| 【発明の名称】 |
アイスクリームの安定剤及び製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 恵一
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| 【要約】 |
【課題】高オーバーラン(気泡含量)と、優れたボディー感及び食感とを得ることができるアイスクリーム用安定剤及びアイスクリームの製造方法を提供ものを提供する。
【解決手段】エーテル化度が0.8〜2.0であって、2%水溶液粘度が100〜2000mPa・sのカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩を安定剤として用い、アイスクリーム原液(ミックス)中に0.1〜2.0重量%となるように配合する。これにより、原液重量を基準とした空気の含有量(オーバーラン)が50〜200重量%であって、かつ、低オーバーランのものと同様のボディー感及び食感を有するアイスクリーム製品を得ることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原液重量を基準とした空気の含有量が50〜200重量%であるアイスクリーム製品を製造するのに用いる安定剤において、エーテル化度が0.8〜2.0であって、2%水溶液粘度が100〜2000mPa・sのカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩からなることを特徴とするアイスクリーム用安定剤。 【請求項2】 エーテル化度が0.8〜2.0であって、2%水溶液粘度が100〜2000mPa・sのカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩を、原液中の含有率が0.1〜2.0重量%となるように添加し、原液重量比の空気の含有量が50〜200重量%となるように起泡した状態で凍結することを特徴とするアイスクリームの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、アイスクリーム原液に添加されて流動性等の溶液物性を改良し起泡状態を安定化させるための安定剤(改良剤)及びこれを用いるアイスクリームの製造方法に関する。特には、微細な気泡の状態で含有する空気の含量を高くしつつ、ボディー感及び触感を維持することのできる安定剤及びアイスクリームの製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 アイスクリームを製造するには、一般に、まず、牛乳、脱脂粉乳等の乳成分と、クリーム、バターまたは植物性油脂と、糖類と、乳化剤及び安定剤とを混合して、ミックスと呼ばれる原液を調製する。この原液には、必要に応じて、香料や色素、卵黄等が含まれる。次いで、このアイスクリーム原液について、凍結状態への冷却と、撹拌を行い空気を混合する処理とを行う。 【0003】 アイスクリーム用ミックス100重量部に対して、含有される空気の重量(%)をオーバーランと呼ぶが、このオーバーランが高いほど、アイスクリーム製品に占めるミックスの重量比率が減少する。その結果、同じ容積のアイスクリームを製造するための原料コストが低くなる。また、特には、糖分やカロリーの過度の摂取を抑える効果を有する。しかし、オーバーランを高くしようとすると、アイスクリームのボディー感や食感が損なわれてしまうため商品価値の著しい低下を招いてしまう。 【0004】 そこで、オーバーランを高くとりつつ食感を維持すべく、乳化剤や安定剤の配合組成についての改良が試みられている(特許文献1〜2)。特許文献1においては、酵素改質レシチンを卵黄と組み合わせたものを乳化剤ないし改質剤として用いることにより、フリージング時のオーバーランのコントロールを良好にし、アイスクリームの組織をなめらかにすることが提案されている。 【0005】 また、特許文献2においては、安定剤として、微結晶セルロースとグアーガムとキサンタンガムとを配合したものを用いることにより、高オーバーランでの食感の低下を防ぐことが提案されている。 【0006】 一方、特許文献3においては、ホイップ化した状態での長期保存性を向上させる目的で、安定剤として、食品グレードの低エーテル化度(0.7以下)のカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩を、微結晶セルロースに少量添加して組み合わせたものを用いることが提案されている。具体例において、アイスクリーム原液中におけるカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩の含有率は0.1重量%であり、微結晶セルロースの含有率は0.45重量%である。またオーバーラン(超過量)が85%である。 【特許文献1】特開平4−360651号公報 【特許文献2】特開平11−75699号公報 【特許文献3】特開平5−168415号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 上記従来技術の安定剤ないし改良剤では、食感の改良が不充分であるか、またはオーバーランの程度もしくは安定性が不充分であった。また、安定剤が複数種の成分からなり、場合によってはこれら成分を予め混合しておいて用いる必要があった。 【0008】 本件発明者は、上記問題点に鑑み鋭意検討した結果、安定剤として、従来用いられていたものよりも高いエーテル化度のカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩であって2%水溶液粘度が特定の範囲内であるものを用い、しかも特定の範囲の添加量を採用するという比較的シンプルな方法で、高オーバーランと優れた食感とを達成することができた。 【0009】 すなわち、本発明は、高オーバーランと、優れた食感とを得ることができるアイスクリーム用安定剤及びアイスクリームの製造方法を提供しようとするものである。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明のアイスクリーム用安定剤は、原液重量を基準とした空気の含有量が50〜200重量%であるアイスクリーム製品を製造するのに用いる安定剤において、エーテル化度が0.8〜2.0であって、2%水溶液粘度が100〜2000mPa・sのカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩からなることを特徴とする。 【0011】 また、本発明のアイスクリームの製造方法は、エーテル化度が0.8〜2.0であって、2%水溶液粘度が100〜2000mPa・sのカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩(CMC−Na)を、原液中の含有率が0.1〜2.0重量%となるように添加し、原液重量比の空気の含有量が50〜200重量%となるように起泡した状態で凍結することを特徴とする。 【発明の効果】 【0012】 微細な気泡の状態で含有する空気の含量(オーバーラン)を高くしつつ、低オーバーランの場合と同様のボディー感及び触感を得ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 本発明のアイスクリーム用安定剤に用いるカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩は、エーテル化度が0.8〜2.0である。エーテル化度が0.8未満であると、原液の粘着力が不足し、アイスクリーム製品とした際のボディー感が不充分となる。エーテル化度が2.0を超えるとカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩の製造コストが大きくなり好ましくない。 【0014】 安定剤に用いるカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩は、2重量%水溶液の粘度(BM型回転粘度計、25℃、絶乾重量基準)が100〜2000mPa・sである。100mPa・s未満のものでは、添加量を増加させても充分なボディー感が得らない。一方、2000mPa・sを超えると、アイスクリーム製品のソフト感が損なわれるなど食感に悪影響を与える。 【0015】 増粘性を有する安定剤は、好ましくは、上記のようなカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩のみからなるか、または、これを大半の成分として他の少量の安定剤成分が配合されたものである。必要に応じて、ローカストビンガム、アルギン酸ソーダ、グアガム、カラギーナン等を、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩より少ない重量の範囲で配合することができる。 【0016】 アイスクリームを製造する際、上記カルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩は、原液(ミックス)中における含有率が0.1〜2.0重量%となるように添加する。0.1重量%未満では、安定剤としての効果が不足し、2重量%を超えると、アイスクリーム製品が固くなり食感にかえって悪影響を与える。 【0017】 アイスクリームの製造用の原液(ミックス)を調製する際には、糖類及び油脂成分に、上記安定剤が配合される他、必要に応じて、乳化剤が配合される。好ましい乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。 【0018】 用いる糖類及び油脂成分は、冷菓製造に一般に使用されているものならばいずれも使用可能である。糖類としては、例えば、砂糖、水飴及び異性化糖のうちから適宜選択して、アイスクリーム原液中の固形分が5〜50重量%で該原液の甘味度が5〜40度の範囲内となるように配合する。また、油脂成分としては、乳脂、ヤシ油、パーム油、ナタネ油等の食用植物油を単独でまたは複数を組み合わせて用いることができる。この際、アイスクリーム原液中の油脂の含有率は、15重量%以下に設定される。なお、場合により油脂を省いても良い。 【0019】 アイスクリーム原液(ミックス)を調製するには、上記の各原料成分を水と混合し、例えば、70〜90℃、好ましくは約80℃にて、約10分間撹拌して均一なブレンド液とする。次いで、このブレンド液を典型的な酪農用のホモジナイザーに通す。ホモジナイズ処理は、一段階でも良いが、より好ましくは二段階で行うことができる。二段階で行う場合、好ましくは、第一段において圧力を約10〜100kg/cm2とし、最も好ましくは約50kg/cm2とする。また、第二段において、圧力を約50〜200kg/cm2とし、好ましくは約100kg/cm2に維持する。アイスクリーム原液は、ホモジナイズ処理中に、約60〜70℃に保持される。 【0020】 ホモジナイズ処理の終了後、アイスクリーム原液は、冷却されて、5〜10℃にて約2〜24時間保持されるのが好ましい。このような冷却の後、アイスクリーム用のフリーザー中にてフリージングする。取り出しの際のアイスクリーム製品の温度は、−3℃〜−7℃であり、オーバーランは20〜200%の範囲、好ましくは60〜120%である。 【0021】 このようにして得られるアイスクリーム製品には、ラクトアイス、アイスミルク等が含まれ、場合によっては、ソフトクリームや、ミルクセーキ等も含まれる。 【実施例】 【0022】 次に、本発明の実施例及び比較例について、ラクトアイスを調製する場合を例にとり説明する。 【0023】 ラクトアイスを調製する配合処方(重量組成)は、以下の通りである。 【0024】 脱脂粉乳 8.0(重量%) グラニュー糖 7.0 果糖・ブドウ糖液糖 6.5 水あめ(DE38) 4.5 精製やし油 5.5 ショ糖脂肪酸エステル 0.2 (第一工業製薬(株)DKエステルF−50) 安定剤 0.5 水 67.8 上記配合処方における安定剤は、実施例でカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩である。カルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩のエーテル化度及び2%水溶液粘度の測定は、具体的には以下のようにして行った。 【0025】 エーテル化度:灰化測定法を用いた。詳しくは、約1g(絶乾重量)の粉末試料を精秤し、ろ紙に包んで磁性ルツボ中に入れ、600℃で充分に灰化させた。次いで、生成した水酸化ナトリウムを、0.1N硫酸により、フェノールフタレインを指示薬として中和滴定し、次式により算出した。 【0026】 エーテル化度=162×A/(1000−80×A) ここで、Aは、滴定に要した0.1N硫酸のml数をその力価により補正したものである。 【0027】 2%水溶液粘度:105℃2時間の乾燥により水分含量を測定しておく。そして、約5gの試料をトールビーカーにとり、水分含量補正後の重量(絶乾重量)を基準として2重量%となるように水を加え、一昼夜放置後、さらにマグネチックスターラーで約5分間撹拌して、均一な液とする。30分間25℃の恒温水槽に静置後、BM型粘度計により回転数60rpmnでローターを回転させ、3分後の読みから粘度を測定した。 【0028】 アイスクリーム原液の調整は、上記配合処方にしたがって以下のように行った。まず、40℃に加熱しておいた水に、果糖・ブドウ糖液糖及び水あめを加えて、撹拌混合しつつ、脱脂粉乳、グラニュー糖及び乳化剤を、この順で逐次添加した。この後、精製ヤシ油を加え、さらに80℃で10分間撹拌して均一なブレンド液を得た。 【0029】 次いで、少量の水を加えて上記配合処方の含量となるように調整した後、ホモジナイズ処理を行った。この際、第一段にて50kg/cm2、第二段にて150kg/cm2とし、約70℃に維持されるようにした。このようにして均質化した後、5℃まで冷却してから、フリージングを行い、ラクトアイス製品を得た。 【0030】 そして、ラクトアイス製品について、オーバーランを測定するとともに、官能テストにより食感を評価した。得られた結果について、下記表1にまとめて示す。 【0031】 【表1】
上記表に示すように、安定剤として、所定のカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩(CMC−Na)を用いることにより、高オーバーランと、優れた食感とを共に実現することができた。 【0032】 これに対して、従来一般に用いられていた低いエーテル化度のカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩を安定剤として用いた比較例1においては、オーバーラン及び食感のいずれにおいても劣るものとなった。また、エーテル化度が実施例3と同様で2%水溶液粘度が極端に低い比較例2においては、得られるオーバーランが低い他、こしのある感を得ることができなかった。 【0033】 また、天然多糖類を用いた比較例3〜5においては、いずれも、ある程度のオーバーランが得られたものの、しっとり感が得られず、実施例に比べて食感が著しく劣る結果となった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003506 【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成15年9月8日(2003.9.8) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−80548(P2005−80548A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月31日(2005.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願2003−315175(P2003−315175) |
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