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【発明の名称】 油脂性菓子の製造法
【発明者】 【氏名】河本 政人
【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内

【氏名】中木 秀信
【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内

【氏名】金田 泰佳
【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内

【要約】 【課題】分別カカオ脂のような比較的高凝固点の油脂性菓子生地と通常のチョコレートのような油脂性菓子生地とを組合せて同時押出し成形した場合でも、ブルーミングの発生が抑制されるようにした油脂性菓子の製造法を提供する。

【解決手段】主要原料をなす第1油脂性菓子生地11aと、この第1油脂性菓子生地に対する合計の配合比が1/5よりも少ない1種以上の第2油脂性菓子生地12aとを、押出しノズル20から同時押出しして接合する油脂性菓子の製造法において、前記第1油脂性菓子生地の凝固点Fが、前記第2油脂性菓子生地の凝固点Sよりも1.5℃より高くないように設定する。第1油脂性菓子生地の凝固点Fと、第2油脂性菓子生地の凝固点Sとが、S≦F≦(S+1.5℃)の関係にあることがより好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要原料をなす第1油脂性菓子生地と、この第1油脂性菓子生地に対する合計の配合比が1/5よりも少ない1種以上の第2油脂性菓子生地とを、押出しノズルから同時押出しして接合する油脂性菓子の製造法であって、前記第1油脂性菓子生地の凝固点Fが、前記第2油脂性菓子生地の凝固点Sよりも1.5℃より高くないことを特徴とする油脂性菓子の製造法。
【請求項2】
前記第1油脂性菓子生地の凝固点Fと、前記第2油脂性菓子生地の凝固点Sとが、S≦F≦(S+1.5℃)の関係にある請求項1記載の油脂性菓子の製造法。
【請求項3】
前記第1油脂性菓子生地の凝固点Fが20〜24℃である請求項1記載の油脂性菓子の製造法。
【請求項4】
前記第1油脂性菓子生地が分別カカオ脂を含有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の油脂性菓子の製造法。
【請求項5】
前記押出しノズルが、中心ノズルと、この中心ノズルの外周に配置され、中心ノズルに対して線状に生地を押出す回転ノズルとを有し、前記中心ノズルから前記第1油脂性菓子生地を押出すと同時に、前記回転ノズルから第2油脂性菓子生地を押出して、第1油脂性菓子生地の外周に第2油脂性菓子生地を螺旋状に付着させ、これをコンベヤ上に載せて固化させることにより、全体として棒状に成形する請求項1〜4のいずれか1つに記載の油脂性菓子の製造法。
【請求項6】
成形後の太さが2〜20mmの棒状をなす請求項5記載の油脂性菓子の製造法。
【請求項7】
前記第1油脂性菓子生地が、ナッツ類、ビスケット類、パフ類、フレーク類、ドライフルーツ類、粒状の糖類から選ばれた少なくとも1種の粒状食品素材を含むものである請求項1〜6のいずれか1つに記載の油脂性菓子の製造法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2種類の油脂性菓子生地を同時押出しして接合する油脂性菓子の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
チョコレートは、カカオ脂を主原料とする油脂性菓子であり、カカオ脂のシャープな融解特性によって、適度な歯ごたえと、口溶け性を有している。
【0003】
近年、このようなカカオ脂の特性を更に改善するため、例えば下記特許文献1、2に示されるような分別カカオ脂が開発されている。この分別カカオ脂は、カカオ脂をアセトンやヘキサンで処理することにより、ステアリン画分と、オレイン画分とに分けたものである。そして、元々のカカオ脂よりもステアリン画分をより多く配合した油脂を用いることにより、口溶けの良さを損なわずに、よりパリッとして硬い食感(スナップ感)を有する油脂性菓子を得ることができる。
【0004】
一方、複数の油脂性菓子生地を同時押出しして棒状に成形する方法として、下記特許文献3には、2種類以上の流動チョコレートを調温し、互いに近接し、かつ回転する少なくとも1対のノズルから上記流動チョコレートを吐出、流下せしめ、流下経路中で編み上げてなる棒状チョコレートの製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開平8−34989号公報
【特許文献2】特開2000−109879号公報
【特許文献3】特開昭56−96665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1,2に記載されたような分別カカオ脂を利用したチョコレートは、口溶けの良さを損なわずに、パリッとして硬い食感を有するものを製造することが可能であるため、新しいチョコレート原料として、今後の利用が期待されている。
【0006】
しかしながら、上記のような分別カカオ脂を利用したチョコレートは、通常のチョコレートよりも凝固点が高く、通常のチョコレートと組合せて、同時押出し成形した場合に、条件によってはブルーミングが生じることが分かった。
【0007】
すなわち、分別カカオ脂を含むチョコレート生地を主原料として押出すと同時に、コーティング用の別のチョコレート生地を押出して上記チョコレート生地に接合させると、最初に分別カカオ脂を含むチョコレート生地が凝固し、次にコーティング用のチョコレート生地が凝固するのであるが、そのときに潜熱が発生してコーティング用のチョコレート生地の凝固が遅延される結果、ブルーミングが発生すると考えられる。
【0008】
一方、上記特許文献3に記載された2種類以上の流動チョコレートをほぼ等量ずつ押出して接合するものであるため、多少凝固点が相違していても、先に凝固する生地の潜熱が相対的に多くないため、上記のようなブルーミングは生じにくいと考えられる。しかし、このような棒状のチョコレートにおいて、通常のチョコレート生地を用いた場合には、比較的細い形状にした場合に、パリッとした硬い食感(スナップ感)が乏しくなるという問題があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、分別カカオ脂を使用したチョコレート生地のような比較的高凝固点の油脂性菓子生地と通常のチョコレートのような油脂性菓子生地とを組合せて同時押出し成形した場合でも、ブルーミングの発生が抑制されるようにした油脂性菓子の製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の油脂性菓子の製造法は、主要原料をなす第1油脂性菓子生地と、この第1油脂性菓子生地に対する合計の配合比が1/5よりも少ない1種以上の第2油脂性菓子生地とを、押出しノズルから同時押出しして接合する油脂性菓子の製造法であって、前記第1油脂性菓子生地の凝固点Fが、前記第2油脂性菓子生地の凝固点Sよりも1.5℃より高くないことを特徴とする。
【0011】
本発明では、主要原料をなす第1油脂性菓子生地と、この第1油脂性菓子生地に対する合計の配合比が1/5よりも少ない1種以上の第2油脂性菓子生地とを、押出しノズルから同時押出しして接合するため、第1油脂性菓子生地が凝固する際の潜熱によって、第2油脂性菓子生地の凝固が遅延され、ブルーミングが発生しやすい条件にある。しかしながら、本発明者らは、第1油脂性菓子生地の凝固点Fが、前記第2油脂性菓子生地の凝固点Sよりも1.5℃より高くないような油脂性菓子生地の組合せにすることによって、上記のような条件でもブルーミングを抑制できることを見出した。これによって、第1油脂性菓子生地の表面に第2油脂性菓子生地が少量付着した同時押出し成形の油脂性菓子であっても、ブルーミングの発生を抑制して、外観の良好な油脂性菓子を得ることができる。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、前記第1油脂性菓子生地の凝固点Fと、前記第2油脂性菓子生地の凝固点Sとが、S≦F≦(S+1.5℃)の関係にある。これによれば、第1油脂性菓子の凝固点が高いので、パリッとした硬い食感を有し、しかもブルーミングが抑制された油脂性菓子を製造することができる。
【0013】
本発明の更に好ましい態様によれば、前記第1油脂性菓子生地の凝固点Fが20〜24℃である。これによれば、上記パリッとした硬い食感がより得やすくなる。
【0014】
本発明の更に好ましい態様によれば、前記第1油脂性菓子生地が分別カカオ脂を含有する。これによれば、パリッとした硬い食感を有すると共に、口溶けのよい油脂性菓子を得ることができる。
【0015】
本発明の更に好ましい態様によれば、前記押出しノズルが、中心ノズルと、この中心ノズルの外周に配置され、中心ノズルに対して線状に生地を押出す回転ノズルとを有し、前記中心ノズルから前記第1油脂性菓子生地を押出すと同時に、前記回転ノズルから第2油脂性菓子生地を押出して、第1油脂性菓子生地の外周に第2油脂性菓子生地を螺旋状に付着させ、これをコンベヤ上に載せて固化させることにより、全体として棒状に成形する。これによれば、棒状に成形された第1油脂性菓子生地の外周に、第2油脂性菓子生地が螺旋状に付着しているので、変化に富んだ外観とすることができる。
【0016】
本発明の更に好ましい態様によれば、成形後の太さが2〜20mmの棒状をなす。これによれば、比較的細い棒状をなすにも拘らず、パリッとした硬い食感を有すると共に、口溶けのよい油脂性菓子を得ることができる。
【0017】
本発明の更に好ましい態様によれば、前記第1油脂性菓子生地が、ナッツ類、ビスケット類、パフ類、フレーク類、ドライフルーツ類、粒状の糖類から選ばれた少なくとも1種の粒状食品素材を含むものである。これによれば、前記第1油脂性菓子生地に、よりパリッとした歯切れのよい食感を付与できると共に、油脂性菓子の風味の多様化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1油脂性菓子生地の表面に第2油脂性菓子生地が少量付着した同時押出し成形の油脂性菓子であっても、ブルーミングの発生を抑制して、外観の良好な油脂性菓子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明において、油脂性菓子生地中の油脂としては、例えばカカオ脂(カカオバター)の他、カカオバター代用脂を用いることができる。カカオバター代用脂としては、動物、植物若しくは両者由来のテンパリング、ノンテンパリング又はそれらを混合した油脂であればよく、例えばパーム油、シア脂、サル脂、イノッペ脂等を原料としたハードバターが挙げられる。
【0020】
更に、例えば前記特許文献1,2に記載されたような方法で得られる分別カカオ脂を用いることもできる。すなわち、カカオ脂と、アセトン又はヘキサンとを混合加熱し、この混合物を冷却することにより、ステアリン画分と、オレイン画分とに分別し、これらの画分を目的に応じて所望の割合で用いることができる。このうち、ステアリン画分は、対称型トリグリセリド(SOS:Sは炭素数16〜18の飽和脂肪酸、Oはオレイン酸)の含量が多く、25〜30℃において軟化せず、30〜35℃において急激に軟化するため、チョコレート用油脂として用いた場合、スナップ性(パリッとした食感)に優れ、且つ口溶けの良好なチョコレートが得られる。
【0021】
これらの油脂は、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。また、油脂性菓子生地中には、上記油脂の他に、通常のチョコレートに使用されているカカオマス及び/又はココア、糖類、デキストリン、糖アルコール、食物繊維、粉乳、乳化剤、香料等を添加してもよい。
【0022】
更に、油脂性菓子生地には、副原料として、例えば、ナッツ類、ビスケット類、パフ類、フレーク類、ドライフルーツ類、粒状の糖類から選ばれた少なくとも1種の粒状食品素材を添加してもよい。
【0023】
本発明においては、主要原料をなす第1油脂性菓子生地と、この第1油脂性菓子生地に対する合計の配合比が1/5よりも少ない1種以上の第2油脂性菓子生地とを用いる。第2油脂性菓子生地の配合量が上記よりも多い場合には、ブルーミングの問題は生じにくくなるが、第2油脂性菓子生地の量を多くすると、外観上模様が付け難くなる。
【0024】
また、本発明においては、第1油脂性菓子生地の凝固点Fは、前記第2油脂性菓子生地の凝固点Sよりも1.5℃より高くないことが必要とされる。上記のように、第1油脂性菓子生地に対する第2油脂性菓子生地の配合比が1/5以下である場合には、第1油脂性菓子生地が凝固する際に発生する潜熱によって第2油脂性菓子生地の凝固が遅延しやすくなるため、前述したブルーミングの問題が生じる。
【0025】
しかしながら、上記のように第1油脂性菓子生地の凝固点Fが、第2油脂性菓子生地の凝固点Sよりも1.5℃より高くない場合には、第1油脂性菓子生地と第2油脂性菓子生地との凝固がほぼ同時に進行するため、ブルーミングの発生を防止できるのである。
【0026】
なお、本発明において、凝固点とは、示差走査熱量計(differential scanning calorimeter; DSC)によって測定したピーク温度を意味するものとする。より具体的には、示差走査熱量計として、株式会社パーキンエルマージャパン製の商品名「Pyris1 DSC」を用い、シードテンパリング(30℃に温調した試料にチョコシードA(商品名:不二製油株式会社)を0.5%添加)された試料10mgを入れて、30℃から0℃まで、2℃/分の速度で温度低下させていき、その途中で凝固することによって発生する潜熱を測定し、その潜熱のピーク値を凝固点とした。
【0027】
本発明においては、前記第1油脂性菓子生地の凝固点Fと、前記第2油脂性菓子生地の凝固点Sとが、S≦F≦(S+1.5℃)の関係にあることが好ましい。これによれば、第1油脂性菓子生地の凝固点が高いので、パリッとした食感を得ることができる。特に、比較的細い棒状の油脂性菓子においては、細くても歯ごたえを十分に付与することができる。
【0028】
また、前記第1油脂性菓子生地の凝固点Fが20〜24℃であることが好ましく、20〜22℃であることが更に好ましい。これによれば、上記パリッとした硬い食感がより得やすくなり、口溶け感も損なわれない。
【0029】
更に、前記第1油脂性菓子生地が、分別カカオ脂、特にステアリン画分を多く含有することがより好ましく、それによって、パリッとした硬い食感を有すると共に、口溶けのよい油脂性菓子を得ることができる。
【0030】
本発明において、最も好ましい態様では、前記第1油脂性菓子生地が、カカオマス、全粉乳、脱脂粉乳、砂糖、カカオバターを含有するものであって、そのうち分別カカオ脂のステアリン画分を生地中の油脂に対して50質量%以上含有し、第2油脂性菓子生地が、カカオマス、全粉乳、脱脂粉乳、砂糖、カカオバターを含有するものであることが好ましい。ただし、第2油脂性菓子生地にも分別カカオ脂を含有していてもよい。なお、本発明の油脂性菓子生地は、パリッとした食感を付与するために、乳脂の含量が3質量%以下、更には2質量%以下とされていることが好ましい。
【0031】
次に、本発明による油脂性菓子の製造法の一実施形態を説明する。
図1には、同製造法で得られる油脂性菓子が示されている。この油脂性菓子10は、第1油脂性菓子生地からなる棒状部分11と、第2油脂性菓子生地からなる螺旋状部分12とで形成されている。螺旋状部分12は、棒状部分11の外周に突条をなして形成されているが、後述する成形時にコンベヤ30(図2参照)に載った底部13は、潰れて平坦になっている。なお、油脂性菓子10の太さ(最大径)は2〜20mmが好ましく、2〜10mmがより好ましい。また、油脂性菓子10の長さは20〜200mmが好ましい。
【0032】
棒状部分11の第1油脂性菓子生地は、分別カカオ脂(ステアリン画分)、カカオマス、全粉乳、脱脂粉乳、砂糖、カカオバターを含む油脂性菓子生地に、粒径1〜5mmのナッツ類、ビスケット類、パフ類、フレーク類、ドライフルーツ類、粒状の糖類から選ばれた少なくとも1種を1〜15質量%混合したもので形成されている。
【0033】
図2,3には、同製造法で用いられる押出し成形ノズル及びコンベヤが示されている。この押出し成形ノズル20は、第1油脂性菓子生地11aを押出す内側ノズル21と、この内側ノズル21の外周に同心状に配置された外側ノズル22とを有し、内側ノズル21及び外側ノズル22の隙間から第2油脂性菓子生地12aを押出すようになっている。
【0034】
また、内側ノズル21の吐出口外周には、環状の回転口金23が配置されている。この回転口金23は、内側ノズル21の吐出口外周に摺接し、かつ、外側ノズル22の吐出口端面に摺接するようになっている。また、回転口金23は、外側ノズル22の外周にベアリング24を介して回転可能に支持され、スプロケット25に張設されたチェーン26を介して、図示しない駆動装置によって回転するようになっている。
【0035】
更に、回転口金23の内周の対向する2箇所には、円弧状の切欠き27が形成されている。そして、内側ノズル21と外側ノズル22との隙間を通して導入された第2油脂性菓子生地12aは、上記円弧状の切欠き27から線状に押出されるようになっている。
【0036】
こうして、第1油脂性菓子生地11aを、内側ノズル21の吐出口から棒状に押出すると共に、上記回転口金23を回転させつつ、第2油脂性菓子生地12aを、上記円弧状の切欠き27から線状に押出すと、第1油脂性菓子生地11aの外周に、第2油脂性菓子生地12aが螺旋状に付着する。
【0037】
そして、押出された棒状成形物をコンベヤ30に載せて移動させ、その途中で冷却することにより、第1油脂性菓子生地11a、第2油脂性菓子生地12aを凝固させる。なお、図示しないカッターにより、上記棒状成形物を所定の長さに切断する。こうして、図1に示した形状の油脂性菓子10を得ることができる。上記コンベヤ30に接触する底部13は、第2油脂性菓子生地12aによる突条が潰されてフラットな形状となる。
【0038】
この油脂性菓子10は、第1油脂性菓子生地からなる棒状部分11と、第2油脂性菓子生地からなる螺旋状部分12とで形成されているので、外観に変化があって斬新である。また、第1油脂性菓子生地11a中の油脂が分別カカオ脂のステアリン画分を50質量%以上含有するので、比較的細くてもパリッとした硬い食感を有すると共に、口溶けがよいという利点を有している。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0040】
(1)各種油脂性菓子生地の調製
下記表1に示す組成の油脂性菓子生地A〜Fを調製した。
【0041】
この油脂性菓子生地A〜Fについて、次の方法で凝固点を測定した。すなわち、示差走査熱量計として、株式会社パーキンエルマージャパン製の商品名「Pyris1 DSC」を用い、シードテンパリングされた試料10mgを入れて、30℃から0℃まで、2℃/分の速度で温度低下させていき、その途中で凝固することによって発生する潜熱を測定して、そのピーク温度を凝固点とした。この測定結果を表1に示す。

















【0042】
【表1】


【0043】
(2)油脂性菓子の製造
表2に示す油脂性菓子生地の組合せにより、表3に示す条件で、図2,3に示した方法により、図1に示す形態の油脂性菓子を製造した。
【0044】
表2における第1油脂性菓子生地は図2における第1油脂性菓子生地11aに該当し、第2油脂性菓子生地は図2における第2油脂性菓子生地12aに該当する。
【0045】
表3における仕込Noは、表2に記載された仕込Noに対応し、クーリング温度は、油脂性菓子生地をノズルから押出した後の冷却温度を示し、配合比は、第1油脂性菓子生地の量と、第2油脂性菓子生地の量との比を示す。また、成形方法におけるバー状とは、図2に示した押出し成形ノズル20から同時押出しした後、コンベヤ30に載せて固化することにより、図1に示すような棒状に成形したことを意味し、モールド状とは、図2に示した押出し成形ノズル20から押出した後、図示しないモールドに充填して成形したことを意味する。クーリングタイムは、固化するために冷却した時間を意味する。
【0046】
【表2】



【0047】
【表3】


【0048】
(3)ブルーミングの有無
こうして製造したそれぞれの油脂性菓子について、ブルーミング発生の有無を観察した結果を表4に示す。


















【0049】
【表4】


【0050】
表4に示されるように、第1油脂性菓子生地の凝固点が、第2油脂性菓子生地の凝固点より1.5℃より高い組合せからなる仕込みNo1を用い、第1油脂性菓子生地と第2油脂性菓子生地との配合比が5:1よりも、第2油脂性菓子生地の量が少ない配合比で製造した試験No1,2,3,4,7,8,9,10、17は、いずれもブルームが観察されることが分かる。
【0051】
また、第1油脂性菓子生地と第2油脂性菓子生地との配合比が5:1か、又は第2油脂性菓子生地の量がそれよりも多い配合比で製造した試験No5,6は、いずれもブルームが観察されないことが分かる。
【0052】
そして、第1油脂性菓子生地と第2油脂性菓子生地との配合比が5:1よりも、第2油脂性菓子生地の量が少ない配合比で製造した場合でも、第1油脂性菓子生地の凝固点が、第2油脂性菓子生地の凝固点より1.5℃より高くない仕込みNo2〜8によって製造した試験No11,12,13,14,15,16,18,19,20,21,22は、いずれもブルームが観察されないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、少なくとも2種類の油脂性菓子生地を同時押出しして接合することにより、例えばチョコレート等の油脂性菓子の製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明によって得られる油脂性菓子の一例を示す斜視図である。
【図2】同油脂性菓子の製造に用いる押出し成形ノズル及びコンベヤを示す説明図である。
【図3】同押出し成形ノズルの吐出口側から見た端面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 油脂性菓子
11 棒状部分
11a 第1油脂性菓子生地
12 螺旋状部分
12a 第2油脂性菓子生地
20 押出し成形ノズル
21 内側ノズル
22 外側ノズル
23 回転口金
30 コンベヤ
【出願人】 【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝5丁目33番1号
【出願日】 平成15年10月28日(2003.10.28)
【代理人】 【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂

【公開番号】 特開2005−130713(P2005−130713A)
【公開日】 平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願番号】 特願2003−367145(P2003−367145)