| 【発明の名称】 |
顆粒状ココア及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】福山 貴康 【住所又は居所】埼玉県坂戸市千代田五丁目3番1号 明治製菓株式会社食料総合研究所内
【氏名】小沢 耕介 【住所又は居所】埼玉県坂戸市千代田五丁目3番1号 明治製菓株式会社食料総合研究所内
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ココアパウダーをココア原料とするか、又は、ココアパウダーにココアバター、カカオマスから選ばれる1種類以上を加えたものをココア原料とし、該ココア原料の油分を15〜38重量%に調整する工程並びに、該ココア原料を加温する工程および押し出し造粒する工程、押し出し造粒により得られたココア粒子を冷却静置する工程を含むことを特徴とする顆粒状ココアの製造方法。 【請求項2】 顆粒状ココアがバニラ系香料を含むことを特徴とする請求項1に記載の顆粒状ココアの製造方法。 【請求項3】 加温する工程において、ココア原料の温度を35〜90℃に調整した、請求項1または2に記載の顆粒状ココアの製造方法。 【請求項4】 押し出し造粒する工程において、造粒機の押し出し出口の開口径が0.5〜3.0mmである、請求項1乃至3の何れか一項に記載の顆粒状ココアの製造方法。 【請求項5】 請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法により得られた顆粒状ココア。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ココアパウダーを含むココア原料の油分を15〜38重量%に調整して、押し出し造粒にて製造した顆粒状ココアおよびその製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 ココアパウダーは疎水性の微粒子であるため、お湯や温かい牛乳に対して均一にすばやく分散させることが難しい。この為、ココアを作る場合には、「ままこ」を生じないようにココアパウダーと少量の湯又は温かい牛乳と混練してペースト状にした後、さらに熱湯または牛乳を加えるという、手間のかかる作業を行わなければならない。 ココアパウダーを顆粒状にすると、ココアパウダーの分散性が高まる。ただし、顆粒の密度が高すぎると、お湯等の溶媒中で崩壊・浸透せず、分散が悪いままである。よって、ココアパウダーを崩壊性のよい顆粒にすることが、分散性を高める最も有効な手段の一つと言える。 【0003】 一般的に顆粒をつくる造粒方式には押し出し造粒以外に転動造粒、流動層造粒がある。ココアパウダーを転動造粒で製造した場合、顆粒の密度が高くなりすぎてしまい、崩壊が悪く、分散しにくい顆粒となってしまう。一方、流動層造粒では、他の造粒方式と比較し、大がかりな設備を必要とし、設備コストがかかるほか、設備スペースに対する生産性が低く、顆粒をつくる際の生産コストが上がってしまうという欠点がある。さらに、顆粒を製造する際に流動させる為に長時間通風する為、ココア本来の風味が劣ってしまうという問題がある。また従来の押し出し造粒では、転動造粒方式と同様に顆粒の密度が高くなりすぎてしまい、顆粒の崩壊性が悪く、分散しにくい顆粒となってしまう。 また、造粒する場合は、粒子を結着させるバインダーが必要であり、粘着性のある糖溶液等が使用される。この場合、適用できるのは砂糖や粉乳等が加えられた調整ココアに限られる。 【0004】 特許文献1には、親水性ポリグリセリン脂肪酸エステルと親油性ポリグリセリン脂肪酸エステルを混合し、これをココアパウダーに噴霧して得られる顆粒状ココアが開示されている。該顆粒状ココアはココアパウダーと乳化剤以外は使用されていないが、噴霧されるポリグリセリン脂肪酸エステルの量は、ココアパウダーに対して5〜40重量%となっており、風味やコスト面で実用に耐えるものではない。 【0005】 特許文献2には、ココアパウダー又はカカオ抽出物を加温溶解して糊化して調整したものをバインダー液としてココアパウダーを流動層造粒し、顆粒化後、熱風で流動乾燥した顆粒状ココアパウダーが開示されている。該顆粒状ココアパウダーはカカオ分のみの構成でありながら易溶解性ではあるが、表面積が増大したパウダー状態で熱風にさらされることにより風味が飛んでふぬけになってしまう。 【0006】 また、特許文献3には、押し出し造粒法によりココアパウダーを顆粒としても、溶解分散性が悪く、ときには熱湯を加えてよく撹拌しても完全に溶解分散せずに粒子がのこることがあり、実用に適しないことが報告されている。 特許文献4には、カカオハスク抽出物をココアパウダーに含有してなる、水への溶解分散性を向上させたココアパウダー組成物が開示されている。該ココアパウダー組成物は、カカオハスク分を含むことで、著しく風味が低下するとともにカカオハスクの加工コストが発生する。 【0007】 以上のようにココアパウダーは疎水性の粉末であるため、お湯や温かい牛乳に対して、均一に分散させることが難しい。この物性改善の為に、ココアパウダー粉末の顆粒化が行われてきたが、品質、生産性等の面で改良の余地があり、純ココアについては、いまだ風味のよい易溶解性のものは得られていない。 【0008】 【特許文献1】特開平7-87893号公報 【特許文献2】特開平11-69945号公報 【特許文献3】特開昭58-155045号公報 【特許文献4】特開2003-265110号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 従って、本発明では、風味のよい易溶解性の顆粒状のココア及びその製造方法を提供することを課題とした。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、次のような顆粒状ココアの製造方法とその方法により製造される顆粒状ココアを見出し、発明を完成するに至った。 すなわち、 (1)ココアパウダーをココア原料とするか、又は、ココアパウダーにココアバター、カカオマスから選ばれる1種類以上を加えたものをココア原料とし、該ココア原料の油分を15〜38重量%に調整する工程並びに、該ココア原料を加温する工程および押し出し造粒する工程、押し出し造粒により得られたココア粒子を冷却静置する工程を含むことを特徴とする顆粒状ココアの製造方法。 (2)顆粒状ココアがバニラ系香料を含むことを特徴とする(1)に記載の顆粒状ココアの製造方法。 (3)加温する工程において、ココア原料の温度を35〜90℃に調整した、(1)または(2)に記載の顆粒状ココアの製造方法。 (4)押し出し造粒する工程において、造粒機の押し出し出口の開口径が0.5〜3.0mmである、(1)乃至(3)の何れか一項に記載の顆粒状ココアの製造方法。 (5)(1)乃至(4)の何れか一項に記載の方法により得られた顆粒状ココア。 【発明の効果】 【0011】 本発明の押し出し造粒法による製造方法では、ココアパウダーを熱風にさらすことがないため、風味が飛んでしまい、ふぬけになることが避けられる。また、押し出し造粒機は構造が簡単で、安価であり、設置スペースも少なくてよいため、設備コスト、生産コストといったコスト面でも有利である。さらに顆粒化されていないココアパウダーと比較し、ままこができにくい、粉舞いが少ないという点で取り扱いがしやすいため、飲料のみならず、製菓原料として幅広い使用が可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 本発明の顆粒状ココアはココアパウダーをココア原料とするか、又は、ココアパウダーにココアバター、カカオマスから選ばれる1種類以上を加えてココア原料とし、該ココア原料の油分を15〜38重量%に調整し、該ココア原料を加温して押し出し造粒し、冷却静置して得ることができる。ココアパウダーとはカカオマスから、所定の油分になるまで脂肪分を除き、粉砕し微細化したものである。また、カカオマスとはカカオニブを磨砕し、ペースト状にしたものをいう。また、押し出し造粒とは、多孔の板もしくはメッシュ状の板に向かって、力学的に原料に荷重をかけて押し出し、そこで生じる圧力を利用し、造粒する方法をいう。 【0013】 押し出し造粒する際には、油分が38重量%を越えると非常に結着力が強く、崩壊性の悪い顆粒となる。また油分が15重量%を下回ると、顆粒の結着力が安定しないため、顆粒とすることができない。従って、油分は15〜38重量%、好ましくは22〜32重量%に調整するのがよい。ココアパウダーの元となるカカオマスは、通常55重量%程度の油分を有するが、圧搾や溶剤抽出等により油分を除去し、本発明に好適な油分のココアパウダーを得ることができる。また、ココアパウダーの油分が適切な範囲以下である場合は、必要に応じて油分を調整するためにココアパウダーにココアバターやカカオマスを加えるが、各一方を加えてもよいし、同時に両方を加えてもよい。さらに、風味付けのためにバニラ系香料を加えてもよい。本発明により、顆粒状にした、いわゆる純ココアを得ることができる。 【0014】 ココアパウダーを結着するためには、ココア原料を加温して、ココアパウダー中の油脂を完全に融解させることが必要である。ココアバターの融点は35℃程度であるため、35℃以上にしておくことが望ましい。また、押し出し造粒では流動層造粒と異なり、直接ココアパウダーを流動状態で熱風に曝す必要がないため、風味の劣化は少ないが、作業性やエネルギー効率点より、好ましくは90℃以下、より好ましくは60℃以下で造粒するとよい。 本発明において、ココア原料を加温する工程と該ココア原料の油分を調整する工程とは同時であっても、またどちらが先であっても構わない。また、ココア原料の油分を調整する工程には、ココアパウダーにココアバターやカカオマスを加える場合、混合する工程は含まれる。 【0015】 本発明の押し出し造粒工程において、造粒機の押し出し出口の開口径は、顆粒の大きさ、流動性、強度や崩壊性を考慮すると、0.5〜3.0mmの範囲であることが望ましい。すなわち、開口径が0.5mm未満であると圧力が一定せず顆粒とはならない。また、開口径が3.0mmを越えると顆粒が大きすぎて崩壊性が悪くなる。押し出して得られた顆粒を冷却静置することで、ココア顆粒中の油脂が結着固化して、強度と崩壊性を持った顆粒が完成する。冷却温度は、ココア顆粒中の油脂が固化する温度であれば良く、ココア顆粒に含まれる油脂はココアバターであるため、18℃以下であれば固化するが、5℃未満では結露する危険性が高くなるため、5〜18℃が好ましい。 【実施例】 【0016】 以下に実施例を例示して、本発明の製造方法を更に詳細に説明するが、これらは例示であって、本発明を限定するものではない。 実施例1 油分が22重量%のココアパウダーを40℃に加温した後、攪拌し、押し出し造粒機(不二パウダル社製、EXD-60)により口径2.8mmで押し出し造粒を行った。その後、10℃で冷却静置して顆粒状ココアを得た。 【0017】 実施例2 油分が22重量%のココアパウダー100重量部に40重量部のカカオマス(油分55重量%)を加えて攪拌混合し、油分を31.4重量%としたものを50℃に加温した後、押し出し造粒機(不二パウダル社製、EXD-60)により口径1.2mmで押し出し造粒を行った。その後、5℃で冷却静置して顆粒状ココアを得た。 【0018】 実施例3 油分が22重量%のココアパウダー100重量部に、ココアバター25重量部を加え、油分を37.6重量%としたものを40℃に加温した後、攪拌し、押し出し造粒機(不二パウダル社製、EXD-60)により口径0.6mmで押し出し造粒を行った。その後、10℃で冷却静置して顆粒状ココアを得た。 【0019】 実施例4 油分が15重量%のココアパウダーを50℃に加温しながら攪拌し、押し出し造粒機(不二パウダル社製、EXD-60)により口径2.0mmで押し出し造粒を行った。その後、10℃で冷却静置して顆粒状ココアを得た。 【0020】 比較例1 油分が22重量%のココアパウダー100重量部にココアバター30重量部を加えて、油分を40重量%としたものを40℃に加温した後、攪拌し、押し出し造粒機(不二パウダル社製、EXD-60)により口径0.6mmで押し出し造粒を行った。その後、10℃で冷却静置して顆粒状ココアを得た。得られたココアは固くしまっており、手で押しても容易に崩れなかった。 【0021】 比較例2 油分が12重量%のココアパウダーを50℃に加温した後、攪拌し、押し出し造粒機(不二パウダル社製、EXD-60)により口径2.0mmで押し出し造粒を行ったが、接着せず、顆粒とならなかった。 【0022】 比較例3 油分が22重量%のココアパウダーを40℃まで加温した後、攪拌し、押し出し造粒機(不二パウダル社製、EXD-60)により口径0.4mmで押し出し造粒を行ったが圧力が一定せず、顆粒とならなかった。 【0023】 比較例4 油分が22重量%のココアパウダーを40℃まで加温した後、攪拌し、押し出し造粒機(不二パウダル社製、EXD-60)により口径3.4mmで押し出し造粒を行った。その後、10℃で冷却静置してココア顆粒を得た。 【0024】 比較例5 油分が22重量%のココアパウダー25重量部、仕込水75重量部を蒸気釜中で加熱しながら混合溶解し、80℃まで加温し、水溶性固形分が8重量%のバインダー液を得た。流動層造粒機中で油分が22重量%のココアパウダー100重量部を30℃に保持したまま流動させ、上記バインダー液を100重量部スプレーして造粒し、水分含量25重量%の顆粒を得た。さらに流動層中で吸気温度を100℃まで上昇させ、30分間乾燥し、水分を7重量%にした後、10℃まで冷却静置してココア顆粒を得た。 【0025】 試験例1 実施例1〜4、比較例1〜5で得られたココア4gに80℃のお湯100gを注ぎ、お湯への分散性、ままこの発生、顆粒の崩壊性について評価した。結果を表1に示す。 【0026】 【表1】
【0027】 評価は以下の通り 分散 ○すみやかに分散 △分散にやや時間がかかる ×分散に時間がかかる ままこの発生 ○発生なし △少し発生 ×大量発生 顆粒の崩壊性 ○すみやかに崩壊 △崩壊にやや時間がかかる ×崩壊に時間がかかる 【0028】 試験例2 実施例1、比較例5のココア顆粒10gを100mlのジエチルエーテルにて抽出後、減圧蒸留を行い、香気成分を濃縮した。得られた濃縮物2μlをGC/MS(ヒューレットパッカード社製)に供して香気成分分析を行った。分析条件は以下に示す。 【0029】 カラム :TC-WAX 60m×Φ250μm×0.25μm(GLサイエンス社製) 昇温条件 :40℃5分保持→昇温3℃/min→220℃5分保持 注入口温度 :250℃ Aux温度 :250℃ 流量 :1.0ml/min 本分析で得られた、ココアの香気に関係している代表的なピラジン類の量を表2に示す。 【0030】 【表2】
【0031】 実施例1と比較例3は試験例1に示される、お湯への分散性等の評価に大きな差はないが、試験例2の香気分析の結果、香気の抜けが抑えられ、実施例1は良好な風味が保たれているといえる。 【産業上の利用可能性】 【0032】 本発明によって、砂糖や粉乳等を含有しない純ココアにおいても、風味が良好で分散性・崩壊性にすぐれた顆粒をつくることが可能である。さらにココアパウダーと比較し、「ままこ」ができにくい、粉舞いが少ない点で取り扱いがしやすいため、飲料のみならず、製菓原料として幅広い使用が可能となる。 【0033】 これらのことから、従来のココアパウダーの欠点であった、溶媒への分散性、取り扱いのしづらさ、風味の低下の面を補い、ココア業界に大いに利すると思われる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006091 【氏名又は名称】明治製菓株式会社 【住所又は居所】東京都中央区京橋2丁目4番16号
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| 【出願日】 |
平成16年6月3日(2004.6.3) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−341873(P2005−341873A) |
| 【公開日】 |
平成17年12月15日(2005.12.15) |
| 【出願番号】 |
特願2004−165616(P2004−165616) |
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