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【発明の名称】 チューインガム及び成分吸着防止方法
【発明者】 【氏名】大友 祐二
【住所又は居所】大阪府高槻市梶原6丁目20番1号 カネボウフーズ株式会社内

【氏名】中 真由美
【住所又は居所】大阪府高槻市梶原6丁目20番1号 カネボウフーズ株式会社内

【要約】 【課題】吸水性成分がチューインガム生地中の水分を吸着してチューインガム全体を劣化させたり、水難溶性成分がチューインガム生地中に吸着されて、該成分が口中に溶出しにくくなることを防止することができるチューインガム及び成分吸着防止方法を提供する。

【解決手段】吸水性成分及び水難溶性成分のうちの少なくとも一方を含有してなるチューインガムであって、上記成分が、粉末ガムと共に成形されてなることを特徴とするチューインガム、及び吸水性成分もしくは水難溶性成分を、粉末ガムと粉体混合し、成形することを特徴とする成分吸着防止方法によって達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性成分及び水難溶性成分のうちの少なくとも一方を含有してなるチューインガムであって、上記成分が、粉末ガムと共に成形されてなることを特徴とするチューインガム。
【請求項2】
吸水性成分が、フコイダン及び蛋白質のうちの少なくとも一方である請求項1記載のチューインガム。
【請求項3】
水難溶性成分が、小麦抽出物、下記一般式(1)
【化1】


(但し、式中Rは水素原子、単糖類もしくは少糖類の残基、又は炭素数2〜20のアシル基である。)からなる脂肪分解促進成分、及び、下記一般式(2)
【化2】


(但し、式中Rは水素原子、単糖類もしくは少糖類の残基、又は炭素数2〜20のアシル基である。)からなる脂肪分解促進成分のうちの少なくとも一つである請求項1記載のチューインガム。
【請求項4】
吸水性成分がチューインガム生地中の水分を吸着するか、もしくは水難溶性成分がチューインガム生地中に吸着されるのを防止する成分吸着防止方法であって、吸水性成分もしくは水難溶性成分を、粉末ガムと粉体混合し、成形することを特徴とする成分吸着防止方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性成分がチューインガム生地中の水分を吸着してチューインガム全体を劣化させたり、水難溶性成分がチューインガム生地中に吸着されて、口中に該成分が溶出しにくくなることを防止することができるチューインガム及び成分吸着防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チューインガムは、ガムベース(弾性体、ゴム、ワックス、乳化剤、油脂など)に糖類、香料等の副原料を添加し、加熱混合して均質化し、チューインガム生地とした後、板状、ブロック状などに適宜成形して製造される。
【0003】
最近、チューインガムに食物繊維等の各種機能性成分を添加することが行われている。しかしながら、例えばフコイダン等の、チューインガム生地中の水分を吸水しやすい吸水性成分を添加すると、チューインガムの水分が吸水性成分中に取り込まれて製造中や保存中にチューインガムがボソボソしたりひび割れた状態となり、外観、保形性が悪くなるとともに食感も悪くなるという欠点がある。
また、小麦抽出物等の水難溶性成分を添加した場合、水難溶性成分は一般にガムベース部分への親和性が高いためにチューインガム生地に吸着されてしまい、口中で咀嚼したときに該成分が溶出しにくく、成分本来の効果が発現しにくいという欠点がある。
【0004】
ところで、ニンジン、イチョウ抽出物、茶抽出物などの薬用効果を有する活性試薬を、粉末ガムと共に混合し打錠した薬用チューインガムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このチューインガムは、第5頁下から7〜5行目に記載の通り、活性試薬のような熱感受性化合物が、ガムベースの溶融混合工程で加熱分解されることを防止する方法であり、上述のような、吸水性成分や水難溶性成分をチューインガムに添加することによって引き起こされる、チューインガム生地の脱水による劣化、水難溶性成分のチューインガム生地中への吸着による難溶出性を防止することを示唆するものではない。
【0005】
【特許文献1】 特表2001−506227公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、吸水性成分がチューインガム生地中の水分を吸着してチューインガム全体を劣化させたり、水難溶性成分がチューインガム生地中に吸着されて、該成分が口中に溶出しにくくなることを防止することができるチューインガム及び成分吸着防止方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吸水性成分及び水難溶性成分のうちの少なくとも一方を含有してなるチューインガムであって、上記成分が、粉末ガムと共に成形されてなることを特徴とするチューインガムにより上記目的を達成する。
【0008】
好ましくは、吸水性成分が、フコイダン及び蛋白質のうちの少なくとも一方である。
【0009】
また、更に好ましくは、水難溶性成分が、小麦抽出物、上記一般式(1)
【化3】


(但し、式中Rは水素原子、単糖類もしくは少糖類の残基、又は炭素数2〜20のアシル基である。)からなる脂肪分解促進成分、及び、上記一般式(2)
【化4】


(但し、式中Rは水素原子、単糖類もしくは少糖類の残基、又は炭素数2〜20のアシル基である。)からなる脂肪分解促進成分のうちの少なくとも一つである。
【0010】
また、本発明は、吸水性成分がチューインガム生地中の水分を吸着するか、もしくは水難溶性成分がチューインガム生地中に吸着されるのを防止する成分吸着防止方法であって、吸水性成分もしくは水難溶性成分を、粉末ガムと粉体混合し、成形することを特徴とする成分吸着防止方法により上記目的を達成する。
【0011】
すなわち、本発明者は、吸水性成分及び水難溶性成分のうちの少なくとも一方をチューインガムに添加したときに生じる問題点を解決する方法について検討を行った。その結果、上記成分を、粉末ガムと粉体混合し、成形してチューインガムとすると、吸水性成分によるチューインガム生地の脱水や水難溶性成分のガムベース生地への吸着が防止されることを見出した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、吸水性成分によるチューインガム生地の脱水や水難溶性成分のガムベース生地への吸着が防止される。その結果、吸水性成分によってチューインガム生地が脱水して、保形性、食感を損なったり、水難溶性成分がガムベースに吸着されて、口中での咀嚼時に該成分が溶出しにくくなることがない。従って、従来のチューインガムでは含有量を制限せざるを得なかった吸水性成分や水難溶性成分を多量に含有させることができ、高機能性で、保存安定性に優れたチューインガムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のチューインガムは、吸水性成分及び水難溶性成分の少なくとも一方を含有し、上記成分が、粉末ガムと共に成形されている。
【0014】
まず、上記吸水性成分は、少量の水分であっても吸水しやすく、一旦吸水すると放出しにくい保水性を有する成分であって、例えば海藻抽出物、種子粘質、植物分泌粘質、果実粘質物、微生物粘質、蛋白質等が挙げられる。
【0015】
海藻抽出物は、海中の藻類(主として胞子植物)から得られる物質で、例えば、フコイダン、寒天、カラギーナン、ファーセレラン、アルギン酸塩、プロピレングリコールエステル等が挙げられる。これらの中でも、フコイダンは吸水及び保水性が高く、本発明のチューインガムによって好適な効果が得られる。
フコイダンは、フコイジンとも呼ばれ、L−フコースがα−1,2結合で連なった多糖類である。α−1,4結合も少量含有する。コンブ属などの褐藻類の細胞壁に含まれている。
【0016】
種子粘質は、例えばローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガム、クインスシードガム(マルメロ種子ガム質)、プシリウムガム(オオバコ種子ガム質)、フラックスガム(亜麻種子ガム質)、タラガム、愛玉子、オクラ粘質物等が挙げられる。
【0017】
植物分泌粘質は、例えばアラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ガッティガム、アーモンドガム、ダムソンガム、サポートガム、カーヤガム等が挙げられる。
【0018】
果実粘質物は、例えばペクチン、アラビノガラクタン等が挙げられる。
【0019】
微生物粘質は、例えばキサンタンガム、プルラン、デキストラン、カードラン等が挙げられる。
【0020】
蛋白質は、例えばゼラチン、カゼイン、カゼインナトリウム、大豆蛋白、小麦蛋白、小麦抽出物、卵白粉末、乳性蛋白等が挙げられる。
【0021】
次に、上記水難溶性成分は、水に溶けにくく、ガムベースへの親和力があり、チューインガム生地中に吸着されると、咀嚼時、口中に溶出しにくい成分である。例えば小麦抽出物や、下記の一般式(1)(但し、式中Rは水素原子、単糖類もしくは少糖類の残基、又は炭素数2〜20のアシル基である。)からなる脂肪分解促進成分、下記一般式(2)(但し、式中Rは水素原子、単糖類もしくは少糖類の残基、又は炭素数2〜20のアシル基である。)からなる脂肪分解促進成分等が挙げられる。この中でも、小麦抽出物は、チューインガム生地吸着性が強く、本発明のチューインガムによって好適な効果が得られる。
【0022】
【化5】


【0023】
【化6】


【0024】
小麦抽出物は、小麦から抽出した成分で、淡黄〜白色の粉末でアミラーゼ活性阻害を有し、ダイエット素材として知られている。
製品としては、「Wheat Slimer−1」(協同乳業(株)製)等が挙げられる。
【0025】
次に、本発明に用いる粉末ガムは、粒度が10メッシュパス、更に好ましくは粒径5mm以下、より好ましくは3mm以下のガムを指し、ガムベースに、好適には糖類、副原料等を含有するものである。
【0026】
上記ガムベースは、従来から用いられているものであり、例えば、弾性体、ワックス、乳化剤等が適宜選択して使用される。
【0027】
弾性体は、ゴム様物質とも言われ、例えば、ポリイソブチレン(イソブチレン重合体)、ポリブテン、ブチルゴム、イソプレン、天然ゴム、酢酸ビニル樹脂等が挙げられ、これらは単独でも複数組み合わせてもよい。
【0028】
ワックス(炭化水素、ロウ)としては、例えば、ライスワックス、キャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバロウ等が挙げられ、これらは単独でも複数組み合わせてもよい。
【0029】
乳化剤としては、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等が挙げられ、これらは単独でも複数組み合わせてもよい。
【0030】
上記ガムベースには、上記原料の他、無機物(炭酸カルシウム、タルク等)、樹脂(チクルなどの天然樹脂、PVAやエステルガム等の合成樹脂)等が含有されていてもよい。
【0031】
上記糖類としては、例えばグルコースなどの単糖類、砂糖、麦芽糖、乳糖、トレハロースなどの二糖類、マルトトリオース、パノースなどの三糖類、マルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖などのオリゴ糖及びこれらの還元物、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどの糖アルコール等が挙げられ、単独でも数種組み合わせてもよい。このうち、砂糖、乳糖、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、還元パラチノースは、粉末ガムにした時の流動性、打錠した時の杵への付着防止、粉末ガム粒子同士の結着性を得る点で好ましく、特に還元パラチノースが好適である。
【0032】
また、上記副原料としては、スクラロース、アススルファムK等の非糖質甘味料、香料、調味料、色素、算定剤、上述した以外の機能性成分等を適宜選択して用いればよい。
【0033】
本発明のチューインガムの形態は、特に限定されることはなく、板状、ブロック状等の適宜の形状に打錠成形されていればよい。
【0034】
次に、上記原料を用いて、本発明のチューインガムである打錠チューインガムは例えば次のようにして製造される。
まず、ガムベース、糖類、必要に応じて副原料を適宜添加したものを、加熱混合して均質化し、冷却した後、粉砕機(例えばハンマーミル、オシレーター等)で粉砕することにより粉末ガムを得る。この後、更なる粒度の均一化のため、ふるいにかけて粒度を分別してもよい。
次いで、このようにして得られた粉末ガムと、吸水性成分及び水難溶性成分の少なくとも一方と、必要に応じて副原料とを、打錠機に供給し、打錠することにより本発明の打錠チューインガムを得ることができる。
【実施例】
【0035】
次に、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
【0036】
〈実施例1〉
《粉末ガムの調製》
表1に示す組成を加熱混合して均質化し、20℃に冷却した後、ハンマーミルで粒度8メッシュパス〜120メッシュオンの粉末状に粉砕することにより粉末ガムを調製した。
【0037】
【表1】


【0038】
《打錠チューインガムの調製》
表2に示す組成を混合した後、圧力0.4ton/個で打錠して1個当たり0.4グラム、直径10mmの打錠チューインガムを得た。これを包装機に供給し、ポリエチレン製包装材料で1個ずつ個包装した。なお、打錠は、単発式打錠機で連続的に50個製造した。
【0039】
〈比較例1〉
《板ガムの調製》
表2に示す組成でを、チューインガム混合機に投入し、15分間均質混合した後、1枚あたり72×20×1.9mmに圧延、裁断することにより、板ガムを調製した。
【0040】
《評価》
上記のようにして得られた実施例1の打錠チューインガム及び比較例1の板状チューインガムを、25℃で1ヶ月保管した後、開封して、小麦抽出物由来のアミラーゼ活性阻害率を測定した。測定方法は、各チューインガムを、36℃の水200cc入りのビーカに入れて10分スターラーで攪拌して抽出液を得、アミラーゼ測定キット(「アミラーゼB−テストワコー」和光純薬工業(株)製)を用いて測定を行った。その結果を表1に併せて示す。なお、アミラーゼ活性阻害率は、比較例1の板ガムの阻害率を100とした場合の、実施例1の打錠チューインガムの阻害率を示した。
また、開封後の打錠チューインガムの外観、保形性、食感を評価した。
【0041】
【表2】


【0042】
以上の結果より、実施例の打錠チューインガムは、保存後、外観、保形性、食感ともに良好であった。また、実施例のチューインガムは、アミラーゼ活性阻害率が高く、成分の機能性が十分に発現するものであった。
これに対し、比較例の板状チューインガムは、アミラーゼ活性阻害率が低く、成分の機能性を十分発現し得ないものであった。
【出願人】 【識別番号】000000952
【氏名又は名称】カネボウ株式会社
【住所又は居所】東京都墨田区墨田五丁目17番4号
【識別番号】393029974
【氏名又は名称】カネボウフーズ株式会社
【住所又は居所】東京都港区海岸3丁目20番20号
【出願日】 平成16年5月25日(2004.5.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−333966(P2005−333966A)
【公開日】 平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願番号】 特願2004−184309(P2004−184309)