| 【発明の名称】 |
嚥下困難者用飲料粉末 |
| 【発明者】 |
【氏名】濱千代 善規 【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1 キユーピー株式会社研究所内
【氏名】佐々木 真希 【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1 キユーピー株式会社研究所内
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| 【要約】 |
【課題】水を加えることにより容易に茶本来の風味を有し、かつ口腔衛生の改善効果に優れたゾル状飲料となる、嚥下困難者用飲料粉末を提供する。
【解決手段】嚥下困難者用飲料粉末が、茶固形分2〜10質量%、茶抽出物1〜6質量%、増粘多糖類5〜35質量%、及び賦形剤40〜92質量%を含有する。この嚥下困難者用飲料粉末1gには、好ましくは、カテキン10〜60mgが含まれる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 茶固形分2〜10質量%、 茶抽出物1〜6質量%、 増粘多糖類5〜35質量%、及び 賦形剤40〜92質量% を含有する嚥下困難者用飲料粉末。 【請求項2】 飲料粉末1gに水20mlを加えて得られる溶解物が、20℃において、pH6〜8、粘度1000〜8000mPa・s、堅さ1〜5×102N/m2、付着性10〜102J/m3のゾルである請求項1記載の飲料粉末。 【請求項3】 飲料粉末1gあたりのカテキン含量が10〜60mgである請求項1又は2記載の飲料粉末。 【請求項4】 増粘多糖類としてキサンタンガムを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の飲料粉末。 【請求項5】 増粘多糖類として、キサンタンガム3〜34質量%と、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム、タマリンドガム又はカラギーナン1〜10質量%を含有する請求項4記載の飲料粉末。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、嚥下困難者が容易に嚥下できるようにとろみをつけた茶風味のゾル状飲料を調製するための粉末であって、特に、口腔衛生の改善に寄与する飲料粉末に関する。 【背景技術】 【0002】 介護を要する高齢者の中には、飲食物の飲み込み機能が低下した嚥下困難者がおり、誤嚥による肺炎の発症が問題となっている。 【0003】 そこで、嚥下困難者の嚥下を容易にし、誤嚥を防止するため、従来よりゼリー状飲料が使用されている。 【0004】 また、このような高齢者は、日常生活において、歯磨き粉をつけたブラッシングやうがいを十分にすることが困難であるため、口腔内の衛生状態が不良になる傾向がある。これに対しては、ポリフェノールを含有させ、pHを4.6以下に調整したゲル状食品が提案されており、特に、ポリフェノール含有素材として緑茶微粉末を使用し、ポリフェノールの濃度を5〜1000ppmにしたものが提案されている(特許文献1)。 【0005】 一方、緑茶のゼリー状飲料に関しては、水に溶かすことにより容易にゼリー状緑茶飲料を調製できるようにする粉末が提案されている(特許文献2)。 【0006】 【特許文献1】特開2002−272391号公報 【特許文献2】特開2002−306073号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 特許文献1のゲル状食品は、口腔衛生の改善効果を高めるためにpHを4.6以下とし、このpH調整のために酸味料を使用する。そのため、このゲル状食品として緑茶のゼリー状飲料を調製する場合に、緑茶微粉末を使用しても、緑茶本来の風味になりにくいという問題があった。 【0008】 また、特許文献2の粉末を用いた緑茶のゼリー状飲料は、通常の緑茶に増粘多糖類でとろみをもたせたものと同等であり、口腔衛生上の格別の効果は得られない。 【0009】 そこで、本発明は、水を加えることにより容易に茶本来の風味を有し、かつ口腔衛生の改善効果に優れたゾル状飲料となる、嚥下困難者用飲料粉末を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明は、特定量の茶固形分と茶抽出物の双方を含有させることによりカテキンの含有量を高めると、中性域において口腔衛生上の顕著な改善効果を得られること、また、特定量の増粘多糖類を配合することにより、特に、増粘多糖類としてキサンタンガムを使用することにより、加水により得られるゾル状飲料に、嚥下困難者の嚥下障害の程度に応じた適度なとろみを付与できることを見出した。 【0011】 即ち、本発明は、茶固形分2〜10質量%、 茶抽出物1〜6質量%、 増粘多糖類5〜35質量%、及び 賦形剤40〜92質量% を含有する嚥下困難者用飲料粉末を提供する。 【0012】 特に、この嚥下困難者用飲料粉末において、増粘多糖類としてキサンタンガムを使用した態様、この嚥下困難者用飲料粉末1gに水20mlを加えて得られる溶解物が、20℃において、pH6〜8、粘度1000〜8000mPa・s、堅さ1〜5×102N/m2、付着性10〜102J/m3のゾルとなる態様を提供する。 【発明の効果】 【0013】 本発明の嚥下困難者用飲料粉末は、加水により容易に溶け、加水量の調整により、種々の粘度、堅さのゾル状飲料となる。したがって、本発明の飲料粉末によれば、個々の嚥下困難者に、嚥下障害の程度に応じた粘度、堅さのゾル状飲料を提供することができる。 【0014】 また、このゾル状飲料は、通常の緑茶等に比して多量のカテキンを含有し、かつ口腔内に対して適度な付着性を有する。したがって、嚥下困難者の口腔衛生を改善することができる。 【0015】 さらに、このゾル状飲料は、茶本来の風味を有し、特に緑茶を好む高齢者の嗜好に適合したものとなる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。 【0017】 本発明の嚥下困難者用飲料粉末は、加水により、嚥下困難者が飲み込みやすい適度な粘度と堅さのゾル状飲料となるものであって、特定量の茶固形分、茶抽出物、増粘多糖類、賦形剤を含有する。 【0018】 ここで、茶固形分とは、水性溶媒による茶の抽出液をスプレードライ等の手法で乾燥したものをいう。原料となる茶としては、不発酵茶、発酵茶のいずれを使用してもよく、不発酵茶としては、蒸熱製法による茶(玉露、煎茶、抹茶、番茶等)や釜炒茶(青柳茶、ほうじ茶等)をあげることができ、発酵茶としては、半発酵茶(烏龍茶)、発酵茶(紅茶)、後発酵茶(プアール茶)をあげることができる。 【0019】 茶固形分の含有量は2〜10%とする。茶固形分の含有量が少なすぎると、ゾル状飲料において茶の風味を得られず、多すぎても渋みが増すこと等により茶本来の風味を得られない。 【0020】 茶抽出物とは、熱水や有機溶剤を用いて上述の茶を抽出し、乾燥することにより得られるカテキン含有量を高めた水可溶性の固形物をいい、茶固形分とは異なる。茶抽出物としては、市販品(例えば、伊藤園社製、テアフラン)を使用することができる。市販の茶抽出物には種々のカテキン含有量のものがあり、カテキン含有量の高いもの程少量の添加で高い効果を得られる点で好ましいが、一般に、カテキン含有量の高い茶抽出物は高価であるため、カテキン含有量25%以上のものを使用することが好ましい。 【0021】 飲料粉末における茶抽出物の含有量は1〜6%とする。茶抽出物の含有量が少なすぎると、この飲料粉末から調製するゾル状飲料において十分にカテキン含有量を高めることができず、口腔衛生の改善効果を十分に付与することができない。反対に、多すぎるとゾル状飲料において渋みが増し、茶本来の風味が損なわれる。 【0022】 このように、本発明の飲料粉末においては特定量の茶固形分と茶抽出物を併用することにより、飲料粉末1g当りのカテキン含有量を10〜60mgとすることができ、これにより、飲料粉末から調製するゾル状飲料において、良好な茶の風味を維持しつつ口腔衛生を顕著に改善することが可能となる。即ち、カテキン含有量が10mg未満/g粉末では、ゾル状飲料のpHを中性域とする場合に十分に口腔衛生を改善することができず、反対に60mg/g粉末を超えるとゾル状飲料において渋みが増し、茶本来の風味が損なわれる。 【0023】 本発明の飲料粉末において増粘多糖類は、この飲料粉末から調製するゾル状飲料において、適度なとろみ、粘度、あるいは堅さを得るために配合する。 【0024】 増粘多糖類としては、例えば、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドガム、ジェランガム、アラビアガム、アルギン酸塩、寒天、ペクチン、プルラン等をあげることができ、その配合量としては、飲料粉末の5〜35%とすることが好ましい。 【0025】 嚥下に適した物性の点から、増粘多糖類の中でも、キサンタンガム単独、又は、キサンタンガムと他の増粘多糖類とを組み合わせて使用することが好ましい。この場合にキサンタンガムと組み合わせる増粘多糖類としては、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドガム等を使用することが好ましく、特に、キサンタンガム3〜34%とタマリンドガム1〜10%を飲料粉末に含有させることが好ましい。 【0026】 賦形剤は、上述の茶固形分、茶抽出物及び増粘多糖類の混合物を粉末状又は顆粒状に製剤し、加水した場合の溶解性を向上させるために配合する。 【0027】 賦形剤としては、デキストリン、コーンスターチ等の可溶性澱粉、乳糖等の少糖類等を使用することができるが、特に、即溶性の点からデキストリンを使用することが好ましい。 【0028】 飲料粉末における賦形剤の含有量は、茶成分やカテキンに対する含有量の点から40〜92%とすることが好ましい。賦形剤が多過ぎると相対的に茶成分やカテキンの含有量が少なくなり、口腔衛生について所期の改善効果を得られず、また、風味も低下する。反対に賦形剤が少な過ぎると、飲料粉末の溶解性が低下し、ダマになりやすい。 【0029】 本発明の飲料粉末は、以上の各成分に加えて、任意成分として植物繊維、甘味料、香料、ビタミン、ミネラル、各種たんぱく質又はその分解物等を配合することができる。 【0030】 このうち甘味料としては、口腔衛生の改善の点から、キシリトールを使用することが好ましい。 【0031】 本発明の飲料粉末は、加水により溶解し、容易にゾル状飲料となる。このゾル状飲料の物性は、例えば飲料粉末1gに水20mlを加えた場合、20℃において、pH6〜8、粘度(BH型粘度計、ローター No.3、10rpm、測定1分後の値)1000〜8000mPa・s、堅さ1〜5×102N/m2、付着性10〜102J/m3となる。このように、本発明の飲料粉末はpHが中性域のゾル状飲料を形成するものであり、酸味料は不要である。したがって、本発明の飲料粉末から得られるゾル状飲料は、茶本来の風味を有し、緑茶を好む高齢者の嗜好にも適合したものとなる。 【0032】 また、上述のゾル状飲料の物性において、堅さは、直径40mmの円柱状の容器にゾル状飲料を高さ15mmとなるように充填し、これを直径20mmの円柱状プランジャーで、圧縮速度10mm/秒、クリアランス5mm、品温20±2℃の条件で圧縮することにより測定した圧縮応力の値である。堅さが5×102N/m2より大きくなると、一般に嚥下困難者は飲み込み難くなるため好ましくない。 【0033】 付着性は、堅さと同様の測定条件で圧縮することにより測定した圧縮応力の値である。付着性が10〜102J/m3であることにより、このゾル状飲料を口に含み、嚥下した後に口腔内に適度にゾル状飲料が残存するので、口腔衛生の改善効果が高まる。 【0034】 本発明の飲料粉末から得られるゾル状飲料は、粘度と堅さが加水量に応じて容易に変化し、例えば、ウースターソース状、ポタージュ状、ハチミツ状、ヨーグルト状、ペースト状等の状態となる。したがって、本発明の飲料粉末によれば、嚥下障害の程度の異なる種々の嚥下困難者のそれぞれに適した粘度と堅さの飲料を調製することができる。 【0035】 本発明の飲料粉末は、原料成分を混合し、必要に応じて造粒することにより得ることができる。 【0036】 本発明の飲料粉末の保管方法としては、密封容器中に脱酸素剤と共に封入し、あるいは容器内を窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスで置換して封入し、容器内酸素濃度を6%以下の状態にして保存することが好ましい。これにより、保管後の飲料粉末を水に溶かす場合にだまにならず、均一なゾル状飲料を速やかに得ることが可能となる。 【実施例】 【0037】 実施例1 以下の表1の処方で原料粉末を混合し、造粒機で造粒し、顆粒状の飲料粉末を得た。この飲料粉末にはカテキン30mg/g粉末が含まれる。 【0038】 得られた飲料粉末を4gとり、80mlの湯(50℃)を加え、軽く攪拌することにより直ちにとろみを有する緑茶風味のゾル状飲料が得られた。このゾル状飲料は美味しい緑茶の風味を呈し、品温20℃での物性は以下の通りであった。 【0039】 pH:7.2 粘度(BH型粘度計、ローターNo.3、10rpm(測定1分後の値)):2700mPa・s 堅さ:2.5×102N/m2 付着性:5×10J/m3
【0040】 【表1】
(*1)緑茶を脱水した顆粒粉末 (*2)伊藤園社製、商品名テアフラン、カテキン含有量30%
【0041】 実施例2、実施例3 以下の表2、表3の処方で、実施例1と同様に、実施例2及び実施例3の飲料粉末を得た。 【0042】 各飲料粉末3.5gあたり20℃の水120ml、100ml、70ml、50mlで溶解し、5分間静置して緑茶風味のゾル状飲料(実施例2)とほうじ茶風味のゾル状飲料(実施例3)を得た。その後、各ゾル状飲料を100mlのビーカーに入れ、No.3ローターを用い、BH型粘度計にて10rpmで粘度を測定した(測定1分後の値)。また、各ゾル状飲料を肉眼観察し、風味を試験した。 【0043】 結果を表4、表5に示す。表4、表5から、本発明の飲料粉末から、種々の粘度、堅さの飲料が容易に調製できることがわかる。
【0044】 【表2】
(*3)緑茶を脱水した顆粒粉末 (*4)伊藤園社製、商品名テアフラン、カテキン含有量63%
【0045】 【表3】
(*5)ほうじ茶を脱水した顆粒粉末 (*6)伊藤園社製、商品名テアフラン、カテキン含有量30%
【0046】 【表4】
【0047】 【表5】
【産業上の利用可能性】 【0048】 本発明の粉末飲料は、嚥下困難者向けの茶飲料あるいは口腔衛生を改善する飲料の粉末原料として有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001421 【氏名又は名称】キユーピー株式会社 【住所又は居所】東京都渋谷区渋谷1丁目4番13号
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| 【出願日】 |
平成16年6月2日(2004.6.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】110000224 【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
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| 【公開番号】 |
特開2005−341848(P2005−341848A) |
| 【公開日】 |
平成17年12月15日(2005.12.15) |
| 【出願番号】 |
特願2004−164160(P2004−164160) |
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