トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 ペスカトーレスパゲティの製造方法及びこれに用いるペスカトーレスパゲティ用ソースキット
【発明者】 【氏名】山崎 智美
【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キユーピー株式会社研究所内

【氏名】竹内 正俊
【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キユーピー株式会社研究所内

【要約】 【課題】魚介類の具材の原料が風味の弱いレトルト品やブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品であっても、魚介類の風味がトマトの風味と混じりあってぼやけた味となってしまうことがなく、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和したペスカトーレスパゲティを製することができる製造方法の提供。

【解決手段】茹でたスパゲティに魚介類ソースをからめた後、これにトマトソースをからめるペスカトーレスパゲティの製造方法で、前記魚介類ソースの粘度がB型粘度計による測定値で1Pa・s以下であり、前記トマトソースの粘度がボストウィック粘度計による測定値で20〜250mmであるペスカトーレスパゲティソース。前記魚介類ソースと魚介類の具材が充填密封されてなる包装袋と前記トマトソースが充填密封されてなる包装袋とをセットとするペスカトーレスパゲティ用ソースキット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茹でたスパゲティに少なくとも魚介類の具材と、トマトソースとがからめてあるペスカトーレスパゲティの製造方法において、茹でたスパゲティにB型粘度計による測定値が1Pa・s以下の粘度である魚介類ソースをからめた後、これにKO式ボストウィック粘度計による測定値が20〜250mmの粘度であるトマトソースをからめることを特徴とするペスカトーレスパゲティの製造方法。
【請求項2】
魚介類の具材の原料として、ブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品を用いる請求項1記載のペスカトーレスパゲティの製造方法。
【請求項3】
魚介類の具材の原料として、レトルト品を用いる請求項1記載のペスカトーレスパゲティの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの製造方法に使用するペスカトーレスパゲティ用ソースであって、前記魚介類ソースと魚介類の具材が充填密封されてなる包装袋と前記トマトソースが充填密封されてなる包装袋とをセットとして少なくとも含むことを特徴とするペスカトーレスパゲティ用ソースキット。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかの製造方法に使用するペスカトーレスパゲティ用ソースであって、前記魚介類ソースが充填密封されてなる包装袋、前記トマトソースが充填密封されてなる包装袋及び少なくとも魚介類の具材が充填密封されてなる包装袋とをセットとして少なくとも含むことを特徴とするペスカトーレスパゲティ用ソースキット。
【請求項6】
前記トマトソースが澱粉類及び/又はガム質を配合してある請求項4又は5記載のペスカトーレスパゲティ用ソースキット。
【請求項7】
魚介類の具材がブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品である請求項4乃至6記載のペスカトーレスパゲティ用ソースキット。
【請求項8】
魚介類の具材がレトルト品である請求項4乃至6記載のペスカトーレスパゲティ用ソースキット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペスカトーレスパゲティの製造方法及びこれに用いるペスカトーレスパゲティ用ソースキットに関する。
【0002】
【従来の技術】
ペスカトーレスパゲティは、茹でたスパゲティに少なくとも魚介類の具材と、トマトソースとがからめてあるイタリアの海鮮風スパゲティ料理である。このペスカトーレスパゲティは、一般的には、フライパン等で炒めた魚介類にトマトソースを加えてソースを製し、これに茹でたスパゲティをからめて製するものである。具体的には、例えば、非特許文献1にイタリアレストランにおけるペスカトーレスパゲティの作り方が記載されている。
最近、イタリア料理の愛好者が増えたためか、このペスカトーレスパゲティはイタリアレストランで食されるだけなく、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の惣菜としても販売されるようになってきた。
【0003】
ところで、この惣菜としてのペスカトーレスパゲティは、一般的に、惣菜工場等で前記イタリアレストランと同じ方法で大量生産し、容器に小分けした後、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等に運搬されて販売されているものである。
このような惣菜工場等においては、ペスカトーレスパゲティの魚介類の具材の原料として、品質管理が厳密な生鮮品よりもレトルト品やブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品を用いることが多い。しかし、レトルト品やブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品は、生鮮品に比べて魚介類の風味が弱いので、トマトソースに加えるとトマトの風味と混じりあってぼやけた味となってしまう問題があった。特に魚介類の具材の原料としてレトルト品を用いた場合にこの傾向が顕著であった。
また、顧客がこのペスカトーレスパゲティをコンビニエンスストアやスーパーマーケット等で購入して供食するのは、これが製されてから相当の時間が経過した後であり、その間に魚介類の風味とトマトの風味が混じりあってぼやけた味となってしまい、イタリアレストランで食されるような、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和した作り立てのペスカトーレスパゲティとは程遠いものとなってしまう問題があった。
【0004】
【非特許文献1】
「スパゲッティ パスタ料理」株式会社旭屋出版、平成六年二月十日、p.78−79
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下、本発明は、魚介類の具材の原料が風味の弱いレトルト品やブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品であっても、魚介類の風味がトマトの風味と混じりあってぼやけた味となってしまうことがなく、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和したペスカトーレスパゲティを製することができる製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
また、製されてから時間が経過しても、魚介類の風味とトマトの風味が混じりあってぼやけた味となってしまうことがなく、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和した作り立ての食味を長時間維持することができるペスカトーレスパゲティの製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
さらに、これを製するのにふさわしいペスカトーレスパゲティ用ソースキットを提供することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究を重ねたところ、意外にも、茹でたスパゲティにB型粘度計による測定値が1Pa・s以下の粘度である魚介類ソースをからめて吸収させた後、これにKO式ボストウィック粘度計による測定値が20〜250mmの粘度であるトマトソースをからめてペスカトーレスパゲティを製すると、魚介類原料が風味の弱いレトルト品やブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品であっても、魚介類の風味がトマトの風味と混じりあってぼやけた味となってしまうことがなく、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和したペスカトーレスパゲティを製することができることを見出した。
また、このような製造方法とすることで、製されてから時間が経過しても、魚介類の風味とトマトの風味が混じりあってぼやけた味となってしまうことがなく、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和した作り立ての食味を長時間維持することができることを見出した。
さらに、このように、ペスカトーレスパゲティを製するのにふさわしいペスカトーレスパゲティ用ソースとして、前記魚介類ソースと魚介類の具材が充填密封されてなる包装袋と、前記トマトソースが充填密封されてなる包装袋とをセットとして少なくとも含むペスカトーレスパゲティ用ソースキットを見出し、遂に本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)茹でたスパゲティに少なくとも魚介類の具材と、トマトソースとがからめてあるペスカトーレスパゲティの製造方法において、茹でたスパゲティにB型粘度計による測定値が1Pa・s以下の粘度である魚介類ソースをからめた後、これにKO式ボストウィック粘度計による測定値が20〜250mmの粘度であるトマトソースをからめるペスカトーレスパゲティの製造方法、
(2)魚介類の具材の原料として、ブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品を用いる(1)記載のペスカトーレスパゲティの製造方法、
(3)魚介類の具材の原料として、レトルト品を用いる(1)記載のペスカトーレスパゲティの製造方法、
(4)(1)乃至(3)のいずれかの製造方法に使用するペスカトーレスパゲティ用ソースであって、前記魚介類ソースと魚介類の具材が充填密封されてなる包装袋と前記トマトソースが充填密封されてなる包装袋とをセットとして少なくとも含むペスカトーレスパゲティ用ソースキット、
(5)(1)乃至(3)のいずれかの製造方法に使用するペスカトーレスパゲティ用ソースであって、前記魚介類ソースが充填密封されてなる包装袋、前記トマトソースが充填密封されてなる包装袋及び少なくとも魚介類の具材が充填密封されてなる包装袋とをセットとして少なくとも含むペスカトーレスパゲティ用ソースキット、
(6)前記トマトソースが澱粉類及び/又はガム質を配合してある(4)又は(5)記載のペスカトーレスパゲティ用ソースキット、
(7)魚介類の具材がブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品である(4)乃至(6)記載のペスカトーレスパゲティ用ソースキット、
(8)魚介類の具材がレトルト品である(4)乃至(6)記載のペスカトーレスパゲティ用ソースキット、である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」と表示するのは「質量%」を、「部」と表示するのは「質量部」を意味する。
【0009】
本発明でペスカトーレスパゲティに用いるパスタに特に制限はなく、具体的には、例えば、スパゲティやマカロニ等が挙げられる。本発明のペスカトーレスパゲティを製するに当っては、まずこれらスパゲティやマカロニ等のパスタを用意し、常法にて茹でる。
次に、この茹でたスパゲティにB型粘度計による測定値が1Pa・s以下、好ましくは0.5Pa・s以下、さらに好ましくは0.1Pa・s以下の粘度である魚介類ソースを加えてからめ、スパゲティに魚介類ソースを吸収させる。
魚介類ソースの粘度を前記粘度にするのは、魚介類ソースがスパゲティに吸収されやすいようにするためである。前記値よりも魚介類ソースの粘度が高いとスパゲティに吸収され難くなる。
【0010】
茹でたスパゲティに加える魚介類ソースの量は、魚介類ソースの味付けにもよるが、茹でたスパゲティ100部に対して、好ましくは1〜30部、より好ましくは5〜20部である。前記範囲よりも加える量が少ないとスパゲティに魚介類の風味を十分に付与し難い傾向があり、前記範囲よりも多いとスパゲティが魚介類ソースを吸収しすぎて食感を損ないやすい傾向がある。
【0011】
この茹でたスパゲティに魚介類ソースを吸収させる製造工程は、小規模で行うときは、皿やフライパンを用い、大規模のときは攪拌装置付きの二重釜等を用い、茹でたスパゲティに魚介類ソースを加えて、あるいは、魚介類ソースに茹でたスパゲティを加えてよく混ぜ合わせながら行うとよい。また、この製造工程は、茹でたスパゲティと魚介類ソースの品温がそれぞれ50℃以上、好ましくは、70℃以上の温かい状態で行うと、よりスパゲティに魚介類ソースが吸収されやすくなるので好ましい。
【0012】
魚介類ソースの粘度とは、具入りでないものにあたってはそのソースの粘度を、具入りのものにあたっては具を除いたソース部の粘度をいう。また、ソース部とはソースを10メッシュの網目に通して具材を取り除いたものを言う。
なお、魚介類ソースの粘度は、B型粘度計(東京計器社製)を用いて、品温20℃、ローターNo.1、0.375Pa・s未満:回転数20rpm、0.375Pa・s以上0.75Pa・s未満:回転数10rpm、0.75Pa・s以上1.875Pa・s未満:回転数4rpm、1.875Pa・s以上:回転数2rpm、測定開始3分後の示度により求めた値である。
【0013】
用いる魚介類ソースとしては、ヒラメ、スズキ、タイ、マグロ、カツオ、タラ、サバ、イワシ等の魚類、エビ、カニ等の甲殻類、イカ、タコ等の軟体動物、ムール貝、ホタテ、ハマグリ、アサリ等の貝類及びウニ、昆布等好みの海産物のエキスを含むソースであれば良い。このような魚介類ソースは、例えば、魚介類原料に加水して鍋等で90〜100℃程度の温度でボイルするか、あるいは、圧力釜等で、100℃〜120℃程度の温度でボイルし、そのエキスを抽出したものやこれらを濃縮したものを使用して、必要に応じて調味して製すればよい。なお、この魚介類ソースは、前記エキスに代えて、市販の魚介類エキスやこれらを乾燥させてパウダー状にしたもの等を用いてもよい。
【0014】
この魚介類ソースは、上述のように魚介類のエキスを含んでいるが、特にコハク酸を含んでいるとスパゲティにこれを吸収させた時に魚介類の風味がトマトの風味と混じり難い傾向となるので好ましい。ここで、コハク酸とは、コハク酸、又は、コハク酸一ナトリウムやコハク酸二ナトリウム等のコハク酸の塩を言う。これらを、魚介類ソースに含ませる方法としては、例えば、これらを多く含む貝類のエキスを配合する方法等が挙げられるが、より魚介類の風味がトマトの風味と混じり難い傾向とするためには、魚介類エキスに加えて、コハク酸又はその塩を調味料として配合するとよい。これらは、魚介類ソースに対して固形分換算で好ましくは、0.1〜5.0%、より好ましくは、0.3〜3.0%配合すると良い。前記値より少ないと効果が得られ難い傾向があり、また、前記値より多いとコハク酸の風味が強くなりすぎてしまう傾向となるからである。
【0015】
また、魚介類ソースに配合する油脂はソース部に対して好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下であるとよい。前記値より配合する油脂が多いと茹でたスパゲティに魚介類ソースをからめて吸収させる時に配合した油脂がスパゲティ表面に油膜を作り、魚介類ソースが吸収され難い傾向となるからである。
ここで油脂とは、食することができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、オリーブオイル、菜種油、大豆油及びこれらを精製したサラダ油等の植物油脂や、牛脂等の動物油脂等が挙げられる。
【0016】
次に、魚介類ソースをからめたスパゲティにKO式ボストウィック粘度計による測定値が20〜250mm、好ましくは30〜100mmの粘度であるトマトソースをからめる。加えるトマトソースの量は、通常のスパゲティ料理と同様に、スパゲティとソースのバランスを考慮し適宜調節すれば良い。
ここで、前記粘度のトマトソースを使用するのは、トマトソースがスパゲティ表面に付着するが、トマトソースがスパゲティに吸収され難いようにするためである。前記範囲よりも粘度が低いと、スパゲティに吸収されやすくなってスパゲティに吸収された魚介類の風味と混じり合いやすくなり、これよりも粘度が高いとスパゲティにからめ難くなる傾向があるからである。このような粘度とするためには、例えばダイストマトやトマトピューレの配合量を調節して、ソース中の固形分の比率を増やしたり、澱粉やガム質等の増粘材を添加すると良い。
【0017】
また、スパゲティにトマトソースがより吸収され難いようにするためには、トマトソースに生澱粉、化工澱粉、湿熱処理澱粉、澱粉糖化物及び還元澱粉糖化物等の澱粉類や、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びジェランガム等のガム質を配合するとよい。これらのなかでも特に、生澱粉、化工澱粉、湿熱処理澱粉等の澱粉やガム質を配合することが好ましい。これらを配合することにより、トマトソースの離水を効果的に防止してスパゲティに吸収されるのを防ぐことができるからである。これら澱粉類及び/又はガム質は、トマトソースに対して0.05〜3%、好ましくは0.1〜2%配合すると良い。前記値より少ないと効果が得られ難い傾向があり、また、前記値より多くしたとしても含有量に応じ期待するほど効果が得られ難いばかりか粘度が高くなりすぎてスパゲティにからめ難くなる傾向となるからである。
なお、トマトソースは、前記値に増粘し、好ましくは、澱粉類及び/又はガム質を配合することを除き常法によるものを用いて差し支えない。
【0018】
トマトソースの粘度は、KO式ボストウィック粘度計(深谷精機社製)を用いて常法にて測定した。すなわち、試料として品温20℃のトマトソースを粘度計試料投入部に満杯量(約115g)充填し、仕切り板をはね上げてから、30秒後の試料流出先端までの距離を測定した値である。
【0019】
また、魚介類の具材は製造工程のどの段階で加えても良く、例えば、前述の魚介類ソースとともに茹でたスパゲティにからめても、トマトソースをからめた後にスパゲティに加えても良い。魚介類の具材の原料としては、ヒラメ、スズキ、タイ、マグロ、カツオ、タラ、サバ、イワシ等の魚類、エビ、カニ等の甲殻類、イカ、タコ等の軟体動物、ムール貝、ホタテ、ハマグリ、アサリ等の貝類及びウニ等好みの海産物を用いることができる。
本発明において、これら魚介類の原料として用いるレトルト品とは、魚介類が缶やパウチ等に充填密封され、100℃以上の温度で加圧加熱殺菌処理されているものを言う。
また、これら魚介類の原料として用いるブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品とは、魚介類の中心部が生又は半生がない状態にまでブランチング処理された後、冷凍又はチルド保管されているものを言う。
【0020】
また、本発明の前記魚介類ソースとトマトソースには、以上述べた原料の他に、例えば、ニンニク及びタマネギ等の野菜、オリーブオイル等の油脂類、砂糖、食塩、グルタミン酸ナトリウム等の調味料、コショウ、唐辛子、パプリカ等の香辛料及びその他種々の添加剤等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し配合するとよい。
【0021】
以上のようにして得られたぺスカトーレスパゲティは、スパゲティに魚介類ソースが適度に吸収され、その表面にトマトソースが付着した状態であるから、魚介類の具材の原料が生鮮品ではなく、風味の弱い魚介類のレトルト品やブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品、特に風味が大変弱いレトルト品を使用したときでも、魚介類の風味がトマトの風味と混じりあってぼやけた味となることがなく、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和したペスカトーレスパゲティを製することができる。
また、このペスカトーレスパゲティは、製した後に時間が経過しても魚介類の風味とトマトの風味が混じりあってぼやけた味となることがなく、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和した作りたてのものとかわらない食味を長時間維持できる。
【0022】
ところで上述のようなペスカトーレスパゲティを製するためのソースの態様において本発明は、B型粘度計による測定値が1Pa・s以下の粘度である魚介類ソースと魚介類の具材が充填密封されてなる包装袋と、KO式ボストウィック粘度計による測定値が20〜250mmの粘度であるトマトソースが充填密封されてなる包装袋とを一対のセットとして少なくとも含むペスカトーレスパゲティ用ソースキット、あるいは、前記魚介類ソースが充填密封されてなる包装袋、前記トマトソースが充填密封されてなる包装袋及び少なくとも魚介類の具材が充填密封されてなる包装袋とをセットとして少なくとも含むペスカトーレスパゲティ用ソースキットである。
これらペスカトーレスパゲティ用ソースキットは小口パック(例えば1食乃至3食分)とすれば、例えば小規模な惣菜店用や家庭用として、また、大口パック(例えば10食乃至50食分)とすれば、例えば、惣菜工場やレストラン用として使用できる。
【0023】
これらペスカトーレスパゲティ用ソースキットを製する方法としては、好ましくはコハク酸を含んだ魚介類ソースを、例えば、一定量ずつパウチや缶に充填密封し、これを加圧加熱殺菌してB型粘度計による測定値が1Pa・s以下の粘度である魚介類ソースが充填密封されてなる包装袋を製する。また、これとは別に、好ましくは澱粉類及び/又はガム質を配合したトマトソースを、例えば、一定量ずつパウチや缶に充填密封し、加圧加熱殺菌してKO式ボストウィック粘度計による測定値が20〜250mmの粘度であるトマトソースが充填密封されてなる包装袋を製する。この時、魚介類の具材をペスカトーレスパゲティ用ソースキットに加える方法としては、魚介類ソースの具材として含ませる方法や魚介類を充填密封した包装袋を別袋として加える方法等があるが、魚介類ソースの具材として含ませる方法が簡便で好ましい。具体的には、例えば、魚介類の具材と好ましくはコハク酸を含む調味ソースをパウチに充填密封し加圧加熱殺菌すると、加圧加熱殺菌中に魚介類の具材からエキスが抽出され、魚介類の具材入り魚介類ソースの包装袋が簡便に得られる。
【0024】
次に、本発明のペスカトーレスパゲティの製造方法及びこれに用いるペスカトーレスパゲティ用ソースキットを実施例、比較例及び試験例に基づき、さらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定するものではない。
【0025】
【実施例】
実施例1
(1)魚介類の具材の調製
原料としてブランチング処理済みの冷凍ハマグリ剥き身、冷凍ヤリイカリング及び冷凍ホタテ貝柱を用意した。こららは、それぞれ各別に解凍した後、95℃の湯中で20分間ボイルしてこれを水きりして具材とした。
(2)魚介類ソースの製造
水97部にあさりエキスパウダー0.8部、ホタテエキスパウダー0.8部、グルタミン酸ナトリウム0.6部及びコハク酸二ナトリウム0.8部をなべで加熱しながら溶解させて魚介類ソースを得た。
この魚介類ソースの粘度をB型粘度計(東京計器社製)を用いて測定したところ、粘度は、5×10−3Pa・sであった。
(3)トマトソースの製造
以下のソース用原料を用意した。


※日本エヌエスシー社製コルフロ
【0026】
まず、ニーダーに調合油を入れて加熱しこれにタマネギを入れてソテーした後、ダイストマト、トマトピューレ、清水に化工澱粉を分散させた溶液、食塩、砂糖及び香辛料を順次加えて加熱しソースを仕上げた。
このトマトソースの粘度をKO式ボストウィック粘度計(深谷精機社製)を用いて測定したところ、粘度は、45mmであった。
(4)ペスカトーレスパゲティの製造
フライパンに(2)の魚介類ソース50gと(1)で調製した具材、すなわち、ハマグリ剥き身10g、ヤリイカリング10g、ホタテ貝柱10gを入れて加熱し、これに茹でたての温かいスパゲティ300gを加えてよく混ぜてスパゲティに魚介類ソースをからめた。
次に、(3)の温かいトマトソース120gを加えてよく混ぜてからめ、ペスカトーレスパゲティを製した。
【0027】
実施例2
実施例1において、魚介類ソースに化工澱粉(日本エヌエスシー社製コルフロ)を1部配合し、その増加分は清水の配合量を減らして合計重量が100部になるようにして魚介類ソースを製した。この魚介類ソースの粘度をB型粘度計(東京計器社製)を用いて測定したところ、粘度は、7×10−1Pa・sであった。
この魚介類ソースの他は、実施例1と同じ配合、製造方法にてペスカトーレスパゲティを製した。
【0028】
実施例3
実施例1において、ブランチング処理済みの冷凍品を原料として調製した魚介類の具材に代えて、ハマグリ剥き身、ヤリイカリング及びホタテの貝柱のレトルト品を用意して具材とした他は、同じ製法と配合にてペスカトーレスパゲティを製した。
【0029】
実施例4
実施例1において、ブランチング処理済みの冷凍品を原料として調製した魚介類の具材に代えて、ハマグリ剥き身、ヤリイカリング及びホタテの貝柱の生鮮品を用意して具材とした他は、同じ製法と配合にてペスカトーレスパゲティを製した。
【0030】
実施例5
1.魚介類ソースと魚介類の具材が充填密封された包装袋の製造
実施例1の(1)で調製した具材、すなわち、ハマグリ剥き身10g、ヤリイカリング10g、ホタテ貝柱10gと実施例1の(2)で製した魚介類ソース50gを100×160mmのアルミ平パウチに充填密封した後、熱水式レトルト殺菌機を用い、120℃で20分間加圧加熱殺菌後冷却して魚介類の具材入り魚介類ソースが充填密封された包装袋を得た。この包装袋を開封し魚介類ソースの粘度をB型粘度計(東京計器社製)を用いて測定したところ、粘度は、5×10−3Pa・sであった。
2.トマトソースが充填密封された包装袋の製造
実施例1の(3)で調製したトマトソース120gを130×170mmのアルミ平パウチに充填密封した後、熱水式レトルト殺菌機を用い、105℃で30分間加圧加熱殺菌した後冷却してトマトソースが充填密封された包装袋を得た。この包装袋を開封しトマトソースの粘度をKO式ボストウィック粘度計(深谷精機社製)を用いて測定したところ、粘度は、45mmであった。
3.ペスカトーレスパゲティ用ソースキットの製造
魚介類ソースと魚介類の具材が充填密封された包装袋1袋とトマトソースが充填密封された包装袋1袋を130mm×170mm×25mmの化粧箱に入れて、ペスカトーレスパゲティ用ソースキットを製した。
4.ペスカトーレスパゲティの製造
フライパンにペスカトーレスパゲティ用ソースキットの魚介類の具材入り魚介類ソース1袋を具材ごと入れて加熱し、これに茹でたての温かいスパゲティ300gを加えてよく混ぜてスパゲティに魚介類ソースをからめた。
次に、これにペスカトーレスパゲティ用ソースキットのトマトソース1袋を温めたものを加えてよく混ぜてからめてペスカトーレスパゲティを製した。
【0031】
実施例6
1.魚介類の具材が充填密封された包装袋の製造
実施例1の(1)で調製した具材、すなわち、ハマグリ剥き身10g、ヤリイカリング10g、ホタテ貝柱10gを100×160mmのアルミ平パウチに充填密封した後、熱水式レトルト殺菌機を用い、120℃で20分間加圧加熱殺菌後冷却して魚介類具材が充填密封された包装袋を得た。
2.魚介類ソースが充填密封された包装袋の製造
実施例1の(2)で製した魚介類ソース50gを100×160mmのアルミ平パウチに充填密封した後、熱水式レトルト殺菌機を用い、120℃で20分間加圧加熱殺菌後冷却して魚介類ソースが充填密封された包装袋を得た。この包装袋を開封し魚介類ソースの粘度をB型粘度計(東京計器社製)を用いて測定したところ、粘度は、5×10−3Pa・sであった。
3.トマトソースが充填密封された包装袋の製造
実施例1の(3)で調製したトマトソース120gを130×170mmのアルミ平パウチに充填密封した後、熱水式レトルト殺菌機を用い、105℃で30分間加圧加熱殺菌した後冷却してトマトソースが充填密封された包装袋を得た。この包装袋を開封しトマトソースの粘度をKO式ボストウィック粘度計(深谷精機社製)を用いて測定したところ、粘度は、45mmであった。
4.ペスカトーレスパゲティ用ソースキットの製造
魚介類ソースが充填密封された包装袋1袋、トマトソースが充填密封された包装袋1袋及び魚介類の具材が充填密封された包装袋1袋を130mm×170mm×25mmの化粧箱に入れて、ペスカトーレスパゲティ用ソースキットを製した。
5.ペスカトーレスパゲティの製造
フライパンにペスカトーレスパゲティ用ソースキットの魚介類ソース1袋を入れて加熱し、これに茹でたての温かいスパゲティ300gを加えてよく混ぜてスパゲティに魚介類ソースをからめた。
次に、これにペスカトーレスパゲティ用ソースキットのトマトソース1袋と魚介類の具材1袋を温めたものを加えてよく混ぜてからめてペスカトーレスパゲティを製した。
【0032】
【比較例】
比較例1
実施例1の(1)で調製した魚介類の具材、すなわち、ハマグリ剥き身10g、ヤリイカリング10g、ホタテ貝柱10g、(2)で製した魚介類ソース50g及び(3)で製したトマトソース120gをフライパンに入れ、加熱しながらよくかき混ぜた。次に、茹でたての温かいスパゲティ300gを入れてよくかきまぜてペスカトーレスパゲティを製した。
【0033】
比較例2
比較例1において、ブランチング処理済みの冷凍品を原料として調製した魚介類の具材に代えて、ハマグリ剥き身、ヤリイカリング及びホタテの貝柱のレトルト品を用意して具材とした他は、同じ製法と配合にてペスカトーレスパゲティを製した。
【0034】
比較例3
比較例1において、ブランチング処理済みの冷凍品を原料として調製した魚介類の具材に代えて、ハマグリ剥き身、ヤリイカリング及びホタテの貝柱の生鮮品を用意して具材とした他は、同じ製法と配合にてペスカトーレスパゲティを製した。
【0035】
比較例4
実施例1において、魚介類ソースに化工澱粉(日本エヌエスシー社製コルフロ)を1.5部配合し、その増加分は清水の配合量を減らして合計重量が100部になるようにして魚介類ソースを製した。この魚介類ソースの粘度をB型粘度計(東京計器社製)を用いて測定したところ、粘度は1.3Pa・sであった。
この魚介類ソースの他は、実施例1と同じ配合、製造方法にてペスカトーレスパゲティを製した。
【0036】
比較例5
実施例1において、トマトソースの原料配合を下記に変えた他は、実施例1と同じ配合、製造方法にてペスカトーレスパゲティを製した。


なお、トマトソースの粘度をKO式ボストウィック粘度計(深谷精機社製)を用いて測定したところ、粘度は265mmであった。
【0037】
比較例6
実施例1において、トマトソースの化工澱粉の配合量を5部に代えて、その増加分は清水の配合量を減らして合計重量が100部になるようにしてトマトソースを製した。このトマトソースの粘度をKO式ボストウィック粘度計(深谷精機社製)を用いて測定したところ、粘度は17mmであった。
このトマトソースの他は、実施例1と同じ配合、製造方法にてペスカトーレスパゲティを製したところ、トマトソースの粘度が高すぎてスパゲティにからみ難かった。
このため、魚介類の風味とトマトの風味が程よく調和したペスカトーレスパゲティが得られなかった。
【0038】
【試験例】
試験例
実施例1乃至6、比較例1乃至5で製した直後のペスカトーレスパゲティをよく訓練した10名のパネラーに試食させその食味を評価した。次に、実施例1乃至6、比較例1乃至5で製したペスカトーレスパゲティを一食ずつ蓋付きの容器に入れ、5℃の冷蔵庫に表1に記載される時間保管した後、電子レンジで温めて、同様によく訓練した10名のパネラーに試食させその食味を評価したところ表1の結果が得られた。
【0039】
【表1】


【0040】
表1より、本発明の製造方法によれば、魚介類の具材の原料が風味の弱いレトルト品やブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品であっても、魚介類の風味がトマトの風味と混じりあってぼやけた味となってしまうことがなく、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和したペスカトーレスパゲティを製することができることが理解できる。
また、本発明の製造方法によれば、製されてから時間が経過しても、魚介類の風味とトマトの風味が混じりあってぼやけた味となってしまうことがなく、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和した作り立ての食味を長時間維持することができることが理解できる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明のペスカトーレスパゲティの製法によれば、魚介類の具材の原料が風味の弱いレトルト品やブランチング処理済みの冷凍品又はチルド品であっても、魚介類の風味がトマトの風味と混じりあってぼやけた味となってしまうことがなく、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和したペスカトーレスパゲティを製することができる製造方法を提供することができる。
また、本発明の製造方法によれば、製されてから時間が経過しても、魚介類の風味とトマトの風味が混じりあってぼやけた味となってしまうことがなく、魚介類とトマトのそれぞれの風味が程よく調和した作り立ての食味を長時間維持することができるペスカトーレスパゲティの製造方法を提供することができる。
さらに、本発明のペスカトーレ用ソースキットによれば、前記ペスカトーレを簡便に製することができる。
【出願人】 【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
【住所又は居所】東京都渋谷区渋谷1丁目4番13号
【出願日】 平成15年7月10日(2003.7.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−27548(P2005−27548A)
【公開日】 平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願番号】 特願2003−195335(P2003−195335)