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【発明の名称】 茶風味増強剤
【発明者】 【氏名】松本 正樹
【住所又は居所】三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽化学株式会社内

【氏名】佐藤 俊成
【住所又は居所】三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽化学株式会社内

【氏名】大久保 勉
【住所又は居所】三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽化学株式会社内

【要約】 【課題】従来、茶風味増強の方法としては、茶フレーバーを添加する方法、茶の熱水抽出物を添加する方法ならびに抹茶粉末を添加する方法などがあるが、油溶性の香料は水系の飲料などに使用する場合、分散するための製剤化が必要となり、お茶の香り風味を付与することができても、お茶の旨味を強化することは難しい。また、茶熱水抽出物の場合、緑茶の旨味成分を効率良く得ることは難しく、その成分が原料茶に由来し、風味、味が異なる場合があり、非常にコストがかかる。抹茶を添加する方法では抹茶自体を食品に分散することが難しく、飲料などでは沈殿を生じる問題がある。本発明は、安価で味が良く、水系の飲料などにおいても沈殿しない茶風味増強剤を提供することを目的とする。

【解決手段】ポリフェノール類を低減させた茶抽出物を添加することで本課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェノール類を低減させた茶抽出物を含有することを特徴とする茶風味増強剤。
【請求項2】
茶抽出物の固形分中のポリフェノール含量が15%以下、カフェイン含量が1%以下であることを特徴とする請求項1記載の茶風味増強剤。
【請求項3】
茶抽出物の固形分中の糖質含量が40〜60%、ミネラル含量が15〜30%、遊離アミノ酸含量が4〜10%で、かつ、そのうちのテアニン含量が2〜5%であることを特徴とする請求項1又は2記載の茶風味増強剤。
【請求項4】
茶抽出物が茶の水又は熱水抽出物を酢酸エチル又はアセトンにより分配した際の水画分より分離精製されたものであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の茶風味増強剤。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の茶風味増強剤を含有することを特徴とする飲食品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、茶の旨味を有する茶風味増強剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、茶風味増強の方法としては、茶フレーバーを添加する方法、茶の熱水抽出物を添加する方法ならびに抹茶粉末を添加する方法などがある。
茶フレーバーの場合は油溶性の香料が多く、水系の飲料などに使用する場合、分散するための製剤化が必要となる。更に、お茶の香り、風味を付与することができても、お茶の旨味を強化することは難しい。
また、茶熱水抽出物の場合、旨味を取り出すためには、低温で抽出されたものをそのまま用いるか、もしくは濃縮、粉末化したものを再度溶解して用いられている。しかしながら、緑茶の旨味成分を効率良く得ることは難しく、その旨味成分が原料茶に由来し、風味が異なる場合がある。また、茶葉原料の品質や価格によって、その味は異なり、低価格の原料では苦味と渋味が強いお茶となってしまう。そのため、高品質の茶葉を利用し、かつ低温抽出など、抽出効率の低い方法で抽出することが必要になる。そのため、非常にコストがかかるのが現状である。
抹茶を添加する方法では抹茶自体を食品に分散することが難しく、飲料などでは沈殿を生じる問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、安価で味が良く、水系の飲料などにおいても沈殿しない茶風味増強剤を提供することにある。これにより茶飲料を初めとする嗜好性飲料さらには、一般食品への茶風味の付与、味のコントロールができ、産業上有益なものとなる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、茶抽出物からポリフェノールを低減させることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる茶抽出物の原料は、特に限定するものではなく、植物学的にはツバキ科の葉より製造される不発酵茶である緑茶、半発酵茶である烏龍茶、発酵茶である紅茶が挙げられる。それらの中で、好ましくは不発酵茶である緑茶を用いるのがよい。
【0006】
本発明の茶風味増強剤は、ポリフェノール類が低減されており、茶由来の風味成分を含有するものであれば、特に限定するものではない。
渋味成分であるポリフェノールを除去する方法としては抽出液にポリビニルポリピロリドンを添加する方法(特開平1−218550号)や凍結濃縮により脱水された水と一緒にポリフェノールを除去する方法(特開2002−325539)などが一般に知られており利用可能である。
【0007】
ここで、例えば、ポリフェノール類の採取を目的とした場合にあっては、茶の水又は熱水抽出物からポリフェノール類を抽出した後の残渣が、本発明の「ポリフェノール類を低減させた茶抽出物」に該当する。なお、ポリフェノール類は特定の有機溶媒に溶解しやすい性質を有しているため、例えば特定の有機溶媒を用いて分画を行ったときには大部分が有機溶媒側(非水溶性画分)に溶解し、水画分には殆ど含まれなくなる。つまり、茶葉を粉砕したものを、水または熱水で抽出し、それを酢酸エチル、アセトンなどの溶媒に分配した際の水移行画分より得たものである。また、近年においては、ポリフェノール類の有する種々の機能性に鑑みてポリフェノール類の利用度が高まってきており、ポリフェノール類を抽出した後の成分はいわば副産物(または残渣)として取り扱われ、殆ど有効利用されずにそのまま廃棄されていた。その点、本発明によると、これまで有効利用されずに廃棄されていた成分の有効利用が図られるため、茶風味増強剤を余すことなく利用できるようになり、経済性の向上及び廃棄物排出量の低減にもつながるという利点もある。
【0008】
上記の茶の水又は熱水抽出物の酢酸エチル又はアセトンによる分配品の水画分より分離精製する方法はポリフェノールと同時にカフェインを低減することができるため好ましい。
本発明におけるポリフェノール含量の測定方法については特に限定されることはないが、例えば酒石酸鉄比色法、フォーリンチオカルト法が挙げられ、好ましくは酒石酸鉄比色法が望ましい。また、味の面より固形分中15%以下であることが好ましく、更に10%以下であることが最も好ましい。
また、カフェインは、味の面より、少ない方が良く、茶風味増強剤の固形分中、2%以下であることが好ましく、更に1%以下であることが最も好ましい。苦味成分であるカフェインを取除く方法としては活性白土、酸性白土を用いた方法(特開平6−142405)などが一般に知られており利用可能である。カフェインの測定方法については特に限定されるものではないが例えば高速液体クロマトグラフイーが挙げられる。
【0009】
本発明における茶風味増強剤の成分とは、お茶由来のアミノ酸、糖類、ミネラルであり、その中でも、遊離アミノ酸が挙げられる。さらにお茶の風味を量る指標として、テアニン含量が挙げられる
本発明における遊離アミノ酸とは、茶業研究報告第63号(1986)に報告がある茶の全遊離アミノ酸類の新簡易定量法をも用いて分析される結果から得られるものである。
本発明における遊離アミノ酸含量は、特に限定するものではないが、茶風味増強剤の固形分中、4〜10%であることが好ましく、更に好ましくは6〜8%である。
本発明におけるテアニン含量は、特に限定するものではないが、茶風味増強剤の固形分中、2%以上であることが好ましく、更に好ましくは2〜5%である。
本発明における糖質含量は、特に限定するものではないが、茶風味増強剤の固形分中、40〜60%であることが好ましく、更に好ましくは45〜55%である。
本発明においてミネラルとは、茶に由来するミネラルを含むもののことを指し、具体的には、カリウム、カルシウム、リン、ナトリウム、マンガン、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛が含まれる。その含量としては固形分中の灰分として、10%以上であることが好ましく、更に好ましくは15%以上であり、最も好ましくは、15〜30%である。
【0010】
本発明における飲食品とは特に限定されるものではないが、日常飲食している飲食物であり、液状食品、ゲル状食品、固形食品が挙げられる。具体的には嗜好飲料、アルコール飲料、栄養ドリンク類、調味料、ゼリー、プリン、チョコレート、ガム、キャンディ、アイスクリーム、冷菓、焼き菓子、揚げ菓子、和菓子、洋菓子、乳製品、麺類、パン、魚肉、畜肉加工品、大豆加工品、ファットスプレッド、マーガリンなどが挙げられる。
【0011】
本発明の茶風味増強剤を飲食品に対して添加する際には水溶液の形でも、粉末状の形でも添加することができ、食品の形態、嗜好に応じて適宜決めることができる。添加量に関しては特に限定するものではないが、通常0.001〜40%であり、好ましくは0.05〜10%、さらに好ましくは0.1〜2%である。
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、これにより特に限定されるものではない。
【0012】
【実施例】
実施例1.茶風味増強剤の調製(1)
緑茶葉を1kgに対して熱水15kgを加え、90℃で30分間抽出し、茶殻を除くためにろ過した後、そのろ過液12kgに酢酸エチル12kgを加えて振とうし、静置、分配した。その水画分を分取、減圧下(0.067mPa)で脱溶媒の後、噴霧乾燥し、本願発明の茶風味増強剤粉末を110g得た。得られた茶風味増強剤を分析した結果、固形分中の成分は、ポリフェノール9.2%、カフェイン0.67%、糖質49.6%、遊離アミノ酸6.7%、テアニン3.4%、ミネラル21.9%であった。
【0013】
実施例2.茶風味増強剤の調製(2)
緑茶葉を1kgに対して熱水15kgを加え、90℃で30分間抽出し、茶殻を除くためにろ過した後、そのろ過液12kgにアセトン12kgを加えて振とうし、静置、分配した。その水画分を分取、減圧下(0.067mPa)で脱溶媒の後、噴霧乾燥し、本願発明の茶風味増強剤粉末を98g得た。得られた茶風味増強剤を分析した結果、固形分中の成分は、ポリフェノール9.8%、カフェイン0.72%、糖質51.0%、遊離アミノ酸6.2%、テアニン3.2%、ミネラル19.8%であった。
【0014】
実施例3.茶風味増強剤の調製(3)
緑茶葉を1kgに対して熱水15kgを加え、80℃で30分間抽出し、茶殻を除くためにろ過した後、そのろ過液12kgにポリビニルポリピロリドン500g添加し、室温にて攪拌1時間行なった。続いて、ろ過によりポリビニルポリピロリドンを含む不溶性成分を取除き、減圧濃縮し、噴霧乾燥を行い、本願発明の茶風味増強剤粉末を120g得た。得られた茶風味増強剤を分析した結果、固形分中の成分は、ポリフェノール14.4%、カフェイン6.1%、糖質26.0%、遊離アミノ酸3.2%、テアニン0.75%、ミネラル10.9%であった。
【0015】
比較例1.比較用茶抽出物の調製(1)
緑茶葉を1kgに対して熱水15kgを加え、80℃で30分間抽出し、茶殻を除くためにろ過した後、そのろ液を減圧濃縮、噴霧乾燥を行い、150gの比較用茶抽出物を得た。比較サンプルを分析した結果、固形分中の成分は、ポリフェノール35.2%、カフェイン6.7%、糖質28.0%、遊離アミノ酸3.0%、テアニン0.8%、ミネラル11.5%であった。
【0016】
比較例2.比較用茶抽出物の調製(2)
緑茶葉を1kgに対して熱水15kgを加え、80℃で30分間抽出し、茶殻を除くためにろ過した後、そのろ過液に活性白土100g添加し、室温にて30分攪拌した。その後、ろ過により活性白土を取除き、ろ液を減圧濃縮、噴霧乾燥を行い、125gの脱カフェインした比較用茶抽出物を得た。比較サンプルを分析した結果、固形分中の成分は、ポリフェノール34.7%、カフェイン0.6%、糖質29.0%、遊離アミノ酸2.8%、テアニン0.84%、ミネラル12.3%であった。
【0017】
試験例1.緑茶飲料
実施例1及び3の茶風味増強剤を市販の緑茶飲料に、0.05、0.5%添加し、無添加区を対照として20名のパネラーによる官能評価を行なった。比較として比較例1、比較例2で得た比較用茶抽出物を市販の緑茶飲料に0.05%、0.1%、0.2%、0.5%添加し、同じく20名のパネラーによる官能評価を行なった。評価は下記の4段階とし、その合計点を表に示した。
お茶が美味しくなった:3点 少し美味しくなった2点 変らない 1点 風味が落ちた 0点


【0018】
実施例4.アイスクリームの調製
全乳2500g、脱脂粉乳300g、生クリーム1500g、砂糖800gを混合溶解し、乳化安定剤50gを添加し、ベースとなるミックスを予備調合した。そこへ抹茶粉末30gと実施例1で得られた茶風味増強剤20gを添加し、均質化、殺菌、冷却、エージングをし、アイスクリームミックスを得た。
このアイスクリームミックスを連続フリーザー、−5℃でフリージングし、50%オーバーランのアイスクリームを調製した。
また、比較のため、同様の製法により、茶風味増強剤無添加のアイスクリームも調製した。
できたアイスクリームを官能評価したところ、抹茶のみ(茶風味増強剤無添加)に比べ、実施例1で得られた茶風味増強剤を添加したものはお茶の旨味が強調され、美味であった。更に、冷凍にて6ヶ月間保存した品についても茶の風味が残存し、美味であった。
【0019】
実施例5.ソフトキャンディの調製
水飴350g、砂糖250g、コンデンスミルク300g、バター100g、抹茶3gに実施例1で得られた茶風味増強剤を1g、添加して、オープンパンに仕込み、攪拌、加熱、脱水を行ない ミックス液が120℃になった時点で加熱を止め、冷却してソフトキャンディを調製した。
また、比較のため、同様の製法により、茶風味増強剤無添加のソフトキャンディも調製した。
できたソフトキャンディを官能評価したところ、抹茶のみ(茶風味増強剤無添加)に比べ、実施例1で得られた茶風味増強剤を添加したものはお茶の風味とコク味が強調され、美味であった。
【0020】
ここで、本発明の実施態様ならびに目的生成物を挙げると以下の通りである。
(1) ポリフェノール類を低減させた茶抽出物を含有することを特徴とする茶風味増強剤
(2) 固形分中のポリフェノール含量が15%以下であることを特徴とする上記(1)記載の茶風味増強剤
(3) 固形分中のポリフェノール含量が10%以下であることを特徴とする上記(1)記載の茶風味増強剤
(4) 固形分中のカフェイン含量が2%以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)いずれか記載の茶風味増強剤
(5) 固形分中のカフェイン含量が1%以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)いずれか記載の茶風味増強剤
【0021】
(6) 固形分中の糖質含量が40〜60%であることを特徴とする上記(1)〜(5)いずれか記載の茶風味増強剤
(7) 固形分中の糖質含量が45〜55%であることを特徴とする上記(1)〜(5)いずれか記載の茶風味増強剤
(8) 固形分中のミネラル含量が10%以上であることを特徴とする上記(1)〜(7)いずれか記載の茶風味増強剤
(9) 固形分中のミネラル含量が15%以上であることを特徴とする上記(1)〜(7)いずれか記載の茶風味増強剤
(10) 固形分中のミネラル含量が15%〜30%であることを特徴とする上記(1)〜(7)いずれか記載の茶風味増強剤
(11) 固形分中の遊離アミノ酸含量が4%〜10%であることを特徴とする上記(1)〜(10)いずれか記載の茶風味増強剤
(12) 固形分中の遊離アミノ酸含量が6%〜8%であることを特徴とする上記(1)〜(10)いずれか記載の茶風味増強剤
(13) 固形分中のテアニン含量が2%以上であることを特徴とする上記(1)〜(12)いずれか記載の茶風味増強剤
(14) 固形分中のテアニン含量が2%〜5%であることを特徴とする上記(1)〜(13)いずれか記載の茶風味増強剤
【0022】
(15) 茶の熱水抽出物の酢酸エチルによる分配品の水画分より分離精製されたことを特徴とする上記(1)〜(14)いずれか記載の茶風味増強剤
(16) 茶の熱水抽出物のアセトンによる分配品の水画分より分離精製されたことを特徴とする上記(1)〜(14)いずれか記載の茶風味増強剤
(17) 上記(1)〜(16)いずれか記載の茶風味増強剤を含有することを特徴とする飲食品
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、お茶の旨味成分を濃縮した茶風味増強剤を安価に提供することにより、簡易にその旨味を食品に付与でき、極めて有用であり、その産業上の利用価値は大である。
【出願人】 【識別番号】000204181
【氏名又は名称】太陽化学株式会社
【住所又は居所】三重県四日市市赤堀新町9番5号
【出願日】 平成15年7月11日(2003.7.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−27554(P2005−27554A)
【公開日】 平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願番号】 特願2003−196059(P2003−196059)