| 【発明の名称】 |
海洋無脊椎動物用飼料 |
| 【発明者】 |
【氏名】森山 俊介
【氏名】川内 浩司
【氏名】田代 勝男
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| 【要約】 |
【課題】海洋無脊椎動物、特にアワビ等の貝類の成長を簡便かつ効率的に促進させ、それらの生産性の向上を図る。
【解決手段】サケの加工工程で廃棄されている頭部の脳下垂体から抽出されたサケ成長ホルモンとアルギン酸とを含むゲル形態の飼料を、アワビ等の貝類の稚貝に投餌させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 サケ成長ホルモンを含むことを特徴とする海洋無脊椎動物用飼料。 【請求項2】 前記サケ成長ホルモンが、サケ脳下垂体由来成長ホルモンであることを特徴とする請求項1に記載の海洋無脊椎動物用飼料。 【請求項3】 さらに海藻成分を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の海洋無脊椎動物用飼料。 【請求項4】 前記海藻成分がアルギン酸であることを特徴とする請求項3に記載の海洋無脊椎動物用飼料。 【請求項5】 前記サケ成長ホルモン:海藻成分の質量比は、1:100〜1:100,000であることを特徴とする請求項3または4に記載の海洋無脊椎動物用飼料。 【請求項6】 経口用飼料として使用されることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の海洋無脊椎動物用飼料。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、海洋無脊椎動物用飼料に関し、特に海洋無脊椎動物の成長促進に適した当該飼料に関するものである。 【背景技術】 【0002】 アワビは極めて重要な水産資源であるが、近年その漁獲量は激減の一途を辿り、アワビ漁業は低迷している。アワビ資源を回復するために、アワビの禁漁期間の設定や出荷サイズ規制などの資源管理規制が行われている。また、資源回復のために種苗生産、中間育成および放流事業が行われているが、未だ回復の兆しはない。 【0003】 その最大の原因としては、アワビの成長が極めて遅いことにある。脊椎動物の場合には、その成長を促進させるために脊椎動物の脳下垂体から分泌される成長ホルモンが用いられているが、アワビの成長促進因子は未だに同定されていない。それゆえにアワビを効率よく成長促進させるための抜本的な技術開発が求められている。その方法としては、染色体操作により三倍体のアワビが作出されている(非特許文献1)が、これは必ずしもその成長が早まるわけではない。また、成長優良なアワビを選抜して育種することによる高成長品種を作出する選抜育種が行われている(非特許文献2)が、この技術開発にはさらに長い年月を要すること、また、成長を正確に評価する指標を必要とする。 【非特許文献1】Zhang et al., "J. Shellfish Res.", 1998, 17, p.783-788 【非特許文献2】Kawahara et al., "水産育種", 1997, 25, p.81-90 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 従って、本発明の目的は、海洋無脊椎動物、特に貝類等の成長を簡便かつ短期間で効率的に促進させ、それらの生産性の向上を図る海洋無脊椎動物用飼料を提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者らは、鋭意研究の結果、魚類の成長促進機構を研究する過程で、サケ成長ホルモンが魚類の成長促進に有効であるのみならず、海洋無脊椎動物、特に稚貝の成長促進に対しても有効であることを見い出し、上記課題を解決することができた。 すなわち、本発明は、サケ成長ホルモンを含むことを特徴とする海洋無脊椎動物用飼料を提供するものである。 また、本発明は、サケ成長ホルモンおよび海藻成分を含むことを特徴とする海洋無脊椎動物用飼料を提供するものである。 【発明の効果】 【0006】 本発明によれば、飼料にサケ成長ホルモンを用いることによって、海洋無脊椎動物、特に貝類等の成長を簡便かつ短期間で効率的に促進させ、それらの生産性の向上を図る海洋無脊椎動物用飼料が提供される。 【発明を実施するための最良の形態】 【0007】 本発明の海洋無脊椎動物用飼料は、サケ成長ホルモンを含むものである。サケ成長ホルモンの構造は当業界で既知であり、例えば、Kawauchi et al., Arch. Biochem. Biophys., 1986, 244: 542-552 に記載されている。本発明において使用可能なサケ成長ホルモンは、特に限定されるものではなく、サケ脳下垂体で産生・分泌される成長ホルモンを抽出したサケ脳下垂体由来成長ホルモン(粗抽出物、精製物などを含む)、遺伝子組み換えにより製造された組換えサケ成長ホルモン等が挙げられる。サケの加工工程で頭部の未利用部位が大量に廃棄されているので、本発明では、この未利用部位由来のサケ脳下垂体から調製した成長ホルモンを高度有効活用して水産資源の増産に資することにもなるため好ましい。 【0008】 前記サケ脳下垂体由来のサケ成長ホルモンの抽出には、例えば、塩酸のような酸・アセトンのような極性溶媒、水酸化ナトリウム、酢酸アンモニウムのようなアルカリなどの抽出液が用いられる。このような抽出液は、抽出物の状態に応じて単独、もしくは組み合わせて使用することができる。また、前記抽出液は、4℃の条件下で使用するのが好ましい。サケ成長ホルモンは、抽出後溶液を、例えば12,000×gの遠心分離に付すことによって得ることができる。 本発明において、塩酸・アセトン抽出では、例えば、2Nの塩酸および100〜80%のアセトンを使用して、容量比が前者:後者として例えば1:28として抽出することが好ましい。アルカリ抽出では、例えば、5Nの水酸化ナトリウム、200mMの酢酸アンモニウム等を使用して、pH9に調製することにより抽出することが好ましい。このような抽出方法としては、例えば、川内らの方法(Kawauchi et al., 1983 Gen. Comp. Endocrinol., 49: 446-458、Kawauchi et al., 1986 Arch. Biochem. Biophys., 244: 542-552)を挙げることができる。ここで使用されるサケの種類は特に限定されず、サケ科に属する魚類、例えば、シロサケ、ギンザケ、ニジマス等が挙げられる。 【0009】 前記組換えサケ成長ホルモンは、既知のアミノ酸および塩基配列(Sekine et al., 1985 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 4306-4310)に基づいた通常の方法に従って得ることができる。 【0010】 本発明の海洋無脊椎動物用飼料は、液体、固体(ゲル)形態のいずれであってもよい。液体形態の場合には、サケ成長ホルモンを、適当な溶媒、例えば、真水、海水等に溶解させて用いることができる。その際の溶液の濃度は、対象とする海洋無脊椎動物やその個体重量や殻長等によって異なるため、適宜決定すればよい。好ましくは0.01〜1g/mlである。 【0011】 また、液体形態の海洋無脊椎動物用飼料は、液浴や筋肉注射により投与することができる。液浴を行う場合には、所定濃度のサケ成長ホルモン溶液を調製し、この溶液に所定時間および頻度で海洋無脊椎動物を浸漬する。これにより、サケ成長ホルモンが海洋無脊椎動物の体内に取り込まれ、その結果、成長が促進される。液浴に使用するサケ成長ホルモン溶液の濃度は、例えばアワビの場合、1mg/L〜100mg/Lであることが好ましい。 また、筋肉注射の場合には、所定濃度のサケ成長ホルモン溶液を海洋無脊椎動物の所定部位に筋肉注射する。筋肉注射に使用するサケ成長ホルモン溶液の濃度は、例えばアワビの場合、1ng/g体重〜100ng/g体重であることが好ましい。筋肉注射を行う部位は、貝殻筋が好ましい。 【0012】 本発明の海洋無脊椎動物用飼料は、ゲル形態、特にサケ成長ホルモンの他に海藻成分を含み、ゲル内にサケ成長ホルモンを保持したゲル形態であることが好ましい。これにより、サケ成長ホルモンが飼料中に長時間保持されるので、飼料からサケ成長ホルモンが殆ど溶出されることなく充分量のサケ成長ホルモンを海洋無脊椎動物の体内へ取り込むことができる。このようなゲル形態の場合には、サケ成長ホルモン:海藻成分の質量比は、1:100〜1:100,000、好ましくは1:10,000〜1:100,000である。前記比率の範囲外であると、海洋無脊椎動物を効率的に成長促進させることが困難になる。 【0013】 海藻成分としては、特に限定されないが、海洋無脊椎動物が餌として摂餌する褐藻類、緑藻類、紅藻類のような海藻に含まれる成分、例えば、アルギン酸、寒天(アガロース、アガロペクチン等)、カラゲナン、フコイダン、ポルフィラン等が挙げられる。本発明では、出荷規格外として廃棄されていた海藻成分を用いることで、有効利用することができるので好ましい。特にアルギン酸は、ナトリウム塩の場合は水溶性であり、カルシウム塩の場合は不溶性となる性質を有するので、多価金属イオン、例えばCa2+含有溶液中にアルギン酸ナトリウムを滴下すると、容易に不溶性の塩となりゲルを形成する。このため、本発明における海藻成分としてはアルギン酸が好ましい。アルギン酸は、マンヌロン酸(M)およびグルロン酸(G)が直鎖状に重合したポリマーであり、本発明で使用されるアルギン酸は特に限定されなく、如何なる重合度、MおよびGの量比(M/G比)であってよい。また、本発明で用いられるアルギン酸は、アルギン酸塩、アルギン酸エステル等を含むことができる。アルギン酸塩としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等が挙げられ、好ましくは水溶性を示すアルギン酸ナトリウムである。アルギン酸を使用する場合には、アルギン酸溶液の濃度を1〜4質量%、好ましくは2質量%に調製する。 【0014】 本発明の海洋無脊椎動物用飼料がゲル形態の場合には、経口用飼料として使用することが好ましい。経口用飼料を投与する場合には、海洋無脊椎動物と同一の環境下において、海洋無脊椎動物に所定期間および回数で摂餌させる。ゲル形態の海洋無脊椎動物用飼料中のサケ成長ホルモン濃度は、対象とする海洋無脊椎動物やその個体重量や殻長等によって異なるため、適宜決定すればよい。例えば、アワビ(体重約2g〜3g、殻長約3〜5cm)の場合、0.5mg/8g〜5mg/8gの濃度範囲であることが好ましい。前記濃度範囲外であると、アワビを短期間で効率的に成長促進させることが困難になる。投与する間隔および回数は、目的や状況に応じて決定すればよく、例えば、7〜14日間毎で、20〜60回である。 このように、本発明のゲル形態の海洋無脊椎動物用飼料は経口投与が可能なので、ハンドリングストレスの影響を海洋無脊椎動物に与えずに、また、サケ成長ホルモンの失活を抑えて、海洋無脊椎動物の体内へ取り込むことができる。 【0015】 ゲル形態の海洋無脊椎動物用飼料は、予めゲル状の飼料を作製した後に、前記液体形態の飼料を注入してもよく、また、Ca2+などの多価金属イオン含有溶液を用いて飼料全体をゲル化してもよい。海藻成分としてアルギン酸を使用する場合には、例えば、サケ成長ホルモン溶液とアルギン酸溶液とを混合し、得られた混合物を多価金属イオン含有溶液中に滴下してゲル化することができる。ゲル形態とするためには、例えば、所定濃度のサケ成長ホルモンを含むアルギン酸溶液を調製し、このアルギン酸溶液を多価金属イオン含有溶液に加える。これによりアルギン酸は不溶性の塩をつくりゲル化する。ここで用いられる多価金属イオン含有溶液としては、塩化カルシウム等が挙げられ、アルギン酸溶液の濃度1〜4質量%に対して、多価金属イオン含有溶液の濃度は2〜6質量%であることが好ましい。 【0016】 この場合に使用されるサケ成長ホルモン溶液としては、モノマーとしての生物活性を保つためにサケ成長ホルモンに溶液のpHを7〜9として調製したものが好ましい。pHを調製するためには水酸化ナトリウムや酢酸アンモニウム溶液(pH7〜9)等を使用することが好ましい。 【0017】 滴下工程では、滴下する混合物の液量を調整することによってゲルの大きさを自由に調整することができる。ゲルの大きさは対象とする海洋無脊椎動物に応じて適宜決定すればよく、例えば10〜30mlの液量を添加して、直径3〜5mmとしたものが好ましい。 【0018】 本発明の海洋無脊椎動物用飼料は、飼料成分として通常用いられる飼料添加物を含んでもよく、例えば、抗生物質、ビタミン、ミネラル類等が挙げられる。 【0019】 また、本発明における海洋無脊椎動物の種類としては、魚類を除き、本発明の飼料を体内に取り込むことができる海洋無脊椎動物、特にゲル形態の飼料を摂餌することができる海洋無脊椎動物が好ましい。例えば、海水に生息する海洋無脊椎動物では、アワビ、サザエ、フジツボ、カキ、ホタテガイ等、エビ、カニなどの甲殻類、ウニ類等を含むことができ、中でも特にアワビが好ましい。ただし、これらに限定されるものではなく、淡水に生息するタニシ、カワニナ等の無脊椎動物にも適用することができる。なお、カキ、ホタテガイは液浴に適している。 【実施例】 【0020】 以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、「%」は特に断りのない限り、質量基準を示すものとする。 【0021】 [実施例1] サケ成長ホルモンとして組換えサケ成長ホルモンを含む飼料を用いて、液浴によるエゾアワビ稚貝の成長促進効果について以下のように調べた。 30mg/Lの組換えサケ成長ホルモン溶液にエゾアワビ稚貝(体重0.5g、一群15個体、宮城県水産技術センターから購入)を7日間毎に30分間液浴させた。また、サケ成長ホルモンの代わりにサケのプロラクチン溶液を用いて同様に液浴させた(PRL群)。コントロール群としては海水のみを使用した。 各群のエゾアワビの殻長および体重を測定した結果(図1参照)、サケ成長ホルモンで液浴したアワビ(GH群)は、コントロール群およびPRL群に比べて、飼育232日目では、殻長で1.4〜1.6倍の増加、体重で1.4〜2.9倍の増加が認められ、有意な成長促進効果が認められた。また、図1に液浴開始から204日目のGH群およびコントロール群のエゾアワビ稚貝の成育写真を示す。GH群はコンロール群と比べて、大きく成長していることが明らかである。 【0022】 [実施例2] サケ成長ホルモンとしてサケ脳下垂体由来の成長ホルモン溶液を用いて、液浴によるエゾアワビ稚貝の成長促進効果について以下のように調べた。 150gのサケ脳下垂体(岩手県釜石市にて水揚げされた3年から4年齢魚から採集されたもの(株式会社カマスイより供与))を氷冷下で摩砕し、これに−20℃に冷却した500mlの塩酸・アセトン抽出液(1:28、容量比)を加え、4℃で1時間抽出した。この抽出物を遠心分離(12,000×g、4℃、30分間)し、得られた上清を4℃で保存した。塩酸・アセトン抽出後の沈殿物を、さらに400mlの80%アセトン抽出液を用いて4℃で1時間抽出した。遠心分離(12,000×g、4℃、30分間)後、得られた沈殿物を200mlの冷却した蒸留水に懸濁した後、5N水酸化ナトリウム溶液でpH9.0に調製し、4℃で1時間抽出した。これを遠心分離(12,000×g、4℃、30分間)し、得られた150mlの上清をサケ成長ホルモン抽出液とした。この抽出液中のサケ成長ホルモン濃度は、サケ成長ホルモンのラジオイムノアッセイを用いて測定した。この抽出液中のサケ成長ホルモン濃度は、2.25mg/mlであった。 【0023】 上記サケ成長ホルモン抽出液を用いて30mg/Lのサケ成長ホルモン溶液を調製し、その溶液にエゾアワビ稚貝(体重6g、一群50個体、大船渡市三陸町綾里・マリン開発より購入)を1週間あるいは2週間毎に1時間液浴させた。コントロール群としてはサケ成長ホルモンの代わりに牛血清アルブミン溶液を、無タンパク質溶液群(無処理群)としては海水のみを使用した。 各群のエゾアワビ稚貝の殻長および体重を測定した結果(図2参照)、サケ成長ホルモンで液浴したエゾアワビ稚貝(GH群)は、コントロール群および無処理群に比べて、飼育48日目では、殻長で1.1〜1.2倍の増加、体重で1.5〜1.7倍の増加が認められた。 【0024】 [実施例3] サケ成長ホルモン含有ゲル飼料から溶出されるサケ成長ホルモン量を以下のように測定し、サケ成長ホルモンのゲル保持能力を調べた。 実施例2で得られた2mgまたは4mgのサケ成長ホルモンを含むサケ成長ホルモン抽出液に50mM酢酸アンモニウム溶液(pH9.0)を加えて、それぞれ総量15mlのサケ成長ホルモン溶液を調製した。それらの溶液を15mlの4%アルギン酸溶液に混合した後、30mlの3%塩化カルシウム溶液に滴下してゲル化させ、サケ成長ホルモン含有ゲル飼料を得た。このゲル飼料を、以下の測定用として50μgまたは100μg/350mgにそれぞれ調製した。 【0025】 次に、この50μgまたは100μg/350mgのサケ成長ホルモン含有ゲル飼料(n=4)を、各々3mlの濾過海水(12℃)に入れた後、24時間および48時間目に500μlの海水を採取した。採取した海水中に含まれるサケ成長ホルモン量をサケ成長ホルモンのラジオイムノアッセイで測定し、その結果を表1に示す。なお、コントロール群には、350mgの2%のアルギン酸ゲルを海水に入れた。 【0026】 【表1】
【0027】 表1に示されるように、48時間目の溶出量は50μgでは平均2.1%であり、100μgでは平均3.7%であり、溶出量は4%以下に維持されている。したがって、サケ成長ホルモン含有ゲル飼料は48時間経過しても殆どのサケ成長ホルモンがゲル内に留まっているので、充分な保持能力を有することができる。 【0028】 [実施例4] サケ成長ホルモン含有ゲル飼料を摂餌した後のエゾアワビ稚貝の体液を採取し、その体液中のサケ成長ホルモン量を以下のように測定した。 エゾアワビ稚貝(体重5g、一群4個体、大船渡市三陸町綾里・マリン開発より購入)に、実施例3で得られた50μgまたは100μg/350mgのサケ成長ホルモン含有ゲル飼料を12時間摂餌させた。コントロール群には、最終濃度2%のアルギン酸を含むアルギン酸ゲル350mgを摂餌させた。摂餌開始から12時間、24時間および36時間目にエゾアワビ稚貝の体液を採取し、体液中に含まれるサケ成長ホルモン量をサケ成長ホルモンのラジオイムノアッセイにより測定した。 【0029】 測定結果によれば、摂餌開始から12時間および24時間目のアワビ体液中にサケ成長ホルモンが検出された(図3参照)。12時間目でのサケ成長ホルモン量は、100μg摂餌群では11.5ng/ml、50μg摂餌群では3.5ng/mlであって、100μg摂餌群の方が50μg摂餌群よりも高かった。24時間目でのサケ成長ホルモン量は、50μgおよび100μg摂餌群ともほぼ同量の2.5ng/mlであった。実験開始前のアワビ稚貝およびコントロール群の0から36時間目の体液中にはサケ成長ホルモン抗体に交叉する成分は認められなかった。したがって、サケ成長ホルモン含有ゲル飼料を摂餌したエゾアワビ稚貝は、短時間で効率的にサケ成長ホルモンを取り込むことが可能である。 【0030】 [実施例5] サケ成長ホルモン含有ゲル飼料を1週間毎に投餌したエゾアワビ稚貝の成長促進効果について、以下のように調べた。 実施例2で得られた0.5mgまたは5mgのサケ成長ホルモンを含むサケ成長ホルモン抽出液に50mMの酢酸アンモニウム溶液(pH9.0)を加えて、それぞれ総量7.5mlのサケ成長ホルモン溶液を調製した。それらの溶液を7.5mlの4%アルギン酸溶液に混合した後、30mlの3%塩化カルシウム溶液に滴下してゲル化させ、サケ成長ホルモン含有ゲル飼料(0.5mgまたは5mg/8g)を得た。 【0031】 この0.5mgまたは5mg/8gのサケ成長ホルモン含有ゲル飼料を、エゾアワビ稚貝(殻長2cm、体重2g、一群100個体)に1週間毎に52回投餌し、大学屋内水槽(循環水槽、水温15±1℃)に設置したプラスチックのカゴ(50cm×35cm×45cm)の中で飼育した。コントロール群には、最終濃度2%アルギン酸を含む8gのアルギン酸ゲルを与えた。その他の日には市販のアワビ用配合飼料(日本農産6号)を与えた。投餌期間中および投餌終了後のエゾアワビ稚貝の殻長および体重を測定した(図4参照)。なお、測定する24時間前は絶食させた。図4における矢印は投餌終了日を示す。 【0032】 図4に示される測定結果によれば、サケ成長ホルモン含有ゲル飼料(0.5mgおよび5mg/8g)投餌群の殻長および体重は、飼育52週目では、コントロール群と比べて、いずれも殻長1.1倍、体重1.2倍の増加が認められた。また、飼育96週目では、コントロール群と比べて、0.5mg群の殻長は1.3倍、体重は1.6倍であり、また、5mg群の殻長は1.2倍、体重は1.4倍であり、いずれも顕著な増加が認められた。したがって、サケ成長ホルモン含有ゲルは、高効率で成長促進する効果を有する。 【0033】 また、図5に飼育96週目の各群のエゾアワビ稚貝の成育写真を示す。0.5mgおよび5mg/8g(sGH−G)群はいずれもコンロール群と比べて、大きく成長していることが明らかである。したがって、投餌群はいずれも投餌を中止した後であってもコントロール群よりも高い成長促進能を維持していた。 【0034】 [実施例6] サケ成長ホルモン含有ゲル飼料を2週間毎に投餌したエゾアワビ稚貝の成長促進効果について以下のように調べた。 実施例5の5mg/8gのサケ成長ホルモン含有ゲル飼料を、エゾアワビ稚貝(殻長3cm、体重3g、一群150個体)に1週間毎に52回あるいは2週間毎に11回投餌し、マリン開発の屋外水槽(水温10〜20℃)に設置したプラスチックのカゴ(50cm×50cm×50cm)の中で飼育した。これ以外は実施例5と同様に行い、30週毎にエゾアワビ稚貝の殻長と体重を測定した(図6参照)。 【0035】 図6に示される測定結果によれば、1週間あるいは2週間毎の投餌群のアワビ稚貝は、コントロール群と比べて、いずれも顕著な増加が示された。殻長では、飼育30日目から150日目にかけて一定に1.1倍の増加が認められた。体重では、飼育30日目以降から増加し、飼育150日目において1週間投餌群では1.2倍、2週間投餌群では1.3倍の顕著な増加が認められた。したがって、1週間毎に投餌した場合と同様に2週間毎に投餌した場合についても、高効率で成長促進する効果を有する。 【図面の簡単な説明】 【0036】 【図1】実施例1における各群のエゾアワビ稚貝の殻長および体重、並びに成育写真を示した図である。 【図2】実施例2における各群のエゾアワビ稚貝の殻長および体重を示した図である。 【図3】実施例4におけるアワビ稚貝体液中のサケ成長ホルモン量を示した図である。 【図4】実施例5における各群のエゾアワビ稚貝の殻長および体重を示した図である。 【図5】実施例5における飼育96週目の各群のアワビ稚貝の成育写真である。 【図6】実施例6における各群のエゾアワビ稚貝の殻長および体重を示した図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】503360115 【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構 【識別番号】503352143 【氏名又は名称】株式会社丸辰カマスイ
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| 【出願日】 |
平成15年9月26日(2003.9.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079049 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995 【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279 【弁理士】 【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025 【弁理士】 【氏名又は名称】福田 浩志
【識別番号】100118072 【弁理士】 【氏名又は名称】醍醐 美知子
【識別番号】100057874 【弁理士】 【氏名又は名称】曾我 道照
【識別番号】100079049 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995 【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279 【弁理士】 【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025 【弁理士】 【氏名又は名称】福田 浩志
【識別番号】100118072 【弁理士】 【氏名又は名称】醍醐 美知子
【識別番号】100057874 【弁理士】 【氏名又は名称】曾我 道照
【識別番号】100110423 【弁理士】 【氏名又は名称】曾我 道治
【識別番号】100084010 【弁理士】 【氏名又は名称】古川 秀利
【識別番号】100094695 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 憲七
【識別番号】100111648 【弁理士】 【氏名又は名称】梶並 順
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| 【公開番号】 |
特開2005−95104(P2005−95104A) |
| 【公開日】 |
平成17年4月14日(2005.4.14) |
| 【出願番号】 |
特願2003−335151(P2003−335151) |
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