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【発明の名称】 動物排泄物を原料とする飼料ないし肥料の製造法
【発明者】 【氏名】小林 正泰

【氏名】宮下 冉

【要約】 【課題】動物排泄物を光合成細菌により小規模で短時間に資化させて、増殖した光合成細菌を飼料ないし肥料として提供する。

【解決手段】動物排泄物を含有微生物により処理して低分子化し、未分解固形物を濾過除去した濾液を殺菌処理して、これに光合成細菌を接種増殖させて光合成細菌液を取得する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物排泄物をその含有微生物により処理して、蛋白質、脂肪、繊維、糖類等の含有高分子物質を低分子化し、未分解固形分を濾過除去した濾液を殺菌処理して、これに光合成細菌を接種増殖せしめて得られる光合成細菌液を飼料ないし肥料として用いることを特徴とする動物排泄物を原料とする飼料ないし肥料の製造法。
【請求項2】
濾液の殺菌処理を次亜塩素酸ソーダ、超音波、γ線またはオゾンを使用して行うことを特徴とする請求項1に記載の動物排泄物を原料とする飼料ないし肥料の製造法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の高濃度排泄物(人の糞尿、牛、豚、鶏の糞尿)の高分子物質を含有微生物を用いて低分子化し、未分解固形分を濾過除去した濾液を殺菌処理して、これに前もって培養した光合成細菌を接種増殖させ、得られる光合成細菌液を飼料ないし肥料として利用する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在まで行われている動物の排泄物の利用は、往時、人の糞尿については、金肥として利用した以外、家畜糞尿を1〜2か月バッ気処理したものを主として肥料として利用してきたが、人の糞尿は、国の助成による自治体による処理が行われ、家畜糞尿については、人の15倍近い汚染度のため、経済的な処理法も確立されず、ましてやそれらの飼料化は殆ど行われていない現況である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、動物の高濃度排泄物を光合成細菌の培地として利用し、小規模で短時間に有機物を資化させて、増殖した光合成細菌を家畜飼料あるいは有機質肥料とする方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意検討を進めた結果、動物の高濃度排泄物は、BODも数万ppmと高く、万人が忌避する汚物であり、栄養的にも表1に示すように低いもので、飼料ないし肥料としての価値が貧困であるが、光合成細菌の栄養に不可欠のビタミンB群が含有され、かつ、栄養的にバランスが良く、これを2日程度バッ気可溶化したVA(揮発酸)約15万ppmという高濃度有機性廃水を、無希釈で好んで処理可能な光合成細菌の培地として利用すれば、小規模で短時間に有機物を資化すると共に、増殖した光合成細菌を家畜飼料あるいは有機質肥料として利用可能であるとの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0005】
【表1】


【0006】
すなわち、本発明は、動物排泄物をその含有微生物により処理して、蛋白質、脂肪、繊維、糖類等の含有高分子物質を低分子化し、未分解固形分を濾過除去した濾液を殺菌処理して、これに光合成細菌を接種増殖せしめて得られる光合成細菌液を飼料ないし肥料として用いることを特徴とする動物排泄物を原料とする飼料ないし肥料の製造法である。
この際、未分解固形分を濾過除去した濾液の殺菌処理は、次亜塩素酸ソーダ、超音波、γ線またはオゾンを使用して行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高濃度動物排泄物の蛋白質、脂肪、繊維、糖類等の含有高分子物質を低分子化して、光合成細菌の培地とすることにより、小規模で短時間で光合成細菌を増殖させることができ、この光合成細菌液を飼料ないし肥料として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明においては、人の糞尿、家畜の糞尿の高濃度排泄物を、それぞれ含有する微生物を利用して、蛋白質、脂肪、繊維、糖類等の高分子物質を低分子化して、当初約1,500ppmのAVを約2日間で約15万ppmにまで完全可溶化した後、未分解固形分を120メッシュ篩分離等により除去して濾液を得る。
上記濾液を次亜塩素酸ソーダ、γ線、超音波あるいはオゾン処理して、濾液中の微生物を完全に殺菌し、光合成細菌の培地とする。
動物排泄物の組成は表2のとおりであり、糞尿の成分は表3のとおりである。また、豚の無希釈糞尿の可溶化によるVAの変化について示すと、表4のとおりである。
【0009】
【表2】


【0010】
【表3】


【0011】
【表4】


【0012】
本発明に用いる光合成細菌は、5科に分類されているうちの有機資化性菌の3科の紅色無硫黄細菌科〔ロドスピリエーシエ(Rhodospirillaceae) 、エクトチオロドスピリエーシエ(Ectothiorhodospiraceae)、クロロフレキシエーシエ(Chloroflexaceae) 〕の菌株である。
この光合成細菌を増殖させるには、例えば、水道水1リットル中に無水酢酸ソーダ3g、第1リン酸カリウム0.5g、硫安0.8g、硫酸マグネシウム0.2g、食塩0.5〜2g、酵母エキス0.01gを溶解したもの1〜1.5リットルをガラス容器に入れ、前記の光合成細菌培養液(1ml中菌体個数5×109 個)100mlを添加し、pH7〜7.5程度、水温20〜25℃の条件下で弱い通気攪拌培養を行い、約1週間〜10日後、全液が1ml中2〜3×109 個以上の増殖菌体を得ることができる。
光合成細菌の栄養組成を示すと表5のとおりである。
【0013】
【表5】


【0014】
上記のようにして培養した光合成細菌を、前記の殺菌処理した濾液の無希釈でBOD10,000〜30,000ppmのものに接種し、光合成細菌を増殖させてBOD500ppm程度まで資化させる。このようにして増殖した光合成細菌液は、そのまま動物の飼料に用いるか、200〜300倍に希釈して有機肥料として利用することができる。
また、上記の光合成細菌液を放流するに場合は、さらに活性汚泥処理をして、許容値のBOD60ppm以下まで再浄化して放流する。
次に、本発明の実施例を示すが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例において使用した光合成細菌培養液と豚糞尿の可溶化無菌液は、次の製造例によるものである。
【0015】
(光合成細菌培養液の製造例)
ロドスピリエーシエ(Rhodospirillaceae) 科のロドシュードモナス(Rhodoseudomonas) 属の10菌株、ロドスピリラム(Rhodospiyillum)属の3株、エクトチオロドスピリエーシエ(Ectothiorhodospiraceae)科のエクトチオロドスピラー(Ectothiorhodospira)属の3株、クロロフレキシエーシエ(Chloroflexaceae) 科のクロロフレックス(Chloroflexus)属の2株、計18株の純粋培養液各1リットルを、水道水100リットル中に無水酢酸ナトリウム250g、リンゴ酸ナトリウム50g、第1リン酸カリウム80g、硫安50g、硫酸マグネシウム20g、食塩100g、酵母エキス5gを溶解した培養液に接種し(200リットル容ダイライトタンク使用)、pH7.5前後で緩い攪拌をしながら20〜30日培養を行い、さらに拡大培養を同様培地で行い、1ml中1×109 個以上の菌体を含有する光合成細菌混合培養液を製造する。
【0016】
(豚糞尿の可溶化無菌液の製造例)
豚糞尿を含有する微生物を利用して2〜3日バッ気処理し、含有成分の粗蛋白質、粗脂肪、粗繊維、糖類等の高分子物質を、酢酸等の有機酸類、アミノ酸類など低分子物質に分解可溶化する。可溶化の終わった低分子化合物は、未分解の固形分を120メッシュの振動篩で濾過し、さらに1〜2,000ppmの次亜塩素酸ソーダで分解に役立った微生物を完全に滅菌して、豚糞尿の可溶化無菌液を製造する。
【0017】
[実施例1]
100リットル容のダイライトタンク3個を連結して並べ、左より第1槽、第2槽、第3槽とし、それぞれ散気管を置いてバッ気を可能にする。
第1槽に前記製造例による光合成細菌培養液50リットルを入れ、さらに50リットルの前記製造例による豚糞尿の可溶化無菌液〔BOD値約30,000ppm、TOC(全有機性炭素として)約15,000ppm〕を投入し、常温でDO(溶存酸素)0.2〜0.4ppmになるように緩いバッ気処理を行い、第1日の作業は終わる。
【0018】
次の日は、前記光合成細菌培養液20リットルと前記豚糞尿の可溶化無菌液50リットルを第1槽に投入する。第1槽より70リットルは第2槽に入り、第1槽と同じ条件でバッ気処理する。第3日は、第1槽に第2日と同様な操作で光合成細菌培養液と豚糞尿の可溶化無菌液を投入する。これにより第1槽と第2槽は満杯となり、第3槽に40リットル培養液が入る。第4日は、第1槽に光合成細菌培養液10リットルと豚糞尿の可溶化無菌液50リットルを投入し、これにより第1槽〜第3槽の全槽が満杯となる。
第5日は、第1槽に豚糞尿の可溶化無菌液50リットルを投入し、第2槽より20リットルを第1槽に返送し、第3槽から培養が終わり増殖した光合成細菌液を収穫し、豚の栄養強化に用いるか、200〜300倍に希釈して作物の微量添加物として用いる。第6日からは、前日と同様の操作を繰り返す。
正常運転による光合成細菌培養液と豚糞尿の可溶化無菌液のTOC変化を表5に示す。
【0019】
【表6】


【0020】
光合成細菌はスタートの1.1×109 個/1mlより豚糞尿の可溶化無菌液のTOC13,500ppm、VA15,600ppmを培地として、第1槽〜第3槽と増殖し、有機炭素の光合成細菌への転換効率を10%とすれば、6日後の光合成細菌の収量は、菌体1gの炭素量0.5gで、13,500ppmから330ppmとなり、この10%の約2.6gが増加するため、毎日3.6×109 個/1ml濃度の光合成細菌を50リットル得ることができる。
これは、家畜の飼料として用いれば、50リットル中の固形分は50リットル×3.6g=180gとなり、表5より計算すると、粗蛋白質で11,781g、粗脂肪で1,292g、糖類として約3.6kgの代替えが可能となり、それ以上のビタミンB群による栄養強化は最良の飼料として用いられる。同様に有機肥料としても予想以上の効果が期待できる。
【0021】
[実施例2]
前記実施例1の方法を簡素化して、光合成細菌を1槽として行う実施例を挙げる。
光合成細菌は窒素固定バクテリヤで、脱窒素能もあり、特にリン酸の固定消費が大きく、窒素、リンの除去に悩む動物類糞尿処理には有効である。
1m3 タンク2基を並列で連結し、それぞれOHL式ミキシング装置により通気を行った。また、光合成細菌培養液の菌体保持のため、比重0.5で多腔質のフヨーライトを用い、同様に活性汚泥菌保持にも用いた。
【0022】
操作は先ず、光合成細菌培養液200リットルと豚糞尿の可溶化無菌液200リットルを1m3 のタンクに投入し、DO0.2〜0.4ppmで緩いバッ気処理を行う。次いで、2日目からは豚糞尿の可溶化無菌液200リットルのみを投入し合計600リットルとなる。第3日、第4日それぞれ第2日目と同様に、豚糞尿の可溶化無菌液のみ200リットルを投入し、光合成細菌培養槽は満杯となる。第5日からも前記と操作を繰り返し、活性汚泥槽に毎日光合成細菌処理の終わった液が流入される。活性汚泥タンクには100リットル程度の活性汚泥を用意し、光合成細菌処理後のTOC500ppm(BODとしても同じ)前後のものを5日程度かけて処理を行う。
勿論、光合成細菌処理の終わった液を飼料あるいは肥料に使用も可能であるが、放流の必要が生じたときは、活性汚泥処理による再浄化を行う必要がある。
次に、正常運転時の光合成細菌培養液と豚糞尿の可溶化無菌液の挙動を表7に示す。
【0023】
【表7】


【出願人】 【識別番号】591107263
【氏名又は名称】有限会社小林環境科学研究所
【出願日】 平成15年8月29日(2003.8.29)
【代理人】 【識別番号】100068238
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 猛

【識別番号】100095902
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 穣

【識別番号】100103436
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 英夫

【識別番号】100108693
【弁理士】
【氏名又は名称】鳴井 義夫

【公開番号】 特開2005−73542(P2005−73542A)
【公開日】 平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願番号】 特願2003−306148(P2003−306148)