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【発明の名称】 家禽用飼料
【発明者】 【氏名】北村 正男

【氏名】鈴木 敏明

【要約】 【課題】使用前は乾燥状態で保管でき、使用時には十分量の水を吸収させた状態で家禽に給与することができる、家禽用飼料を提供すること。

【解決手段】1〜40重量部の澱粉、10〜80重量部の大豆粕、及び1〜30重量部の油脂を成形した飼料であって、使用前に吸水させて粒子形状を保持したまま給与する家禽用飼料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜40重量部の澱粉、10〜80重量部の大豆粕、及び1〜30重量部の油脂を成形した飼料であって、使用前に吸水させて粒子形状を保持したまま給与する家禽用飼料。
【請求項2】
吸水させた成形飼料を収容ボックスの中の密集した雛の足元に給餌しても、雛の足趾に団塊状に付着しないことを特徴とする、請求項1に記載の家禽用飼料。
【請求項3】
1〜40重量部の澱粉、10〜80重量部の大豆粕、及び1〜30重量部の油脂を配合した組成物を成形して得られるペレット形態の飼料である、請求項1又は2に記載の家禽用飼料。
【請求項4】
油脂が中鎖脂肪酸トリグセリドである、請求項1から3の何れかに記載の家禽用飼料。
【請求項5】
さらに5〜40重量部の大豆粕以外の吸水成分を含む、請求項1から4の何れかに記載の家禽用飼料。
【請求項6】
大豆粕以外の吸水成分が、脱脂米糠及び/又は豆澱粉である、請求項5に記載の家禽用飼料。
【請求項7】
さらに0.1〜10重量部の保形成分を含む、請求項1から6の何れかに記載の家禽用飼料。
【請求項8】
保形成分が、小麦グルテンである、請求項1から7の何れかに記載の家禽用飼料。
【請求項9】
生後1週間以内の鶏の雛のための飼料である、請求項1から8の何れかに記載の家禽用飼料。
【請求項10】
消化管の形成を促進するために用いる、請求項1から9の何れかに記載の家禽用飼料。
【請求項11】
請求項1から10の何れかに記載の家禽用飼料を家禽に付与することを含む、家禽の飼育方法。
【請求項12】
家禽が生後1週間以内の鶏の雛である、請求項11に記載の飼育方法。
【請求項13】
家禽用飼料に水を添加してから家禽に付与する、請求項11又は12に記載の飼育方法。
【請求項14】
請求項1から10の何れかに記載の家禽用飼料を家禽に付与することを含む、家禽の消化管の形成を促進する方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏の雛などの家禽用の飼料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
孵化場で孵化した雛をブロイラー肥育農場や採卵養鶏の育成場に運ぶ間、雛は、複数体を収容ボックスに入れて管理される。従来、孵化場において、あるいは、孵化場から農場への運送途上において、雛に飼料を給与することはわが国では行われていない。また、孵化場より雛を受け入れた農場において、餌付け初期に、通常の餌付け飼料の上に、吸水した固形飼料を撒いて給与することも行われていない。
【0003】
米国では、孵化直後から農場に至る間、および農場における餌付け初期に、前項の目的で給与する飼料として、米国特許第5,976,580号、及び米国特許第5,928,686号に記載のものが知られており、また、これを製品化したものとしてNovus社が開発したOasisが知られている。Oasisは、水分含量の高いモイストペレット(エクストルーダーで製造した水含有量の高い柔らかな固形飼料)である。また、Oasisは、我国では飼料添加物として許可されていない防黴剤を使用しているほか、我国では許可されていない色素剤を使用しているため、これを我国に輸入して販売することはできない。また、Novus社のOasisを試験的に孵化直後の雛に与えたところ、含水量が十分ないため、雛のそ嚢中に停留して胃まで達せず、十分に機能を発揮できないことが判明した。即ち、Oasisはモイストペレットであるため、保管時に乾燥して含水量が低下してしまうという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、成型したペレット形態の飼料であり、使用前は乾燥状態で保管でき、使用時には十分量の水を吸収させた状態で家禽に給与することができる、家禽用飼料を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、澱粉及び大豆粕を含む家禽用飼料において、所定量の油脂を配合することにより、吸水させた際に、糊化した澱粉のためペレットが互いに付着することを防止すると同時に、所定量の大豆粕などの吸水成分を配合することによって吸水性を高めることにより、使用前は乾燥状態で保管し、そして使用前に水を十分に吸収させてから家禽に給与することができる、好適な家禽用飼料を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明によれば、1〜40重量部の澱粉、10〜80重量部の大豆粕、及び1〜30重量部の油脂を成形した飼料であって、使用前に吸水させて粒子形状を保持したまま給与する家禽用飼料が提供される。
【0007】
好ましくは、本発明の家禽用飼料は、吸水させた成形飼料を収容ボックスの中の密集した雛の足元に給餌しても、雛の足趾に団塊状に付着しないことを特徴とする。
好ましくは、本発明の家禽用飼料は、1〜40重量部の澱粉、10〜80重量部の大豆粕、及び1〜30重量部の油脂を配合した組成物を成形して得られるペレット形態の飼料である。
【0008】
好ましくは、油脂は中鎖脂肪酸トリグセリドである。
好ましくは、本発明の家禽用飼料は、さらに5〜40重量部の大豆粕以外の吸水成分を含む。
好ましくは、大豆粕以外の吸水成分が、脱脂米糠及び/又は豆澱粉である。
好ましくは、本発明の家禽用飼料は、さらに0.1〜10重量部の保形成分を含む。
好ましくは、保形成分は、小麦グルテンである。
【0009】
好ましくは、本発明の家禽用飼料は、生後1週間以内の鶏の雛のための飼料である。
好ましくは、本発明の家禽用飼料は、消化管の形成を促進するために用いる。
【0010】
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の家禽用飼料を家禽に付与することを含む、家禽の飼育方法が提供される。
【0011】
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の家禽用飼料を家禽に付与することを含む、家禽の消化管の形成を促進する方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の家禽用飼料は、使用前は乾燥状態で安定に保管でき、使用時には、加水により吸水してもペレット同士が互いに付着して団子状となることなく、ペレットをそれぞれ独立して分散した状態で家禽に給与することができる。本発明の飼料は、特には、生後1週間以内の鶏の雛に与えるのに適したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の家禽用飼料は、1〜40重量部の澱粉、10〜80重量部の大豆粕、及び1〜30重量部の油脂を成形した飼料であって、使用前に吸水させて粒子形状を保持したまま給与することを特徴とするものであり、好ましくは、好ましくは上記成分を配合した組成物を成形して得られるペレット形態の飼料である。
【0014】
澱粉としては、コーンスターチ、小麦粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、とうもろこし、マイロ、小麦、タピオカなどを使用することができる。本発明の飼料における澱粉の配合割合は、1〜40重量部であり、好ましくは、5〜30重量部である。1重量部未満では必要な栄養量を付与することができず、また40重量部を超えると、加水時にペレット同士が互いに付着し易くなるため、何れも好ましくない。なお、澱粉成分は、飼料ペレットに保形性を供与する作用をも有している。
【0015】
大豆粕としては、動物飼料において通常使用されるものを使用することができる。本発明の飼料における大豆粕の配合割合は、10〜80重量部であり、好ましくは30〜80重量部である。10重量部未満では必要な栄養量を付与することができず、また十分な吸水効果を達成することができず、また80重量部を超えると、飼料の栄養バランスを崩すため、何れも好ましくない。
【0016】
油脂としては、中鎖脂肪酸トリグセリド、大豆油、ナタネ油、紅花油、又はヒマワリ油などを使用することができ、特に好ましくは中鎖脂肪酸トリグセリドを使用することができる。中鎖脂肪酸トリグセリドとしては、炭素数8〜12の脂肪酸のトリグリセリドを使用することができる。
本発明において、中鎖脂肪酸トリグセリドなどの油脂は、吸水したペレット同士が互いに付着するのを防止するために配合されている。また、中鎖脂肪酸トリグセリドは、脂肪分解酵素の腸管への分泌が不十分な初生雛でも吸収可能な油脂であり、重要なエネルギー源でもある。本発明の飼料における中鎖脂肪酸トリグセリドなどの油脂の配合割合は、1〜30重量部であり、好ましくは3〜20重量部である。1重量部未満では接着防止効果が十分に達成できず、また30重量部を超えると組成物の成形が困難になるため、何れも好ましくない。
【0017】
大豆粕以外の吸水成分としては、水を吸収できる成分であって、飼料成分として好適なものであれば特に限定されず任意の成分を使用することができる。大豆粕以外の吸水成分の具体例としては、脱脂米糠、豆澱粉、ふすまなどが挙げられ、特に好ましくは、脱脂米糠および豆澱粉である。本発明の飼料における大豆粕以外の吸水成分の配合割合は、5〜40重量部であり、好ましくは10〜30重量部である。5重量部未満では飼料の吸水能が十分に達成できず、また40重量部を超えると他の栄養成分の配合量が低下するため栄養効率が低下するため、何れも好ましくない。
【0018】
本発明の家禽用飼料には、さらに所望により、0.1〜10重量部の保形成分を配合することができる。保形成分は、飼料ペレットに保形性を付与できる成分であって、飼料成分として好適なものであれば特に限定されず任意の成分を使用することができる。保形成分の具体例としては、小麦グルテン、豆澱粉、β−馬鈴薯架橋澱粉などが挙げられ、特に好ましくは小麦グルテンである。
【0019】
本発明の飼料は、家禽(例えば、鶏(ブロイラー、採卵鶏の両方を含む)、七面鳥、アヒル、ウズラ、カモ、キジまたはガチョウ等)に給与することができるが、好ましくは、鶏の雛に給与することができ、さらに好ましくは生後1週間以内、特に好ましくは生後72時間以内、最も好ましくは生後48時間以内の鶏の雛に給与することができる。
【0020】
また、飼料中に十分な水分が含有されない場合は、摂取された飼料はそ嚢に停滞し、下部に移行しないため、本発明の飼料は、使用前に水を添加して用いることが好ましい。水の添加量は特に限定されないが、乾燥状態の本発明の家禽用飼料の重量に対して、好ましくは10重量%〜200重量%の水を添加して使用することができ、さらに好ましくは50重量%〜150重量%の水を添加して使用することができる。
【0021】
本発明の家禽用飼料は、上記した通りの1〜40重量部の澱粉、10〜80重量部の大豆粕、及び1〜30重量部の油脂、そして所望により5〜40重量部の大豆粕以外の吸水成分、及び/又は0.1〜10重量部の保形成分を配合した組成物を調製し、次いでこの組成物を押出成形してペレットを作製することにより製造することができる。押出成形の条件は特に限定されず、当業者に公知の方法により行うことができる。具体的には、押出成形は、カッタースピード、スクリュー回転数、コンディショナー出口温度、バレル温度、乾燥条件などの諸条件を適宜設定して行うことができる。
【0022】
上記のようにして得られた本発明の家禽用飼料を鶏の雛に給与した場合、腸管重量を増大させる効果が発揮されることが本発明により実証された。即ち、本発明の家禽用飼料は、腸管などの消化管の形成を促進するために用いることができる。
【0023】
また、本発明の家禽用飼料を用いる家禽の飼育方法、並びに本発明の家禽用飼料を家禽に付与することによって家禽の消化管の形成を促進する方法も本発明の範囲内に含まれるものとする。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
実施例1:本発明の飼料(以下、「試作飼料」とも称する)の調製
以下の成分を、以下の組成で、合計量が250kgとなるように配合した。
【0025】
【表1】


【0026】
上記で用いた有機酸混合物は、酪酸を主成分とする有機酸であり、抗菌性を示すとともに、雛腸管表面の絨毛の発達を促進する。脂肪酸混合物は、炭素数6、8、10の脂肪酸を含み、抗菌性を有する。
【0027】
上記の配合物を下記条件で押出し成形に供した。
【0028】
【表2】


【0029】
次いで、ビーカーに乾燥後の飼料(20g)を入れ、20gの水(100%加水)を添加して物性を評価した。評価の結果を以下に示す。
【0030】
【表3】


【0031】
飼料番号No.1は、ベトツキ、粒同士の付着が少なく、保形性は良好で、30分で芯はなくなった。飼料番号No.2は、ベトツキ、粒同士の付着が少なく、保形性は良好で、30分で芯はなくなった。飼料番号No.3は、ベトツキ、粒同士の付着が少なく、保形性がやや弱く、30分で芯はなくなった。
【0032】
実施例2:生物試験
(1)方法
初生雛としてレイヤー抜き雄500羽を孵化場より購入し、以下の各々の区につき100羽ずつ割り当てた。雛輸送用のチックコンテナにチックマット(特開2003−339262号公報に記載の雛収容ボックス用の給餌シート)を敷き、仕切り板を設置し、1区画50羽となるように収容し、1コンテナ当たり100羽とした。
【0033】
絶食区(比較例):体重、腸管重量測定
Oasis区(比較例):体重、腸管重量測定
試作飼料区(本発明):体重、腸管重量測定
この他に、給餌後の状態を観察するため、2コンテナに200羽用意し、実施例1の飼料を与えた。
【0034】
給餌方法としては、Oasisは重量に対して20%の水を添加し、実施例1の飼料は重量に対して50%の水を添加し、それぞれ約1時間含水させた後、雛1羽当たり含水させた飼料が約2〜3gになるように、チックマットの上に撒いて給餌した。対照として絶食区を設けた。雛は十分な照度下で24時間放置した。
【0035】
試験開始時に雛20羽をクロロホルムで安楽死させた後、体重測定を行い、対応する雛の腸管(十二指腸から総排泄口まで)の重量を測定した。試験開始24時間後、各区全羽数の生体重測定し、更に各区より20羽をランダムに選び、同様に処置して個体重および腸管重量を測定した。
【0036】
(2)結果
開始時の体重、腸管重量。及び腸管の相対重量(体重100gに対する重量)を以下に示す。
【0037】
【表4】


【0038】
24時間後の生体重を以下に示す。また、体重の変化を図1に示す。開始時から24時間後には、絶食あるいは給餌に係わりなく体重が減少し、各区とも開始時の91〜92%となった。
【0039】
【表5】


【0040】
24時間後の腸管重量及び腸管の相対重量を以下に示す。また、腸管重量の変化を図2に示し、腸管の相対重量の変化を図3に示す。腸管の実重量は24時間絶食後であっても、若干の増加を示した。実重量の増加は、次いで、Oasis区、試作飼料区の順に増大していった。また、腸管重量の相対重量の変化は、実重量の変化とほぼ同一であった。
【0041】
【表6】


【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、各種飼料を雛に給与した場合の体重の変化を示す。
【図2】図2は、各種飼料を雛に給与した場合の腸管重量の変化を示す。
【図3】図3は、各種飼料を雛に給与した場合の腸管の相対重量の変化を示す。
【出願人】 【識別番号】500514074
【氏名又は名称】物産バイオテック株式会社
【出願日】 平成16年4月7日(2004.4.7)
【代理人】 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス

【公開番号】 特開2005−295814(P2005−295814A)
【公開日】 平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願番号】 特願2004−112716(P2004−112716)