トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 ヤシ油を含ませた鶏用飼料及びその飼料で育った鶏の卵で調製するパン又はケーキの生地
【発明者】 【氏名】寺内 昌文

【要約】 【課題】ヤシ油を家禽類飼料の一部とする飼料配合を提供し、該飼料を食した家禽類が産む鶏卵を使ったシフォンケーキの生地配合を提供する。

【解決手段】本発明鶏用飼料は、トーモロコシ成分と、魚粉、大豆かす、コーングルテンから成る蛋白質成分と、ラード、大豆油から成る油脂成分と、炭酸カルシウム、牡蠣殻から成るカルシウム成分と、リン酸カルシウムのリン成分とビタミン、ミネラル等から成る材料100重量部に対し、ヤシ油成分を0.1〜0.2重量部含ませたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トーモロコシ成分と、魚粉、大豆かす、コーングルテンから成る蛋白質成分と、ラード、大豆油から成る油脂成分と、炭酸カルシウム、牡蠣殻から成るカルシウム成分と、リン酸カルシウムのリン成分とビタミン、ミネラル等から成る材料100重量部に対し、ヤシ油成分を0.1〜0.2重量部含ませたことを特徴とする鶏用飼料。

【請求項2】
トーモロコシ成分と、魚粉、大豆かす、コーングルテンから成る蛋白質成分と、ラード、大豆油から成る油脂成分と、炭酸カルシウム、牡蠣殻から成るカルシウム成分と、リン酸カルシウムのリン成分とビタミン、ミネラル等から成る材料100重量部に対し、ヤシ油成分を0.1〜0.2重量部含ませて成る飼料を餌として生育させた鶏の卵を対象とし、該鶏卵の卵白を混合撹拌してメレンゲを形成し、しかる後に小麦粉やその他添加剤を添加して、ベ−キングパウダーを使用することなく調製することを特徴とするケーキ又はパンの生地。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、飼料の一部にヤシ油を含ませた鶏用の飼料と、その飼料を餌として生育させた鶏の卵を用いて、ベーキングパウダーを使用することなく充分ふんわりと焼き上げることのできるパン又はケーキの生地に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、長年養鶏に携わった経験から品質の優れた卵の研究を続け、その手段として飼料にアミノ酸、ミネラル、油脂等を加えると品質が変わるのではとの期待から種々の探索を行い、その探索の中で、一定配合飼料中にヤシ油を添加させるという手段を用いると、その飼料で育った鶏の卵白をパン又はケーキ等に添加すると、著しくふっくらとした焼き上がりの得られることを見出したものである。
【0003】
一方、ヤシ油を含んだ飼料に関しては、家禽用にココナツヤシ油及びビタミンEを添加含有させた技術が提案されている(特許文献1)。
しかし、当該技術は鶏の卵に関するものではなく、家禽類の肉の食味を向上させようと、肉の特有の臭気減少や、歯ごたえ、コク等を追求したものであって、鶏用卵の品質向上を目指したものではない。
【0004】
更に、パン又はケーキ等では、ベーキングパウダーがメレンゲの泡をつぶさないでふんわり焼き上げる手段として用いられているが、しかし、該ベーキングパウダーは、重曹と酒石酸を主成分とする膨張剤で工業製品であり、天然素材ではないために使うのに抵抗のある人も多い。
【0005】
そこで、ベーキングパウダーを使用しないケーキの焼き方として、例えばシフォンケーキにおいて、メレンゲの泡立ちを安定化し長時間保持することのできるメレンゲの調製方法として、特許文献2にメレンゲ安定化剤およびその利用方法が提供されている。これは、「メレンゲ安定化剤はネイティブジェランガムを含有する材料とし、その存在下で卵白を泡立てることを特徴とするメレンゲの調製方法、及び該メレンゲを用いてシフォンケーキを調製する方法」を旨としている。
しかし、このメレンゲ安定化剤は微生物由来の高分子多糖類であり、粉末であるので、ネイティブジェランガムを水に分散させ、90℃に加熱溶解することによって調製しなければ実用に耐えない。調製温度と調製時間によりメレンゲの仕上り状態が変化し、従来方法より難解なメレンゲ調製方法となり、経費と加工時間がかかる問題がある。
【特許文献1】特開平9−205998
【特許文献2】特開平10−165082
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、ヤシ油を鶏用飼料の一部とする飼料配合を提供すると共に、該飼料を食した鶏の鶏卵を使ったパン又はケーキの生地配合を提供するものである。

【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の鶏用飼料は、トーモロコシ成分と、魚粉、大豆かす、コーングルテンから成る蛋白質成分と、ラード、大豆油から成る油脂成分と、炭酸カルシウム、牡蠣殻から成るカルシウム成分と、リン酸カルシウムのリン成分とビタミン、ミネラル等から成る材料100重量部に対し、ヤシ油成分を0.1〜0.2重量部含ませたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載のケーキ又はパンの生地は、トーモロコシ成分と、魚粉、大豆かす、コーングルテンから成る蛋白質成分と、ラード、大豆油から成る油脂成分と、炭酸カルシウム、牡蠣殻から成るカルシウム成分と、リン酸カルシウムのリン成分とビタミン、ミネラル等から成る材料100重量部に対し、ヤシ油成分を0.1〜0.2重量部含ませて成る飼料を餌として生育させた鶏の卵を対象とし、該鶏卵の卵白を混合撹拌してメレンゲを形成し、しかる後に小麦粉やその他添加剤を添加して、ベ−キングパウダーを使用することなく調製することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、鶏の飼料として一定配合の飼料にヤシ油を配合しているので、その飼料を食した鶏が産む鶏卵は、卵白の蛋白質に起泡性等に特異な性格が見られるものとなる。そして、その卵白を用いたパン又はケーキ例えばシフォンケーキの生地を用いると、泡立ちの良い、長時間安定したメレンゲが作成でき、該メレンゲの泡沫が長時間つぶれないので、ふんわりと焼き上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の実施の形態を、表1、表2および表3に基づいて説明する。
本発明に用いる鶏の飼料の原料には、炭水化物として、トーモロコシを、蛋白質成分として大豆かす、魚粉、コーングルテンミルを、カルシウム成分として炭酸カルシウム、牡蠣殻を、油成分としてラード、牛脂、大豆油等を用いることができる。
【0011】
上記飼料原料にあって、本発明者は、上述の如く、長年養鶏に携わった経験から、添加材料にあって、アミノ酸、ミネラル、油脂等で品質が変わることを予測し、実験を重ねた。その結果、例えば、ビーフ等には効果が見られず、油脂ではナタネ油、コーン油等でも効果が薄かった。ところが、以下に述べる如く油脂中で特にヤシ油に顕著な効果が得られることを見出した。
ヤシ油は、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプリン酸などの中級脂肪酸の混合トリグリセリドが主成分であり、これを上記配合飼料中に添加させた。その配合例を下表に示す。
【表1】


上記は一配合例を示したが、トーモロコシを57〜63重量部、魚粉、大豆かす、コーングルテンから成る蛋白質成分を28〜32重量部、ラード、大豆油から成る油脂成分を1〜3重量部、炭酸カルシウム、牡蠣殻から成るカルシウム成分を7〜8重量部、若干のリン酸カルシウムのリン成分とビタミン、ミネラル等から成る材料を総量で100重量部とし、これにヤシ油を0.1〜0.2重量部加えて配合飼料とする。
斯かる配合飼料を鶏の餌として与え、給餌方法は、例えば生後8ケ月〜16ヶ月齢の鶏に対し、朝5時〜11の間に3回に渡って給餌した。
その結果として、鶏が産んだ卵は、後述するシフォンケーキに見られる如く、パン又はケーキ等においてその卵白が極めて泡立ち性に優れていることを見出した。
【0012】
即ち、その給餌に従って生育させた鶏の産んだ卵を、ケーキ生地の材料として使用する方法を検討し、ケーキの代表としてシフォンケーキを選び、その生地作成と、焼き具合を検討した。
先ず、シフォンケーキは、もともとアメリカの家庭でおやつとして焼かれたケーキで、粉・卵・砂糖・サラダ油だけで作る素朴な美味しさが得られ、バターの代わりに比重の軽いサラダ油を使い、メレンゲの泡をつぶさずにふんわりと焼き上げることができる特徴がある。
そのシフォン生地の一般的なレシピを示すと表1に示す如くで、表中の粉とは小麦粉とベ−キングパウダーを表し、メレンゲの泡をきめ細かく且つ潰すことなくふんわりと焼き上げるために使用されている。
【0013】
【表2】


【0014】
次に、表1のレシピにあるベーキングパウダーはパンやケーキなどを焼くときに使うふくらし粉であり、主成分は重曹(炭酸水素ナトリウム)と酒石酸で、水と熱により炭酸ガスを発生してパンやケーキ生地内に小さなすきまを作り、柔らかく膨らませる機能を保持している。しかし、該べーキングパウダーは工業製品であり、天然素材ではないために使うのに抵抗がある人もあり、又、容易に且つ長時間安定した膨らみを形成できない欠陥がある。
【0015】
そこで、ベーキングパウダーを用いることなく、ヤシ油を飼料とした鶏卵を使ったシフォンケーキ製造の実施を試みた。その配合を示すと表3の如くで、焼き上げたシフォンケーキは、泡沫が小さく、無数に且つきめ細かく形成され、柔らかく膨らみを持っている。本発明レシピにおけるシフォンケーキの焼き上げ時間は、従来レシピと同様で、170℃で35〜40分であった。
【0016】
【表3】


【0017】
その従来レシピと本発明レシピに基づいて焼成したシフォンケーキの焼き上げ状態を写真撮影したのが図1であり、左側に従来レシピに基づいて焼き上げたシフォンケーキを示し、右側に本発明レシピに基づくシフォンケーキを示すが、写真の如く本発明に基づくものは、従来のものに比して約40%程度の高い膨張率を示すことが確認された。
【0018】
以上の如く、一定配合の飼料にヤシ油を配合した本発明鶏の飼料によって、それを食した鶏が産む鶏卵は、卵白の蛋白質に起泡性等に特異な性格が見られるものとなる。そして、その卵白を用いたパン又はケーキ例えばシフォンケーキの生地は、泡立ちの良い、長時間安定したメレンゲが作成でき、該メレンゲの泡沫が長時間つぶれないので、ふんわりと焼き上げることができるものとなる。
【0019】
その理由を考えるに、ヤシ油は、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプリン酸などの中級脂肪酸の混合トリグリセリドを主成分とし、飼料として鶏の体内に吸収されると、卵白成分を構成する一栄養素として産卵鶏の輸卵管分泌液を形成しながら、卵白成分の高分子量化を推進し、言い換えれば、ヤシ油は生理機能を有する栄養素を効率良く鶏卵白へ移行させながら、卵白成分の増粘促進効果を促し、その結果、該卵白成分は表面張力と粘性が増加形成されるものと考えられる。
【0020】
斯かる表面張力と粘性が増加形成された後に、蛋白質の溶液を強く撹拌すると、気液界面が増加するために蛋白質分子は表面張力の作用を強く受け、部分的に変成を起こし、蛋白質の含有量が高い卵白の場合は特に高い起泡性を示す。蛋白質の持つ表面張力の作用で変成した蛋白質分子が、相互に反応し合って気液界面で安定な固体状の膜を作って気泡を包むものと推定される。
【0021】
更に、懸かる起泡性を示す蛋白質溶液において、溶液の粘性が高いほど蛋白質泡沫の安定性が高く、新鮮卵白においては、オポムチンが単独あるいはリゾチームと複合体を形成して卵白の粘性を高め、この粘性が卵白の泡沫安定性に大きく寄与しているとも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、飼料の一部にヤシ油を含ませた鶏用の飼料として、又、その飼料を餌として生育させた鶏の卵を用いて、ふんわりと焼き上げることのできるパン又はケーキの生地として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、従来レシピと本発明レシピに基づいて焼成したシフォンケーキの焼き上げ状態を比較した写真。
【出願人】 【識別番号】501447719
【氏名又は名称】有限会社卵明舎
【出願日】 平成16年3月5日(2004.3.5)
【代理人】 【識別番号】100095739
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 俊夫

【公開番号】 特開2005−245343(P2005−245343A)
【公開日】 平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願番号】 特願2004−61589(P2004−61589)