| 【発明の名称】 |
お茶飲料の味質改善剤およびそれを含有したお茶飲料 |
| 【発明者】 |
【氏名】把田 雅彦 【住所又は居所】山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙ケミカル株式会社技術本部開発研究所内
【氏名】松田 学 【住所又は居所】山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙ケミカル株式会社技術本部開発研究所内
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| 【要約】 |
【課題】お茶飲料の渋味を低減し、かつコク味を付与することにより、お茶を飲みやすくすることのできる、お茶飲料用味質改善剤を提供する。
【解決手段】味質改善剤の有効成分として、酵母抽出物、もしくは5’ーイノシン酸および5’ーグアニル酸含有量が対固形分あたり1%以上、ペプチド含有量が対固形分あたり20%以上含有するキャンディダ属またはサッカロマイセス属酵母の抽出物を含有させることにより、お茶飲料用味質改善剤を提供できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 酵母抽出物を有効成分とするお茶飲料の味質改善剤。 【請求項2】 5’ーイノシン酸および5’ーグアニル酸含有量が対固形分1%以上、ペプチド含有量が対固形分20%以上含有するものである、請求項1記載のお茶飲料の味質改善剤。 【請求項3】 請求項1または請求項2のお茶飲料味質改善剤を含有したお茶飲料。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、お茶特有の風味を低減させることなく、渋味を低減させなお且つコク味を付与するお茶飲料の味質改善剤及び該味質改善剤を含有するお茶飲料に関する。 【背景技術】 【0002】 子供を含め近年の若者は苦味や渋味を伴う飲食物を嫌う傾向がある。お茶に代表される飲料はフラボノイドやカテキン類をはじめとした生理活性物質が多く含有されており、その風味を低減させることなく苦味及び渋味を低減し、飲み易くして若者嗜好の飲料を提供することができれば、消費の拡大により、健康の維持・増進に繋げることも可能となる。 【0003】 例えばお茶の渋味を製造工程において、荒茶を低酸素雰囲気下、貯蔵温度10℃〜20℃の範囲で貯蔵することにより、製茶直後のコク味を増加させ、製茶直後の苦味及び渋味の両方を低減させ、苦味および渋味のきつい茶をまろやかで飲み易いお茶にする方法(例えば特許文献1)。 【0004】 鳳仙花(lmpatience balsamina L.)のアルコール抽出液に着目し、鳳仙花アルコール抽出液にある生化学的還元作用、脱塩作用、解毒作用、酵素的蛋白質分解作用等を利用し、お茶の渋味を消し風味を増強させる方法(例えば特許文献2)。 【0005】 プロタミンに着目し、お茶等の渋味や苦味のある飲料にプロタミン或いはその塩を添加して渋味や苦味を低減させる方法(例えば特許文献3)。 【0006】 また、苦み抑制剤としてコーヒー豆を酵素(タンナーゼ、クロロゲン酸エステラーゼ)を用いて加水分解し、加水分解物を吸着樹脂(スチレンベンゼン系高分子吸着剤)に苦み物質を吸着させることで得られるコーヒー豆加水分解物を用いる方法(例えば特許文献4)。 【0007】 【特許文献1】特開2001−145456 【特許文献2】特開平10−136888 【特許文献3】特開平06−153875 【特許文献4】特開2001−321116 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、お茶飲料に酵母抽出物を添加することにより、お茶の風味を損なうことなく渋味を低減し、コク味も付与できるという味質改善効果があることを発見し、本発明を完成するに至った。使用する酵母抽出物は、特に限定されないが、5’ーイノシン酸および5’ーグアニル酸含有量が対固形分1%以上、ペプチド含有量が対固形分20%以上含有する酵母抽出物が望ましい。この酵母抽出物の製造方法としては、例えば酵母菌体を加熱失活後、細胞壁溶解酵素、リボヌクレアーゼ、デアミナーゼを順次作用させる方法が知られている。ここで使用する酵母抽出物は食品であり、調味料原料として広く使用されており安全性も極めて高いものである。 【課題を解決するための手段】 【0009】 即ち本発明は、酵母抽出物、特に5’ーイノシン酸および5’ーグアニル酸含有量が対固形分1%以上、ペプチド含有量が対固形分20%以上含有する酵母抽出物に高い味質改善効果を見出したものである。 【発明の効果】 【0010】 本発明によれば、従来にない渋味低減効果が強く、かつコク味付与効果も有するお茶飲料の味質改善剤を得ることが出来る。本味質改善剤を用いれば、お茶飲料の風味を低減させることなく苦味及び渋味を低減し、各種のお茶を飲み易くし、お茶の普及と共に、健康の維持・増進に繋げることも可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 本発明で使用する酵母は、可食性のものであれば特に制限はなく、ビール酵母,パン酵母,アルコール酵母,清酒用酵母など一般に食品工業で用いられているものを使用することが出来る。このような酵母としては、例えばサッカロマイセス(Saccharomyces)属、ピキア(Picia)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、デバリオマイセス(Debariomyces)属、キャンディダ(Candida)属、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属等に属する酵母が挙げられる。このような酵母の例としては、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・ステイピティス(Picia stipitis)、キャンディダ・ユーティリス(Candida utilis)、クリベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クリベロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、チゴサッカロマイセス・ルーキシー(Zygosaccharomyces)等に属する酵母が挙げられる。これらの酵母の中から1種若しくは2種以上の酵母を用いる。中でもキャンディダ属酵母は菌体収率が高く培養もしやすいので好ましい。 本発明の酵母抽出物は、定法に従い自己消化法でも製造できる。効果の高い酵母抽出物つまり5’ーイノシン酸および5’ーグアニル酸含有量が対固形分1%以上、ペプチド含有量が対固形分20%以上含有する酵母抽出物を得るには、細胞壁溶解酵素剤としてはグルカナーゼ,マンナナーゼを含有し、酵母細胞壁を溶解するに十分な活性を有するものであればかまわないが、例えば市販の細胞壁溶解酵素としては、YL−15(天野製薬(株)製),ツニカーゼ(大和化成(株)製),キタラーゼ(クミアイ化学(株)製)などがあげられる。又、この際プロテアーゼを作用させ細胞壁中のタンパク質を分解し溶菌を容易にさすことはさしつかえない。 【0012】 製造方法は特に限定されないが、例えば通常の培養法で得た酵母菌体を10−15%程度の適当な濃度に懸濁させたのち、80−120℃好ましくは90−100℃で加熱し、菌体内酵素の失活を行う。加熱時間は10分程度で十分である。次に細胞壁溶解酵素、5’ーホスホジエステラーゼ、5’ーアデニル酸デアミナーゼを順次添加し、5’ーヌクレオチド類を生成させる。酵素添加量、酵素反応温度、pHは特に限定するものではなく、各々の酵素の最適条件下で行えばよい。反応液は90℃に加熱し酵素を失活させた後、遠心分離して上澄液を濃縮しエキス分として回収し、スプレードライ等の方法により乾燥させる。 【0013】 このようにして得られた酵母抽出物は、5’ーイノシン酸・5’ーグアニル酸を共に対固形分当り1%以上含有し、ペプチド含量も20%以上を含有しているためお茶の渋味低減並びにコク味付与効果を有し、味質を著しく改善できる。 【0014】 ここで言うお茶とは、緑茶、玉露、抹茶、煎茶、番茶、ほうじ茶、ウーロン茶、紅茶等乾燥した品と乾燥しない生の茶、それらの茶殻等を指すもので、とくにこれらに限定されるものでない。本発明は、通常の浸出茶に用いることは勿論可能であるが、リーフパック茶、リーフティーバッグ茶、粉末茶、抹茶、SD・FD茶、ドリンク用原料茶、食材用原料茶、飼料、医薬品原料など様々な用途に用いることができる。 【0015】 本発明における酵母抽出物組成物のお茶への添加量は、お茶の種類により異なるが、一般にお茶飲料体積あたり、酵母抽出物として10ppm以上であれば充分な効果を得ることが可能である。酵母抽出物の添加量に特に上限はないが、経済性及び添加効果を考慮すると500ppm以下が好ましい。従って、本発明の酵母抽出物組成物がその効果を充分に発揮するためには、お茶飲料体積に対し、酵母抽出物として10ppm〜500ppm添加することが好ましい。さらに望ましくは25ppm〜250ppm添加することが好ましい。
この様にして本発明の酵母抽出物を添加することにより、渋味の低減されたお茶飲料を製造することが出来る。 【0016】 以下に具体的な実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。 【0017】 なお、試験は、市販の緑茶飲料(商品名:「お〜いお茶」 伊藤園(株)製)にそれぞれの供試品を各試験の最終濃度になるように加え、試験に供した。ウーロン茶の場合、市販のウーロン茶(サントリー社製)50mlに供試品がそれぞれの濃度になるように添加し、試験に供した。 【0018】 試験は、8人のパネラーで行い、その平均から算出した。なお、判定基準を以下の表に示す。効果は、苦味に対しては、苦味低減効果を、コク味については、コク味付与効果をいう。
【実施例】 【0019】 [実施例1] キャンディダ・ユーティリス(IFO 0619)を5%糖密培地を用いて培養し、集菌洗浄後酵母スラリー(菌体濃度15%)1000mlを調製した。 【0020】 90℃、10分加熱し菌体内酵素を失活させた後、55℃に冷却しpHを6に調製した後、細胞壁溶解酵素(商品名:YL−5(天野製薬(株)製)を1.5g添加し5時間反応させた。その後70℃まで冷却し5’ーホスホジエステラーゼ(商品名:ヌクレアーゼ「アマノ」(天野製薬(株)製)を0.3g添加しpH5に調製後10時間反応させた。続いて5’ーアデニル酸デアミナーゼ(商品名:デアミザイム(天野製薬(株)製)を0.2g添加しpH5に調製後10時間反応させた。反応後常法により処理し113gの酵母抽出物(1)を得た。この中の5’ーイノシン酸、5’ーグアニル酸、ペプチド含量を高速液体クロマトグラフを用いて定量したところ、含量は各々3.3%、3.5%、40%であり固形分収率は75.3%であった。 【0021】 又、あらかじめ加熱失活させたビール酵母を用い本発明の酵素法により酵母抽出物(2)を製造した。この中の5’ーイノシン酸、5’ーグアニル酸、ペプチド含量は各々2.1%、2.2%、42%であった。 【0022】 又、ビール酵母を用いpH6、40℃で自己消化法により製造した酵母抽出物(3)を得た。この中の5’ーイノシン酸、5’ーグアニル酸、ペプチド含量は各々0.1%、0.1%、20%であった。 【0023】 次にこれら3つのものについて、緑茶の系で渋味、コク味の2点について官能試験を行い評価した。結果から明らかなように、酵母抽出物に渋味抑制効果並びにコク味付与効果が確認された。 【0024】 【表1】
【0025】
[実施例2] 実施例1と同様に、キャンディダ酵母およびビール酵母に順次酵素を処理し、それぞれ酵母抽出物A、酵母抽出物Bを、そしてビール酵母を用い定法に従い自己消化法で酵母抽出部Cを得た。 【0026】 次にこれら3つのものについて、ウーロン茶で渋味、コク味の2点について官能試験を行い評価した。なお、対照としてプロタミンを用いた。結果から明らかなように、本発明品のみに渋味抑制効果並びにコク味付与効果が確認された。 【0027】 【表2】
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| 【出願人】 |
【識別番号】502368059 【氏名又は名称】日本製紙ケミカル株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区五番町5番地1
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| 【出願日】 |
平成16年3月29日(2004.3.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074572 【弁理士】 【氏名又は名称】河澄 和夫
【識別番号】100126169 【弁理士】 【氏名又は名称】小田 淳子
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| 【公開番号】 |
特開2005−278475(P2005−278475A) |
| 【公開日】 |
平成17年10月13日(2005.10.13) |
| 【出願番号】 |
特願2004−96550(P2004−96550) |
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