| 【発明の名称】 |
酸性水中油型乳化組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】中島 義信 【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内
【氏名】河合 滋 【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内
【氏名】工藤 尚人 【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内
|
| 【要約】 |
【課題】酵素処理卵黄を使用した場合でも、熟成後のコク味発現が優れ、まろやかな風味を呈する高ジグリセリド含量の酸性水中油型乳化組成物を提供する。
【解決手段】ジグリセリドを30重量%以上含有する油脂、及びエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼから選ばれる酵素で処理された酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化組成物において、抗酸化剤を、油脂を含む油相に対して1000〜10000ppm、且つ酵素処理卵黄の卵黄純分に対して0.4〜4.5の重量比となるように添加する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ジグリセリドを30重量%以上含有する油脂、及びエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼから選ばれる酵素で処理された酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化組成物であって、抗酸化剤が、油脂を含む油相に対して1000〜10000ppm、且つ酵素処理卵黄の卵黄純分に対して0.4〜4.5の重量比で含有されることを特徴とする酸性水中油型乳化組成物。 【請求項2】 更に、乳化剤を含有する請求項1記載の酸性水中油型乳化組成物。 【請求項3】 抗酸化剤が、トコフェロール類およびトコトリエノール類から選ばれる1種または2種以上である請求項1又は2項記載の酸性水中油型乳化組成物。 【請求項4】 乳化剤が、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種または2種以上である請求項2又は3記載の酸性水中油型乳化組成物。 【請求項5】 更に、植物ステロール類を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の酸性水中油型乳化組成物。 【請求項6】 ジグリセリドを構成する脂肪酸のうち、トランス型不飽和脂肪酸の含有量が5重量%以下である請求項1〜5のいずれか1項記載の酸性水中油型乳化組成物。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、特にマヨネーズ様調味料、ドレッシング様調味料に好適に使用される高ジグリセリド含量の酸性水中油型乳化組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 これまでドレッシング、マヨネーズ等の酸性水中油型乳化組成物の乳化安定性、耐熱性等を向上させる目的で、酵素処理卵黄を用いた技術が提案されている(特許文献1〜4)。 【0003】 一方、ジグリセリドには、肥満防止作用、体重増加抑制作用等を有することが明らかになっており(特許文献5、6)、植物ステロールとの組合せで血中コレステロール値を低下させる効果も見出されている(特許文献7)。このほか、ジグリセリドとホスホリパーゼ処理卵黄や結晶抑制剤等を組合せることにより、外観、物性が良好な酸性水中油型乳化組成物が開示されている(特許文献8〜10)。 【0004】 ところで、卵黄を用いた酸性水中油型乳化組成物は、「熟成」と称し、製造後特定の条件で保存することにより、よりコクのあるまろやかな風味に変わることが知られており(非特許文献1)、しかも、この熟成後の風味が商品の品質的価値を大きく左右する。ところが、上記酵素処理卵黄を用いた酸性水中油型乳化組成物は、乳化安定性、耐熱性等には優れるものの、特にジグリセリド含量の高い油脂を用いた場合、熟成後のコク味が不足する傾向にあった。 【特許文献1】特開昭62−29950号公報 【特許文献2】特開平1−199559号公報 【特許文献3】特開平11−289979号公報 【特許文献4】特開2002−171931号公報 【特許文献5】特開平4−300826号公報 【特許文献6】特開平10−176181号公報 【特許文献7】国際公開WO99/48378号パンフレット 【特許文献8】特開2001−138号公報 【特許文献9】特開2002−176952号公報 【特許文献10】特開2002−176953号公報 【非特許文献1】マヨネーズ・ドレッシングの知識、今井忠平、幸書房、1993年 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 したがって本発明は、酵素処理卵黄を使用した場合でも、熟成後のコク味発現が優れ、まろやかな風味を呈する高ジグリセリド含量の酸性水中油型乳化組成物を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、ジグリセリドを30重量%以上含有する油脂、及びエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼから選ばれる酵素で処理された酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化組成物において、抗酸化剤が、油脂を含む油相に対して1000〜10000ppm、且つ酵素処理卵黄の卵黄純分に対して0.4〜4.5の重量比で含有されることを特徴とする酸性水中油型乳化組成物を提供するものである。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、体脂肪蓄積抑制効果を有する高ジグリセリド含有油脂と酵素処理卵黄とを使用した酸性水中油型乳化物において、特定量の抗酸化剤を添加することで、熟成後の風味を顕著に向上することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明者は、酵素処理卵黄を使用した場合でも、熟成後の風味が改善された高ジグリセリド含量の酸性水中油型乳化組成物とすることについて検討したところ、抗酸化剤を特定量添加することで、熟成後のコク味発現が優れ、まろやかな風味を呈する高ジグリセリド含量の酸性水中油型乳化組成物が得られることを見出した。更に乳化剤を併用することで、一層熟成後のコク味が優れ、まろやかな風味が得られることを見出し、本発明に至った。 【0009】 抗酸化剤を特定量添加することにより上記効果が得られる理由は明らかでないが、以下のように推測できる。 【0010】 即ち、卵黄のタンパク質は、その殆どが脂質と複合化したリポタンパク質として存在している。酵素処理卵黄は、このリポタンパク質に含まれる脂質を部分的ないし全体的に酵素で分解処理したものである。従って、リポタンパク質としての構造は概ね維持しているものの、本来の(未酵素処理卵黄の)リポタンパク質とは異なった組成や立体構造を有していると考えられる。 【0011】 酸性水中油型乳化物の熟成は、卵黄や香辛料由来のプロテアーゼの作用により、卵黄タンパク質が緩やかに分解を受けることによると云われている。ジグリセリド高含有乳化物の場合、酵素処理卵黄を使用して熟成風味が発現し難くなっているのは、トリグリセリドに比べてジグリセリドの極性が高く、酵素処理されたリポタンパク質の立体構造に変化が生じやすいことに起因すると推測される。すなわち、リポタンパク質が立体構造的に、これらプロテアーゼの作用を受けにくくなっている、または、プロテアーゼによる分解を受ける部分が変化していることによるものと考えられる。 【0012】 これに対して抗酸化剤が有効である理由は定かではないが、酵素処理されたリポタンパク質内に抗酸化剤が取り込まれ、リポタンパク質との相互作用が生じやすくなって、酵素処理リポタンパク質の微視的な構造を変え、これらプロテアーゼの作用を受けやすくしているのではないかと考えられる。この際、さらに乳化剤が存在することで、リポタンパク質との相互作用がより生じやすくなり、熟成後の風味が一層向上するものと考えられる。 【0013】 本発明においては、酵素処理卵黄に用いられる酵素にはエステラーゼ、リパーゼおよびホスホリパーゼが規定され、プロテアーゼ活性が無いことが必須である。プロテアーゼを故意に使用した場合、苦味が発生し、好ましくない。 【0014】 酵素処理卵黄を用いた酸性水中油型乳化物については、特開2002−171931号公報に植物ステロールを添加した例があるが、この場合は、特定濃度の抗酸化剤と組み合わせても熟成風味の向上が認められない。これはホスホリパーゼ(PL)A2の加熱失活処理の際、卵黄の凝固防止を目的として、プロテアーゼを併用しているため、本発明で推察される機構から、本発明の熟成風味向上効果が発揮できないためと考えられる。よって本発明とは本質的に異なるものである。 【0015】 本発明の酸性水中油型乳化組成物に用いる油脂中のジグリセリド含量は、工業的生産性、生理効果の点から、30重量%(以下単に%と記載する)以上であり、好ましくは35〜100%、更に50〜99.9%、特に70〜95%、殊更75〜95%であるのが好ましい。ジグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数は8〜24、特に16〜22であるのが、風味、安定性の点で好ましい。また不飽和脂肪酸残基の量は、全脂肪酸残基の55%以上が好ましく、更に70〜100%、特に90〜98%、殊更93〜98%であるのが、生理効果、工業的生産性の点で好ましい。 【0016】 また、近年世の中の健康志向を背景に、油脂中の脂肪酸の健康への影響について多数の研究がなされており、飽和酸と共にトランス型不飽和脂肪酸の摂取を控えようとする傾向がある("The New England Journal of Medicine" , USA, the Massachusetts Medical Society, 1999年、340巻、25号、p.1933-1940;U.S. FDA、“Questions and Answers about Trans Fat Nutrition Labeling”、[online]、インターネット<URL:http://www.cfsan.fda.gov/~dms/qatrans2.html>;「第6次改定 日本人の栄養所要量(厚生省)」)。 【0017】 上記背景から、ジグリセリドを構成する脂肪酸のうち、トランス型不飽和脂肪酸の含有量は5%以下であることが好ましく、更に4%以下、特に0.1〜3.5%であることが風味、乳化性、生理効果、工業的生産性の点から好ましい。トランス型不飽和脂肪酸の少ないジグリセリドとするためには、製造工程において低熱履歴とすることが好ましい。例えば、原料脂肪酸中から飽和脂肪酸を低減させる場合には、蒸留等の操作ではなく、ウィンタリング等によることが好ましい。また、脂肪酸とグリセリンを反応させてジグリセリドを製造する場合も、化学合成法ではなく、酵素法によることが好ましい。なお、ジグリセリド中のトランス型不飽和脂肪酸の含有量の測定は、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f-96(GLC法)により行った。 【0018】 油脂には、ジグリセリド以外に、トリグリセリド、モノグリセリド、遊離脂肪酸等を含有してもよい。油脂中のモノグリセリドの含量は、乳化性、風味、工業的生産性の点から5%以下であるのが好ましく、更に0〜2%、特に0.1〜1.5%であるのが好ましい。モノグリセリドの構成脂肪酸は、工業的生産性の点で、ジグリセリドの構成脂肪酸と同じであるのが好ましい。 【0019】 油脂中の遊離脂肪酸(塩)の含量は、乳化性、風味、工業的生産性の点で1%以下であるのが好ましく、更に0〜0.5%、特に0.05〜0.2%であるのが好ましい。 【0020】 油脂中のトリグリセリドの含量は、生理効果、乳化性、風味、工業的生産性の点で70%以下であるのが好ましく、より好ましくは0〜65%、更に0.1〜50%、特に3.3〜29.85%、殊更3.3〜24.85%であるのが好ましい。 【0021】 ジグリセリドは、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、ゴマ油、綿実油、なたね油、サフラワー油、大豆胚芽油、小麦胚芽油、パーム油、オリーブ油、グレープシード油、などの植物油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド、動物油脂の少なくとも1種の油脂とグリセリンとのエステル交換反応、又は少なくとも1種の上記油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応等任意の方法により得られる。反応方法は、アルカリ触媒等を用いた化学反応法、リパーゼ等の油脂加水分解酵素を用いた生化学反応法のいずれでもよい。 【0022】 また、本発明に用いる油脂は、冷蔵庫等の低温で保存された場合でも、結晶化、固化が起こらないように、融点が20℃以下、更に15℃以下であることが好ましい。 【0023】 本発明で用いる酵素処理卵黄は、生、凍結、粉末、加塩、加糖等任意の形態の卵黄を酵素処理したものでよく、また卵白を含んだ全卵の形態で酵素処理して配合してもよい。また、超臨界炭酸ガス抽出等によりコレステロールを除去または低減した卵黄も使用してもよい。 【0024】 本発明の酸性水中油型乳化組成物で用いる卵黄の含有量は、風味、乳化性の観点から、液状卵黄換算で5〜20%であるのが好ましく、更に7〜17%、特に8〜15%、殊更10〜15%であるのが好ましい。 【0025】 当該卵黄の酵素処理に用いる酵素は、エステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはリパーゼ、ホスホリパーゼ、更にホスホリパーゼであるのが好ましい。ホスホリパーゼの中でも、特にホスホリパーゼA、殊更ホスホリパーゼA1及び/又はA2が好ましい。なお、本発明においては、プロテアーゼ処理は必要としない。 【0026】 上記酵素による処理条件は、乳化物で使用する卵黄の全部に酵素処理卵黄を用いる場合、全リン脂質中のリゾリン脂質の重量比率(以下リゾ比率と記載する)がリン量基準で15%以上、好ましくは25〜75%、更に好ましくは29〜65%となるような処理条件を選択すればよい。具体的には、酵素添加量は、酵素活性が10000IU/mLの場合、卵黄に対して0.0001〜0.1%、特に0.001〜0.01%とするのが好ましく、反応温度は20〜60℃、特に30〜55℃とするのが好ましく、反応時間は1時間〜30時間、特に5時間〜25時間とするのが好ましい。また乳化物で使用する卵黄の一部に酵素処理卵黄を用いる場合、酵素未処理卵黄と酵素処理卵黄の合計のリゾ比率が上記範囲となるように酵素処理条件を選択すればよい。かかる酵素処理は、各原料を混合して乳化処理する以前の段階で行うことが好ましい。 【0027】 本発明の酸性水中油型乳化組成物で用いる抗酸化剤は、食品用途で使用できるものであればいずれでもよい。例えば、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ターシャリーブチルヒドロキノン(TBHQ)等の合成抗酸化剤、トコトリエノール類、トコフェロール類の他、没食子酸、ルチン、ケルセチン、カテキン、ローズマリー抽出物等の天然抗酸化剤を1種または2種以上使用することができる。 【0028】 これらのうち、特にトコトリエノール類、トコフェロール類を用いるのが好ましく、殊更トコフェロール類を用いるのが、風味、酸化安定性、コスト、ジグリセリド含有油脂への溶解性の点で好ましい。具体的にはα―トコトリエノール、β―トコトリエノール、γ―トコトリエノール、δ―トコトリエノール、α―トコフェロール、β―トコフェロール、γ―トコフェロール、δ―トコフェロール、及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。 【0029】 本発明においては、抗酸化剤純分の濃度は、油脂を含む油相に対して1000〜10000ppmであり、好ましくは1200〜8000ppm、特に1500〜5000ppm、殊更1800〜3000ppmであるのが、熟成後のコク味向上、全体の風味バランスの点で好ましい。しかも、抗酸化剤が、熟成後のコク味向上、全体の風味バランスの点から、酵素処理卵黄の卵黄純分に対して0.4〜4.5の重量比で含有され、好ましくは0.5〜3、更に 0.6〜2、特に0.7〜1.2であることが好ましい。また、これら抗酸化剤は油相、水相のどちらに添加してもよく、また、両方に分けて添加することも可能である。あるいは、酵素処理卵黄に添加、混合してもよく、酸性水中油型乳化組成物中に、酵素処理卵黄と抗酸化剤が共存していれば良い。尚、本発明で言うところの卵黄純分とは、10%加塩した状態の液状卵黄を指す。 【0030】 本発明において、乳化剤を使用することが好ましい。乳化剤は、抗酸化剤とあいまって、熟成後のコク味向上と、まろやかな風味発現に顕著に作用する。乳化剤の含有量は、熟成後の良好なコク味と、まろやかな風味発現、乳化性、乳化剤の風味の点から、油相に対して0.6〜5%であるのが好ましく、更に0.7〜3%、特に0.8〜2%であるのが好ましい。 【0031】 本発明で抗酸化剤と併用する乳化剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン等が挙げられるが、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種または2種以上のものが、風味、コスト、乳化安定性の点から好ましく、更にソルビタン脂肪酸エステル及び/又は、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。また、これら乳化剤は油相、水相のどちらに添加してもよく、また、両方に分けて添加することも可能であるが、油相に添加するのが、風味の点で好ましい。 【0032】 本発明で使用するソルビタン脂肪酸エステルにおいて、構成脂肪酸の炭素数は12〜22であるのが好ましく、更に14〜20であるのが好ましい。尚、本発明において、ソルビタン脂肪酸エステルには、ソルビトール脂肪酸エステルやソルビド脂肪酸エステルのほか、ポリソルベートも含まれる。また、HLB値が10未満であるのが好ましく、更に0.1〜7、特に0.5〜3、殊更1〜2.5であるのが好ましい。 【0033】 本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、グリセリンの平均重合度は2〜12であるのが好ましく、更に4〜10であるのが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数は12〜22であるのが好ましく、更に14〜20であるのがよい。ポリグリセリン水酸基の構成脂肪酸によるエステル化度は70〜100%であるのが好ましく、更に75〜95%、特に80〜90%であるのが好ましい。また、HLB値が10未満であるのが好ましく、更には0.1〜7、特に0.5〜4.5、殊更1〜3.5であるのが好ましい。 【0034】 本発明で使用するショ糖脂肪酸エステルにおいて、構成脂肪酸の炭素数は12〜22であるのが好ましく、更に14〜20であるのが好ましい。ショ糖水酸基の構成脂肪酸によるエステル化率は50〜100%であるのが好ましく、更に60〜95%、特に70〜90%であるのが好ましい。しかも、当該脂肪酸によりエステル化されていない水酸基がアセチル化されているものが好ましい。また、HLB値が10未満であるのが好ましく、更に0.1〜7、特に0.5〜3、殊更1〜2であるのが好ましい。 【0035】 本発明において、HLB値は、Griffinの式によって求められる値のことである(J.Soc.Cosmet.Chem.,1,311(1949))。 【0036】 本発明の酸性水中油型乳化組成物の水相には、水、米酢、酒粕酢、リンゴ酢、ブドウ酢、穀物酢、合成酢等の食酢、食塩、グルタミン酸ソーダ、コハク酸ソーダ等の調味料、砂糖、水飴等の糖類、酒、みりん等の呈味量、各種ビタミン、クエン酸等の有機酸及びその塩、香辛料、レモン果汁等の各種野菜又は果実の搾汁液、キサンタンガム、ジェランガム、グァーガム、タマリンドガム、カラギーナン、ペクチン、トラガントガム、大豆多糖類等の増粘多糖類、馬鈴薯澱粉等の澱粉類、それらの分解物及びそれらの化工澱粉類、大豆タンパク質、乳タンパク質、小麦タンパク質等、あるいはこれらタンパク質の分離物や分解物等、牛乳等の乳製品、各種リン酸塩等を配合することができる。本発明においては、目的とする組成物の粘度、物性等に応じて、これらを適宜配合できる。 【0037】 かかる水相のpHは、風味と保存性の点から2〜6であるのが好ましく、更に3〜5であるのが好ましい。水相のpH調整には、上記食酢、有機酸、有機酸塩、果汁類等の酸味料を使用できる。 【0038】 本発明の酸性水中油型乳化組成物の油相には、血中コレステロール低下作用を有する植物ステロール類を含有させるのが好ましい。ジグリセリドと植物ステロール類との併用により、血中コレステロール低下作用は相乗的に高まり、脂質代謝改善食品としての有用性を更に高めることができる。植物ステロール類としては、例えばα−シトステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、カンペステロール等が挙げられる。またこれらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、配糖体を用いることもできる。本発明においては、これらを一種以上用いることができる。本発明の酸性水中油型乳化物中の、植物ステロール類の含有量は、1.2〜10%であるのが好ましく、特に2〜5%であるのが好ましい。 【0039】 本発明の酸性水中油型乳化組成物において、油相と水相の重量比は、油相/水相=10/90〜80/20であるのが好ましく、更に20/80〜75/25、特に35/65〜70/30であるのが好ましい。 【0040】 本発明の酸性水中油型乳化組成物としては、例えば日本農林規格(JAS)で定義されるドレッシング、半固体状ドレッシング、乳化液状ドレッシング、マヨネーズ、サラダドレッシング、フレンチドレッシング等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではなく、広くマヨネーズ類、ドレッシング類といわれるものが該当する。 【0041】 本発明の酸性水中油型乳化組成物は、例えば以下の方法により製造することができる。まずジグリセリドを30重量%以上含有する油脂に植物ステロールや油溶性乳化剤、さらには抗酸化剤の一部または全部を混合して油相を調製する。また、一部または全部が酵素処理卵黄である卵黄、その他水溶性原料と、必要に応じ抗酸化剤の一部または全部を混合して水相を調製する。該水相に該油相を添加し、必要に応じて予備乳化した後、乳化機で精乳化することにより、酸性水中油型乳化組成物を得ることができる。当該精乳化機として、例えばマントンゴウリン、マイクロフルイダイザー等の高圧ホモジナイザー、超音波式乳化機、コロイドミル、ディスパミル、マイルダー等の高速回転式乳化機が挙げられ、なかでも制御の容易性の観点から高速回転式乳化機が好ましい。 【0042】 このようにして製造された乳化物は、更に熟成工程を経ることで、風味を向上することができる。熟成温度は、10〜35℃であるのが好ましく、更に15〜30℃、特に20℃〜28℃であるのが好ましい。熟成期間は、1〜10週間であるのが好ましく、更に2〜8週間、特に3〜6週間であるのが好ましい。熟成工程中は、振動等を与えず、乳化物を静置するのが好ましい。 【実施例】 【0043】 以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、実施例は本発明を何ら限定するものではない。 〔酵素処理卵黄の調製〕 食塩濃度10%の卵黄液850g、水135g、及び食塩15gを混合し、50℃に十分予熱した後、卵黄液に対して0.003重量%のホスホリパーゼA2(Lecitase10L;ノボ・ノルディスク・バイオインダストリー社製)を添加した。50℃にて20時間反応後、殺菌(63.5℃、3.5分)を行ないリゾ比率57%の酵素処理卵黄を得た。尚、リゾ比率の測定は特開2001−138号公報記載の方法に従った。 〔ジグリセリド高含有油脂の調製〕 大豆油脂肪酸をウインタリングにより飽和脂肪酸を低減させたもの455重量部とナタネ油脂肪酸195重量部とグリセリン107重量部の混合物に、リポザイムIM(ノボ・ノルディスク・バイオインダストリー社製)を加え、40℃、5時間エステル化反応を行なった。酵素を濾別した後、235℃で薄膜蒸留を行なった。次いで水洗後脱臭を行ない、ジグリセリド高含有油脂を得た。分析値を示す(グリセリド組成(wt.%): トリグリセリド;13.9、ジグリセリド;85.4、モノグリセリド;0.7、構成脂肪酸組成(wt.%): C16:0;3.1、C18:0;1.3、C18:1;38.1(cis38.0、trans0.1)、C18:2;47.8、(cis46.6、trans1.2)C18:3;8.3(cis6.2、trans2.1)、構成脂肪酸中のトランス酸含有量3.4%)。 実施例1〜9、比較例1〜6 前記ジグリセリド高含有油脂を用い、表1に示す配合で油相を調製した。次いで、醸造酢を除く水相原料を混合した水相を調製した。該水相を減圧下攪拌しながら油相を添加し、油脂添加終了後に醸造酢を添加して予備乳化を行った。次いで、コロイドミル(3000r/min、クリアランス0.35mm)で精乳化を行ない、体積平均粒径2.0〜3.5μmのマヨネーズ様調味料を製造した。これを、250gのソフトラミコンチューブに充填し、ヘッドスペースの空気を窒素置換してアルミシールを行なった。 【0044】 得られたマヨネーズを常温で1ヶ月保存後、20名のパネルにより、下記方法で風味評価を行なった。その結果を図1に示す。 〔風味評価方法〕 評価食としてレタスサラダを使用し、実施例1〜9及び比較例1〜6からランダムに選んだ1点とを試験マヨネーズとして無記名でパネルに渡し自由に試食してもらい、コク味及び総合評価としての風味(おいしさ)を、下記基準にて、官能で評価した。この評価を、全パネルがすべての試験マヨネーズを評価するまで行なった。評価結果を集計し、各サンプルの評点の平均値を求めた。 〔評価基準〕 5点:明らかに良い。 【0045】 4点:良い。 【0046】 3点:やや良い。 【0047】 2点:やや悪い。 【0048】 1点:悪い。 【0049】 0点:明らかに悪い。 【0050】 【表1】
【0051】 本発明品は、比較品に比べて、熟成後のコク味が顕著に増強され、風味が改善されていることが示された。 【図面の簡単な説明】 【0052】 【図1】実施例1〜9及び比較例1〜6の評価結果を示すグラフである。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000918 【氏名又は名称】花王株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
|
| 【出願日】 |
平成16年6月11日(2004.6.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087642 【弁理士】 【氏名又は名称】古谷 聡
【識別番号】100076680 【弁理士】 【氏名又は名称】溝部 孝彦
【識別番号】100091845 【弁理士】 【氏名又は名称】持田 信二
【識別番号】100098408 【弁理士】 【氏名又は名称】義経 和昌
|
| 【公開番号】 |
特開2005−27663(P2005−27663A) |
| 【公開日】 |
平成17年2月3日(2005.2.3) |
| 【出願番号】 |
特願2004−173429(P2004−173429) |
|