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【発明の名称】 新規抗カビ・静菌剤
【発明者】 【氏名】伊藤 政光

【氏名】松本 幸俊

【氏名】新井 里咲

【氏名】川越 真実

【氏名】青野 浩美

【要約】 【課題】食品に直接使うことができる安全な抗カビ・静菌剤を提供することを課題とする。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
30〜70%のエチルアルコール水溶液にテルペン系化合物を0.05%〜5%含んでいることを特徴とする抗カビ・静菌剤。
【請求項2】
請求項1に記載の抗カビ・静菌剤において、前記テルペン系化合物が0.1%〜0.7%含まれていることを特徴とする抗カビ・静菌剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載の抗カビ・静菌剤において、前記テルペン系化合物がリモネン、ピネン、シネオールまたはターピネオールであることを特徴とする抗カビ・静菌剤。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の抗カビ・静菌剤において、前記テルペン系化合物がアルファ−ターピネオールであることを特徴とする抗カビ・静菌剤。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の抗カビ・静菌剤において、グレープフルーツ種子抽出物由来脂肪酸フラボノイドが0.05〜3%の割合で添加されていることを特徴とする抗カビ・靜菌剤。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の抗カビ・静菌剤において、産業経済省発行の「アルコール使用の手引き」別表3記載の食品香料等が法律で規定した濃度で添加されていることを特徴とする抗カビ・靜菌剤。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の抗カビ・静菌剤において、成分が全て食品添加物からなることを特徴とする抗カビ・静菌剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、新規抗カビ・静菌剤に関し、更に詳細には、テルペン系炭化水素を含んでなる新規抗カビ・静菌剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、食品衛生において薬剤耐性菌の発生やレジオネラ菌の繁殖あるいは食品に用いた抗カビ剤の発ガン性の課題等、衛生上の問題から安全性が高く、もし可能であるなら食品に直接使うことができるほどの安全性の高い新規抗カビ・静菌剤が求められ、これまで非常に多くの静菌剤あるいは抗カビ剤が開発されてきた。しかしながら、前記目的にかなう抗カビ・静菌剤は見出されていないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、この発明の課題は、食品に直接使うことができるほどに安全性が高くなおかつ強力な抗カビ・殺菌作用を発揮する新規抗カビ・静菌剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決する為、鋭意努力した結果、食品添加物の香料として使われているリモネンなどの天然植物由来のテルペン系化合物に抗カビ・静菌作用があることを知り、かかるテルペン系化合物を含んだ抗カビ・静菌剤の開発を試みたところ、期待する効果が得られたので、この知見に基づいてこの発明を完成するに到った。
【0005】
したがって、この発明は、所定濃度のエチルアルコール水溶液に所定濃度のテルペン系化合物が含まれていることからなる新規抗カビ・静菌剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この発明に係る新規抗カビ・静菌剤は、30〜70%のエチルアルコール水溶液にテルペン系化合物を0.05%〜5%、好ましくは0.1%〜0.7%の割合で含んでいる。
【0007】
この発明のテルペン系化合物としては、食品添加物の香料として使われている天然植物由来、例えば、リモネン、ピネン、シネオール、ターピネオールなどが挙げられる。
これらのテルペン系化合物のうち、好ましいのはターピネオールであり、特に好ましいのはアルファ−ターピネオール(αーTerpineol)である。このターピネオールは、かかるテルペン系化合物の中では最も強い抗カビ・静菌作用を発揮するけれども、独特の臭いと、油性で水に溶解しないという特性を有している。
したがって、この発明においては、30〜70%のエチルアルコール水溶液に、アルファーターピネオールを0.05〜5%、好ましくは0.1%〜0.7%の割合で添加することにより、このターピネオールなどのテルペン系化合物を食品向けに抗カビ・静菌剤として使用することができるようにしている。
【0008】
また、この発明の抗カビ・静菌剤には、水溶性の抗カビ・静菌剤であるグレープフルーツ種子由来成分である脂肪酸フラボノイドを0.05〜3%の割合で添加することができる。
更に、この発明の抗カビ・静菌剤は、法律の規定による各種の食品添加物や食品香料等が添加されていてもよい。なお、この場合には、産業経済省発行の「アルコール使用の手引き」別表3記載の食品香料等が法律で規定した濃度で添加されているのがよい。
その上、この発明にかかる抗カビ・静菌剤において添加される成分は全て食品添加物として慣用されているものを用いることによって食品に直接使用することが可能となる。
【試験例】
【0009】
(試験方法)
この発明の抗カビ・静菌剤について、次のようにして静菌試験をした。
(1)供試菌
大腸菌(Escherichia coli IFO3972)
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus
IFO12732)
(2)試験菌数の調製
供試菌を普通寒天培地に移植し35℃で24時間培養した後、1白金耳を再度普通寒天培地に移植し35℃で20時間培養した。この菌を、0.05%ツイーン80を添加した1/500濃度普通ブイヨン培地に均一に分散させて調製した。
(3)試料の調製
試験品濃度が10%および1%となるように試験菌数を用いて調製した。
(4)試験操作
試料30mlを試験菌液100ml容三角フラスコに入れ、35℃で振とう培養した。なお、コントロールとして、試験菌液30mlを同様に試験した。
(5)菌数測定
経過時間毎に三角フラスコ中の試料1ml当りの生菌数をSCDLP寒天培地を用いて測定した。なお、生菌数測定時の希釈にはSCDLPブイヨン培地を使用した。
【実施例1】
【0010】
(大腸菌に対する静菌試験)
供試用抗カビ・静菌剤は、試験品を50%エチルアルコールに濃度がそれぞれ10%および1%になるように調製して、カマボコの練製品に噴霧して、上記試験例1に従って大腸菌に対する静菌試験をおこなった。生菌数を1時間後、9時間後および24時間後に測定した。その結果を下記表1に示す。
【0011】
【表1】


【実施例2】
【0012】
(黄色ブドウ菌に対する静菌試験)
供試用抗カビ・静菌剤は、試験品を50%エチルアルコールに濃度がそれぞれ10%および1%になるように調製して、カマボコの練製品に噴霧して、上記試験例1に従って黄色ブドウ菌に対する静菌試験をおこなった。生菌数を1時間後、9時間後および24時間後に測定した。その結果を下記表1に示す。
【0013】
【表2】


【実施例3】
【0014】
上記試験例にしたがって、50%エチルアルコールにアルファーターピネオール濃度がそれぞれ10%になるように調製した。
このようにして調製した試験液をかまぼこに噴霧して20℃で保存して、黒カビ(アスペルギルス.ニガー)の生育状態を調べた。その結果、この発明の試験液を噴霧した検体では、4日間保存してもカビのコロニー発生は認められなかった。なお、5日目には5/2の検体にカビのコロニーが発生した。これに対して、無噴霧の対照検体では、4日目には5/4の検体にカビのコロニー発生が認められた。
【実施例4】
【0015】
アルファーターピネオール0.2%と、グレープフルーツ種子由来脂肪酸フラボノイド0.3%と、50%エチルアルコールとを混合して、抗カビ・静菌剤を作製した。
上記で得られた抗カビ・静菌剤の液体をカマボコの練製品に噴霧して上記試験例にしたがって抗カビ試験と静菌試験とを行なった。その結果、上記実施例と同様の結果が得られた。
【実施例5】
【0016】
上記実施例と同様に、得られた抗カビ・静菌剤の液体をさつま揚げ、ハンペンおよび中華まんじゅうにそれぞれ噴霧して、上記試験例にしたがって抗カビ試験と静菌試験とを行なった。その結果、上記実施例と同様の結果が得られた。
【実施例6】
【0017】
アルファーターピネオール0.2%、グレープフルーツ種子由来脂肪酸フラボノイド0.3%、50%エチルアルコール、さらに経済産業省発行の「アルコール使用の手引き」別表3記載の食品香料No.1を前記100リットルにつき1kgの割合で添加して、抗カビ・静菌剤を作製した。
上記で得られた抗カビ・静菌剤の液体をカマボコ、さつま揚げ、ハンペンおよび中華まんじゅうにそれぞれ噴霧して上記試験例にしたがって抗カビ試験と静菌試験とを行なった。その結果、上記実施例と同様の結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0018】
この発明の抗カビ・静菌剤は、食品に直接使用することのできるとともに、食品衛生上極めて安全である。
【出願人】 【識別番号】000141509
【氏名又は名称】株式会社紀文食品
【識別番号】503247920
【氏名又は名称】コスモ通商株式会社
【識別番号】596142889
【氏名又は名称】バイオベンチャーバンク株式会社
【出願日】 平成15年7月9日(2003.7.9)
【代理人】 【識別番号】596142889
【氏名又は名称】バイオベンチャーバンク株式会社

【公開番号】 特開2005−27597(P2005−27597A)
【公開日】 平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願番号】 特願2003−272481(P2003−272481)