| 【発明の名称】 |
牛乳中のビタミンEを増大する方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】阿部 亮
【氏名】安井 喬
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| 【要約】 |
【課題】牛乳中のビタミンEの含有量を増大させる方法を提供すること。
【解決手段】牛の第一胃を通過できるように油脂でコーティングしたビタミンEを牛に投与することを含む、牛乳中のビタミンEを増大する方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 牛の第一胃を通過できるように油脂でコーティングしたビタミンEを牛に投与することを含む、牛乳中のビタミンEを増大する方法。 【請求項2】 牛の第一胃を通過できるように油脂でコーティングしたビタミンEを牛に経口投与する、請求項1に記載の牛乳中のビタミンEを増大する方法。 【請求項3】 牛の第一胃を通過できるように油脂でコーティングしたビタミンEを、1日当たりのビタミンE量として0.1g〜100gの量で投与する、請求項1又は2に記載の牛乳中のビタミンEを増大する方法。 【請求項4】 10〜50重量部のビタミンEを50〜90重量部の油脂でコーティングしたものをウシに投与する、請求項1から3の何れかに記載の牛乳中のビタミンEを増大する方法。 【請求項5】 牛の第一胃を通過できるように油脂でコーティングしたビタミンEを投与した牛から牛乳を採取することを含む、ビタミンEの含有量が高い牛乳を製造する方法。 【請求項6】 牛の第一胃を通過できるように油脂でコーティングしたビタミンEを含む、牛乳中のビタミンEを増大するための飼料。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、牛乳中のビタミンEを増大する方法、より詳細には、油脂でコーティングしたビタミンEをウシに投与することによって牛乳中のビタミンEを増大する方法に関する。 【背景技術】 【0002】 ビタミンEは、不飽和脂肪酸の酸化物で老化現象の原因物質とも言われる過酸化脂質の生成を防止する作用を有し、また血管を強化し血流を盛んにする機能を有する他、抗ストレス効果を有するビタミンとして、人や他の動物にとって極めて重要な栄養素の一つである。 【0003】 畜産分野においては、雌牛における繁殖障害や乳房炎の回復や防止、幼家畜における下痢等の病気の治療や予防、さらには動物における老化防止、病気の治療や予防、ストレスの軽減、孵化率の増加、卵質の改善、繁殖障害の治療や予防などを目的として、ビタミンE又はその誘導体を投与することが試みられている(特開平6−98687号公報、特開平10−155429号公報)。 【0004】 他方、牛乳類は農林水産省規格により、成分無調整乳(いわゆる生乳)と加工乳に大別される。近年の健康指向から、加工乳よりも成分無調整乳が好まれる傾向にある。通常、生乳中のビタミンEの含有量は、0.1mg/100ml未満であり、非常に微量である。一般に牛乳中のビタミンEを上げるには牛乳中にビタミンEを添加する方法が最も簡単であるがこの場合は加工乳となる。この様な状況で、ビタミンEを乳牛の飼料中に添加し、牛乳中のビタミンE含有量を向上させる方法が考えられるが、乳牛のような反芻動物はビタミンEをそのまま給与しても第一胃内の微生物で分解されてしまい、その目的を達成することができない。現在のところ、牛乳中のビタミンE含有量を向上させるのに有効な方法は報告されていない。 【0005】 【特許文献1】特開平6−98687号公報 【特許文献2】特開平10−155429号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は、牛乳中のビタミンEの含有量を増大させる方法を提供することを解決すべき課題とした。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者らは上記課題を解決することを鋭意検討した結果、乳牛の第一胃(ルーメン)での微生物の作用を受けないように油脂で被覆したビタミンEを投与することによって、第四胃まで通過させ、腸で吸収させることによって血中のビタミンE濃度を向上させ、これにより生乳中のビタミンEの濃度を向上させることができることを見出した。本発明はこの知見に基づいて完成したものである。 【0008】 即ち、本発明によれば、牛の第一胃を通過できるように油脂でコーティングしたビタミンEを牛に投与することを含む、牛乳中のビタミンEを増大する方法が提供される。 好ましくは、牛の第一胃を通過できるように油脂でコーティングしたビタミンEを牛に経口投与する。 好ましくは、牛の第一胃を通過できるように油脂でコーティングしたビタミンEを、1日当たりのビタミンE量として0.1g〜100gの量で投与する。 好ましくは、10〜50重量部のビタミンEを50〜90重量部の油脂でコーティングしたものをウシに投与する。 【0009】 本発明の別の側面によれば、牛の第一胃を通過できるように油脂でコーティングしたビタミンEを投与した牛から牛乳を採取することを含む、ビタミンEの含有量が高い牛乳を製造する方法が提供される。 本発明のさらに別の側面によれば、牛の第一胃を通過できるように油脂でコーティングしたビタミンEを含む、牛乳中のビタミンEを増大するための飼料が提供される。 【発明の効果】 【0010】 ビタミンEは、不飽和脂肪酸の酸化物で老化現象の原因物質とも言われる過酸化脂質の生成を防止する作用、血管を強化し血流を盛んにする機能、さらに抗ストレス効果などを示し、各種疾患に対する防御効果も知られている。牛乳中のビタミンEの含有量を増大させることにより、牛乳の健康飲料としての価値は高まる。本発明に方法に従い、牛の第一胃を通過できるように植物油でコーティングしたビタミンEを牛に投与することによって、生乳中のビタミンEの含有量は、投与前と比べて上昇させることができる。即ち、本発明の方法によれば、健康飲料として商品価値の高い牛乳を生産することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 以下、本発明の実施の形態について説明する。 生乳のビタミンE含有量を上昇させるためには、先ず血中のビタミンE濃度を向上させる必要がある。投与したビタミンEが血中へ移行するは、第一胃での微生物による攻撃を抑制し、第四胃へ移行させなければならない。第一胃での微生物の攻撃を抑制するための方法として、本発明においては、油脂でコーティングしたビタミンEを牛に投与する。 【0012】 ビタミンEはトコフェロール類とトコトリエノール類と呼ばれる一連の脂溶性化合物の総称である。生物学的活性が高いビタミンEの形態はα−トコフェノールであり、本発明においても、α−トコフェノールをビタミンEとして使用することができる。また、α−トコフェロールには8つの立体異性体があり、最も生物学的活性が高い異性体はRRR−α−トコフェロールである。本発明においては、任意の立体異性体のα−トコフェロールを用いることができる。 【0013】 本発明で用いるビタミンEをコーティングするための油脂は、動物油脂又は植物油脂のいずれでもよい。油脂は、融点の高い油脂、すなわち硬化油脂が好ましく、例えば、植物硬化油を用いることができる。 【0014】 ビタミンEと油脂の割合は特に限定されないが、製造方法及び牛への投与効率を考慮すると、10〜50重量部のビタミンEに対して50〜90重量部の植物油でコーティングすることが好ましく、10〜30重量部のビタミンEに対して70〜90重量部の植物油でコーティングすることがさらに好ましい。ビタミンEの含有量が10重量部未満になると投与効率が低下するため好ましくなく、またビタミンEの含有量が50重量部より大きくなると、ビタミンEが第一胃内で分解される傾向が強くなり好ましくない。 【0015】 本発明で用いることができる油脂でコーティングしたビタミンEの具体例としては、ビオパスE20(ゼリス社製、フランス)が挙げられる。ビオパスE20は、α−トコフェロール20%及び植物硬化油80%から成る粒状のビタミンE製剤である。 【0016】 油脂でコーティングしたビタミンEの牛への投与方法は特に限定されず、あらゆる投与方法を使用することができる。例えば、油脂でコーティングしたビタミンEをそのまま経口投与する方法、飼料や他のビタミン類や他の医薬品などに添加してから経口投与する方法などが挙げられる。 【0017】 油脂でコーティングしたビタミンEの投与量は、牛乳中のビタミンE含有量を向上させることができる限り特に限定されないが、一般的には1日当たりのビタミンE量として0.1g〜100gの量で投与することができ、好ましくは1日当たりのビタミンE量として1.0g〜20gの量で投与することができる。また、投与期間も牛乳中のビタミンE含有量を向上させることができる限り特に限定されないが、一般的には2〜20日程度に渡って連続的に投与することができ、好ましくは5〜20日程度に渡って投与することができ、特に好ましくは7〜20日程度に渡って投与することができる。 【0018】 上記の通り油脂でコーティングしたビタミンEを牛に投与することによって、ビタミンEの含有量が高い牛乳を製造することができる。本発明の方法で得られる牛乳中のビタミンEの含有量は好ましくは0.1mg/100ml以上であり、特に好ましくは0.2mg/100ml以上である。本発明の製造方法で得られる、ビタミンEの含有量が0.1mg/100ml以上(特に好ましくは0.2mg/100ml以上)である生乳も本発明の範囲内に含まれる。 【0019】 油脂でコーティングしたビタミンEを投与する牛の飼育に用いる飼料成分は、乳牛用の飼料として一般に使用されるものであればいずれでもよい。そのような飼料は、通常、とうもろこし、ふすま、米、麦、綿実粕、マイロ、大豆粕、生魚、冷凍魚、冷蔵魚、魚粉、脱脂米糠、油脂、アルファルファ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化コリン、各種ビタミン剤(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸アミド、葉酸)、無機塩(硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸亜鉛、ヨウ化カリウム、硫酸コバルト)等の一部又は全部を混合して調製される。 【0020】 飼料中の主要な成分としては、 トウモロコシ、粉砕したトウモロコシ、トウモロコシ粉、トウモロコシ胚芽粗粉、マイロ、キビ、小麦、小麦粉、小麦胚芽粉、大麦、米、ライ麦、燕麦などの穀物類又は加工穀物類副製品; 米ヌカ、フスマ、麦ヌカなどの糟糠類、エンドウマメ種子、ピーナッツ粉、大豆粉などのマメ類、ジャガイモ粉などのイモ類; 大豆粕、脱脂大豆、綿実粕、菜種粕、ゴマ粕、落花生粕、ヒマワリ粕、サフラワー粕、ココヤシ粗粉などの植物性油粕等; オオムギモルト、ビール粕、酒粕、グルタミン酸発酵粕、トウモロコシ発酵粕、コーングルテンフィード、コーンジャームミール、コンニャク飛粉などの製造粕類; 生魚、冷凍魚、冷蔵魚、魚粉、肉粉、肉骨粉、ミートミール、ミートボーンミール、血粉、フェザーミール、脱脂粉乳、乾燥ホエー、オキアミミール、カゼイン、ゼラチンなどの動物質材料; ビール酵母などの酵母類; トウモロコシデンプン、デキストリンなどの糖類; アルファルファ、乾燥アルファルファ、牧草、各種リーフミール、大豆タンパク、小麦グルテン、トウモロコシツエインなどの植物性タンパク質; 結晶性セルロース、タルク、シリカ、白雲母、ゼオライト等の無機物質の微粉末; 炭酸カルシウムなどの無機カルシウム化合物;並びに リン酸カルシウムなどの無機リン酸塩; などを挙げることができる。飼料には、さらに必要に応じ、飼料には、畜産分野で許容されている他の添加物(例えば、他の抗生物質や殺菌剤、駆虫剤、抗酸化剤など)を飼料に配合することもできる。 以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。 【実施例】 【0021】 (1)試験方法 4頭の乳牛を試験に使用した。給与飼料としては、チモシー乾草(自由採食)および濃厚飼料(10.6kg乾物/日、制限給与)を用いた。ビタミンEとしては、ビオパスE20(ゼリス社製、α−トコフェロール20%及び植物硬化油80%から成る粒状のビタミンE製剤)を10g/日の量で経口投与した(ビタミンEの投与量としては、2g/日)。 【0022】 【表1】
【0023】 【表2】
【0024】 ビタミンE(ビオパスE20)の経口投与の初日及び投与7日目に採血し、血漿中のビタミンE含有量を測定した。また、ビタミンEの経口投与の初日、5日目、及び7日目に牛乳を採取し、牛乳中のビタミンE含有量を測定した。 【0025】 (2)結果 測定結果を以下の表3及び表4に示す。表3及び表4の結果から分かるように、ビオパスE20(ビタミンE製剤)の投与により血漿中のビタミン含有量が増大すると同時に、乳中のビタミンE含有量も検出できる程度まで増大した。 【0026】 【表3】
【0027】 【表4】
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| 【出願人】 |
【識別番号】500514074 【氏名又は名称】物産バイオテック株式会社
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| 【出願日】 |
平成16年3月29日(2004.3.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】110000109 【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
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| 【公開番号】 |
特開2005−278442(P2005−278442A) |
| 【公開日】 |
平成17年10月13日(2005.10.13) |
| 【出願番号】 |
特願2004−94725(P2004−94725) |
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