| 【発明の名称】 |
下味付きジャガイモ加工品の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 謙太郎 【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キユーピー株式会社研究所内
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| 【要約】 |
【課題】安定した品位の味付けジャガイモを提供する。
【解決手段】剥皮したジャガイモを、0.05〜0.5質量%の乳酸カルシウムを含む水溶液で接液処理した後、0.5〜5.0質量%の乳酸カルシウムを含む調味液ともに加熱処理することを特徴とする下味付きジャガイモの製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 剥皮したジャガイモを、0.05〜0.5%の水溶性カルシウムを含む水溶液で接液処理した後、0.5〜5.0%の水溶性カルシウムを含む調味液とともに加熱処理することを特徴とする下味付きジャガイモ加工品の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、煮崩れを起こし難い下味の付けられたジャガイモの加工品の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 おでんは秋から冬場において需要が高まり、近年は特にコンビニエンスストアー等の重要商材となっている。その中でもジャガイモは大根等と並び野菜の具材として人気が高く、多くの店舗が導入を図っているが、煮崩れが容易に発生しやすく、特に3時間以上の長時間高温の調味液に浸して保管を行うような場合には、おでんの煮汁を混濁させ見栄えを悪くすることがあり、場合によってはおでん全体の商品価値を低下させる問題を発生させていた。 このような問題を解決するための従来方法としては、特開平1−124364号公報(特許文献1)に開示されているように、水溶性カルシウム化合物の水溶液にジャガイモ等の野菜を予め浸漬する方法がある。 【0003】 しかし、上記従来法によれば剥皮後のジャガイモを水溶性カルシウム化合剤の水溶液に単に浸漬するものであるため、カルシウム水溶液の濃度が高いか、或いは浸漬時間が長い場合には、ジャガイモの表面が硬くなりすぎ、調味液で煮込んだ際に、ジャガイモ内部まで味が染み込まず美味しくないという問題がある。 一方、ジャガイモを浸漬するカルシウム水溶液の濃度が低いか或いは浸漬時間が短い場合には、煮崩れを十分に防止することができないものである。 したがって、調味液で長時間煮込んでも煮崩れし難く、かつ内部まで調味料の味がしみこみ美味しいジャガイモ加工品は得られていないのが実情である。 【0004】 【特許文献1】特開平1−124364号公報 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 そこで本発明の目的は、調味液中で長時間煮込んでも煮崩れし難く、かつ内部まで調味料の味がしみこんでいるために、商品価値の高い煮込み料理を製することができる、ジャガイモ加工品の製造方法を提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明者は、その目的を達成すべくジャガイモの処理方法について鋭意研究を重ねた結果、丸のままのジャガイモを剥皮した後、水溶性カルシウムを含む水溶液中で接液処理し、さらに接液処理時よりも高濃度のカルシウムを使用した調味液ともに加熱処理することによりジャガイモに適度な下味が付くとともに煮崩れをし難くなることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0007】 すなわち、本発明は、剥皮したジャガイモを、0.05〜0.5%の水溶性カルシウムを含む水溶液で接液処理した後、0.5〜5.0%の水溶性カルシウムを含む調味液とともに加熱処理することを特徴とする下味付きジャガイモ加工品の製造方法を提供するものである。 【0008】 【発明の実施の形態】 以下本発明を詳述する。尚、本発明において「%」とは、特に断りのない限り「質量%」を意味する。 本発明において「ジャガイモ」とは地下茎の先端が肥大した塊茎を食用とするナス科の一年生作物で、数十種の品種がありいずれの品種を用いることも可能であるが、いわゆる「男爵」や「さやか」と呼ばれる品種がほくほく感があり旨みもあり好ましい。 【0009】 本発明の実施に当たっては、まず原料のジャガイモを用意する。サイズに特定はないが、一個当りの重量で75〜115g目安のジャガイモをそろえることが好ましい。これは、製したジャガイモ加工品を保存のために殺菌を行なう場合には一定の大きさにそろえておくことで、殺菌後の食感を均一にすることができ好ましいからである。尚、ジャガイモの剥皮は、手作業により、あるいは機械により行なうことができるが、ジャガイモの褐変を防止し品位を保持する観点からスチームピーラーを用いることが好ましい。なおスチームピーラーを用いる場合には、高温(180〜220℃)かつ短時間(20秒以内)で剥皮処理することにより、生に近いジャガイモの状態を保持することができる。 【0010】 次に予め用意しておいた水溶性カルシウムを含む水溶液(以下「カルシウム水溶液」ともいう)中で接液処理を行なう。ここで、「接液処理」とは、剥皮処理後のジャガイモの表面全体がカルシウム水溶液と接触した状態となるように処理することをいい、例えば予め用意したカルシウム水溶液中にジャガイモを浸漬するか、あるいはジャガイモ表面全体にカルシウム水溶液を噴霧する方法等を採用することができる。ここで水溶性カルシウムとは塩化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム等を任意に用いることができるが、無味に近く味覚に影響を及ぼさない乳酸カルシウムが好ましい。接液処理する際の水溶性カルシウムの濃度は0.05〜0.5%が好ましく0.08〜0.3%がより好ましい。0.05%以下では煮崩れを防止する効果に乏しく、一方0.5%を越えるとジャガイモの表面が固くなりすぎるからである。接液処理時間は、1時間以上6時間以内が好ましい。接液処理時間が1時間に満たない場合、ジャガイモが煮崩れしやすくなる傾向があり、また6時間以上では表面が固くなりすぎさらに水溶性カルシウムの味が残りジャガイモ本来の風味が弱くなる傾向があるからである。尚、 カルシウム水溶液にL−アスコルビン酸ナトリウムを添加しておけば、ジャガイモの褐変を防止することができるため好ましい。 【0011】 次に別途調味液を用意する。調味液としては、例えば濃縮おでん等のたれを清水で適宜に希釈しこれに水溶性カルシウムを加えて溶解したものを使用すれば良い。なおその際、水溶性カルシウムの濃度が0.5〜5.0%となるように調整することが好ましく、1.0〜3.0%がより好ましい。0.5%に満たない場合、ジャガイモが煮崩れをおこし易くなり、一方5.0%を越えると固くなりすぎる傾向があるからである。 【0012】 次に接液処理したジャガイモと上記調味液を任意の量で、耐熱性のある容器等に密封充填して90℃前後で60分前後、湯中で加熱処理する。調味液と一緒に加熱することにより、調味液がジャガイモに浸透することにより下味が付けられ、また場合によっては加熱処理を行なうことにより、殺菌もすることができる。 【0013】 以下、本発明の実施例を述べる。なお本発明はこれらに限定されるものではない。 【実施例】 実施例1 1個当り75〜115gのジャガイモを用意し、200℃のスチームピーラーにおいて約20秒で剥皮を行った。次に清水でL−アスコルビン酸0.1kg、清水200kgの水溶液に乳酸カルシウム濃度0.01%、0.05%、0.10%、0.15%、0.30%及び0.70%となるように溶解した6種類の水溶液をそれぞれ作り、これらに上記剥皮済みのジャガイモを約1時間浸漬して接液処理した。次いで、市販のおでんのたれ50kgを清水48kgで希釈し、これに乳酸カルシウムを濃度2%となるように溶解した調味液を製造した。 そして、外層をナイロンとし、内層をポリエチレンとしてある2層フィルムからなる袋に、上記接液処理済みのジャガイモ3個ずつと上記調味液15gを充填した。充填後調味液が袋全体に行き渡るように袋のヘッドスペースを脱気した後に密封した。 次に、得られた袋詰めのジャガイモを91℃の熱湯に60分間浸漬して加熱処理を行い、その後、ジャガイモの中心品温が10℃以下になるように7℃の冷水で約60分程度冷却を行い、6種類の下味付きのジャガイモ加工品を得た。 得られたジャガイモ加工品を各々袋から取り出し、おでんのたれを同量の清水で希釈し温度を90度まで上昇させた調味液にて保温し、1時間後及び3時間後に煮崩れ及び硬さの状況を確認した。その結果、浸漬の際、乳酸カルシウム濃度0.05%、0.10%、0.15%、0.30%とした4種類全てのジャガイモ加工品について1時間後及び3時間後ともども煮崩れはなく、硬さもジャガイモのほくほくした食感を有しており好ましいものであった。またジャガイモ加工品の内部まで調味液の味が染み込んでおり、食味が良好であった。 一方、0.01%接液液では煮込み後3時間すると煮崩れがあり、また0.70%接液液ではジャガイモの硬さが1時間後では喫食に適さない硬いものまた内部まで調味液の味が染み込んでいないものが見られた。 【0014】 実施例2 1個当り75〜115gのジャガイモを用意し、200℃のスチームピーラーにおいて約20秒で剥皮を行った。次に清水でL−アスコルビン酸0.1kg、清水200kgの水溶液に乳酸カルシウム濃度0.15%となるように溶解した水溶液を作り、これらに上記剥皮済みのジャガイモを約1時間浸漬して接液処理した。次いで、市販のおでんのたれ50kgを清水48kgで希釈し、これに乳酸カルシウムを濃度0.10%、0.50%、1.00%、2.50%及び7.00%となるように溶解した調味液を製造した。 そして、外層をナイロンとし、内層をポリエチレンとしてある2層フィルムからなる袋に、上記接液処理済みのジャガイモ3個ずつと上記調味液15gを充填した。充填後調味液が袋全体に行き渡るように袋のヘッドスペースを脱気した後に密封した。 次に、得られた袋詰めのジャガイモを91℃の熱湯に60分間浸漬して加熱処理を行い、その後、ジャガイモの中心品温が10℃以下になるように7℃の冷水で約60分程度冷却を行い、5種類の下味付きのジャガイモ加工品を得た。 得られたジャガイモ加工品を各々袋から取り出し、おでんのたれを同量の清水で希釈し温度を90度まで上昇させた調味液にて保温し、1時間後及び3時間後に煮崩れ及び硬さの状況を確認した。その結果、調味液に乳酸カルシウムを溶解する際に、0.10%の場合には1時間後が若干そして3時間後には相当の煮崩れがみられた。しかし0.50%の場合には1時間後及び3時間後に若干の煮崩れはあるものの商品として提供するのに問題ないものであり、また1.00%及び2.50%の場合は1時間後及び3時間後ともども煮崩れはなく、硬さもジャガイモのほくほくした食感を有しており好ましいものであった。またジャガイモ加工品の内部まで調味液の味が染み込んでおり、食味が良好であった。一方調味液に乳酸カルシウムを溶解する際に、7.00%の場合には1時間後は硬くて喫食に適しておらずまた内部まで調味液の味が染み込んでいないものが見られた。 【0015】 比較例 1個当り75〜115gのジャガイモを用意し、200℃のスチームピーラーにおいて約20秒で剥皮を行い、清水200kgの水溶液に乳酸カルシウム濃度2.0%となるように調整した水溶液を作り、約15時間浸漬した。 得られたジャガイモを袋から取り出し、おでんのたれを同量の清水で希釈し温度を90度まで上昇させた調味液にて保温し、1時間後及び3時間後に煮崩れ及び硬さの状況を確認した。その結果、煮崩れは起こっていなかったが、表面が固く、ジャガイモ加工品の内部まで調味液の味が染み込んでおらず、食味が悪かった。 【0016】 実施例1及び実施例2を表1に表した。 【表1】
【0017】 なお、表中の記号を以下に示す 煮崩れ ○煮崩れを起していない。 △ひび割れ等の煮崩れを起しているが問題はない程度である ×茹で溶けを含む煮崩れを起しており商品価値がない 硬さ ○ジャガイモ全体に特有のホクホク感があり調味液の浸漬もしっかりしている状態。 △食感にばらつきがある、或いは調味液の浸漬が一定ではない状態。 ×舌と歯茎で潰れるほどで食感がない状態又は硬くて喫食に適さない状態。 総合評価 ○煮崩れ及び硬さの評価結果両方が○のみの組み合わせであるもの。 △煮崩れ及び硬さの評価結果が○が3つと△の組み合わせであるもの。 ×煮崩れ及び硬さの評価結果のどちらかに×があるもの。 【0018】 表1より、丸のままのジャガイモを200℃以上のレトルトスチームピーラーで剥皮をし、芽取りをし、L−アスコルビン酸ナトリウム及び乳酸カルシウムを含む水溶液中で1〜6時間接液処理し、接液処理の際の水溶液よりも高濃度の乳酸カルシウムを加えた調味液ともに容器詰めをし、加熱処理し冷却後、冷蔵保管した外観の保持、味覚の安定に効果のあることが理解できる。 【0019】 【発明の効果】 以上述べたとおり、本発明は、煮崩れを起さずに商品価値を維持し、できるだけ長時間に渡り品質の安定した、下味付きジャガイモを製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001421 【氏名又は名称】キユーピー株式会社 【住所又は居所】東京都渋谷区渋谷1丁目4番13号
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| 【出願日】 |
平成15年8月8日(2003.8.8) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−58002(P2005−58002A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月10日(2005.3.10) |
| 【出願番号】 |
特願2003−206919(P2003−206919) |
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