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【発明の名称】 茶飲料の製造方法
【発明者】 【氏名】米谷 竜馬
【住所又は居所】茨城県守谷市緑1丁目1番21号 アサヒ飲料株式会社飲料研究所内

【氏名】伊藤 正文
【住所又は居所】茨城県守谷市緑1丁目1番21号 アサヒ飲料株式会社飲料研究所内

【氏名】石井 千広
【住所又は居所】茨城県守谷市緑1丁目1番21号 アサヒ飲料株式会社飲料研究所内

【要約】 【課題】抽出液の清澄度を高める茶葉の抽出方法を提供する。

【解決手段】抽出の際に撹拌翼の替わりにシャワーの水勢によって茶葉の浸漬及び撹拌を行うことにより抽出液の清澄度を高める工程を備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水流出口を備えた抽出器内に、この湯水流出口が閉じられた状態で、湯と茶葉とを投入する投入工程であって、所定量の湯を注ぐ前にもしくは後に、又は湯を注ぐと同時に、所定量の茶葉を投入する投入工程と、
この湯と茶葉とが投入された抽出器内に、前記湯水流出口からの湯の流出が停止された状態で、更に湯を茶葉が撹拌されるようにシャワーで加えることにより、このシャワーの水勢で前記茶葉を撹拌及び浸漬させる浸漬工程と、
この浸漬工程で閉じられていた前記湯水流出口を開き、前記茶葉から抽出された抽出液を前記茶葉の堆積物で濾過しながら採液をする採液工程と、
を含む茶飲料の製造方法。
【請求項2】
前記浸漬工程では、前記シャワーの流量が4(t/hr)から20(t/hr)である請求項1に記載の茶飲料の製造方法。
【請求項3】
前記浸漬工程では、前記茶葉の総抽出時間が15分から30分である請求項1又は2に記載の茶飲料の製造方法。
【請求項4】
前記浸漬工程の後に、シャワーが止められた状態で一定時間前記流出口を閉じ、前記茶葉からの抽出液を一定時間保持させる保持工程を更に含む請求項1から3いずれかに記載の茶飲料の製造方法。
【請求項5】
前記採液工程では、得られた抽出液の濁度が0.001(Abs)から0.030(Abs)である請求項1から4いずれかに記載の茶飲料の製造方法。
【請求項6】
前記採液工程は、前記抽出器の上面側から更に湯をシャワーで加えながら前記抽出器の底面側から前記抽出液の採液を行うシャワーリング工程をその一部もしくは全体に渡って行うものである請求項1から5のいずれかに記載の茶飲料の製造方法。
【請求項7】
茶飲料の製造工程において、下部に湯水流出口を備えた抽出器内に、この湯水流出口が閉じられた状態で、湯と茶葉とを投入する投入工程であって、所定量の湯を注ぐ前にもしくは後に、又は湯を注ぐと同時に、所定量の茶葉を投入する投入工程と、
この湯と茶葉とが投入された抽出器内に、前記湯水流出口からの湯の流出が停止された状態で、更に湯を茶葉が撹拌されるようにシャワーで加えることにより、このシャワーの水勢で前記茶葉を撹拌及び浸漬させる浸漬工程と、
この浸漬工程で閉じられていた前記湯水流出口を開き、前記茶葉から抽出された抽出液を前記茶葉の堆積物で濾過しながら採液をする採液工程と、
を備え、前記シャワーの水勢を調節することよって前記抽出液の濁度を調整する方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、茶飲料の製造方法に関する。さらに詳しくは、抽出用の湯の水勢によって茶葉を撹拌し、抽出液の濁りを低減させる茶飲料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
茶飲料において、近年では透明密閉容器の普及や嗜好の変化等から清澄度の高い茶飲料が注目されつつある。茶飲料の製造方法は、従来ではニーダーと呼ばれる開放型の抽出器内に、加熱した抽出水を注入して茶葉を投入し、抽出器内の撹拌手段(例えば、撹拌翼)によって撹拌し、得られた抽出液に金属濾過及び遠心分離を行なう方法を採ってきた。また、清澄度を高めるために、様々なフィルターや濾過方法等が検討されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の茶飲料の製造方法は、緑茶を温水抽出した抽出液にpH調整剤を加え遠心分離を行った後、ケイソウ土からなる濾過助剤により濾過を行うことを特徴とする方法である。これによって緑茶飲料本来の濁度を低減させることが可能であり、かつ、長期保存にも耐え得る緑茶飲料を提供することができる。また、特許文献2に記載の茶飲料の製造方法は、茶葉から抽出した抽出液に均質化処理を施した後、除粒子処理を行なうことを特徴とする方法である。均質化は、数種類の孔径の精密濾過膜を組み合わせたものに抽出液を透過させる工程であり、均質化を行なうことによって風味を損なうことなく清澄度を高めることができる。
【特許文献1】特公平7−97965号公報
【特許文献2】特開2002−142678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び2に記載の方法は、フィルターや精密濾過膜等の濾材を用いているため濾材の定期交換を行なう必要があり、作業効率が低下してしまうことや、濾材が有害微生物の温床となる可能性がある等の問題があった。特に、特許文献2に記載の方法は、数種類の孔径の精密濾過膜を用いているため、目詰まりしやすく作業効率が低下してしまうという問題もあった。
【0005】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業効率を低下させることなく抽出液の清澄度を向上させることが可能な茶飲料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような目的を達成するために、本発明は、茶葉の抽出の際に撹拌翼の替わりに水勢により茶葉の浸漬及び撹拌を行なう工程を備えることによって清澄度の高い飲料を提供することを特徴とする。
【0007】
本発明は具体的に以下のようなものを提供する。
【0008】
(1) 湯水流出口を備えた抽出器内に、この湯水流出口が閉じられた状態で、湯と茶葉とを投入する投入工程であって、所定量の湯を注ぐ前にもしくは後に、又は湯を注ぐと同時に、所定量の茶葉を投入する投入工程と、この湯と茶葉とが投入された抽出器内に、前記湯水流出口からの湯の流出が停止された状態で、更に湯を茶葉が撹拌されるようにシャワーで加えることにより、このシャワーの水勢で前記茶葉を撹拌及び浸漬させる浸漬工程と、この浸漬工程で閉じられていた前記湯水流出口を開き、前記茶葉から抽出された抽出液を前記茶葉の堆積物で濾過しながら採液をする採液工程と、を含む茶飲料の製造方法。
【0009】
(1)の発明によれば、浸漬工程において、茶葉をシャワーで撹拌するように加えることによって通常の撹拌翼を使用しなくても茶葉を浸漬させ、撹拌することが可能となる。撹拌翼を用いて茶葉を撹拌した場合、茶葉が粉砕されてしまい抽出液の濁りが生じてしまっていたが、水勢によって浸漬及び撹拌を行なうため、茶葉の粉砕を防ぐことができる。また、浸漬工程を経た茶葉が抽出器底面に堆積することによって、茶葉自体が濾材となり、抽出液の濾過を行なうことが可能となる。これによってフィルターを用いることなく抽出液を濾過することが可能となり、清澄度が高い抽出液が得られる。また、フィルターが不要であるため、コストの削減にも繋がる。
【0010】
(2) 前記浸漬工程では、前記シャワーの流量が4(t/hr)から20(t/hr)である(1)に記載の茶飲料の製造方法。
【0011】
(3) 前記浸漬工程では、前記茶葉の総抽出時間が15分から30分である(1)又は(2)に記載の茶飲料の製造方法。
【0012】
(4) 前記浸漬工程の後に、シャワーが止められた状態で一定時間前記流出口を閉じ、前記茶葉からの抽出液を一定時間保持させる保持工程を更に含む(1)から(3)いずれかに記載の茶飲料の製造方法。
【0013】
(5) 前記採液工程では、得られた抽出液の濁度が0.001(Abs)から0.030(Abs)である(1)から(4)いずれかに記載の茶飲料の製造方法。
【0014】
(6) 前記採液工程は、前記抽出器の上面側から更に湯をシャワーで加えながら前記抽出器の底面側から前記抽出液の採液を行なうシャワーリング工程をその一部もしくは全体に渡って行なうものである(1)から(5)のいずれかに記載の茶飲料の製造方法。
【0015】
(6)の発明によれば、採液工程において、抽出器の上面側から更に湯をシャワーで加えることによって浸漬工程で撹拌され、湯の中に浮遊していた茶葉を抽出器の底面に堆積させることが可能となる。シャワーで上から茶葉を押さえつけることによって茶葉がより早く濾材として機能し、抽出効率を高めることが可能となる。
【0016】
(7) 茶飲料の製造工程において、下部に湯水流出口を備えた抽出器内に、この湯水流出口が閉じられた状態で、湯と茶葉とを投入する投入工程であって、所定量の湯を注ぐ前にもしくは後に、又は湯を注ぐと同時に、所定量の茶葉を投入する投入工程と、この湯と茶葉とが投入された抽出器内に、前記湯水流出口からの湯の流出が停止された状態で、更に湯を茶葉が撹拌されるようにシャワーで加えることにより、このシャワーの水勢で前記茶葉を撹拌及び浸漬させる浸漬工程と、この浸漬工程で閉じられていた前記湯水流出口を開き、前記茶葉から抽出された抽出液を前記茶葉の堆積物で濾過しながら採液をする採液工程と、を備え、前記シャワーの水勢を調節することよって前記抽出液の濁度を調整する方法。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明は、シャワーの水勢によって茶葉の浸漬及び撹拌を行なうものである。これによって抽出時に茶葉が粉砕されることを防ぐことが可能となり、得られた抽出液の清澄度を高めることができる。また、茶葉そのものを濾材として用いるため、フィルターが不要でありコストの削減にも繋がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0019】
本発明の茶飲料の製造方法は「湯水流出口を備えた抽出器内に、この湯水流出口が閉じられた状態で、湯と茶葉とを投入する投入工程であって、所定量の湯を注ぐ前にもしくは後に、又は湯を注ぐと同時に、所定量の茶葉を投入する投入工程」を有する。茶葉と湯の投入順序は特に限定はされない。また「抽出器」とは、製造工程において、茶葉中の成分を湯に分離させることが可能な器をいい、抽出液を流出させることが可能な流出口を備えていればその容量や形状は特に限定されない。なお、「所定量の湯」「所定量の茶葉」とは、飲料として適切な濃さの茶を製造することが可能な茶葉と湯の割合をいう。なお、本発明において、湯の温度や茶葉の種類等は特に限定されない。
【0020】
また、本発明は「この湯と茶葉とが投入された抽出器内に、前記湯水流出口からの湯の流出が停止された状態で、更に湯を茶葉が撹拌されるようにシャワーで加えることにより、このシャワーの水勢で前記茶葉を撹拌及び浸漬させる浸漬工程」を有する。「シャワー」とは、噴出口から水や湯を雨のように出して浴びせる装置をいう。このシャワーの方向は、茶葉を撹拌することが可能となるような方向であれば特に限定はされないが、抽出器の上面側から底面へ向かう方向であることが好ましい。また、流量は、4〜20(t/hr)であることが好ましく、7〜15(t/hr)であることが更に好ましい。シャワーの流量が4(t/hr)以下であると茶葉を浸漬させ、更に撹拌させることができずまた、20(t/hr)以上であると水勢によって茶葉が壊れてしまう可能性がある。なお、この工程における茶葉の総抽出時間、即ち、茶葉が湯に浸漬している時間は15〜30分であることが好ましく、20〜25分であることが更に好ましい。総抽出時間が15分以下であると、茶葉を均一に浸漬及び撹拌することが困難となり、30分以上であると、渋味を有するタンニンが多く抽出されてしまうためである。
【0021】
また、本発明は「この浸漬工程で閉じられていた前記湯水流出口を開き、前記茶葉から抽出された抽出液を前記茶葉の堆積物で濾過しながら採液をする採液工程」を有する。「前記茶葉から抽出された抽出液を前記茶葉の堆積物で濾過」とは、浸漬工程を経た茶葉が抽出器底面側に堆積することによって濾材となり抽出液中の茶殻や茶粒子等を取り除くことをいう。この工程において、茶葉を抽出器底面に均一に堆積させることが可能となるように上面側からシャワーを更に行ってもよい。この時のシャワーの流量は4〜20(t/hr)であることが好ましく7〜15(t/hr)であることが更に好ましい。なお、浸漬工程から採液工程へ移行する間に、一定時間シャワーから湯を加えるのを停止させ、茶葉をメッシュに堆積させた状態を予め作っておいてもよい。このときの放置時間は(1〜60秒)であることが好ましい。
【0022】
採液工程を経た抽出液は、微細な不純物や茶粒子等を取り除くために遠心分離を行なうことが好ましい。さらに、ペットボトルや缶等の容器に充填する場合には通常用いられている方法でpH調整を行ない、更に殺菌処理工程を経て充填することが好ましい。これらに関する方法は特に限定されない。
【0023】
以下それぞれの工程を、図を用いてより具体的に説明する。
【0024】
図1に示すように、まず投入工程では、抽出器10(本実施形態では、容量2500Lである)の中に湯20(810L)と茶葉30(80kg)とを投入する。このとき抽出器10の底面側には、抽出の際に茶葉30を流さないようにすると共に茶葉30を濾材として機能させることを可能とするために金属網11を設ける。この金属網11の目の粗さは、40〜100メッシュであることが好ましく、60〜80メッシュであることが更に好ましい。また、メッシュの位置は特に限定されないが、シャワーノズルから100〜150cmに設置されることが好ましい(なお、本実施形態では127cmである)。
【0025】
次に浸漬工程では、抽出器10の上面側に設置されたシャワー13より新たに湯を加えることにより、図2に示すように茶葉30が湯20に浸漬し、撹拌される。このとき抽出器10の底面側に設置された流出口12は閉じている。このときのシャワー13の流量は、8.4(t/hr)であり、300Lになるまで加える。
【0026】
最後に採液工程では、流出口12を開き、茶葉30からの抽出液22を採液する。このときシャワー13より新たに湯を、流量8.4(t/hr)で1000〜2000L(本実施形態では1200L)加えることによって浸漬工程で撹拌された茶葉30はメッシュ11上に均一かつ迅速に堆積される。抽出液22がこの堆積した茶葉30の間を通過することによって清澄度の高い抽出液22を得ることが可能となる。
【実施例】
【0027】
<試験飲料1の作成>
内径2m×高さ1.65mの抽出器内に60℃の温水1650Lと、緑茶葉80kgとを投入した。ここへ湯をシャワーにより更に450L(流量8.4(t/hr))加え、茶葉を浸漬及び撹拌させた。その後抽出器の流出口を開き、更にシャワーにて湯を300L(流量8.4(t/hr))加え抽出液を採液(採液流量15.5(t/hr))し、遠心分離(遠心分離機:Westfalia社製、SC−35−06−177)を行なった。このときの抽出時間は、29分、抽出倍率は30倍であった。抽出液を希釈後、これを試験飲料1とした。
【0028】
<試験飲料2の作成>
試験飲料1と同量の茶葉及び湯量でタンクに2400Lの湯をはり、茶葉80kgを投入して、60秒撹拌を行なった後、60秒停止(10秒撹拌、50秒停止)を計2サイクル繰り返し、液抜きを行なった。なお、撹拌翼の回転数は12rpmである。得られた抽出液を希釈後、これを試験飲料2とした。
【0029】
<清澄度測定>
試験飲料1及び試験飲料2を波長720nmの光を照射して吸光度を測定した。遠心分離後の抽出液を茶葉処方量相当(茶葉8g/L)に希釈し、波長720nmの光の吸光度、およびタンニン値を測定した。なお、タンニン値の測定方法は酒石酸鉄比色法(公定法)を用いて行なった。その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】


【0031】
以上より、本発明は抽出液の濁りを低減し、フィルター等の濾材を使用することなく清澄度の高い茶飲料を製造するために有効な方法であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の投入工程を示す図である。
【図2】本発明の浸漬工程を示す図である。
【図3】本発明の採液工程を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 抽出器
11 金属網
12 流出口
13 シャワー
20 湯
22 抽出液
30 茶葉
【出願人】 【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
【住所又は居所】東京都墨田区吾妻橋一丁目23番1号
【出願日】 平成16年4月14日(2004.4.14)
【代理人】 【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之

【公開番号】 特開2005−295923(P2005−295923A)
【公開日】 平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願番号】 特願2004−118784(P2004−118784)