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【発明の名称】 ブロック状チョコレートとその製造方法
【発明者】 【氏名】恩村 祐介
【住所又は居所】埼玉県坂戸市千代田五丁目3番1号 明治製菓株式会社食料総合研究所内

【氏名】古谷野 哲夫
【住所又は居所】埼玉県坂戸市千代田五丁目3番1号 明治製菓株式会社食料総合研究所内

【要約】 【課題】内部にファットブルームが発生しない、ブロック状チョコレートとその製造方法を提供する。

【解決手段】チョコレート生地に、BOBを添加し、該チョコレート生地を型に注入した後攪拌することを特徴とするブロック状チョコレートの製造方法と、その方法による得られるブロック状チョコレートを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョコレート生地に、BOBを添加し、該チョコレート生地を型に注入した後攪拌することを特徴とするブロック状チョコレートの製造方法。
【請求項2】
BOBの添加時のチョコレート生地温度が30〜38℃である請求項1記載のブロック状チョコレートの製造方法。
【請求項3】
BOBの添加量がチョコレート生地に対し、1%以上5%以下である請求項1または2記載のブロック状チョコレートの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法により製造されるブロック状チョコレート。























【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、内部がブルーミングしない、厚さ50mm以上のブロック状に成型したチョコレート(以下単に「ブロック状チョコレート」という)とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、チョコレートはカカオマス、ココア、カカオ脂、カカオ代用脂、甘味料および粉乳などを適宜混合し、ロール掛け(微粒化)、コンチング(精練)およびテンパリング(調温)処理して製造されるが、製造過程での内部ブルーム現象は発生しない。一方保存中に高温下ではブルーム現象が起こり、商品価値を損なうことがあった。このようなブルーム現象には、油脂の不安定結晶に基づくファットブルームと砂糖の再結晶化に基づくシュガーブルームとがあり、特にファットブルームの発生が多い。その発生を防止するために、炭素原子数18個以上の不飽和脂肪酸と炭素原子数20〜24個の飽和脂肪酸からなる2-不飽和-1、3-ジ飽和グリセリドを主成分とする結晶粉末を添加するチョコレートの製造方法について特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開昭63−240745
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ブロック状チョコレートを作ろうとする場合、通常のごとくチョコレート生地のテンパリングを行っても内部にファットブルームが発生してしまう。すなわち、テンパリングしたチョコレート生地を型に注入すると、注入したチョコレート生地が厚く、中心部付近は表面まで距離があるので、ただちには冷却されない。
【0004】
なお、本発明でいうチョコレートとは規約ないし法規上の規定に限定されるものではなく、カカオ脂及びカカオ代用脂を使用したテンパー型のチョコレート、油脂加工食品、及びそれを他の可食物と組み合わせたものを含む。
【0005】
チョコレート生地は表面に近い部分から冷却がはじまり、テンパリングにより析出した安定結晶を核として油脂の結晶化が進む。この結晶化の過程において結晶化熱が発生する。チョコレート生地を薄く成型する場合は、結晶化熱が発生しても表面より直ちに冷却されるのに対し、厚みがある場合、熱がチョコレート生地内部に蓄積するため、中心部付近の温度が高くなり、テンパリングによって形成された安定結晶が融解してしまう。その結果、内部にファットブルームが発生する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、内部がブルーミングしないブロック状チョコレートとその製造方法を発明するに至った。
すなわち、本発明はチョコレート生地に、BOB(1、3−ジベヘノイル-2-オレオイル-sn-グリセロール:1,3-dibehenoyl-2-oleoyl-sn-glycerol)の結晶粉末(以下単に「BOB」という)を添加し、該チョコレート生地を型に注入した後攪拌することを特徴とするブロック状チョコレートの製造方法とその製造方法により製造されるブロック状チョコレートを提供する。
【発明の効果】
【0007】
上記方法により、内部がブルーミングしない厚さ50mm以上のブロック状チョコレートの製造が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、%とは特に断らない場合は、重量%を表す。上記発明を実施するための最良の形態としては、BOB添加時のチョコレート生地温度は30〜38℃が好ましい。BOBを添加したチョコレート生地は単独でも、他の素材と混合した状態でも構わない。30℃以下ではチョコレート生地中のカカオバターの結晶が析出し粘度が上昇してしまい作業性、成型性が悪くなる。38℃以上ではBOBが融けてしまい、結晶核となりえない。
【0009】
また、型に注入したチョコレート生地を攪拌しないと、BOBを添加してもブルーミングの発生を抑えられないが、攪拌する方法としては、型中のチョコレート生地を万遍なくかき混ぜることができれば、棒状のもの、スプーン状のもの、櫛状のもの等攪拌する道具の形状や攪拌するスピード、回転数等にはこだわらない。また、必要に応じてチョコレート生地の攪拌前後において、チョコレート生地を型の隅々まで行き渡らせるためにタッピングをしても構わない。BOB添加量はチョコレート生地に対し、1%以上5%以下とするのが好ましい。1%以下ではブルーミングを抑えるのに十分な結晶核の量ではなく、5%以上ではチョコレートの口溶けが悪くなり、食するのに適さなくなる。
【0010】
以下に実施例を例示して、本発明の製造方法を更に詳細に説明するが、これらは例示であって、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0011】
カカオマス45%、砂糖40%、ココアバター14.5%、レシチン0.5%のチョコレート生地を調製した。該チョコレート生地を35℃にした状態で、BOBシード剤(不二製油社製:チョコシードB(商品名)BOB50%、粉糖50%)を該チョコレート生地に対し5%添加した。このチョコレート生地を、210mm×100mm×60mmの型に流し込み、よくタッピングして生地を隅々まで行き渡らせ、かつ気泡を除いた。その後撹拌棒(長さ300mm、直径8mm)を用いて、型に充填したチョコレートをよく撹拌した。その後タッピングして気泡を取り除いた後、5℃の冷蔵庫にて6時間冷却し、型から剥離した。該チョコレートは、内部にブルーミングが見られず、良好な艶と口溶けを有していた。
【実施例2】
【0012】
チョコレート生地を流し込む型の大きさを100mm×100mm×100mmにした以外は実施例1と同様にチョコレートを製造した。該チョコレートは、内部にブルーミングが見られず、良好な艶と口溶けを有していた。
【実施例3】
【0013】
ココアバター38.0%、砂糖33.0%、全粉乳27.0%、乳糖1.5%、レシチン0.5%のホワイトチョコレートを調製し、その他は実施例1と同様に処理した。該チョコレートは、内部にブルーミングが見られず、良好な艶と口溶けを有していた。
比較例1
実施例1のチョコレート生地を融解し、攪拌しながら26℃まで冷却し、しかる後30℃まで昇温しテンパリングを行った。このチョコレート生地を、210mm×100mm×60mmの型に流し込み、よくタッピングして生地を隅々まで行き渡らせ、かつ気泡を除いた。その後撹拌棒(長さ300mm、直径8mm)を用いて、型に充填したチョコレートをよく撹拌した。さらにタッピングして気泡を取り除いた後、5℃の冷蔵庫にて6時間冷却し、型から剥離した。該チョコレートの表面はブルーミングしておらず艶はあるが、切断すると内部はブルーミングしており、ぼろぼろになり口溶けの悪いものであった。
比較例2
BOBシード剤の添加量をチョコレート生地に対し1%とする以外は実施例1と同様にチョコレートを製造した。該チョコレートの表面はブルーミングしておらず艶はあるが、切断すると内部はブルーミングしており、ぼろぼろになり口溶けの悪いものであった。
比較例3
BOBシード剤の添加量をチョコレート生地に対し12%とする以外は実施例1と同様にチョコレートを製造した。該チョコレートは、内部にブルーミングが見られず、良好な艶を有していたが、口溶けの悪く、ワキシーな食感であった。
比較例4
BOBシード剤添加時のチョコレート生地温度を28℃とする以外は実施例1と同様にチョコレートを製造した。該チョコレートは作業中に粘度が上昇し、気泡が抜けず、チョコレート底面が平滑にならず波を打ったような状態になり、きれいに成型できなかった。
比較例5
BOBシード剤添加時のチョコレート生地温度を40℃とする以外は実施例1と同様にチョコレートを製造した。該チョコレートの表面及び内部はブルーミングしており、ぼろぼろになり口溶けの悪いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明によれば、チョコレートの内部をブルーミングさせずに、厚さ50mm以上のブロック状に成型したチョコレートを安定的に製造することができる。これにより通常薄い板状であったチョコレートの大きさ、形状に多様性を持たせることができる。また、業務用商材としてダンボール詰めや缶詰にする際にも、本発明の方法を応用することにより、チョコレート生地を良好な状態で保存することができ、チョコレート業界に利するところ大であると思われる。



















【出願人】 【識別番号】000006091
【氏名又は名称】明治製菓株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋2丁目4番16号
【出願日】 平成15年9月10日(2003.9.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−80597(P2005−80597A)
【公開日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願番号】 特願2003−317686(P2003−317686)