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【発明の名称】 飼料及びγ−アミノ酪酸の供与方法
【発明者】 【氏名】松永 昌訓
【住所又は居所】福島県郡山市安積町笹川字平ノ上1番地の1 日本全薬工業株式会社内

【氏名】佐瀬 孝一
【住所又は居所】福島県郡山市安積町笹川字平ノ上1番地の1 日本全薬工業株式会社内

【氏名】松永 富雄
【住所又は居所】福島県郡山市安積町笹川字平ノ上1番地の1 日本全薬工業株式会社内

【氏名】鈴田 靖幸
【住所又は居所】福島県郡山市安積町笹川字平ノ上1番地の1 日本全薬工業株式会社内

【要約】 【課題】γ−アミノ酪酸を動物に効率良く安価に供与し同時にストレス低減効果を有効に高める。

【解決手段】糖蜜にγ−アミノ酪酸を混合して固形化した飼料ブロックを家畜に舐食させ、家畜に糖蜜と一緒にγ−アミノ酪酸を供与する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖蜜にγ−アミノ酪酸を混合したことを特徴とする飼料。
【請求項2】
糖蜜に少なくとも0.001重量%以上のγ−アミノ酪酸を混合したことを特徴とする請求項1に記載の飼料。
【請求項3】
固形化してブロックとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の飼料。
【請求項4】
糖蜜に少なくとも0.001重量%以上のγ−アミノ酪酸を混合した飼料を動物に給餌し、動物に糖蜜と共にγ−アミノ酪酸を供与することを特徴とするγ−アミノ酪酸の供与方法。
【請求項5】
動物が家畜であることを特徴とする請求項4に記載のγ−アミノ酪酸の供与方法。
【請求項6】
動物がペットであることを特徴とする請求項4に記載のγ−アミノ酪酸の供与方法。
【請求項7】
請求項4に記載の飼料を固形化した飼料ブロックを動物に舐食させて給餌することを特徴とするγ−アミノ酪酸の供与方法。
【請求項8】
動物に糖蜜と共にγ−アミノ酪酸を給餌して動物のストレスを低減することを特徴とする請求項4に記載のγ−アミノ酪酸の供与方法。
【請求項9】
家畜の輸送日の4日〜30日前から輸送直前までの間、糖蜜と共にγ−アミノ酪酸を家畜に給餌することにより家畜の輸送による体重減少を抑制することを特徴とする請求項5に記載のγ−アミノ酪酸の供与方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、飼料及びγ−アミノ酪酸の供与方法に関し、特にγ−アミノ酪酸を動物に効率良く供与することができ、且つ動物のストレスを効果的に低減できるようにした飼料及びγ−アミノ酪酸の供与方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
γ−アミノ酪酸(一般にGABAと呼ばれており、以下ではGABAと称す)は、動植物界に広く分布しているアミノ酸の一種であり、神経抑制作用、精神安定作用などの機能を有していることが分かってきており、最近では血圧降下作用、脳の新陳代謝促進作用、動脈硬化の予防、二日酔い防止、皮膚の活性化(シミ防止)などに効果がある物質として注目され、その開発、研究が進められている。
【0003】
GABAの製造に関するものとしては、グルタミン酸および/またはグルタミン酸ナトリウムに酵母を作用させることによってGABAを富化した食品素材およびその製造方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
又、ゴマを原料として、グルタミン酸および/またはその塩類を添加して加工することによりGABAを豊富に含有したゴマ食品素材(GABA含有ゴマ・エキス及びエキス末)およびその製造方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
一方、麦若葉由来の素材を嫌気保温処理してGABAを富化した動物飼料を、動物用ストレス解消剤として用いたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特許第2891296号
【特許文献2】特開2003−24015号公報
【特許文献3】特開2002−65175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記したように、GABAを製造するために、特許文献1では、グルタミン酸および/またはグルタミン酸ナトリウムに酵母を作用させることによりGABAを富化した食品素材を得ており、又、特許文献2では、ゴマを原料として、グルタミン酸および/またはその塩類を添加して加工することによりGABAを豊富に含有したゴマ食品素材を得ており、又、特許文献3では、麦若葉由来の素材を、グルタミン酸水溶液などの溶液に浸漬してグルタミン酸からGABAへの変換を行わせてGABA富化処理を行っているが、いずれの方法によってもGABAを製造することは大変であり、更にGABAの含有率を高めることは技術的に難しく、そのためにGABAは一般に高価なものとなっている。
【0007】
従って、一般の家畜農場において前記したような高価なGABAを家畜に供与するようなことは通常では採用が難しい。一方、GABAを家畜に供与するために、前記GABAを単に飼料に混合して家畜に食餌させることによって供与しても、飼料に混ぜたGABAが落下して無駄に廃棄されてしまう可能性があり、更に、GABAを単独で飼料に混合して家畜に供与しても、GABA供与による有効な効果が発揮できないという問題がある。
【0008】
本発明は、γ−アミノ酪酸を効率良く家畜に供与することができ同時にストレス低減効果を有効に高め得る飼料及びγ−アミノ酪酸の供与方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、糖蜜にγ−アミノ酪酸を混合したことを特徴とする飼料である。
【0010】
請求項2に係る発明は、糖蜜に少なくとも0.001重量%以上のγ−アミノ酪酸を混合したことを特徴とする請求項1に記載の飼料である。
【0011】
請求項3に係る発明は、固形化してブロックとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の飼料である。
【0012】
請求項4に係る発明は、糖蜜に少なくとも0.001重量%以上のγ−アミノ酪酸を混合した飼料を動物に給餌し、動物に糖蜜と共にγ−アミノ酪酸を供与することを特徴とするγ−アミノ酪酸の供与方法である。
【0013】
請求項5に係る発明は、動物が家畜であることを特徴とする請求項4に記載のγ−アミノ酪酸の供与方法である。
【0014】
請求項6に係る発明は、動物がペットであることを特徴とする請求項4に記載のγ−アミノ酪酸の供与方法である。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項4に記載の飼料を固形化した飼料ブロックを動物に舐食させて給餌することを特徴とするγ−アミノ酪酸の供与方法である。
【0016】
請求項8に係る発明は、動物に糖蜜と共にγ−アミノ酪酸を給餌して動物のストレスを低減することを特徴とする請求項4に記載のγ−アミノ酪酸の供与方法である。
【0017】
請求項9に係る発明は、家畜の輸送日の4日〜30日前から輸送直前までの間、糖蜜と共にγ−アミノ酪酸を家畜に給餌することにより家畜の輸送による体重減少を抑制することを特徴とする請求項5に記載のγ−アミノ酪酸の供与方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、糖蜜にGABAを混合して飼料とし、この飼料を動物に給餌するようにしたので、動物は糖蜜とGABAを同時に摂取することによりGABAを単独で摂取した場合に比してGABA摂取による有効性が高まり、動物のストレスが低減し、家畜の場合には肉質が向上し、又、家畜を輸送する際に生じていた体重減少の問題を有効に抑制できる効果がある。従って、家畜の生産性が向上される効果がある。
【0019】
又、動物のストレスが低減することにより、家畜が物音等によって敏感に暴れ回る問題が低減され、家畜の輸送時に家畜が運搬車に乗ることを嫌がるといった問題も低減し、家畜の誘導などの作業が容易になる効果がある。
【0020】
GABAが動物に有効に活用されることになるため、動物に対するGABAの供与量を実質的に減少することができ、よって動物にGABAを供与する経費が低減できる効果がある。
【0021】
糖蜜にGABAを混合して固形化した飼料ブロックを動物に舐食させると、動物は舐食によってGABAを無駄なく安定して摂取するので、高価なGABAを効率良く動物に供与できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0023】
本発明は、動物のストレスの低減を主な目的とした飼料に関し、この飼料は糖蜜に対して少なくとも0.001重量%以上のGABAを混合している。GABAの由来は、市販されている食品用のGABAであればいずれの由来のものでもよく、例えば、(株)ファーマーフーズ研究所製の「ファーマギャバ20」などの乳酸菌醗酵により高濃度のGABAを富化したものが挙げられるが、この製品由来のGABAに限定されるものではない。この飼料は、液剤、粉剤、散剤、飼料ブロック、ブリケット剤(ビスケット等の如き菓子形状)等の形態で動物に給餌することができる。
【0024】
図1では、糖蜜にGABAを均一混合して、その混合物を固形化することにより所要の大きさの飼料ブロックとした場合を示している。この飼料ブロックは、例えば40kg〜1kg前後の大きさ、好ましくは20kg〜2kg前後の大きさ、更に好ましくは15kg〜5kg前後の大きさに成形するようにしており、この飼料ブロックは動物の舐食によって容易に崩壊しない硬さ、例えば針入針試験での針入度が120以下であることが好ましい。
【0025】
このようにして製造した飼料ブロックは厩舎の飼料槽等に設置して家畜等が自由に舐食できるようにする。これにより、動物は飼料ブロックを舐食することによって、糖蜜を摂取すると同時に所要量のGABAを自然に摂取することになり、これによって動物に対してGABAを効率良く供与できるようになる。このとき、糖蜜とGABAは共に動物の嗜好性が高いので、動物は好んで飼料ブロックを舐食する。
【0026】
又、前記したように糖蜜にGABAを混合すると共に、更にビタミンE、機能性アミノ酸の少なくとも1つ或いは両方を混合して固形化することにより飼料ブロックを製造してもよい。
【0027】
上記飼料ブロック以外の形態の液剤、粉剤、散剤、ブリケット剤(ビスケット等の如き菓子形状)等の飼料は、餌等に混ぜて給餌することができる。
【0028】
上記本発明の飼料による有効性を確認するために実施した試験について以下に説明する。
【0029】
[試験1]マウスへのストレス負荷試験
マウスを用い、糖蜜にファーマギャバ20((株)ファーマーフーズ研究所製;GABAを20重量%配合)を混合した混合液の飼料を供与した場合と、下記の他の比較例とにおける、ストレス負荷に対する胃内壁の出血を比較する試験を実施した。
【0030】
ファーマギャバ20を蒸留水に溶解しファーマギャバ溶液(1mg/mL;GABAとして0.2mg/mL)とした。C3H/HeJマウス各区5匹を1群として、糖蜜+GABA区マウスには、ファーマギャバ溶液0.015mL、糖蜜0.135mLを混合し(ファーマギャバ:糖蜜=1:9)ピペットを用いて、0.15ml/日(GABA量として0.003mg/日/頭)で7日間連続して強制的に供与した。同様に、他の各群のマウスを、対照区(蒸留水0.15mLを強制的に供与)、糖蜜区(糖蜜0.135mL+蒸留水0.015mLを混合した混合液0.15mLを強制的に供与)、GABA区(ファーマギャバ溶液0.015mL+蒸留水0.135mLを混合した混合液0.15mLを強制的に供与;GABA量として0.003mg/日/頭)とし7日間給与した。8日目に各群のマウスに強制水泳ストレスを3時間負荷した後、直ちに胃を摘出・切開して内壁の出血程度を実態顕微鏡を用いて確認した。なお、各区ともに基礎飼料として日本クレアCE-2飼育繁殖固型飼料を不断給餌し、自由飲水させた。上記試験を2回実施し、その結果を[表1]、[表2]に示した。
【0031】
【表1】


【0032】
【表2】


【0033】
上記[表1]、[表2]から明らかなように、糖蜜+GABA区は、対照区、糖蜜区、GABA区のいずれに対してもストレス負荷後胃内壁出血スコアが低下しており、糖蜜とファーマギャバ20を混合した混合液の供与によってストレスが有意(student's t-test; p<0.01)に低減することが判明した。従って、糖蜜にファーマギャバ20を混合した液剤、粉剤、散剤、飼料ブロック、ブリケット剤(ビスケット等の如き菓子形状)等とした飼料を動物に供与すれば、牛、豚、馬、羊、山羊、鶏等の家畜、犬、猫等のペット、人などの動物のストレスを効果的に低減することができると考えられる。
【0034】
[試験2]マウスを用いた盲腸内容物中のIgA濃度試験(免疫力評価試験)
マウスを用い、前記混合液の飼料を供与した場合と、他の比較例とにおける、盲腸内容物中のIgA濃度(免疫力評価)を比較する試験を実施した。
【0035】
ファーマギャバ20を蒸留水に溶解しファーマギャバ溶液(1mg/mL;GABAとして0.2mg/mL)とした。C3H/HeJマウスを各区5匹を1群として、糖蜜+GABA区マウスには、ファーマギャバ溶液0.015mL、糖蜜0.136mL液を混合し(ファーマギャバ:糖蜜=1:9)、ピペットを用いて、約0.15ml/日(GABA量として0.003mg/日/頭)で14日間連続して強制的に供与した。15日目に、マウスの盲腸を摘出、各個体の重量を測定し、内容物をPBSに懸濁した後遠心分離を行った。さらに、遠心分離上清を濾過により浮遊物を除去し、溶液中のIgA濃度をコスモバイオベッチル社製 マウスIgA定量キットを用いてサンドイッチELISA法により測定した。
【0036】
同様に、他の各群のマウスを、対照区(蒸留水0.15mLを強制的に供与)、糖蜜区(糖蜜0.135mL+蒸留水0.015mLを混合した混合液0.15mLを強制的に供与)、GABA区(ファーマギャバ溶液0.015mL+蒸留水0.135mLを混合した混合液0.15mLを強制的に供与;GABA量として0.003mg/日/頭)で14日間飼育後、同様に処理して盲腸内容物中IgA濃度を測定した。各区についてstudent's t-testにより判定した.その試験結果を図2に示した。
【0037】
図2から明らかなように、糖蜜+GABA区は、対照区、糖蜜区、GABA区のいずれに対しても有意に(P<0.01)盲腸内容物中IgA濃度が上昇しており、これは糖蜜とGABAを同時に摂取するとマウスの免疫力が増加して活性が向上したことを表わしている。従って、糖蜜にファーマギャバ20を混合した液剤、粉剤、散剤、飼料ブロック、ブリケット剤(ビスケット等の如き菓子形状)等の飼料を動物に供与すれば、牛、豚、馬、羊、山羊、鶏等の家畜、犬、猫等のペット、人などの動物の免疫活性を高めることができると考えられる。
【0038】
本発明者らは、以下の飼料ブロックを作製した。GABA量に依存することがなく、牛に供与するのに充分な硬さの糖蜜ブロックが得られた。
【0039】
〔処方実施例1〕
糖蜜45.715重量%、リン酸カルシウム30重量%、ゼオライト8重量%、アルコール3重量%、水10重量%、食塩3重量%、酢酸トコフェロール0.25重量%、ファーマギャバ20((株)ファーマーフーズ研究所製)0.035重量%(GABAとして0.007重量%;1kgあたり70mgのGABAを配合)を混合した後、容器に1〜3日間養生させ固形化し、GABA配合糖蜜飼料ブロックとした。作製したGABA配合糖蜜飼料ブロックの養生後製造4日目の針入度は69.5であり、牛に舐食させるのに充分な物性を示した。
【0040】
〔処方実施例2〕
糖蜜45.715重量%、リン酸カルシウム30重量%、ゼオライト5重量%、アルコール重量3%、水10重量%、食塩3重量%、酢酸トコフェロール0.25重量%、ファーマギャバ20((株)ファーマーフーズ研究所製)3.035重量%(GABAとして0.607重量%;1kgあたり6,070mgのGABAを配合)を混合した後、容器に1〜3日間養生させ固形化し、GABA配合糖蜜飼料ブロックとした。作製したGABA配合糖蜜飼料ブロックの養生後製造4日目の針入度は75.4であり、牛に舐食させるのに充分な物性を示した。
【0041】
〔処方実施例3〕
糖蜜45.715重量%、リン酸カルシウム30重量%、ゼオライト2重量%、アルコール重量3%、水10重量%、食塩3重量%、酢酸トコフェロール0.25重量%、ファーマギャバ20((株)ファーマーフーズ研究所製)6.035重量%(GABAとして1.207重量%;1kgあたり12,070mgのGABAを配合)を混合した後、容器に1〜3日間養生させ固形化し、GABA配合糖蜜飼料ブロックとした。作製したGABA配合糖蜜飼料ブロックの養生後製造4日目の針入度は73.0であり、牛に舐食させるのに充分な物性を示した。
【0042】
[試験3]育成牛の輸送に伴う体重の目減り試験
肉用育成牛により、本発明のGABA配合糖蜜飼料ブロックを舐食させた場合と、他の比較例とにおける、肉用育成牛の輸送による体重減少を比較する試験を実施した。
【0043】
平均体重350kgのホルスタイン種去勢牛(肉用育成牛)各区4頭を1群として、1つの群の肉用育成牛に、基礎飼料(市販配合飼料+チモシー乾草)の給与と合わせ処方実施例1の糖蜜GABA配合糖蜜飼料ブロック(GABAとして0.007重量%含有)を肥育候補牛として市場に出荷する日の14日前から自由舐食(平均舐食量約14kg/頭/週;GABAとして140mg/頭/日;1頭当たり1960mgのGABAを糖蜜とともに供与)させ、15日目に家畜運搬車に積載後に約3時間の輸送を行い、輸送前の体重と輸送後の体重を牛用体重計で計測して目減り量を求めた。又、他の群である対照区の肉用育成牛は基礎飼料(市販配合飼料+チモシー乾草)のみで飼育し、家畜運搬車に積載後に約3時間の輸送を行い、輸送前の体重と輸送後の体重を牛用体重計で計測して目減り量を求めた。その試験結果を[表3]に示した。
【0044】
【表3】


【0045】
上記[表3]から明らかなように、本発明のGABA配合糖蜜飼料ブロックを自由舐食させた肉用牛は無添加対照区に対して体重の目減り量が有意(p<0.01)に減少している。これは牛のストレスが低減されたことによる効果と考えられ、このように肉用牛が輸送によって無駄に痩せることが抑制されることにより、畜産農場における肉用牛の生産効率が大幅に向上された。
【0046】
更に、前記したように本発明のGABA配合糖蜜飼料ブロックを舐食させた肉用牛は、ストレスが低減されたことにより、輸送時の積み下ろし作業時に物音等によって敏感に暴れ回る挙動が減少した。更に、肉用牛の輸送時に肉用牛が運搬車に乗ることを嫌がる傾向も低減し、よって肉用牛を誘導或いは輸送する際の作業が軽減された。
【0047】
[試験4]肉質評価試験
肉用牛により、本発明の処方実施例1のGABA配合糖蜜飼料ブロックを舐食させた場合と、他の比較例とにおける、肉質を比較する試験を実施した。
【0048】
A農場では黒毛和種去勢牛を各区6頭を1群として、1つの群の肉用牛に、処方実施例1のGABA配合糖蜜飼料ブロックを出荷前に1か月間、平均約7kg/頭/月(GABAとして16.3mg/頭/日;1頭当たり489mgのGABAを糖蜜とともに供与)自由舐食により供与した後、屠場へ輸送し屠殺して肉質を調査した。又、他の群である給与飼料のみで飼育した肉用牛(対照区)の肉質を調査した。
【0049】
B農場ではF1去勢牛(ホルスタイン種×黒毛和種)を各区11頭を1群として、1つの群の肉用牛に、処方実施例1のGABA配合糖蜜飼料ブロックを出荷前に1か月間、平均約10kg/頭/月(GABAとして23.3mg/頭/日;1頭当たり699mgのGABAを糖蜜とともに供与)自由舐食により供与した後、屠場へ輸送し屠殺して肉質を調査した。又、他の群である基礎飼料のみで飼育した肉用牛(対照区)の肉質を調査した。
【0050】
C農場では黒毛和種去勢牛を各区6頭を1群として、1つの群の肉用牛に、処方実施例1のGABA配合糖蜜飼料ブロックを出荷前5日間に1頭当たり約5kgを給与飼料に混ぜて供与した(GABAとして70mg/頭/日;1頭当たり350mgのGABAを糖蜜とともに供与)後、屠場へ輸送し屠殺して肉質を調査した。又、他の群である基礎飼料のみで飼育した肉用牛(対照区)の肉質を調査した。
【0051】
A、B、C農場の試験結果を図3、図4、図5に示した。
【0052】
なお、図中BMSはサシの割合(No.3〜4が標準のもの、5〜7がやや良いもの、8〜12がかなり良いものとされる。)を表わし、BCSは肉色(No.3〜5がかなり良いものとされる)を表わし、BFSは脂肪の色(No.1〜4がかなり良いものとされる)を表わしている。
【0053】
上記図3、図4、図5から明らかなように、本発明のGABA配合糖蜜飼料ブロックを舐食させた肉用牛は対照区に対して肉質が有意(p<0.01)に上昇しており、糖蜜とGABAを同時に摂取することによって肉質が向上することが判明した。更に、糖蜜とGABAを摂取することで無添加対照区の場合に比して肉質が上昇することにより、肉の等級が高められた。従って家畜農場はより高い品質の肉用牛を出荷できるようになる。
【0054】
又、前記したように、本発明の飼料を家畜に給餌して家畜が糖蜜を摂取することにより、家畜の輸送後における筋中グリコーゲンが低下する問題を緩和する効果が期待できる。更に、飼料中にビタミンEを混合して舐食させると、抗酸化作用による肉色の変化を抑制する効果が期待できる。更に、飼料中に機能性アミノ酸を混合すると、神経伝達系を調整してストレスを緩和する効果を更に高めることが期待できる。
【0055】
更に、糖蜜にGABAを混合して固形化したGABA配合糖蜜飼料ブロックを家畜に舐食させると、家畜は舐食によってGABAを無駄なく安定して摂取するので、高価なGABAを効率良く家畜に供与できるようになる。また、牛は1日にGABA配合糖蜜飼料ブロックをおよそ200g〜2kg舐めるため、試験4のA農場の試験成績を例にとれば、16.3mg/頭/日で効果があると考えると、
16.3mg/200g=0.00815重量%
16.3mg/2kg=0.000815重量%
となる。
【0056】
これは概ね、0.001重量%以上GABAを配合した糖蜜飼料でGABAの効果が認められることを表している。また、体重600kg以上の肥育牛が1日16.3mgのGABA摂取量で効果が認められることから、体重60kgの人に換算すると、1.63mgとなり、人の1日GABA最小量といわれている30mgと比較するとGABAと糖蜜を一緒に給与することによりGABAの効果をおよそ18倍も高めることができると考えられる。
【0057】
本発明では、上記したように糖蜜にGABAを混合して飼料とし、この飼料を動物に給餌するようにしたので、動物は糖蜜とGABAを同時に摂取することによってGABAを単独で摂取した場合に比してGABA摂取による有効性が高められ、よって動物のストレスが低減し、家畜の場合には肉質が向上し、更に、家畜を輸送する際に生じていた体重減少の問題を有効に抑制できる。従って、家畜の生産性が向上するようになる。
【0058】
又、家畜のストレスが低減することにより、家畜が物音等によって敏感に暴れ回る問題が低減され、家畜の輸送時に家畜が運搬車に乗ることを嫌がるといった問題も低減し、家畜の誘導などの作業が容易になる。
【0059】
糖蜜とGABAを家畜が同時に摂取することによってGABAが動物に有効に活用されるために、動物に対するGABAの供与量を実質的に減少させることができ、よって動物にGABAを供与する際の経費を低減できるようになる。
【0060】
糖蜜にGABAを混合して固形化したGABA配合糖蜜飼料ブロックを動物に舐食させると、動物は舐食によってGABAを無駄なく安定に摂取でき、よって高価なGABAを効率良く動物に供与できる効果がある。
【0061】
尚、本発明は上記形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のGABA配合糖蜜飼料ブロックを製造する工程を示すブロック図である。
【図2】本発明のGABA配合糖蜜飼料ブロックの組成と同様の糖蜜にファーマギャバ20を混合した混合液をマウスに供与した場合と、他の比較例とにおける、マウスの盲腸内容物中のIgA濃度を比較して示したグラフである。
【図3】本発明のGABA配合糖蜜飼料ブロックを舐食させたA農場の肉用牛の場合の肉質と対照群の肉質とを比較して示したグラフである。
【図4】本発明のGABA配合糖蜜飼料ブロックを舐食させたB農場の肉用牛の場合の肉質と対照群の肉質とを比較して示したグラフである。
【図5】本発明のGABA配合糖蜜飼料ブロックを舐食させたC農場の肉用牛の場合の肉質と対照群の肉質とを比較して示したグラフである。
【出願人】 【識別番号】591281220
【氏名又は名称】日本全薬工業株式会社
【住所又は居所】福島県郡山市安積町笹川字平ノ上1番地の1
【出願日】 平成16年5月24日(2004.5.24)
【代理人】 【識別番号】100062236
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光

【識別番号】100083057
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 誠一

【公開番号】 特開2005−333804(P2005−333804A)
【公開日】 平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願番号】 特願2004−152997(P2004−152997)