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【発明の名称】 麺用小麦組成物および麺類の製造方法
【発明者】 【氏名】石神 真二
【住所又は居所】東京都中央区日本橋小網町19番12号 日清製粉株式会社内

【氏名】岡山 直生
【住所又は居所】東京都中央区日本橋小網町19番12号 日清製粉株式会社内

【氏名】松田 学
【住所又は居所】新潟県北蒲原郡笹神村大字勝屋字横道下918番地112 株式会社バイオテックジャパン内

【氏名】斎藤 紀子
【住所又は居所】新潟県北蒲原郡笹神村大字勝屋字横道下918番地112 株式会社バイオテックジャパン内

【氏名】山田 和典
【住所又は居所】新潟県北蒲原郡笹神村大字勝屋字横道下918番地112 株式会社バイオテックジャパン内

【要約】 【課題】煮崩れがなく、歯ごたえがあり、喉越しも良く、さらに小麦特有の風味を有する麺類を調製するための麺用小麦組成物およびその麺用小麦組成物を用いた麺類の製造法を提供することを目的とする。

【解決手段】剥皮処理された小麦粒および/またはその破砕小麦を含有する、麺用小麦組成物およびその麺用小麦組成物を用いた麺類の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥皮処理された小麦粒および/またはその破砕小麦を含有することを特徴とする、麺用小麦組成物。
【請求項2】
麺類の製造法において、製麺原料として請求項1記載の麺用小麦組成物を用いることを特徴とする、麺類の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、麺類の製造に用いられる製麺原料およびその製麺原料を用いた麺類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、麺類の代表的な製法としては、小麦粉、そば粉を主原料として、これに副原料として食塩、かん水等を用いる製麺法が採用されていた。しかしながら近年、消費者の嗜好も多様化し、より美味しい麺類が求められるようになってきた。これらの要望を満たすために澱粉、活性グルテン等の種々の添加剤を用いる方法が提案されている。
また、製麺法の面からの改良法としては、製麺原料との兼ね合いで特定の歩留に調整する等の方法が提案されている。
このように従来の原料面での改良法としてはもっぱら副原料の検討が種々なされているに過ぎなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者等は、従来とはまったく異なる観点、すなわち小麦粉の面から嗜好性のよい麺類の製法について種々検討を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、剥皮処理された小麦粒および/またはその破砕小麦を含有する麺用小麦組成物およびその麺用小麦組成物を製麺原料として用いる麺類の製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
小麦粒は、果皮、種皮(殊心層を含む)、アリューロン層からなる皮部、胚乳部および胚芽部から構成されている。
本発明は、この小麦粒を剥皮処理し、または剥皮処理された小麦粒を破砕した破砕小麦として用いるものである。
【0006】
小麦粒の剥皮処理を行う場合一般的には水を加えて調湿するが、特に糖類および乳酸菌を含有する水溶液で調湿して行うことが好ましい。
この糖類および乳酸菌を含有する水溶液を使用すると、小麦粒への浸透が良好となり、小麦粒の胚乳部へ浸透した水分によって小麦粒の堅さが均一化される。また乳酸菌の発酵によって小麦の表皮が生成された乳酸によって軟化されることによって外皮が剥離しやすく、かつ破け粒の発生率も減少させることができる。
【0007】
剥皮処理に用いる糖類としては、リポース、キシロース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フラクトース等の単糖類、ショ糖、麦芽糖、乳糖、ラフィノース、スタキオース等のオリゴ糖、デンプン、グリコーゲン、セルロース、イヌリン等の多糖類が挙げられる。これらの糖類は使用する乳酸菌の菌種によって1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0008】
また乳酸菌としてはホモ型あるいはヘテロ型のいずれの菌も使用し得るが、特にヘテロ型の菌が好ましい。
これらの乳酸菌としては、ストレプトコッカス ラクティス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス フェカリス(Streptococcus faecalis)等のストレプトコッカス属の菌、レコノストック メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)等のレコノストック属の菌、ラクトバチルス ブルガリア(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス デルブルエッキィ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス プランタルム(Lactobacillus plantarum)等のラクトバチルス属の菌、スポロラクトバチルス イヌリナス(Sporolactobacillus inulinus)等のスポロラクトバチルス属の菌等が挙げられる。
【0009】
糖類および乳酸菌を含有する水溶液は、糖類として1〜20重量%および乳酸菌を1×10〜1×10個/ml含有していることが好ましい。
【0010】
次に本発明の麺用小麦組成物を得るための製造例について説明する。
小麦粒(玄麦)を60〜70℃に加熱した0.2%クエン酸水溶液に入れて撹拌して小麦粒表面の汚れや雑菌を除去する。次に水洗した後、糖類および乳酸菌を含有した水溶液を用いて30〜40℃において、嫌気条件下で18〜24時間静置して発酵させる。発酵終了後、小麦粒を水洗した後乾燥する。
乾燥した小麦粒は、摩擦機、研磨機等を使用して剥離処理を行う。
剥離処理された小麦粒は、必要によりハンマーミル、ピンミル、ターボミル等で衝撃を加えることによって破砕小麦とすることができる。
【0011】
本発明の剥皮処理は、小麦粒重量に対して4〜20重量%の剥皮率、特に5〜13重量%の範囲の剥皮率となるように処理することが好ましい。この剥皮率は一バッチ当りの剥皮率を意味するものである。従って各小麦粒単位で測定した場合、前記剥皮量の範囲を外れるものが一部あっても差し支えない。
【0012】
本発明の剥皮処理される小麦は、特に制限されるものではなく、例えばNo.1・カナダ・ウェスタン・レッド・スプリング小麦、ダーク・ノーザン・スプリング小麦、ノーザン・スプリング小麦、ハード・レッド・ウィンター小麦、ウェスタン・ホワイト小麦、アンバー・デューラム小麦、オーストラリア産スタンダード・ホワイト小麦、オーストラリア産プライム・ハード小麦、フランス産小麦、ホクシン小麦、チホク小麦、ホロシリ小麦、タイセツ小麦、タクネ小麦、ハルユタカ小麦、北見66号小麦、ナンブ小麦、農林61号小麦、バンドウワセ小麦、シラサギ小麦、ダイチミノリ小麦、シロガネ小麦、春のあけぼの小麦、キタカミ小麦、農林26号小麦、セト小麦、ニシカゼ小麦、チクゴイズミ小麦、アオバ小麦、アサカゼ小麦、つるぴかり小麦等が挙げられる。
【0013】
本発明の麺用小麦組成物の小麦は1種または2種以上を適宜混合したものが使用できる。また剥皮処理された小麦粒およびその破砕小麦はそれぞれ異なる剥皮率のものを適宜混合して用いることもできる。
【0014】
また本発明の麺用小麦組成物に用いられる剥皮処理された破砕小麦の大きさは0.3〜5mm、特に1〜3mmのものが好ましい。
【0015】
本発明の麺用小麦組成物は、すべてが剥皮処理された小麦粒および/または剥皮処理された破砕小麦で構成された組成の外、殻粉との混合物の形態でも使用することができるが、特にすべてが剥皮処理された小麦粒および/またはその破砕小麦から構成される麺用小麦組成物が好ましい。使用する殻粉としては強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デューラムセモリナ等の小麦粉、そば粉、ライ麦粉、大麦粉、ハト麦粉、米粉、大豆粉等が挙げられ、これらの殻粉の1種または2種以上を混合して使用することができる。
【0016】
剥皮処理された小麦粒および/またはその破砕小麦:殻粉の混合割合は100〜10:0〜90、特に100〜50:0〜50の範囲が好ましい。
【0017】
本発明の他の態様は、前記麺用小麦組成物を製麺原料とする麺類の製造方法に関する。
【0018】
本発明の製麺法は、剥皮処理された小麦粒および/またはその破砕小麦に適宜の副原料を加えて混捏した後、複合、圧延、切出しを行った後麺類の最終形態とするための工程を経て各種麺類として、調製することができる。また本発明の製麺法としては予め剥皮処理された小麦粒および/またはその破砕小麦を水と共に適宜の時間静置した後に混捏することもできる。
【0019】
麺類としては、うどん、そば、中華麺、スパゲッティ、マカロニ、餃子の皮、ワンタンの皮等が挙げられる。
これらの麺類は、使用目的によって生めん、乾めん、冷凍めん、簡易包装めん、完全包装めん、冷凍乾燥めん、即席めん、蒸しめん、ゆでスパゲッティ、マカロニ・スパゲッティ等に調製することができる。
【0020】
【実施例】
次に本発明をさらに具体的に説明するために実施例を掲げるが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0021】
実施例1
中間質小麦粒(オーストラリア産スタンダード・ホワイト小麦)100重量部を68℃に加熱した0.2%クエン酸水溶液に入れて3分間撹拌した後水切りを行い、さらにオーバーフロー状態で水洗してゴミを洗い流し、再度水切りを行う。
次にショ糖2重量部および種菌(1×10/g)2重量部を水1000重量部に加えて仕込み液を調製する。この仕込み液100重量部に水洗処理した中間質小麦粒100重量部を加えて40℃に保持して1時間浸漬する。
浸漬終了後中間質小麦粒表面に付着水が残る程度に水切りを行った後容器に移し、嫌気条件下で30℃の雰囲気中で24時間静置して発酵させた。発酵終了後中間質小麦粒を水洗した後水分13.5%まで乾燥する。
乾燥させた中間質小麦粒は摩擦式精麦機により剥離処理して麺用小麦組成物を得た。
得られた麺用小麦組成物の剥皮処理率は75.79%であり剥皮処理精度は0.15であった。
なお剥皮処理率および剥皮処理精度は下記式により求めた。
【0022】
【数1】


【0023】
【数2】


【0024】
実施例2〜6
所定量を剥皮処理した硬質小麦粒(ハード・レッド・ウィンター小麦)をハンマーで破砕した破砕小麦100重量部に、粉末かんすい1.2重量部および食塩0.5重量部を水35重量部に溶かした水溶液を加えて11分間混捏した。得られた生地を圧延ロールによって厚み3.5mmにて3回複合を行った後、室温で30分間静置した。
この麺帯を圧延ロールによって厚みを2.8mmとし、次いで2.2mmに順次薄くして最終麺帯の厚みを1.5mmまで調整した後20番切刃により切り出し中華めんを調製した。
この生中華めんを茹でて茹中華めんを得た(歩留260%)。
得られた茹中華めんを10名のパネラーにより表1に示す評価基準によって評価した。その評価結果を示せば表2のとおりである。
【0025】
【表1】


【0026】
【表2】


【0027】
実施例7
剥皮処理(剥皮率15重量%)された中間質小麦粒(オーストラリア産スタンダード・ホワイト小麦)100重量部に、食塩3重量部を水35重量部に溶かした水溶液を加えて4時間静置した。次にこれをミキサーにて10分間混捏した。得られた生地を室温で1時間放置した後圧延ロールで厚み4.0mmにして3回複合した後麺帯を室温で30分間静置した。
この麺帯を圧延ロールによって厚さ3.2mmとし、次いで2.7mmに順次薄くして最終麺帯の厚みを2.5mmに調整した後10番切刃により切り出しうどんを調製した。
この生うどんを茹で上げて茹うどんを得た(歩留310%)。得られた茹うどんを喫食した結果煮崩れ少なく、粘弾性があり、小麦風味もきわめて強く、良好であった。
【0028】
実施例8
剥皮処理(剥皮率8重量%)された破砕硬質小麦(ハード・レッド・ウィンター小麦)100重量部に、粉末かんすい1.2重量部を水35重量部に溶かした水溶液を加えて11分間混捏した。得られた生地を圧延ロールで厚み3.5mmにして3回複合を行った後、室温で30分間静置した。
この麺帯を圧延ロールによって厚みを2.8mmとし、次いで2.2mmに順次薄くして最終麺帯の厚みを1.5mmに調整した後20番切刃により切り出し中華めんを得た。
次に生中華めんを茹で上げて茹中華めんを得た(歩留260%)。得られた茹中華めんを喫食した結果は、煮崩れ少なく、粘弾性があり、小麦風味もきわめて強く、良好であった。
【0029】
実施例9
剥皮処理(剥皮率17重量%)された軟質小麦(ウェスタン・ホワイト小麦)および中間質小麦(農林61号小麦)の混合物(混合比1:1)からなる破砕小麦20重量部および小麦粉(「麗華」日清製粉株式会社製商品名)80重量部に、粉末かんすい0.2重量部を水35重量部に溶かした水溶液を加えて11分間混捏した。得られた生地を圧延ロールによって厚み3.2mmにして3回複合し麺帯を調製した。
得られた麺帯は、室温に30分間静置した後圧延ロールにかけて厚みを2.5mm、1.4mmおよび1.0mmに順次薄くして麺帯を調製した。次にこの麺帯を20番切刃により切り出した後、成形器に入れて3分間蒸し上げた後、145℃で1分30秒間フライして即席中華めんを得た。得られた即席中華めんをお湯でもどして喫食した結果煮崩れ少なく、しっかりした粘弾性があり、喉越しがよく、小麦風味も強く、良好であった。
【0030】
実施例10
剥皮処理(剥皮率18重量%)された中間質破砕小麦粒(オーストラリア産スタンダード・ホワイト小麦)70重量部、そば粉30重量部、食塩1重量部および水30重量部を11分間混捏した。得られた生地を圧延ロールによって厚み3.5mmにして3回複合して麺帯を調製した。
得られた麺帯は、室温に30分間静置した後圧延ロールにかけて厚みを2.8mm、2.2mmおよび1.5mmに順次薄くして麺帯を調製した。次にこの麺帯を20番切刃により切り出してそばを得た。得られた生そばを茹で上げて茹そばを得た(歩留260%)。この茹そばを喫食した結果煮崩れ少なく、粘弾性があり、喉越しがよく、良好であった。
【0031】
実施例11
剥皮処理(剥皮率18重量%)された中間質小麦粒(オーストラリア産スタンダード・ホワイト小麦)20重量部に、食塩2重量部を水42重量部に溶かした水溶液を加えて2時間静置した。次にこれに小麦粉(「白椿」日清製粉株式会社製商品名)80重量部を加えて10分間混捏した。得られた生地を1時間静置した後圧延ロールによって厚み3.5mmにして3回複合し麺帯を調製した。
得られた麺帯は室温で30分間静置した後圧延ロールにかけて厚みを2.8mm、2.2mmおよび2.0mmに順次薄くして麺帯を調製した。次にこの麺帯を10番切刃により切り出してうどんを得た。
得られた生うどんを竿掛けして湿度75%および温度20℃の条件下で1時間乾燥後、次いで湿度80%および温度35℃の条件下で7時間乾燥し、さらに湿度70%および温度20℃の条件下で1時間乾燥して乾麺(うどん)を得た。
得られた乾麺を茹で上げて茹うどん(歩留300%)を得た。この茹うどんを喫食した結果煮崩れきわめて少なく、しっかりした粘弾性があり、喉越しがよく、小麦風味も強く、良好であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の麺用小麦組成物を製麺原料として用いることによって、煮崩れがなく、歯ごたえがあり喉越しも良く、さらに小麦特有の風味を有する麺類を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区神田錦町一丁目25番地
【識別番号】595093049
【氏名又は名称】株式会社バイオテックジャパン
【住所又は居所】新潟県北蒲原郡笹神村大字勝屋字横道下918番地112
【出願日】 平成15年6月24日(2003.6.24)
【代理人】 【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所

【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸

【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄

【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫

【識別番号】100089048
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 康隆

【識別番号】100101317
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 ひろみ

【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹

【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人

【公開番号】 特開2005−13032(P2005−13032A)
【公開日】 平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願番号】 特願2003−179172(P2003−179172)