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【発明の名称】 新規な小麦粉およびそれを使用した小麦粉調製品、二次加工食品
【発明者】 【氏名】伊藤 智規
【住所又は居所】千葉県船橋市日の出2−20−2 昭和産業株式会社総合研究所内

【氏名】市野 正明
【住所又は居所】千葉県船橋市日の出2−20−2 昭和産業株式会社総合研究所内

【氏名】小金澤 知之
【住所又は居所】千葉県船橋市日の出2−20−2 昭和産業株式会社総合研究所内

【要約】 【課題】アリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味の特徴を活かした二次加工食品を製造するための小麦粉、およびそれを用いた小麦粉調製品、並びに好ましい穀物の味・風味を有し不快な味・香りが少ない特徴を有する二次加工食品を提供すること。

【解決手段】小麦全粒から最外部を除去した小麦粒、好ましくはアリューロン層を最外部の内側もしくは実質的に最外部とする小麦粒を製粉した、アリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味の特徴を有する二次加工食品に用いる小麦粉。上記の最外部を除去した小麦粒が、小麦全粒の最外部から2ないし15重量%を除去して得られる小麦粒である。上記の二次加工食品が外皮および種皮由来の不快な味・香りが少ない特徴を有する二次加工食品である。上記の小麦粉を用いた小麦粉調製品。上記の小麦粉または小麦粉調製品を用いた二次加工食品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦全粒から最外部を除去した小麦粒を製粉した、アリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味の特徴を有する二次加工食品に用いる小麦粉。
【請求項2】
上記の最外部を除去した小麦粒が、アリューロン層を最外部の内側もしくは実質的に最外部とする小麦粒である請求項1の小麦粉。
【請求項3】
上記の最外部を除去した小麦粒が、小麦全粒の最外部から2ないし15重量%を除去して得られる小麦粒である請求項1または2の小麦粉。
【請求項4】
上記の二次加工食品が外皮および種皮由来の不快な味・香りが少ない特徴を有する二次加工食品である請求項1、2または3の小麦粉。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかの小麦粉を用いた小麦粉調製品。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかの小麦粉を用いた二次加工食品。
【請求項7】
請求項5の小麦粉調製品を用いた二次加工食品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味の特徴を有する二次加工食品に用いる小麦粉およびそれを用いた小麦粉調製品、二次加工食品に関する。
【0002】
【従来技術】
従来の小麦製粉では、あらかじめ外皮部(外皮および種皮)を除去することなく、挽砕を行い、粉砕と篩い分けを組合せた多段階の工程の中で胚乳と外皮部とを分離し、小麦粉を製造している。すなわち、小麦製粉の工程は、挽砕の初期段階で小麦粒を開披して胚乳を粗い粒子の状態で取り出し、外皮部と胚乳とをはく離する工程、次いで粗い粒子の胚乳を細かく粉砕し、上り粉と呼ばれる細かい粒子を得るための工程に大別され、さらにこれらの工程が多段階に細分化されて構成されている。そして、細分化された各工程から得られた上り粉を、灰分量、蛋白量やその質、および二次加工性などの要素を勘案してグルーピングを行うことで製品小麦粉となる。
【0003】
一般に小麦粉の品質は、灰分の低いものから順に、特等粉、1等粉、2等粉、などに格付けされ、等級が低くなるにしたがい、外皮部の混入が多くなり、小麦粉の色調は暗くなり、不快な味・香りを生じるため、小麦粉の品質は低下する。また例えばパンやうどんに代表される小麦粉二次加工食品の品質は、使用する小麦粉の品質の影響を受けるため、外皮部の混入の少ない等級の高い小麦粉ほど市場価値が高いとされてきた。
【0004】
従来の製粉方法にかわる小麦粉の品質を向上させる手段として、小麦全粒の表皮部(外皮、種皮およびアリューロン層)を剥離して胚乳と分離させることにより、灰分量の少ない良質の小麦粉の歩留りを向上させる様々な方法が検討されている(特許文献1〜4)。しかしながら、何れの方法も従来の小麦粉の品質基準である灰分量の少ない小麦粉の歩留り向上を目的としており、小麦粉自体に市場価値のある新たな特徴を見いだすことはできなかった。
【0005】
また製パン適性を向上させる製粉方法も検討されている(特許文献5〜6)が、製品を上市させるには至っていない。
【0006】
小麦粉二次加工食品に小麦特有の穀物風味を付与するために、小麦粒の表皮部の混入量を増やすことも行われているが、外皮部に由来する不快な味や香りも感じるようになり、十分に満足できる品質ではなかった。この解決策として、特許文献8には、小麦粒の外皮部のうち最外部を除去した後に得られる小麦ふすまを配合した小麦粉組成物が紹介されている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−87250号公報
【特許文献2】
特開昭63−119856号公報
【特許文献3】
特開昭63−143948号公報
【特許文献4】
特開平9−313955号公報
【特許文献5】
特許第3180934号公報
【特許文献6】
特許第3180929号公報
【特許文献7】
特開2000−33276号公報
【特許文献8】
特開2002−171号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来技術では、表皮部の混入を低減させ、灰分量を低下させることによる小麦粉の品質向上を目的としており、小麦粉に新たな品質価値を付与することはできなかった。
本発明は、アリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味の特徴を活かした二次加工食品を製造するための小麦粉、およびそれを用いた小麦粉調製品、並びに好ましい穀物の味・風味を有し不快な味・香りが少ない特徴を有する二次加工食品を提供することを技術課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、小麦粉に新たな品質的価値を付与するには、小麦粒の表皮部のうち、外皮および種皮の除去方法が重要であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、表皮部のうち、外皮と種皮を除去することが重要であり、灰分量をコントロールする必要性は小さいことを見いだし、さらに小麦全粒の最外部から2ないし15重量%を除去することで、二次加工食品にアリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味を付与する小麦粉が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
従来技術では、外皮部とアリューロン層を除去することを目的に精麦処理が試みられているが、小麦粉に新たな品質的価値を見いだすには至っていなかった。一般的に、精麦処理で小麦全粒の表皮部のみを完全に剥離除去することは困難である。また精麦処理した小麦粒は、一粒毎に精麦の度合いが異なり、表皮部の残存量にもバラツキが生じるため、灰分量を低減させる効果を十分に得るためには、過度の精麦処理を行う必要があり、最終製品である小麦粉の歩留りを低下させる問題点があった。
【0011】
本発明者らは、小麦全粒の外皮部を効率的に除去することを目的として鋭意検討を行い、小麦全粒の最外部から2ないし15重量%を除去する精麦処理を行う工程により管理することで、新たな品質的価値を小麦粉に付与することを可能とした。すなわち、あらかじめ小麦全粒の最外部から2ないし15重量%を除去した後で、製粉することで、二次加工食品に好ましい穀物の味・風味を有し、不快な味・香りが少ない特徴を付与できる小麦粉が得られることを見いだした。より詳細には、小麦全粒の外皮部の一部を除去すること、アリューロン層は小麦粉側に取り込むことが重要であること、除去する量は小麦全粒の最外部から2重量%以上であること、実用的には小麦全粒の最外部から2ないし15重量%を除去する精麦処理を行う工程により管理することで、アリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味の特徴を、特定の二次加工食品においては、該小麦粉を用いた二次加工食品において発揮させることができること、すなわち、好ましい穀物の味・風味を有し、不快な味・香りが少ない特徴を有するほか、食感も非常に良好なものとなり、商品価値を高める二次加工食品となることを見いだした。
【0012】
すなわち、本発明は、以下の(1)ないし(4)の二次加工食品に用いる小麦粉を要旨とする。
(1) 小麦全粒から最外部を除去した小麦粒を製粉した、アリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味の特徴を有する二次加工食品に用いる小麦粉。
(2) 上記の最外部を除去した小麦粒が、アリューロン層を最外部の内側もしくは実質的に最外部とする小麦粒である上記(1)の小麦粉。
(3) 上記の最外部を除去した小麦粒が、小麦全粒の最外部から2ないし15重量%を除去して得られる小麦粒である上記(1)または(2)の小麦粉。
(4) 上記の二次加工食品が外皮および種皮由来の不快な味・香りが少ない特徴を有する二次加工食品である上記(1)、(2)または(3)の小麦粉。
【0013】
また、本発明は、以下の(5)の小麦粉調製品を要旨とする。
(5) 上記(1)ないし(4)のいずれかの小麦粉を用いた小麦粉調製品。
【0014】
さらにまた、本発明は、下記(6)または(7)の二次加工食品を要旨とする。
(6) 上記(1)ないし(4)のいずれかの小麦粉を用いた二次加工食品。
(7) 上記(5)の小麦粉調製品を用いた二次加工食品。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明において、精麦する対象を、すなわち最外部を除去する対象を「小麦全粒」という。したがって、本発明の小麦粉が原料小麦粒とするのは、小麦全粒から最外部を除去した小麦粒である。小麦全粒から外皮、種皮、アリューロン層からなる表皮部の一部を最外部から除去したアリューロン層を最外部の内側もしくは実質的に最外部とする小麦粒であり、小麦全粒の最外部から2ないし15重量%を除去する精麦処理を行うことで得られる。柴田茂久、中江利明著「小麦粉製品の知識」(幸書房)によると、小麦全粒〔重量比(%)100、灰分(%)1.8〕は、外皮(4、5.0)、種皮(2.5、8.0)、およびアリューロン層(6.5、11.0)からなる表皮部、胚乳(85、0.7)、胚芽(2、4.5)からなっている。アリューロン層を最外部の内側もしくは実質的に最外部とする小麦粒を原料小麦粒とする小麦粉は、小麦全粒の最外部から2ないし15重量%を除去する精麦処理を行う工程を含む製粉方法により得られる。小麦全粒の最外部から2ないし15重量%を除去する精麦処理を行う工程とは、詳細には精麦歩留りを98ないし85%となるように管理する精麦工程をいう。
【0016】
精麦製粉の工程、すなわち精麦歩留りが98ないし85%となるように精麦処理を行う工程を含む製粉方法により、小麦全粒の外皮部を効率的に除去し、従来の製粉方法では得ることができない、二次加工食品に好ましい穀物の味・風味を有し、不快な味・香りが少ない特徴を付与する高品質の小麦粉が得られる。
本発明により得られる小麦粉は、二次加工食品にアリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味を有し、外皮部由来の不快な味・香りが少ない特徴を付与することにより市場価値が高く、従来の小麦粉よりも高品質である。
【0017】
本発明の小麦粉は、小麦全粒を精麦工程と製粉工程により処理すること、および精麦工程において精麦歩留り98ないし85%となるように精麦処理することで得られる小麦粒、すなわち小麦全粒の最外部から2ないし15重量%を除去した小麦粒を原料小麦粒として製粉することで、二次加工食品に好ましい穀物の味・風味を有し不快な味・香りが少ない特徴を付与する小麦粉である。したがって、精麦工程は、小麦全粒を精麦歩留り98ないし85%に精麦可能な方法であれば特に規定されず、また製粉工程は精麦処理した小麦粒が粉砕可能な方法であれば特に制約無く実施可能である。
【0018】
本発明の小麦粉を得る具体的な方法としては、例えば株式会社サタケのペリテックシステムのような精麦工程とロール粉砕の工程を併せ持つ製粉システムを利用する方法のほか、精麦機による精麦工程と従来の多段階ロールによる製粉工程を併用する方法、精麦機による精麦工程と一般的な粉砕機による粉砕工程を組合せる方法などがあり、何れの方法も利用することが可能である。ここでいう一般的な粉砕機の例としては、石臼、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミルなどが挙げられ、これらから目的に応じて適宜選択し、また必要であればこれらを組合せて利用することができる。
精麦工程での精麦処理は、精麦歩留りとして98%以下になるように実施する必要があり、これより精麦歩留りが多いと精麦後の小麦粒の外皮部の残存量が多くなり、特に不快な味・香りを強く感じるようになり、本発明の効果が不十分となる。また過度の精麦処理は製品である小麦粉の最終的な歩留りを低下させてしまうため、産業上実用的な範囲としては、精麦歩留りとして85%以上98%以下、好ましくは90%以上98%以下の精麦処理とするのが望ましい。
【0019】
本発明により得られる小麦粉は、該小麦粉を用いた二次加工食品において、アリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味の特徴を有し、不快な味・香りが少ない特徴を有するほか、食感も非常に良好なものとなり商品価値が高まることにより市場価値が高く、従来の小麦粉よりも高品質である。勿論のこと、本発明により得られる小麦粉は、従来の小麦粉を使用する場合と同様の手段により、二次加工食品を製造することが可能であり、何ら制約を受けることはない。さらに、これらの特徴は、小麦粉調製品の形態を介しても得ることが可能である。
本発明の小麦粉調製品とは、小麦粉のほかに、糖類、塩、澱粉類、乳化剤、酵素剤、などの副資材を必要に応じて配合したものであり、具体的にはベーカリーミックス、菓子ミックス、天ぷら粉、から揚げ粉、お好み焼き粉、たこ焼き粉、などの小麦粉ミックス製品を示す。
【0020】
本発明のアリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味の特徴を有する二次加工食品として、小麦粉を利用した加工食品であり、具体的には、各種のベーカリー製品、菓子、うどん、中華麺、パスタ、お好み焼き、たこ焼きなどが例示される。アリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味の特徴は、例えば山型食パンでは、好ましい穀物の味・風味の強さ、不快な味・香り、食感(ソフトさ)、総合評価を評価基準にしたがい評価される。うどんでは、好ましい穀物の味・風味の強さ、不快な味・香り、食感(粘弾性)、食感(滑らかさ)、総合評価を評価基準に従って評価される。スポンジケーキでは、好ましい穀物の味・風味の強さ、不快な味・香り、食感(口溶け)、食感(ソフトさ)、総合評価を、クッキーでは、好ましい穀物の味・風味、不快な味・香り、食感(サクさ)、総合評価の各項目について評価基準に従って評価される。中華麺では、好ましい穀物の味・風味の強さ、不快な味・香り、食感(粘弾性)、食感(滑らかさ)、総合評価を、パスタでは、好ましい穀物の味・風味の強さ、不快な味・香り、食感(粘弾性)、総合評価の各項目について評価基準に従って評価される。
【0021】
【作用】
小麦全粒の外皮部を効率的に除去するべく、精麦工程を精麦歩留りで管理することで、新たな品質的価値を小麦粉に付与することを可能とした。あらかじめ小麦全粒を最外部から精麦歩留り98ないし85%となるように精麦した後で、すなわち小麦全粒の最外部から2ないし15%重量を除去した後、得られる小麦粒を製粉することで、二次加工食品に好ましい穀物の味・風味を有し、不快な味・香りが少ない特徴を付与できる小麦粉が得られる。該小麦粉を用いた二次加工食品においては、好ましい穀物の味・風味を有し、不快な味・香りが少ない特徴を有するほか、食感も非常に良好なものとなり、商品価値の高い製品となる。
【0022】
【実施例】
以下に実施例を示し発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例により何ら限定をされない。
【0023】
実施例1
カナダ産強力春小麦を予め水分量が16重量%となるように調質を行い、さらに精麦前に小麦粒表面に1重量%(対調質後小麦)の加水を行った。次いで、精麦機VCW2A(株式会社サタケ製)を用いて最外部から重量で歩留り98%となるように精麦した後、ブレーキング・グレーディング・ピュリフィケーション・リダクションの工程を有する製粉工程で粉砕処理し、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は78.4%であった。
この小麦粉を用いて、以下の配合および工程により山型食パンを製造し、10名の専門パネラーによって、「好ましい穀物の味・風味の強さ」、「不快な味・香り」、「食感(ソフトさ)」、「総合評価」を評価基準にしたがい評価した。結果を表1に示す。
【0024】
<配合>
小麦粉 100 重量部
イースト 2
イーストフード 0.1
食塩 2
グラニュー糖 4
ショートニング 2
水 70
<工程>
ミキシング ショートニング以外の材料を投入し、低速3分、中速2分混捏後、ショートニングを投入し低速1分、中速2分混捏した。
捏上温度 28℃
フロアタイム 90分
分割 220g
成型、型詰め モルダーでロール成型後、U字詰め
ホイロ 38℃、相対湿度85%、60分
焼成 215℃、30分
【0025】
実施例2
最外部から重量で歩留り95%となるように精麦した以外は、実施例1と同様の工程にて、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は78.3%であった。この小麦粉を用いて、実施例1と同様に山型食パンを製造し、評価を行った。
【0026】
実施例3
最外部から重量で歩留り90%となるように精麦した以外は、実施例1と同様の工程にて、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は78.5%であった。この小麦粉を用いて、実施例1と同様に山型食パンを製造し、評価を行った。
【0027】
実施例4
最外部から重量で歩留り85%となるように精麦した以外は、実施例1と同様の工程にて、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は78.0%であった。この小麦粉を用いて、実施例1と同様に山型食パンを製造し、評価を行った。
【0028】
実施例5
実施例3で得られた小麦粉を用いて、下記配合のベーカリーミックスを調製した。このベーカリーミックスを使用して下記工程により山型食パンを製造し、実施例1と同様に評価を行った。
〇ベーカリーミックス
<配合>
小麦粉 84.9%
ショートニング 5
砂糖 6
食塩 2
脱脂粉乳 2
イーストフード 0.1
合計 100
<工程>
カッターミキサーを利用して、上記材料を均一に混合し、ベーカリーミックスを製造した。
【0029】
〇山型食パン
<配合>
ベーカリーミックス 100重量部
イースト 2
水 68
<工程>
ミキシング 低速3分、中速4分
捏上温度 28℃
フロアタイム 90分
分割 220g
成型、型詰め モルダーでロール成型後、U字詰め
ホイロ 38℃、相対湿度85%、60分
焼成 215℃、30分
【0030】
実施例6
実施例1と同様に最外部から重量で歩留り98%となるように精麦した後、粉砕機としてピンミルを用いた粉砕処理と篩い分けを行ない、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は82.9%であった。この小麦粉を用いて、実施例1と同様に山型食パンを製造し、評価を行った。
【0031】
比較例1
カナダ産強力春小麦を予め水分量が16重量%となるように調質を行った後、精麦処理することなく、実施例1と同様の製粉工程により粉砕処理し、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は78.7%であった。この小麦粉を用いて、実施例1と同様に山型食パンを製造し、評価を行った。
【0032】
比較例2
最外部から重量で歩留り99%となるように精麦した以外は、実施例1と同様の工程にて、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は78.5%であった。この小麦粉を用いて、実施例1と同様に山型食パンを製造し、評価を行った。
【0033】
比較例3
比較例1で得られた小麦粉を用いて、実施例5と同様にベーカリーミックスを調製した。このベーカリーミックスを使用して実施例5と同様に山型食パンを製造し、評価を行った。
【0034】
比較例4
カナダ産強力春小麦を予め水分量が16重量%となるように調質を行った後、精麦処理することなく、実施例6と同様に粉砕機としてピンミルを用いた粉砕処理と篩い分けを行ない、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は82.3%であった。この小麦粉を用いて、実施例1と同様に山型食パンを製造し、評価を行った。
【0035】
【表1】




【0036】
<評価基準>
好ましい穀物の味・風味の強さ
++:はっきりと感じられる (良好)
+ :やや感じられる ↓
± :わずかに感じられる ↓
− :感じられない (悪い)
不快な味・香り
+ :感じられない (良好)
± :わずかに感じられる ↓
− :やや感じられる ↓
−−:はっきりと感じられる (悪い)
食感(ソフトさ)
++:非常にソフトで口溶けが良好である(良好)
+ :ソフトで口溶けが良好である ↓
± :ソフトである ↓
− :ぼそついて、口溶けが劣る (悪い)
総合評価
++:非常に好ましい (良好)
+ :好ましい ↓
± :どちらかというと好ましい ↓
− :やや悪い ↓
−−:悪い (悪い)
【0037】
上記の通り、小麦全粒を最外部から精麦歩留り85%以上98%以下となるように精麦した後で、製粉して得られる小麦粉を用いることにより、好ましい穀物の味・風味を有し、不快な味・香りが少なく、食感の良好なパンが得られる。実施例5に示す通り、本発明の小麦粉はミックス形態での使用も可能である。また実施例6に示す通り、製粉方法は任意に選択できることが確認された。
【0038】
実施例7
実施例1で得られた小麦粉を用いて、以下の配合および工程により生中華麺を製造した。この生中華麺を茹でて評価を行った。なお、茹で時間はゆで麺の水分が75%となるように設定した。
評価は10名の専門パネラーによって行い、「好ましい穀物の味・風味の強さ」「不快な味・香り」「食感(粘弾性)」「食感(滑らかさ)」「総合評価」を評価基準にしたがって評価した。結果を表2に示す。
<配合>
小麦粉 100重量部
かん水 1
食塩 1
水 32
<工程>
上記の材料をパドル型ミキサーに投入し、低速で約10分間、そぼろが適性状態になるまでミキシングした。この混捏生地を、定法により製麺ロールにて、荒延べ、複合及び圧延を行ない、最終麺帯厚1.4mmとして、切刃角No.20にて切り出し、生中華麺を製造した。
【0039】
実施例8
実施例2で得られた小麦粉を用いて、実施例7と同様に生中華麺を製造し、評価を行った。
【0040】
実施例9
実施例3で得られた小麦粉を用いて、実施例7と同様に生中華麺を製造し、評価を行った。
【0041】
実施例10
実施例4で得られた小麦粉を用いて、実施例7と同様に生中華麺を製造し、評価を行った。
【0042】
比較例5
比較例1で得られた小麦粉を用いて、実施例7と同様に生中華麺を製造し、評価を行った。
【0043】
比較例6
比較例2で得られた小麦粉を用いて、実施例7と同様に生中華麺を製造し、評価を行った。
【0044】
【表2】


【0045】
<評価基準>
好ましい穀物の味・風味の強さ
++:はっきりと感じられる (良好)
+ :やや感じられる ↓
± :わずかに感じられる ↓
− :感じられない (悪い)
不快な味・香り
+ :感じられない (良好)
± :わずかに感じられる ↓
− :やや感じられる ↓
−−:はっきりと感じられる (悪い)
食感(粘弾性)
++:非常に粘弾性がある (良好)
+ :弾性はあるが粘性に欠ける ↓
± :弾性、粘性ともにやや劣る ↓
− :弾性、粘性ともに劣る (悪い)
食感(滑らかさ)
+ :非常に滑らかで良好 (良好)
± :滑らかだがややねちゃつきがある ↓
− :滑らかさに劣る (悪い)
総合評価
++:非常に好ましい (良好)
+ :好ましい ↓
± :どちらかというと好ましい ↓
− :やや悪い ↓
−−:悪い (悪い)
【0046】
上記の通り、小麦全粒を最外部から精麦歩留り85%以上98%以下となるように精麦した後で、製粉して得られる小麦粉を用いることにより、好ましい穀物の味・風味を有し、不快な味・風味が少なく、食感の良好な中華麺が得られる。
【0047】
実施例11
オーストラリア産冬小麦を予め水分量が16重量%となるように調質を行い、さらに精麦前に小麦粒表面に1重量%(対調質後小麦)の加水を行った。次いで、グレイン・テスティング・ミルTM−05(株式会社サタケ製)を用いて最外部から重量で歩留り95%となるように精麦した後、ブレーキング・グレーディング・ピュリフィケーション・リダクションの工程を有する製粉工程で粉砕処理し、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は79.4%であった。
この小麦粉を用いて、以下の配合および工程により生うどんを製造した。この生うどんを茹でて評価を行った。なお、茹で時間はゆで麺の水分が75%となるように設定した。
評価は10名の専門パネラーによって行い、「好ましい穀物の味・風味の強さ」「不快な味・香り」「食感(粘弾性)」「食感(滑らかさ)」「総合評価」を評価基準に従って評価した。結果を表3に示す。
【0048】
<配合>
小麦粉 100重量部
食塩 2
水 34
<工程>
上記の材料をパドル型ミキサーに投入し、低速で約10分間、そぼろが適性状態になるまでミキシングした。この混捏生地を、定法により製麺ロールにて、荒延べ、複合及び圧延を行ない、最終麺帯厚2.5mmとして、切刃角No.10にて切り出し、生うどんを製造した。
【0049】
実施例12
最外部から重量で歩留り90%となるように精麦した以外は、実施例11と同様の工程にて、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は79.6%であった。この小麦粉を用いて、実施例11と同様に生うどんを製造し、評価を行った。
比較例7
オーストラリア産冬小麦を予め水分量が16重量%となるように調質を行った後、精麦処理することなく、実施例11と同様の製粉工程により粉砕処理し、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は79.6%であった。この小麦粉を用いて、実施例11と同様に生うどんを製造し、評価を行った。
【0050】
【表3】


【0051】
<評価基準>
好ましい穀物の味・風味の強さ
++:はっきりと感じられる (良好)
+ :やや感じられる ↓
± :わずかに感じられる ↓
− :感じられない (悪い)
不快な味・香り
+ :感じられない (良好)
± :わずかに感じられる ↓
− :やや感じられる ↓
−−:はっきりと感じられる (悪い)
食感(粘弾性)
++:非常に粘弾性がある (良好)
+ :弾性はあるが粘性に欠ける ↓
± :弾性、粘性ともにやや劣る ↓
− :弾性、粘性ともに劣る (悪い)
食感(滑らかさ)
+ :非常に滑らかで良好 (良好)
± :滑らかだがややねちゃつきがある ↓
− :滑らかさに劣る (悪い)
総合評価
++:非常に好ましい (良好)
+ :好ましい ↓
± :どちらかというと好ましい ↓
− :やや悪い ↓
−−:悪い (悪い)
【0052】
上記の通り、小麦全粒を最外部から精麦歩留り85%以上98%以下となるように精麦した後で、製粉して得られる小麦粉を用いることにより、好ましい穀物の味・風味を有し、不快な味・風味が少なく、食感の良好なうどんが得られる。
【0053】
実施例13および14
アメリカ産軟質冬小麦を予め水分量が16重量%となるように調質を行い、さらに精麦前に小麦粒表面に1重量%(対調質後小麦)の加水を行った。次いで、グレイン・テスティング・ミルTM−05(株式会社サタケ製)を用いて最外部から重量で歩留り95%となるように精麦した後、ブレーキング・グレーディング・ピュリフィケーション・リダクションの工程を有する製粉工程で粉砕処理し、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は79.1%であった。
この小麦粉を用いて、以下の配合および工程によりスポンジケーキおよびクッキーを製造し、評価を行った。
評価は10名の専門パネラーによって行い、スポンジケーキは「好ましい穀物の味・風味の強さ」「不快な味・香り」「食感(口溶け)」「食感(ソフトさ)」「総合評価」、クッキーは「好ましい穀物の味・風味」「不快な味・香り」「食感(サクさ)」「総合評価」の各項目について評価基準に従って評価した。結果を表4および表5に示す。
【0054】
〇スポンジケーキ
<配合>
小麦粉 120 g
鶏卵 145 g
砂糖(上白糖) 135 g
水 36 g
<工程>
小麦粉以外の材料をミキサーを用いて泡立てた(比重:0.26g/ml)。次いで、三分の一量の水、篩った小麦粉、残りの水を順次加えて混ぜ合わせた。これを6号のケーキ型に流し込み190℃で30分焼成を行った。
【0055】
〇クッキー
<配合>
小麦粉 225 g
ショートニング 64 g
砂糖(上白糖) 130 g
食塩 2.1g
重曹 2.5g
ミルク溶液 40 g
蒸留水 16 g
※ ミルク溶液:脱脂粉乳28.2gを蒸留水150mlに溶かしたもの
<工程>
竪型ミキサーを用いてショートニング、砂糖、重曹を混ぜ合わせた後、食塩、ミルク溶液、蒸留水を加えさらに混ぜ合わせた。最後に小麦粉を加え、混ぜ合わせた後、7mmの厚さの生地を調製し、内径6cmのカッターで型抜きした。焼成は205℃で10分間行った。
【0056】
実施例15および16
最外部から重量で歩留り90%となるように精麦した以外は、実施例13および14と同様の工程にて、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は78.9%であった。この小麦粉を用いて、実施例13および14と同様にスポンジケーキおよびクッキーを製造し、評価を行った。
比較例8および9
アメリカ産軟質冬小麦を予め水分量が16重量%となるように調質を行った後、精麦処理することなく、実施例13および14と同様の製粉工程により粉砕処理し、小麦粉を得た。小麦粉の歩留り(対調質後小麦)は79.1%であった。この小麦粉を用いて、実施例13および14と同様にスポンジケーキおよびクッキーを製造し、評価を行った。
【0057】
【表4】


【0058】
【表5】


【0059】
<評価基準>
〇スポンジケーキおよびクッキーに共通した評価項目
好ましい穀物の味・風味の強さ
++:はっきりと感じられる (良好)
+ :やや感じられる ↓
± :わずかに感じられる ↓
− :感じられない (悪い)
不快な味・香り
+ :感じられない (良好)
± :わずかに感じられる ↓
− :やや感じられる ↓
−−:はっきりと感じられる (悪い)
総合評価
++:非常に好ましい (良好)
+ :好ましい ↓
± :どちらかというと好ましい ↓
− :やや悪い ↓
−−:悪い (悪い)
〇スポンジケーキの評価項目
食感(口溶け)
++:非常に口溶けが良好である (良好)
+ :口溶け良好である ↓
± :口溶けやや良好である ↓
− :口溶けが劣る (悪い)
食感(ソフトさ)
++:非常にソフトで良好ある (良好)
+ :ソフトで良好である ↓
± :ややソフトである ↓
− :ソフトさが劣る (悪い)
〇クッキーの評価項目
食感(サクさ)
++:非常にサクく良好である (良好)
+ :サクく良好である ↓
± :サクさがある ↓
− :サクさが劣る (悪い)
【0060】
上記の通り、小麦全粒を最外部から精麦歩留り85%以上98%以下となるように精麦した後で、製粉して得られる小麦粉を用いることにより、好ましい穀物の味・風味を有し、不快な味・風味が少なく、食感の良好なスポンジケーキおよびクッキーが得られる。
【0061】
実施例17
カナダ産デュラム小麦を予め水分量が16重量%となるように調質を行い、さらに精麦前に小麦粒表面に1重量%(対調質後小麦)の加水を行った。次いで、グレイン・テスティング・ミルTM−05(株式会社サタケ製)を用いて最外部から重量で歩留り95%となるように精麦した後、ブレーキング・グレーディング・ピュリフィケーションの工程を有する製粉工程で粉砕処理し、セモリナを得た。セモリナの歩留り(対調質後小麦)は77.8%であった。
このセモリナを用いて、以下の配合および工程により乾燥パスタを製造した。この乾燥パスタを茹でて評価を行った。なお、乾燥パスタの茹で時間は茹で麺の重量が対乾燥パスタで240%となるように設定した。
評価は10名の専門パネラーによって行い、「好ましい穀物の味・風味の強さ」「不快な味・香り」「食感(粘弾性)」「総合評価」を評価基準にしたがい評価した。結果を表6に示す。
【0062】
<配合>
セモリナ 100重量部
水 30
<工程>
上記の材料を10分間、そぼろが適性状態になるまでミキシングした。次いでこの生地を600mmHgの圧力で脱気しながら80kg/cm以上の圧力でダイス孔から押出してΦ1.6mmのパスタを成形した。このパスタを恒温恒湿機にて乾燥し、乾燥パスタ(水分12%)を製造した。
【0063】
実施例18
最外部から重量で歩留り90%となるように精麦した以外は、実施例17と同様の工程にて、セモリナを得た。セモリナの歩留り(対調質後小麦)は79.2%であった。このセモリナを用いて、実施例17と同様に乾燥パスタを製造し、評価を行った。
【0064】
比較例10
カナダ産デュラム小麦を予め水分量が16重量%となるように調質を行った後、精麦処理することなく、実施例17と同様の製粉工程により粉砕処理し、セモリナを得た。セモリナの歩留り(対調質後小麦)は78.5%であった。このセモリナを用いて、実施例17と同様に乾燥パスタを製造し、評価を行った。
【0065】
【表6】


【0066】
<評価基準>
好ましい穀物の味・風味の強さ
++:はっきりと感じられる (良好)
+ :やや感じられる ↓
± :わずかに感じられる ↓
− :感じられない (悪い)
不快な味・香り
+ :感じられない (良好)
± :わずかに感じられる ↓
− :やや感じられる ↓
−−:はっきりと感じられる (悪い)
食感(粘弾性)
+ :粘弾性があり良好である (良好)
± :弾性、粘性ともにやや劣る ↓
− :弾性、粘性ともに劣る (悪い)
総合評価
++:非常に好ましい (良好)
+ :好ましい ↓
± :どちらかというと好ましい ↓
− :やや悪い ↓
−−:悪い (悪い)
【0067】
上記の通り、小麦全粒を最外部から精麦歩留り85%以上98%以下となるように精麦した後で、製粉して得られるセモリナを用いることにより、好ましい穀物の味・風味を有し、不快な味・風味が少なく、食感の良好なパスタが得られる。
【0068】
【発明の効果】
本発明により、アリューロン層由来の好ましい穀物の味・風味の特徴を活かした二次加工食品を製造するための小麦粉、およびそれを用いた小麦粉調製品、並びに好ましい穀物の味・風味を有し不快な味・香りが少ない特徴を有する二次加工食品を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000187079
【氏名又は名称】昭和産業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区内神田2丁目2番1号
【出願日】 平成15年6月23日(2003.6.23)
【代理人】 【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子

【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸

【公開番号】 特開2005−13011(P2005−13011A)
【公開日】 平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願番号】 特願2003−178377(P2003−178377)