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【発明の名称】 優れた機能特性を有する可溶性大豆タンパク質
【発明者】 【氏名】ソング ガオ

【氏名】ダグラス エー.スミス

【氏名】ウェン−シャン チェン

【要約】 【課題】可溶性画分を増大させ、苦味画分(すなわち低分子量で疎水性のペプチド)を回避し、大豆タンパク質によって提供される他の健康上の利益を著しく変化させることなく、抗酸化力を増大させるまたは向上させることができる大豆タンパク質加水分解を提供すること。

【解決手段】本発明は、可溶性大豆タンパク質材料を調製する方法であって、(1)水、大豆タンパク質、ならびにエンドペプチターゼ活性およびエキソペプチターゼ活性の両方を有する酵素もしくは酵素の混合物を含む加水分解混合物を調製するステップと、(2)大豆タンパク質を十分な時間加水分解させて、少なくとも約15パーセントの可溶性大豆タンパク質を含有する大豆タンパク質加水分解物を作製するステップと、(3)大豆タンパク質加水分解物中で苦い風味が顕著になる前に、大豆タンパク質加水分解物中の酵素もしくは酵素の混合物を不活性化させるステップと、を含み、大豆タンパク質加水分解物が可溶性大豆タンパク質材料を含有する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶性大豆タンパク質材料を調製する方法であって、
(1)水、大豆タンパク質、ならびにエンドペプチターゼ活性およびエキソペプチターゼ活性の両方を有する酵素もしくは酵素の混合物を含む加水分解性混合物を調製するステップと、
(2)大豆タンパク質を十分な時間加水分解させて、少なくとも約15パーセントの可溶性大豆タンパク質を含有する大豆タンパク質加水分解物を作製するステップと、
(3)大豆タンパク質加水分解物中で苦い風味が顕著になる前に、大豆タンパク質加水分解物中の酵素もしくは酵素の混合物を不活性化させるステップと、
を含み、
ステップ(3)からの大豆タンパク質加水分解物が可溶性大豆タンパク質材料を含有することを特徴とする方法。
【請求項2】
酵素もしくは酵素の混合物は真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(3)からの大豆タンパク質加水分解物は約15から約45パーセントの可溶性大豆タンパク質材料を含有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
加水分解混合物は約5から約25パーセントの大豆タンパク質と、約0.01から約0.5パーセントの真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物を含有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
加水分解混合物は約5から約25パーセントの大豆タンパク質と、約0.01から約0.5パーセントの真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
大豆タンパク質は、大豆タンパク質単離物、大豆タンパク質濃縮物、大豆タンパク質抽出物、大豆粉、粉末もしくは乾燥豆乳、大豆ミール、大豆挽き粉、大豆ペーストおよびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物を約80から約100℃で約10秒間から約20分間不活性化することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(3)からの大豆タンパク質加水分解物が可溶性大豆タンパク質材料と不溶性大豆タンパク質材料とを含有し、ステップ(3)からの大豆タンパク質加水分解物はさらに加工されて、可溶性大豆タンパク質材料と不溶性大豆タンパク質材料に分離されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(3)からの大豆タンパク質加水分解物が可溶性大豆タンパク質材料と不溶性大豆タンパク質材料とを含み、ステップ(3)からの大豆タンパク質加水分解物はさらに加工されて、可溶性大豆タンパク質材料と不溶性大豆タンパク質材料に分離されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項10】
可溶性大豆タンパク質材料と不溶性大豆タンパク質材料を遠心分離によって分離することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
可溶性大豆タンパク質材料と不溶性大豆タンパク質材料を遠心分離によって分離することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
可溶性大豆タンパク質材料と不溶性大豆タンパク質材料をろ過によって分離することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
可溶性大豆タンパク質材料と不溶性大豆タンパク質材料をろ過によって分離することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
可溶性大豆タンパク質材料はグラム当たり約50から約500の全ORAC単位の抗酸化力を有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
可溶性大豆タンパク質材料は凍結乾燥もしくは噴霧乾燥されていることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
可溶性大豆タンパク質材料は約3から約30kDaの平均分子量を有するペプチドを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項17】
可溶性大豆タンパク質材料は、約3.5から約14kDaの分子量を有する約10から約60パーセントのペプチド、約14から約27kDaの分子量を有する約20から60パーセントのペプチドおよび約27kDa超の分子量を有する10から40パーセントのペプチドを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項18】
可溶性大豆タンパク質材料は約10パーセント未満の遊離アミノ酸を含有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項19】
可溶性大豆タンパク質材料は約7.5パーセント未満の遊離アミノ酸を含有することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
可溶性大豆タンパク質材料は、約2から約9のpHを有する水性媒体中で可溶性であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項21】
可溶性大豆タンパク質材料を調製する方法であって、
(1)大豆タンパク質を約24から約55℃で水と混合して、約6.5から約8.0のpHで大豆ペーストを作製するステップと、
(2)エンドペプチターゼ活性とエキソペプチターゼ活性の両方を有する真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物を大豆ペーストに加えて、加水分解混合物を形成するステップと、
(3)加水分解混合物を、約24から約55℃の温度で少なくとも約30分間培養して、少なくとも約15パーセントの可溶性大豆タンパク質を含有する培養された加水分解混合物を得るステップと、
(4)培養された加水分解混合物を、約80から約100℃の温度で、真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物を不活性化するのに十分な時間加熱して、可溶性大豆タンパク質材料を含有する大豆タンパク質加水分解物を得るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
大豆タンパク質は、大豆タンパク質単離物、大豆タンパク質濃縮物、大豆タンパク質抽出物、大豆粉、粉末もしくは乾燥豆乳、大豆ミール、大豆挽き粉、大豆ペーストおよびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
培養された加水分解混合物は約15から約45パーセントの可溶性大豆タンパク質を含有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
大豆タンパク質加水分解物は可溶性大豆タンパク質材料と不溶性大豆タンパク質材料を含み、かつ可溶性大豆タンパク質材料と不溶性大豆タンパク質材料は分離していることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
可溶性大豆タンパク質材料はグラム当たり約50から約500の全ORAC単位の抗酸化力を有することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
可溶性大豆タンパク質材料は凍結乾燥または噴霧乾燥されていることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
可溶性大豆タンパク質材料は約3から約30kDaの平均分子量を有するペプチドを含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項28】
可溶性大豆タンパク質材料は約10パーセント未満の遊離アミノ酸を含有することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項29】
可溶性大豆タンパク質材料は約7.5パーセント未満の遊離アミノ酸を含有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
可溶性大豆タンパク質材料は約2から約9のpHを有する水性媒体中で可溶性であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項31】
可溶性大豆タンパク質材料を含む製品であって、前記可溶性大豆タンパク質材料が、
(1)水、大豆タンパク質、ならびにエンドペプチターゼ活性およびエキソペプチターゼ活性の両方を有する酵素もしくは酵素の混合物を含む加水分解混合物を調製するステップと、
(2)大豆タンパク質を十分な時間加水分解させて、少なくとも約15パーセントの可溶性大豆タンパク質を含有する大豆タンパク質加水分解物を作製するステップと、
(3)大豆タンパク質加水分解物中で苦い風味が顕著になる前に、大豆タンパク質加水分解物中の酵素もしくは酵素の混合物を不活性化させるステップと、
を含み、
ステップ(3)からの大豆タンパク質加水分解物が可溶性大豆タンパク質材料を含有する方法によって調製されることを特徴とする製品。
【請求項32】
食品、化粧品または医薬品であることを特徴とする請求項31に記載の製品。
【請求項33】
食品であることを特徴とする請求項31に記載の製品。
【請求項34】
心臓疾患のリスクを軽減することが認められる量の可溶性大豆タンパク質材料を含有し、その量の可溶性大豆タンパク質材料がざらざらした舌触りもしくは苦味をもたらさないことを特徴とする請求項33に記載の製品。
【請求項35】
可溶性大豆タンパク質材料はグラム当たり約50から約500の全ORAC単位の抗酸化力を有することを特徴とする請求項34に記載の製品。
【請求項36】
食品は飲料、健康/栄養バー、サラダ用ドレッシング、肉製品、スナック菓子、デザート、菓子類および栄養補給剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項33に記載の製品。
【請求項37】
食品は飲料、健康/栄養バー、サラダ用ドレッシング、肉製品、スナック菓子、デザート、菓子類および栄養補給剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項34に記載の食品。
【請求項38】
食品は飲料、健康/栄養バー、サラダ用ドレッシング、肉製品、スナック菓子、デザート、菓子類および栄養補給剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項35に記載の食品。
【請求項39】
食品は飲料であることを特徴とする請求項36に記載の食品。
【請求項40】
食品は飲料であることを特徴とする請求項37に記載の食品。
【請求項41】
食品は飲料であることを特徴とする請求項38に記載の食品。
【請求項42】
可溶性大豆タンパク質材料を調製する方法であって、
(1)大豆タンパク質含有材料を約24から約55℃で水と混合して、約6.5から約8.0のpHで、約10から約20パーセントの大豆タンパク質を含有する大豆ペーストを作製するステップと、
(2)エンドペプチターゼ活性とエキソペプチターゼ活性の両方を有する約0.01から約0.5パーセントの酵素もしくは酵素の混合物を、大豆ペーストに加えて、加水分解混合物を形成させるステップと、
(3)約24から約55℃の温度で約0.5から約4時間加水分解混合物を培養して、少なくとも約15パーセントの可溶性大豆タンパク質を含有する培養された加水分解混合物を得るステップと、
(4)培養された加水分解混合物を、約80から約100℃の温度で約10秒間から約25分間加熱し、酵素もしくは酵素の混合物を不活性化して、可溶性大豆タンパク質材料および不溶性/変性大豆タンパク質材料を含有する大豆タンパク質加水分解物を得るステップと、
(5)大豆タンパク質加水分解物のpHを約3.5から約5.5に調節するステップと、
(6)pH調節した大豆タンパク質加水分解物を処理して、不溶性/変性大豆タンパク質材料から可溶性大豆タンパク質材料を分離し、可溶性大豆タンパク質材料を、大豆タンパク質含有材料の少なくとも約15〜約45パーセントの量で得るステップと、
(7)分離された可溶性大豆タンパク質材料を乾燥して、固体状もしくは粉末形態の可溶性大豆タンパク質材料を得るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
酵素もしくは酵素の混合物は真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物を含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドペプチターゼ活性とエキソペプチターゼ活性の両方を有する酵素(好ましくは真菌性プロテアーゼもしくは真菌性プロテアーゼの混合物)を使用して、大豆材料に付随する通常の苦味および豆の風味を持たない、優れた機能性(例えば高い可溶性および高い抗酸化力)を有する大豆タンパク質材料の作製方法を提供する。本発明の可溶性大豆タンパク質材料は、理想的には飲料、食品、化粧品、医薬品などでの使用に適している。
【背景技術】
【0002】
大豆を豊富にとる食事は、血清コレステロールの減少、癌性もしくは腫瘍性細胞の阻害および免疫系の刺激を含む様々な健康上の利益を有すると言われてきた。さらに、大豆アミノ酸プロファイルは、植物性タンパク源中で最も完全なものの1つであり、高品質動物性タンパク源から得られる一般的なパターンに類似している(イオウ含有アミノ酸は例外)。
【0003】
FDAは1999年10月26日に高大豆タンパク質に富む低脂肪、低コレステロールの食事による冠動脈心臓疾患のリスクの低下を示唆する科学的証拠を受け入れ、習慣的に消費する基準食品量当たりの少なくとも6.25グラムの食事による大豆タンパク質の摂取を、潜在的な心臓疾患のリスクの軽減と結びつける健康効能表示食品を承認した。このことは、広範囲の食品に大豆を添合する努力を強めてきた。大豆タンパク質の有益性はその抗酸化活性に関係する(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4および非特許文献5参照)。in vivoでの反応の過程の間に発生するフリーラジカルおよび酸化性の種を除去することによって、ペプチドは、酵素不活性化、DNA変異および/またはタンパク質変性を伴う病原性プロセスに対する保護の助けとなることができる(例えば非特許文献6および非特許文献7参照)。
【0004】
一般的に、未処理の形態の大豆タンパク質は水性液体中に容易に溶解せず、種々の食品、特に飲料中に添合することが困難である。大豆タンパク質は約6.5から約8.5のpH値で可溶性が低いことが多く、約3.5から約6.5のpH値で沈殿を生じることが多い。その結果、目的とする食品に濁った外観および/またはざらざらした触感を付与することになる。未処理大豆タンパク質は、大豆タンパク質と会合もしくは結合している抗酸化成分(例えばイソフラボン)を含有しているが、一般に顕著な抗酸化活性を有していない。
【0005】
大豆タンパク質の可溶性および他の機能特性を改善する試みとしては、主として加水分解が利用される。その例には、例えば特許文献1(アルカリ性プロティナーゼ(例えばB.レチニフォルミス(B.licheniformis))を用いて大豆タンパク質加水分解物を調製する);例えば特許文献2(SPS−ase酵素(例えばアスペルギルスアクレアツス(Aspergillus aculeatus))を用いて、ペクチナーゼによって分解した大豆粉中の多糖類を加水分解する);例えば特許文献3(プロティナーゼ(例えばムコールミーハイ(Mucor miehei))を用いて大豆タンパク質を酵素的加水分解することによって、卵白代替品を調製する;加水分解物は優れた感覚受容特性を有すると報告されている);例えば特許文献4(アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)から誘導された真菌性プロテアーゼを含むプロテアーゼ酵素で、大豆材料を加水分解することによって、低ナトリウム、低モノナトリウムグルタミン酸大豆加水分解物を調製する);例えば特許文献5(アスペルギルスフラバス(Aspergillus flavus)、A.ジャパニクス(A.japanicus)、A.ニガー(A.niger)もしくはA.アワモリ(A.awamori)およびパパイン(papain)を用いた二重加水分解による少ない苦味の加水分解物の調製);例えば特許文献6および特許文献7(制御された条件下でタンパク質分解酵素を用いて、β−コングリシニンもしくはグリシニンを選択的に分解して大豆タンパク質加水分解物を提供する);例えば同時係属中の特許文献8(2003年3月28日出願で、本出願と同一の譲受人が権利を所有する)(プロテアーゼで加水分解された大豆タンパク質から、ペプチド抗酸化物を単離し、これを同定する)が含まれる。
【0006】
食品に大豆タンパク質を添合する他の試みには、例えば特許文献9(大豆タンパク質スラリーを、タンパク質分解酵素、カルボヒドラーゼ酵素、抗酸化剤、またはそれらの混合物で処理し、続いて、タンパク質を含む製品を作製するための、α−ガタクトシダーゼ(α−ガタクトシダーゼはカルボヒドラーゼ酵素および/またはプロテアーゼ酵素も含有できる)の供給源からの加水分解剤で処理する)および例えば特許文献10((1)タンパク質の溶液をペプシンで処理し、(2)pHを約7から9に調節し、(3)得られた混合物を、カチオン性セリンエンドプロテアーゼの存在下で、酵素的トリプシン−キモトリプシン加水分解にかけることによって大豆タンパク質加水分解物を提供する)が含まれる。
【0007】
しかし、大豆タンパク質は望ましくない風味プロファイルを有することが知られており、大豆タンパク質を加水分解する試みが、苦い加水分解物をもたらすことがよくある。特定の理論に拘泥するわけでは全くないが、苦味は、過剰の低分子画分と蓄積した加水分解による疎水性ペプチドに起因すると考えられる。上記に参照した方法では、加水分解度(DH、切断されたペプチド結合総数の割合として定義される)を低下させる加工面での大幅な非効率を犠牲にして、望ましくない加水分解画分を回避した。すなわち前記の大豆タンパク質加水分解法は、プロセスを早期に終了させることによって低分子画分を回避したが、その結果、有用な生成物の収率が低いという問題が生じた。例えば特許文献1では、苦味のある低分子量のポリペプチドを減少させる方法は、理想的にはDHが9.5から10.5パーセントで最も良好な風味を得ることを提供している。別の例では、卵白代替品を作製するための大豆タンパク質の加水分解を説明するために、0.25から2.5パーセントのDHの大豆タンパク質の加水分解を教示している(例えば特許文献3)。
【0008】
大豆タンパク質を加水分解して、苦味を防止する他の努力も試みられてきた。例えば、非特許文献8、特許文献11、特許文献5および特許文献12を参照されたい。Leeらは大豆タンパク質の酵素的加水分解を延長する方法を用いて、短いペプチド(平均約3から5のアミノ酸単位)および遊離アミノ酸を含有する加水分解物を形成した。加水分解度(DH)は20から45パ−セントの範囲である。例えば特許文献11は、一般的に20から98パーセント(好ましくは50から90パ−セント)の加水分解度を有する可溶性ペプチドを提供している。特許文献5は35から45パーセントの範囲の加水分解度を有する加水分解物を提供した。特許文献12は、酵素的加水分解を用いて、7アミノ酸単位以下の鎖長を有するペプチドが大部分を占めるペプチド材料を作製した。このように延長された加水分解によって、苦味は回避されうるが、一般的に大豆タンパク質に付随する健康上の利益を著しく減少させるあるいはこれを失わせることが予想される。
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,100,024号明細書
【特許文献2】米国特許第4,478,854号明細書
【特許文献3】米国特許第4,632,903号明細書
【特許文献4】米国特許第5,077,062号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/132,287号明細書
【特許文献6】米国特許第6,022,702号明細書
【特許文献7】米国特許第6,126,973号明細書
【特許文献8】米国特許出願第10/401,131号明細書
【特許文献9】米国特許第5,100,679号明細書
【特許文献10】米国特許第5,780,439号明細書
【特許文献11】米国特許第6,537,597号明細書
【特許文献12】米国特許第6,221,423号明細書
【特許文献13】米国特許出願第09/939,500号明細書
【特許文献14】米国特許出願第10/655,259号明細書
【非特許文献1】Chen et al., J. Agric. Food Chem., 46:49-53(1998)
【非特許文献2】Chen et al., J. Agric. Food Chem., 43:574-578(1995)
【非特許文献3】Chen et al., J. Agric. Food Chem., 43:574-578(1996)
【非特許文献4】Suetsuna, Jpn. Soc. Nutr. Food Sci., 52:225-228(1999)
【非特許文献5】Zhang et al., Ann. NY Acad. Sci, 864:640-645(1998)
【非特許文献6】Szweda et al., J. Biol. Chem., 268:3342(1993)
【非特許文献7】Reiss et al., Blochem. Biophys. Res. Commun., 48:921(1972)
【非特許文献8】Lee et al., "Characterization of Hydrolysates produced by mild-acid treatment and enzymatic Hydrolysis of defatted soybean flour," Food Research International, 34:217(2001)
【非特許文献9】Franzen et al., J. Agric. Food Chem., 24,788795(1976)
【非特許文献10】Cao et. al. Free Radical Biology & Medicine, 1993, 303-11
【非特許文献11】Wang et al., J. Agric. Food Chem., 1996,44, 701-5
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、可溶性画分を増大させ、苦味画分(すなわち低分子量で疎水性のペプチド)を回避し、大豆タンパク質によって提供される他の健康上の利益を著しく変化させることなく、抗酸化力を増大させるまたは向上させることができる大豆タンパク質加水分解を提供することが望ましい。大豆タンパク質を加水分解して、異風味または苦味を生じさせることなく、比較的大きいペプチド(すなわち、約3から約30kDaの平均分子量)を含有する可溶性大豆タンパク質を生成させるために、本発明は一般的に、真菌性酵素または少なくとも2種の真菌性酵素を含むカクテルを使用する。したがって、苦味のある低分子量ペプチドを実質的に含まず、極少量の遊離アミノ酸だけを含有し、高い抗酸化力を有する、高機能性可溶性大豆タンパク質材料を調製する。この高機能性可溶性大豆タンパク質は、様々な食品、特に飲料、ドレッシング、チーズソース、スナック菓子、デザート、菓子類、栄養補給剤などを補うために使用することができる。本発明の高機能性可溶性大豆タンパク質は、例えば化粧品、医薬品を含む他の種類の製品にも使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は大豆タンパク質を加水分解して、その食品用途のための機能性(著しく増大した可溶性および抗酸化力を含む)を増大させ、同時に加水分解された大豆タンパク質に付随することが多い苦い成分の生成を回避する方法を提供する。この方法は、大豆タンパク質を加水分解し、同時に最終製品に苦い風味もしくは望ましくない風味を付与する加水分解画分を実質的に回避するために、エンドペプチターゼ活性とエキソペプチターゼ活性の両方を有する酵素(好ましくは真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物)を使用する。加水分解が完了した後、例えば混合物の加熱などの知られている方法で酵素を不活性化させる。次いで、得られた大豆タンパク質加水分解物を、可溶性タンパク質画分と、不溶性もしくは変性タンパク質画分に分離することが好ましい。大豆タンパク質加水分解物、可溶性タンパク質画分、変性タンパク質画分、またはこれらの混合物は、様々な食品に使用することができる。
【0012】
本発明の可溶性大豆タンパク質、特に分離した可溶性大豆タンパク質画分は優れた機能性を有している。例えば、本発明の可溶性大豆タンパク質は実質的な抗酸化特性(酸素ラジカル吸収力(ORAC)アッセイで測定)を有している。したがって、可溶性大豆タンパク質は、他の抗酸化剤が加えられていなくても使用することができる、あるいは加えられた抗酸化剤と一緒に用いてさらに向上した抗酸化活性を提供することができる。理論に拘束されるわけでは全くないが、抗酸化特性は抗酸化性ペプチドの生成および/または大豆タンパク質中のイソフラボンの存在によるとされてきた。可溶性大豆タンパク質の抗酸化特性は、食品、医薬品および化粧品中での酸化による損傷を防止するために使用できる。食品中では、栄養価の損失に関連し酸敗を引き起こすオイルおよび油脂の酸化を防止するために、可溶性大豆タンパク質を使用することができる。医薬品および化粧品では、可溶性大豆タンパク質は、それぞれ、薬物の構造的健全性および有害な酸素ラジカルに曝露された皮膚を維持する助けとなるはずである。
【0013】
本発明は、著しく改善された可溶性(約2から約9の広いpHの範囲にわたって)、淡白な風味(すなわち、通常大豆に付随する苦味または異風味がない)および抗酸化活性を有する可溶性大豆タンパク質も提供する。この可溶性大豆タンパク質は約2から約6の低いpHで可溶性を維持する。高濃度(すなわち約20パ−セントまで)でも、明らかな苦味もしくは異風味は見られない。さらに、可溶性大豆タンパク質は、さらなる異風味の生成を抑制し、また消費者への予防的な健康上の利益を提供する抗酸化活性を有することができる。
【0014】
本発明は、濁った外観またはざらざらした触感の問題のない可溶性大豆タンパク質材料を含有する食品も作製する。そうした製品には、高タンパク質含量飲料、スポーツ飲料、バランス栄養飲料(例えば40パーセントの炭水化物、30パーセントのタンパク質、30パーセントの脂肪)などの飲料(中性および酸性の両方)および果汁ミックスが含まれる。可溶性大豆タンパク質材料は、健康/栄養バー、サラダ用ドレッシング、肉製品(例えば、ミートスプレッド、ソーセージ、ホットドッグ、ボローニャ、ペパローニ等)、スナック菓子、デザート、菓子類、栄養補給剤等の他の食品でも使用される。本発明による可溶性大豆タンパク質材料は、必要とされる用量が通常の食品供給当たり約2.5から約6.5グラムの大豆タンパク質である場合に特に有用である。もちろん、望むなら、より少ないまたはより多い量の大豆タンパク質を使用することができる。本発明の可溶性大豆タンパク質材料は、例えば化粧品および医薬品を含む他の種類の製品にも使用することができる。大豆タンパク質加水分解物、可溶性タンパク質画分、変性タンパク質画分、またはこれらの混合物を、様々な食品および他の製品に使用することができる。
【0015】
一つの実施形態では、本発明は、可溶性大豆タンパク質材料を調製する方法であって、
(1)水、大豆タンパク質、ならびにエンドペプチターゼ活性およびエキソペプチターゼ活性の両方を有する酵素もしくは酵素の混合物を含む加水分解混合物を調製するステップと、
(2)大豆タンパク質を十分な時間加水分解させて、少なくとも約15パーセントの可溶性大豆タンパク質を含有する大豆タンパク質加水分解物を作製するステップと、
(3)大豆タンパク質加水分解物中で苦い風味が顕著になる前に、大豆タンパク質加水分解物中の酵素もしくは酵素の混合物を不活性化させるステップと、
を含み、大豆タンパク質加水分解物が可溶性大豆タンパク質材料を含有する方法を提供する。酵素もしくは酵素の混合物は真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物であることが好ましい。大豆タンパク質加水分解物を、可溶性大豆タンパク質材料を含有する可溶性画分と、不溶性もしくは変性大豆タンパク質を含有する不溶性画分に分離し、その可溶性大豆タンパク質材料を、通常の乾燥技術(好ましくは凍結乾燥または噴霧乾燥)を用いて使用前に乾燥形態もしくは粉末形態に変換することが好ましい。
【0016】
他の実施形態では、本発明は、可溶性大豆タンパク質材料を調製する方法であって、
(1)大豆タンパク質を約24から約55℃で水と混合して、大豆ペーストを作製するステップと、
(2)エンドペプチターゼ活性とエキソペプチターゼ活性の両方を有する酵素もしくは酵素の混合物を、大豆ペーストに加えて、加水分解混合物を形成させるステップと、
(3)約24から約55℃の温度で少なくとも約30分間加水分解混合物を培養して、少なくとも約15パーセントの可溶性大豆タンパク質を含有する培養された加水分解混合物を得るステップと、
(4)培養された加水分解混合物を、約80から約100℃の温度で少なくとも約1分間加熱し、酵素もしくは酵素の混合物を不活性化して、可溶性大豆タンパク質材料を含有する大豆タンパク質加水分解物を得るステップと、を含む方法を提供する。酵素もしくは酵素の混合物は真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物であることが好ましい。大豆タンパク質加水分解物を、可溶性大豆タンパク質材料を含有する可溶性画分と、不溶性もしくは変性大豆タンパク質を含有する不溶性画分に分離し、その可溶性大豆タンパク質材料を、通常の乾燥技術(好ましくは凍結乾燥または噴霧乾燥)を用いて使用前に乾燥形態もしくは粉末形態に変換していることが好ましい。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、可溶性大豆タンパク質材料を含む食品であって、前記可溶性大豆タンパク質材料を、
(1)大豆タンパク質ならびにエンドペプチターゼ活性およびエキソペプチターゼ活性の両方を有する酵素もしくは酵素の混合物を含む加水分解混合物を調製するステップと、
(2)大豆タンパク質を十分な時間加水分解させて、少なくとも約15パーセントの可溶性大豆タンパク質を含有する大豆タンパク質加水分解物を作製するステップと、
(3)大豆タンパク質加水分解物中で苦い風味が顕著になる前に、大豆タンパク質加水分解物中の酵素もしくは酵素の混合物を不活性化させるステップと、
を含む方法によって調製される製品を提供する。酵素もしくは酵素の混合物は真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物であることが好ましい。大豆タンパク質加水分解物を、可溶性大豆タンパク質材料を含有する可溶性画分と、不溶性もしくは変性大豆タンパク質を含有する不溶性画分に分離していることが好ましい。その分離された可溶性大豆タンパク質材料を、通常の乾燥技術(好ましくは凍結乾燥または噴霧乾燥)を用いて使用前に乾燥形態もしくは粉末形態に変換していることがさらにより好ましい。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、可溶性大豆タンパク質材料を調製する方法であって、
(1)大豆タンパク質含有材料を約24から約55℃で水と混合して、約6.5から約8.0のpHで、約10から約20パーセントの大豆タンパク質を含有する大豆ペーストを作製するステップと、
(2)エンドペプチターゼ活性とエキソペプチターゼ活性の両方を有する約0.01から約0.5パーセントの酵素もしくは酵素の混合物(好ましくは真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物)を、大豆ペーストに加えて、加水分解混合物を形成させるステップと、
(3)約24から約55℃の温度で約0.5から約5時間加水分解混合物を培養して、少なくとも約15パーセントの可溶性大豆タンパク質を含有する培養された加水分解混合物を得るステップと、
(4)培養された加水分解混合物を、約80から約100℃の温度で約10秒間から約25分間加熱し、酵素もしくは酵素の混合物を不活性化して、可溶性大豆タンパク質材料を含有する大豆タンパク質加水分解物を得るステップと、
(5)大豆タンパク質加水分解物のpHを約3.5から約5.5に調整するステップと、
(6)pH調整した大豆タンパク質加水分解物を処理して、不溶性/変性大豆タンパク質から可溶性大豆タンパク質を分離し、その可溶性大豆タンパク質を、大豆タンパク質含有材料の少なくとも約15〜約45パーセントの量で得るステップと、
(7)分離された可溶性大豆タンパク質を乾燥して、固体状もしくは粉末状で可溶性大豆タンパク質を得るステップと、
を含む方法を提供する。
【0019】
本発明の可溶性大豆タンパク質大豆材料は、理想的には乳製品飲料および非乳製品飲料、スムージー、健康ドリンク、菓子タイプの製品、栄養バー、チーズ、チーズ類似品、乳製品ヨーグルトおよび非乳製品ヨーグルト、肉類および肉類似製品、シリアル、ベークした製品、スナック菓子、健康/栄養バー、菓子類、栄養補給剤、サラダ用ドレッシング、肉製品(例えば、ミートスプレッド、ソーセージ、ホットドッグ、ボローニャ、ペパローニ等)での使用に適している。本発明による可溶性大豆タンパク質材料は、必要とされる用量が通常の食品供給当たり約2.5から約6.5グラムの大豆タンパク質である場合、特に有用である。もちろん、望むなら、より少ないまたはより多い量の大豆タンパク質を使用することができる。本発明の可溶性大豆タンパク質材料は、例えば化粧品および医薬品を含む他の種類の製品にも使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
大豆タンパク質を加水分解し、同時に最終製品に苦いまたは望ましくない風味を付与する加水分解画分を実質的に回避するために、酵素もしくは酵素の混合物、特にエンドペプチターゼ活性とエキソペプチターゼ活性の両方を有する真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物を用いて加水分解を実施する。この部類の酵素は、加水分解物に苦味を付与できる有意なレベルの低分子量の大豆タンパク質ペプチド(すなわち、約3000ダルトン未満、好ましくは約2000ダルトン未満の分子量)または遊離アミノ酸を放出することなく、大豆タンパク質を加水分解することが分かっている。一般に、本発明によって作製された加水分解物は、少なくとも約15パ−セント、好ましくは約20から約45パ−セントの可溶性大豆タンパク質を含有し、低分子量の大豆タンパク質ペプチドを実質的に含んでいない。本発明の目的のために、「低分子量タンパク質ペプチドを実質的に含まない」ということは、得られた加水分解物中に苦味が生じないようなレベルである。一般的に、そうした低分子量大豆タンパク質加水分解物を実質的に含まないということは、約5パーセント未満の低分子量ペプチド(すなわち約3000ダルトン未満の分子量を有する)および約5パ−セント未満、好ましくは約3パ−セント未満、より好ましくは約1パ−セント未満の遊離アミノ酸を含む。そうした低分子量のものが実質的にない大豆タンパク質加水分解物は、通常の技術(例えば遠心分離、ろ過等)を用いて、さらに可溶性大豆タンパク質と不溶性もしくは変性大豆タンパク質を分離する工程にかけることが好ましい。分離された可溶性大豆タンパク質は、水または酸性溶液中で可溶性であり、実質的に透明な溶液を形成する。分離された可溶性大豆タンパク質画分も、低分子量のペプチド(すなわち一般に、約3000ダルトン未満の分子量を有するペプチドが約10パーセント未満)および遊離アミノ酸(一般に約7.5パ−セント未満)が実質的にない。タンパク質の溶解度は、非特許文献9に記載のようにして測定できる。この文献を参照により本明細書に組み込む。
【0021】
本発明で使用する大豆タンパク質は、大豆タンパク質単離物、大豆タンパク質濃縮物、大豆タンパク質抽出物、大豆粉、粉末もしくは乾燥豆乳、大豆ミール、大豆挽き粉、大豆ペースト、およびこれらの混合物からなる群からとることができる。本発明で使用する大豆タンパク質は、望むなら、2001年8月23日出願の同時係属の特許文献13および本出願と同日出願の特許文献14(その両方を参照により本明細書に組み込む)に概説されている手順を用いて、本発明の加水分解の前に脱風味をする(deflavor)こともできる。一般に、本発明では、約80から約94パ−セント、より好ましくは約85から約90パ−セントのタンパク質含量を有する大豆タンパク質単離物が好ましい。
【0022】
一つの実施形態では、(1)水、大豆タンパク質、ならびにエンドペプチターゼ活性およびエキソペプチターゼ活性の両方を有する酵素もしくは酵素の混合物(好ましくは真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物)を含む加水分解混合物を調製するステップと、(2)大豆タンパク質を十分な時間加水分解させて、少なくとも約15パーセントの可溶性大豆タンパク質を含有する大豆タンパク質加水分解物を作製するステップと、(3)大豆タンパク質加水分解物中で苦い風味が顕著になる前に、大豆タンパク質加水分解物中の酵素もしくは酵素の混合物を不活性化させるステップと、を含む方法であって、大豆タンパク質加水分解物が可溶性大豆タンパク質材料を含有する方法によって実施する。大豆タンパク質加水分解物から可溶性大豆タンパク質材料を分離して、これを固体または粉末の形態で得ることが好ましい。
【0023】
別の実施形態では、(1)大豆タンパク質を約24から約55℃で水と混合して、大豆ペーストを作製するステップと、(2)エンドペプチターゼ活性とエキソペプチターゼ活性の両方を有する酵素もしくは酵素の混合物(好ましくは真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物)を、大豆ペーストに加えて、加水分解混合物を形成させるステップと、(3)約24から約55℃の温度で少なくとも約30分間加水分解混合物を培養して、少なくとも約15パーセントの可溶性大豆タンパク質を含有する培養された加水分解混合物を得るステップと、(4)培養された加水分解混合物を、約80から約100℃の温度で少なくとも約1分間加熱し、酵素もしくは酵素の混合物を不活性化して、可溶性大豆タンパク質材料を含有する大豆タンパク質加水分解物を得るステップとを含む方法によって実施する。大豆タンパク質加水分解物から可溶性大豆タンパク質材料を分離して、これを固体または粉末の形態で得ることが好ましい。
【0024】
最終の加水分解大豆製品は、固体形態の不溶性画分と、上澄み溶液中に溶解したままの可溶性画分を含有する。可溶性画分と不溶性画分は、例えば遠心分離などの知られている方法によって分離することができる。一般的に、不溶性画分は可溶性画分より大きい平均分子量をもつことになる。分離した後、低分子量画分もしくは可溶性大豆タンパク質画分を含有する溶液をそのままで食品用途に使用することができる。あるいは、より好ましくは、食品用途での使用のために固体もしくは粉末形態に加工することができる。一般的に、可溶性大豆タンパク質画分は、低分子量大豆タンパク質(すなわち約10パーセント未満の低分子量ペプチド(すなわち約3000ダルトン未満の分子量を有する)と約7.5パーセント未満の遊離アミノ酸を含有する)を実質的に含んでいない。一般的に、可溶性大豆タンパク質画分は約3から約30kDaの平均分子量を有するペプチドを含む。一般的に、可溶性大豆タンパク質画分は約2から約9のpHを有する水性媒体中で可溶性である。
【0025】
不溶性大豆タンパク質画分は不溶性もしくは変性大豆タンパク質を含有する。この画分は、食品、特にパスタ、シリアルなどの半固体もしくは固体食品でも使用することができる。特に大豆粉などの脱風味化大豆材料から調製された場合、不溶性大豆タンパク質画分は、大豆タンパク質および繊維の良好な供給源を提供することができる。
【0026】
本発明で使用する酵素もしくは酵素の混合物はエンドペプチターゼ活性とエキソペプチターゼ活性の両方を有する。本発明で使用する酵素は、エンドペプチターゼ活性とエキソペプチターゼ活性の両方を有する真菌性プロテアーゼ酵素もしくは真菌性プロテアーゼ酵素の混合物を含むことが好ましい。そうした真菌性プロテアーゼ酵素は市販されている。適切な真菌性プロテアーゼ酵素の例には、例えば、Corolase PN−L(AB Enzyme、Finland;高レベルのエンドプロテアーゼおよびエキソペプチターゼ活性を有するアスペルギルスソーヤ(Aspergillus sojae)から作製された真菌性プロティナーゼ);Flavorurzyme 500L(Novozymes North America Inc.、Franklinton、N.C;エンドプロテアーゼおよびエキソペプチターゼ活性の両方を含有するアスペルギルスオリゼー(Aspergillus oryzae)から作製された真菌性プロテアーゼ/ペプチターゼ複合体);真菌性プロテアーゼ500,000および真菌性プロテアーゼ濃縮物(Genencor International、Rochester、NY;エンドペプチターゼ活性とエキソペプチターゼ活性の両方を有するアスペルギルスオリゼー真菌性プロテアーゼ配合物)が含まれる。
【0027】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。本明細書で開示される本発明の特徴に基づく変更形態は、当分野の技術者の技術の範囲内であり、これらの実施例によって本発明の範囲を限定すべきでないことを理解されたい。本発明の範囲を適切に決定するためには、関係者は本明細書の特許請求の範囲およびその任意の均等物を考慮すべきである。さらに、全ての引用を参照により本明細書に組み込み、別段の明確な記述がない限り、パ−セントおよび比率はすべて重量によるものである。
【0028】
(実施例1)
苦くない大豆タンパク質加水分解物を得るための酵素のスクリーニング
プロテアーゼ酵素を用いた大豆タンパク質の加水分解により、通常酵素消化の際の苦いペプチドの放出に起因する苦味が生じる。評価のために以下のプロテアーゼ酵素を選択した。
Valley Research: Validase TSP濃縮物II
AB Enzyme: Corolase 7089
Corolase PN−L
Novozyme: Flavourzyme 500L
Alcalase 2.4L FG
Protamex
Neutrase 1.5MG
Genencor: 真菌性 プロテアーゼ500,000
Protex6L
Multifect Neutral
真菌性プロテアーゼ濃縮物
【0029】
評価のため、大豆タンパク質単離物(TX34;Protein Technologies Internation、St.Louis、MO)の水懸濁液(15%)を、1パーセントの上記酵素で50℃(但し、Protamex酵素の処理は38℃とした)で約30から約90分間処理した。次いで酵素を沸騰水中で6から7分間で不活性化した。次いで得られた加水分解物を、0(苦くない)から10(極めて苦い)のスケールを用いたインフォーマル味覚パネル(8または9名のメンバー)で評価した。いくつかのサンプルは非常に苦かったため、味覚パネルによる評価は行わなかった。これらのサンプルは以下の表では「非常に苦い」と表示する。酵素を加えないこと以外は同一手順を用いて対照サンプルを調製した。4またはそれ以下の点数が許容できるものとした。以下の結果が得られた。
【0030】
【表1】


【0031】
ここで酵素試験者の集計をすると、Flavourzyme500L、真菌性プロテアーゼ濃縮物、真菌性プロテアーゼ500,000およびCorolase PN−Lだけが味覚試験で許容される大豆加水分解物をもたらした。Flavourzyme500L、真菌性プロテアーゼ濃縮物、真菌性プロテアーゼ500,000は、菌株アスペルギルスオリゼーから得られたエンド/エキソペプチターゼ複合体である。Corolase PN−Lはアスペルギルスソーヤからのエンド/エキソペプチターゼ複合体である。
【0032】
(実施例2)
種々の大豆タンパク質材料を処理するために、実施例1からの許容される酵素を使用した。試験した大豆タンパク質材料は以下の通りである。すなわち、(1)Dupont Protein Technologies社製の大豆タンパク質単離物TX34および(2)脱風味化大豆粉(DFSF;65パーセントタンパク質)である。複数の酵素混合物を用いた。(1)真菌性プロテアーゼ濃縮物(FPC)と真菌性プロテアーゼ500,000(FP500)の1:1のブレンドおよび(2)Flavourzyme500L(Flav)と真菌性プロテアーゼ濃縮物(FPC)1:1のブレンドである。
【0033】
大豆タンパク質材料約200gの約1から約1.5L水中のスラリーを、水浴もしくはジャケット付き容器中で、約50℃まで予備加熱した。次いで、約1から約3gの1種または2以上の真菌性プロテアーゼ酵素をスラリーに加えた。次いで得られた混合物を約50℃で約30から約90分間穏やかに撹拌した。次に、酵素を不活性化させるために、混合物を沸騰水浴中で約5から約20分間加熱した。不活性化させるためには、一般に約80から約95℃の温度で十分である。周囲温度に冷却後、混合物を約13,500から約22,000Gで約5から約15分間遠心分離にかけた。望むなら、遠心分離の前に食用の酸(例えば乳酸、クエン酸、リン酸等、ならびにこれらの混合物)を加えて、混合物のpHを約4.5に調節することができる。酸の添加なしでは、混合物のpHは約6.2から約6.8であった。可溶性大豆タンパク質を高酸性製品(例えば果汁)に使用する場合、一般的に、約3.5から約5.5のpHに調節することが好ましい。チーズソースなどの製品に使用する場合、この段階では一般的にpHを調節しないほうが好ましい。
【0034】
可溶性大豆タンパク質を含有する上澄みを固形ペレットから分離した。次いで上澄みを凍結乾燥して可溶性大豆タンパク質を乾燥形態で得た。代わりに、上澄みを噴霧乾燥することができる。乾燥可溶性大豆タンパク質の収率は約25から約45パーセントであり、遠心分離の前にpHを調節したか否かにはほぼ無関係であった。可溶性大豆タンパク質粉末(SoISP)を低分子量画分(LMWFまたはLMW画分)と表すこともできる。望むなら、これを再度遠心分離および/またはろ過にかけることができる。ペレットを、1から2容積の水(pHをあらかじめ調節した場合、水性分散液のpHを、1Nから6NのNaOHで約6.8から約7.2に調節した)の中に分散させ、次いで凍結乾燥(または噴霧乾燥)して、変性大豆タンパク質(MSP;高分子量画分(HMWFまたはHMW画分)とも表される)を得た。
【0035】
【表2】


【0036】
上記表の出発材料および製品中のアミノ酸プロファイルと遊離アミノ酸の量を測定し、以下の通りである。
【0037】
【表3】


【0038】
サンプル1、2および3はTX34出発材料から得られたSoISPであり、サンプル4および5はDPSF出発材料から得られたSoISPであった。可溶性大豆タンパク質サンプルは約75から約91パーセントの間のタンパク質レベルを有し、良好なバランスのすべての必須アミノ酸を含有し、良好なバランスを維持している。可溶性大豆タンパク質サンプルは遊離アミノ酸を約7.5パーセント未満含有していた。
【0039】
他の大豆タンパク質材料を上記のようにして加水分解した。これらの大豆材料は、(1)2種の脱風味化大豆粉(それぞれ65および70パーセントのタンパク質を含有するDFSFおよびDFSF2)、(2)脱風味化大豆抽出物(タンパク質を90パーセント含有するDFSE)、(3)Archer Midland Danielsからの大豆タンパク質単離物(タンパク質を90パーセント含有するADM974)および(4)Protein Technologies Internationalからの大豆タンパク質単離物(タンパク質を83パーセント含有するTX34)を含む。使用した酵素は、真菌性プロテアーゼ濃縮物単独、またはFlavorzymeとの組合せであった。一般的に、そうしたブレンド物は真菌性プロテアーゼ濃縮物とFlavorzymeを約1:5から約5:1の比で含有していた。結果は以下の通りである。
【0040】
【表4】


【0041】
前の表からの種々の出発材料と加水分解によって得られた可溶性タンパク質のタンパク質プロファイル(サイズ分布)を分析するためにゲル電気泳動を用いた。以下の結果が得られた。
【0042】
【表5】


【0043】
加水分解は、より大きい分子のタンパク質の量を減少させ、同時により小さい分子量(すなわち、3.5から14KDaと14から27KDaの範囲のタンパク質)のタンパク質の量を著しく増加させた。出発大豆粉は約70パーセントが>27KDaの分子量を有するタンパク質を有していた。酵素での処理とプロセッシングの後、可溶性大豆タンパク質(1サンプルを除いて)の約80から約90パーセントが3.5から14KDaと14から27KDaの分子量範囲に入り、約30から約60パーセントは14から27KDaの範囲であった。
【0044】
これらの結果は、本発明の酵素処理によって、比較的少量の遊離アミノ酸(一般的に、約10パ−セント未満)を有する主に大きなタンパク質またはペプチドを含有する可溶性大豆タンパク質組成物が提供されることを明らかに実証している。
【0045】
可溶性大豆タンパク質は、理想的には食品、特に透明な外観が重要である飲料での使用に適している。変性大豆タンパク質は大豆タンパク質単離物として使用することができ、例えば栄養バー、パスタ、プロセスチーズ、シリアル等の食品に含有させることができる。
【0046】
この酵素的加水分解は、カゼインおよび乳清タンパク質などのタンパク質の他の一般的な供給源に適用して、苦味ペプチドを発生させることなく、機能性および風味を改善することもできる。
【0047】
(実施例3)
この実施例は、本発明で調製した可溶性大豆タンパク質の高い抗酸化力を示す。実施例2で作製した可溶性大豆タンパク質のバッチをORAC分析で評価した。ORACは抗酸化力を反映し、過酸化ラジカルに対する抗酸化剤の除去力の尺度を提供する。様々な反応性酸素種の中で、過酸化ラジカルは、体内で見出される最も反応性のある一般的なラジカルの1つである(例えば非特許文献10および非特許文献11を参照されたい)。
【0048】
本発明で調製した可溶性大豆タンパク質のORAC結果を、多数の果物サンプルについての文献で報告されているORAC結果(非特許文献11)と一緒に以下の表に示す。こうした果物は一般に抗酸化特性が高いと考えられている。
【0049】
【表6】


【0050】
本発明で調製したこれらの可溶性大豆タンパク質は非常に高い抗酸化力を有している。可溶性大豆タンパク質のORAC値は、大豆の出発材料と比較して15倍超に増大している。これらは果物よりも著しく高い。したがって、ドライベースでぶどうの約10倍の抗酸化力を有する本発明の可溶性大豆タンパク質は、ヒトの健康に有益な抗酸化剤を提供し、不飽和の脂肪酸もしくはオイルを含有する食品または飲料製品中での酸敗または酸化を防止して、製品の保存期間を長くしその品質を向上させるのに特に有用である。変性大豆タンパク質(MSP)も果物と同等の高い抗酸化力を有している。これらの組成物(すなわち可溶性タンパク質および変性タンパク質)は食品、医薬品、栄養補給剤および化粧品で使用することができる。
【0051】
(実施例4)
この実施例はTang(登録商標)型の飲料での本発明の可溶性大豆タンパク質の使用を示す。約8.3g(75%大豆タンパク質)の様々な可溶性大豆タンパク質(すなわち、大豆タンパク質単離物TX34、大豆タンパク質単離物ADM974、DFSE、およびDFSFから作製した)を約230mlの水に混合し、次いで約25gのTang(登録商標)オレンジ風味粉末を加え、その混合物を溶解するまで撹拌してサンプルを調製した。サンプルを、6人のメンバーの味覚パネルと0(苦くない)から10(非常に苦い)までの点数を用いて評価して対照(230mlの水に25gのTang(登録商標)オレンジ風味粉末)と比較した。以下の結果が得られた。
【0052】
【表7】


【0053】
試験した6サンプルのうち、4サンプルは苦いと判定されなかった(4未満の点数)。残りの2サンプルは若干苦いとされただけで、複数のパネリストは苦いとは全く判定しなかった。
【0054】
水230mlに可溶性大豆タンパク質約8から約15gのレベル(25gのTang(登録商標)粉末で)で、可溶性大豆タンパク質を含有させても粘度にそれほど影響を及ぼさなかった(対照サンプルと比較して)。さらに、このようなレベルの可溶性タンパク質を含有させても、一方で著しいレベルの大豆タンパク質を提供しながらも、外観、触感または色調には悪影響を及ぼさなかった。
【0055】
(実施例5)
この実施例は果物飲料での本発明の可溶性大豆タンパク質の使用を示す。可溶性大豆タンパク質(5.5g;85パーセントタンパク質;ADM974から実施例2と同様にして調製した)を6オンスのTropicana(登録商標)グレープフルーツジュースもしくは6オンスのカルシウム強化Tropicana(登録商標)グレープフルーツジュース中に溶解した。他の可溶性大豆タンパク質(5.8g;78パーセントタンパク質;DFSEから実施例2と同様にして調製した)を6オンスのTropicana(登録商標)プレミアム100%搾りオレンジジュース中に溶解した。本発明の可溶性大豆タンパク質強化ジュースはすべて味覚、触感および外観が対照サンプルと同様であった。
【0056】
(実施例6)
この実施例はチーズ製品での本発明の可溶性大豆タンパク質の使用を示す。可溶性大豆タンパク質(7.0g;88パーセントタンパク質;DFSEから実施例2と同様にして調製した)をKraft Easy Mac(登録商標)で使用されるチーズソース(約21〜22g)に加えた。大豆補助ソースを料理したマカロニ(熱い状態、または電子レンジに4分間かけて取り出した直後)に混ぜた。大豆補助製品の触感および風味は対照サンプル(大豆タンパク質を加えていない)と同様であった。
【0057】
(実施例7)
この実施例はカラメルでの本発明の可溶性大豆タンパク質の使用を示す。カラメルは多くのスナック菓子および菓子製品に広く使用されている。したがって、カラメルを、大豆タンパク質を様々な製品に供給する媒体として使用することができる。
【0058】
最初のサンプルでは、可溶性大豆タンパク質(3.0g;96.6パーセントタンパク質;DFSEから実施例2と同様にして調製した)を、最初に溶融させておいた14gの市販のカラメル中に溶解した。第2のサンプルでは、同じ可溶性大豆タンパク質(1.05g;96.6パーセントタンパク質)を11.6gの第2の溶融した市販カラメル中に溶解した。カラメルサンプルを室温に冷却して評価した。大豆強化カラメルは対照カラメル(大豆を加えていない)と同様の味覚をしていた。
【0059】
(実施例8)
この実施例はドレッシング製品での本発明の可溶性大豆タンパク質の使用を示す。可溶性大豆タンパク質(5.0g;85パ−セントタンパク質;ADM974から実施例2と同様にして調製した)を20.7gの市販のドレッシング(Kraft(登録商標)Ranch Dressing)中に溶解した。得られた製品は対照サンプルと同様のレオロジーおよび風味を有している。
【0060】
(実施例9)
この実施例は本発明の方法での加水分解条件の影響を示す。一般に、出発材料のタンパク質含有量が増加するかつ/または培養時間が増加するにしたがって、得られる可溶性大豆タンパク質の収率とタンパク質含有量(すなわち純度)のどちらも増大することが分かった。
【0061】
脱風味化大豆粉(DFSF;250g;65パーセントタンパク質)を十分な水に分散させて15.6パーセントのスラリーを得た。室温(RT)で1N NaOHでpHを7.5に調節した。温度を50℃に上げた後、タンパク質重量に対して約0.5パーセントの酵素ブレンド(すなわち3部の真菌性プロテアーゼ濃縮物と1部のCorolase PN−L)を加えた。混合物を撹拌し50℃で3時間培養した。沸騰水浴中で約10〜12分間加熱して酵素を不活性化させた。室温まで冷却後、乳酸を加えて混合物のpHを約4.5に調節した。酸性化された混合物を、透明な上澄みおよびペレットをもたらす条件下で遠心分離した。上澄みを集め、凍結乾燥して約71gの可溶性大豆タンパク質(タンパク質が約64パーセントで約28.4パーセントの収率)を得た。
【0062】
この実験を様々なレベルの酵素と培養時間で繰り返した。以下の結果が得られた。
【0063】
【表8】


【0064】
別の実験では、脱風味化大豆タンパク質抽出物(DFSE;64g、タンパク質が89パーセント)を、十分な水に分散させて14パ−セントのスラリーを得た。室温で2N NaOHを加えることによりpHを約7.6に調節した。水浴中で50℃に加熱後、タンパク質の重量に対して0.5パーセントの酵素ブレンド物(3部の真菌性プロテアーゼ濃縮物と1部のCorolase PN−L)を分散液に加えた。加水分解を50℃で2.5時間継続した。次いで沸騰水浴中で約10分間かけて酵素を不活性化させた。室温に冷却後、乳酸(85パ−セント)とクエン酸(15パ−セント)により混合物のpHを4.5に調節した。酸性化した混合物を遠心分離して上澄みを得た。上澄みを凍結乾燥後、23.6gの可溶性大豆タンパク質(タンパク質が73パーセントで36.9パーセントの収率)を得た。
【0065】
別の実験では、Polytron(登録商標)Homogenizer(Brinkmann)を用いて、大豆タンパク質単離物(255g;ADM066974、90%タンパク質)を、室温で十分な水に分散させて14パーセントの分散液を得た。分散液を撹拌しながら水浴中で50℃に加熱した。酵素ブレンド(3部の真菌性プロテアーゼ濃縮物と1部のCorolase PN−L)をタンパク質重量に対して0.5パ−セント加えて50℃で培養した。最初の2時間、2N NaOHを必要に応じて加えてpHを約6.55から約6.65に保持した。pH調節をせずに、加水分解をさらに0.5時間継続した。加水分解完了後でpHは約6.5であった。沸騰水浴中で約10から約13分間で酵素を不活性化させた。室温に冷却後、混合物を遠心分離して透明な上澄みを得た。上澄みを乾燥して約103gの可溶性大豆タンパク質(約77パーセントのタンパク質で約40パーセントの収率)を得た。これとは別に、遠心分離で得られたペレットを水に分散させ、pHを約7.0に調節し、凍結乾燥して約178gの変性大豆タンパク質(83%タンパク質)を得た。様々な酵素含有量と加水分解時間を用いて、複数の同様の実験を実施した。以下の結果が得られた。
【0066】
【表9】


【出願人】 【識別番号】501360131
【氏名又は名称】クラフト・フーヅ・ホールディングス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS HOLDINGS, INC.
【住所又は居所原語表記】Three Lakes Drive, Northfield, Illinois 60093 United States of America
【出願日】 平成16年9月6日(2004.9.6)
【代理人】 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一

【識別番号】100088915
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 和夫

【公開番号】 特開2005−80668(P2005−80668A)
【公開日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願番号】 特願2004−258971(P2004−258971)