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【発明の名称】 米菓の製造方法
【発明者】 【氏名】栗田 賢一
【住所又は居所】大阪府高槻市春日町7番16号 グリコ栄養食品株式会社内

【要約】 【課題】膨化に優れ、歯にべたつかないカリカリとした食感を有する米菓を製造し得る方法を提供すること。

【解決手段】米菓の製造に際し、タピオカ澱粉に架橋による化工処理と300〜1000ppmの有効塩素量の次亜塩素酸ソーダ処理とを併用処理することにより得られた化工澱粉を米菓に含有させる方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米菓の製造に際し、タピオカ澱粉に架橋による化工処理と300〜1000ppmの有効塩素量の次亜塩素酸ソーダ処理とを併用処理することにより得られた化工澱粉を米菓に含有させることを特徴とする米菓の製造方法。
【請求項2】
架橋化と300〜1000ppmの有効塩素量の次亜塩素酸ソーダ処理をpH10以上で併用処理することを特徴とする請求項1記載の米菓の製造方法。
【請求項3】
前記化工澱粉のイオン交換水で絶乾物換算6.0%重量濃度のブラベンダーアミログラフ粘度を測定する時、95℃粘度が300BU以上であり、かつ最高粘度と95℃粘度の差が100BU以下であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は米菓の製造方法に係わり、その目的とするところは膨化の改善、及びテクスチャーを改善した米菓の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米菓とは、モチ米を主原料とするあられ、おかき等とウルチ米を主原料としたせんべい等があげられる。
【0003】
米菓の製造に際し、従来より膨化の増加、テクスチャーの改善、さらに製造コストを下げる等の目的でワキシコーンスターチ、小麦澱粉、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉などの澱粉、またこれらの化工処理した化工澱粉、例えばリン酸架橋化、アセチル化、ヒドロキシプロピル化の一種または二種以上を併用したものが副原料として米菓に含有されている。
【0004】
これらの澱粉は製造条件、製品に求められるテクスチャーにより使い分けられているが、より膨化に優れ、ソフト感のある米菓を得る目的としてワキシコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、好ましくはワキシコーンスターチが使用されることが多い。
【0005】
しかしながらワキシコーンスターチを含有させた米菓においては膨化性、ソフト感に優れて、サクサクとしたテクスチャーであるが、噛んだ時に歯にべたつくという傾向があった。
【0006】
またワキシコーンスターチ以外の澱粉を米菓に含有させることは、膨化性で満たされるものではなかった。
【0007】
この膨化性とテクスチャーについては、化工澱粉についても同様であり、例えばアセチル化、ヒドロキシプロピル化された化工澱粉を米菓に含有させると、膨化性には優れているが、歯にべたつくという傾向があり、またリン酸架橋された化工澱粉を米菓に含有させると、膨化し難く、非常にガラス質のような硬い食感となる。
【0008】
さらには膨化性の改善のために澱粉以外の食品素材を添加することも提案されている。例えばαアミラーゼ(特許文献1参照)などの酵素類、キサンタンガム類などの増粘多糖類などの添加(特許文献2参照)により膨化性、ソフト感が改善されている。
【0009】
【特許文献1】特開昭51−104783
【特許文献2】特公昭56−19214
【0010】
しかしながらソフト性、膨化の改善の提案はされていても、カリカリとした歯にべたつかない食感については触れられていない。
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、膨化に優れ、歯にべたつきにくく、カリカリとしたテクスチャーを有する米菓を製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、副原料の澱粉としてタピオカ澱粉の原料澱粉から製造された架橋による化工処理と300〜1000ppmの有効塩素量の次亜塩素酸ソーダ処理とを併用処理することにより得られた化工澱粉を米菓に含有させることで膨化に優れ、歯にべたつきにくく、カリカリとしたテクスチャーを有する米菓を製造することを見出し本発明に達した。
【0012】
すなわち、タピオカ澱粉に架橋による化工処理と次亜塩素酸ソーダ処理とを併用処理することにより得られた化工澱粉を米菓に含有させることを特徴とする米菓の製造方法である。
【発明の実施の実態】
【0013】
本発明でいう化工澱粉とは、タピオカ澱粉に架橋による化工処理と次亜塩素酸ソーダ処理とを併用処理することにより得られたものであり、絶乾物換算6.0重量%濃度のブラベンダーアミログラフを用いて700CMGの感度で50℃より1分間に1.5℃ずつ昇温して95℃とし、更に95℃で15分間保持する条件で粘度を測定した時、95℃粘度が300BU以上であり、かつ最高粘度と95℃粘度の差が100BU以下のものである。
【0014】
架橋化の反応方法、試薬については限定されない。たとえばリン酸架橋化としてトリメタリン酸、ヘキサメタリン酸、オキシ塩化リンなど常用の架橋剤を用いる方法が挙げられ、用いる架橋剤の添加量で適宜調整することができるが、架橋化が強すぎることによって、澱粉粒の膨潤が極度に抑えられ、膨化し難いほど強い架橋化は好ましくない。要は、次亜塩素酸ソーダと併用処理することによって得られた化工澱粉のイオン交換水で絶乾物換算6.0%重量濃度のブラベンダーアミログラフ粘度を測定する時、95℃粘度が300BU以上であり、かつ最高粘度と95℃粘度の差が100BU以下であれば良い。
【0015】
微量の次亜塩素酸ソーダ処理とは、澱粉に対し300〜1000ppmの有効塩素量の次亜塩素酸ソーダで処理したものである。300ppmに達しない有効塩素量の処理では効果に乏しく、1000ppmより多くなると粘度が低くなり効果に劣る。また処理するpHとしては10以上であり、好ましくは、10.5〜11.5である。すなわち、澱粉をスラリー状態でpHを10以上にして、澱粉に対し300〜1000ppmの有効塩素量の次亜塩素酸ソーダを添加し、以下、常法通り、中和、水洗、乾燥させたものである。
【0016】
また、本発明で使用する化工澱粉の含有量は米菓の種類によっても変化するため限定されるものではないが、より効果的な含有量として、主原料に対して5〜95重量%が好ましい。
【0017】
米菓とは、モチ米を主原料とするあられ、おかき等とウルチ米を主原料としたせんべい等があげられるが、これらの呼称の差は、現在市販されている商品の中では明確に区別がつきがたく、本発明も米菓の製造技術の中で全般的に応用できるものである。
【実施例】
【0018】
以下に実施例および比較例を示す。特に断らない限り、部は重量部を表し、%は重量%を表す。
【参考例1】
【0019】
表1に示す割合で化工澱粉を作成した。すなわち、水160部に硫酸ナトリウム20部を溶解し、これにタピオカ澱粉100部を加えてスラリーとし、攪拌下、10%の苛性ソーダ溶液を加えてpHを11.0に維持しながら室温で、有効塩素量で300〜1000ppm(対澱粉)に該当する次亜塩素酸ソーダとオキシ塩化リン0〜0.006%を加えて1時間処理した後、希塩酸でpH6.0に中和し、水洗、乾燥して表1に示す試料No.1〜11の各種の化工澱粉を得た。
【0020】
【表1】


【0021】
前記試料の絶乾物6.0%重量%濃度におけるブラベンダーアミログラフのデータを表2に示す。
【表2】




【実施例1】
【0022】
参考例の試料No.1〜No.5を50部と水30部を加え十分混合後、その10gを団子状にし、せんべい焼き器で表・裏1分ずつ弱火で焼成した。出来上がりの製品の比容積と高さ、及び、歯へのべたつき感を調べた。ただし、比容積については、焼き上げ製品10枚を容器に入れ、間隙を菜種で満たし、重量あたりの容積を求めて比容積とした。また歯へのべたつき感については専門パネラー15人による官能検査結果をまとめた。測定結果、及び評価結果を表3に示す。
【0023】
【表3】



記号の説明:◎は歯へのべたつき感が非常に少ない、○は歯へのべたつき感が少ない、△は普通、×は歯にべたつく
【0024】
表3より、試料5のように架橋した澱粉は、べたつき感を抑えることが出来るが、比容積が小さく、膨化しにくいものになった。また、試料1〜4のように、次亜塩素酸ソーダ処理したものは膨化力に優れており、その添加量が多くなるにつれて比容積は増大したが、試料4のように次亜塩素酸ソーダの添加量が1000ppmを越えたものについては、膨化力は大きく増大したが、横へ広がるような膨化であり、高さに欠け、食感がべたついたものであり、好ましくなかった。
【実施例2】
【0025】
参考例の試料No.5〜No.11を100部、又は対象例として未化工のワキシコーンスターチ100部に上新粉100gを混合後、水160部を加え十分に捏ねりあげた。1Kgの蒸気圧で10分間蒸し、モチつき器で3分間捏ね、容器に充填し、成型し、約24時間5℃冷蔵保存した。2cm正方、厚さ1mmに切断し水分5〜8%になるまで自然乾燥させ、一定の火力で焼成した。出来上がりの製品の比容積、及び、食べやすさ・歯へのべたつき感を調べた。ただし、比容積については、焼き上げ製品50gをメスシリンダーに入れ、間隙を菜種で満たし、重量あたりの容積を求めて比容積とした。また、食べやすさ・歯へのべたつき感については専門パネラー15人による官能検査結果をまとめた。測定結果、及び評価結果を表4に示す。
<カリカリとした食べやすさ> ◎:非常に良い ○:良い △:普通 ×:悪い
<歯へのべたつき感> ◎:べたつき感が非常に少ない ○:べたつき感が少ない △:普通 ×:べたつき感が多い
【0026】
【表4】


【0027】
架橋による化工処理と微量の次亜塩素酸ソーダ処理とを併用処理することにより、膨化に優れ、かつ、歯にべたつきにくく、カリカリとした食べやすいテクスチャーの効果を確認出来た。
【発明の効果】
【0028】
以上の実施例からも知られるように、本発明によれば、従来の設備、工程を変えることなく膨化に優れ、歯にべたつかないカリカリとしたテクスチャーを有する米菓を製造することが可能となった。
【出願人】 【識別番号】000105095
【氏名又は名称】グリコ栄養食品株式会社
【住所又は居所】大阪府高槻市春日町7番16号
【出願日】 平成15年7月10日(2003.7.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−27644(P2005−27644A)
【公開日】 平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願番号】 特願2003−293968(P2003−293968)