かつ煮熟後または蒸煮後の魚の品温を20〜90℃、好ましくは30〜80℃でほぐしを行うことを特徴とする煮熟魚または蒸煮魚のほぐし身の製造法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚節の製造に際し、香りのバランスの良い魚節を得ることができる、煮熟魚または蒸煮魚のほぐし装置およびこれを使用するほぐし身の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平5−192111号公報
【特許文献2】特開平11−244719号公報
【特許文献3】特開平5−201983号公報
魚節は、一般に、節用原料魚(カツオ、ソーダカツオ、マグロ、サバ、イワシ、アジなど)の頭、腹皮、内臓を除去して、小型魚では3枚に下ろして左右2つの片身に生きりし(亀節)、大型魚では3枚に下ろした片身をそれぞれ背側と腹側に身割りして4つに生切りしてから(本節)、煮熟し焙乾処理をおこなって製造されることは周知の通りである。
【0003】
また、製造作業を効率化するために、節用原料魚の頭、腹皮、内臓を除去したのち生切りをせずに、先ず煮熟し、次いで煮熟魚を、左右2つに割るか、更に背側と腹側の4つに割ってから、焙乾処理をおこなって製造されることも知られている。
【0004】
近年カツオ、ソーダカツオ、マグロ、サバ等の魚節は、だしパックや風味調味料、あるいは麺つゆなどの風味原料として、多く使用されるようになってきたが、上記魚節は一般に高価であり、コスト面から使用量が限定される為、これらを用いた製品は香りや風味の点で不十分なことが多い。
【0005】
近年、従来の節類の製造方法を改良して、魚節の燻の香り、風味を増強する方法が多く報告されており、特開昭55−68242号公報記載のように原料魚を煮熟した後、0.5〜5cmの厚さに切り焙乾を行う方法、特開昭55−120739号公報記載のように原料魚を煮熟後 平均粒径5mm以下に細粒化して焙乾を行う方法、特開昭55−159749号公報記載のように原料魚を煮熟後にサイレントカッター等を用い、3〜15mmにほぐした後焙乾を行う方法、特開平11−187811号公報記載のように原料魚を切断機により厚み10〜20mmのブロック状に切断後煮熟し焙乾を行う方法、特開昭58−76043号公報記載にあるように焙乾開始後1〜15時間後に節を細片化し、更に燻煙、乾燥する方法が知られている。
【0006】
いずれの方法でも、焙乾前に細分化し、魚肉部の表面積を大きくすることにより、燻煙香は強くなるが、細かすぎるために燻香とロースト香のバランスがくずれ、焦げ臭が強くなり風味原料としての好ましい香りが得られない。焙乾途中で細片化する方法は、焙乾庫から取り出し、細片化後焙乾庫に再投入する必要がある等、生産性の面で課題がある。また、者熟魚を裁断し輪切りにし細片化(10〜20mmのブロック)して焙乾を行った場合は、燻香り、ロースト香りも弱く、目標の品質は得られなかった。
【0007】
このように、従来の魚節製造方法では、風味原料として魚節らしい香り風味を十分に得られることができず、また魚節の香りを強めるために安易に焙乾期間を長くしても、香りの強まり方は少なく、さらに生産効率が悪化することもあり実用性が非常に乏しかった。
【0008】
また原料魚を生の状態で細かな輪切りにして煮熟、焙乾処理する方法も見られるが、煮熟時に多量のエキス分が流出してしまうため、味、風味に乏しい魚節になってしまう欠点があった。煮熟後に繊維状にほぐしたり、細かなチップ状に切断し、焙乾処理する場合でも、燻煙臭は強まるものの、魚節らしい香りのバランスは崩れてしまっていた。さらに細かくほぐした後に水や煮汁等を噴霧し、焙乾処理しても、魚節らしい香りのバランスは崩れたままであった。
【0009】
魚節の香りのバランスについては、川口らの報告(日本食品科学工学会誌48号,No.8,570〜577;2001年)にあるように、フェノール類による燻煙臭とピラジン類によるロースト臭のバランスが好ましいことが必要であるが、従来の技術では、主に燻煙臭のみが強化され、香りのバランスが悪かった。
【0010】
本発明者は、前述した課題を解決することを目的とし、鋭意検討した結果、節用原料魚を煮熟したのち、この煮熟魚の肉身部分についていわゆる筋隔面が露出するように、さらに長さ4〜20cmになるようにほぐしてから焙乾処理することにより、従来にはない、香りバランスを保持しつつ香りを強化することに成功した。さらには、節用原料魚を煮熟して前述のようにほぐしたのち、その表面に含窒素化合物を含む動植物抽出液を付着させてから焙乾処理をすることにより、非常に香りのバランスが良い、香りや風味の強化された魚節を得ることに成功した。そして、このような知見に基づいて節用原料魚を煮熟または蒸煮したのち、腹筋面を露出させ、かつ、長さ4〜20cmになるように煮熟魚または蒸煮魚の肉身部分をほぐしてから焙乾処理することを特徴とする魚節の製造方法、及びこのような魚節の製造方法であって、煮熟魚をほぐしたのち、その表面に含窒素化合物を含む動植物抽出液を付着させてから焙乾処理することを特徴とする魚節の製造方法を完成し、これについて既に特許出願した(特願2003−206921)。
【0011】
なお、以下、文脈上別意に解されない限り、単に煮熟というときはこれに蒸煮を含め、そして単に煮熟魚というときはこれに蒸煮魚を含めた意味でこれらの術語をもちいることがある。
【0012】
さて、魚をほぐす、あるいはフレーク化する方法としては、特開平5−192111号公報(前掲特許文献1)記載のように蒸した魚を液中でほぐす方法、特開平11−244719号公報(前掲特許文献2)記載のように2本の回転カッターと同回転カッターの下に固定カッターを設けた装置により細片化する方法、特開平5−201983号公報(全掲特許文献3)記載のように2軸エクストルーダーを用いて魚肉をフレーク化する方法、などが知られている。また、魚のあら、魚介類残渣等の破砕、ほぐし機として、2軸に取り付けられた特殊形状歯が回転し交互に噛合って細断する方式の正和工業(株)製「ミルマスター」、庄田機工(株)製の2軸噛合破断機等が知られている。液中でほぐす方法は、焙乾前のほぐし方法としては、水中へのロス、水の処理等課題が多い。また、他の方法は、細かくなりすぎる、裁断面が刃により鋭利に切断されている等筋隔の露出が十分でない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記特願2003−206921明細書に開示の魚節の製造方法において使用するのに有用な、煮熟魚の身部分の筋隔面を表面に露出させ、適当な大きさに確実にほぐすことを可能ならしめる煮熟魚のほぐし装置およびこれを使用するほぐし身の製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、煮熟後の魚のほぐし身の製造方法について鋭意検討を重ねた結果、水平状態に配設した、ピンが平行位置に数列取付けられた回転ロールとこのピンに対向させた、水平から下方角度10〜30度の位置、好ましくは15〜25度の位置に取付けた固定ピンとを具備したほぐし装置によれば、煮熟魚の身部分の筋隔面を表面に露出させて、適当な大きさに確実にほぐし身を製造できることを見出し、このような知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は水平状態に配設した、ピンが平行位置に数列取付けられた回転ロールとこのピンに対向させた、水平から下方角度10〜30度の位置、好ましくは15〜25度の位置に取付けた固定ピンとを具備したことを特徴とする煮熟魚のほぐし装置、およびこのような装置を使用する煮熟魚のほぐし身製造法に関する。
【0016】
【発明の実施態様】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
前掲特願2003−206921号明細書に開示されているように、魚節の製造に際してはその品質面から、煮熟魚をほぐす時に身部分の筋隔面を露出させておこなう事が重要である。
【0018】
本発明のほぐし装置は、中心軸を回転軸として回転する円筒状本体の外周面に平行に数列に配設したピンを具備する回転ロールと、その回転ピンに対向させて固定ピンを具備したものである。固定ピンの角度は特に大切である。固定ピンの、水平位置からの下方角度は10〜30度、好ましくは15〜25度が適当で、角度が大き過ぎると煮熟魚はほぐされることなくピンの間を落下してしまい、一方、小さすぎると、煮熟魚の折られた面が切断された形状を示し、目標とする筋隔面の表面露出が不十分である。
【0019】
回転ピンおよび固定ピンの形状は、ほぐし面が裁断状や切断状にならない丸棒、角棒等が好ましい。回転ロールのピンの間隔および固定ピンの間隔は、煮熟魚のサイズにより最適な寸法を選択する。
【0020】
更に、固定ピンの先端に魚体の滑り落ち機構を設けることにより、煮熟魚のより確実なほぐしとほぐし身のサイズの均一化が可能である。滑り落ち防止のためのピン先端の形状は、ほぐし身の巻きつき等による付着物の成長がない、円錐状や曲がりを具備した先端形状が好ましい。
【0021】
【実施例】
以下、図面を参照しながら、本発明のほぐし装置とほぐし身製造方法を詳説する。
【0022】
図1は本発明の煮熟魚のほぐし装置の1例の平面視による説明図、そして図2は、側面視による説明図である。
【0023】
図1および図2に示すように、本発明に係るほぐし装置は、基台フレーム上に回転ロールに取付けられた回転ピンと固定ピンを互いに対向させて設けてあり、回転ロールは電動モーターにより駆動され、回転する。回転ロールには、長さ90mmのピンがロール軸方向に90mmの等間隔に、ロール円周方向に60度の等角度に6本設けられている(合計18本)。固定ピンは、長さ120mmで、中心から左右50mm、130mmの距離に、水平から下方20度の角度の位置に合計4本設けてある。回転ロールとフレーム(固定ピン根元)の間隔は95mmである。
【0024】
回転ピンおよび固定ピンはいずれも径10mmの丸棒である。固定ピンには図3に示すようにその先端に、魚体の滑り落ち防止用の曲がりを設けた。
【0025】
この回転ピンおよび固定ピンによって、中心から左右とも、50−40−40mmのピン間隔が形成される。このピン間隔は、煮熟魚のサイズが中から中大(長さ230〜280mm)に適していた。適当なピン間隔は、煮熟魚のサイズにより異なり、煮熟魚サイズ小(160〜190mm)では、40−40−30mmが適していた。
【0026】
煮熟魚は、原料投入部から魚体を体長方向を回転ロールの回転軸に平行にして投入され、回転ピンに伴われて移動し固定ピンに衝突する。固定ピンが支えになり、回転ピンが煮熟魚を押し折る。その際に、固定ピンおよびその先端の曲がり(すべり落ち防止機構)が抵抗になり、煮熟魚にズリ応力が発生し、煮熟魚の身部分の筋隔面を効率良く露出させ、魚体をほぐす。
【0027】
回転ロールの回転速度は、速や過ぎると、ピンの衝撃力が煮熟魚に強く働くため、煮熟魚を押し折る力が強過ぎ、筋隔面の表面への露出が不十分であり、また、細かな小片の発生が多くなり、目標のほぐし身が得られない。一方、回転ロールの回転数が遅すぎると、煮熟魚の処理能力が低下し、生産性の面から実用性に劣る。適当な回転ロールの回転速度は、回転ピン先端の周速で0.2〜0.8m/秒であった。
【0028】
固定ピンの角度は、ズリ応力と密接な関係があり、水平面からの角度が10度以下では、ズリは発生せず、煮熟魚は押し折られるだけで、筋隔面の表面への露出が十分でない。また、30度以上では、煮熟魚は押し折られずに、固定ピンをすべり落ちてしまう。従って、固定ピンの水平からの傾斜角度は、10〜30度であり、好ましくは15〜25度である。このような条件でほぐしを行うと、煮熟魚は回転ピンに伴われて固定ピン上を滑りながら押し折られるため、適度なズリ応力が発生し筋隔面の露出およびほぐし身寸法とも焙乾に最適なものが得られた。得られたほぐし身は最大長4〜20cmのものが75重量%であった。
【0029】
また、固定ピンの先端に曲がりを設け、煮熟魚の滑り落ち防止することも、ほぐし及びほぐし身寸法の均一化に効果的であった。
【0030】
ほぐす時の煮熟魚の温度(魚体中心品温)も重要なポイントであり、温度が低すぎると、得られたものはブロック状で、筋隔面の表面露出が充分でない。また、高すぎると、煮熟魚が脆く、得られたものは、小片になってしまう。筋隔面を表面に露出させて、適度な大きさのほぐし身を得るのには、煮熟魚の温度が20〜90℃好ましくは30〜80℃が適切であった。
【0031】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係る装置を使用する煮熟魚のほぐし方法によれば、煮熟魚の身の部分の筋隔面部分を表面に露出させて、最大長で4〜20cmと適度な大きさのほぐし身ができる為、このほぐし身の焙乾品は、燻香およびロースト香が適度に増強され、香りのバランスが優れた焙乾品が得られる。また、大型魚および小型魚の区別なく本方法のほぐし装置によりほぐすことにより、同寸法のほぐし身が得られ、ほぐした後焙乾を行うことにより、均一な品質なものが得られる。
【0032】
また、本発明のほぐし装置を使用する本発明のほぐし方法は、装置が安価で、簡単に行えるため、製造コスト面からも有利であり、風味原料のほぐし装置として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の煮熟魚のほぐし装置の1例の平面視による説明図である。
【図2】上記ほぐし装置の側面視による説明図である。
【図3】上記ほぐし装置における固定ピンの先端(すべり落ち防止機構)を示す。
【出願人】 【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目15番1号
【識別番号】392027988
【氏名又は名称】株式会社柳屋本店
【住所又は居所】静岡県焼津市東小川2丁目1番10号
【識別番号】599040388
【氏名又は名称】株式会社 かつお技術研究所
【住所又は居所】静岡県焼津市惣右衛門1320番地の1
【出願日】 平成15年8月13日(2003.8.13)
【代理人】 【識別番号】100064687
【弁理士】
【氏名又は名称】霜越 正夫

【識別番号】100102668
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 憲生

【公開番号】 特開2005−58015(P2005−58015A)
【公開日】 平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願番号】 特願2003−207446(P2003−207446)