| 【発明の名称】 |
半生米菓の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 行彦 【住所又は居所】栃木県今市市芹沼1989−1 丸彦製菓 株式会社
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| 【要約】 |
【課題】「ぬれ煎餅」や「ぬれおかき」など半生米菓生地の保水性や弾力性などの食感を長期間維持する技術を提供する。
【解決手段】本発明の半生米菓の製造方法は、生地表層部を焼成時に生地の水蒸気が比較的放出され易いように仕上げられる半生米菓生地において、調味液に非還元性糖質トレハロースを配合添加すると共に生地にも非還元性糖質トレハロースを配合添加し、該水蒸気放出によって生じた連続的隙間を介して調味液を内部に浸透させ、生地及び調味液の双方に配合添加した非還元性糖質トレハロースの相乗効果によって保水性および弾力性を長期間維持することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生地表層部を焼成時に生地の水蒸気が比較的放出され易いように仕上げられる半生米菓生地において、調味液に非還元性糖質トレハロースを配合添加すると共に生地にも非還元性糖質トレハロースを配合添加し、該水蒸気放出によって生じた連続的隙間を介して調味液を内部に浸透させ、生地及び調味液の双方に配合添加した非還元性糖質トレハロースの相乗効果によって保水性および弾力性を長期間維持することを特徴とする半生米菓の製造方法。 【請求項2】 非還元性糖質トレハロースの配合添加量が半生米菓生地に対して3〜8%、調味液に対して10〜25%であることを特徴とする請求項1記載の半生米菓の製造方法。 【請求項3】 調味液の粘度が、通常米菓の場合の1/2〜1/4程度、望ましくは1/3程度であることを特徴とする請求項1〜2記載の半生米菓の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、米菓のうちの「ぬれ煎餅」や「ぬれおかき」と称される半生米菓について、製造後の生地の保水性や弾力性などの食感を長期間維持する半生米菓の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 米菓の原料はうるち米及びもち米で、直鎖状の単位デンプンが房状に連結して、結合水と自由水を含み、米菓加工の段階でα化すると、食感が良く、食べて美味しく感じられる。一方、半生米菓すなわち「ぬれ」状態の食感を保持する米菓は、通常の米菓に比してデンプンに多くの水が結合し、生地全体に弾力性があり独特の食感を示すという特徴がある。しかし、この半生米菓にあっては、製造後の時間経過とともに水の分子がデンプンとの結合状態から離脱して結合水から自由水に移行してデンプンの房同士が再び密着し始める所謂老化が、いったん進行し始めると、急激に食感が低下し、食用に適さなくなるという問題点があった。 【0003】 この問題点を解決するために、トレハロースが保有するデンプンの老化防止効果と保水性に着目し、調味液にのみトレハロースを添加し、餅のような弾力感のある半生米菓を得る技術が提案されているが(特許文献1)、しかし、その「ぬれ」状態の食感が維持される期間は短く、2ヶ月程度である。更に、該文献には、半生米菓生地にトレハロースを配合しても、食感の維持効果が殆ど向上しないことが報告されている。 【特許文献1】特許第3268388号 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明は、「ぬれ煎餅」や「ぬれおかき」など半生米菓生地の保水性や弾力性などの食感を長期間維持する技術を提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記目的を達成するために、請求項1記載の半生米菓の製造方法は、生地表層部を焼成時に生地の水蒸気が比較的放出され易いように仕上げられる半生米菓生地において、調味液に非還元性糖質トレハロースを配合添加すると共に生地にも非還元性糖質トレハロースを配合添加し、該水蒸気放出によって生じた連続的隙間を介して調味液を内部に浸透させ、生地及び調味液の双方に配合添加した非還元性糖質トレハロースの相乗効果によって保水性および弾力性を長期間維持することを特徴とする。 【0006】 請求項2記載の半生米菓の製造方法は、非還元性糖質トレハロースの配合添加量が半生米菓生地に対して3〜8%、調味液に対して10〜25%であることを特徴とする。 【0007】 請求項3記載の半生米菓の製造方法は、調味液の粘度が通常米菓の場合の1/2〜1/4程度、望ましくは1/3程度であることを特徴とする。 【発明の効果】 【0008】 本発明の懸かる半生米菓の製造方法は、焼成時に生地表層部を水蒸気が比較的放出され易いように仕上げられるので、全体に連続的空隙が形成され、非還元性糖質トレハロースが保水性改良材として配合添加されている調味液は生地内部へ浸透し易い。 更に該半生米菓生地にもトレハロースが配合添加されているので、生地中の自由水を取り込んで結合水を増やすことができる。 生地および調味液の両方にトレハロースが配合添加されているので、トレハロース同士が連結され、相乗効果によって効率的に生地内の自由水を取り込んで結合水を増加し、生地の保水性や弾力性を長期間維持することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 この発明の実施の形態を、図1および図2に基づいて説明する。 図1はうるち米を原料とした半生米菓(ぬれ煎餅タイプ)、また図2はもち米を原料とした半生米菓(ぬれおかきタイプ)の製造工程図を示す。図1と図2において原料は異なるが、製造工程は大差がないので、図1のぬれ煎餅タイプを代表例として製造工程を説明する。 精白した原料米1を洗米2し、一定時間(8時間程度)水に浸漬3、製粉4して非還元性糖質トレハロース5を満遍なく配合6する。これに蒸気を吹き込み、練り込んで7、粘り気を出して餅状にする。これを冷却8、成形9、乾燥10、焼成11して、保水性に富んだ素焼きの生地を作る。調味液13については、非還元性糖質トレハロース12を添加して素焼きの生地に味を付け14、生地内に十分浸透させて、該トレハロース12が生地内の全域で食感維持機能を果す。最後に仕上げ乾燥15を行い、余分な水分を蒸発、除去して半生米菓が完成される。 【0010】 次に、この製造工程で生地に配合する非還元性糖質トレハロース5の分量は、重量比で3〜8%とし、配合6ではムラが生じないよう、動力式撹拌機を用いて製粉された米粉とトレハロースを十分撹拌する。この配合分量が3%未満では、保水性改良効果が不十分で、逆に8%超ではトレハロース固有の甘味が感じられるようになり、米菓の生地には適さなくなる。従って非還元性糖質トレハロース5の配合分量が3〜8%であることは、生地中に存在する水分量を制御し、「ぬれ」度合いを維持するのに十分な量となっている。 【0011】 更に、この製造工程で調味液に配合する非還元性糖質トレハロース12の分量は、重量比で10〜25%とし、味付け14時にはムラが生じないよう、既存調味液にトレハロースを添加し、動力式撹拌機を用いて十分撹拌する。この配合分量が10%未満では期待した保水性改良効果が得にくく、また25%超では粘度が高くなり過ぎて生地への浸透が阻害される。 【0012】 この弾力性食感の機能維持を果すために、調味液13の粘度がもう一つ重要な要素となっている。その値が、通常米菓の場合の1/2〜1/4程度、望ましくは1/3程度であることが必要で、表3に示すように、例えば11(60℃)〜40(20℃)mPa・sとする。この粘度が1/2超では粘度が高過ぎて、生地への浸透が期待通りには実現しなくなる。また1/4未満では粘度が低過ぎて、水分が過剰になり、味が薄く美味しさが不足して、商品価値の少ない仕上りになる。従って調味液の粘度が1/3程度であることは、米菓の保水性と弾力性を高めることになる。 【0013】 ここで、保水性と弾力性の発生機構についてトレハロースを中心に説明を加える。 本発明の製造工程における米菓の原料はうるち米およびもち米で、アミロペクチンおよびアミロースという分子量が数千万以上の超巨大デンプンで構成されている。このデンプンは直鎖状のグルコースが房状に連結していて、デンプン内の水分子の状態は房のデンプンに直接結合している「結合水」と房の隙間を自由に移動している「自由水」とに別れている。原料米を米菓に加工する段階でデンプンの房が次第にほぐれ、自由水が隙間に入って房に直接結合し始め、結合水の割合が次第に増加する。この現象をα化と称し、この状態での米菓は食感が良く、食べて美味しく感じられる。ところが、製造後の時間経過と共に、水分子が次第にデンプンとの結合状態から離脱し、結合水から自由水に移行していくと、デンプンの房同士が再び密着し始める。この密着が発生しないように、非還元性糖質トレハロースを配合添加する。トレハロースは自由水を取り込んで結合水を多くすることで、デンプンの密着を防ぎ、弾力性のある食感を維持する。 【0014】 そして、半生米菓は、表面層が緻密で下層に粗となる通常の米菓に対し、表面及び内部を通して全体が平均してやや粗な組織となる構造を有している。この構造を利用して調味液は生地内部に浸透する。調味液に添加されているトレハロースと内部に既に配合されているトレハロースが相乗効果を発揮し、半生米菓として不可欠な保水性と弾力性を長期間維持できるようになる。 【0015】 ここで、トレハロースについて説明すると、トレハロースはグルコースが酸素原子で結合した二糖類の一種で還元が起こらない天然糖質であり、その性状は白色粉末で保湿性が高く、且つ生地や調味液に配合添加し易い性質を保有している。 【実施例1】 【0016】 上記分量の非還元性糖質トレハロースを使用して、食感維持日数の確認を実施した。その実施状況を図3および表1、表2、表3に従って説明する。 【0017】 図3は、非還元性糖質の添加状況に対する食感維持日数を表す。破線より上の部分が相乗効果による効果部分を表している。非還元性糖質トレハロースを調味液のみに配合添加する場合に比し、生地および調味液の両方に配合添加する方が相乗効果により、半生米菓の保水性や弾力性食感が長期間維持することがわかった。そのとき使用した本発明の生地へのトレハロース配合割合の一実施例を表1に示す。 【0018】 【表1】
【0019】 また表2は、本発明の半生米菓の製造方法における調味液へのトレハロース配合割合の一実施例を示す。 【0020】 【表2】
【0021】 更に表3は、本発明の半生米菓の製造方法における各温度における通常米菓用と半生米菓用との調味液粘度を示す。 調味液が半生生地に容易に浸透するためには、この液が持つ粘度が浸透し易い状態にあることである。表面付着に留まってしまう通常米菓用の調味液粘度の1/3程度に調整した。そして、半生米菓生地は、水蒸気放出によって生じた連続的隙間が形成されているので、味付け工程で素焼き生地内部への調味液の浸透が促進され、食感維持の長期化が実現できた。 【0022】 【表3】
【試験例1】 【0023】 上記実施例に基づいて製造した半生米菓のトレハロースの添加量による保存試験を行い、官能検査で比較した。結果を表4に示す。 非還元性糖質トレハロースを生地および調味液に添加しない場合、製造後の食感維持月数は1.5ヶ月となり、調味液のみに配合添加した場合は2ヶ月となった。更に、生地および調味液の両方に配合添加した場合、調味液のみに配合添加した場合よりも2倍の4ヶ月の食感維持月数となった。このことは生地と調味液の相乗効果が働いたことになり、半生米菓の保水性や弾力性食感が長期間維持されていることになる。 【0024】 【表4】
【産業上の利用可能性】 【0025】 本発明は、半生米菓生地ならびに調味液に非還元性糖質トレハロースを配合添加することにより該生地の保水性および弾力性を長期間維持できるものであり、種々の食感の半生米菓製造技術の基盤が確立され、現在数種類に留まっている半生米菓製品について今後種々の新製品開発が可能となる。 【図面の簡単な説明】 【0026】 【図1】図1は、うるち米を原料とした半生米菓(ぬれ煎餅タイプ)の製造工程図 【図2】図2は、もち米を原料とした半生米菓(ぬれおかきタイプ)の製造工程図 【図3】図3は、非還元性糖質トレハロース材の添加状況に対する製造後の食感維持月数の比較を示すグラフ。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500318988 【氏名又は名称】丸彦製菓株式会社 【住所又は居所】栃木県今市市芹沼1989番地1
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| 【出願日】 |
平成16年3月31日(2004.3.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095739 【弁理士】 【氏名又は名称】平山 俊夫
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| 【公開番号】 |
特開2005−287408(P2005−287408A) |
| 【公開日】 |
平成17年10月20日(2005.10.20) |
| 【出願番号】 |
特願2004−107679(P2004−107679) |
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