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【発明の名称】 飼料
【発明者】 【氏名】勝田 康夫

【氏名】松田 功

【氏名】西端 豊英

【要約】 【課題】家畜、特に離乳期の家畜、および家禽に多く見られる下痢、軟便の改善、それに伴う感染症の予防効果、および体脂肪の蓄積を抑制する効果を有する飼料を提供すること。

【解決手段】焙焼デキストリンを酸の存在下で加水分解して得られる焙焼デキストリンの酸分解物を含有することを特徴とする飼料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焙焼デキストリンを酸の存在下で加水分解して得られる焙焼デキストリンの酸分解物を含有することを特徴とする飼料。
【請求項2】
飼料100質量部中の焙焼デキストリンの酸分解物の割合が0.1〜5質量部である請求項1に記載の飼料。
【請求項3】
焙焼デキストリンの酸分解物が、該酸分解物の水溶液にグルコアミラーゼを作用させた時、生成するグルコース量が該酸分解物の80質量%を超えない特性を有する請求項1又は2に記載の飼料。
【請求項4】
焙焼デキストリンの酸分解物が、10質量%水溶液で100〜250mOsmの浸透圧を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の飼料。
【請求項5】
飼料が家畜ほ乳期用飼料である請求項1〜4のいずれか1項に記載の飼料。
【請求項6】
飼料が子豚及び子牛のほ乳期用飼料である請求項1〜4のいずれか1項に記載の飼料。
【請求項7】
飼料が家禽用飼料である請求項1〜4のいずれか1項に記載の飼料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は焙焼デキストリンを酸の存在下で加水分解して得られる焙焼デキストリンの酸分解物を含有する飼料、より詳しくは家畜、特に離乳期の家畜、および家禽に多く見られる下痢、軟便の改善、それに伴う感染症の予防効果、および体脂肪の蓄積を抑制する効果を有する飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
食生活の欧風化に伴った食肉の需要増大と食肉の自由化に対応するために、食肉の生産性向上が課題となっている。その方策の一つとして家畜や家禽の飼育密度を高めた多頭化飼育が試みられているが、これが飼育環境を悪化させて家畜や家禽のストレスとなり、下痢、軟便や感染症を起こして却って生産性の低下を招くことが多かった。特に、離乳期の幼畜では急激な環境の変化とあいまってこの傾向が強く、この時期の発育不良は全成育期間に亘っての成長速度に悪影響を及ぼし、飼料効率の低下、成育期間の延長などを招く結果となっている。さらに、このような飼育方法で生産されるため、脂質代謝、糖代謝が悪化して偏った脂肪蓄積を引き起こし生産性が低下するばかりか、肉質にも悪影響を与えている。
【0003】
斯かる問題点の改善に、従来、抗生物質、抗菌物質の投与が行なわれて来た。しかし、これらの薬剤は、添加し得る飼料の種類及び添加量が厳しく制限されているだけでなく、最近は食肉への残存が懸念されるようになり、これら薬剤によらない飼料による飼育が緊急事となり、新しい飼料の開発が切望されている。
抗生物質や抗菌物質の代わりに、フラクトオリゴ糖を主成分とする糖類を含有する飼料(例えば、特許文献1)やガラクトオリゴ糖を添加した飼料(例えば、特許文献2)などでは、オリゴ糖が家畜の下痢や軟便を防止し体重増加に効果があることが報告されている。しかし、これらは何れも液状品であるため、飼料に配合する際に混合性や均一性に問題があった。
【0004】
これに対して、イソマルトオリゴ糖の含水液をケイ酸化合物に吸着して粉末化する方法(特許文献3)、乳糖を無機酸の存在下で無水状態で加熱する方法、或いは乳糖の水溶液に無機酸を添加し、スプレイドライヤーで乾燥粉末化してから加熱することでオリゴ糖にする方法(特許文献4)、乳糖に無機酸、好ましくは塩酸を添加し、エクストルーダーを用いて加熱処理してガラクトオリゴ糖を得る方法(特許文献5)が報告されている。特許文献5には、この方法により比較的容易に粉末状のガラクトオリゴ糖が得られること、このガラクトオリゴ糖を飼料に含有させると、家畜の下痢や軟便を改善し、家畜飼育全期間に有効な飼料として使用できることも記載されている。このようにオリゴ糖は、飼料にとって有用な添加物であると考えられている。
【0005】
しかし、これらオリゴ糖は砂糖や乳糖などを基質に特殊な酵素を用いて製造する、或いは原料として比較的高価な乳糖を加熱処理するなどの方法によって製造されるのでコスト高になることが避けられなかった。
オリゴ糖以外に安価な澱粉を原料とする添加物を含有させた飼料として、本発明者らは、澱粉を原料とする焙焼デキストリンにα−アミラーゼを作用させて得られる平均分子量約1600の難消化性デキストリンを含有する鶏用飼料を開発し、脂肪肝を抑制し、肉質及び産卵率を向上させ、卵殻強度を向上させることに成功した(特許文献6)。しかし、この飼料は鶏用に限定されており、家畜や家禽の下痢、軟便を改善する効果については確認するまでに至っていない。
このように上記のような飼料では、家畜や家禽に多く見られる下痢、軟便の改善、それに伴う感染症の予防効果、および体脂肪の蓄積を抑制する効果については全く知られていないかあるいは必ずしも充分なものとはいえず、改善が待たれているのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特開昭60−34134号
【特許文献2】特開昭62−138147号
【特許文献3】特開平3−27255号
【特許文献4】特開平03−197490号
【特許文献5】特開平05−244878号
【特許文献6】特開平6−276959号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、家畜、特に離乳期の家畜、および家禽に多く見られる下痢、軟便の改善、それに伴う感染症の予防効果、および体脂肪の蓄積を抑制する効果を有する飼料を提供することである。
本発明の他の目的は、原料が安く加工も容易にすることで安価な物質をつくり、これをベースとして家畜飼育全期間に有効であり、特に家畜ほ乳期に多く見られる下痢、軟便を改善し、さらには体脂肪の蓄積を抑制して成育を効率化する飼料を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、摂取過多になっても下痢、軟便のような問題を起こしにくい飼料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題の解決のため、本発明者は鋭意研究の結果、澱粉を原料とする焙焼デキストリン由来の特定物質を飼料に含有させることで問題点の解消がはかれることを見いだして本発明を完成した。
本発明は以下の飼料を提供するものである。
1.焙焼デキストリンを酸の存在下で加水分解して得られる焙焼デキストリンの酸分解物を含有することを特徴とする飼料。
2.飼料100質量部中の焙焼デキストリンの酸分解物の割合が0.1〜5質量部である上記1に記載の飼料。
3.焙焼デキストリンの酸分解物が、該酸分解物の水溶液にグルコアミラーゼを作用させた時、生成するグルコース量が該酸分解物の80質量%を超えない特性を有する上記1又は2に記載の飼料。
4.焙焼デキストリンの酸分解物が、10質量%水溶液で100〜250mOsmの浸透圧を有することを特徴とする上記1〜3のいずれか1項に記載の飼料。
5.飼料が家畜ほ乳期用飼料である上記1〜4のいずれか1項に記載の飼料。
6.飼料が子豚及び子牛のほ乳期用飼料である上記1〜4のいずれか1項に記載の飼料。
7.飼料が家禽用飼料である上記1〜4のいずれか1項に記載の飼料。
【発明の効果】
【0009】
本発明の飼料によれば、焙焼デキストリンを酸の存在下で加水分解して得られる焙焼デキストリンの酸分解物を含有することにより家畜、特に離乳期の家畜、および家禽に多く見られる下痢、軟便の改善、それに伴う感染症の予防効果、および体内脂肪の蓄積を抑制する効果が得られ、生育を効率化することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で使用する焙焼デキストリンの酸分解物とは、澱粉に無機酸を添加し、低水分状態で加熱して生成する焙焼デキストリンを水溶液にして、そのまま、又は無機酸または有機酸を添加して加圧加熱し、次いで中和した後、該水溶液を乾燥して得られるものを意味するが、以下にその詳細を説明する。
焙焼デキストリンの酸分解物の出発物質である澱粉としては特に限定されないが、例えばコーン、ワキシー・コーン、馬鈴薯、タピオカ、甘藷、サゴヤシ、小麦、大麦、米等の澱粉が使用できる。
澱粉に対して鉱酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸)、好ましくは塩酸を澱粉100質量部に対して、例えば1質量%の塩酸水溶液として3〜10質量部添加、加熱処理して、中間物質である焙焼デキストリンを得る。この加熱処理の前に澱粉と鉱酸の水溶液を均一に混合するために、適当なミキサー中で攪拌、熟成させてから、好ましくは100℃〜120℃程度で予備乾燥して混合物中の水分を5質量%程度まで減少させることが好ましい。予備乾燥後に140〜200℃で0.2分〜120分、好ましくは20分〜120分の加熱処理を行って焙焼デキストリンとする。加熱処理の温度は高い方が反応を早めたりすることはできるけれども、180℃付近から着色物質が増加するので、より好ましくは150℃前後である。
【0011】
加熱装置を選択することによって高温短時間の反応を行うことも可能であるので、例えばエクストルーダーのようにごく短時間に均一な反応を行うことができる装置を用いれば、効率的に加熱処理することができる。また、粉末状態での反応であるから大規模生産の場合は、加熱処理後の製品の品質を検討した上で、適宜加熱条件を変更することが望ましい。
このようにして得られた焙焼デキストリンは水に易溶性であるので、水を加えて攪拌すると水溶液が得られる。この水溶液をそのままか、または酸、特に塩酸や蓚酸等を加えて、pHを1.6〜2.0に調整し、100℃〜140℃好ましくは120℃〜140℃で15〜60分間加熱を行って、加水分解する。中和後、常法に従って脱色、脱塩、濃縮後、スプレードライして粉末状の焙焼デキストリンの酸分解物とする。この際、加水分解の度合いは、焙焼デキストリンの酸分解物の水溶液にグルコアミラーゼを作用させた時、生成するグルコース量が該酸分解物の好ましくは80質量%、さらに好ましくは70質量%を超えない程度にしておくことが望ましい。該グルコース量が80質量%を超えない程度にすることで、飼料中に含有させる焙焼デキストリンの酸分解物の量に多少ばらつきがみられたとしても本発明の有効性を何ら損なうものではない。
【0012】
また、焙焼デキストリンの酸分解物は加水分解が進むにつれて、浸透圧の上昇がおこるが、浸透圧が高くなりすぎても、低くなり過ぎても問題となる。焙焼デキストリンの酸分解物が示す浸透圧に関して、本発明では10質量%水溶液の浸透圧として表す。本発明の効果を充分に発揮させるためには、この10質量%水溶液の浸透圧が好ましくは100mOsm以上、さらに好ましくは108mOsmとなるようにすることが望ましい。一方、浸透圧が高くなればなるほど、焙焼デキストリンの酸分解物の水溶液をパウダー化することが困難になる点を考慮して本発明では、この浸透圧が250mOsmを超えないようにするのが望ましい。
【0013】
本発明の焙焼デキストリンの酸分解物を有効成分とする家畜、家禽に給飼される飼料は、飼料100質量部中に該焙焼デキストリンの酸分解物を好ましくは0.1〜5質量部含有せしめることによって、全飼育期間の下痢、軟便を改善するものであり、さらに好ましくは家畜ほ乳期に特に多く見られる下痢、軟便を改善し、さらには体脂肪の蓄積を抑制して成育を効率化する飼料を簡便に具現化するものである。
家畜、例えば子豚の育成期に於いては効率的な育成を図るため、及び母乳による母体の消耗を防ぎ、母豚の交配間隔を早めて生産を効率的にするために、概ね、3週齢前後で母乳からほ乳期子豚育成用配合飼料に替えて生後2ヵ月位まで飼育され、次いで、概ね生後4ヵ月位まで子豚育成用飼料で飼育され、その後肥育用飼料が用いられる。一方、子牛の場合、特に乳牛の子牛で食肉用に飼育される場合、生後5〜7日で離乳され、概ね生後3ヵ月内をほ乳期子牛育成用飼料で飼育される。
【0014】
焙焼デキストリンの酸分解物を飼料100質量部中に好ましくは0.1〜5質量部含有するように飼料に配合する。配合量が0.1質量部未満では本発明の目的が十分に達成されない場合があり、一方5質量部を越えて含有させても、その効果は飽和し不経済である。この場合、焙焼デキストリンの酸分解物は直接飼料に添加することもできるし、あるいはビタミン類、ミネラル類などの添加物と予め混合してプレミックス製剤として、飼料に添加することもできる。
本発明の飼料は通常の家畜、家禽飼料、好ましくは家畜の育成期用飼料として市販されている飼料または、その飼料配合時の処方の中に加えることによっても得られる。市販の飼料は家畜、家禽の成育時期によって、その成分比率も変えられているが、その何れにも使用することができる。また、その際、下痢、軟便の改善を目的とした抗生物質、抗菌物質などの薬剤、生菌剤の添加剤はこの目的に於いては基本的には必要としないが、後の実施例では抗生物質を併用するとより効果的と見られる場合もあって、これら添加物を必要に応じて併用することもできる。
【0015】
本発明の飼料は豚、牛、鶏などの家畜、家禽の全飼育期間に用いられ、好ましくは育成期の家畜、さらに好ましくはほ乳期に多く見られる下痢、軟便の改善に顕著な効果を有し、飼料要求率も減少する他、体内脂肪の蓄積を抑制し、好ましいことに家畜の嗜好性にも適合するようで、飼料摂取量も向上し、一日平均増体重も向上し、成育を効率化する上で顕著な効果を発揮する。
【実施例】
【0016】
以下に参考例、実験例、と実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、これらの例において、質量部は部、質量%は%として表記する。
【0017】
参考例1
市販のコーンスターチに500ppmの塩酸を添加して混合後、フラッシュドライヤーで水分が約2〜3質量%になるまで予備乾燥し、次にロータリーキルンで140〜145℃にて約30分間焙焼して焙焼デキストリンとした。この焙焼デキストリンを水に30質量%となるように溶解し、塩酸を添加してpHを1.8とし、120℃に加熱して加水分解を行いながら経時的にサンプリングを行った。加水分解前の焙焼デキストリンとともにそれぞれを中和した後に活性炭で脱色、イオン交換樹脂にて脱塩濃縮し、スプレードライして焙焼デキストリンの酸分解物を得た。
得られた焙焼デキストリンの酸分解物について、焙焼デキストリンを加水分解するに要した時間、及び下記に示す方法で測定したグルコース量と浸透圧を表1に示す。
【0018】
<グルコース量>
試料1gを精秤し、蒸留水50mlを加え、塩酸または苛性ソーダでpHを4.5に調整し、アミログルコシダーゼ(シグマ社製、No.A3042 力価6000単位/ml)0.1mlを添加し、60℃で30分間反応させた後、90℃まで昇温して反応を終了させた。冷却後、反応液を蒸留水で100mlにメスアップし、ピラノース・オキシダーゼ法(協和メディック社製、商品名デタミナーGL−E)により、グルコース量を定量した。
<浸透圧>
試料が10質量%溶液になるように調製し、氷点降下浸透圧計(フォーゲル社製、M802−D)を用いて測定した。




【0019】
【表1】


【0020】
参考例2
市販のタピオカ澱粉500kgをリボン式ミキサーに入れ、ミキサーを回転しながら1%塩酸溶液20Lをスプレーし、続いて粉砕機を通して均一化した後、さらにリボン・ミキサー中で1時間混合熟成した。この混合物をフラッシュドライヤーで水分約6%に予備乾燥した後、2軸エクストルーダー(日本製鋼所製、型式TEX−52FSS−20AW−V、スクリュー径52mm、食品用、同方向・異方向回転切換式、モーター出力22KW、最大400回転、スクリュー長さ:径=20:1、アルミニウム鋳込ヒーター、水冷却式、ベント付)に回転数150回転/分、製品出口温度140℃、反応時間15秒で連続的に供給して加熱処理し、合計約400kgの焙焼デキストリンを得た.
この焙焼デキストリンを水800Lに溶解し、シュウ酸を加えてpHを1.9に調整した後、加圧加熱蒸煮装置に導入し、127℃で40分間加水分解を行った。炭酸カルシウムで中和後、常法により脱塩、脱色、濃縮後、スプレー乾燥により粉末化し、約380kgを得た。得られた焙焼デキストリンの酸分解物は、参考例1の方法で測定した結果ではグルコース量が61.0%、浸透圧は187.5mOsmを示した.
【0021】
実験例1
生後3週齢のSD系雄性ラット40匹を高砂糖食(シュークロース64.5%、カゼイン25%、コーン油5%、MM−2ミネラル混合4%、Harpperビタミン混合1%、塩化コリン0.2%、ビタミンE0.05%からなる粉末飼料)で2週間訓化飼育後、無作為に3群に分け、第1群には高砂糖食を、第2群、第3群には高砂糖食に参考例2の焙焼デキストリンの酸分解物をそれぞれ2.5%、5%添加したものを与え、4週間飼育した。飼料ならびに飲料水(水道水)は自由に与えた。4週目において各群の飼料効率(体重増加量/摂餌量)に差異はなかった。体重、脂肪量および体脂肪率の測定結果を表2に示す。
【0022】
【表2】


【0023】
表2の結果から明らかなように、焙焼デキストリンの酸分解物は高砂糖食群と比較して体重増加、即ち、成長には影響を与えないが、脂肪量ならびに体脂肪比は明らかに低下した。これらの結果は、脂肪蓄積の防止効果を有することを示している。
【0024】
実施例1
床がコンクリ−トである養豚場に於いて、21日齢の子豚30頭を対照区と5組の実施例区に分け、1組5頭として7週間飼育した。対照区は表3の配合による飼料とし、実施例区は参考例1で調製した試料A〜Eを対照区の飼料100部中に0.5部を含有するように添加混合して与えた。飼料、水は不断給与とし、飼育管理は通常養豚場で行なわれている方法に従った。検査項目として、飼育開始時及び飼育終了時の体重を測定して増体重量を求め、飼育期間中の餌の摂取量を集計して飼料要求率を求めた。また、この期間中に下痢、軟便の発生状況を観察し、子豚1頭が1日下痢または軟便を起こした場合を1ポイントとして集計し、下痢、軟便得点として表した。尚、下痢を起こした場合は直ちに治療を施した。これらの結果を表4に示した。
【0025】
【表3】


【0026】
【表4】


【0027】
表4の飼育結果より明らかなように、試料Aでは効果がやや弱く、試料B,C,D,Eを含有する飼料は下痢、軟便の改善効果が顕著であり、併せて体重増加、飼料要求率の改善がみられる。つまり、グルコース量が52質量%以上、浸透圧が108mOsm以上である焙焼デキストリンの酸分解物を添加することが有効であることがわかる。
【0028】
実施例2
実施例1と同じ養豚場で、21日齢の子豚30頭を対照区と5組の実施例区に分け、試験例1の試料Dで調製した焙焼デキストリンの酸分解物を対照区の飼料100部中にそれぞれ0、0.05、0.1、0.5、1.0、5.0部を含有するように添加混合して与えた。飼育条件および試験方法は実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
【0029】
【表5】


【0030】
表5の飼育結果より明らかなように、試料Dの焙焼デキストリンの酸分解物を0.05部以上含有する飼料は体重増加、飼料要求率、および下痢、軟便の改善効果が認められ、特に0.1部以上の添加で顕著であった。また、含有量が0.1〜5.0部でほぼ同じ効果であり、経済性を考慮すると0.5部前後が好ましい含有量であると考えられる。
【0031】
実施例3
一般の養豚場に於いて、24日齢の子豚を対照区および実施例区の2組に分け、1組30頭とし、35日間飼育した。その際、前期10日間と後期25日間に分け、市販のほ乳期子豚育成用飼料で表6の成分を有する前期用と後期用飼料を用いて対照区を飼育し、本実施例では対照区の飼料100部中に参考例2で調製した焙焼デキストリンの酸分解物を0.5部含有するように添加混合した飼料を与えて飼育した。
【0032】
【表6】


【0033】
給飼、飼育管理、検査項目は実施例1と同様に行った。尚、ここで用いた市販の飼料は前期用が硫酸コリスチンを40g力価/トン、リン酸タイロシンを88g力価/トン、後期用がリン酸タイロシンを88g力価/トン含有している。得られた前期の飼育結果を表7に、後期の飼育結果を表8に示した。
【0034】
【表7】


【0035】
【表8】


【0036】
ここで用いた飼料は法規制の上限値の抗生物質が添加されていたにもかかわらず、離乳の前期ではまだ下痢がみられ、実施例区ではこれが顕著に改善された。離乳後期では顕著な効果はみられなかった。
離乳期、特に離乳直後の家畜の下痢は、環境変化等から受けるストレスから腸内菌叢に変化をきたし、悪玉菌が優性になることに起因していると言われている。それ以外に、病原菌などに感染した場合にも下痢を発症する。抗生物質は基本的にウイルス、病原菌等、疾病の発生を抑える効果はあるが、下痢を予防するような効果は弱いと考えられ、逆に有用菌まで抑えてしまうため、腸内菌叢のバランスを崩す恐れがある。よって、離乳直後には抗生物質のみでは下痢の予防には十分ではないが、家畜が環境に適応する離乳後期においては、ストレスからくる下痢は低下するため、抗生物質のみでも下痢の発症が少なかったものと考えられる。しかし、その様な状況の中でも実施例区では体重増加、飼料要求率の改善効果が見られた。
【0037】
実施例4
生後5−7日のホルスタイン雄牛25頭を1組5頭で実施例区4組と対照区の計5組に分け、1ヵ月飼育した。対照区には市販のほ乳期子牛育成代用乳を給餌し、実施例区には対照区の飼料100部中に参考例1の焙焼デキストリンの酸分解物Eをそれぞれ0.1部、0.5部、2.0部、5.0部を含有するように添加混合して与えた。飼育期間中における下痢の発生状況と、体重増加及び飼料要求率について調べ、結果を表9に示した。尚、体重増加及び飼料要求率は対照区を100とした相対値で表した。




【0038】
【表9】


【0039】
下痢、軟便発生状況
多い:試験期間中の下痢発生延べ頭数が10頭以上
少ない:試験期間中の下痢発生延べ頭数が10頭未満5頭以上
著しく少ない:試験期間中の下痢発生延べ頭数が5頭未満
【0040】
ほ乳期の子牛に参考例1の焙焼デキストリンの酸分解物Eを含有する飼料を与えると下痢、軟便の発生を顕著に軽減し、増体重及び飼料要求率が改善されることがわかる。
【0041】
実施例5
一般の養鶏場において、3鶏舎を1鶏舎5000羽で群分けし、A群は表10に示すブロイラー用基礎飼料を、B群は参考例2の焙焼デキストリンの酸分解物をブロイラー用基礎飼料100部に対して前期用に0.2部、後期用に0.1部添加した飼料を、またC群はブロイラー用基礎飼料に対して前期用、後期用共に0.1部添加した飼料を与え、57日間飼育した。なお、飼料の給与方法および給水など飼育方法は通常の設備により常法に従って行った。体重、飼料摂取量、飼料要求率、および以下の式で求められるプロダクションスコア(P.S)を測定した。結果を表11に示した。
プロダクションスコア(P.S)
=10000×(平均出荷質量)/(出荷日齢×飼料要求率)
【0042】
【表10】





【0043】
【表11】


【0044】
表11に示されるように、焙焼デキストリンの酸分解物を含有する本発明の飼料を用いた場合、焙焼デキストリンの酸分解物を含有しない従来の飼料に比べて、体重増加、出荷羽数(生存率)、飼料要求率が改善され、生産効率を示すプロダクションスコアも大きく改善された。
また、上記飼育終了後のブロイラーから、各試験区とも無作為に5羽づつ抽出し、屠殺処理後解体し、正肉(皮付き)と腹腔内脂肪の生体重に占める比率と、むね肉の粗脂肪をエーテル抽出法により分析した。その結果を表12に示す。
【0045】
【表12】


【0046】
表12に示されるように、焙焼デキストリンの酸分解物を含有する本発明の飼料で飼育されたブロイラーは、正肉歩留りの向上と腹腔内脂肪の低下による生産性の向上が確認され、またむね肉の粗脂肪含量は従来の飼料を用いたものに比べて明らかに少なかった。
【出願人】 【識別番号】000188227
【氏名又は名称】松谷化学工業株式会社
【出願日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【代理人】 【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男

【識別番号】100084009
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信夫

【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤

【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治

【識別番号】100114007
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 孝二

【公開番号】 特開2005−130816(P2005−130816A)
【公開日】 平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願番号】 特願2003−373112(P2003−373112)