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【発明の名称】 グロビン蛋白分解物含有飲料及びその製造方法
【発明者】 【氏名】荒川 久美子
【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内

【氏名】藤田 尚孝
【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内

【氏名】杉山 謙吉
【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内

【氏名】与語 健太郎
【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内

【氏名】杉山 和久
【住所又は居所】東京都港区芝5−33−1 森永製菓株式会社内

【要約】 【課題】グロビン蛋白分解物の生理活性を有効に活用した飲料組成物を提供する。

【解決手段】グロビン蛋白分解物を含有する、血中脂肪低減用の麦茶飲料組成物、グロビン蛋白分解物と茶系フレーバー及び/又は麦茶エキスとを含有する、血中脂肪低減用茶飲料組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グロビン蛋白分解物を含有する血中脂肪低減用麦茶飲料組成物。
【請求項2】
グロビン蛋白分解物と茶系フレーバー及び/又は麦茶エキスとを含有する、血中脂肪低減用茶飲料組成物。
【請求項3】
茶飲料がプーアル茶、緑茶、紅茶及びウーロン茶飲料よりなる群から選ばれる少なくとも一つの茶飲料である、請求項2に記載の血中脂肪低減用茶飲料組成物。
【請求項4】
茶系フレーバーが、麦茶系、ロースト系、緑茶系及びジャスミン茶系フレーバーよりなる群から選ばれる少なくとも一つの茶系フレーバーである、請求項2または3に記載の血中脂肪低減用茶飲料組成物。
【請求項5】
グロビン蛋白分解物がグロビン蛋白質のプロテアーゼ分解物又は酸加水分解物である、請求項1乃至4に記載の飲料組成物。
【請求項6】
グロビン蛋白質の加水分解物が、アミノ酸配列がValValTyrProであるオリゴペプチドを含む、請求項1乃至5の何れかに記載の飲料組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、一定の風味を付与したグロビン蛋白分解物を含有する飲料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現代的食生活の負の影響として、いわゆる高脂血症、特に血中トリグリセリド(以下、TGと称する)に悩む者が年齢、性別を問わず増加していることが、盛んに報告されている。この高脂血症の一つの原因が脂肪や糖質の過剰摂取であると言われていることから、単純にこれらの要因となり得る食品の摂取あるいはその摂取量を制限するいわゆるダイエット行為や、脂肪や糖質を殆ど含まないダイエット食の摂取、あるいは積極的に運動を行って摂取カロリーを消費することで血中TG濃度を抑制するなどの試みが、個人レベルで盛んに行われている。しかし、これらの対処法の多くは持続すること自体が困難であることは、経験的に知られるところである。
【0003】
一方、例えばデキストラン硫酸、ニコモールあるいはブラバスタチン等を投与して、治療の一環として高脂血症を解消することも行われている。しかし、この治療の範疇に入る行為は医師の処方ならびに指示の下で行わねばならず、本人が簡便にかつ日常的に行い得る方法であるとは言い難い。従って、簡便にかつ日常的に摂取し得る形態として、TGに代表される血中脂質の低減効果を奏する新たな飲食品の開発が待たれていた。
【0004】
安全に食することが出来、かつ血中脂質を低減する効果を有する物質として、蛋白質の加水分解物(例えば特許文献1)、特にグロビン分解物(特許文献2)が知られている。グロビン蛋白質としてはヘモグロビンやミオグロビンが挙げられるが、これらはいずれも食品成分として日常的に摂取しているもので、安全性には全く問題のない物質である。
【特許文献1】特公平5−87052号公報
【特許文献2】特許第2805194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グロビン分解物は、しかし、味覚的には魅力ある素材であるとは言えず、そのままでは、積極的にあるいは気軽に摂取するための飲食品として継続的な服用を促すことは難しい。特に、飲料として製造するに当たり必要となる加熱殺菌処理により、グロビン分解物の不快な臭い、味あるいは風味(以下、これらを苦味と称する)は増幅される傾向にある。そのため、グロビン蛋白分解物の苦味を適当な味や香りでマスキングし、継続して利用可能な飲食品として商品価値を高めることが必要である。特に、血中脂質の上昇は食後において顕著であることから、食中または食後の摂取に好適な嗜好性を高めることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、無糖または低カロリーという制限の下で、継続的服用ならびに食中食後の飲用に好適なグロビン蛋白分解物含有飲料の開発を試みた結果、麦茶あるいは特定の茶抽出液と茶系フレーバーを使用することで所望の飲料を調製できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、グロビン蛋白分解物を含有する麦茶飲料組成物に関し、また、グロビン蛋白分解物と茶系フレーバー及び/又は麦茶エキスとを含有する、血中脂肪低減用茶飲料組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、グロビン蛋白分解物の血中脂肪低減作用を損なうことなく、食中あるいは食後の飲料として好適な風味を付与する飲料組成物を、茶葉抽出液を利用して調製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
グロビン蛋白分解物とは、血中の代表的な蛋白質であるグロビンを適当な方法、例えばトリプシン等のプロテアーゼの利用による、あるいは酸による加水分解を行って調製した部分加水分解物をいい、公知の方法に従って調製することができる。このグロビン蛋白分解物には、血中の脂肪量を低減する作用を有していることが知られており、かかる分解物中に存在するValValTyrProというアミノ酸配列からなるオリゴペプチドが、最も高い生理活性を有している。
【0010】
血中の脂肪は、食事の摂取後に有意に上昇する。そのため、このオリゴペプチドを含有するグロビン蛋白分解物の生理活性を有効に活用するためには、食事を摂取中、あるいは食後に、同分解物を服用することが望ましい。しかし、グロビン蛋白分解物は独特の苦味を有しており、食中食後の摂取には不適である。
【0011】
本発明は、このグロビン蛋白分解物の独特な苦味を、固有の生理活性を損なうことなく、特定の茶抽出液あるいは茶フレーバーを用いて極めて有効にマスキングした、かつ食中食後の摂取に有利な風味を有する嗜好性の高い飲料に関する。
【0012】
本発明で使用に適した茶抽出液は、麦茶、プーアル茶、緑茶、紅茶及びウーロン茶の各抽出液である。これらは、グロビン蛋白分解物の生理活性を損なうことなく、食中あるいは食後の飲料として好適な風味を付与することができる。特に好ましい茶抽出液は麦茶またはその濃縮物である麦茶エキスであり、グロビン蛋白分解物の苦味は、この麦茶または麦茶エキスの使用によりほぼ完全にマスキングすることができる。
【0013】
本発明における麦茶飲料とは、大麦を代表とする麦類を炒ったものを煎じて得られる飲料またはこの飲料を濃縮して得た麦茶エキスを再び薄めた飲料をいう。また、本発明における茶飲料とは、植物の葉、茎、実などの部分を必要に応じて発酵あるいは炒るなどの処理を施した後に水や湯で抽出したものをいう。茶原料として利用可能な植物としては、例えば杜仲茶、蓮の葉、ドクダミ、甜茶、コーン、はと麦、大豆、黒豆、バナバ、グアバ、ラフマ、熊笹、蓬、銀杏、紫蘇、ウコン、甘茶、メグスリの木、桑、ギムネマシルベスタ、マテ、柿の葉、カキドオシ、アガリスク、びわの葉、スギナ、アマチャヅル、クコ、羅漢果、サンザシ等を挙げることができる。
【0014】
本発明では、特に中国種、アッサム種、ヤブキタ種などのツバキ科の葉を処理したものから抽出して得られる飲料の利用が好ましい。具体的には、緑茶とは茶葉を発酵処理しないもの、紅茶とは茶葉を強発酵させたもの、プーアル茶とは麹菌の使用により茶葉を後発酵させたもの、ウーロン茶とは茶葉中に存在する酵素によって半発酵させたもの、それぞれから水や湯などの溶媒によって抽出して得られる飲料を言う。
【0015】
茶飲料の抽出は、各種茶葉から適当な温度の水又は熱水を用いて抽出すれば良く、抽出温度、茶(葉)使用量、水又は熱水の使用量等には特別の制限はないが、茶の風味を有効に抽出するには、60℃〜100℃の熱水を用い、茶(葉)量1%程度で1分〜10分間抽出することが好ましい。また、抽出液は、そのままでも、あるいは適当に濃縮あるいは希釈して用いてもよい。
【0016】
本発明では、プーアル茶、緑茶、紅茶及びウーロン茶の各茶飲料にグロビン蛋白分解物を添加する際に、茶系フレーバー及び/又は麦茶エキスをさらに加えることで、グロビン蛋白分解物の苦味をマスキングすることができる。
【0017】
本発明で使用する茶系フレーバーは、天然抽出成分あるいは合成された化合物を単独であるいは混合して得られる、各種茶の香味を呈する香料成分を言う。これらは広く市販されており、そのままあるいは適宜混合比率あるいは内容物を変更して容易に調製され、提供されている。これらの使用量は、各種フレーバーを単独あるいは組合せて使用する場合に応じて変化するが、実際にはグロビン蛋白分解物の苦味をマスキングできる量であればよい。
【0018】
本発明の飲料組成物は、グロビン蛋白分解物を麦茶飲料に、あるいはグロビン蛋白分解物と各種フレーバーを緑茶等の茶飲料に混合溶解することで、簡便に調製することができる。飲料組成物中のグロビン蛋白分解物の含有量には特別の制限はないが、血中脂肪の低減効果を確保しつつかつ茶葉抽出液等による苦味のマスキング効果を得るためには、0.1〜5.0重量%、好ましくは0.2〜1.0重量%が適当である。
【0019】
また、緑茶、紅茶、ウーロン茶の各茶葉抽出液にグロビン蛋白分解物を溶解すると白濁が生することがある。かかる場合には、各茶葉の抽出液のタンニン及び/又はカテキンの含有量を0〜0.07重量%として、グロビン蛋白分解物と茶系フレーバー等とを混合することが好ましい。
【0020】
茶葉抽出液等のタンニン含有量は、茶葉からの抽出時間、茶葉量、抽出温度などを適宜少なくあるいは低くすることで調節することができる。また、茶葉抽出液にポリビニルポリピロリドン(PVPP)、カゼイン、アルブミン等を添加して、タンニン等を沈殿除去させても良い。使用するPVPP等の量は、茶葉抽出液に含まれるタンニン等の総量によって適宜決定すればよいが、概ね最終濃度が0.5〜2.0重量%となるようにPVPP等を茶葉抽出液に添加し、室温で30分間攪拌した後に生じる沈殿を遠心分離又はろ過等により除去する方法が簡便である。なお、茶葉抽出液中のタンニン等の含有量の決定は、酒石酸鉄比色法などの一般的な方法により決定することができる。
【0021】
また、本発明の飲料組成物には、グロビン蛋白分解物の血中脂質低下作用を損なわない程度に、飲料組成物に普通に添加することのできる種々の成分、例えばクエン酸ナトリウム、重曹などの添加剤、糖類などの栄養成分、ビタミン、ミネラルなどの生理活性成分等を加えることができる。
【0022】
以下、本発明を更に非限定的な実施例によって詳細に説明する
【実施例1】
【0023】
麦茶を茶葉量1%で5分間熱水(90℃)抽出し、麦茶抽出液を得た。その抽出液にアスコルビン酸ナトリウムを0.02%、グロビン蛋白分解物を0.5%となるようそれぞれ添加し、190mlのスチール製缶に充填後、125℃で20分間殺菌処理を行い、グロビン蛋白分解物含有麦茶飲料を調製した。
【実施例2】
【0024】
プーアル茶を茶葉量1%で5分間熱水(90℃)抽出し、プーアル茶抽出液を得、ここにアスコルビン酸ナトリウムを0.02%、グロビン蛋白分解物を0.5%となるようそれぞれ添加した。フレーバー等を添加しないもの(飲料2A)、麦茶フレーバーを0.1%添加したもの(飲料2B)、麦茶エキスを0.2%添加したもの(飲料2C)、ならびに麦茶フレーバー及び麦茶エキスを0.1%及び0.2%添加したもの(飲料2D)を、それぞれスチール製缶に充填後、125℃で20分間殺菌処理を行った。
【実施例3】
【0025】
プーアル茶を茶葉量1%で5分間熱水(90℃)抽出し、プーアル茶抽出液を得、ここにアスコルビン酸ナトリウムを0.02%、グロビン蛋白分解物を0.5%となるようそれぞれ添加した。さらに緑茶フレーバー、ローストフレーバー、ジャスミン茶フレーバーをそれぞれ0.1%となるように添加した飲料(飲料3A〜3C)を用意し、スチール製缶に充填後、125℃で20分間殺菌処理を行い、各飲料を調製した。
【実施例4】
【0026】
緑茶を茶葉量1%で5分間熱水(90℃)抽出して緑茶抽出液を得、さらにアスコルビン酸ナトリウムを0.02%となる様に添加した。ここに、ポリビニルポリピロリドン(PVPP、五協産業社製)を最終濃度が1%となるように緑茶抽出液に添加し、室温で30分間攪拌後、ろ紙を用いてPVPPと共にカテキン類を除去した。処理後のカテキン類は6.5mg%であった。
【0027】
PVPP処理を行った抽出液にグロビン蛋白分解物を0.5%となるよう添加した飲料(飲料4A)、さらに麦茶フレーバー、緑茶系フレーバー、ロースト系フレーバー、ジャスミン茶系フレーバーを各0.1%添加し、スチール製缶に充填後、125℃で20分間殺菌処理を行い、各茶飲料(飲料4B〜4E)を調製した。
【実施例5】
【0028】
紅茶を茶葉量1%で5分間熱水(90℃)抽出して茶葉抽出液を得、さらにアスコルビン酸ナトリウムを0.02%となる様に添加した。ここに、ポリビニルポリピロリドン(PVPP、五協産業社製)を最終濃度が1%となるように紅茶抽出液に添加し、室温で30分間攪拌後、ろ紙を用いてPVPPと共にカテキン類を除去した。処理後のカテキン類は9.7mg%であった。
【0029】
PVPP処理を行った抽出液にグロビン蛋白分解物を0.5%となるよう添加した飲料(飲料4F)、さらに麦茶フレーバー、緑茶系フレーバー、ロースト系フレーバー、ジャスミン茶系フレーバーを各0.1%添加し、スチール製缶に充填後、125℃で20分間殺菌処理を行い、各茶飲料(飲料4G〜4J)を調製した。
【実施例6】
【0030】
ウーロン茶を茶葉量1%で5分間熱水(90℃)抽出して茶葉抽出液を得、さらにアスコルビン酸ナトリウムを0.02%となる様に添加した。ここに、ポリビニルポリピロリドン(PVPP、五協産業社製)を最終濃度が1%となるようにウーロン茶抽出液に添加し、室温で30分間攪拌後、ろ紙を用いてPVPPと共にカテキン類を除去した。処理後のカテキン類は2.5mg%であった。
【0031】
PVPP処理を行った抽出液にグロビン蛋白分解物を0.5%となるよう添加した飲料(飲料4K)、さらに麦茶フレーバー、緑茶系フレーバー、ロースト系フレーバー、ジャスミン茶系フレーバーを各0.1%添加し、スチール製缶に充填後、125℃で20分間殺菌処理を行い、各茶飲料(飲料4L〜4O)を調製した。
【0032】
<試験例1>
以下の試験例では、全て125℃で20分間殺菌処理した飲料を用いた。
実施例1で調製した麦茶飲料、実施例2で調製した飲料2A、実施例4〜6で調製した飲料4A、4F及び4Kについて、グロビン蛋白分解物のみを最終濃度が0.5%となるように溶解した水溶液をコントロールとして、5名のパネラーによるグロビン蛋白分解物の苦味マスキングに関する官能性試験を行った結果を表1に示す。評価は、0:コントロールと同じ、1:ややマスキングされている、2:ほぼマスキングされている、3:完全にマスキングされている、のいずれかに判定されたときの点数表示で行った。
【0033】
表1
パネラー A B C D E 平均
麦茶飲料 3 2 3 2 2 2.4
飲料2A 1 1 1 2 1 1.2
飲料4A 1 1 1 2 1 1.2
飲料4F 0 0 1 1 2 0.8
飲料4K 1 1 1 1 1 1.0
【0034】
<試験例2>
飲料2A、すなわちフレーバー成分を加えないグロビン蛋白分解物含有プーアル茶飲料をコントロールとし、実施例2で調製した飲料2B〜2Dについて、5人のパネラーについてグロビン蛋白苦加水分解物の苦味マスキング能の官能性試験を行った。評価は、0:コントロールと同じ、1:ややマスキングされている、2:ほぼマスキングされている、3:完全にマスキングされている、のいずれかに判定されたときの点数表示で行った。その結果を表2に示す。
【0035】
表2
パネラー A B C D E 平均
飲料2B 1 1 2 1 2 1.4
飲料2C 1 1 1 2 1 1.2
飲料2D 2 2 3 2 1 2
【0036】
<試験例3>
実施例3で調製した飲料3A〜3Dについて、試験例2と同様にして、飲料2Aすなわちフレーバー成分を加えないグロビン蛋白分解物含有プーアル茶飲料をコントロールとして、官能性試験を行った。その結果を表3に示す。
【0037】
表3
パネラー A B C D E 平均
飲料3A 1 2 0 2 2 1.4
飲料3B 2 2 3 2 2 2.2
飲料3C 2 2 3 3 3 2.6
【0038】
<試験例4>
実施例4で調製した飲料4A〜4Eについて、試験例2と同様にして、すなわち、フレーバー成分を加えないグロビン蛋白加水分解物含有緑茶飲料である飲料4Aを飲料4B〜4Eに対するコントロールとして、5人のパネラーについてグロビン蛋白加水分解物の苦味マスキング能の官能性試験を行った。評価は、0:コントロールと同じ、1:ややマスキングされている、2:ほぼマスキングされている、3:完全にマスキングされている、のいずれかに判定されたときの点数表示で行った。その結果を表4に示す。
【0039】
表4
パネラー A B C D E 平均
飲料4B 2 1 3 0 2 1.6
飲料4C 1 2 3 0 3 1.8
飲料4D 2 1 3 0 2 1.6
飲料4E 3 2 3 0 3 2.2
【0040】
実施例5で調製したフレーバー成分を加えないグロビン蛋白加水分解物含有紅茶飲料である飲料4Fを飲料4G〜4Jに対するコントロールとして、実施例6で調製したフレーバー成分を加えないグロビン蛋白加水分解物含有ウーロン茶飲料である飲料4Kを飲料4L〜Oに対するコントロールとして、グロビン蛋白分解物の苦味マスキングに関する官能性試験を5人のパネラーについて行った結果(5人の平均点)を、表5に表す。
【0041】
表5
平均点 平均点
飲料4G 1.6 飲料4L 1.8
飲料4H 2.0 飲料4M 1.8
飲料4I 1.4 飲料4N 1.4
飲料4J 2.2 飲料4O 2.4
【0042】
<試験例5>
実施例2で調製した飲料2A(フレーバー成分を含まないグロビン蛋白分解物含有プーアル茶飲料)をコントロールとして、実施例1で調製した麦茶飲料、実施例2で調製した飲料2B、2C及び2Dの各香気成分を、Chrompackサーマルデソープション・コールド・トラップインジェクション(TCT)法により測定した。
【0043】
各飲料20mlを100ml容ナス型フラスコにサンプリングし、同フラスコ中のヘッドスペース香気成分を50℃、窒素下に70ml/分で50分通気してTenas管に吸着させた。このTenas管をTCTに取り付け、シーケンスコントロールにより香気成分をGC/MSに導入し、分析した。また、必要に応じて各フラクション成分の香りの確認をした。
【0044】
コントロール、麦茶飲料、飲料2B、飲料2C及び飲料2Dの各クロマトグラムを図1−1〜図1−5にそれぞれ示す。
【0045】
コントロールにおいてグロビン蛋白分解物由来のピーク(2)、(6)、(7)、(8)(グロビン蛋白分解物由来の未知物質であり、不快臭の要因成分と想定される)が、また飲料2Aにおいてプーアル茶とグロビン蛋白分解物との混合により生じるピーク(4)(好ましくないフレーバー)が、それぞれ観察される。
【0046】
一方、麦茶抽出液(図1−2)では上述の各ピークは殆ど認められない。また、飲料C(図1−3)、飲料2B(図1−4)ならび飲料2D(図1−5)でも、麦茶フレーバーあるいは麦茶エキスを重ねて添加使用することにより、上記の各ピークが大きく減少していることがわかる。
【0047】
また、(1)〜(8)を除くピーク成分のうち、リテンションタイム(RT)が2分〜10分までのピーク成分含量の合計を低沸点成分と、RT10分〜16分までのピーク成分含量の合計を中沸点成分と、RT16分〜30分までのピーク成分含量の合計を高沸点成分とし、それぞれの値をGC/MSの検出器MS強度(Intensity)の積算値として求めた。
【0048】
各飲料におけるピーク(2)、(4)、(6)、(7)、(8)と低沸点成分、中沸点成分ならびに高沸点成分のGC/MSの検出器MS強度(Intensity)の積算値をまとめたのが図2である。コントロールに比して、各飲料ともピーク(2)、(4)、(6)、(7)、(8)の強度は約10〜20%にまで減少していることがわかる。一方、各沸点成分の積算値には殆ど変化がないか、逆に1.5倍〜2.9倍に上昇している。このことは、グロビン蛋白分解物に由来する好ましくない不快臭の低減とフレーバー成分によるマスキング効果とが相乗的に効果を奏していることを表している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1−1】図1−1は、実施例2の飲料2AのTCTクロマトグラムを表す。
【図1−2】図1−2は、実施例1の麦茶飲料のTCTクロマトグラムを表す。
【図1−3】図1−3は、実施例2の飲料2CのTCTクロマトグラムを表す。
【図1−4】図1−4は、実施例2の飲料2BのTCTクロマトグラムを表す。
【図1−5】図1−5は、実施例2の飲料2DのTCTクロマトグラムを表す。
【図2】図2は、各飲料における低、中、および高沸点成分のMS強度の積算値を示す。
【出願人】 【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝5丁目33番1号
【出願日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【代理人】 【識別番号】100062007
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 義雄

【識別番号】100113332
【弁理士】
【氏名又は名称】一入 章夫

【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠

【識別番号】100103920
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 勝真

【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明

【公開番号】 特開2005−46083(P2005−46083A)
【公開日】 平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願番号】 特願2003−282371(P2003−282371)