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【発明の名称】 溶解時に粘性を有する粉末茶
【発明者】 【氏名】成田 桂一
【住所又は居所】愛知県西春日井郡師勝町大字熊之庄字十二社45−2 株式会社ポッカコーポレーション食品開発研究所内

【要約】 【課題】嚥下しやすいように溶解時に粘性(とろみ)を有する粉末茶、しかも冷水にも熱水にも溶解し且つ風味にすぐれた粉末茶の製造。

【解決手段】原料配合として、デンプン加水分解物(デキストリン)(40〜75%)、増粘多糖類(グアーガム、キサンタンガム)(25%以上35%未満)、緑茶抽出物(固形分)(10〜20%)、抹茶等の微粉末(0.5〜10%)を用意し、緑茶抽出物に賦形剤を加えて顆粒化し、得られた顆粒化物に増粘多糖類及びデンプン加水分解物を加えた後に微粉砕し、抹茶を混合し、造粒して粉末茶を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の組成からなること、を特徴とする溶解時に粘性を有する粉末茶。
デンプン加水分解物:40〜75%、好ましくは50〜65%
増粘多糖類:25%以上35%未満
緑茶抽出物(固形分):10〜20%、好ましくは15〜20%
抹茶等の微粉末:0.5〜10%、好ましくは1〜5%
【請求項2】
増粘多糖類がグアーガム及びキサンタンガムの併用であること、を特徴とする請求項1に記載の粉末茶。
【請求項3】
キサンタンガムの配合量をグアーガムの配合量よりも多くすること、を特徴とする請求項2に記載の粉末茶。
【請求項4】
サイクロデキストリンを配合しないものであること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末茶。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉末茶が造粒してなるものであること、を特徴とする同項記載の粉末茶。
【請求項6】
緑茶抽出液にデンプン加水分解物を添加溶解した後、スプレードライ又はフリーズドライ処理によって乾燥し、得られた乾燥物を直接微粉砕した後に増粘多糖類及びデンプン加水分解物を添加混合するかあるいは得られた乾燥物に増粘多糖類及びデンプン加水分解物を添加混合した後に微粉砕し、次いで抹茶を混合した後、更に造粒すること、を特徴とする溶解時に粘性を有する粉末茶の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法によって製造してなる粉末茶。
【請求項8】
請求項1〜5、請求項7のいずれか1項に記載の粉末茶が嚥下障害者用及び/又は嚥下補助食品用であること、を特徴とする同項記載の粉末茶。
【請求項9】
該粉末茶が熱水及び冷水のいずれにも溶解し且つ溶解液はとろみを有するものであること、を特徴とする請求項8に記載の粉末茶。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、溶解時に粘性を有する粉末茶及びその製造方法に関するものである。本発明に係る粉末茶は、非常に飲用しやすいため、それ自体嚥下障害者用粉末茶として利用できるだけでなく、各種飲食品や薬剤等を嚥下する際にこれを容易ならしめる嚥下補助食品としても利用することができる。
【背景技術】
【0002】
近年、病院食の需要は、食感、味だけでなく、見た目にも普通の食事と遜色ないものが求められている。特に嚥下障害を持つ患者をはじめとする人に需要のある流動食に関しては、単なるきざみ食ではなく、患者の気持ちを考え、いかに本物の見た目に近いか、という考えに移りつつある。
しかし、日本人が良く飲む緑茶やその他茶飲料で、そのような嚥下障害をもつ人が、食感、見た目、味において快く摂取できるようなとろみがついた美味しいものが未だ少ない。特に、湯や水を注いでかき混ぜるだけでできるとろみのついた粉末茶は、人手が不足しがちな介護、病院などで多いに活用されると予想されるが、既存のとろみのついた粉末茶に関しては、まだ欠点が多数ある。
【0003】
例えば、茶飲料にとろみを調整する粉末を添加してとろみのある茶飲料を作る例では、まず茶飲料を作り、さらにとろみを調整する粉末を入れてかき混ぜる必要があることから、手間がかかり、簡便さに欠けているのが現状である。
【0004】
一方、とろみをつけた液体のゼリー茶飲料は、嚥下障害を持つ患者にとって、飲料缶やストロー付き軟包剤パック飲料(チアーパック、ハンディーパックなど)から直接飲用するには「吸う」ことが難しく、結局は容器に移して飲用することになる。また、液体の場合は、粉末より重量があり、容器も大きくなるため、持ち運びが不便であり、また広い保管場所が必要になることから、粉末のほうが好まれる。さらに、とろみをつけた液体のゼリー茶飲料の場合、常に加温して保存すると品質劣化が加速するため、温たかいお茶が飲みたいときはその都度加温する手間がかかる。
【0005】
これらの点に鑑み、近年、予めとろみを調整する粉末が添加された粉末茶(溶解時に粘性を有する粉末茶)が提案されるに至った。この粉末茶は、茶飲料にとろみを調整する粉末を添加して、とろみのある茶飲料を作るタイプより簡便になっておリ、また、とろみをつけた液体のゼリー茶飲料のような不便性が改良されている(特許文献1参照)。
【0006】
上記提案に係る粉末茶は、増粘多糖類を大量に使用して製造せざるを得ないため、緑茶自体の風味が損なわれることから、これを防止する必要上サイクロデキストリンの使用は避けられない。しかしながら、サイクロデキストリンの多用も緑茶風味を失わせることが明らかにされており(段落0045)、未だ改良の余地が残されている。また、上記提案に係る粉末茶においては、各配合成分は単に混合するだけで製造しており、本発明のように造粒工程もなく、グアーガムとキサンタンガムの併用もなく、本発明とは全く相違している。
【特許文献1】特開2002−306073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、現状の予めとろみを調整する粉末が添加された粉末茶は、甘味料を入れたり、植物油を入れたりして、溶解性の調整を行っているために、緑茶の風味を損ねているものが多い。さらに、溶解性は良いが、時間が経過すると粘性が強くなりすぎて、嚥下障害を持つ患者が摂取することが困難になるものもある。
【0008】
また、現状の予めとろみを調整する粉未が添加された粉末茶では、冷水に難溶なゲル化剤を使っているため冷水に不溶な既存品も多く、嚥下障害を持つ患者にとって満足のいくような粉末茶が少ないのが現状である。さらに、粘性が強すぎる場合に、水またはお湯で希釈しようとすると、とろみ部分と液体部分が分離(離水した状態)してしまう。
【0009】
一方、先に述べた提案に係る粉末茶の製造には多量の増粘多糖類を必須とするが、増帖多糖類を多量に使用すると緑茶の風味を阻害することから、増粘多糖類のような、緑茶の風味を阻害する物質の香りを吸着させるためにサイクロデキストリンを使用し、また緑茶の風味付けに抹茶を多く使用する必要は避けられない。
【0010】
これらの問題点を解決し、甘味料や植物油を添加せず、冷水、温水でも溶解できる、本来の茶飲料の味を生かした溶解時に粘性を有する粉末茶を得るという新規技術課題を設定し、これを解決するために、本発明はなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の問題点を解決するために、本発明はなされたものであって、本発明の溶解時に粘性を有する粉末茶は、増粘多糖類として、単体では溶けにくいキサンタンガム、グアーガムの2種類のみを用い、これらを特定の割合で混合し、さらに溶けやすくするため造粒することによって作製した、嚥下障害を持つ患者やとろみのついた飲料を欲している人が摂取するのに適した、溶解時に粘性を有する冷水温水可溶性粉末茶である。
【0012】
さらに、増粘多糖類の使用量を極力抑えたことから、増粘多糖類による緑茶の風味を阻害することなく、かつ茶の苦味を抑えた溶解時に粘性を有する粉末茶である。また、増粘多糖類のような緑茶の風味を阻害する物質を吸着させるためにサイクロデキストリンなどを一切使用せず、風味が豊かで溶解時に粘性を有する粉末茶である。
【0013】
またとろみを付与した粉末茶を湯、または水で調整し、とろみのある茶をつくった後に、粘性が強すぎると感じた場合でも、その後で、水または湯を足すことによって、好みの粘性に調整可能である、溶解時に粘性を有する粉未茶である。
【0014】
更に詳細には、本発明に係る溶解時に粘性(とろみ)を有する粉末茶は、次の組成からなることを特徴とするものである。
デンプン加水分解物:40〜75%、好ましくは50〜65%
増粘多糖類:25%以上35%未満
緑茶抽出物(固形分):10〜20%、好ましくは15%〜20%
抹茶等の微粉末:0.5〜10%、好ましくは1〜5%
【0015】
本発明に係る粉末茶は、例えば次のようにして製造することができる。
(工程)
緑茶抽出→デンプン加水分解物(デキストリン)を添加→粉末化(スプレードライまたはフリーズドライ)→増粘多糖類、デンプン加水分解物(デキストリン)を混合→微粉砕→抹茶を混合→造粒(なお、粉末化工程の直後に微粉砕工程を行うことも可能である。)
【0016】
以下、本発明について詳述するが、本明細書において「とろみ茶」とは、溶解時に粘性を有する粉末茶(増粘剤を添加した粉末茶で、溶解時に粘性(とろみ)を有するもの)、又は、粘性を有する茶(上記粉末茶を水に溶解させた茶)を指すものである。
【0017】
また、本明細書において、粘度、粘性等に関し、「きれ具合」とは粘りの状態を示すものであり(場合によっては、「液体のきれ具合」や「スプーンですくったときの液体のきれ具合」として使用することもある。)、「粘度」は一般に使用されている数値であって、流体の流動に対する抵抗の度を示し、「粘性」は「粘度」、「きれ具合」等の「粘り」に関するすべての要素をまとめたものを示し、「とろみ」も包含するものである。
【0018】
本発明を製造工程にしたがって順次説明する。
【0019】
(緑茶顆粒物の製造方法)
緑茶抽出方法は特に限定されないが、従来行われている方法で抽出すると良い。例えば、水に、煎茶を加え攪拌しながら抽出し、ろ過することにより抽出液を得る。抽出に使用する水の水温、抽出時間は特に限定しない。、ただし、粘性を付与させているために、飲用した際に舌の奥にある苦味を感じる細胞(味覚細胞)にお茶が残りやすく、通常のお茶よりも渋味や苦味を強く感じやすい。そのため90℃以上の高温での茶抽出では、お茶の渋味、苦味成分であるタンニン、カフェインが多く抽出されるので、あまり好ましくない。
【0020】
この抽出液に、賦形剤としてデンプン加水分解物(デキストリン)を添加溶解し、乾燥させて粉末ないし顆粒物にするが、後に行う造粒工程を効率的に行うには顆粒物が好適である。乾燥方法は、噴霧乾燥(スプレードライ)が一般的であるが、凍結乾燥(フリーズドライ)でも特に問題はない。デンプン加水分解物は、茶固形分の等倍量〜3倍量、好ましくは茶固形分の2倍量〜3倍量添加する。茶固形分の等倍量以下だと、吸湿性、経時安定性に問題があり、3倍量以上だと一杯あたりの粉末の量が多すぎるばかりか、デンプン加水分解物自体の味も出てくるため、不適である。
【0021】
(溶解時に粘性を有する粉末茶の製造方法)
上記の製造方法で作った緑茶顆粒物、増粘多糖類、デンプン加水分解物、抹茶微粉末を混合し、更に造粒する。
【0022】
溶解時に粘性を有する粉末茶の配含比率は以下のとおりである。
・緑茶固形分は10%〜20%、好ましくは15%〜20%、
(緑茶顆粒物から、賦形剤として使用したデンプン加水分解物を除いた量)
・増粘多糖類は25%以上35%未満
・デンプン加水分解物は40%〜75%、好ましくは50%〜65%、
(緑茶顆粒物の製造時に使用した賦形剤の量、造粒する前に添加した量の合計)
・抹茶微粉末は0.5%〜10%、好ましくは1%〜10%、更に好ましくは1%〜5%
【0023】
緑茶固形分は、水で溶解させて粘性を有する茶にした場合、10%以下では緑茶感がなく、20%以上では苦味、渋みが強すぎるので好ましくない。
【0024】
増粘多糖類は、25%未満では粘性が弱く、35%以上では増粘多糖類の味がでてくるため好ましくない。増粘多糖類の種類は、キサンタンガム、グアーガムの2種類を用いる。造粒を行えば冷水、温水に溶解し、適切な粘性をつけることができる。キサンタンガム、グアーガム以外の増粘多糖類は、冷水に溶解されにくいこと、適切な粘度、粘性に調整するのにより多くの量を必要とすることなどから、この2種類で構成する。両者の併用にあたり、キサンタンガムの配合量を多くするのが好ましい。グアーガム:キサンタンガムの配合比は、45:55〜15:85、好ましくは30:70〜20:80である。
【0025】
デンプン加水分解物は、40%以下では造粒性が悪く、水で溶解させて粘性を有する茶にした場合、緑茶の香りも若干弱い。70%以上ではデンプン加水分解物の風香味が緑茶の風香味を阻害するため好ましくない。またデンプン加水分解物は、賦形剤として作用するデキストリンであれば特に限定しない。例えば酵素分解デキストリン、分岐デキストリンなどが挙げられる。DE値は6〜10が好ましい。
【0026】
抹茶微粉末は、1%以下の場合、水で溶解させて粘性を有する茶にしたときの液色が黄色く、また抹茶の風味が弱いため好ましくない。一方、10%以上の場合には、苦味、渋味が強すぎるため、好ましくない。特に、緑茶顆粒物の製造方法に記載したように、粘性を有する茶は通常のお茶よりも渋味や苦味を強く感じやすいものであるため、より苦味、渋味の弱いものが求められている。抹茶微粉末としては、茶葉を蒸した後、柔揉しないで乾燥して得たテン茶を茶臼等で粉末化したものを使用するが、市販品も適宜使用可能である。
【0027】
まず造粒に先立ち、微粉砕を行う。
緑茶抽出物を乾燥したままの顆粒物では粒子の大きさが不均一で、しかも噴霧乾燥の場合、中心が空洞になることが多く、顆粒物を水で溶解した際に、気泡が出る。これを改善するために顆粒物の微粉砕を行う。また増粘多糖類など、他の原料が微粉末である場合、ダマになる傾向が強いため造粒を行わなければならないが、噴霧乾燥したままの緑茶顆粒物は、増粘多糖類などの微粉末に比べ粒径が非常に大きいため、造粒性が悪い。そのため、造粒する前に粒径をある程度均一にできる微粉砕が必要である。しかし、噴霧乾燥の方法を変えて粒を小さくすれば、微粉砕を行わなくても造粒性を改善する事ができるが、この場合においても中心が空洞になるため気泡の問題は解決されない。
【0028】
微粉砕は、微粉砕装置(アトマイザー)によって行う。微粉砕装置としては、アトマイザー(不二パウダル社製)その他市販の装置が適宜使用される。これらの装置によって、緑茶顆粒物ないし緑茶粉末物(粒子の大きさ:75〜150μm)を得る。
【0029】
微粉砕を行うタイミングは、緑茶顆粒物を作成した後、または、緑茶顆粒物に増粘多糖類やデンプン加水分解物(デキストリン)を添加、混合した後とすればよい。
【0030】
上記配合比率にて混合した粉末を造粒する。造粒は通常の造粒方法でよい。例えば流動層造粒機にて行い、バインダーには少量のグアーガムを溶かしたグアーガム溶液を用いる。造粒を行うことで、増粘多糖類を添加した粉末茶でも、水や湯に溶解した際に粘性が生じても容易に溶解させることができる。
【発明の効果】
【0031】
増粘多糖類の量と種類を限定することにより、茶の苦味を抑えた本来の茶の風味を保持し、かつ嚥下障害者が摂取するのに適した溶解時に粘性を有する粉末茶が得られた。
【0032】
熱水で溶解させる溶解時に粘性を有する粉末茶は、粘性が強いことから冷めにくく、喉を火傷する危険性があるため、飲用できる温度になるまで冷ます時間がかかるが、本発明により得られた溶解時に粘性を有する粉末茶は、冷水、温水可溶であり、好みの温度に設定することが可能になった。
【0033】
粘性を調節するために、溶解時に粘性を有する粉末茶の粉末を水で溶解した後に更に水を添加して粘度を調整する(低くする)場合、多少攪拌させるだけで、ゼリー部分と液体部分に別れず(離水せず)に均一に溶解させることができるため、常に好みの粘度にすることが可能になった。
【0034】
本発明に係る粉末茶は、溶解時にとろみがついて嚥下しやすくなるので、それ自体、嚥下障害者用(健常者はもちろんである)の粉末茶として利用できるほか、他の食品や医薬品、サプリメント等保健用食品や健康食品を食用ないし飲用する際、これを補助する嚥下補助食品としても利用することができる。
【0035】
例えば、粉末茶の粉末を水等で溶解してとろみ茶を調整する際、溶解時に粉剤、顆粒剤、錠剤等を添加、混合すれば、これらの薬剤を容易に嚥下することができるし、調整済のとろみ茶の表面にこれらの薬剤を付着せしめても、容易に嚥下することができる。また、調整済のとろみ茶と薬剤を別々に用意しておき、両者を同時に服用するようにしてもよい。以上、薬剤について述べたが、飲食品の場合も同様である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例1】
【0037】
(試験例1) 80℃の水500Lに、煎茶40kgを加え攪拌しながら5分間抽出し、これをろ過することにより固形分3.6w/w%の抽出液300Lを得た。この抽出液に、デンプン加水分解物を21.6kgを添加溶解し、この溶液を噴霧乾燥した。こうして得られた緑茶顆粒物に、デンプン加水分解物を11.4kg、増粘多糖類を19.7kg加え、アトマイザーによって微粉砕を行った。この混合粉末に、抹茶微粉末を3.34kg加え攪拌し、流動層造粒機によって造粒を行った。バインダーにはグアーガム溶液を用いた。
【0038】
なお、アトマイザーとしては不二パウダル(株)社のサンプルミルを用いて微粉砕を行い、また、流動層造粒機はパウレック社製を用いて造粒を行った。
【0039】
(比較例1) 80℃の水500Lに、煎茶40kgを加え攪拌しながら5分間抽出し、これをろ過することにより固形分3.6w/w%の抽出液300Lを得た。この抽出液に、デンプン加水分解物21.6kgを添加溶解し、この溶液を噴霧乾燥した。こうして得られた緑茶顆粒物に、デンプン加水分解物を11.4kg、増粘多糖類を19.7kg、抹茶微粉末を3.34kg加え攪拌し、流動層造粒機によって造粒を行った。バインダーにはグアーガム溶液を用いた。
【0040】
(比較例2) 80℃の水500Lに、煎茶40kgを加え攪拌しながら5分間抽出し、これをろ過することにより固形分3.6w/w%の抽出液300Lを得た。この抽出液に、デンプン加水分解物21.6kgを添加溶解し、この溶液を噴霧乾燥した。こうして得られた緑茶顆粒物に、デンプン加水分解物を11.4kg、増粘多糖類を19.7kg、抹茶微粉末を3.34kg加え攪拌した。
【0041】
<溶解性試験1>
試験例1、比較例1、2で調整、作製した粉末茶2gを200mLビーカーに秤量し、80℃、100mLの湯を入れ、10秒間(20回)攪拌し、溶解性(ダマの発生具合)を調べた。試験結果を表1に示す。
【0042】
【表1】


【0043】
微粉砕して造粒を行った試験例1に比べ、微粉砕せずに造粒を行った比較例1、および造粒を行わなかった比較例2はダマが残った。このダマは攪拌だけでは消えず、直接つぶすか、1時間以上放置しておかないと溶けないことが分かった。試験例1と比較例2を比べると、造粒は必須である事が分かる。一方比較例1の場合は、比較例2よりも溶けはよいものの、少量のダマが残った。これは粒径が異なる粒どうしで造粒を行ったため造粒性が悪く、さらに増粘多糖類自体の造粒性も悪く、一部の増粘多糖類が造粒されずに、微粉のまま残ってしまったためである。試験例1は、粒径がほぼ同じ原料紛末で造粒を行ったため、比較例1よりも造粒性が良く、溶解性にも優れていると考えられる。
しかし先述の通り、噴霧乾燥の方法を変えて粒を小さくすれば、微粉砕を行わなくても造粒性を改善する事ができるが、この場合においても中心が空洞になるため気泡の問題は解決されない。
【0044】
<溶解性試験2>
試験例1で作製した溶解時に粘性を有する粉末茶を2gづつ4つの200mLビーカーに秤量し、下記の表2で示した水温の水を100mL入れ、10秒間(20回)攪拌し、溶解性(ダマの発生具合)を調べた。試験結果を表2に示す。
【0045】
【表2】


【0046】
表2の結果から、20℃〜80℃の温度帯において、問題なく溶解することが分かる。
【実施例2】
【0047】
(試験例3) 80℃の水500Lに、煎茶40kgを加え攪拌しながら5分間抽出し、これをろ過することにより固形分3.6w/w%の抽出液300Lを得た。この抽出液に、デンプン加水分解物21.6kgを添加溶解し、この溶液を噴霧乾燥した。こうして得られた緑茶顆粒物を1.02g、増粘多糖類を下記の表3に示す量(0.32g〜0. 95g)、デンプン加水分解物を下記の表3に示す量(0.03g〜0.66g)を加えて混合し、アトマイザーによって微粉砕を行った。この混合粉末に、抹茶微粉末を0.1g加え攪拌し、流動層造粒機によって造粒を行った。バインダーにはグアーガム溶液を用いた。
【0048】
こうして作製した溶解時に粘性を有する粉末茶をそれぞれ100mL、80℃の湯に溶解させた。増粘多糖類にはキサンタンガム、およびグアーガムを用い、配合量、配合比を下記の表3のように定めた。
【0049】
【表3】


【0050】
上記のように作製した粉末茶について、55℃での粘度、液体をスプーンですくったときの切れ具合、風香味と、自然放置し40℃まで冷ました時の粘度、液体をスプーンですくったときの切れ具合の官能評価を行った。その結果を表4〜表7に示す。
【0051】
なお、粘度は粘度計により測定した数値を表す。粘度が同じ数値の場合でも、使用する増粘剤により液体の切れ具合に差がでるため、粘度の高低(大小)は必ずしも液体の切れ具合と一致するとは限らない。多くの場合、液体の切れ具合は、見た目、のどごし、舌触りに影響する。特に嚥下障害を持つ患者にとっては、切れ具合が悪すぎると喉にもたついてしまうため、適度な粘度と切れ具合を持つものが要求される。
【0052】
【表4】


【0053】
この結果から、増粘多糖類が0.32gの場合、いずれの区分も好ましい粘度に調整することができなかったので、不適である。
【0054】
【表5】


【0055】
区分10や区分14は、粘度、切れ具合、風香味において良好な粘性を有する茶ができた。しかし、グアーガムが多い区分2や区分6、およびキサンタンガムのみの区分18は緑茶の風香味が弱かったことから、増粘多糖類の風香味が、緑茶の風香味をマスキングしていることが分かる。そのため、増粘多糖類の風香味をマスキングする作用を有する物質、例えばサイクロデキストリンなどを混合することによって、緑茶の風香味を出す必要がある。またキサンタンガムのみの区分18は、冷めた時の粘性に問題があることが分かる。さらにグアーガムのみの区分2の場合、喉に残るような、あとに引く粘性になるため、おいしく摂食できるものとはいえない。
【0056】
【表6】


【0057】
区分11や区分15は、粘度、粘性、風香味において良好な粘性を有する茶ができた。しかし、グアーガムが多い区分3や区分7、およびキサンタンガムのみの区分19は、緑茶の風香味が弱かったことから、表5の結果と同様、増粘多糖類の風香味が、緑茶の風香味をマスキングしていることが分かる。そのため、増粘多糖類の風香味をマスキングする作用を有する物質、例えばサイクロデキストリンなどを混合することによって、緑茶の風香味を出す必要がある。
【0058】
【表7】


【0059】
この結果から、増粘多糖類が0.95gの場合、いずれの区分も好ましい粘度に調整することができなかったので、不適である。
【0060】
また、区分10、区分11、区分18、区分19の55℃、および40℃の粘度を測定した。その結果を表8に示す。
【0061】
【表8】


【0062】
この結果から、増粘多糖類の添加量が同じ場合、配合比に関わらず、冷めたときに上昇する粘度に大差はない。しかし、表5、表6から増粘多糖類が単体である区分18、区分19はゼリーのような粘性になり適切ではないという結果が出ていることから、増粘多糖類の配合比が切れの良いとろみを出す粘性に起因しているということが分かる。
【0063】
表3〜表8の結果をまとめると、区分10、区分11、区分15の配合で作製した粉末茶、すなわち増粘多糖類が0.53gから0.74gグアーガムとキサンタンガムの比が33:67から25:75である粉末茶が、100mLの湯または水に溶かした場合、適切な粘度、きれ具合、風香味を持った良好な粘性を有する茶ができることが分かる。その他の配合では、粘度、切れ具合、風香味のいずれにおいて不適である。
【実施例3】
【0064】
増粘多糖類と抹茶の配合比を決定するために以下の試験を行った。
【0065】
(区分21〜区分25)
80℃の水500Lに、煎茶40kgを加え攪拌しながら80℃、5分の条件で抽出し、これをろ過することにより固形分3.6w/w%の抽出液300Lを得た。この抽出液に、デンプン加水分解物21.6kgを添加溶解し、この溶液を噴霧乾燥した。さらに表9に示した配合量に従って緑茶顆粒物、増粘多糖類、デンプン加水分解物を混合し、アトマイザーによって微粉砕を行った。この混合粉末に、表9で示した配合量に従って抹茶微粉末を添加し、攪拌を行い、流動層造粒機によって造粒を行った。バインダーにはグアーガム溶液を用いた。
【0066】
【表9】


【0067】
得られた各緑茶を80℃の水に溶解し、風香味の官能評価を行った。その結果を表10に示す。
【0068】
【表10】


【0069】
この結果から、区分21は良好な粘性を有する茶ができたが、区分22〜区分25においては、増粘多糖類の臭みを消すためには抹茶を添加し緑茶の風香味を増強する必要があり、逆に、多く添加すると苦くなり不適切であった。
【出願人】 【識別番号】591134199
【氏名又は名称】株式会社ポッカコーポレーション
【住所又は居所】愛知県名古屋市中区栄四丁目2番29号
【出願日】 平成16年4月23日(2004.4.23)
【代理人】 【識別番号】100075775
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 親男

【公開番号】 特開2005−304436(P2005−304436A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2004−128958(P2004−128958)