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【発明の名称】 ペットフード
【発明者】 【氏名】梅田 智重
【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内

【氏名】大島 明
【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内

【氏名】鈴木 淳子
【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内

【氏名】下豊留 玲
【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内

【要約】 【課題】抗肥満効果に優れるとともに、摂取性が低下しないペットフードの提供。

【解決手段】高アミロースデンプンを含む炭水化物及び動物性又は植物性タンパク質を含有するペットフード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高アミロースデンプンを含む炭水化物及び動物性又は植物性タンパク質を含有するペットフード。
【請求項2】
動物性タンパク質が、動物性肉類タンパク質である請求項1記載のペットフード。
【請求項3】
高アミロースデンプンが、炭水化物中に3質量%以上含まれるものである請求項1又は2記載のペットフード。
【請求項4】
さらに油脂を含有するものである請求項1〜3の何れか1項記載のペットフード。
【請求項5】
油脂が、ジアシルグリセロールを含む油脂である請求項4記載のペットフード。
【請求項6】
油脂が、ジアシルグリセロールを3質量%以上含む油脂である請求項4記載のペットフード。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、肥満を防止し、体重増加を抑制するペットフードに関する。
【背景技術】
【0002】
ペットブームによりペットの飼育数は増大しており、それに伴いペットの高齢化、運動不足、栄養過多等によりペットの肥満、糖尿病、肝臓疾患等のヒトにおける成人病が増大している。また、避妊手術後のホルモンバランスの狂いによって肥満する犬や猫が多くなっている。
【0003】
このような肥満や体重増加を防止するためのペットフードが数多く開発されている。例えば、アミラーゼ阻害物質である月桂樹葉の抽出物(特許文献1)、ヘスペリジン等のリパーゼ阻害物質(特許文献2)、まいたけ粉末又は/及びまいたけ抽出物(特許文献3)等を配合したペットフードが知られている。また、ペットフードに限った技術ではないが、アミロースを高含有した穀粉により脂質代謝を改善するという技術がある(特許文献4)。
【特許文献1】特開平05−192092号公報
【特許文献2】特開平09−187230号公報
【特許文献3】特開平08−38069号公報
【特許文献4】特開平10−279487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらのペットフードには特殊な物質が配合されていることからペットの摂取性が低下する、便のニオイが変化する等の問題がある。また、アミロースは難消化性のためペットフードに高含有されると便が軟化し、処理に不都合を生ずる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、抗肥満効果に優れるとともに、摂取性が低下せず、かつ便の状態に影響を与えないペットフードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者らは、化学合成品や特殊な成分を用いることなく肥満防止効果に優れたペットフードを得るべく検討した結果、高アミロースデンプンと動植物性タンパク質とを組み合せて用いれば、ペットの食餌摂取性を低下させることなく、優れた肥満防止効果を有するペットフードが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、高アミロースデンプンを含む炭水化物及び動物性又は植物性タンパク質を含有するペットフードを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のペットフードは、ペットの肥満防止効果、体重増加抑制効果に優れ、かつ摂取性が良好であることから、栄養のバランスを損ねることがない。また、ペットの便の状態やニオイも通常食と比べて変化がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のペットフードに用いられる高アミロースデンプンとしては、アミロース含量が40〜99重量%であるデンプンであり、特にハイアミロースコーンスターチ、六条皮麦のGlacier AC38、su2トウモロコシ等が挙げられる。市販品としては、ハイアミロースコーンスターチアミロメイズV(アミロース含量が50〜60重量%)、アミロメイズVI(アミロース含量が60〜70重量%)、アミロメイズVII(アミロース含量が70〜80重量%)以上日本食品加工社製、ファイボーズ(同約70%)日澱化学社製、等のハイアミロースコーンスターチが挙げられる。
【0009】
これらの高アミロースデンプンは、炭水化物中に3質量%以上、さらに3〜30質量%、特に3〜20質量%含有するのが、経済性、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点から、好ましい。
【0010】
高アミロースデンプン以外の炭水化物としては、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、食物繊維、デンプン類等が含まれる。デンプン類としては、コーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、甘露デンプン、タピオカデンプン等が挙げられる。また炭水化物は、穀物類として含有させてもよく、穀物類としては、小麦、大麦、ライ麦、マイカ、トウモロコシ、米、ひえ、あわ、アマランサス、キヌア等が挙げられる。炭水化物は、ペットフード中に10〜70質量%、さらに20〜60質量%、特に30〜50質量%含有するのが好ましい。
【0011】
本発明のペットフードに用いられる動物性タンパク質としては、カゼイン等の乳タンパク質も挙げられるが、肥満防止効果及び摂取性の点から、動物性肉類タンパク質が好ましい。このような動物性肉類タンパク質としては、牛、豚、羊、うさぎ、カンガルーなどの畜肉及び獣肉、ならびにその副生物及び加工品;鶏、七面鳥、うずらなどの鳥肉ならびにその副生物及び加工品;魚、白身魚などの魚肉ならびにその副生物及び加工品;ミートミール、ミートボーンミール、チキンミール、フィッシュミール等の上記原料のレンダリング等が挙げられる。このうち肥満防止効果の点で鶏肉、魚肉が特に好ましい。複数の肉類タンパク質を混合して用いる場合には、鶏肉及び/又は魚肉を肉類中の30〜100質量%、特に50〜100質量%含有させるのが好ましい。
【0012】
植物性タンパク質としては、大豆タンパク質、小麦タンパク質、小麦グルテン、コーングルテン等が好ましい。
【0013】
本発明ペットフード中に動物性又は植物性タンパク質は、乾燥減量で5〜70質量%、さらに10〜60質量%、特に15〜40質量%含有するのが好ましい。
【0014】
本発明ペットフードには、前記成分以外に油脂を含有させるのが好ましい。油脂としては、ジアシルグリセロールを含有する油脂を用いるのが、肥満防止効果の点で特に好ましい。高アミロースデンプンを含む炭水化物と動植物性タンパク質に加えて、さらにジアシルグリセロールを含有する油脂を配合することにより、さらに肥満防止効果が顕著に向上するとともに、摂取性も向上するため、栄養バランスの良好なペットフードとして特に好ましい。
【0015】
ここで用いられる油脂としては、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ひまわり油、亜麻仁油、ごま油、ラード、牛脂、魚油、乳脂等が挙げられる。
【0016】
ジアシルグリセロールとしては、構成脂肪酸中に炭素数14〜22の飽和又は不飽和脂肪酸を含有する油脂、例えば、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ひまわり油、亜麻仁油、ごま油;ラード、牛脂、魚油、乳脂又はそれらの分別油の天然油脂中に含有するジアシルグリセロールを用いるが、ジアシルグリセロールの含有量を調整するために、これらの天然油脂、ランダム化油、硬化油、エステル交換油から選ばれた油脂とグリセリンとを、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の存在下でエステル交換させるか、又はこれらの油脂由来の脂肪酸混合物とグリセリンとのエステル化反応により得ることができる。この際2種以上の油脂を混合してもよい。
なお、これらの反応は上記のようなアルカリ触媒等を用いた化学反応によっても実施することができるが、1,3−位選択的リパーゼ等の酵素を経て温和な条件で反応を行う方が、酸化安定性、嗜好性の点で好ましい。
【0017】
本発明のペットフードには、油脂を1〜50質量%、さらに3〜40質量%、特に5〜30質量%含有するのが、肥満防止効果及び摂取性の点で好ましい。さらに、当該油脂中には、ジアシルグリセロールを3質量%以上、好ましくは8〜90質量%、さらに8〜60質量%、特に12〜60質量%含有するのが、肥満防止効果の点で好ましい。
【0018】
本発明のペットフードには、さらに植物ステロールを含有してもよい。植物ステロールは、ペットフード中に、コレステロール低下効果の点で0.1重量%以上、特に0.5重量%以上含有するのが好ましい。また植物ステロール含量の上限は、0.1〜30重量%の範囲であればよい。ここで植物ステロールとしては、例えばα−シトステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、α−シトスタノール、β−シトスタノール、スチグマスタノール、カンペスタノール、シクロアルテノール等のフリー体、及びこれらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、桂皮酸エステル等のエステル体が挙げられる。
【0019】
本発明のペットフードには、さらに、ぬか類、粕類、野菜、ビタミン類、ミネラル類等を配合することができる。ぬか類としては、米ぬか、ふすま等が、粕類としては、大豆粕等が挙げられる。野菜類としては野菜エキス等が挙げられる。ビタミン類としては、A、B1、B2、D、E、ナイアシン、パントテン酸、カロチン等が挙げられ、0.05〜10質量%含有するのが好ましい。ミネラル類としては、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、鉄等が挙げられ、0.05〜10質量%含有するのが好ましい。この他、一般的にペットフードに使用されるゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等も含有することができる。なお製造過程において、油脂の酸化を抑制する目的で窒素などの不活性ガスで置換したり脱気しながら製造することが、特に加熱工程で有効であるため好ましい。
【実施例】
【0020】
実施例1
表1に示す組成の試験食をC57BL/6Jマウス(食餌依存性肥満・糖尿病モデル動物)に自由摂食で24週間給餌した時の体重変化を測定した。試験デンプンとして、ハイアミロースコーンスターチ(ファイボーズ)を用いた場合と、ワキシーコーン、コーン及びタピオカデンプンを用いた場合の体重変化を図1に示す。
【0021】
【表1】


【0022】
図1に示すように、動物性タンパク質に高アミロースデンプンを5質量%(炭水化物中に12質量%)配合したペットフードは、通常のデンプンを用いたペットフードに比べて顕著に体重増加を抑制した。
【0023】
実施例2〜4
表2に示す処方のペットフードを調製した。
【表2】


【0024】
実施例2〜4のペットフードは、優れた体重増加抑制効果を有するとともに、摂取性も良好であり、また便のニオイも良好である。
【0025】
実施例5、6、及び比較例1
表3に示す処方のペットフードを調製した。当該ペットフードから油脂を抽出しその油脂組成の分析を行った(表4)。これらのペットフードを用いて肥満した犬24頭を体重、肥満度、年齢において偏らないように3群に分けて給餌試験を行なった。まずコンデショニングを4週とり、その後3群に分け、それぞれのフードを5週間食させた。その時の体重変化、及び便の状態、皮膚の状態、毛艶について下記基準により評価を行なった。結果を図2及び3に示す。
【0026】
それぞれの評価において、従来の状態を3とし、それぞれ下記の基準で評価した。なお、便の状態については、におい、固さ及び量について、更にそれぞれの平均をとり総合評価も行った。
〔便の状態〕
便のにおい 5:弱い、4:やや弱い、3:変化なし、2:やや強い、1:強い
固さ 5:固い、4:やや固い、3:変化なし、2:やや軟かい、1:軟かい
便の量 5:少ない、4:やや少ない、3:変化なし、2:やや多い、1:多い
〔便の総合評価、皮膚の状態、及び毛艶〕
5:良い、4:やや良い、3:変化なし、2:やや悪い、1:悪い
【0027】
【表3】


【0028】
【表4】


【0029】
実施例5及び6のペットフードは、優れた体重増加抑制効果を有するとともに、摂取性も良好であり、また便の状態が特に固さにおいて良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】試験デンプン(5質量%)添加ペットフードでマウスを23週飼育した後の体重を示す図である。
【図2】試験ペットフードを犬に5週間給餌した際の体重の推移を示す図である。
【図3】試験ペットフードを犬に5週間給餌した際のペットの便の状態、皮膚の状態及び毛艶の官能評価を示す図である。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
【出願日】 平成16年9月3日(2004.9.3)
【代理人】 【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所

【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸

【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄

【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫

【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹

【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人

【識別番号】100101317
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 ひろみ

【公開番号】 特開2005−95174(P2005−95174A)
【公開日】 平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願番号】 特願2004−256917(P2004−256917)