| 【発明の名称】 |
キムチ等発酵食品を用いた機能性食品・環境修復剤の製造法 |
| 【発明者】 |
【氏名】植田 徹
【氏名】柴田 悟
【氏名】松本 聰
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| 【要約】 |
【課題】キムチ等の発酵食品を用いて「各種ステロイドの分解能が期待できる機能性食品・環境修復剤」を製造する方法を提供する事を課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、キムチ、粕漬、味噌、納豆等の発酵食品から集積培養法等を用いて分離したコレステロール分解微生物もしくはそのコレステロール分解酵素を機能性食品もしくは環境修復剤として活用すればよい。なお、機能性食品として用いる際は適当な担体と混合してもよいし、カプセル、薬袋の形態をとってもよい。また、分離した「発酵食品由来のコレステロール分解微生物もしくはその分解酵素」をキムチ等発酵食品の製造過程で添加する製造法も有効である。更にそういった際、同時にリパーゼ、プロテアーゼのいずれかもしくは双方を同時に添加してもよい。また分解対象としてコレステロールの代わりにエストロゲン、アンドロゲン、コルチゾール等の(疾病と関わる)各種ステロイド物質を選択しても良い。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キムチ、粕漬、味噌、納豆等の発酵食品から集積培養法等を用いて分離したコレステロール分解微生物もしくはそのコレステロール分解酵素を機能性食品・医薬として活用する方法。 【請求項2】 コレステロール分解微生物もしくはそのコレステロール分解酵素を活性成分として適当な担体と混合して含有する医薬・食品組成物。 【請求項3】 カプセル、薬袋の形態における請求項1、2の組成物。 【請求項4】 請求項1において分離した「発酵食品由来のコレステロール分解微生物もしくはその分解酵素」をキムチ等発酵食品の製造過程で添加する事を特徴とする機能性食品の製造法。 【請求項5】 請求項1〜4においてコレステロール分解微生物もしくはその分解酵素と同時にリパーゼ、プロテアーゼのいずれかもしくは双方を同時に添加する方法。 【請求項6】 請求項1〜5においてコレステロールの代わりにエストロゲン、アンドロゲン、コルチゾール等の各種ステロイド物質を分解対象物とする方法。 【請求項7】 請求項1〜6で得られた発酵食品由来のステロイド分解微生物もしくはその分解酵素を環境修復剤として用いる方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、キムチ等発酵食品を用いて「(疾病と関連する)各種ステロイドの分解能が期待できる機能性食品・環境修復剤」を製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、漬物市場では食中毒に対する警戒感から、「とにかく漬物内の菌を減らせばよい」という方向性が重視されていた。ところが最近、茨城県工業技術センターはキムチから優良な乳酸菌株を分離して「乳酸菌スターター」として商品化する事に成功した。この茨城県工業技術センターの方向性は、従来の漬物業界の「菌を極力減らす」という方向性を「漬物に(漬物から培養した)菌株を人為的に加える」という方向性に180度転換したもので独創性が大きい(日経バイオビジネス、2003年5月号p10,11)。 【0003】 本発明はこの茨城県工業技術センターが生み出した「漬物に(漬物から培養した)菌株を人為的に加える」という新たな流れの中に位置するが、その上で更に「単なる漬物」を製造するのではなく、「疾病予防が期待できる漬物等機能性食品」や環境修復剤を製造すると言う新規な方向性を打ち出したものであり、そういった観点での発明や報告例は国内外でない。なお本発明では「疾病予防」という新たな機能を発酵食品に持たせるにあたって「各種ステロイド分解能を有する微生物」に着目している。ステロイドに着目した理由を以下に示す。例えばコレステロールは動脈硬化等の原因物質として広く知られているが、同様にエストロゲンは乳癌等エストロゲン依存性腫瘍に、アンドロゲンはアンドロゲン依存性腫瘍に、コルチゾールはストレスにそれぞれ関連している事が知られており、それらステロイド物質を各々分解する機能を発酵食品に持たせる事は各種疾病を予防する上で有効と考えられる。また本発明は(実施例に示したように)発酵食品とりわけキムチと粕漬に「強力な活性を有する各種ステロイド分解微生物群」が生息している事を発見した事実に基づいたものであるが、これら伝統的な漬物由来の微生物群を活用する事は、「分離した微生物群の食の安全性確保」の面で特に有用であると考えられ、その点の独自性、新規性も有するものと考えられる 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、キムチ等発酵食品を用いた「各種ステロイド分解能が期待できる機能性食品・環境修復剤」の製造法を提供する事を課題とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するため、キムチ、粕漬、味噌、納豆等の発酵食品から集積培養法等を用いて分離したコレステロール分解微生物もしくはそのコレステロール分解酵素を機能性食品・医薬もしくは環境修復剤として活用すればよい。なお、機能性食品・医薬として用いる際は適当な担体と混合してもよいし、カプセル、薬袋の形態をとってもよい。また、分離した「発酵食品由来のコレステロール分解微生物もしくはその分解酵素」をキムチ等発酵食品の製造過程で添加する製造法も有効である。更にそういった際、同時にリパーゼ、プロテアーゼのいずれかもしくは双方を同時に添加してもよい。また分解対象としてコレステロールの代わりにエストロゲン、アンドロゲン、コルチゾール等の各種ステロイド物質を選択してもよい。 【0006】 【発明の実施の形態】 以下、本発明を更に詳細に説明する。まずコレステロール分解に着目した機能性食品の製造法に関して説明する。コレステロールは生体の恒常性維持に欠かせないが同時に動脈硬化等の原因物質とされており、それを分解する機能を有する食品は動脈硬化等の予防食品として活用できる可能性が考えられる。そして食品にコレステロール分解能を持たせるためには、コレステロール分解能を有する食品微生物を生菌としてそのまま機能性食品として用いるか、あるいはそこから分離したコレステロール分解酵素を機能性食品として用いればよい。ただ、その際に問題になるのは分離した微生物の「食の安全性」である。本発明ではその「食の安全性」を確保するために菌の分離源を発酵食品に限定した点を特徴としている。キムチ等の発酵食品は古来より人の口に入っているものであり、その点一定の安全性は確保しやすい。また、特に漬物は従来、様々な食品微生物群が発酵に関与している事が知られており、そういった意味で「有用な複合生物系資源」として活用できるものと考えられる。 【0007】 キムチ、粕漬、味噌、納豆等の発酵食品からコレステロール分解微生物を分離するにあたっては「炭素源をほぼコレステロールのみとしたYNB培地」等を用いた集積培養法を利用するのが望ましいが、集積培養法を用いずに単に一般的な栄養寒天培地でランダムに菌を分離した上で1株1株コレステロール分解能を確認する方向性をとってもよい。重要なのは「菌の分離源として漬物等の発酵食品を用いる事」と「得られた分解菌をそのまま機能性食品として用いる事」であり菌の分離方法は問わない。また予防食品を得るにあたって分離したコレステロール分解微生物をそのまま用いてもよいし培養液からコレステロール分解酵素を調整したものを用いてもよい。コレステロール分解酵素を調整するにあたってクロマトグラフィー等で高度に精製しても良いが、安全性および活性が確保できるなら限外ろ過したものを凍結乾燥したような粗調整物を用いてもよい。また、生菌に関しても菌のサスペンジョンの形態で用いてもよいし凍結乾燥した評品を活用しても良い。また、ここで得られた評品を活性成分としてデキストロース等の適当な担体と混合して用いてもよいし、その際、腸溶カプセル、薬袋等の形態をとってもよい。 【0008】 また、以上のような形態で調整した「発酵食品由来のコレステロール分解微生物もしくはその分解酵素」をキムチ等発酵食品の製造過程(製造前後を含む)で添加し、キムチ等の発酵食品に「コレステロール分解能を持たせた(もしくは増強させた)新たな機能性食品」として活用するのも一つの方向性である。なお、生体内でコレステロールはエステル化されていたり蛋白と結合していたりする割合が大きいので、リパーゼもしくはプロテアーゼのうち1種もしくは双方を、コレステロール分解微生物・酵素と同時に加えた方が有効に機能するものと考えられる。 【0009】 なお分離した微生物は発酵食品由来であるから一定の安全性は確保されている可能性が高いが、念のため16SrDNA配列解析や生理試験等で同定を行い、病原菌でない事を確認するステップが必要不可欠である。また、その上で可能なら動物試験や臨床試験を行い安全性が更に確保できるか確認を行った方がよいのは言うまでもない。 【0010】 また本発明で得られるコレステロール分解微生物・酵素剤の作用機能としては2つの可能性が考えられる。1つはプロバイオティクスとしてのコンセプトである。腸内生態系に添加した分解微生物が腸内に定着して腸内のコレステロール分解に関わり、その結果コレステロール吸収量を減らす機構である。その場合、例えばキムチ・プロバイオティクスと言った呼び方が出来るかもしれない。2つめは腸内に投与された分解酵素(腸内に投与された微生物から分泌されたものを含む)が、腸管細胞から体内に吸収され血液を通して体内で酵素活性を示す機能である。後者の作用機構は武田薬品工業がシロアリ腸内細菌由来のプロテアーゼを経口剤(抗炎症剤)として実際に販売(商品名:ダーゼン)している例と同様であり、異種蛋白が血液内で活性を示しても特に不自然ではない。特に健康食品としてではなく医薬として開発する場合は作用機能がいずれにせよ、試験管内(インビトロ)でのステロイド分解活性だけでなく、(微生物剤・酵素剤を経口投与された)マウスの血清コレステロール濃度が低減するか否か確認した方がよい(インビボ)。 【0011】 また、 【請求項1〜5】においてコレステロールの代わりにエストロゲン、アンドロゲン、コルチゾール等の各種ステロイド物質を分解対象物とする方法も(各々のステロイド物質が関与している疾病等を予防する)機能性食品・医薬を製造する上で有用である。 【従来の技術】の項で述べたようにエストロゲンは乳癌、卵巣癌等のエストロゲン依存性腫瘍の癌細胞増殖因子として、アンドロゲンは前立腺癌等のアンドロゲン依存性腫瘍の癌細胞増殖因子や男性脱毛症の原因物質等として、コルチゾールはストレス関連物質として知られている。従ってこれらのステロイドを分解する機能は、各々の疾病等を予防する機能にリンクするものと考えられ、コレステロール分解微生物・酵素剤の説明で述べた手法がそのまま利用できるものと考えられる。 【0012】 なお、ここで示してきた各種方法は何も人間に対する機能性食品・医薬として限定する必要はなく、ペットや家畜用としても広く活用する事ができる。 【0013】 最後にこれらステロイド物質は環境中において近年、魚類の性比異常などの生態系攪乱を引き起こしている事が報告されている。特にエストロゲンにその傾向が顕著であるが、アンドロゲンに関しても生態系への影響を懸念する声も理化学研究所において最近指摘されている。またコレステロールは動物においてはエストロゲンやアンドロゲンの前駆体であり微生物によっても変換される可能性も捨てきれないため生態系攪乱に関しても注意を要する可能性も将来出てくるかもしれない。従って、本発明で示した発酵食品由来の各種ステロイド分解微生物群および分解酵素は、下水処理、畜産排水処理等のステップにおいて「安全な環境修復剤」としても活用できるものと考えられる。 【0014】 次に、実施例にて本発明をより詳細に説明するが本発明は下記の例のみに限定されるものではない。 【0015】 【実施例1】 キムチ、粕漬の2つの発酵食品を、各々10g採取し、ホモジナイズした後、「0.1%コレステロールのみをほとんど唯一の炭素源としたYNB培地50ml」にそれぞれ0.05g接種し、1週間培養した。1週間後に得られた培養液から0.5ml無菌的にとり、更に新鮮な「コレステロールのみを主要な炭素源としたYNB培地50ml」に接種し1週間培養した。培養終了後、同じ組成の寒天培地に各々接種し1週間培養を行った結果、双方の発酵食品からコレステロール分解微生物を純粋分離できた。現在、分子同定を行っている。 【0016】 【実施例2】 実施例1において、コレステロールを17β−エストラジオール、テストステロン、コルチゾールにそれぞれ代えた実験を行ったところ、キムチ、粕漬の双方から17β−エストラジオール分解菌株、テストステロン分解菌株、コルチゾール分解菌株をそれぞれ得た。現在、分子同定を行っている。 【0017】 【発明の効果】 本発明によってキムチ、粕漬等の発酵食品から(疾病と関わる各種ステロイド物質を分解可能な)有用な微生物群を分離する事が可能となり、その有用微生物群を用いて(疾病予防効果が期待される)機能性食品を製造できるものと考えられる。それによって国民の健康と福祉の向上に貢献できる可能性もあろう。また本発明によって「安全な環境修復剤」を提供する事により生態系攪乱を抑止する効果も期待できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500412183 【氏名又は名称】植田 徹 【識別番号】598170888 【氏名又は名称】松本 聰
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| 【出願日】 |
平成15年6月26日(2003.6.26) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−13203(P2005−13203A) |
| 【公開日】 |
平成17年1月20日(2005.1.20) |
| 【出願番号】 |
特願2003−205560(P2003−205560) |
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