| 【発明の名称】 |
養鶏飼料及び鶏又は卵の機能改善方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊丹 哲哉
【氏名】細川 清
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| 【要約】 |
【課題】薬剤耐性菌の出現の可能性や、残留農薬の恐れが無く、安価且つ容易に入手することが出来る農業副産物を飼料に添加して、鶏の強健性、免疫性等の諸機能の改善と、産卵成績、卵質成績、規格外卵率等生産される卵の諸機能を改善する飼料及び産卵機能を改善する方法を提供
【解決手段】梅干の生産時に大量に副製される梅酢を脱塩・濃縮して得られる、脱塩濃縮梅酢を飼料と共に鶏に給与することによって、産卵鶏又は肉鶏自体の強健性、及び免疫性等が改善されると共に、生産された卵そのものの産卵成績、卵質成績及び規格外卵率等、生産される卵の諸機能も顕著に改善される。この飼料は、薬剤耐性菌の出現の可能性や、残留農薬の問題もない。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脱塩濃縮梅酢を含有する鶏の強健性若しくは抗病性機能及び又は卵の諸機能を改善する養鶏飼料。 【請求項2】 可溶性固形分含量が60%〜80%である脱塩濃縮梅酢を0.01〜0.1重量%量含有する請求項1記載の養鶏飼料。 【請求項3】 脱塩濃縮梅酢を1日当たり、鶏体重の0.001〜0.1重量%量給与することを特徴とする鶏及び又は卵の機能改善方法。 【請求項4】 鶏の強健性若しくは抗病性機能が生存率、免疫性、ワクチン抗体成績、遅延型過敏反応の1又は2以上である請求項1〜2記載の養鶏飼料。 【請求項5】 卵の機能が産卵率、平均卵量、1羽当り飼料消費量、飼料要求率、産卵成績、卵形係数、ハウユニット、卵殻厚、卵殻破壊強度、卵黄色、卵蛋白質のアミノ酸組成、微量金属含量を含む卵質又は卵殻成績、及び規格外卵率の内の1又は2以上のものである請求項1〜2記載の養鶏飼料。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は脱塩濃縮梅酢を含有する養鶏飼料、及び脱塩濃縮梅酢を含有する飼料を給与することを特徴とする鶏及び卵の機能を改善する方法に関する。 【背景技術】 【0002】 鶏を含む各種の家禽類の産卵率の改善、飼料効率の改善、卵の付加価値の向上、各種疾病の改善等々に有益な飼料乃至飼料添加物は各種知られている。例えば、豆類を原料としたイソフラビンアグリコンを飼料に添加して、産卵末期における産卵率低下、卵殻厚や卵殻強度の低下を改善する方法、柑橘類果汁の搾汁粕を飼料に添加して発ガン抑制などの機能、その他の機能を高めた卵の生産方法、ホヤの外皮を添加することにより、卵黄の色調を増強させる方法などである。 【0003】 これらは何れも夫々個々の特有な効果を目的とするものであり、鶏の強健性、抗病性そのものの改善と、卵の各種機能性、即ち卵形、ハウユニット、卵殻厚、卵黄質など通常の鶏の卵質の改善等多種・多様な諸性質を広く改善するには充分とはいえず、又、これら飼料に添加されるものは、何れも特殊なもの乃至は特殊加工されたものであり、安価な鶏卵の生産に当って使用する上には高価であるという欠点を有する。 又、夏季における産卵鶏の衰弱と産卵率の低下を改善する方法等も各種提案されているが、季節、鶏の年齢、産卵鶏と肉鶏の別を問わず鶏の強健性、抗病性そのものの改善と、産卵鶏については卵の各種機能性、即ち卵形、ハウユニット、卵殻厚、卵黄質など通常の鶏の卵質の改善に有効な手段は未だ充分とは云えない。 【特許文献1】特開2002−330707公報 【特許文献2】特開2003―52338 【特許文献3】特開平8−16846号公報 【特許文献4】特開2001―352912 【非特許文献1】家禽会誌,29巻242−246頁、1992年 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明は、薬剤耐性菌の出現の可能性や、残留農薬の恐れが無く、安価且つ容易に入手することが出来る農業副産物を飼料に添加して、鶏の強健性、免疫性等抗病性の諸機能の改善と、産卵成績、卵質成績、規格外卵率等生産される卵の諸機能を改善する養鶏飼料及び産卵機能を改善する方法を提供する。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者らは上記の問題点を解決する方法を鋭意検討した結果、梅干の生産時に大量に副製される梅酢を脱塩・濃縮して得られる、脱塩濃縮梅酢を飼料と共に鶏に給与することによって、鶏自体の強健性、及び免疫性等の抗病性が改善されると共に、産卵鶏については生産された卵そのものの産卵成績、卵質成績及び規格外卵率等、生産される卵の諸機能も顕著に改善されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。 【発明の効果】 【0006】 本発明の脱塩濃縮梅酢を含有する養鶏飼料を鶏に給与することによって、鶏自体の強健性、抗病性が改善されると共に、産卵鶏に給与したときは、生産された卵そのものの産卵成績、卵質成績及び規格外卵率等の諸機能も顕著に改善される。そして、本発明のこれらの改善の効果は、夏期のみに限られず、年間を通して、又鶏の年齢や産卵鶏、肉用鶏の別を問わない。この飼料は、薬剤耐性菌の生起の恐れもなく、環境に対しても、産卵鶏又は肉鶏の鶏肉中、生産される卵中に薬剤が残留する恐れもない極めて安全な飼料である。本発明の飼料は又、梅干や梅酒の生産時に安価、且つ大量に副製される梅酢を原料とするものであり、従って、この飼料も安価、且つ大量に得る事ができるものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0007】 本発明を実施するに当って用いられる、脱塩濃縮梅酢とは、梅干の生産時に副製される梅酢を、必要に応じて適宜遠心分離等で不溶性物質を除去した後、真空乃至減圧濃縮、過熱濃縮し、通常の電気透析処理して脱塩・濃縮して得られるものであり、可溶性固形分含量が60%〜80%であり、水分含量20〜50重量%程度、特に20〜30%のものが扱いに便利である。 【0008】 本発明においては、この脱塩濃縮梅酢を1日摂取量が、鶏体重の0.001〜0.1重量%量給与する。 給与方法には特に制限は無く、通常飼料に脱塩濃縮梅酢をそのまま振りかけて給与してもよく、事前に混合したものでも良く、通常不断給与する。 通常飼料に添加されるビタミン混合物、ビタミン・ミネラル混合物等と共に混和した、飼料添加物のような形で配合してもよい。 【0009】 本発明における鶏の諸機能改善の意味するところは、強健性については生存率で表され、免疫性等の抗病性は、ワクチン抗体成績、遅延型過敏反応等を指標として表される。 又、卵の諸機能改善で表される機能とは、産卵率、平均卵量、1羽当り飼料消費量、飼料要求率、産卵成績、卵形係数、ハウユニット、卵殻厚、卵殻破壊強度、卵黄色、卵蛋白質のアミノ酸組成、微量金属含量等の卵質及び卵殻成績、及び規格外卵率等である。 【0010】 本発明の飼料を産卵鶏に給与することによって、これらの機能が少なくとも1種、通常2種以上の機能が改善される。 しかも、これらの諸機能改善の効果は、従来産卵鶏にしばしば見られる夏期における大幅な産卵低下とその対策の例とは異なり、季節を問わず、又鶏の年齢や産卵鶏、肉用鶏の別を問わない。 以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【実施例1】 【0011】 脱塩濃縮梅酢の調製 原料生梅1000Kgと粉砕塩200kgとをFRP製丸タンクに交互に積み重ね木枠 製の蓋をし、50kgの重石をし、負い塩50kgをして4週間漬け込みを行った。3日目から1日おきに、タンクの底に溜まった梅酢をポンプで循環して梅漬けを行い、30日後に梅を取り除いて梅酢360kgを得た。 【0012】 得られた梅酢を濾過器にかけて、固形物を除去し、得られた清澄液350kgを旭化成株式会社製電気透析装置「SV1」に6時間かけて脱塩、濃縮した。この濃縮液を、ホーロー鍋にとり、加熱しながら更に1昼夜濃縮して、脱塩濃縮梅酢35kgを得た。本発明において、本脱塩濃縮梅酢をBX70と呼ぶ。BX70の一般成分分析値を表1に、ミネラル及び主要アミノ酸の分析値を表2に示す。 【0013】 【表1】
【0014】 【表2】
【0015】 上に得られたBX70を大雛用市販飼料(日本配合飼料株式会社製「日配スーパーフレーム(大雛用):粗蛋白14.0%、代謝エネルギー2,800Kcal」及び成鶏用市販飼料(同社製「カラーファン:LM-17」(成鶏用:粗蛋白17.0%、代謝エネルギー2,800Kcal)に添加混合して、BX70を0.005%又は0.01%を含有する産卵鶏用養鶏飼料を1トン調製した。 【実施例2】 【0016】 70日齢の白色レグホン系(ジュリア)50羽を1区とし、開放鶏舎で単飼、14L10Dにて光線管理し、120日齢間では、本発明の大雛用飼料を、121日齢以降は本発明の成鶏用を、それぞれ1日摂取量が鶏体重の10000分の1量(試験区1)、100000分の5量(試験区2)不断給餌方式で給与しなが330日間(480日齢まで)飼育した。対照区の鶏には通常飼料(BX70無添加の上記市販飼料)を給与した。 【0017】 飼育開始後、30日毎に摂取飼料量を測定して330日間の1日1羽当りの平均飼料消費量を算定した。151日齢以降産卵した卵について、そのヘンディー産卵率、平均卵重、日産卵量、飼料要求率を観察、算出し、その平均量を算出した。結果を表3に示した。 【0018】 【表3(1)】
【0019】 【表3(2)】
【0020】 表2から明らかな如く、脱塩濃縮梅酢を添加した本発明の飼料を産卵鶏に給与して長期間飼育した鶏の卵は、ヘンディー産卵率が有意に向上し、日産卵量が改善されて生産性が向上している。又、1日1羽当りの飼料消費量が対照区に比し少なく、総飼料摂取量÷総産卵重量で表される飼料要求率に改善が観られ、消費飼料当りの産卵効率が向上している。尚、平均卵重は対照区と殆ど変わりが無かった。 【0021】 又、同時に測定した卵形係数(卵の短径÷長径)、ハウユニット(卵重と卵白高から算出:注1)、生存率(注2)を算定した結果を表4に示した。 【0022】 【表4】
【0023】 表4から明らかな如く、本発明の飼料で飼育した鶏の場合、一年以上(480齢)の長期間に亘って生存率97%以上であることは、脱塩濃縮梅酢の顕著な効果を示している。 又、同時に測定した産卵開始(151日)から30日ごとに480日まで各区卵20個宛のハウユニットの推移を表5に示した。 【0024】 【表5】
【0025】 表5から明らかな如く、本発明の飼料で飼育した鶏の場合、産卵した卵のハウユニットにおいて、明らかに対照に比べて劣化率は低く、鮮度保持の高い卵が生産されていることを示している。 【0026】 又、同時に測定した生産卵の規格外卵率を表6に示した。この表6から明らかな如く、本発明区における規格外卵率(ひび割れ卵、血班・肉班卵、奇形卵、二黄卵)は、対象区に比し顕著に低位を示した。又、試験区においては、有効産卵率及び有効生産率ともに対照区に比べ高く、販売に有利な産卵率、有効生産率を示している。 【0027】 【表6】
【0028】 480日齢の鶏が産卵した各区から無作為にサンプリングした卵10個を脱殻混合した検体について、アミノ酸自動分析計を用いて、その蛋白質加水分解物中のアミノ酸量を測定した(分析は財団法人日本食品分析センターに依頼した)。梅酢中の含有量の多いアミノ酸4種の含有量を表7に示した。 表7から明らかな如く、対照区に比し、飼料又は梅酢中のアミノ酸が優位に多量卵中に移行したことが判かる。 【0029】 【表7】
【0030】 368日齢の鶏が産卵した各区から無作為にサンプリングした卵10個を脱殻混合した検体について、卵中のカルシウム、マグネシウム及び亜鉛量を測定した(分析は財団法人日本食品分析センターに依頼した)。結果を表8に示した。梅酢はカルシウムの摂取乃至梅酢中のカルシウムが有意に卵に移行することが窺われる。 又、467日齢の鶏の血清中の亜鉛含量を測定した。結果を表9に示した。梅酢中には、亜鉛は含有されていないので、梅酢は飼料からの亜鉛の吸収と卵への移行を促進しているものと考えられ、本発明飼料が鶏の免疫機能の増進につながっているものと考えられる。 【0031】 【表8】
【0032】 【表9】
【実施例3】 【0033】 実施例2と同様にして、各試験区の飼料を調製し、不断給餌方式で給与しながら330日間(480日齢まで)飼育した。対照区の鶏には実施例2と同様に通常飼料(BX70無添加の上記市販飼料)を給与した。 【0034】 養鶏経営において、生産性を阻害する疾病であるND及びIBのワクチン抗体価を追跡した。両疾病とも混合ワクチン(NBワクチン)で、4、14、28、45日齢に一般的なワクチネーションを遂行しており、ワクチン抗体価が高いほど疾病による防御機能(液性免疫)が向上しているといえる。 分析方法:マイクロプレートを用いた赤血球凝集抑制反応 財団法人化学及び血清療法研究所製:ニューカッスル病ウイルス赤血球凝集素を使用した。 又、伝染性気管支炎(IB)に対する抗体価を表10に、ニューカッスル病(ND)に対する抗体価の結果を表11に示した。表10及び表11より、脱塩濃縮梅酢の添加により、試験区の方が高い抗体価で推移しており、免疫能を活性化していることが認められる。 IB抗体価抗体価測定法:酵素免疫測定法 IBエリーザキット(NBI):日本バイオロジカルズ株式会社輸入・販売 【0035】 【表10】
【0036】 【表11】
【実施例4】 【0037】 実施例2と同様にして、各試験区の飼料を調製し、不断給餌方式で給与しながら492日齢まで飼育した。対照区の鶏には実施例2と同様に通常飼料(BX70無添加の上記市販飼料)を給与した。 細胞性免疫の指標としてPBS緩衝液で0.1%に溶解したディフコ社製植物性血球凝集素ファイトヘマグルチニン P、Lot149787KA(Phytohemagglutinin P,DIFCO Co.Ltd)を鶏の右肉垂、PBS緩衝液を左肉垂に各々0.1ml注射し、注射前及び24時間後に左右肉垂の厚さを測定しPHA―P値を測定して細胞性免疫を観察した。試験方法は、エム・イー・クック・アンド・ダブリュー・ティー・スプリンガ−、エビアン デジーズ 27巻No.2、1982(M.E.Cook&W.T.Springer,Avian Disease,Vol.27,No.2,1982)に拠った。 PHA−P値:(接種後の右肉垂の厚さ−接種前の右肉垂の厚さ)−(接種後の左肉垂の厚さ−接種前の左肉垂の厚さ)。 結果を表12に示した。表12から明らかな如く、本試験区において細胞性免疫(PHA−P値)も対照区に比して高い活性が認められ、本発明飼料が強健性の向上に有効であることが認められる。 【0038】 【表12】
【産業上の利用可能性】 【0039】 本発明は、脱塩濃縮梅酢を含有する鶏用養鶏飼料であり、又、脱塩濃縮梅酢給与することを特徴とする鶏の強健性、抗病性を強化・改善し、卵の機能改善方法である。本発明の脱塩濃縮梅酢を含有する養鶏飼料を鶏に給与することによって、鶏自体の強健性、免疫性、抗病性が改善されると共に、産卵鶏の場合、生産された卵そのものの産卵成績、卵質成績及び規格外卵率等の諸機能も顕著に改善される。 そして、本発明のこれらの改善の効果は、夏期のみに限られず、年間を通して、又鶏の年齢を問わずに、又産卵鶏、肉用ブロイラーを問わずに実施可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591023594 【氏名又は名称】和歌山県 【識別番号】596033174 【氏名又は名称】株式会社紀州ほそ川
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| 【出願日】 |
平成15年9月2日(2003.9.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091199 【弁理士】 【氏名又は名称】田淵 権
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| 【公開番号】 |
特開2005−73651(P2005−73651A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月24日(2005.3.24) |
| 【出願番号】 |
特願2003−310618(P2003−310618) |
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