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【発明の名称】 高カカオポリフェノール含量を有するカカオ固形物とステロール/スタノールエステルとを含有するバーおよび菓子類、ならびにその調製方法
【発明者】 【氏名】マーク ジェイ チメル

【氏名】ジョン エフ ハマーストーン ジュニア

【氏名】ジェイ クリストファー ジョンソン

【氏名】メアリー イー マイヤーズ

【氏名】ロドニー エム スナイダー

【氏名】エリック ジェイ ウィタクル

【要約】 【課題】例えばチョコレートグラノーラバーのようなインスタント健康バー、および例えばブラックまたはミルクチョコレートチューのようなチョコレート菓子を調製する方法を提供する。

【解決手段】それらバーおよび菓子は、ステロールエステルおよび/またはスタノールエステル、ならびに高カカオプロシアニジン含量を有するカカオ固形物を含有する。カカオプロシアニジンの損失を防ぐために、製品の調製の間にステロール/スタノールエステルまたは他の食用油または脂でカカオ固形物を前処理する。他の粒子状の抗酸化剤も、食用脂および/または油、あるいは例えばレシチンのような乳化剤で前処理して、それら抗酸化剤の効果を維持することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状の食用抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子の効果を維持する方法であって、食品または栄養補助食品に配合する前に、前記抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子の質量に基づき、約9質量%から約90質量%の約80℃より低い融点を有する食用油および/または脂、ならびに必要に応じて約5質量%までの乳化剤で、前記抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子を前処理する工程を含む方法。
【請求項2】
前記粒子が、約1から約150μmの粒径であり、
前記抗酸化剤および抗酸化剤含有粒子が、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキトルエン、tert−ブチルヒドロキノン、没食子酸プロピル、フェノール酸、ポリフェノール、アスコルビン酸、塩化第一スズ、トコフェロール、二酸化硫黄、およびチオジプロピオン酸ジラウリルよりなる群から選択され;
前記油および/または脂が、カカオバター、ポリオールエステル、ステロールエステル、スタノールエステル、トリグリセリド、ポリカルボン酸の脂肪アルコールエステル、エステル化アルコキシポリオール、グリセロールエステル、植物性油、半硬化植物性油、およびそれらの混合物よりなる群から選択され;さらに
前記乳化剤が、レシチン、モノ−またはジ−グリセリド、エトキシモノ−またはジ−グリセリド、リン脂質、モノグリセリドと、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、または酒石酸とのエステル、ポリグリセロールの脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、プロピレングリコール、ポリグリセロールポリレゾルシン(polyglycerol polyresorcinoleate)、およびそれらの混合物よりなる群から選択される;ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記抗酸化剤含有粒子が、約5から約70μmの粒子径を有する完全脱脂または部分脱脂カカオ固形物中に存在するカカオポリフェノールの混合物であり、該粒子が約20質量%から約40質量%のステロールエステルおよび/またはスタノールエステルで前処理されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
粒子状の食用抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子の効果を維持する方法であって、食品または栄養補助食品に配合する前に、約0.05質量%から約5質量%のレシチンで、前記抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子を前処理する工程を含む方法。
【請求項5】
前記抗酸化剤含有粒子が、完全または部分脱脂カカオ固形物中に存在するカカオポリフェノールの混合物であり、約150μmまでの粒径を有し、かつ約0.03質量%から約0.1質量%の大豆レシチンで前処理されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
カカオ固形物の質量に基づき、約9質量%から約90質量%の約80℃以下の温度で液体であるステロールエステルおよび/またはスタノールエステルと混合することによって前処理した部分または完全脱脂カカオ固形物を含む、食品または栄養補助食品用の添加物であって、前処理後のカカオ固形物が、脱脂カカオ固形物1g当り約4.5mg以上のカカオプロシアニジン含量を有することを特徴とする添加物。
【請求項7】
カカオ固形物の質量に基づき約0.05質量%から約5質量%のレシチンと混合することによって前処理した部分または完全脱脂カカオ固形物を含む、食品または栄養補助食品用の添加物であって、前処理前のカカオ固形物が、脱脂カカオ固形物1g当り約5mg以上のカカオプロシアニジン含量を有することを特徴とする添加物。
【請求項8】
食品または栄養補助食品用のバインダーシロップを調製する方法であって、(i)シロップと、(ii)カカオ固形物の質量に基づき約9質量%から約90質量%の約80℃以下の温度で液体のステロールエステルおよび/またはスタノールエステルと混合することにより前処理した部分または完全脱脂カカオ固形物とを、約20℃から160℃で混合する工程を含み、前記バインダーシロップ中のカカオ固形物が、脱脂カカオ固形物1g当り4.5mg以上のカカオプロシアニジン含量を有することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法によって調製したバインダーシロップ。
【請求項10】
(i)シロップと、(ii)カカオ固形物の質量に基づき約9質量%から約90質量%のステロールエステルおよび/またはスタノールエステルならびに約5質量%までのレシチンおよび/または約20質量%までのチョコレート液で前処理したカカオ固形物との混合物を含み、約40℃から80℃の温度で液体でありかつ室温で固体であることを特徴とするバインダーシロップ。
【請求項11】
乾燥インスタント食品を調製する方法であって:
(a)脱脂カカオ固形物1g当り約5mg以上のカカオプロシアニジン含量を有するカカオ固形物を、約9質量%から約90質量%のステロールエステルおよび/またはスタノールエステルならびに必要に応じて約20質量%までのチョコレート液および/または約0.05質量%から5質量%の乳化剤で前処理し;
(b)前記前処理したカカオ固形物およびシロップと、穀物、粉末および/または蛋白質、ならびに必要に応じて乾燥果実および/または木の実を含む乾燥材料の混合物とを混合して、成形可能食品(formable food)を得て;さらに
(c)食品を成形する;工程を含み、
前記前処理したカカオ固形物およびシロップが、乾燥材料と混合する際に液体であり、かつ成形した食品を室温まで冷却した際に固体であることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記成形した食品を、チョコレート、ヨーグルト、またはフレーバーシュガーでデコレーションまたはコーティングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
乾燥材料と混合する前に、前記前処理したカカオ固形物とシロップとを約60℃から約80℃で予備混合して、バインダーシロップを形成することを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記カカオ固形物が、約8−30質量%の油脂を含有しかつ少なくとも約50から約150mgのカカオプロシアニジン含量を有する部分脱脂カカオ固形物であり;
前記ステロールエステルが、菜種油から調製されたものであり;
前記乳化剤が、レシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、エトキシモノ−またはジ−グリセリド、リン脂質、モノグリセリドと、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、またはジアセチル酒石酸とのエステル、脂肪酸と、ポリグリセロール、ソルビタン、スクロース、またはプロピレングリコールとのエステル、ポリグリセロールポリレゾルシン(polyglycerol polyresorcinoleate)、およびそれらの混合物よりなる群から選択され;
前記シロップが、全脂粉乳、脱脂粉乳、麦芽粉乳、香味料(flavorant)、1以上のビタミンまたはミネラル、糖、塩、およびそれらの混合物よりなる群から選択される材料をさらに含み;
前記乾燥材料が、ライスクリスプ、大豆クリスプ、カラスムギ、糠粉、トウモロコシ粉、小麦粉、米粉、乳蛋白、卵蛋白、大豆蛋白、乳漿、およびそれらの混合物より成る群から選択されることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記カカオ固形物が、約50から80mgのカカオプロシアニジン含量を有し;
前記ステロールエステルが、β−シトステロール、カンペステロール、およびスチグマステロールのエステルを含み;
前記乳化剤がレシチンであり;
前記香味料がバニラであり;
前記シロップが、約40から約65のDEを有するコーンシロップであり;
前記糖が、黒砂糖および/またはフルクロースであり;さらに
前記乾燥材料が、ライスクリスプ、大豆クリスプおよび/またはカラスムギを含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法によって調製された乾燥インスタントグラノーラバー。
【請求項17】
カカオ固形物中に存在する約65質量%から100質量%のカカオプロシアニジンを含有することを特徴とする請求項16記載のバー。
【請求項18】
約90質量%から100質量%のカカオプロシアニジンを含有することを特徴とする請求項17記載のバー。
【請求項19】
ステロールエステルおよび/またはスタノールエステルと、バー1g当り約2mgのカカオプロシアニジンとを含有する、乾燥インスタント健康バー。
【請求項20】
チョコレート菓子を調製する方法であって:
(a)脱脂カカオ固形物1g当り約5mg以上のカカオプロシアニジン含量を有するカカオ固形物を、約9から約90質量%のステロールエステルおよび/またはスタノールエステルならびに必要に応じて約20質量%までのチョコレート液および/または約0.5質量%から約5質量%の乳化剤で前処理し;
(b)前記前処理したカカオ固形物とシロップとを、約20℃から約160℃で混合し;
(c)前記混合物を冷却し;さらに
(e)前記冷却した混合物を菓子に成形する;工程を含む方法。
【請求項21】
前記カカオ固形物が、約8−30質量%の油脂含量および約50から約150mgのカカオプロシアニジン含量を有し;
前記ステロールエステルが、菜種油から調製されたものであり;
前記乳化剤が、レシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、エトキシモノ−またはジ−グリセリド、リン脂質、モノグリセリドと、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、またはジアセチル酒石酸とのエステル、脂肪酸と、ポリグリセロール、ソルビタン、スクロース、またはプロピレングリコールとのエステル、ポリグリセロールポリレゾルシン(polyglycerol polyresorcinoleate)、およびそれらの混合物よりなる群から選択され;
前記チョコレート液が、約0.5%から約10質量の量で存在するブラックチョコレート液またはミルクチョコレート液であり;
前記シロップが、約5から約25%の水分含量を有する栄養性糖質甘味料または人工甘味料の水溶液であり、かつ増粘剤(gum)、ビタミンおよび/またはミネラル、糖、および/または香味料をさらに含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記カカオ固形物と混合する前に、前記ステロールエステル、チョコレート液、およびレシチンが予備混合され;さらに、前記シロップが約40から約65のDEを有するコーンシロップであることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法によって調製されたブラックチョコレートチューまたはミルクチョコレートチュー。
【請求項24】
前記カカオ固形物中に存在する約65質量%から100質量%のカカオプロシアニジンを含有することを特徴とする請求項23記載のチュー。
【請求項25】
約90質量%から100質量%のカカオプロシアニジンを含有することを特徴とする請求項24記載のチュー。
【請求項26】
ステロールエステルおよび/またはスタノールエステル、ならびにチュー1g当り約2mgのカカオプロシアニジンを含有するブラックチョコレートチューまたはミルクチョコレートチュー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ステロールおよび/またはスタノールエステルと、カカオポリフェノールとを含有する食品、栄養補助食品および栄養補給食品、ならびにその製造方法に関する。本発明の方法によって調製した製品は保存されたレベルのポリフェノールを有する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェノール化合物は、植物原料に由来する生体活性物質であり、それら植物原料に由来する製品の感覚的および栄養的な質に密接に関連している。
【0003】
多くの植物性ポリフェノールは、抗酸化活性および多くの健康上の恩恵を有する。カカオ製品中のカカオポリフェノールの摂取は、顕著な健康上の恩恵をもたらす。カカオポリフェノールは、アテローム性動脈硬化および心臓血管疾患の発生に関与すると考えられている過程に有益な効果を有することが分かっている。カカオポリフェノールは、LDL酸化を阻害し、一酸化窒素/一酸化窒素シンターゼ(NO/NOS)活性を増強し、さらにシクロオキシゲナーゼ(COX)活性およびリポオキシゲナーゼ(LOX)活性を阻害する。それら効果は、1997年10月9日公開の特許文献1に報告されている。また、カカオポリフェノールは、例えばアスピリン等の非ステロイド性抗炎症剤の投与によって効果があることが分かっている症状を治療または予防するのに用いることができる。
【0004】
アテローム性動脈硬化および冠状動脈性心臓疾患(CHD)の誘発および進行に関連する多くの経路および症状に対するカカオポリフェノールの恩恵にも関わらず、それら化合物は、顕著なコレステロール降下効果をもたないことが認められた。したがって、例えばステロールおよび/またはスタノール、あるいはそのエステルのような少なくとも1つのコレステロール降下剤と組合せてポリフェノールを含有する改善された組成物が調製された。その組成物は、ポリフェノールまたはコレステロール降下剤を含有する公知組成物と比較して、哺乳類、特にヒトの血管の健康状態に対してより高い効果を有する。2003年8月26日に発行された特許文献2(H.H, Schmitz et al.)を参照。
【0005】
カカオポリフェノールを含むカカオ原料(例えばカカオ固形物、チョコレート液、カカオニブ、およびカカオ抽出物)を食品に加工する間に、カカオポリフェノールが損なわれることが知られている。カカオポリフェノールの損失は、カカオ原料を加える前に、抗酸化剤、乳化剤、油脂および/または香味料で、食品において用いられる糖質および/または乳原料を前処理することによって回避できる。2001年2月27日発行の特許文献3(M. E. Myers et al.)を参照。
【0006】
カカオ原料と、例えばステロールおよび/またはスタノールあるいはそのエステルのようなコレステロール降下剤とを含有する食品および栄養補助食品を調製した。上記の特許文献2を参照。ステロール、スタノールおよび/またはそのエステルを他の材料に単に混合することによって、ステロール/スタノールまたはそのエステルを食品または栄養補助食品に配合することができる。混合を容易にするために、例えば油脂、植物性油、モノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリド、および/またはトコフェノールのような可溶化剤にステロール/スタノールをまず溶解させるか、あるいは水、アルコール、ポリオール、またはステロール/スタノールもしくはそのエステルが少なくとも部分的に溶解する他の食用化合物(例えばチョコレート液)に懸濁または乳化させてもよい。コレステロール降下ブラックチョコレートを調製する間に、例えば、糖およびバターを含有する乾燥混合物にステロール/スタノールを添加するか、あるいはあまり好ましくはないが融けたチョコレートに添加してもよい。トフィーチュー(toffee chew)の調製の間に、糖とカカオ粉末とを事前に混合し、それをキャラメルと混ぜ合わせた。遊離フィトステロール(粉砕されたものとして)を、糖とカカオとの混合物に添加した。グラノーラバーの調製の間に、ヤシ仁油(palm kernel oil)を45℃で融かすことによってシロップ混合物を調製し、コーンシロップ、グリセリン、カカオ粉末、黒砂糖、塩、レシチン、および没食子酸プロピルの混合物をその油に添加し、さらに木の実または大豆パフおよびセミスイートチョコレート片に混ぜ合わせる。
【特許文献1】国際公開第97/36497号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,610,320号明細書
【特許文献3】米国特許第6,194,020号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バーおよびキャラメルを作成する標準的菓子技術は、バーおよびキャラメルに添加する既知量に対してフラバノールおよび抗酸化剤の損失をもたらす。
【0008】
したがって、最終製品に加工する間にカカオポリフェノールが損なわれていない(すなわち最初にカカオ原料中に存在するカカオポリフェノールが保持されている)、ステロールエステルおよび/またはスタノールエステルとカカオポリフェノールとを含有する食品および栄養補給食品を調製することが強く望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書中において、高CPカカオ固形物、および高カカオプロシアジン含量を有するカカオ固形物への言及は、カカオ固形物中に存在するポリフェノール(すなわちプロシアニジン)に限定されることを意図しておらず、他の特定の食品用抗酸化剤をも意図する。
【0010】
第1の実施形態では、食品または栄養補助食品に配合する前に、約9質量%から約90質量%の、約80℃より低い融点、好ましくは約60℃から約80℃の融点を有する食品用の油および/または脂、ならびに必要に応じて約5質量%までの乳化剤を用いて、抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子を前処理することによって、特定の食品用の抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子の効果を維持する方法を提供する(質量は抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子の質量に基づく)。あるいは、約0.75質量%から約5質量%、好ましくは約0.05から約0.3質量%、さらに好ましくは約0.1から約0.3質量%のレシチンで、抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子を前処理してもよい。抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子は、約1から約150μmの粒径を有する。
【0011】
抗酸化剤は、レシチン、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキトルエン、tert−ブチルヒドロキノン、没食子酸プロピル、フェノール酸、ポリフェノール、アスコルビン酸、塩化第一スズ、トコフェロール、二酸化硫黄、チオジプロピオン酸ジラウリル、およびそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0012】
油および/または脂は、カカオバター、ポリオールエステル、ステロールエステル、スタノールエステル、トリグリセリド、ポリカルボン酸の脂肪アルコールエステル、エステル化アルコキシポリオール、グリセロールエステル、植物性油、半硬化植物性油、およびそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0013】
脂および/または油と共に用いる任意成分である乳化剤は、レシチン、モノ−またはジ−グリセリド、エトキシモノ−またはジ−グリセリド、リン脂質、モノグリセリドと、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、または酒石酸とのエステル、ポリグリセロールの脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、プロピレングリコール、ポリグリセロールポリレゾルシン(polyglycerol polyresorcinoleate)、およびそれらの混合物よりなる群から選択される。好ましい乳化剤はレシチンである。
【0014】
抗酸化剤含有粒子が、完全脱脂または部分脱脂カカオ固形物中に存在するカカオポリフェノールの混合物である場合、好ましくは、約20質量%から約40質量%のステロールエステルおよび/またはスタノールエステルと、必要に応じて約20質量%までのチョコレート液および/または約5質量%までのレシチン(好ましくは大豆レシチン)で、その粒子を前処理する。
【0015】
第2の実施形態において、食品または栄養補助食品の添加剤、あるいはその調製方法を提供する。添加剤は、高いカカオプロシアニジン(CP)含量を有する、前処理した部分または完全脱脂カカオ固形物を含む。カカオ固形物の質量に基づき約9質量%から約90質量%の、約80℃以下、好ましくは約60℃から約80℃の温度で液体であるステロールエステルおよび/またはスタノールエステルで、カカオ固形物を前処理する。前処理後のカカオ固形物は、脱脂カカオ固形物1g当り、少なくとも約50から約75mg、好ましくは約60から約75mg、より好ましくは約75から約80mgのプロシアニジン含量を有する。あるいは、添加物は、カカオ固形物の質量に基づき、約5質量%まで、好ましくは約0.05質量%から約0.1質量%、より好ましくは約0.1質量%から約0.3質量%のレシチンと混合することによって前処理した、高CPの部分または完全脱脂カカオ固形物を含んでいてよい。
【0016】
第3の実施形態において、バインダーシロップおよびその調製方法を提供する。バインダーシロップは、(i)シロップと、(ii)80℃以下、好ましくは約60℃から約80℃で液体である約9から約90質量%の食品用の油および/または脂、ならびに必要に応じて約5質量%までのレシチンおよび/または約20質量%までのチョコレート液、好ましくは約0.5質量%から約10質量%、より好ましくは約0.5から約3質量%のチョコレート液で前処理した高CPカカオ固形物とを含む。バインダーシロップは、約60℃から80℃で液体であり、かつ室温で固体である。
【0017】
約20℃から160℃、好ましくは約50℃から約120℃、より好ましくは約80℃から約110℃で、前処理したカカオ固形物とシロップとを混合することによって調製する。前処理後の高CPカカオ固形物は、カカオ固形物1g当り、少なくとも約50から75mg、好ましくは60から75mg、より好ましくは約75から80mgのカカオプロシアニジン含量を有する。高CPカカオ固形物の前処理は、カカオ固形物中に最初に存在するカカオプロシアニジンの少なくとも約65質量%から100質量%のカカオプロシアニジンを保持する。
【0018】
第4の実施形態では、乾燥インスタント食品およびその調製方法を提供する。その方法は以下の工程を含む:(a)カカオ固形物の質量に基づき、約9質量%から90質量%のステロールエステルおよび/またはスタノールエステル、ならびに必要に応じて約20質量%まで、好ましくは約1.5から10質量%、より好ましくは約0.3から3質量%のチョコレート液および/または約5質量%までの乳化剤で、高CPカカオ固形物を前処理する;(b)前処理したカカオ固形物およびシロップと、穀物、粉末および/または蛋白質、ならびに必要に応じて乾燥果実および/または木の実を含む乾燥材料の混合物とを混合して、成形可能食品(formable food)を得る;さらに(c)食品を成形する。前処理前のカカオ固形物は、脱脂固形物1g当り、少なくとも約5mgのプロシアニジン含量を有する。前処理したカカオ固形物およびシロップは、乾燥材料中に混合するときには液体であり、かつ成形食品を室温まで冷却するときには固体である。必要に応じて、チョコレート、ヨーグルト、またはフレーバーシュガーで食品をデコレーションまたはコーティングしてもよい。好ましくは、グラノーラバーを調製する場合、前処理したカカオ固形物およびシロップを約60℃から約80℃で予備混合して、乾燥材料と混合する前にバインダーシロップを形成する。好ましいカカオ固形物は、約8から約30質量%の脂を含有し、かつ少なくとも約50から約150mg、好ましくは約50から約80mgのカカオプロシアニジン含量を有する。好ましいステロールエステルは、菜種油から調製され、β−シトステロール、カンペステロール、およびスチグマステロール等を含有する。乳化剤は上述したものから選択することができ;好ましくはレシチンである。好ましいシロップは、約40から約65のDEを有するコーンシロップである。シロップは、必要に応じて、全脂粉乳、脱脂粉乳および/または麦芽粉乳、香味料(flavorant)、1以上のビタミンおよび/またはミネラル、例えば黒砂糖および/またはフルクトースのような糖、および/または塩を含む。グラノーラバーの調製で用いられる乾燥材料は、ライスクリスプ(rice crisp)、大豆クリスプ(soy crisp)、および/またはカラスムギのような穀物を含む。他の有用な乾燥材料は、糠粉、小麦および/または米粉のような粉末、および乳蛋白、卵蛋白、大豆蛋白および/または乳漿のような蛋白質である。必要に応じてアーモンド、乾燥チェリーまたはブルーベリーを含む乾燥インスタントチョコレートグラノーラバーも本方法によって調製できる。バーは、バー1g当り、約2以上、好ましくは約2から約25、より好ましくは約2.5から約10、さらに最も好ましくは約3から約7mgのカカオプロシアニジンを含有し、それは、バーを調製するのに用いたカカオ固形物中に最初に存在するカカオプロシアニジンの約65質量%以上、通常約90質量%から100質量%である。またバーは、バー1g当り、約4から約200、好ましくは約40から約65mgのステロールエステルおよび/またはスタノールエステルを含む。
【0019】
第5の実施形態において、例えばブラックチョコレートチューまたはミルクチョコレートチュー(chew)のようなチョコレート菓子およびその調製方法を提供する。その方法は以下の工程を含む:(a)約9質量%から90質量%のステロールエステルおよび/またはスタノールエステル、ならびに必要に応じて約20質量%まで、好ましくは約0.5から10質量%、さらに最も好ましくは約0.5から3質量%のチョコレート液および/または約5質量%まで、好ましくは約0.5質量%から約5質量%の乳化剤で、脱脂カカオ固形物1g当り約5mg以上のカカオプロシアニジン含量を有するカカオ固形物を前処理する;(b)約20℃から約160℃で、前処理したカカオ固形物とシロップとを混合する;(c)約5℃から60℃、好ましくは約15℃から40℃、さらにより好ましくは20℃から30℃まで、混合物を冷却する;さらに(d)冷却した混合物を菓子に成形する。好ましいカカオ固形物は、約8から約30質量%、より好ましくは10から12質量%の油脂含量を有し、かつ少なくとも約50から約150mgのカカオプロシアニジン含量を有する。好ましいステロールエステルは、菜種油から調製され、β−シトステロール、カンペステロール、およびスチグマステロールを含有する。乳化剤は上述したものから選択することができ;好ましくはレシチンである。チョコレート液および/またはレシチンを用いる場合、好ましくは、カカオ固形物に添加する前に、それらをステロールエステルおよび/またはスタノールエステルと予備混合する。シロップは、栄養性糖質甘味料または人工甘味料の水溶液である。シロップは約1%から約15%の含水量を有する。シロップは、増粘剤(gum)、ビタミンおよび/またはミネラル、例えば黒砂糖および/またはフルクトースのような糖、および/または香味料をさらに含んでいてよい。好ましいシロップは、約40から約65のDEを有する1または複数のコーンシロップである。そのようにして調製したブラックまたはホワイトチョコレートチューは、チュー1g当り、約2mg以上、好ましくは約2から約25mg、より好ましくは約2.5から約10mg、さらに最も好ましくは約3から約7mgのカカオプロシアニジン、ならびにチュー1g当り約4から200mg、通常約40から約65mgのステロールエステルを含有する。チューは、最初にカカオ固形物中に存在するカカオプロシアニジンの約65から100%、通常約90−100%のカカオプロシアニジンを含有する。
【0020】
本発明の前処理した高CPカカオ粉末は、本明細書で例示された食品および食品添加物以外のものでも有用である。例えば、SOIおよび非SOIチョコレート、特にセミスイートおよびブラックチョコレート等のチョコレート菓子、ブラウニー等のクッキー、ケーキ、チョコレートコーティング、トフィー (toffee)、キャラメル、飴等の調製において有用である。
【0021】
上記の方法によって調製したチョコレートスナックは、哺乳類において、血管系の心臓の健康状態を改善または促進する。そのようなインスタントスナックは、健康な循環および健康な血管を促進するフラバノール、特にカカオプロシアニジンを含む。B6、B12、葉酸、ならびに抗酸化性ビタミンEおよびCのような心臓の健康によいビタミンおよび/またはカルシウムを含む。さらに、約15%まで悪玉コレステロール(LDL)を減らすことが分かっている植物性ステロールおよび/またはスタノールエステルを含む。最大の利益を得るために、飽和脂肪およびコレステロールが少ない食事の一部としてそのスナックを用いるべきである。
【0022】
カカオプロシアニジンの保護以外の、前処理プロセスのさらなる利点として、グラノーラバーを調製するための好ましい実施形態ではできるだけぎりぎりに混合する2つの加熱した液流の調製を可能にすることが挙げられる。前処理したカカオ固形物とシロップの液流の両方が、それらの混合物よりも粘度がかなり低い。このことは、従来のタンク、ライン、および容量型ポンプを用いること、ならびに妥当な制限内で、配管中の圧力を下げた状態で維持することを容易にする。2つの加熱した液流を、それが所望の割合で供給された場合、インラインで混合することができる。インライン混合に適切な設備は容易に利用可能であり、かつそれがコンパクトサイズであるため、バインダーシロップ(すなわち合わせた液流)を乾燥材料(穀物、乾燥果実、および木の実等)と混合して菓子製品を作成する使用地点に近接して配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本明細書において「抗酸化剤」の用語は、酸化を防止し、還元剤または電子供与体/受容体として機能する化合物を称する。その作用の態様に応じて、抗酸化剤は、フリーラジカルターミネーター、金属イオンキレート剤(metal ion chelator)、または酸素と反応するスカベンジャーに分類できる。適切な抗酸化剤の分類として、濃縮タンニンおよび加水分解性タンニンのようなタンニン、キノン、ポリヒドロキシ化合物、リン脂質、トコール化合物(tocol compound)またはその誘導体が挙げられる。限定はされないが、例示的抗酸化剤として、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキトルエン、tert−ブチルヒドロキノン、没食子酸プロピル、フェノール酸、ポリフェノール、アスコルビン酸、塩化第一スズ、トコフェロール、二酸化硫黄、チオジプロピオン酸ジラウリルが挙げられる。抗酸化剤および抗酸化剤含有粒子は、約150μmまで、通常約5から約70μmの粒径を有する。
【0024】
本明細書中で用いられている「食品」の用語は、成長、修復および生活過程を維持し、かつエネルギーを供給するために生物の体内で用いられる、蛋白質、炭水化物および/または脂肪から実質的に成る物質である。食品は、例えばミネラル、ビタミン、および調味料のような補助的物質も含んでいて差し支えない。(Merriam-Webster’s Collegiate Dictionary, 10th Edition, 1993を参照)。
【0025】
本明細書で用いられている「栄養補助食品」は、食事を補足することが意図された、以下の食物原料の1つ以上を有するまたは含有する製品(タバコ以外)である:ビタミン、ミネラル、ハーブ、または他の植物、アミノ酸、全1日摂取量を増やすことによって食事を補足するために男性に用いられる栄養物質、あるいはそれら原料の濃縮物、代謝物、構成成分、抽出物または配合物。(Merriam-Webster’s Collegiate Dictionary, 10th Edition, 1993を参照)。食品表示でその用語が用いられる場合、「栄養補助食品」は、Recommended Daily Allowances("Understanding Normal and Clinical Nutrition", 3rd Edition, Editors Whitney, Catalado and Rolfes at page 525)よりも50%を超える多い量で栄養素が添加される。
【0026】
本発明は、特定のステロールエステルおよび/またはスタノールエステルと共に、抗酸化剤、好ましくはカカオポリフェノールを含有する、飲料または飲料ミックス以外の食品または栄養補助食品に関するものである。本製品は、必要に応じて、カルシウム、カリウムおよびマグネシウム等のミネラル、ビタミンB、ビタミンCおよびビタミンEのようなビタミン、カロチノイド、ならびにモノまたはポリ不飽和脂肪酸(例えばω−3脂肪酸)を含んでいてよい。カカオポリフェノールに類似の抗酸化特性を有するカカオ以外の起源(例えば木の実、木の実粉末、および木の実の表皮)由来のポリフェノールを含有する製品もカカオポリフェノールと一緒に用いることができる。ステロール/スタノールエステル以外のコレステロール降下剤も、本発明において、ステロールエステルおよび/またはスタノールエステルと一緒に用いることができる。例として、低カロリーおよびノンカロリー油脂が挙げられる。
【0027】
本明細書で用いられている「カカオポリフェノール 」の用語は、プロアントシアニジン、より詳細には、カカオ豆、カカオニブ、カカオ豆またはニブから調製されたカカオ原料、およびカカオ豆またはカカオ原料から調製されたカカオ抽出物中に存在するプロシアニジンを含む。「プロシアニジン」の用語は、天然のまたは合成によるカテキンおよび/またはエピカテキンのオリゴマーを称するが;本明細書中における「カカオプロシアニジン」への言及は、カテキンモノマーおよびエピカテキンモノマーをも含むと理解すべきである。モノマーは、(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、およびそれらの対応するエピマー(例えば、(−)−カテキン、(+)−エピカテキン)を含む。モノマーは以下の構造を有する:
【化1】


【0028】
プロシアニジンオリゴマーは、2から約18のモノマー単位を有する。オリゴマーとして、例えば、ダイマー(二量体)、トリマー(三量体)、テトラマー(四量体)、ペンタマー(五量体)、ヘキサマー(六量体)、ヘプタマー(七量体)、オクタマー(八量体)、ノナマー(九量体)、およびデカマー(十量体)が挙げられる。天然のオリゴマーでは、モノマーが(4→6)および/または(4→8)のフラバン間結合を介して結合している。もっぱら(4→8)結合のみを有するオリゴマーは直鎖である。1つ以上の(4→6)結合が存在すると分枝オリゴマーとなる。4→8プロシアニジンの合成に関して、2002年7月16日発行の米国特許第6,420,572号(L.J. Romanczyk, Jr. et al., を参照;参照によってその開示が本明細書中に組み込まれる)。米国特許第6,420,572号は、C−4活性化基(例えば、ヒドロキシエトキシのような末端ヒドロキシ基を有するC2−C6アルキル基)を有するヒドロキシ基保護フェノールモノマー(例えばエピカテキンまたはカテキン)を、第2の保護フェノールモノマーと結合させて保護ダイマーを調製することについて開示しており、その保護ダイマーは、その後脱保護され、または必要に応じて他の保護活性化フェノールモノマーと結合する。
【0029】
カカオポリフェノール誘導体も有用である。それらは、没食子酸カテキンおよび/またはエピカテキンモノマーおよびオリゴマー、グリコシル化モノマーおよびオリゴマー、ならびにそれらの混合物;例えば硫酸化、グルクロン酸化、およびメチル化形態のようなプロシアニジンモノマーおよびオリゴマーの代謝物;ならびに大腸微小植物代謝または体内哺乳類代謝によるプロシアニジンの酵素切断産物を含む。それら誘導体は、天然由来であっても合成によって調製されたものであってもよい。
【0030】
合成オリゴマーも本発明において有用である。2000年12月5日発行の米国特許第6,156,912号(W.Tu(e)ckmantel et al.)および2002年11月5日発行の米国特許第6,476,241号(A.Kozikowski et al.)を参照。
【0031】
「標準平均品質カカオ豆」の用語は、パルプ原料から分離し、さらに乾燥したカカオ豆であって、カビや寄生虫が比較的いないカカオ豆を称する。そのような豆は、市販商品であり、かつ高CPカカオ固形物を調製するための原料を形成する。この用語には、遺伝学的に改変されたか生産されたようないかなる豆をも含まれる。
【0032】
「生の新しく収穫されたカカオ豆」という用語は、カカオ鞘から新たに収穫され、果肉からの分離以外の加工にはかけられてはいない種または豆を意味する。この用語には、遺伝学的に改変されたか生産されたようないかなる豆をも含まれる。
【0033】
本明細書において、「カカオ固形物」の用語は、殻を取り除いたカカオ豆をスクリュープレスしてカカオバターと部分脱脂カカオ固形物にすることによって、または焙煎カカオ豆を挽いてチョコレート液にして、さらにそのチョコレート液を圧搾してカカオバターと部分脱脂チョコレート固形物とを回収することによって直接調製された、部分または完全脱脂カカオ固形物(例えばケーキまたは粉末)を称する。
【0034】
本明細書において、「高CPカカオ固形物」の用語は、カカオ固形物の調製の間カカオプロシアニジン含量が保持されているカカオ固形物および/または未発酵、発酵途中、または標準平均品質(FAQ)カカオ豆から調製されたカカオ固形物を称する。
【0035】
テオブロマ(Theobroma)、ヘラニア(Herrania)、またはそれらの種内および種間の交配物の任意の種類の豆を用いて、本発明で用いるカカオ固形物およびチョコレート液を調製することができる。好ましくは、未発酵のおよび/または発酵途中のカカオ豆、すなわちスレート色のカカオ豆、紫色のカカオ豆、スレート色と紫色のカカオ豆の混合物、紫色と褐色のカカオ豆の混合物、あるいはスレート色、紫色、および褐色のカカオ豆の混合物からカカオ固形物を調製する。より好ましくは、カカオ豆は、発酵豆より高いカカオポリフェノール含量を有するスレート色および/または紫色のカカオ豆である。その風味/香が発酵カカオ豆でよいため、好ましくは、チョコレート液は焙煎した発酵カカオ豆から調製する。
【0036】
カカオ豆またはその混合物が275以下の発酵係数を有する場合に、カカオ原料のカカオポリフェノール含量はより高い。「発酵係数」は、産業界で認められている等級分けシステム(industry-recognized grading system)を用いて決定する。発酵の程度を評価するため、通常カカオ豆において、基準で決められている質を判断するための標準カットテスト(cut test)を実施する。
【0037】
カカオ豆から、高い含有量のカカオポリフェノールを有するカカオ固形物を直接調製する方法は、200年1月18日発行の米国特許第6,015,913号(Kirk S. Kealey et al.)に開示されており、その開示は参照によって本明細書に組込まれる。米国特許第6,015,913号の方法において、カカオニブを焙煎することなく、カカオの殻を緩くするのに十分な時間および豆内部温度でカカオ豆を加熱する(たとえば、約100℃から約110℃まで赤外線加熱する)。カカオニブをカカオの殻からふるい分ける。カカオニブをスクリュープレスしてカカオバターと部分脱脂カカオ固形物とにする。カカオ固形物は、カカオニブ由来のカカオプロシアニジンを含むカカオポリフェノールを含有する。そのようにして調製したカカオ固形物中には、従来の焙煎方法によって調製したカカオ固形物中に存在するよりもはるかに高い濃度の高プロシアニジンオリゴマーが存在する。カカオ固形物中の全カカオプロシアニジン量は以下に記載のように特定した。豆内部温度(IBT)の特定方法は米国特許第6,015,913号に記載されている。
【0038】
焙煎した未発酵、発酵途中、または標準平均品質のカカオ豆からカカオ固形物またはチョコレート液を調製する方法は、2001年11月6日発行の米国特許第6,312,753号(Kirk S. Kealey et al.)に開示されており、その開示は参照によって本明細書に組込まれる。275以下の発酵係数を有するカカオ豆またはニブを用いる。カカオ豆を赤外線ヒーターを通過させ、ふるい分けして殻(外皮)を分離し、約95℃から約150℃の豆内部温度まで焙煎し、さらに挽いてチョコレート液にして、それからカカオバターおよび部分脱脂カカオ固形物を圧搾することができる。
【0039】
チョコレート液は、従来のカカオ加工方法(例えば、Industrial Chocolate Manufacture and Use, ed. Beckett, S.T., Blackie Acad. & Professional, New York, 1997、例えば1、5および6章に記載;その開示は参照によって本明細書に組込まれる)または上記の米国特許第6,015,913号に記載の改善された加工方法を用いて、加工したカカオ豆からも調製できる。
【0040】
望ましい場合には、カカオ抽出物を本発明の製品中に含めてもよい。カカオ豆からのカカオ抽出物の調製は、1996年9月10日発行の米国特許第5,554,645号(Leo J. Romanvzyk, Jr. et al.)に開示されており、その開示は参照によって本明細書に組込まれる。米国特許第5,554,645号の方法において、パルプを含むカカオ豆を凍結乾燥し、凍結乾燥した塊を脱パルプ化し、凍結乾燥カカオ豆の外皮を剥ぎ、さらに挽き、得られたカカオ塊を脱脂し、その後、例えば水性メタノール、水性アセトン、または酢酸エチルを用いて溶媒抽出する。上記の米国特許第6,015,913号および米国特許第6,312,753号に記載されている方法によって調製した高CPカカオ固形物からも抽出物を調製できる。特定のオリゴマーを豊富に含み、さらに脱カフェイン化および脱テオブロミン化されたカカオ抽出物を調製する改善された方法は、2000年6月9日出願の米国特許出願第09/590,931号(現在特許されており、その開示は参照によって本明細書に組込まれる)に記載されている。
【0041】
前処理したカカオ抗酸化剤混合物
この混合物は、油脂相とも称され、追加の水分を全く含まない。
【0042】
脂および/または油
例えば高CPカカオ固形物のような抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子を、食品用の脂または油で前処理して、食品、栄養補助食品または食品添加物にさらに加工する間に粒子を保護する。脂または油と混合することによる前処理は、カカオプロシアニジンの損失を防ぐ。約9から約90質量%、通常約15から80質量%、好ましくは約25から70質量%、より好ましくは約40から60質量%の脂および/または油と、抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子とを混合する。室温で液体でない場合は、70℃−80℃、好ましくは約60℃で油脂を液状にする必要がある。
【0043】
好ましいカカオ固形物を含む、好ましい抗酸化剤は上述されている。好ましい脂および油として、ステロールエステルおよび/またはスタノールエステル、ならびに例えばコーン油、大豆油、カカオバターおよびカカオ油、ココヤシ油、およびパーム核油のような植物性油が挙げられる。最も好ましいのは、コレステロール降下剤として、ならびに抗酸化剤および高CPカカオ固形物を保護するための前処理材料として加えられるステロールエステルおよび/またはスタノールエステルである。
【0044】
フィトステロールは水に溶けない植物ステロールであり、コレステロールに類似の分子量および構造を有する。40を超える植物ステロールが同定されているが、β−シトステロール、カンペステロールおよびスチグマステロールが最も豊富にある。有用なステロールの他の例として、ブラシカステロール(brassicasterol)、デスモステロール(demosterol)、カリノステロール(chalinosterol)、ポリフェラステロール(poriferasterol)、クリオナステロール(clionasterol)が挙げられる。
【0045】
ステロールは、環における全ての炭素−炭素結合が飽和であるステロールの飽和誘導体である。スタノールは、通常28または29炭素原子を有し、β−シトスタノール、クリオナスタノール、22、23−ジヒドロブラシカスタノール、およびカンペステノールを含む。スタノールは、天然では少量でのみ認められているが、当業者に公知のいくつかの任意の方法によって水素化することによって、ステロールから容易に調製できる。ステロール開始物質が植物材料から調製される場合、それはいくつかの様々なステロールの混合物を含んでおり、従って、水素化の後得られるスタノールも様々なスタノールの混合物となるであろう。
【0046】
カカオ殻から抽出されたカカオ油もフィトステロールの優れた供給源である。カカオフィトステロールは、存在するフィトステロールの約90質量%までの遊離ステロールを含む遊離および結合ステロールの混合物である。フィトステロールは、カンペステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、シクロアルテノイル、24−メチレンシクロアルテノイル、ならびに少量の他のフィトステロールを含む。結合フィトステロールは、フィトステロールの脂肪酸エステルまたはフェルラ酸誘導体(ferulate derivatives)を含む。
【0047】
ステロールおよびスタノールのエステル体も本発明で用いられる形態である。エステル化は、ステロール/スタノールを脂および油により溶けやすくする。例えば、ステロールを、例えば菜種油、キャノーラ油等のような脂肪酸エステルとエステル結合させてよい。好ましい脂肪酸として、通常14から24の炭素原子を有する飽和または不飽和脂肪酸が挙げられる。エステル化ステロールの例として、酢酸シトステロール、オレイン酸シトステロールおよびオレイン酸スチグマステロールが挙げられる。当業界で公知の方法、および例えば、2001年1月16日発行の米国特許第6,174,560号(Miettenen et al.;Raisio Benecol Ltd.に属する);2000年2月29日発行の米国特許第6,031,118号(van Amerongen et al.;Liptonに属する);1999年9月28日発行の米国特許第5,958,913号(Miettenen et al.;Raisio Benecolに属する);1999年4月6日発行の米国特許第5,892,068号(Higgins III;McNeil PPC, Incに属する);および1996年3月26日発行の米国特許第5,502,045号(Mietienen et al.;Raisio Benecol, Ltd.に属する)(それらの開示は参照によって本明細書に組込まれる)に記載の方法のように、スタノールエステルを調製することができる。米国特許第5,502,045号は、例えばナトリウムエチラートのようなエステル交換触媒を用いた、遊離スタノールとCからC22脂肪酸のメチルエステル混合物とのエステル交換反応について記載する。米国特許第5,502,045号に記載のようなエステル交換プロセスを用いてステロールエステルをエステル化させてもよい。別の実施形態では、上記の米国特許第5,958,913号に記載のように、少なくとも1つのステロールを、CからC22脂肪酸とエステル結合させることによって有用なスタノールエステルを調製する。
【0048】
本発明において特に有用なものは、キャノーラ油ステロールエステル、ヒマワリ油ステロールエステル、およびそれらの混合物である。それらステロールエステルの混合物は、約30℃−50℃あたりで融解する;しかしながら、通常、エステルを約60℃−80℃まで加熱して、エステル混合物を確実に液体化する。液体または液体化ステロール/スタノールエステルを高CPカカオ固形物と混合して、カカオ固形物の最終製品へのさらなる加工の間、CPを保護してその損失を防ぐ。前処理されない場合、例えば温度および剪断のような、加工条件に依存して、約40質量%から約90質量%までのカカオプロシアニジンが、カカオ固形物の最終製品への加工の間に失われるであろう。CPは水分感受性であり、製品の調製で用いられる水性シロップと接触させる前に、ステロールおよび/またはスタノールエステルで前処理することによって、CPを保護する。本明細書に記載の方法をその後実施する場合、少なくとも65質量%のカカオプロシアニジンが保持される。通常、約80質量%から約90質量%のカカオプロシアニジンが保持される。より好ましくは、約90質量%から100質量%が保持される。
【0049】
乳化剤
カカオ固形物に添加する前に、好ましくは、例えばレシチン、モノ−またはジ−グリセリド、エトキシモノ−またはジ−グリセリド、リン脂質、モノグリセリドと、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、または酒石酸とのエステル、脂肪酸と、ポリグリセロール、ソルビタン、スクロース、またはプロピレングリコールとのエステル、ポリグリセロールポリレゾルシン(polyglycerol polyresorcinoleate)のような乳化剤も、ステロールおよび/またはスタノールエステルおよびチョコレート液と事前に混合する。乳化剤は、約0.05質量%から約5質量%、好ましくは約0.05から約1質量%、より好ましくは約0.05から約0.25質量%の量で用いられる。乳化剤は、懸濁レオロジーにおいて重要な役割を果たすことが知られており、食品製造、特に菓子類およびチョコレート製造全体にわたり用いられ、固形物懸濁液のレオロジーを高める(すなわち、粘度および/または降伏値を低くする)。
【0050】
清澄レシチン(clarified lecithins)、流動レシチン(fluidized lecithins)、配合レシチン(compounded lecithins)、水酸化レシチン、脱脂レシチン(deoiled lecithins)、および分別レシチンを含む、例えば大豆油、綿実油、サフラワー油、および菜種油のような植物性油由来のレシチンが、本発明で用いるのに好ましい乳化剤である。それは、最も古くからおよび最も広く用いられている乳化剤である。チョコレートにおいて、レシチンは顕著な粘度低下効果を示す。レシチンは、最終チョコレートの質量に基づき、約5質量%まで、好ましくは約0.05から約0.3質量%、さらに好ましくは約0.1から約0.3質量%の量で用いることができる。
【0051】
低脂肪食品を調製する場合、乳化剤の組合せ(すなわち、基本乳化剤と第2乳化剤)を用いる。基本乳化剤は、1.0質量%未満の量で添加する。低脂肪チョコレート中に存在する基本の乳化剤の量は、チョコレートの全質量に基づき、約0.1質量%から約0.9質量%、好ましくは約0.2質量%から約0.8質量%、さらにより好ましくは約0.4質量%から約0.6質量%である。乳化剤の特定の組合せが、改善されたレオロジーを有する低脂肪菓子類において使用するために特定された。特に有用な乳化剤の組合せは、レシチン、ポリエルカ酸スクロース (sucrose polyerucate)、ポリステアリン酸スクロース、アンモニウムホスファチド(ammonium phosphatide)、リン酸化モノ−およびジ−グリセリド/モノ−グリセリドのジアセチル酒石酸エステル、または分別レシチンと、ポリエルカ酸スクロースおよび/またはポリリシノール酸ポリグリセロールとの組合せである。低脂肪チョコレートのレオロジーは、3成分乳化剤組合せを用いることによってさらに改善される。好ましい組合せは、レシチン−ポリエルカ酸スクロース、レシチン−ポリリシノール酸ポリグリセロール、ポリエルカ酸スクロース−ポリリシノール酸ポリグリセロール、およびレシチン−ポリリシノール酸ポリグリセロールを含む。
【0052】
チョコレート液
上述されたような好ましいチョコレート液は、前処理されたカカオ固形物と共に、20質量%まで、通常約0.5質量%から約10質量%、さらにより好ましくは約0.5質量%から約3質量%の量で含まれる。もちろん、用いられるカカオ固形物とチョコレート液の量は、調製される製品のタイプに依存するであろう。
【0053】
シロップ
シロップは、栄養性糖質甘味料および/または糖代用物の水溶液を含む。
【0054】
様々な度合いの甘味の強さを有する栄養性糖質甘味料は本発明において有用である。好ましくは、甘味料は、コーンシロップまたはコーンシロップと別の甘味料との混合物を含む。適切な甘味料として、通常食品において用いられかつ含まれるものが挙げられ、特に限定はされないが、スクロース(例えばサトウキビもしくは甜菜からのもの)、デキストロース、フルクトース、ラクトース、マルトース、グルコースシロップまたはその固形物、コーンシロップまたはその固形物、転化糖、水解ラクトース、蜂蜜、メイプル糖、黒砂糖、糖蜜などが挙げられる。
【0055】
特に低カロリー製品の製造において、シロップ中の甘味料を部分的に置き換えて糖代用物を用いてもよい。「糖代用物」の用語は、強力甘味料、糖アルコール(ポリオール)、および充填剤、あるいはそれらの組合せを含む。強力甘味料として、アスパルテーム、シクラメート、サッカリン、アセスルファム−K、ネオへスペリジンジヒドロカルコン、スクラロース、アリテーム、ステビア甘味料、グリシルリジン、タウマチン等、ならびにその混合物が挙げられる。好適な強力甘味料として、アスパルテーム、シクラメート、サッカリン、およびアセスルファム−Kが挙げられる。糖アルコールの例は、当該技術分野で一般に使用される任意のものを含み、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルト、ラクチトール等が挙げられる。本発明の食品は、通常強力甘味料と共に用いられている充填剤も含んでいてよい。
【0056】
本明細書で定義されている「充填剤」の用語は、当業界で通常用いられている任意のものを含み、ポリデキストロース、ポリデキストロース、セルロースおよびその誘導体、マルトデキストリン、アラビアガム等が挙げられる。
【0057】
通常、シロップは、シロップの全質量に基づき、約5質量%から100質量%のコーンシロップ固形物、および80質量%までの糖を含む。フードバーに関して、コーンシロップは約5質量%から100質量%、好ましくは約65質量%から約98質量%、さらに最も好ましくは約80質量%から約95質量%の量であり、かつ糖は約20質量%まで、好ましくは約1質量%から約10質量%、さらに好ましくは1質量%から約5質量%の量である。例えばチューのようなチョコレート菓子に関して、コーンシロップは約5質量%から約80質量%、好ましくは約10質量%から約50質量%、さらに最も好ましくは約20質量%から約35質量%の量である。
【0058】
少量の他の水溶性または水分散性の材料もシロップ中に含まれており、例えば、15質量%までのビタミンおよび/またはミネラル、1質量%までの香味料、および3質量%までの塩が含まれる。
【0059】
本明細書において、「香味料」の用語は、所望の味および/または香を与えるために食品または栄養補助食品において用いられる風味のついた化合物または組成物を称する。本発明において用いるのに適した例示的な香味料として、バニラ、ラズベリースパイス、および天然物から搾り出されたシトラスまたはスパイスオイルが挙げられる。
【0060】
バインダーシロップ
バインダーシロップは、シロップおよび前処理された固形物(例えば、カカオ固形物のような粒子状の抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子)を含み、最初に乾燥材料を被覆し、次に「固め」または固くして最終製品を所望の形状に維持するように製剤化される。バインダーシロップは、例えば香味料のような他の水溶性または水分散性材料も含んでいてよい。通常、冷却されたときに固くなる糖ベースシロップを用いる。インスタントスナック食品において、バインダーシロップは、約50質量%から約85質量%、好ましくは約60質量%から約80質量%、より好ましくは約65質量%から約80質量%、さらに最も好ましくは約70質量%から約75質量%のシロップ、ならびに約15質量%から約50質量%、好ましくは約20質量%から約40質量%、より好ましくは約25質量%から約40質量%、さらに最も好ましくは約25質量%から約30質量%の前処理した固形物を含む。割合(%)は、バインダーシロップ全質量を100%として表す。バインダーシロップの水分含量は約1%から約15%、好ましくは約3%から約12%、さらに最も好ましくは約5%から約10%である。
【0061】
乾燥材料
任意の適切な穀物、粉末および/または蛋白質をインスタントフードバーにおいて用いることができる。一般的な穀物として、フレーク状のカラスムギ、小麦、大麦、ライ麦、焼いたロールドオート(toasted rolled oat)、カリカリにした米等が挙げられる。一般的な粉末として、糠、コーン、小麦、および米が挙げられる。一般的な蛋白質として、大豆、乳漿、乳、ピーナッツ、および卵蛋白が挙げられる。任意的な乾燥材料として、例えばアーモンド、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、およびココナッツフレークのような、細かく切り刻んだまたは全体の木の実、例えばブルーベリーおよびチェリーのような乾燥果実、およびチョコレートチップが挙げられる。バインダーシロップは、バーの質量に基づき、約30質量%から約75質量%、好ましくは40質量%から約65質量%、より好ましくは約50質量%から約60質量%、さらに最も好ましくは約55質量%の量で含まれる。好ましくは、果実および/または木の実を加えたまたは加えないグラノーラバーを、チョコレート、好ましくはテンパー処理したブラックチョコレート、ヨーグルト、または風味のついたグラニュー糖でコーティングまたはデコレーションする。
【0062】
望ましい場合は、グラノーラバーは、圧縮フレークの形状で添加される補助的食用繊維を含んでいてもよい。本明細書において、「補助的食用繊維(supplemental dietary fiber)」の用語は、通常グラノーラバーに含まれる繊維以外に、バーに添加される食用繊維を称する。補助的食用繊維は、様々なタイプのものであってよく、好ましくは、様々なタイプのものの混合物、さらにより好ましくは可溶性食用繊維と不溶性食用繊維との混合物である。不溶性繊維に寄与することが一般的に分かっている起源として、限定はされないが、大豆繊維、リンゴ繊維、コーンブラン、カラス麦糠、大麦糠、ライ麦糠、ライ小麦糠、セルロース、豆繊維(pea fiber)、砂糖大根パルプ、およびピーナッツ繊維等が挙げられる。可溶性繊維に貢献することが一般的に分かっている起源として、限定はされないが、アラビアガム、ガッティーガム(gum ghatti)、グアーガム、ペクチン、オオバコ、カラギナン、キサンタン、トラガカンス(tragocanth)、カラヤ、イナゴマメガム、寒天、およびアルギン酸塩が挙げられる。
【0063】
インスタント製品
本発明で調製される食品は、微生物の増殖を防ぎ、かつ貯蔵期間を長くするために、少ない水分利用性(water availability)を有する。そのような食品中の水分の利用性は、通常「水分活性」(A)と称される。概して、低いAの食品(0.90未満)は、ほとんどの細菌が通常増殖できない環境の存在を示唆し、0.1−0.55であることが好ましい。
【0064】
「チョコレート」の用語は、調温可能(temperable)な油脂相を有するチョコレートまたはチョコレート様組成物を称することが意図されている。本発明は、チョコレート内の非油脂物質ではなく、チョコレートの油脂または油脂様の相の特性の制御に関するものであるため、その用語は、調温可能な油脂または調温可能な油脂様の相中に少なくとも1つのカカオまたはカカオ様成分を含有する全てのチョコレートおよびチョコレート様組成物を包含することが意図されている。その用語は、他で特に定義されない限り、例えば、規格または非規格チョコレートを含み、すなわち、米国同一性規格(standard of identity)(SOI)に適合する組成物、および米国同一規格(SOI)に適合しない組成物からなるチョコレートを含み、それらは、ブラックチョコレート、ベーキングチョコレート、ミルクチョコレート、スイートチョコレート、セミスイートチョコレート、バターミルクチョコレート、スキムミルクチョコレート、混合乳製品チョコレート、低脂肪チョコレート、ホワイトチョコレート、非規格チョコレート、およびチョコレート様組成物を含む。
【0065】
低脂肪チョコレートは、チョコレート原料を含む固形物、ならびに、基礎乳化剤および少なくとも1つの他の乳化剤の組合せを含有する。油脂とチョコレート原料を混合し、その混合物に基礎乳化剤を添加し、その後、少なくとも1つの他の乳化剤を添加することによって、チョコレートを調製する。得られた菓子は、十分な脂質を含有する菓子のきめを有する。
【0066】
チョコレートは、例えばバーまたは新規な形状のような、チョコレートの固形物の形状であってよく、あるいは他のより複合的な菓子の材料として組込まれてもよく、その際に、チョコレートは、例えばキャラメル、ピーナッツ、バター、ヌガー(nougat)、果実片、木の実、ウェハース、アイスクリーム等の他の食品と混合され、通常それら他の食品を被覆する。それら食品は、通常の雰囲気条件下で、約65°Fから約85°F(約18℃から29℃)において微生物学的に保存安定であると特徴付けられる。
【0067】
チューにおいて、シロップは、約50質量%から約85質量%、好ましくは約60質量%から約80質量%、より好ましくは約65質量%から約80質量%、さらに最も好ましくは約70から約75質量%の量で含まれる。また、カカオ固形物は、約15質量%から約50質量%、好ましくは約20質量%から約40質量%、より好ましくは約25質量%から約30質量%の量でチューに含まれる。割合(%)は、チューの全質量を100%として表す。シロップの水分含量は約1%から約15%、好ましくは約3%から約12%、さらに最も好ましくは約5%から約10%である。
【0068】
チョコレートチューを調製する場合、約20℃から約160℃の、好ましくは約50℃から約120℃、より好ましくは約80℃から約110℃の温度で、前処理したチョコレート固形物とシロップとを混合し、その後、約5℃から約60℃、好ましくは約15℃から約40℃、より好ましくは約20℃から約30℃まで冷却し、さらのその後成形する。
【0069】
グラノーラバーを調製する場合、好ましくは、前処理した固形物とシロップとを、固形材料に添加する前に、直接混合し、得られたバインダーシロップを乾燥材料に添加する。上述した混合および冷却温度はバーにも適している。
【0070】
試験方法
カカオプロシアニジン含量の特定
カカオ固形物、バインダーシロップ、チョコレート食品(例えばグラノーラバー)、およびチョコレート菓子(例えばブラックまたはホワイトチョコレートチュー)のカカオプロシアニジン含量は、蛍光検出器を備えたシリカでの順相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって特定した。その方法の詳細は、Adamson, G.E., Lazarus, S.A., Mitchell, A.E., Prior, R.L., Cao, G., Jacobs, P.H., Kremers B.G., Hammerstone, J.F., Rucker R., Ritter. K.A., Schmitz, H.H., "HPLC Method for the Quantification of Procyanidins in Cocoa and Chocolate Samples and Correlation to Total Antioxidant Capacity", J. Ag. Food Chem.; 1999; 47(10) 4184-4188に記載されている。プロシアジジンの抽出の前にカカオ固形物を脱脂した。バインダーシロップおよびチョコレート製品(例えばチョコレートチューおよびチョコレートグラノーラバー)を細かい粉末に挽き(cyro-groud)、すぐに抽出した。70%のアセトン、29.5%の水、および0.5%の酢酸を用いた。バインダーシロップおよび最終製品は、プロシアニジンの抽出前に脱脂しなかった。カカオプロシアジニンの定量は、よく特徴付けられている合成の参照標準物質を用いて実施した。試料を合成標準と比較して、プロシアニジンの濃度を正確に特定した。
【0071】
カカオ固形物中のメチルキサンチンの特定
様々なカカオ豆から調製されたカカオ固形物中のテオブロミンおよびカフェイン含量は、以下に記載の方法を用いて特定した。通常、まず固形物をヘキサンで抽出することによって脱脂する。
【0072】
テオブロミンおよびカフェイン含量は、§35 LMBG “Amtliche Sammulung von Untersuchungsverfahren” L-18.00-16 Bestimmung von Theobromin und Coffein in feinen Backwaren” Cocoa Atlas 2002, Methodology-p.17, 2002 Foundation of the German Cocoa and Chocolate Industry and Prof. Dr. R. Lieberei, Dipl.-Biol. C. Rohsiusに基づき分析した。テオブロミンおよびカフェインの特定は、UV検出器を備えたRP−HPLCによって実施した。
【0073】
200mlの目盛り付きフラスコ中で0.500gの脱脂した挽きカカオ粉末の全量を160mlの沸騰した蒸留水と混合し、30分間沸騰した浴槽中に入れて時折攪拌した。続いて、試料を20℃まで冷却し、1mlのCarrez 1(K4[Fe(CN)6]x3H2O; β=150g/l)および1mlのCarrez II(ZnSO4x7H2O;β=300g/l)によって精製し、蒸留水で満たし、さらに攪拌した。次に、軟らかい折りたたんだフィルター(Schleicher&Shuell 595 1/2)を通してろ過し、3mlのろ液を蒸留水で希釈して全量25mlにした。HPLC分析のため、0.45μmのフィルターでろ過した。
【表1】


【表2】


【0074】
カカオ豆のテオブロミンおよびカフェインの含量は、豆の起源および発酵係数によって変動するが、含量は、カカオ固形物またはチョコレート液の最終食品への加工の間にそれほど顕著に変化しない。従って、カカオプロシアニジンと異なり、最終カカオ製品中のメチルキサンチンの割合(%)を用いて、最終チョコレート製品を調製するのに用いるカカオ固形物またはチョコレート液の量を決めることができる。通常、テオブロミンは1.13%から1.49%に及び、カフェインは0.06から0.29%に及ぶ。
【0075】
以下の実施例は、本発明のある好ましい実施形態を説明することを意図しており、本発明の限定することを意図していない。
【実施例1】
【0076】
カカオ豆から高CPカカオ固形物を調製する方法
約7から8質量%の初期水分含量を有する市販のカカオ豆をスカルペレーター(scalperator)中で予備清浄した。スカルペレーターから取り出した予備清浄した豆をエアー流動床密度分離機(air fluidized bed density separator)中でさらに洗浄した。約1,701kg/時間の速度で予備清浄したカカオ豆を赤外線加熱装置に通す。装置の振動ベッドにおける豆の深さは、約2−3豆の深さである。装置の表面温度は約165℃であり、それによって、1から1.5分の時間で約135℃の豆内部温度(IBT)が得られる。この処理は、殻を迅速に乾燥させ、カカオニブから分離させる。ふるい分け工程に先立ち、装置の前にある振動ふるいによって分離した割れた小片を製品の流れ (product stream)に再導入した。微粉化の後得られた豆は、約3.9質量%の水分含量を有する必要がある。そのような豆は約135℃のIBTで得られ、約3分間で約90℃の温度まで急冷して、さらなる水分損失を最小限にする。その後、豆をふるい分けし、豆に亀裂を入れて殻を緩くし、ニブからより軽い殻を分離し、一方で同時に殻廃棄流 (shell reject stream)と共に失われるニブの量を最小限にする。
【0077】
得られたカカオニブを、2つのスクリュープレスを用いてプレスして、カカオ固形物からバターを抽出する。
【0078】
上記の方法に基づき未発酵カカオ豆(発酵係数233)から作成したカカオ固形物の試料は、上記で参照されている方法に基づき分析した場合、通常、脱脂カカオ粉末1g当り、約50から約75mg、好ましくは約60から約75mg、あるいはより好ましくは約75から約80mgの全カカオプロシアニジン含量を有する。
【実施例2】
【0079】
カカオポリフェノールを含有するチョコレート液の製造
初期水分含量7.4質量%、および発酵係数レベル233(スレート色31%、紫色29%、紫褐色22%、および褐色17%)を有する標準平均品質(FAQ)のカカオ豆を出発材料として選択した。次に、カカオ豆を赤外線加熱装置に通した。豆が受ける熱処理の量を制御するために、赤外線加熱器を通す豆の供給速度、および赤外線加熱器床角度(bed angle)を変えた。豆が赤外線加熱器中で費やした総時間(滞留時間)は、床角度および供給速度により決定した。試料物質を調製するために費やした時間を下記の表に記載した。また、マイクロナイザーの排出口で、豆のIBTを測定した。予測値も表に示す。
【0080】
様々なIBTで赤外線加熱器から回収した1kgの赤外線加熱豆の試料をより小さな小片に破砕して、ニブの外皮からの分離を促進させる。亀裂の入った豆を実験室スケールのふるい分けシステムに通過させる。次に、カカオニブを挽いて粗い液状にし、それを圧搾および研磨してニブをチョコレート液にする。粉砕機における液体の通常の操作温度は、約50℃である。カカオニブを1時間粉砕する。予測されたカカオポリフェノール値を以下に示す。
【表3】


【実施例3】
【0081】
高CPカカオ固形物と共にステロールエステルを含有するチュー
例えばZ−ブレードミキサー(Z-blade mixer)において、ステロールエステル、カカオ固形物、レシチン、およびブラックチョコレート液またはミルクチョコレート液を予備混合して前処理したカカオ固形物を調製することによって、以下の材料からチューを調製した。残りの材料を含む調理済みシロップ(66℃まで加熱)に、前処理したカカオ固形物を加えた。シロップの水分含量は約9%であった。混合物をゆっくり冷却し、巻き、そして包んだ。最終混合物の水分含量は約8.3−8.7%であった。
【0082】
チューを調製するのに用いるカカオ固形物は、脱脂カカオ固形物1g当り、約50から約80mgのカカオプロシアニジン含量を有する。チューを調製するのに用いられたキャノーラステロールエステルは、Raisio Benecol Ltd., Finland またはRaisio Staaco U.S., Inc.によって供給された。それらは、約30℃の融点を有しているが、完全な液体化を確実にするために、約50−60℃で加熱した。混合物中に存在するフィトステロールは、β−シトステロール(50.6%)、カンペスエロール(27.6%)、スチグマステロール(16.8%)、および1996年3月26日発行の米国特許第5,502,045号に記載のエステル交換反応を用いてエステル化された他のステロール(5%)を含む。
【表4】


【表5】


【実施例4】
【0083】
チョコレートグラノーラバー
高速ミキサーにおいて約55℃で15分間材料を混合することによって、コーンシロップに可溶化または分散させた全ての少量の材料(すなわち、ビタミン混合物、黒砂糖、塩、バニラ)を含有するシロップを調製した。キャノーラステロールエステル、チョコレート液、およびレシチンの混合物と高CPカカオ固形物とを混合し、さらに例えば高速ミキサーで約15分間のように短時間混合して、前処理したカカオ固形物を作成した。インラインミキサーにおいて、水性シロップ流と前処理したカカオ固形物流とを可能な限りぎりぎりに混合してバインダーシロップを作成し、さらにその後、乾燥材料(すなわち、米、大豆、カラスムギ、および任意的なアーモンド、チェリー、およびブルーベリー)と混合した。混合物を厚板として蒸着し、加圧し、バー状に細長く切り、冷却した。
【表6】


【表7】


【表8】


【表9】


【0084】
5−20質量%、好ましくは約7−14質量%の細断したアーモンドを乾燥ミックスに添加することによってチョコレートアーモンドクランチバーを調製した。同様に、4−20質量%、好ましくは6−14質量%の乾燥ブルーベリーまたはチェリーを乾燥ミックスに添加することによってチョコレートブルーベリークランチバーおよびチョコレートチェリークランチバーを調製した。
【実施例5】
【0085】
バインダーシロップの調製
同一組成の2つのバインダーシロップを調製し、高CPカカオ固形物を前処理することの効果について比較した。乾燥材料(大豆クリスプ、クリスプライス、およびカラスムギ)を用いないことを除いて実施例4で用いたのと同じ組成を用いた。比較のバインダーシロップでは、シロップ材料、ならびに高CPカカオ固形物、ステロールエステル、チョコレート液、および大豆レシチンを全て1工程で混合した。新規なバインダーでは、前処理した高CPカカオ固形物と、シロップとを別個に調製し、その後、その2つの液を合わせた。両方の試験において、全ての材料を50から60℃の温度で維持した。
【0086】
上述した分析方法を用いて、前処理したまたは前処理していないカカオ固形物を含有するバインダーシロップの平均カカオプロシアニジン含量を特定した。結果を以下の表に示す:
【表10】


【0087】
結果は、未処理カカオ固形物を用いた場合、最初の15分の混合の間に約10質量%のカカオプロシアニジンが失われ、さらにほんの60分の混合の後に約32質量%が失われた。前処理したカカオ固形物から調製したシロップは、60分まで全くカカオプロシアニジンが失われないことを示した。前処理カカオ固形物を用いてバインダーシロップを調製した場合、少なくとも89質量%から100質量%のカカオプロシアニジンが保持された。前処理したカカオ固形物を用いて調製したバインダーシロップをブラックまたはミルクチョコレートチューまたはチョコレートグラノーラバーに配合した場合、それ以上全く損失はなかった。
【0088】
当業者に明白な他の変化および改変も本発明の範囲および教示に含まれる。本発明は、以下の請求項以外によっては全く限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、前処理した抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子とシロップからのチューの調製、ならびに前処理した抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子とシロップと乾燥材料からの食品の調製を示すフローチャートである。バーの調製において、前処理した抗酸化剤とシロップとを混合して、乾燥材料に添加するためのバインダーを形成する。前処理した抗酸化剤または抗酸化剤含有粒子、シロップ、および乾燥材料中に加えるための任意材料を示す。
【出願人】 【識別番号】390037914
【氏名又は名称】マーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
【出願日】 平成16年9月27日(2004.9.27)
【代理人】 【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史

【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛

【公開番号】 特開2005−95177(P2005−95177A)
【公開日】 平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願番号】 特願2004−279501(P2004−279501)