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【発明の名称】 茶抽出物の製造法
【発明者】 【氏名】古市 紀子
【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内

【要約】 【課題】バランスの良い香気と風味を有し、茶系飲料に配合できる茶抽出物の製造法の提供。

【解決手段】カメリア シネンシスに属する茶葉から茶抽出物を製造する方法であって、抽出溶媒として0.5〜5重量%のエタノール水溶液を用い、該抽出溶媒に対して茶葉を0.5〜20重量%用い、抽出温度0〜77℃で抽出する茶抽出物の製造法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメリア シネンシスに属する茶葉から茶抽出物を製造する方法であって、抽出溶媒として0.5〜5重量%のエタノール水溶液を用い、該抽出溶媒に対して茶葉を0.5〜20重量%用い、抽出温度0〜77℃で抽出する茶抽出物の製造法。
【請求項2】
請求項1記載の方法により得られた茶抽出物を配合してなる茶系飲料。
【請求項3】
請求項1記載の方法により得られた茶抽出物を3〜70重量%配合したものである請求項2記載の茶系飲料。
【請求項4】
容器詰茶系飲料である請求項2又は3記載の茶系飲料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉由来の自然な香気と味が良好な茶抽出物の製造法及びそれを用いた茶系飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
緑茶、烏龍茶、紅茶等の茶系飲料は、通常それぞれ対応する茶葉から温水で抽出した抽出物を配合して製造され、苦み、滋味等を調整する目的で種々の抽出条件が検討されている。エタノールを用いた茶の抽出技術については、広範囲の動植物から水溶性エキスを抽出する目的で50重量%以上のエタノール水溶液を用いる方法(特許文献1)が知られている。また、茶系抽出液にエタノールを添加して、品質の保持された茶系アルコール飲料用の濃縮液を得る技術(特許文献2)及び甜茶の風味改善を目的として甜茶抽出物にエタノールを配合する技術(特許文献3)が知られている。
【特許文献1】特許第3342235号公報
【特許文献2】特開2002−209519号公報
【特許文献3】特開2000−41639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
お茶のフレーバー感は、ボディ感、フレッシュ感、焙焼香、発酵感等からなり、これらのバランスによりお茶らしい風味が得られる。ところが、温水抽出では焙焼香や発酵感は得られるが、フレッシュ感が得られにくく、一方前記特許文献1のような高濃度エタノール水溶液抽出ではフレッシュ感は得られるが、焙焼香や発酵感が得られにくく、いずれの場合もボディ感、フレッシュ感、焙焼香、発酵感等をバランス良く有するお茶独特のフレーバー感の良好な茶抽出物は得られなかった。また、前記特許文献2及び3はエタノールを添加する技術であり、茶系飲料に適用できるものではない。
従って、本発明の目的は、バランスの良い香気と風味を有し、茶系飲料に配合できる茶抽出物の製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで本発明者は、お茶らしい香気と風味を基準として茶葉からの抽出手段について検討したところ、エタノール水溶液の濃度だけでなく、抽出溶媒量及び抽出温度を特定の範囲とすることにより、お茶らしい香気を有し、青臭さがなく、かつ風味の強い茶抽出物が得られ、これを用いれば天然感に富んだ香気を持ったボディ感のある茶系飲料が製造可能になることを見出した。
すなわち、本発明は、カメリア シネンシスに属する茶葉から茶抽出物を製造する方法であって、抽出溶媒として0.5〜5重量%のエタノール水溶液を用い、該抽出溶媒に対して茶葉を0.5〜20重量%用い、抽出温度0〜77℃で抽出する茶抽出物の製造法を提供するものである。
また本発明は、前記方法により得られた茶抽出物を配合してなる茶系飲料を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば茶葉由来の自然な香気を有し、青臭さなどがなく、風味の良好な茶抽出物が効率良く抽出され、これを用いれば天然感に富んだ香気を持ちボディ感のある茶系飲料が製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明に用いられる茶葉としては、カメリア シネンシス(Camellia sinensis)に属する茶葉から製茶された、煎茶、玉露、てん茶などの緑茶類、総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の半発酵茶、総称して紅茶と呼ばれるアッサム、キーモン、ダージリン、セイロン等の発酵茶等が挙げられる。
【0007】
抽出溶媒としては、エタノール水溶液を使用し、そのエタノール濃度は0.5〜5重量%、好ましくは1.5〜5重量%、より好ましくは2〜4重量%である。エタノール濃度が0.5重量%未満では、得られる茶抽出物の香気が十分でなく、5重量%を超えると青臭く、生臭い、茶らしくない香気が抽出される。
【0008】
茶葉の量は、抽出溶媒に対して、0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1.5〜6重量%である。茶葉量が0.5重量%未満では、得られる茶抽出物の香気が十分でなく、20重量%を超えると茶の呈味成分が十分に抽出されず、香気とのバランスが良くない。
【0009】
抽出温度は0〜77℃、好ましくは0〜75℃、より好ましくは5〜70℃である。抽出温度が0℃未満では得られる茶抽出物の香気が十分でなく、77℃を超えるとエタノールの添加効果が減少する。
【0010】
茶を抽出する方法は、撹拌抽出など従来の方法により行うことができる。また、抽出時、抽出溶媒にあらかじめアスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸又は有機酸塩類を添加してもよい。また、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつついわる非酸化的雰囲気下で抽出する方法も併用して良い。
【0011】
得られた抽出液は、減圧濃縮(薄膜濃縮、フラッシュ濃縮)、RO膜濃縮等の濃縮、遠心分離、濾過等の処理を行うことができる。
【0012】
茶系飲料を得る場合には、得られた抽出液を3〜70%に希釈し、必要に応じて茶由来の成分に合わせて、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤などの添加剤を単独、あるいは併用して添加しても良い。
【0013】
例えば甘味料としては、砂糖、ぶどう糖、果糖、異性化液糖、グリチルリチン、ステビア、アスパルテーム、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、その他のオリゴ糖としてシクロデキストリン及び、分岐α−、β−、γ−シクロデキストリンが使用できる。またスクラロース、アセスルファムカリウム等の人工甘味料も使用できる。
【0014】
酸味料としては、天然成分から抽出した果汁類のほか、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、リン酸が挙げられる。
無機酸類、無機酸塩類としてはリン酸、リン酸2ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムなどが、有機酸類、有機酸塩類としては、クエン酸、コハク酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0015】
茶系飲料は容器詰飲料とするのが好ましく、当該容器詰茶系飲料の容器詰に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
【0016】
また本発明の容器詰茶系飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度まで冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また、無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。さらに、酸性化で加熱殺菌後、無菌化でpHを中性に戻すことや、中性化で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻すなどの操作も可能である。
【実施例】
【0017】
(1)香気の評価
調製したサンプルは、専門パネルであるフレーバリスト5名による官能評価法によって評価した。評価にあたって以下の基準によって評点をつけた。
【0018】
(緑茶らしい香り)
−:香気が感じられない
△:香気がやや弱い
〇:香気がやや強い
◎:香気が強い
【0019】
(生臭い又は青臭い香り)
−:香気が感じられない
△:香気がやや弱い
×:香気がやや強い
××:香気が強い
【0020】
(総合評価)
×:茶風味が非常に悪い
△:茶風味のバランスが悪い
〇:茶風味のバランスが良い
◎:茶風味のバランスが非常に良い
【0021】
実施例1
緑茶200gを70℃、10Lの抽出溶媒にて5分間抽出し、軽く圧搾して搾汁を得た。抽出溶媒として2重量%のエタノール水を用い、本発明品1を得た。
【0022】
実施例2
紅茶1kgを65℃、20Lの抽出溶媒にて10分間抽出し、軽く圧搾して搾汁を得た。抽出溶媒として5重量%のエタノール水を用い、本発明品2を得た。
【0023】
実施例3
烏龍茶3gを70℃、200mLの抽出溶媒にて3分間抽出し、軽く圧搾して搾汁を得た。抽出溶媒として4重量%のエタノール水を用い、本発明品3を得た。
【0024】
比較例1
緑茶200gを70℃、10Lの抽出溶媒にて5分間抽出し、軽く圧搾して搾汁を得た。抽出溶媒として0.2重量%のエタノール水を用い、比較品1を得た。
【0025】
比較例2
緑茶200gを70℃、10Lの抽出溶媒にて5分間抽出し、軽く圧搾して搾汁を得た。抽出溶媒として10重量%のエタノール水を用い、比較品2を得た。
【0026】
比較例3
緑茶20gを70℃、10Lの抽出溶媒にて5分間抽出し、軽く圧搾して搾汁を得た。抽出溶媒として2重量%のエタノール水を用い、比較品3を得た。
【0027】
比較例4
緑茶200gを90℃、10Lの抽出溶媒にて5分間抽出し、軽く圧搾して搾汁を得た。抽出溶媒として2重量%のエタノール水を用い、比較品4を得た。
【0028】
上記実施例及び比較例で得られた茶抽出物についての味の評価結果を表1に示す。
【0029】
【表1】


【0030】
また、本発明品1〜3の抽出物は、そのまま容器詰後、殺菌処理することにより容器詰茶系飲料とすることができた。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
【出願日】 平成15年9月8日(2003.9.8)
【代理人】 【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所

【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸

【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄

【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫

【識別番号】100101317
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 ひろみ

【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹

【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人

【公開番号】 特開2005−80552(P2005−80552A)
【公開日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願番号】 特願2003−315287(P2003−315287)