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【発明の名称】 家畜・家禽用加熱処理飼料及びその製造方法
【発明者】 【氏名】上野 啓介
【住所又は居所】栃木県黒磯市青木919番地 伊藤忠飼料株式会社研究所内

【氏名】鈴木 保
【住所又は居所】栃木県黒磯市青木919番地 伊藤忠飼料株式会社研究所内

【氏名】石井 憲
【住所又は居所】栃木県黒磯市青木919番地 伊藤忠飼料株式会社研究所内

【要約】 【課題】家畜・家禽用飼料のペレット化、クランブル化などによる発育・飼料効率改善効果を維持しながら、その欠点であった軟便の発生を減少させ、以って排水施設の負荷を軽減するのに適した家畜・家禽用加熱処理飼料を提供する。

【解決手段】粉砕・配合後の飼料を構成する原料の粒度分布が4.0mm超えず、1.0mm超30%以上70%以下、且つ0.1mm未満30%以上になるように調整し、次いで加熱処理を施したことを特徴とする家畜・家禽用加熱処理飼料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱処理前の飼料を構成する原料の粒度分布が4.0mm超えず、1.0mm超30%以上70%以下、且つ0.1mm未満30%以上になっている家畜・家禽用加熱処理飼料。
【請求項2】
請求項1に記載の家畜・家禽用飼料を給与し、これによって、発育、飼料効率改善効果を維持すると共に軟便発生の抑制効果を高めて排水処理施設の負荷を緩和するための加熱処理飼料の給与方法。
【請求項3】
飼料を構成する原料の粒度分布が4.0mm超えず、1.0mm超30%以上70%以下、且つ0.1mm未満30%以上になるように調整し、次いで加熱処理を施すことを特徴とする家畜・家禽用加熱処理飼料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飼料のペレット化、クランブル化などの加熱処理による発育改善効果を維持し、且つペレット化、クランブル化などに付随して発生する軟便を防止し、排水処理施設の負荷を低減し得る家畜・家禽用飼料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、加熱処理の代表とされる家畜・家禽用ペレット化飼料やクランブル化飼料の製造方法としては、原料粉砕と配合後の飼料を圧縮成形するダイスとの組合せからなるペレットミルを用い、飼料原料に蒸気等にて約3〜6%程度調湿した後、高温、高圧下にてダイス孔(例えば3〜4.5mm)より押出成形し、次いで乾燥し、ペレット化およびその後ローラーミルにより粉砕してクランブル化する方法である。飼料原料は圧縮成形の効率を高めるため粒度1.2mm以下に粉砕され、1.0mm超の粒度を10〜20%に抑える。
【0003】
この様に製造したペレット化飼料、クランブル化飼料などを給与された家畜は効率良く発育をする。しかし、家畜・家禽から排泄される糞は飼料原料の大部分を1.0mm以下に粉砕しているため微細化される。このことにより糞の形状が軟化し水分含量も増加する。
【0004】
一般に、養豚農場などにおける排水処理は処理施設の負荷を軽減するために、糞尿混合された排水を0.5〜1.0mm間隔で構成される糞尿分離スクリーンに通し、排水から固形物を分離する。
【0005】
しかし、微細化された糞は90%以上が1.0mm以下の粒度になるため、従来の固液分離方法では、尿と混ざり合い分離処理が困難であり、糞尿混合物が排水処理の負担になってきた。
【0006】
更に、最近では飼料原料の有効利用、排泄窒素・リンなどの低減を目的に、飼料中に消化酵素剤添加が増加している。このことが排泄される糞尿混合物の微細化をさらに促進させ、排水処理の負荷を増大させている。
【0007】
また養鶏場におけるブロイラーの飼育はコンクリート床にオガ粉などを敷き詰め、数千羽を群で放し飼いしている。ペレットなどの加熱処理飼料は前述したように飼料を構成する原料の大部分が1.0mm以下に微細化しているため、これを給与すると軟便が発生し易く、そのため床の汚れが進み衛生度が低下し育成率を悪化させるとともに、糞の処理重量を増加させている。
【0008】
一方、飼料原料を粉砕し単に混合されるマッシュ飼料は、飼料を構成する原料の粒度分布がペレット化飼料、クランブル化飼料より粗いため糞尿混合物の分離処理は安易であり、糞の水分含量も少ないが、ペレット化飼料、クランブル化飼料などと比較して発育効率は低く、結果として総排泄量を増加させている。
【0009】
従来、クランブル化飼料はペレット化飼料をより食べやすくする目的でペレット化飼料をローラーミルで粉砕するものであり、飼料を構成する原料の粒度分布を考慮したものでないため、排水処理における糞尿分離効率がペレット化飼料と変わらず困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この様に、従来の対策ではペレット化飼料の発育性を維持し、軟便発生、排水処理の負荷の低減の低減できるものではなかった。
【0011】
本発明は、以上の問題点を解決し、ペレット化、クランブル化などの飼料原料の加熱処理により発生する弊害を防止することを目的とする。すなわち、家畜・家禽において、飼料のペレット化、クランブル化などによる発育・飼料効率改善効果を維持しながら、その欠点であった軟便の発生を減少させ且つ排水施設の負荷を軽減するのに適した家畜・家禽用飼料を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
ところで、ペレット化、クランブル化などによる加熱処理飼料による発育・飼料効率促進効果、軟便化、それに付随する排水処理の負荷は、飼料を構成する原料の粒度の微細化により消化内容物または排泄物が微細化することが第一の原因であることから、飼料を構成する原料の粒度分布を調整することでこれらの問題を解決することが出来るであろうとのコンセプトの下に、本発明者らは、発育・飼料効率促進効果を実質的に損なわない飼料を構成する原料の粒度分布を鋭意検討したところ、糞尿分離スクリーンにより分離できる1.0mm以上の固形排泄物を与えるのに適度な飼料を構成する原料の粒度分布を調整して加熱処理工程を経た飼料であれば、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成させたものである。
【0013】
すなわち、本発明の飼料は、加熱処理前の飼料を構成する原料の粒度分布が4.0mm超えず、1.0mm超30%以上70%以下、且つ0.1mm未満30%以上に調整し、次いで加熱処理を施したことを特徴とするもので、これを給与した家畜・家禽から排泄される糞が1.0mm超10%以上30%以下、且つ0.1mm未満60%以下の粒度分布粒度を形成し、排水施設の負荷の軽減に寄与するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について記述する。
本発明において家畜・家禽として、例えば子牛、豚、鶏、家鴨、七面鳥などが挙げられる。飼料原料としては、通常、トウモロコシ、大麦、小麦、ライ麦、マイロ、大豆、黄粉などの穀類、魚粉、チキンミール等の動物質原料類、大豆粕、菜種粕、椰子粕、綿実粕、ごま粕等の植物油粕類、ふすま、米糠、大麦糠等の糟糠類および動物性油脂、植物性油脂等の油脂類、砂糖、ブドウ糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ミネラル、ビタミン、食塩などを単独にあるいは組み合わせたものを用いればよい。
【0015】
粉砕、配合条件は、加熱処理前の飼料を構成する原料の粒度分布が4.0mm超えず、1.0mm超30%以上70%以下、且つ0.1mm未満30%以上に調整できればよく、他の条件は日本飼養標準の定める水準を満たしていればよい。
【0016】
加熱処理前の飼料を構成する原料の粒度は4.0mm超えず、1.0mm超30%以上70%以下、且つ0.1mm未満30%以上が好ましく、特に1.0mm超40%以上60%以下、且つ0.1mm未満35%以上が好ましい。飼料中原料の粒度0.1mm未満が30%以下であると発育促進効果、特に飼料要求率に影響を与え、40%を超えると、糞の粒度0.1mm以下が50%以上になり、糞尿分離スクリーンにより糞尿分離できる1.0mm以上の排水中固形物が5%以下となり、排水処理の負担が増大し、1.0mm超が70%を超えると加熱処理飼料の特徴である発育促進効果に影響を与える。
【0017】
粉砕・配合後の飼料を構成する原料の粒度分布が4.0mm超えず、1.0mm超30%以上70%以下、且つ0.1mm未満30%以上になるように調整したならば、引き続き、常法によりペレットミルで加熱成形すればよい。また、乾燥は熱風乾燥、流動層乾燥等いかなる乾燥方法でもよい。また、クランブル化はローラーミル等によりクランブル化すればよく、更にシフターは4mmを超える大きな粒子を除外できればよい。
【0018】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0019】
実施例1
表1に示す豚用飼料原料についてビューラー社製ペレットミルを用い、蒸気温度70℃、圧力2kg/cm、ダイス径6.0mmの条件下でペレット化した。通風乾燥後1.5mm幅のローラーミルでクランブル化した。更に、シフターにて6.0mm超えるものを除去し豚用試験飼料を得た。
【0020】
【表1】


【0021】
次に、対照飼料として表1の飼料原料について2.5mmスクリーンを装着した尾上機械製ハンマーミルで微粉砕し、ビューラー社製ペレットミルを用い、蒸気温度70℃、圧力2kg/cm、ダイス径3.2mmの条件下でペレット化し、対照飼料を得た。
【0022】
上記のようにして得た豚用試験飼料および対照飼料を飼料を構成する原料の粒度分布を検証するために23℃の水300gに対し20g混和し、三田村製作所製,『Siever Shaker』で3分間最大振蕩することで分散させた。その後、通風乾燥機で60℃24時間乾燥後、乾燥物を一定量秤量し、1.00mm、0.50mmおよび0.1mmのステンレス製の篩で三田村製作所製,『Siever Shaker』で1分間最大振蕩することで篩い分けた。測定した粒度分布は表2に示す通りであり、本発明の製造方法により得た豚用飼料は適度の粒度分布を示した。
【0023】
【表2】


【0024】
次に、LWD雑種豚90日令を豚用試験飼料群および対照飼料群に各6頭(合計12頭)2反復ずつ用い、豚房に仕切られたウィンドレス豚舎にて42日間の飼育試験を実施した。
【0025】
その結果は表3および表4に示す通りで、本発明の豚用試験飼料の発育成績は対照飼料と同等で良好なものだった。
【0026】
また糞の粒度分布は1.0mm超が増加し、その粒度分布は排水処理において有効とされるマッシュ(ペレット化してない)飼料と同等レベルであった。
【0027】
また、糞水分は減少し、軟便の発生が本発明の製造方法により得た豚用試験飼料で抑制されるのが示唆された。
【0028】
【表3】


【0029】
【表4】


【0030】
実施例2
飼料を構成する原料の粒度分布が及ぼす発育製の影響について調べるために、表1の飼料組成のマッシュ飼料を作成した。但し、トウモロコシ、マイロの粒度分布を変えることで表5に示す同飼料組成の粒度分布の異なる3飼料を得た。
【0031】
【表5】


【0032】
次に、LWD雑種豚132日令を各飼料群に各5頭(合計15頭)2反復ずつ用い、豚房に仕切られたウィンドレス豚舎にて49日間の飼育試験を実施した。
【0033】
その結果は表6および表7に示す通りで、本発明の飼料を構成する原料の粒度分布が他の2区より優れた成績を示した。つまり飼料を構成する原料の粒度分布が4.0mm超えず、1.0mm超30%以上70%以下、且つ0.1mm未満30%以上になっている試験3区飼料の発育成績が最も優れた結果になった。
【0034】
また飼料を構成する原料の粒度分布の1.0mm超が3飼料とも同等の割合を示したため、排水処理において有効とされる糞の粒度分布1.0mm超の割合は変わらなかった。
【0035】
また、糞水分は飼料間に差は見られなく、正常な値を示した。
【0036】
【表6】


【0037】
【表7】


【0038】
実施例3
本発明における最適な飼料加工方法を検討するため、表1の飼料組成のマッシュ、ペレット化およびクランブル化飼料を作成した。飼料を構成する原料の粒度分布はトウモロコシ、マイロの粒度分布を変えることで、4.0mm超えず、1.0mm超30%以上70%以下、且つ0.1mm未満30%以上になるように調整した。ペレット化およびクランブル化飼料は実施例1の方法に基づいて作成した。但し、ペレット化飼料はクランブル化飼料と同等の飼料を構成する原料の粒度分布を得るために、ハンマーミルでの粉砕を行わなかった。
【0039】
次に、LWD雑種豚135日令を各飼料群に各5頭(合計15頭)2反復ずつ用い、豚房に仕切られたウィンドレス豚舎にて49日間の飼育試験を実施した。
【0040】
その結果は表8および表9に示す通りで、日増体はクランブル区が他の2区より優れた成績を示し、要求率はペレット化とクランブル化で変わらず、マッシュ区が劣る結果を示した。
【0041】
糞の粒度分布は3飼料とも同等の割合を示した。また、糞水分は飼料間に差は見られなく、正常な値を示した。
【0042】
【表8】


【0043】
【表9】


【0044】
実施例4
表10に示すブロイラー用飼料原料を実施例1と同様ビューラー社製ペレットミルを用い、蒸気温度70℃、圧力2kg/cm、ダイス径6.0mmの条件下でペレット化した。通風乾燥後1.5mm幅のローラーミルでクランブル化した。更に、シフターにて6.0mm超えるものを除去し鶏用試験飼料を得た。
【0045】
【表10】


【0046】
次に上記と同様、表10の原料を混合後2.5mmスクリーンを装着した尾上機械製,『ハンマーミル』で3600rpm微粉砕し、ビューラー社製ペレットミルを用い、蒸気温度70℃、圧力2kg/cm、ダイス径3.2mmの条件下でペレット化し、対照飼料を得た。
【0047】
21日令コブ種ブロイラー60羽を試験飼料群および対照飼料群各10羽3反復(各30羽ずつ)に区分し、同量のオガ粉を床に敷き詰めた開放ペン鶏舎にて29日間の飼育試験を実施した。
【0048】
その結果、表11に示す通り鶏用試験飼料は対照飼料に比べて発育、飼料要求率でやや劣るものの床面の水分含量は少なく、軟便発生の減少を示唆するものであった。
【0049】
【表11】


【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、発育・飼料効率改善効果を維持しながら軟便の発生を減少させ、排水施設の負荷を軽減し得る家畜・家禽用加熱処理飼料を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】390014742
【氏名又は名称】伊藤忠飼料株式会社
【住所又は居所】東京都江東区亀戸2丁目35番13号
【出願日】 平成15年6月23日(2003.6.23)
【代理人】 【識別番号】100085109
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 政浩

【公開番号】 特開2005−13010(P2005−13010A)
【公開日】 平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願番号】 特願2003−178332(P2003−178332)