| 【発明の名称】 |
緑茶抽出組成物、該緑茶抽出組成物を含有する飲食品 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 進 【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内
【氏名】亀井 優徳 【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内
|
| 【要約】 |
【課題】緑茶のカテキン類に対する苦味、渋味の抑制効果が高く、飲食品に対して充分な量のカテキン類を添加しても飲食品本来の風味を損なわない緑茶抽出組成物及び該緑茶抽出組成物を含有する飲食品を提供する。
【解決手段】この緑茶抽出組成物は、緑茶の抽出液に、カゼイン及びβ−サイクロデキストリンを添加混合して得られる。抽出液中の固形分100質量部に対して、カゼイン及びβ−サイクロデキストリンを10〜900質量部含有することが好ましい。また、緑茶抽出組成物が乾燥粉末化されたものであることが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 緑茶の抽出液に、カゼイン及びβ−サイクロデキストリンを添加混合して得られることを特徴とする緑茶抽出組成物。 【請求項2】 前記抽出液中の固形分100質量部に対して、前記カゼイン及び前記β−サイクロデキストリンを10〜900質量部含有する請求項1に記載の緑茶抽出組成物。 【請求項3】 前記緑茶抽出組成物が乾燥粉末化されたものである請求項1又は2に記載の緑茶抽出組成物。 【請求項4】 請求項1〜3に記載の緑茶抽出組成物を含有することを特徴とする飲食品。 【請求項5】 前記飲食品が、飲料、飲料用粉末、ゼリー、キャンディー、焼き菓子、チョコレート、まんじゅう、アイスクリーム、冷菓、打錠菓子から選ばれる1種である請求項4に記載の飲食品。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば、飲料や菓子等の飲食品に好適に用いられる緑茶抽出組成物に関し、更に詳しくは、緑茶の苦味や渋みを低下させた緑茶抽出組成物及び該緑茶抽出組成物を含有する飲食品に関する。 【背景技術】 【0002】 緑茶にはカテキン類が含まれている。このカテキン類には強い抗酸化力や抗菌効果が認められており、加えて、人体への生理活性効果として、動脈硬化やアレルギーの防止効果等の作用についても研究が行われている。このため、近年、飲料や加工食品等の飲食品への緑茶抽出成分の添加が検討されている。 【0003】 しかし、上記のカテキン類のうち、特に緑茶から抽出されたものは、強い渋味、苦味を有していることから、飲食品に添加する場合に量的な制限があり、大量に添加することができないという問題がある。 【0004】 このような問題点に対して、各種のマスキング物質を添加して緑茶抽出物の渋味、苦味を抑制することが検討されている。 【0005】 例えば、以下の特許文献1、2、非特許文献1には、茶の抽出物にサイクロデキストリンを添加することによって包接し、カテキンのもつ苦味、渋味のマスキングを行うことが開示されている。 【0006】 また、特許文献3、4には、乳由来タンパク質溶液を用いて茶を抽出することが開示されており、乳由来タンパク質溶液としてカゼインナトリウム溶液が例示されている。また、特許文献3には、この製造方法によってタンニン成分の漏出が少なく渋味を調整できることが開示されている。 【特許文献1】特開平7−327602号公報 【特許文献2】特開平10−4919号公報 【特許文献3】特開2000−32913号公報 【特許文献4】特開平11−346649号公報 【非特許文献1】住吉秀幸、大石真奈美,「サイクロデキストリンによる植物成分の包接と利用」,月刊フードケミカル,1999年6月,p99−105 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかし、上記の従来技術に開示されているサイクロデキストリンやカゼインは、それらを単独で添加しても、カテキン類に対する苦味、渋味の抑制効果が充分に得られなかった。このため、飲食品に対して充分な量のカテキン類を添加すると、苦味、渋味が生じて飲食品の風味が損なわれるという問題があった。また、サイクロデキストリンやカゼインを多量に添加すると、それらの風味が強くなりすぎて、飲食品自体の風味が損なわれるという問題があった。 【0008】 したがって、本発明の目的は、緑茶のカテキン類に対する苦味、渋味の抑制効果が高く、飲食品に対して充分な量のカテキン類を添加しても飲食品自体の風味を損なわない緑茶抽出組成物及び、該緑茶抽出組成物を含有する飲食品を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 すなわち、本発明の緑茶抽出組成物は、緑茶の抽出液に、カゼイン及びβ−サイクロデキストリンを添加混合して得られることを特徴とする。 【0010】 本発明の緑茶抽出組成物によれば、カゼインとβ−サイクロデキストリンとを併用することによって相乗効果が生じ、これによって、それぞれを単独で用いた場合に比べて、カテキン類に対する苦味、渋味の抑制効果が向上する。したがって、飲食品への緑茶抽出物の添加量を多くすることができるので、上記のカテキン類の生理活性効果を高めることが期待できる。 【0011】 本発明の緑茶抽出組成物においては、前記抽出液中の固形分100質量部に対して、前記カゼイン及び前記β−サイクロデキストリンを10〜900質量部含有することが好ましい。上記範囲の添加量であれば、緑茶抽出物の苦味、渋味を充分に抑制でき、しかも、添加する飲食品自体の風味を損なうことがない。 【0012】 また、本発明の緑茶抽出組成物においては、前記緑茶抽出組成物が乾燥粉末化されたものであることが好ましい。これによれば、保存性、運搬性に優れる緑茶抽出組成物を提供できる。 【0013】 一方、本発明の飲食品は、上記の緑茶抽出組成物を含有することを特徴とする飲食品である。ここで、前記飲食品が、飲料、飲料用粉末、ゼリー、キャンディー、焼き菓子、チョコレート、まんじゅう、アイスクリーム、冷菓、打錠菓子から選ばれる1種であることが好ましい。 【0014】 これによれば、緑茶抽出物の苦味、渋味を充分に抑制できるので、飲食品自体の持つ風味を低下させることなく、従来より緑茶抽出物の添加量が多い飲食品を提供できる。 【発明の効果】 【0015】 本発明によれば、緑茶抽出物中のカテキン類に対する苦味、渋味の抑制効果が向上する。したがって、飲食品本来の持つ風味を低下させることなく、飲食品への緑茶抽出物の添加量を多くすることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 本発明の緑茶抽出組成物は、緑茶の抽出液に、カゼイン及びβ−サイクロデキストリンを添加混合して得られる。以下、緑茶抽出組成物の製造工程に沿って説明する。 【0017】 まず、原料となる茶葉を抽出して緑茶抽出液を得る。原料の茶葉としては緑茶であればよく特に限定されない。 【0018】 抽出方法は特に限定されないが、従来公知の熱水抽出が好ましく用いられる。抽出条件は適宜設定でき、例えば、茶葉100質量部に対して、500〜20000質量部の90〜100℃の熱水で1〜30分間行うことができる。抽出後の茶葉は、例えば100メッシュ程度のフィルター等で自然ろ過し茶葉を回収することができる。 【0019】 なお、上記の抽出を効率的に行うためには、抽出後の茶葉を再度あらたな熱水に投入して、繰り返し抽出することが好ましい。これにより、一般的に3回の抽出を行うことで、茶葉のカテキン類のほぼ全量を抽出することができる。 【0020】 得られた抽出液は水分量が多いため濃縮することが好ましい。濃縮手段としては特に限定されず、減圧濃縮、加熱濃縮、凍結濃縮などの常法が適宜選択できるが、減圧濃縮または凍結濃縮がより好ましい。濃縮条件としては、例えば、200〜400Torrの減圧下で、70〜80℃、2〜4時間の条件で濃縮することができる。濃縮液は緑茶固形分が5〜30%となるように行うことが好ましく、15〜20%がより好ましい。なお、本発明においては上記の濃縮は必ずしも行う必要はなく、例えば、後述する飲食品が飲料等の場合には行わなくてもよい。 【0021】 濃縮終了後、カゼイン及びβ−サイクロデキストリンを添加混合して緑茶抽出組成物を得る。そして、本発明においては、このカゼイン及びβ−サイクロデキストリンを併用して添加することを特徴としている。 【0022】 カゼインとしては、カゼインナトリウム(カゼインNa)、カゼインカルシウム(カゼインCa)等が好ましく用いられる。カゼインNaは水溶性であり、カゼインCaは不溶性であるが、いずれも好適に用いることができる。なお、後述する飲食品が飲料である場合には、沈殿を防止するためにカゼインNa等の水溶性塩類を用いることが好ましい。なお、β−サイクロデキストリンは従来公知の市販品を使用できる。 【0023】 カゼインとβ−サイクロデキストリンとの配合割合は、カゼイン100質量部に対してβ−サイクロデキストリンを5〜2000質量部配合することが好ましく、10〜1000質量部配合することがより好ましい。カゼイン100質量部に対するβ−サイクロデキストリンの配合量が5質量部未満又は2000質量部を超えると、カゼインとβ−サイクロデキストリンとの相乗効果が得られず、苦味、渋味抑制効果が不充分となるので好ましくない。 【0024】 緑茶抽出液中の固形分に対する、カゼイン及びβ−サイクロデキストリンの合計量の配合割合は、緑茶抽出液中の固形分100質量部に対して、カゼイン及びβ−サイクロデキストリンを10〜900質量部含有することが好ましく、30〜300質量部含有することがより好ましく、50〜200質量部含有することが特に好ましい。 【0025】 カゼイン及びβ−サイクロデキストリンの合計量の配合割合が10質量部未満であると、苦味、渋味抑制効果が不充分となるので好ましくない。また、900質量部を超えると、カゼインの風味が強くなり、飲食品本来の持つ風味が損なわれるので好ましくない。 【0026】 カゼイン及びβ−サイクロデキストリンの添加方法は通常用いられる方法より適宜選択できる。たとえば濃縮液を撹拌しながらカゼイン及びβ−サイクロデキストリンを添加していけばよい。なお、上記の濃縮を行う場合には、カゼイン及びβ−サイクロデキストリンの添加は濃縮前に添加してもよい。 【0027】 上記の濃縮液は、飲料などに使用する場合は濃縮液のまま使用できるが、その他の固形食品等に配合する場合には、乾燥粉末化することが好ましい。乾燥粉末化は、従来公知の噴霧乾燥、凍結乾燥、ドラムドライなどの方法から適宜選択できる。例えば噴霧乾燥機としては、大川原化工機社製のCL−8型等が使用でき、例えば、入り口温度160度、出口温度95〜98℃条件で、乾燥粉末化できる。噴霧乾燥の方式としては、例えば、スプレー方式はアトマイザー方式、粉末回収方法はサイクロン1点回収方式が使用できる。 【0028】 次に、上記の緑茶抽出組成物を含有する飲食品について説明する。飲食品としては特に限定されないが、飲料、飲料用粉末、ゼリー、キャンディー、焼き菓子、チョコレート、まんじゅう、アイスクリーム、冷菓、打錠菓子等が挙げられる。 【0029】 緑茶抽出組成物の上記の飲食品への添加は、上記のような濃縮液の状態で添加してもよく、未濃縮液の状態で添加してもよく、乾燥粉末の状態で添加してもよく、飲食品の種類の応じて適宜選択できる。 【0030】 緑茶抽出組成物の飲食品への添加量は、目的とする食品によって適宜選択可能であるが、飲食品全体100gあたり0.1〜10gとなるように配合することが好ましい。 【0031】 具体的には、例えば、キャンディや錠菓の場合には、上記の緑茶抽出組成物の固形分換算で、食品100gあたり0.4〜8g配合することが好ましく、1〜4g配合することがより好ましい。また、焼き菓子の場合には、上記の緑茶抽出組成物の固形分換算で、食品100gあたり0.4〜5g配合することが好ましく、1〜4g配合することがより好ましい。更に、緑茶飲料等の飲料の場合には、上記の緑茶抽出組成物の固形分換算で、飲料100gあたり0.1〜1g配合することが好ましく、0.2〜0.5g配合することがより好ましい。 【実施例】 【0032】 以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。 実施例1(緑茶抽出組成物の製造) 茶葉100gを、2リットルの95℃の熱水に投入し、95℃に保ちながら5分間撹拌後、100メッシュのフィルターで自然ろ過し茶葉を回収した。より効率的に抽出するため、抽出後の茶葉をあらたな熱水に投入し、同様に計3回抽出を行い、6リットルの抽出液を得た。得られた抽出液は、凍結乾燥機(DF−010H型:日本真空技術(株)社製)を用い、0.2Torr、品温20℃の条件で凍結乾燥して粉末化した。 【0033】 上記の粉末を3.6mg/mlの濃度で水に溶かし、β−サイクロデキストリンとカゼインNaの1:1混合物を、それぞれ1.3mg/ml、4mg/ml、8mg/ml、12mg/mlになるように添加し溶解させ、4種類の濃度の実施例1の緑茶抽出組成物を得た。 【0034】 比較例1 β−サイクロデキストリンのみを、それぞれ1.3mg/ml、4mg/ml、8mg/ml、12mg/mlになるように添加し溶解させた以外は、実施例1と同様にして、4種類の濃度の比較例1の緑茶抽出組成物を得た。 【0035】 比較例2 カゼインNaのみを、それぞれ1.3mg/ml、4mg/ml、8mg/ml、12mg/mlになるように添加し溶解させた以外は、実施例1と同様にして、4種類の濃度の比較例2の緑茶抽出組成物を得た。 【0036】 試験例1(等価濃度試験法による相乗効果の確認) 実施例1、比較例1、2の緑茶抽出組成物について、以下の等価濃度試験法によって苦味、渋味の評価を行った。 【0037】 等価濃度試験法は、上記の緑茶抽出液を凍結乾燥した粉末(β−サイクロデキストリン、カゼインNaは未添加)を規定の濃度で水に溶かし、等価濃度試験法の標準液とした。標準液は3.6mg/mlを「強い」、2.1mg/mlを「中間」、1.2mg/mlを「弱い」とし、実施例1、比較例1、2の緑茶抽出液組成物と標準液とを飲み比べ、ほぼ同じ苦味の標準液をもってサンプルの苦味、渋味の評価とした。その結果を図1に示す。なお、図1における横軸は対数目盛である。 【0038】 図1の結果より、β−サイクロデキストリンとカゼインNaを併用した実施例1においては、それぞれを単独で用いた場合である比較例1、2に比べて、苦味、渋味が低減されており、特に、β−サイクロデキストリンとカゼインNaの1:1混合物の添加量が、4mg/ml(緑茶抽出液の固形分100質量部に対して111質量部)、8mg/ml(緑茶抽出液の固形分100質量部に対して222質量部)、12mg/ml(緑茶抽出液の固形分100質量部に対して333質量部)の場合において、両者の相乗効果が認められることがわかる。 【0039】 実施例2(飲食品(キャンディー)の製造) 下記の表1の配合で、常法により、本発明の緑茶抽出組成物を含有するキャンディーを製造した。なお、緑茶抽出組成物としては、上記の緑茶抽出液を凍結乾燥した粉末の100質量部に対して、β−サイクロデキストリンとカゼインNaの1:1混合物を、200質量部添加したものを用いた。この結果、このキャンディーにおいては、効果的に苦味、渋味が抑制されることが、パネラー5名による官能検査により確認できた。 【0040】 【表1】
【0041】 実施例3(飲食品(焼き菓子)の製造) 下記の表2の配合で、常法により、本発明の緑茶抽出組成物を含有する焼き菓子を製造した。なお、緑茶抽出組成物としては、上記の緑茶抽出液を凍結乾燥した粉末の100質量部に対して、β−サイクロデキストリンとカゼインNaの1:1混合物を、100質量部添加したものを用いた。この結果、この焼き菓子においては、効果的に苦味、渋味が抑制されることが、パネラー5名による官能検査により確認できた。 【0042】 【表2】
【0043】 実施例4(飲食品(オレンジ飲料)の製造) 下記の表3の配合で、常法により、本発明の緑茶抽出組成物を含有するオレンジ飲料を製造した。なお、緑茶抽出組成物としては、上記の緑茶抽出液の濃縮液(固形分20%)の固形分100質量部に対して、β−サイクロデキストリンとカゼインNaの1:1混合物を、200質量部添加したものを用いた。この結果、このオレンジ飲料においては、効果的に苦味、渋味が抑制されることが、パネラー5名による官能検査により確認できた。 【0044】 【表3】
【0045】 実施例5(飲食品(緑茶飲料)の製造) 下記の表4の配合で、常法により、本発明の緑茶抽出組成物を含有する緑茶飲料を製造した。なお、緑茶抽出組成物としては、上記の緑茶抽出液の濃縮液(固形分20%)の固形分100質量部に対して、β−サイクロデキストリンとカゼインNaの1:1混合物を、200質量部添加したものを用いた。この結果、この緑茶飲料においては、効果的に苦味、渋味が抑制されることが、パネラー5名による官能検査により確認できた。 【0046】 【表4】
【産業上の利用可能性】 【0047】 本発明は、緑茶の苦味や渋みを低下させた緑茶抽出組成物として、例えば飲料や菓子等の飲食品として好適に用いられる。 【図面の簡単な説明】 【0048】 【図1】実施例における、等価濃度試験法による苦味、渋味の評価を行った結果を示す図表である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006116 【氏名又は名称】森永製菓株式会社 【住所又は居所】東京都港区芝5丁目33番1号
|
| 【出願日】 |
平成15年8月29日(2003.8.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086689 【弁理士】 【氏名又は名称】松井 茂
|
| 【公開番号】 |
特開2005−73534(P2005−73534A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月24日(2005.3.24) |
| 【出願番号】 |
特願2003−305786(P2003−305786) |
|