| 【発明の名称】 |
ウナギ用飼料 |
| 【発明者】 |
【氏名】原 隆 【住所又は居所】大分県南海部郡鶴見町有明浦508−8 日本水産株式会社大分海洋研究センター内
【氏名】平澤 徳高 【住所又は居所】東京都八王子市北野町559−6 日本水産株式会社中央研究所内
【氏名】梅田 奈央子 【住所又は居所】大分県南海部郡鶴見町有明浦508−8 日本水産株式会社大分海洋研究センター内
【氏名】岡野 淳 【住所又は居所】東京都八王子市北野町559−6 日本水産株式会社中央研究所内
【氏名】土居崎 信滋 【住所又は居所】東京都八王子市北野町559−6 日本水産株式会社中央研究所内
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| 【要約】 |
【課題】抗寄生虫症作用を有する中鎖脂肪酸を含有しながら、水中保形性に優れ、かつ、摂餌性の良好なウナギ用飼料を提供する。
【解決手段】ウナギ用飼料に炭素数6〜12の中鎖脂肪酸をその塩またはエステルあるいはそれらの乳化物の形態で含有させる。ウナギ飼料に、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸として、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸のいずれか1種以上を、例えば、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩として、または、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドとして、あるいはこれらの乳化物として、例えば、飼料の乾燥重量当たり0.5〜5%を添加する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炭素数6〜12の中鎖脂肪酸をその塩またはエステルあるいはそれらの乳化物の形態で含有する、水中保形性に優れ、かつ、摂餌性の良好なウナギ用飼料。 【請求項2】 炭素数6〜12の中鎖脂肪酸をその塩またはエステルあるいはそれらの乳化物の形態で含有する、水中保形性に優れ、かつ、摂餌性に優れた、抗寄生虫症作用を有するウナギ用飼料。 【請求項3】 炭素数6〜12の中鎖脂肪酸がカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸のいずれか1種または2種以上を含有するものである請求項1のウナギ用飼料。 【請求項4】 塩がカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩のいずれかである請求項1のウナギ用飼料。 【請求項5】 エステルがモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドのいずれか1種または2種以上の混合物である請求項1のウナギ用飼料。 【請求項6】 乳化物がO/W型の乳化物である請求項1のウナギ用飼料。 【請求項7】 水中保形性が、静水中に浸漬後1時間以上形態を保つ程度である請求項1のウナギ用飼料。 【請求項8】 炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を飼料の乾燥重量当たり0.5〜5%含有する請求項1のウナギ用飼料。 【請求項9】 ウナギ用飼料が練り餌である請求項1ないし8いずれかのウナギ用飼料。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、抗寄生虫症作用を有する中鎖脂肪酸を含有しながら、水中保形性に優れ、かつ、摂餌性の良好なウナギ用飼料に関する。 【背景技術】 【0002】 養殖において、魚病は安定生産の妨げとなるため、非常に大きな問題となっている。発明者らは先に炭素数6〜12の脂肪酸が魚類の寄生虫症に有効であることを見出し、特許出願し、登録されている(特許文献1)。また、特許文献2には炭素数6〜12の中鎖脂肪酸もしくはその塩類、該脂肪酸のモノグリセライド及びジグリセライドから選ばれる少なくとも1種以上を有効成分として含有することを特徴とする養魚用飼料が記載されており、それらが細菌感染症に有効であると記載されている。 【0003】 ウナギの養殖においては、スケトウダラ、マイワシなどを乾燥・粉末化した魚粉等に、粘結剤としてα化デンプン等を適当量加えて、水で練り上げた、いわゆる「練り餌」と呼ばれる配合飼料が用いられてきた。練り餌は塊のまま水中に沈ませウナギに与えるもので、ウナギは練り餌に頭を突っ込むようにして食べる。したがって、水中で溶けたり崩れたりしない物性が必要であり、ウナギの嗜好にあった摂餌性の良いものが望まれる。 【0004】 【特許文献1】特許3480566号 【特許文献2】特開平4−158750号 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 発明者らは、中鎖脂肪酸を添加するとウナギ用練り餌の、水中保形性に問題が生じることを見出した。ウナギ用飼料として適する物性、摂餌性を有し、かつ、抗寄生虫症作用を有するウナギ用飼料を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸をその塩またはエステルあるいはそれらの乳化物の形態で含有する、水中保形性に優れ、かつ、摂餌性が良好なウナギ用飼料を要旨とする。 また、本発明は、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸をその塩またはエステルあるいはそれらの乳化物の形態で含有する、水中保形性に優れ、かつ、摂餌性が良好な抗寄生虫症作用を有するウナギ用飼料を要旨とする。 本発明において、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸はカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸のいずれか1種または2種以上を含有するものが好ましい。中鎖脂肪酸の塩はカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩のいずれかが好ましい。中鎖脂肪酸のエステルは中鎖脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドのいずれか1種または2種以上の混合物が好ましい。乳化物はO/W型の乳化物が好ましい。水中保形性としては、中鎖脂肪酸を添加しないウナギ飼料程度であること、すなわち、静水中に浸漬後1時間以上形態を保つ程度のものである。炭素数6〜12の中鎖脂肪酸は練り餌の乾燥重量当たり0.5〜5%含有するのが好ましい。本発明は、練り餌であるウナギ飼料において特に有効である。 【発明の効果】 【0007】 中鎖脂肪酸をカルシウム、カリウム、ナトリウム塩等、あるいは、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライドとして、あるいはそれらの乳化物として使用することにより、ウナギ用飼料の物性及び摂餌性に悪影響を与えることなく、抗寄生虫症作用を有する中鎖脂肪酸を添加することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明で使用する炭素数6〜12の中鎖脂肪酸は炭素数6〜12の中鎖脂肪酸はカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸のいずれか1種または2種以上を含有するものが好ましい。 本発明で使用する中鎖脂肪酸の塩はカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩のいずれかが好ましい。 本発明で使用する中鎖脂肪酸のエステルは中鎖脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドのいずれか1種または2種以上の混合物が好ましい。ジグリセリド、トリグリセリドにおいてはすべての脂肪酸が中鎖脂肪酸である必要はなく、中鎖脂肪酸の含有率に応じて飼料への添加量を加減すればよい。 【0009】 本発明で使用する乳化物はO/W型の乳化物が好ましいが、W/O型でも使用できる。乳化剤としては、飼料用または食品用として使用が許可されているものであれば使用でき、乳化剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、卵黄、レシチン、大豆リン脂質、アラビアガム、アルギン酸、ゼラチン等を挙げることができる。撹拌・乳化は、バッチ的に行っても連続的に行ってもよい。撹拌・乳化に際しては、油脂類の乳化物を調製するのに通常使用されている、例えばインペラータイプミキサー、ホイッパータイプミキサー、ワイヤータイプミキサー、タービンタイプミキサー、ディスクブレンダー、ホモジナイザー、コロイドミル等を使用することができる。この撹拌・乳化は、通常、約5〜35℃で行うとよく、温度が低過ぎても高過ぎても乳化が円滑に行われない。油脂類が高融点の時には、多少熱を加えながら行うとよい。 本発明において水中保形性に優れとは、ウナギ用飼料として実用性があることを意味している。具体的には、静水中に浸漬後1時間以上形態を保つ程度であり、ウナギに給餌した場合、ウナギの摂餌行動によっても餌の分散が少ないもので、中鎖脂肪酸を添加しない通常のウナギ餌料と同程度の物性のものである。 【0010】 摂餌性が良好とは、中鎖脂肪酸を添加しない通常のウナギ飼料と同程度の摂餌性を有していることである。 本発明の中鎖脂肪酸は、ウナギに寄生するシュードダクチロギルス・ビニ、シュードダクチロギルス・アンギレ、白点虫、トリコジナなどの予防・治療効果、すなわち、抗寄生虫症作用を有する。抗寄生虫症作用を発揮させるためには、魚体重1kgあたり100〜600mg、好ましくは400mg以上を飼育期間中、継続的に投与するのが好ましい。炭素数6〜12の中鎖脂肪酸は練り餌の乾燥重量当たり0.5〜5%含有するのが好ましい。塩、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、乳化物のいずれの形態で飼料に添加しても抗寄生虫作用を示す。乳化物として添加するのが最も効果的である。 【0011】 ウナギ用飼料とは、市販の鰻用飼料であればどのようなものであっても使用でき、天然飼料、人工配合飼料を問わず、本発明の成分を添加することができる。例えば、人口配合飼料としては、魚粉などの動物性成分、大豆油粕等の植物性油粕成分、小麦粉等の穀物成分を適宜配合し、成形したものがあげられる。飼料への添加方法は特に限定されず、飼料原料に混合してもよく、水あるいはフィードオイルに懸濁して添加してもよい。飼料への添加は任意の工程にて添加することができ、例えばウナギ用練り餌の場合、魚粉を主体とし、澱粉類、脱脂大豆、ビタミン類、ミネラル類を原料として配合、粉砕したものを、ウナギに給与する際に魚油および水を添加して練り餌とすることとなるので、配合時に添加してもよく、また、魚油および水の添加の際に一緒に加えてもよい。 本発明のウナギ用練り餌を給餌してウナギを養殖するには、養殖方法としては通常の養殖方法により養殖すればよいが、本発明の効果を発揮するためには、本発明のウナギ用練り餌を飼育期間中継続的に給餌することが望ましい。 【0012】 一般的には、本発明のウナギ用飼料は、魚介類粉末をベース原料とし、これと共に飼料を練り餌にした際のまとまりを良くするために粘着剤、および必要に応じてアミノ酸やその塩、ビタミン類、ミネラル類等の栄養成分、界面活性剤、香辛料等の成分を含有する。 本発明のウナギ用練り餌のベース原料をなす魚介類粉末としては、従来からウナギ用飼料として使用されている魚介類粉末のいずれもが使用でき、例えば、スケトウダラ、イカ、カレイ、イワシ、サバ、ニシン、サンマ、ホッケ、ホキ、メルルーサ、アサリ、カキ等の魚介類を原料とする魚粉を挙げることができる。本発明のウナギ用飼料は、上記したような魚介類粉末のうちの1種類のみを含有していても、または2種以上の魚粉を含有していてもよい。ウナギによる嗜好性、経済性等の点からは、複数の魚粉を混合使用するのが好ましい。魚介類粉末の含有量は、魚介類粉末の種類、ウナギの月齢などに応じて変わり得るが、栄養価、経済性、粘結性などの点から、本発明のウナギ用飼料は、一般的に、ウナギ用飼料の全質量に基づいて、魚介類粉末を60〜75質量%の割合で含有することが好ましく、65〜70質量%の割合で含有することがより好ましい。 本発明のウナギ用練り餌のまとまりを良くするための上記した粘着剤としては、例えば、α化馬鈴薯澱粉、α化タピオカ澱粉などのα化澱粉、ポリアクリル酸ナトリウム、グアガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、グルテンなどを挙げることができる。本発明のウナギ用飼料では、前記した粘着剤のうちの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、粘着剤としては、粘結性、価格などの点から、α化馬鈴薯澱粉、α化タピオカ澱粉などのα化澱粉が好ましく用いられる。 粉末状のウナギ用飼料に水、油などの液体を加えて練り餌にするに当たっては、ウナギ用飼料粉末100に対して、水を100〜200、油を0〜15の割合で加えると、練り餌の取り扱い性、給餌の容易性、摂餌性、栄養面などの点から好ましい。 【0013】 以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。 【実施例1】 【0014】 <物性の比較> 市販のウナギ用飼料(日本配合飼料社製、商品名;まるきん、粗タンパク48%以上、粗脂肪4%以上、粗繊維1%以下、粗灰分15%以下、カルシウム2.3%以上、リン1.5%以上)に遊離オクタン酸(C8)(和光純薬工業社製、オクタン酸(n-カプリル酸)、特級)またはオクタン酸カルシウム(C8Ca)(堺化学工業社製)を乾燥重量当りオクタン酸として2重量%添加し、水を150重量%加えて練り餌を作製した(表1)。この練り餌を、カゴ(W35cm×L25cm×H8cmの大きさで、0.6cm×5cmのスリットが底面に84個、側面に66個あるもの)に入れ、さらに、この練り餌の入ったカゴをアルミ製パン(W40cm×L60cm×H5cm)に収容し、毎分1Lの水道水を注水し崩壊の程度を確認した。図1に示すように、オクタン酸カルシウムを添加した飼料は2時間後でも崩壊せず、元のままの状態を維持しているのに対し、オクタン酸を添加した飼料は水にいれた後すぐ崩壊し始め、1時間後にはかなりの飼料が崩壊してカゴの外に流れ出しており、2時間後ではわずかしか残っていない。 2時間放置した後、重量を測定した。結果、C8添加区では、開始時に比べ59.8%となっており約40%が流出していた。一方、C8Ca添加区では開始時に比べ108.8%となり見た目でも流出はなく、逆に吸水して重量が重くなっていた(図2)。 【0015】 【表1】
【実施例2】 【0016】 <抗寄生虫効果および飼料効率> 試験区: 遊離オクタン酸区、オクタン酸カルシウム(オクタン酸Ca)区、オクタン酸トリグリセリド(オクタン酸TG)区(花王社製、商品名;ココナードRK、カプリル酸トリグリセライド、外観・性状(微黄色透明液体)、酸価(0.3以下)、けん化価(345〜365)、ヨウ素価(4以下))およびオクタン酸トリグリセリド乳化物(オクタン酸TG乳化物)区を設定するとともに、対照区としてオクタン酸無添加のコントロール区を設けた。 本実施例で使用したオクタン酸TG乳化物は、オクタン酸トリグリセリド45%、乳化剤(M-7D、ポリグリセリン脂肪酸エステル:ミリスチン酸:三菱化学フーズ社製)2%、水53%を混合し、50℃にてTKホモミキサー(特殊機化社製)にて7,000-12,000rpmで2-5分予備乳化後、高圧ホモジナイザー(APV社製)にて400-800kg/cm2で本乳化を行い、 高圧ホモジナイザーで乳化後、直ちに温度を10℃以下にして得た。 試験方法:予備飼育:0.7tFRP水槽10基に、それぞれ約315Lの容積になるように飼育水を入れ、各槽合計65尾のヨーロッパウナギを収容した(7月8日に平均体重9.3gのヨーロッパウナギを各区30尾、また同12日に各35尾収容した)。注水量は7L/min、飼育水温は24℃。給餌は1日1回とし、ウナギ用飼料(練り餌)を魚体重当り、乾物重量で2〜3%になるように給餌した。また7月18日からは、試験区に対応したオクタン酸およびオクタン酸関連物質を、実施例1と同様に飼料に添加して給餌を行った。なおオクタン酸およびオクタン酸関連物質は2日毎に、0.5%、1.0%、1.5%そして2.0%と徐々に濃度が上がるように添加量を調整し、約1ヶ月間予備飼育を行った。 試験開始前計測: 各試験区から5尾ずつサンプリングを行い、体重、体長、寄生数を計測した。攻撃試験開始前には寄生虫の感染は認められなかった(表2)。 【0017】 【表2】
【0018】 攻撃試験: 8月13日に感染源(シュードダクチロギルスに感染している大型のヨーロッパウナギ)10尾ずつを筒に入れ各水槽に収容し、寄生虫の攻撃試験を開始した。なお、14日午前中に確認したところ、感染源で斃死しているものがいたため、各区とも感染源の数を8尾とし、2日後の15日14時に感染源を取り除いて、攻撃を終了とした。 攻撃試験の前に、感染源として用いたシュードダクチロギルスに感染している大型のヨーロッパウナギを10尾サンプリングし、全鰓を摘出して寄生数の計数を行った。それら10尾のウナギの体重は80.0±8.8g(平均値±標準偏差)、全長35.4±1.3cm、寄生数2536±2345匹であった。 【0019】 攻撃試験後、10日目、32日目に各区10尾ずつ寄生数の測定を行いながら、62日間飼育を行い、最終的に、寄生数、生残率および成長に関して測定を行った。最終測定では、各試験区に残っているウナギの大きいものから10尾を選び、全ての鰓について寄生しているシュードダクチロギルスを計数するとともに、水槽に残っている全ての個体について体重を測定した(表3)。 【0020】 【表3】
【0021】 その結果、オクタン酸および関連物質を投与した試験区は、コントロール区より寄生数が少ない傾向が認められた。特にオクタン酸Caとオクタン酸TG乳化物では低い値となっていた。また鰓および鰓弁当りの寄生数を確認したところ、同様の傾向を示した(図3)。 さらに、飼料効率、生残率を比較すると、遊離オクタン酸区以外の区ではコントロール区と同等の飼料効率、生残率であった(表4)。 【0022】 【表4】
【0023】 以上より、ウナギ飼料へ遊離オクタン酸を添加した場合、粘着性が失われ物性の維持が出来なかったが、オクタン酸カルシウム、トリグリセリド、それらの乳化物であれば物性に問題が生じなかった。遊離オクタン酸添加飼料は、他の試験区に比べ飼料効率が著しく悪かった。これは、飼料が崩壊してしまうために、ウナギが実際には食べていないことと(給餌の後、一定時間をおいて残餌を回収し、最初に給餌した餌の重量から残餌として回収された餌の量を引いたものを摂餌量としているため)、嗜好性の問題から、実際に摂餌量も少なかったことが原因であると考えられる。オクタン酸TG乳化物区は、抗寄生虫効果に加え、飼料効率も良い傾向を示し、乳化物としてオクタン酸を添加することがこれらに対し良い影響を与えたと考えられた。 【実施例3】 【0024】 <中鎖脂肪酸の種類の検討> 各種遊離中鎖脂肪酸またはトリグリセイリドを添加して練り餌を試作し、物性の検討と実施例1と同様の方法で流水中に2時間放置する溶出試験を行った。 試験に使用した中鎖脂肪酸およびトリグリセリドは以下のとおりである。 C6(和光純薬工業社製、ヘキサン酸(n-カプロン酸)、和光1級(90%以上)) C7(和光純薬工業社製、ヘプタン酸(n-ヘプタン酸)、和光特級(98%以上)) C9(和光純薬工業社製、ノナン酸(n-ノナン酸)、和光1級(90%以上)) C10(和光純薬工業社製、デカン酸(n-カプリン酸)、和光1級(記載無し)) C12(和光純薬工業社製、ラウリン酸(ドデカン酸)、和光特級(99%以上)) C14(和光純薬工業社製、ミリスチン酸、和光特級(98%以上)) C16(和光純薬工業社製、パルミチン酸、和光特級(95%以上)) C8,C10,C12を含有するトリグリセライド(ココナードML、花王社製、外観・性状(微黄色透明液体)、酸価(0.1以下)、けん化価(295〜325)) C8,C10を含有するトリグリセライド(ココナードMT、花王社製、外観・性状(微黄色透明液体)、酸価(0.1以下)、けん化価(340〜360)、ヨウ素価(1以下)) で、それぞれ練り餌に乾物重量当り2%添加した。また、練り餌には原料に対し水を150%重量添加した。具体的には、実施例1と同様、練り餌用原料50g+各脂肪酸またはTG1g+水75gとした。 【0025】 結果:以下に各遊離中鎖脂肪酸またはトリグリセリドを添加した練り餌について練った時の性状を示す。また、水中に2時間放置後の残存率を図4に示す。 C6:通常品(中鎖脂肪酸等を添加しない練り餌)に非常に近い感じで良好な物性だが、臭いがきつく実際に使用する事は難しい。 C7:通常品に比べぼそぼそ感がある。ただしC8ほどではない。臭いは気になる。 C9:通常品に比べぼそぼそ感がある。C8に近い感じ。 C10:C10から脂肪酸は固体になる。添加したC10が粒になっている部分は練り餌が剥離している状態になるが全体的な物性は通常品に近い。 C12:C10とほぼ同じ。 C14:C14が粒になっている部分も練り餌からC10やC12に比べると剥離しない。物性は通常品とほぼ同じ。 C16:C14同様。 C8,C10,C12を含有するトリグリセライド:通常品と同じ。 C8,C10を含有するトリグリセライド:通常品と同じ。 【0026】 溶出試験結果は図4に示したとおりで、練り餌の物性の劣化は炭素数8,9の脂肪酸特有の現象であることがわかった。 【実施例4】 【0027】 本発明の飼料の摂餌性を確認するために、約4ヶ月間、オクタン酸を添加していないコントロール飼料で飼育し平均体重120g程度に成長したウナギに実施例2と同様の4種類の飼料を給餌した。実施例2では初期の段階からオクタン酸添加飼料で予備飼育を行っていたので、摂餌に問題は認められなかったが、コントロール飼料になれてある程度成長したウナギでは、遊離オクタン酸添加飼料は忌避され、オクタン酸カルシウム添加飼料は練り餌に寄ってきて食べようとはするけれども、すぐに食べるのをやめてしまった。オクタン酸トリグリセリドとオクタン酸トリグリセリド乳化物を添加した飼料はコントロール飼料と同様に摂餌性に問題はなかった。 オクタン酸カルシウム添加飼料は初期から飼料として使用する場合や馴致期間を設けるなどすれば摂餌させることは可能であるが、トリグリセリドやトリグリセリド乳化物として添加したものはそのような必要もなく、通常の飼料と遜色ない摂餌性を有することが示された。 【産業上の利用可能性】 【0028】 本発明により、ウナギ用練り餌として適する物性、摂餌性を有し、かつ、抗寄生虫症作用を有するウナギ用練り餌を提供することが可能になり、この練り餌を与えることによりウナギ養殖において重大な問題となる寄生虫症の予防・治療が可能となる。また、添加した中鎖脂肪酸が練り餌としての物性に悪影響を与えないので、練り餌が水中で崩壊して水の汚れが低減する。 【図面の簡単な説明】 【0029】 【図1】実施例1のオクタン酸カルシウムを添加した練り餌とオクタン酸を添加した練り餌の水中保形性をの経時変化を示す写真である。 【図2】実施例1のオクタン酸カルシウムを添加した練り餌とオクタン酸を添加した練り餌を水中に放置した場合の2時間後の残存率を示す図面である。 【図3】実施例2の各種オクタン酸製剤を給餌した魚の鰓または鰓弁当たりの寄生虫の寄生数を示す図面である。 【図4】実施例3の各種中鎖脂肪酸を添加した飼料の水中に2時間放置した場合の残存率を示す図面である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004189 【氏名又は名称】日本水産株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目6番2号
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| 【出願日】 |
平成17年2月25日(2005.2.25) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−270101(P2005−270101A) |
| 【公開日】 |
平成17年10月6日(2005.10.6) |
| 【出願番号】 |
特願2005−50050(P2005−50050) |
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