| 【発明の名称】 |
ゲル状食品組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊佐治 知也
【氏名】安井 文一郎
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| 【要約】 |
【課題】適度なカロリーを有し、高蛋白質でアミノ酸スコアが高く、充分かつ良質な栄養成分を含み、レトルト殺菌処理により常温保存可能であり、咀嚼や嚥下に適するゲル状食品組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、アミノ酸スコアが90以上であるタンパク成分を7重量%以上、糖質を10重量%以上、および水を含み、かつ熱量が1kcal/g以上であって、さらにゲルの破断強度が5×103N/m2以下である、レトルト殺菌を施してなる易嚥下性ゲル状食品組成物である。タンパク成分は、A;加熱ゲル性蛋白質と、B;加熱非ゲル化性蛋白質と、C;ペプチドからなり、A+B+Cの合計重量に対し、Aが10〜50重量%、Bが20〜85重量%、Cが1〜50重量%である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アミノ酸スコアが90以上であるタンパク成分を7重量%以上、糖質を10重量%以上、および水を含み、かつ熱量が1kcal/g以上であって、さらにゲルの破断強度が5×103N/m2以下である、レトルト殺菌を施してなる易嚥下性ゲル状食品組成物。 【請求項2】 アミノ酸スコアが100である、請求項1に記載の易嚥下性ゲル状食品組成物。 【請求項3】 タンパク成分が、A;加熱ゲル化性蛋白質と、B;加熱非ゲル化性蛋白質と、C;ペプチドからなり、A+B+Cの合計重量に対し、Aが10〜50重量%、Bが20〜85重量%、Cが1〜50重量%である、請求項1又は2に記載の易嚥下性ゲル状食品組成物。 【請求項4】 A+B+Cの合計重量に対し、Aが20〜40重量%、Bが40〜70重量%、Cが5〜25重量%である、請求項3に記載の易嚥下性ゲル状食品組成物。 【請求項5】 A;加熱ゲル化性蛋白質が、その15%濃度水溶液を115℃30分加熱した場合にゲル化し、10%濃度水溶液を90℃30分加熱した場合にはゲル化しない特性を有する加熱ゲル化性蛋白質であり、コラーゲン、ゼラチン、及びそれらの加水分解物の合計重量が、A+B+Cの合計重量に対し25重量%以下である、請求項3又は4に記載の易嚥下性ゲル状食品組成物。 【請求項6】 さらにゲル化剤を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の易嚥下性ゲル状食品組成物。 【請求項7】 ゲル化剤が、カラギーナンまたは寒天である、請求項6に記載の易嚥下性ゲル状食品組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、高蛋白質で嚥下性に優れた栄養補助用ゲル状食品組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、医療介護業界において、「QOLの向上」が重要視されている。「QOL」とは、「Quality of Life」の英文の頭文字であり、つまり生活の質を意味する。寝たきりの患者において、QOLの低下となる問題の一つとして、褥瘡(床ずれ)が挙げられている。この症状は、蛋白質を代表とする栄養成分が不足すると頻発しやすい。摂食量が減少した高齢者、または神経性疾病などが原因で、咀嚼や嚥下が充分にできない人々は、通常の食事が摂食できず、栄養不足となりやすいので、褥瘡(床ずれ)が発症しやすいことが挙げられている。したがって、このような患者や老人が褥瘡にならないように予防する為にも、容易に栄養成分を得ることの出来る食品が求められている。 上記の栄養不足を補う目的として、これまで種々のゲル状栄養組成物が、開示され、発売されている。しかし、充分な栄養量を満たしていないか、良質な蛋白質でないか、あるいは、これらの栄養成分を充分満たす場合には、実際上、咀嚼や嚥下に適した物性であるとは言い難い場合が多い。 例えば、特開平11−169106号公報(特許文献1)には、高水分高蛋白質を含有するゲルが開示されている。しかし、具体的な実施例1及び2では、アミノ酸スコアが低く(概算値で22及び30)、栄養価が低い。さらに、実施例3及び4では、高アミノ酸スコア(概算値で72及び78)の例が開示されているが、この技術では、ゲルの破断強度が高すぎて、実用上、前記のような病人や老人のような、咀嚼、嚥下困難者用の食品として充分満足できるものとはいえない。したがって、アミノ酸スコアが高く、ゲルの破断強度が充分低いゲルが達成されておらず、病人や老人のような、咀嚼、嚥下困難者用の食品として充分満足できるものが求められている。 【0003】 また、特開2001−275615号公報(特許文献2)には、厚生省高齢者用食品試験法による測定で5×105N/m2以下の硬さを有し、デキストリン又は還元デキストリンを用いた高栄養固形状食品が開示されている。しかし、これらの用途はかまぼこやチーズのものであり、実用上、高齢者の咀嚼、嚥下に充分適した物性とはいえない。 またさらに、特開平10−155433号公報(特許文献3)には、カゼインナトリウム、寒天およびカラギーナンを用いたゲル状油脂配合食品用組成物が開示されている。しかしこの技術では、易嚥下性やゲルの破断強度について言及されておらず、例えば、実施例3に示されているゲル強度255g/cm2(約2.5×104N/m2)では、高齢者の咀嚼、嚥下に充分適したゲルとは言えない。 他にも、例えば、特開2001−144号公報(特許文献4)には、UHT殺菌装置を用いたテトラパック入り食品が開示されている。この技術では、蛋白質加水分解物と無菌充填包装システム(UHT殺菌)を用いたゲル状高濃度栄養補助食品が開示されているが、UHT殺菌は装置が複雑で高価であり、高度な生産技術を要すること、食品容器がテトラパックなどに限定されることがほとんどで、食事の際に、容器から皿等に移し変える手間がかかること等の難点がある。これらの処方においては、簡易なレトルト殺菌を行う方法では、無菌充填包装システムに比べて加熱時間が長くかかるため、蛋白質の変性をきたすなど問題があり、レトルト殺菌に適用することが困難である。 従って、充分かつ良質な栄養成分を含み、簡易なレトルト殺菌を施すことにより、常温保管可能な、咀嚼や嚥下に適したゲル状食品組成物を得ることは従来の技術では困難であった。 【0004】 【特許文献1】特開平11−169106号公報 【特許文献2】特開2001−275615号公報 【特許文献3】特開平10−155433号公報 【特許文献4】特開2001−144号公報 【0005】 【発明が解決しようとしている課題】 本発明の目的は、適度なカロリーを有し、高蛋白質でアミノ酸スコアが高く、充分かつ良質な栄養成分を含み、レトルト殺菌処理により常温保存可能であり、咀嚼や嚥下に適するゲル状食品組成物を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記課題を解決するために、糖質を含有する高蛋白質のゲル状食品について鋭意研究を重ねた結果、特定のタンパク成分(蛋白質およびペプチド)を特定の割合で配合し、さらに好ましくはゲル化剤を使用することにより、前記の問題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔7〕である。 〔1〕アミノ酸スコアが90以上であるタンパク成分を7重量%以上、糖質を10重量%以上、および水を含み、かつ熱量が1kcal/g以上であって、さらにゲルの破断強度が5×103N/m2以下である、レトルト殺菌を施してなる易嚥下性ゲル状食品組成物。 〔2〕アミノ酸スコアが100である、前記〔1〕に記載の易嚥下性ゲル状食品組成物。 〔3〕タンパク成分が、A;加熱ゲル化性蛋白質と、B;加熱非ゲル化性蛋白質と、C;ペプチドからなり、A+B+Cの合計重量に対し、Aが10〜50重量%、Bが20〜85重量%、Cが1〜50重量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の易嚥下性ゲル状食品組成物。 〔4〕A+B+Cの合計重量に対し、Aが20〜40重量%、Bが40〜70重量%、Cが5〜25重量%である前記〔3〕に記載の易嚥下性ゲル状食品組成物 〔5〕A;加熱ゲル化性蛋白質が、その15%濃度水溶液を115℃30分加熱した場合にゲル化し、10%濃度水溶液を90℃30分加熱した場合にはゲル化しない特性を有し、コラーゲン、ゼラチン、及びそれらの加水分解物の合計重量がA+B+Cの合計重量に対し25重量%以下である、前記〔3〕又は〔4〕に記載の易嚥下性ゲル状食品組成物。 〔6〕さらにゲル化剤を含有する、前記〔1〕〜前記〔5〕のいずれかに記載の易嚥下性ゲル状食品組成物。 〔7〕ゲル化剤が、カラギーナンまたは寒天である、前記〔6〕に記載の易嚥下性ゲル状食品組成物。 【0007】 【発明実施の形態】 本発明の易嚥下性ゲル状食品組成物は、アミノ酸スコアが90以上であるタンパク成分を7重量%以上、糖質を10重量%以上、および水を含み、かつ熱量が1kcal/g以上であって、さらにゲルの破断強度が5×103N/m2以下である、レトルト殺菌を施してなるゲル状食品組成物である。ここで、本発明のゲル状食品組成物における必須要件であるアミノ酸スコアとは、食品中の蛋白質およびペプチド当たりの必須アミノ酸量を、1985年にFAO/WHO/UNUが合同で発表したアミノ酸パターンと比較し、最も不足するアミノ酸に関して、その割合を百分率で示した数値であり、すべてのアミノ酸を充足するものは100とする数値である。なお、本発明ではアミノ酸パターンの年齢区分のうち、一般的に用いられる2〜5歳用を用いて計算している。 アミノ酸スコアが低い食品の場合は、良質なタンパク成分(蛋白質およびペプチド)を含まない食品と言うことができ、高蛋白質および高ペプチド含有であっても、その栄養価値は低い。蛋白質栄養補給食品であれば、最低でも90以上、望ましくは100であることが必要である。 本発明のゲル状食品組成物は、良質なタンパク成分を7重量%以上含むことが必須要件であるが、より好ましくは8重量%以上である。良質なタンパク成分含量が、7重量%より少ない場合には、ゲル状食品は蛋白質補給食品としての価値が低いことになる。 【0008】 タンパク成分のうち、本発明の必須成分であるA;加熱ゲル化性蛋白質は、15%濃度水溶液を115℃30分加熱した場合にゲル化する蛋白質として定義される。本発明では、これら加熱ゲル化性蛋白質のうち、15%濃度水溶液を115℃30分加熱した場合にゲル化し、10%濃度水溶液を90℃30分加熱した場合にはゲル化しない蛋白質を使用することが望ましい。本発明においては、このA成分を使用しない場合は、本発明の組成でゲルを形成することができず、また90℃30分加熱でゲル化する蛋白質では、ゲルが硬くなりやすく、易嚥下性が得られにくい。この条件に合致する加熱ゲル化性蛋白質として具体的には、乳ホエー蛋白質、一部の大豆蛋白質、一部の鶏卵蛋白質などが挙げられる。この中で、乳ホエー蛋白質は、食品用素材として広く流通しており、本発明に用いる原料として好適である。乳ホエー蛋白質は、乳清蛋白質、またはラクトアルブミンとも言われ、乳を酸または酵素などでカゼイン成分を沈澱させた上澄みに残る蛋白質が原料であり、これを限外ろ過などにより低分子の乳糖、無機質、および水を除き、蛋白質含量75重量%以上に濃縮して得られたものである。濃縮の程度により、WPC、WPIと呼び分けられるが、どちらを用いても構わない。大豆蛋白質、鶏卵蛋白質についても、ゲル化特性が本発明の範囲に入るものは使用可能であるが、加熱ゲル化性蛋白質として代表的な通常の卵白は、10%濃度水溶液を90℃30分加熱した場合にゲル化し、本発明の目的には不適である。本発明では、これら加熱ゲル化性蛋白質のうち15%濃度水溶液を115℃30分加熱した際のゲルの破断強度が、3×104N/m2以下であるものを選択して使用することが望ましい。破断強度がこれより高いと配合系で用いた場合の易嚥下性のゲルを得ることは困難である。これらの加熱ゲル化性蛋白質は、1種単独であるいは2種以上を配合して使用してもよい。 A成分の配合量は、タンパク成分の総重量(A+B+C)に対し、10〜50重量%であればよく、好ましくは20〜40重量%である。タンパク成分の総量に対し、10重量%より少ないと易嚥下性のゲルが得られなくなり、また、50重量%より多いと非常に硬いゲルとなる。 【0009】 タンパク成分のうち、本発明の必須成分であるB;加熱非ゲル化性蛋白質は、15%濃度水溶液で115℃・30分加熱してゲル化しない蛋白質として定義される。具体的には、カゼイネート、総合乳蛋白質、脱脂粉乳、一部の大豆蛋白質などが挙げられる。カゼイネートとして代表的なカゼインナトリウムは食品用素材として広く流通しており、本発明の原料として好適である。カゼインナトリウムは、乳を酸または酵素などで沈殿させた沈澱画分のカゼインを、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどで中和して得られるものである。ここで使用されるB成分としては、カゼインのその他の塩、例えばカゼインカリウム、マグネシウム、カルシウムなども挙げられる。上記条件でゲル化しない蛋白質であれば特に限定されるものではない。これらの加熱非ゲル化性蛋白質は、1種単独であるいは2種以上を配合して使用してもよい。 B成分の配合量は、タンパク成分の総重量(A+B+C)に対し、20〜85重量%であればよく、好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。B成分の配合量が20重量%より少ないと、ゲルが硬くなり、B成分の配合量が85重量%より多いとゲルの形成が不充分になる。 【0010】 本発明の必須成分であるC;ペプチドは、各種蛋白質の加水分解物の総称である。加水分解の程度によって様々な平均分子量がある。一般的な平均分子量は500〜20000程度であるが、平均分子量が小さいと、ペプチド特有の苦味を生じ、大きいとペプチド特有の性質が発揮されにくいので、好ましくは平均分子量3000〜15000程度のものが良い。原料素材としては、乳、大豆、鶏卵、ゼラチン(コラーゲン)などがある。風味が良好で、熱による凝集が発生しないものであれば、特に限定されるものではないが、コラーゲンペプチドが風味や物性上、最も好ましい。これらのペプチドは、1種単独であるいは2種以上を配合して使用してもよい。 C成分の配合量は、タンパク成分の総重量(A+B+C)に対し、1〜50重量%であればよく、好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは5〜25重量%である。C成分の配合量が1重量%より少ないとゲルが硬くなり、C成分の配合量が50重量%より多いと、ペプチド特有の風味が強くなり、食に適さなくなる。 【0011】 アミノ酸スコアが90以上である蛋白質およびペプチドとするために、前記のA、B、C成分の配合量の比は、それぞれ含有するアミノ酸組成からアミノ酸スコアを算出し、適宜配合量を調整して選択することができる。例えば、好ましくは、A成分;乳ホエー蛋白質20〜40重量%、B成分;カゼインナトリウム40〜70重量%、C成分;乳蛋白分解物、コラーゲン分解物であるペプチド5〜25重量%が挙げられる。 尚、本発明においては、コラーゲン、ゼラチン、及びそれらの加水分解物(ペプチド)の合計重量が、タンパク成分の総重量(A+B+C)に対し25重量%以下であることが好ましい。これらは、アミノ酸スコアの低下を引き起こすからである。 また、熱量は、1kcal/g以上必要である。一般的に要介護状態にある高齢者の摂食量は少なく、可能な限り少ない食事量で多くの熱量を摂ることが望ましい。一般の栄養補給を目的とした医療介護用の食品は、1kcal/g以上であることが多く、1kcal/gより低い値であると商品価値が低くなる。 【0012】 一方、糖質は10重量%以上含むことが必要である。糖質はエネルギーに速やかに変換されやすい長所がある。また近年、問題となっている脂質の摂り過ぎに配慮した場合、糖質をある程度含有させ、総エネルギー中における脂質の総エネルギー比を25%以下、望ましくは20%以下に抑えることが望ましい。糖質の素材としては、特に限定はされないが、例えば、ブドウ糖、果糖などの単糖類、蔗糖、乳糖、トレハロースなどの二糖類、オリゴ糖、デキストリン、異性化糖、還元水飴、還元デキストリンなどが挙げられる。これらの糖類は、1種単独であるいは2種以上を配合して使用してもよい。 【0013】 本発明の易嚥下性ゲル状組成物おいて、易嚥下性としてのゲルの破断強度は、実用上、5×103N/m2以下が必要である。この強度とすることにより咀嚼や嚥下しやすくすることができる。 ここで、破断強度の測定方法は、直径5〜7cm、高さ25mmの容器に充填し、20℃で12時間以上放置したゲルに、直径1.6cmの円筒形プランジャーを、圧縮速度1.0mm/秒でゲル中に進入させ、その破断点の応力を測定した。測定に使用した機器はYAMADEN RHEONER RE−3305である。 易嚥下性であるためのもうひとつの因子として、付着性が少ないことが求められる。付着性が高いと、嚥下の際、喉頭壁面にゲルが付着して残りやすくなり、喉に詰まらせたりする誤嚥が生じやすくなる。本発明においては、この付着性について、数名のパネルにより試食を実施し官能的に評価した。 【0014】 本発明の易嚥下性ゲル状食品組成物としては、上記の蛋白質とペプチドに、さらにゲル化剤を加えることができる。ゲル化剤は、特に、A;加熱ゲル化性蛋白質としてホエー蛋白質を使用する場合に、そのゲル化を補助することで、更に好ましい物性とすることができる。このゲル化剤としては、カラギーナン、寒天、ゼラチン、ペクチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グルコマンナン、カードランなどが用いられる。これらのゲル化剤のうち、カラギーナン、寒天が最も望ましい。カラギーナンは精製度によって限定されるものではなく、精製カラギーナン、加工ユーケマ藻類、ユーケマ藻末などでも良い。これらゲル化剤の配合量としては特に限定されないが、通常、0.01重量%〜2重量%である。より好ましくは、カラギーナンの場合は0.01〜0.5重量%、寒天の場合は0.1〜1.0重量%程度である。 【0015】 本発明の効果を損なわない範囲において、その他、栄養成分を充実させるため、物性補助のため、風味向上のために、油脂類、ミネラル類、ビタミン類、食物繊維、安定剤、甘味料、香料、色素等を加えても良い。 油脂類としては、例えば、豚脂、牛脂、魚油などの動物性油脂、ナタネ油、大豆油、コーン油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、米油、シソ油などの植物性油脂が挙げられ、他にも、食用精製加工油脂、各油脂のエステル交換油、中鎖脂肪油などの精製分別油、エステル交換油、合成油などが挙げられる。 ミネラルとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、セレン、クロム、マンガン、モリブデンなどが挙げられる。 ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸、葉酸、ナイアシン、ビオチンなどが挙げられる。 これらのミネラル類、ビタミン類は、予め必要な割合で配合してあるミネラルミックス、ビタミンミックスとして市販しているものを用いてもよい。またミネラル含有酵母を使用してもよい。 食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、サイクロデキストリンなどの水溶性食物繊維や、微結晶セルロースなどの不溶性食物繊維などが挙げられる。 安定剤としては、例えば、リン酸3ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、クエン酸3ナトリウムなどが挙げられ、ナトリウム塩に換えてカリウム塩を使用することもできる。これらの安定剤は、1種単独で、あるいは2種以上を配合して使用しても良い。 【0016】 次に本発明の易嚥下性ゲル状食品組成物の製造方法について述べる。 製造方法としては、例えば、前記の各種原料を水に投入し、プロペラ撹拌しながら加温し、充分に溶解させる。原料の添加順序は特に限定されないが、蛋白質の溶解性を高めるため、安定剤を先に投入するのが望ましい。また油脂を投入する場合は、それを乳化する為に、蛋白質が充分溶解してから添加配合することが望ましい。さらに必要に応じてその他成分を加えて最終的に加温溶解した液を包装容器(例えばカップなど)に充填する。その後で、レトルト殺菌を施す。この工程により配合系をゲル化させる。ここで、レトルト殺菌とは、密封容器に封入した食品を加圧条件下で加熱殺菌する方法であり、一般的に110℃〜130℃でおよそ1〜60分間行われる。好ましくは、110〜120℃で15〜45分程度である。広く一般的に食品用として用いられるレトルト装置であれば適用可能である。また、レトルト殺菌に使用される包装容器は、例えば、アルミパウチ、テーブルカップ、透明パウチ、缶、チアパックなどがある。 【0017】 【発明の効果】 本発明によれば、高蛋白質でアミノ酸スコアが高く、更に糖質を含む咀嚼や嚥下に適したゲル状食品組成物が提供され、特に、高齢者に多い嚥下障害をもつ患者や、褥瘡を患う患者に対する栄養補助食品として極めて有用である。また、本発明においては、長期の常温保存が可能な保存安定性のよいゲル状食品組成物を提供することもできる。 【0018】 【実施例】 次に本発明を具体例に基づいてさらに詳細に説明する。まず、本発明で用いた試験方法、評価方法を示す。 1.エネルギ−の算出; 修正アトウォーター法を用い、蛋白質4kcal/g、糖質4kcal/g、脂質9kcal/gで計算した。 2.易嚥下性の評価 2−1.ゲル強度の測定; ゲルの破断強度の測定方法は、直径5〜7cm、高さ25mmの容器に充填し、20℃で12時間以上放置したゲルに、直径1.6cmの円筒形プランジャーを圧縮速度1.0mm/秒でゲル中に進入させ、その破断点の応力を測定した。測定に使用した機器はYAMADEN RHEONER RE−3305である。試験は1試料につき4回行い、その平均値で示した。 2−2.付着性の評価; 付着性の評価方法は、5名(年齢25〜60才の男性3名、女性2名)のパネルにより試料のゲルの試食を実施し、喉頭通過時の付着感を官能的に評価した。比較例1を基準として、相対評価で行って評価した。 記号;評価基準 ○;比較例1に比べて付着性が低い。 △;比較例1に比べて同程度の付着が感じられる。 ×;比較例1に比べて付着性が高い。 3.ゲルの安定性試験; ゲルを密封容器のまま、20℃・6ヶ月保存し、物性などの保存安定性を目視で確認した。 【0019】 実施例1 容器に水所定量(残部)、安定剤としてヘキサメタリン酸Na0.3重量%、クエン酸Na0.05重量%、クエン酸K0.05重量%、クエン酸第一鉄Na0.1重量%、甘味料(スクラロース)0.04重量%、ゲル化剤としてカラギーナンを0.1重量%、粉末油脂3重量%、食物繊維1.5重量%、上白糖12重量%とり、さらに、A成分の加熱ゲル化性蛋白質として乳ホエーを3.5重量%、B成分の加熱非ゲル化性蛋白質としてカゼインナトリウムを2.6重量%、総合乳蛋白質を2重量%、脱脂粉乳を2重量%、C成分のペプチドとして、コラーゲンペプチドを1重量%とり、温度50〜90℃で30分間撹拌し、最後にミネラル含有酵母0.2重量%、ビタミン製剤0.1重量%、ミルク香料0.3重量%を撹拌しながら投入し、本発明のゲル状食品組成物を得た。これを容量70ml、カップ型樹脂の包装材料に充填し、ついで、110℃〜120℃の温度で、30分間レトルト殺菌した。 【0020】 実施例2〜6、比較例1〜6 材料組成を実施例1のものから表1および2に示したように変更した以外は、実施例1に準じて、本発明の実施例2〜6、比較例1〜6のゲル状食品を製造し、その後同様にしてゲル状食品のレトルト殺菌を行った。組成および前記の方法により評価した結果を表1および2に示す。 【0021】 【表1】
【0022】 【表2】
【0023】 以上の結果から、本発明の実施例1〜6は、A:加熱ゲル化性蛋白質が多く配合されている比較例1、Aが配合されていない比較例2、B:加熱非ゲル化性蛋白質が多く配合されている比較例3、Bの配合量が少ない比較例4、C:ペプチドが多く配合されている比較例5、Cが配合されていない比較例6に比べて、嚥下性(ゲルの破断強度、付着性)および食感に優れていることがわかる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004341 【氏名又は名称】日本油脂株式会社 【識別番号】000144577 【氏名又は名称】株式会社三和化学研究所
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| 【出願日】 |
平成15年6月27日(2003.6.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−13134(P2005−13134A) |
| 【公開日】 |
平成17年1月20日(2005.1.20) |
| 【出願番号】 |
特願2003−184288(P2003−184288) |
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