| 【発明の名称】 |
緑茶飲料の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】三村 聡 【住所又は居所】茨城県守谷市緑1丁目1番21号 アサヒ飲料株式会社飲料研究所内
【氏名】谷山 智親 【住所又は居所】茨城県守谷市緑1丁目1番21号 アサヒ飲料株式会社飲料研究所内
【氏名】朝倉 智明 【住所又は居所】茨城県守谷市緑1丁目1番21号 アサヒ飲料株式会社飲料研究所内
【氏名】宮川 亜希乃 【住所又は居所】茨城県守谷市緑1丁目1番21号 アサヒ飲料株式会社飲料研究所内
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| 【要約】 |
【課題】簡易な手法により、優れた香味や色調を有するとともに安全性にも配慮した緑茶飲料、特に抗菌性を有する緑茶飲料を提供する。
【解決手段】緑茶葉抽出後のpHが3.6以上5.7以下になるようにpH調整して緑茶葉の抽出を行うpH調整抽出工程を含むことを特徴とする緑茶飲料製造方法を採用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 緑茶葉抽出後のpHが3.6以上5.7以下になるようにpH調整して緑茶葉の抽出を行うpH調整抽出工程を含むことを特徴とする緑茶飲料製造方法。 【請求項2】 さらに、前記pH調整抽出工程で得られた抽出液を調合して緑茶飲料を得る緑茶飲料製造工程を含むことを特徴とする請求項1記載の緑茶飲料の製造方法。 【請求項3】 前記pH調整は、酸を添加することによりなされるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の緑茶飲料製造方法。 【請求項4】 前記酸は、前記pH調整抽出工程で用いられることにより、緑茶飲料に抗菌性を付与し得る酸であることを特徴とする請求項3記載の緑茶飲料製造方法。 【請求項5】 前記酸は、ビタミンC、酢酸、リン酸、及び塩酸よりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項3又は4記載の緑茶飲料製造方法。 【請求項6】 請求項1から5いずれか記載の製造方法により製造された緑茶飲料。 【請求項7】 請求項6記載の緑茶飲料が未開封容器に充填された緑茶飲料製品。 【請求項8】 緑茶飲料の製造において、緑茶葉抽出後のpHが3.6以上5.7以下になるようにpH調整して緑茶葉の抽出を行うことにより、抗菌性を緑茶飲料に付与させる方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、優れた香味と色調を有し、かつ、抗菌性をも備えた緑茶飲料の製造方法、並びに、かかる製造方法により製造された緑茶飲料に関する。 【背景技術】 【0002】 茶はアジアを中心に世界各国に広く栽培され、コーヒー、ココアと並び三大非アルコール性嗜好飲料として世界中で広く飲用されている。茶の種類としては、生葉を発酵させてつくる紅茶と、発酵させないでつくる緑茶、さらには両者の中間に位置する半発酵茶が挙げられる。また、茶飲料は無糖であるうえに、抗酸化作用や抗癌作用などに代表される健康保持機能を有しており、近年の健康ブームに相俟ってその需要の伸びは著しいものがある。 【0003】 茶飲料の需要の伸びとともに、消費者の嗜好にマッチした茶飲料の開発が盛んに進められており、例えば特許文献1によれば、容器詰緑茶飲料の製造方法において、有機酸を添加してpHを4.5以上5.5以下、好ましくは4.8以上5.3以下に調節した抽出用水を用いて茶葉の抽出を行うことにより、天然型カテキン類を多く含み、風味と色調の優れた緑茶飲料が得られることが開示されている。 【0004】 また、特許文献2によれば、ビタミンC(アスコルビン酸)を溶解した溶液(pHが3.0以上5.0未満)を用いて緑茶葉を抽出することにより、緑茶の変質を防止し、渋味の原因であるタンニンの含有量の少ない緑茶飲料が得られることが開示されている。 【0005】 しかし、特許文献1及び特許文献2はいずれも、香味や色調の優れた緑茶飲料の提供を目的としたものであり、併せて健康面にも配慮した緑茶飲料を提供することを目的とはしていない。これに対して、市場では近年の消費者の健康志向に起因して、健康面にも配慮した飲料、例えば、安全性の高い飲料が求められている。従って、優れた香味や色調を有するとともに安全性にも配慮した緑茶飲料の開発は、当業者に課せられた火急の課題である。 【0006】 この課題に取り組んだものとして、特許文献3に提示された緑茶飲料の製造方法が挙げられる。特許文献3では、シュガーエステルを含む湯を用いて緑茶の抽出を行い、その抽出の際又は抽出後に、アスコルビン酸ナトリウムを添加する製造方法が開示されている。即ち、シュガーエステルとアスコルビン酸ナトリウムとを併用することにより、優れた香味と色調を有するとともに耐微生物性にも優れた緑茶飲料の製造を実現したものである。 【特許文献1】特開平5−168407号公報 【特許文献2】特開平2−13348号公報 【特許文献3】特許第157180号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかし、特許文献3では糖と脂肪酸とのエステル化反応により得られたシュガーエステルを用いており、シュガーエステルを多量に使用すると苦味の原因となって香味を損なうなどの問題が生じる。さらには、シュガーエステルとアスコルビン酸ナトリウムとを併用するものであるため、製造工程が煩雑になるなどの問題も抱えている。 【0008】 本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な手法により、優れた香味や色調を有するとともに安全性にも配慮した緑茶飲料、特に抗菌性を有する緑茶飲料を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0009】 以上の目的を達成するために、本発明者らは、優れた香味や色調を有し、かつ、抗菌性をも備えた緑茶飲料が得られる製造方法について鋭意研究を重ねた。その結果、緑茶葉抽出後のpHが3.6以上5.7以下になるようにpH調整して緑茶葉の抽出を行う、という簡易な手法を採用することにより、優れた香味や色調を有するとともに抗菌性をも備えた緑茶飲料の製造を実現するに至った。 【0010】 (1) 緑茶葉抽出後のpHが3.6以上5.7以下になるようにpH調整して緑茶葉の抽出を行うpH調整抽出工程を含むことを特徴とする緑茶飲料製造方法。 【0011】 (2) さらに、前記pH調整抽出工程で得られた抽出液を調合して緑茶飲料を得る緑茶飲料製造工程を含むことを特徴とする(1)記載の緑茶飲料の製造方法。 【0012】 (3) 前記pH調整は、酸を添加することによりなされるものであることを特徴とする(1)又は(2)記載の緑茶飲料製造方法。 【0013】 (4) 前記酸は、前記pH調整抽出工程で用いられることにより、緑茶飲料に抗菌性を付与し得る酸であることを特徴とする(3)記載の緑茶飲料製造方法。 【0014】 (5) 前記酸は、ビタミンC、酢酸、リン酸、及び塩酸よりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする(3)又は(4)記載の緑茶飲料製造方法。 【0015】 (6) (1)から(5)いずれか記載の製造方法により製造された緑茶飲料。 【0016】 (7) (6)記載の緑茶飲料が未開封容器に充填された緑茶飲料製品。 【0017】 (8) 緑茶飲料の製造において、緑茶葉抽出後のpHが3.6以上5.7以下になるようにpH調整して緑茶葉の抽出を行うことにより、抗菌性を緑茶飲料に付与させる方法。 【0018】 本発明では、酸性にpH調整された抽出用水溶液を用いて緑茶葉の抽出を行う。中性あるいはアルカリ性の条件下で抽出を行う場合と比較して、酸性下において緑茶葉の抽出を行うと、カテキン及びタンニン(カテキン重合物)の抽出量が増大する。カテキン及びタンニンは、抗菌性を有する成分である一方で、緑茶飲料の香味や色調にも影響を及ぼす成分である。従って、これらの成分の抽出量をコントロールすることで、優れた香味、色調と抗菌性を高いバランスで実現した緑茶飲料を製造することができる。即ち、本発明は、カテキンやタンニンの抽出量をコントロールし、優れた香味、色調と抗菌性を高いバランスで実現した緑茶飲料を製造するための最適な茶葉抽出条件を見出したものである。 【0019】 本発明が見出した最適な茶葉抽出条件とは、緑茶葉抽出後のpHが3.6以上5.7以下になるようにpH調整された抽出用水溶液を用いて緑茶葉の抽出を行うというものである。特許文献1及び特許文献2は、抽出前に抽出用水溶液のpHをある一定の範囲に設定したものであり、抽出後の抽出液のpHで規定する本発明とは根本的に異なる。特許文献1や特許文献2のように、抽出前の抽出用水溶液のpHで規定した場合、抽出条件によってはpHが大きく変動して優れた香味や色調が得られない場合があるなどの問題があったが、本発明ではそのような問題は生じない。さらには、特許文献3のような煩雑な製造工程を経ることもない。即ち、本発明によれば、抽出後の抽出液のpHを所定の範囲に調整するという、簡易な抽出条件を採用することにより、優れた香味や色調を有するとともに安全性にも配慮した緑茶飲料、特に抗菌性を有する緑茶飲料を提供することができる。 【0020】 (7)に係る緑茶飲料製品は、抗菌性を備えた緑茶飲料が未開封容器に充填されたものであるため、消費者が菌の増殖などの心配をすることなく、安心して緑茶飲料を飲用することができる。ここで、未開封容器としては、例えば、未開封のPETボトルやPENボトル、アルミボトル、アルミ缶などが挙げられる。一般的に、これら未開封容器は移送中などに長時間室温ないしは高温に曝されることも多々ある一方で、これら未開封容器中に製造工程で完全に殺菌できずに混入した細菌が存在する場合、これら細菌の増殖は大きな懸念事項である。(7)に係る緑茶飲料製品はこの大きな問題を解決したものであり、本発明によればそのような細菌の増殖による品質の低下といった心配が低減される。 【0021】 他の側面から見ると、緑茶飲料に抗菌性を付与させるために、酸を添加して緑茶葉抽出後のpHが3.6以上5.7以下になるようにpH調整された抽出用水溶液を用いて緑茶葉の抽出を行うという方法を採ることができる。緑茶飲料に抗菌性を付与させる方法としては、従来は、特許文献3のようにシュガーエステルとアスコルビン酸ナトリウムを併用するという煩雑な工程を含む製造方法が提示されていたのみである。従って、本発明によれば、優れた香味、色調を有するとともに抗菌性をも緑茶飲料に付与させる方法として、抽出後の抽出液のpHを所定の範囲に調整するという、簡易な方法を採用することができる。 【0022】 <pH> 本発明では、緑茶葉抽出後のpHが3.6以上5.7以下になるようにpH調整された抽出用水溶液を用いて茶葉の抽出を行う。pHが3.6より低い場合には、酸味が強すぎてしまうため好ましくない。また、pHが5.7より高い場合には、カテキン及びタンニンの抽出量が十分でなく、優れた香味、色調と抗菌性を高いバランスで実現した緑茶飲料が得られない。より好ましいpHの範囲は、3.6以上5.0以下である。 【0023】 <酸> 本発明では、抽出用水溶液のpHを調整するために酸を添加する。本発明で使用される酸は、pH調整剤として用いられることにより、抗菌性を緑茶飲料に付与し得るものである。好ましい酸種としては、ビタミンC、酢酸、リン酸、及び塩酸よりなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの酸を添加して所定のpHに調整した抽出用水溶液を用いて緑茶葉を抽出すると、カテキン及びタンニンの抽出効率が向上する。特に、ビタミンCは抗酸化作用も有しているため、抽出の際におけるカテキン及びタンニンの酸化、変質を抑制することもできる。従って、これらの酸の添加により、より優れた香味、色調と抗菌性を高いバランスで実現した緑茶飲料を得ることができる。 【0024】 <カテキン及びタンニン> カテキンとは、フラボノイドと総称される色素成分の一種で緑茶葉中に多く含まれるものである。また、タンニンとは、カテキンが茶葉の成分である酸化酵素(ポリフェノールオキシターゼ)の作用を受けて酸化重合したポリフェノール化合物である。カテキン及びタンニンは香味、色調に影響を及ぼす他、抗菌性をも有する成分である。従って、本発明に係る緑茶飲料の製造方法においては、酸性下で緑茶葉の抽出を行うことにより、カテキン及びタンニンの抽出量が増大し、優れた香味、色調と抗菌性を高いバランスで実現した緑茶飲料の製造を可能としている。 【0025】 <抗菌性> 本発明に係る緑茶飲料では、通常の緑茶飲料の製造工程では完全に殺菌できない芽胞形成細菌の増殖を抑制することができる。中でも例えば、subtilis菌(Bacillus subtilis)及びlicheniformis菌(B. licheniformis)に対して抑制効果を発揮する。subtilis菌は枯草菌とも呼ばれ、微生物の中で最も注目されているものであり、増殖力が極めて旺盛な好気性菌である。また、licheniformis菌は好熱性菌の一種である。これらの菌は、水分、酸素、増殖温度の条件が揃えば栄養分を分解しながら増殖するため、飲料においてこれらの菌の増殖を抑制することは極めて重要な課題であり、本発明はこの課題を解決したものとして意義がある。 【発明の効果】 【0026】 本発明によれば、抽出後の抽出液のpHを3.6以上5.7以下に調整した抽出用水溶液を用いて緑茶葉の抽出を行うという、簡易な方法を採用することにより、優れた香味や色調を有するとともに抗菌性をも有する緑茶飲料を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0027】 <製造方法> [pH調整抽出工程] 本発明に係る製造方法では、まず、抽出用水に所定量の酸を溶解させて抽出用水溶液を酸性下に調整する。この際に、抽出後の抽出液のpHが3.6以上5.7以下の範囲となるように抽出用水溶液のpHを調整する。次に、pH調整された抽出用水溶液を用いて緑茶葉の抽出を行う。 【0028】 [緑茶飲料製造工程] 抽出後、濾過を行うことにより抽出液から緑茶葉を除去し、抽出液を得る。得られた抽出液を希釈するとともに、飲料に適したpHに調整して緑茶飲料を得る。また、緑茶飲料を加熱殺菌後、断続的飲用可能密閉容器に充填することにより、緑茶飲料製品を得る。 【実施例】 【0029】 以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 【0030】 [実施例1〜8、比較例1〜3] 表1に示したように、各種酸を抽出用水溶液に所定量添加して所望のpHに調整した。煎茶及び焙じ茶を配合した緑茶葉に、pH調整された抽出用水溶液を緑茶葉の30倍量添加して抽出を実施した。抽出は温度60℃の下で6分間行った。抽出後、濾過により緑茶葉を除去し、pHを調整し、得られた抽出液を希釈して緑茶飲料を得た。pH調整は加熱殺菌後のpHがおよそ6.5〜6.6になるよう調整した。希釈はタンニン量がおよそ50〜60mg/100mlとなることを目標として行った。さらに、得られた緑茶飲料を加熱殺菌後、PETボトルに充填して緑茶飲料製品とした。 【0031】 得られた緑茶飲料製品それぞれに、subtilis菌及びlicheniformis菌を接種菌数1000CFU/PET飲料接種して、その増殖能を評価した。併せて、官能(香味)、外観(色調)の評価も行った。その結果、表1に示したような評価結果が得られた。 【0032】 【表1】
【0033】 表1に示した通り、実施例1〜8においてはsubtilis菌及びlicheniformis菌のいずれも増殖は確認されなかったのに対して、比較例1〜3ではこれらの菌の増殖が確認された。この結果からも明らかであるように、本発明に係る緑茶飲料製造方法により製造された緑茶飲料は、従来の緑茶飲料よりも高い抗菌性を有している。また、実施例1〜8は、菌接種後においても優れた香味と色調を保持していることが確認された。
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| 【出願人】 |
【識別番号】596126465 【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社 【住所又は居所】東京都墨田区吾妻橋一丁目23番1号
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| 【出願日】 |
平成15年9月3日(2003.9.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100106002 【弁理士】 【氏名又は名称】正林 真之
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| 【公開番号】 |
特開2005−73672(P2005−73672A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月24日(2005.3.24) |
| 【出願番号】 |
特願2003−311750(P2003−311750) |
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