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【発明の名称】 生食用野菜の殺菌方法
【発明者】 【氏名】木内 裕
【住所又は居所】東京都中央区銀座7丁目14番13号 株式会社紀文食品内

【氏名】櫛引 美紀
【住所又は居所】東京都中央区銀座7丁目14番13号 株式会社紀文食品内

【氏名】田中 克己
【住所又は居所】東京都中央区銀座7丁目14番13号 株式会社紀文食品内

【氏名】平野 瞳
【住所又は居所】東京都中央区銀座7丁目14番13号 株式会社紀文食品内

【氏名】島原 千晶
【住所又は居所】東京都中央区銀座7丁目14番13号 株式会社紀文食品内

【要約】 【課題】野菜の生食用としての性状を十分に維持しつつ、効果的に殺菌することができる生食用野菜の殺菌方法を提供すること。

【解決手段】温度範囲が50〜90℃の亜塩素酸ナトリウム水溶液に生食用野菜を10〜60秒間浸漬する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度範囲が50〜90℃の亜塩素酸ナトリウム水溶液に生食用野菜を10〜60秒間浸漬する工程を含むことを特徴とする生食用野菜の殺菌方法。
【請求項2】
前記水溶液の亜塩素酸ナトリウム濃度が200〜500ppmであることを特徴とする請求項1に記載の生食用野菜の殺菌方法。
【請求項3】
前記水溶液のpHが4〜10であることを特徴とする請求項1または2に記載の生食用野菜の殺菌方法。
【請求項4】
生食用野菜が、葉菜類、茎菜類、根菜類又は果菜類に属する野菜であって、剥皮および/または分割されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の生食用野菜の殺菌方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は生食用野菜の殺菌方法に関する。より詳しくは、野菜の生食用としての性状を十分に維持しつつ、効果的に殺菌することができる生食用野菜の殺菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会において、生食用野菜はさまざまな形態で大量に流通している。例えば、家庭においてすぐに食することができるように剥皮・分割された状態で包装され、スーパーなどで販売されている。また、調理しやすい状態に形を整えたうえで冷蔵車に搭載され、食品チェーン店などに搬送され消費されている。これらの生食用野菜は、食する時点で安全でおいしいものでなければならない。このため、生食用としてのおいしさを損なわずに野菜を殺菌する方法が必要とされている。
【0003】
生食用野菜の殺菌方法として最も安価な方法は、清浄水で生食用野菜を洗浄する方法である。この方法によれば野菜の損傷が少なくて済むが、洗浄後の残存細菌数が大きいために衛生基準値をクリアすることが困難であるという問題がある。そこで、熱水で短時間殺菌する方法が考案されたが、熱によって野菜が劣化することがあるため、生食用野菜の殺菌方法としては適当ではない。
【0004】
一方、5〜25℃の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(濃度100〜200ppm、pH6〜7)に5〜10分程度浸漬することによって、生食用野菜を殺菌する方法も考案されている。この方法も比較的安価に実施することができるものの、生食用野菜がやや損傷しやすいという欠点がある。また、殺菌中に刺激のある塩素臭が発生し、手荒れを起こすことも多いため、作業者にとって扱いにくいという問題もある。さらに、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は有機物で消耗するため、大量の生食用野菜を処理するために繰り返して使用することが困難であるという問題もある。次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いた殺菌方法については種々の改良法が提案されているが(特許文献1および特許文献2)、上記の問題を根本的に解決するには至っていない。
【0005】
別の殺菌方法として、5〜25℃の強酸性電解水(酸濃度20〜60ppm、pH2.3〜2.7)に5〜10分程度浸漬することによって、生食用野菜を殺菌する方法も考案されている。この方法には、濃度制御が簡単であるという利点があるが、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と同様に塩素臭が発生するという問題がある。また、殺菌装置が高価であり、ステンレス製の加工設備であっても錆びやすいため、使用後に十分に水洗することが求められる。
【0006】
逆に、5〜25℃の弱酸性電解水(酸濃度10〜30ppm、pH5.5〜6.5)に5〜10分程度浸漬することによって、生食用野菜を殺菌する方法も考案されている。この方法は、濃度制御が容易であり、塩素臭や加工設備の金属に対する腐食性が比較的小さいという利点がある。しかしながら、装置が高価であるという問題がある。
【0007】
さらに別の殺菌方法として、5〜10℃のオゾン水(濃度0.5〜10ppm)に1〜10分浸漬することによって、生食用野菜を殺菌する方法も考案されている。この方法は、濃度制御が容易で生食用野菜の損傷が少ないという利点を有するが、有害なオゾンガスが発生するという問題がある。また、装置も高価で、オゾン水が有機物で消耗するため、大量の生食用野菜を処理するために繰り返して使用することが困難であるという問題もある。
【0008】
また、5〜10℃の亜塩素酸ナトリウム(100〜500ppm、pH6〜8)に一晩から数日浸漬することによって、生食用野菜を殺菌する方法も考案されている。この方法は、安価で塩素臭がなく、濃度制御が比較的容易で、野菜の損傷や金属の腐食も少ないという利点を有する。しかしながら、長時間浸漬しなければ殺菌効果が得られないため、極めて効率が悪いという問題がある。
【特許文献1】特登2517189号公報
【特許文献2】特表2001−502998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、これまでに考案されている殺菌方法では、野菜の生食用としての性状を十分に維持しつつ、安価で効果的に殺菌することはできなかった。熱水による殺菌方法では熱による劣化の問題があり、また、熱水以外の殺菌方法では1分を超える長時間の浸漬が必須であるため生食用野菜の成分が溶出するという問題があった。
本発明者は、このような従来の殺菌方法の問題に対処すべく鋭意検討を行った。すなわち本発明は、野菜の生食用としての性状を十分に維持しつつ、安価で効果的に殺菌する方法を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、以下の構成を有する本発明によれば、目的を達成しうることを見いだした。
すなわち本発明は、温度範囲が50〜90℃の亜塩素酸ナトリウム水溶液に生食用野菜を10〜60秒間浸漬する工程を含むことを特徴とする生食用野菜の殺菌方法を提供する。
【0011】
本発明の殺菌方法で用いる水溶液の亜塩素酸ナトリウム濃度は200〜500ppmであることが好ましく、pHは4〜10であることが好ましい。また、本発明の殺菌方法は、葉菜類、茎菜類、根菜類又は果菜類に属する野菜であって、剥皮および/または分割されているものに好ましく用いることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の殺菌方法を用いれば、野菜の生食用としての性状を十分に維持しつつ、効果的に殺菌することができる。特に、野菜表面の複雑な組織により殺菌液と菌の接触が充分にできずにこれまで満足の行く殺菌ができなかったものであっても、容易かつ十分に殺菌することができる。また、殺菌装置は比較的安価に用意することができ、かつ、有機物による殺菌液の消耗も小さいため、大量の生食用野菜を処理するために繰り返して使用することができる。
【発明の実施の形態】
【0013】
以下において、本発明の生食用野菜の殺菌方法について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0014】
本発明の生食用野菜の殺菌方法は、温度範囲が50〜90℃の亜塩素酸ナトリウム水溶液に生食用野菜を10〜60秒間浸漬する工程を含むことを特徴とする。
本発明で用いる亜塩素酸ナトリウム水溶液は、亜塩素酸ナトリウムの結晶を水に溶解させることにより調製したものであってもよいし、水中で亜塩素酸ナトリウムを合成することにより調製したものであってもよい。亜塩素酸ナトリウムの結晶には無水塩と三水塩が存在するが、結晶を水に溶解させることにより調製する場合はいずれの結晶を用いてもよい。また、水中で亜塩素酸ナトリウムを合成する方法は特に制限されず、例えば、塩素酸ナトリウムの硫酸酸性溶液を二酸化硫黄で還元して二酸化塩素を発生させ、これに水酸化ナトリウムと炭素等の還元剤を添加して水酸化カルシウムを作用させる方法を例示することができる。また、水酸化バリウムと過酸化水素との混合物に二酸化塩素を作用させて亜塩素酸バリウムを合成し、さらに硫酸ナトリウムを反応させる方法もある。いずれの合成法による場合であっても、反応生成物を適宜精製する必要がある。
【0015】
本発明で用いる亜塩素酸ナトリウム水溶液の濃度は、200ppm〜500ppmが好ましく、300〜500ppmがより好ましく、400〜500ppmがさらに好ましい。好ましい範囲の上限値である500ppmは、法規制に配慮して記載したものであり、500ppmを超える濃度で本発明を実施した場合に殺菌効果が劣ることを意味するものではない。
【0016】
本発明で用いる亜塩素酸ナトリウム水溶液の温度は50〜90℃である。好ましくは、50〜80℃であり、より好ましくは50〜70℃である。亜塩素酸ナトリウム水溶液の温度が低すぎると、野菜を浸漬する時間を長くしなければ十分な殺菌効果が得られない。逆に亜塩素酸ナトリウム水溶液の温度が高すぎると、野菜を浸漬することによる劣化が大きくなる。また、90℃を超える温度領域では殺菌効果に有意差がない。
【0017】
本発明で用いる亜塩素酸ナトリウム水溶液に生食用野菜を浸漬する時間は、60秒以下であることが好ましく、10〜60秒であることがより好ましく、10〜30秒であることが特に好ましい。浸漬時間が短すぎると殺菌むらが生じることがある。逆に浸漬時間が長すぎると効率が悪くなり、野菜の損傷も起き易くなる。また、野菜成分が亜塩素酸ナトリウム水溶液に溶出して亜塩素酸ナトリウム水溶液が劣化するため、殺菌液を繰り返して使用しにくくなる。
【0018】
亜塩素酸ナトリウム水溶液の温度と浸漬時間は、殺菌処理する生食用野菜の種類、形状、用途、食するまでの時間、流通形態に応じて適宜選択して決定することができる。例えば、殺菌する生食用野菜が比較的大きい場合は、亜塩素酸ナトリウム水溶液の温度を高めに設定したり、浸漬時間を長めに設定したりすることが好ましい。一般に、亜塩素酸ナトリウム水溶液の温度を高く設定した場合は、浸漬時間を短くすることができる。例えば、80〜90℃の亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いる場合は、浸漬時間を好ましくは30秒以下に設定することができ、より好ましくは20秒以下に設定することができ、さらに好ましくは10〜20秒に設定することができる。
【0019】
殺菌する生食用野菜の種類と亜塩素酸ナトリウム水溶液の温度の関係は特に制限されるものではないが、例えば、キャベツは50〜65℃、レタスは50〜55℃、長ネギは50〜80℃、九条ネギは50〜55℃、人参は50〜90℃、大根は50〜85℃、玉ネギは50〜85℃、キュウリは50〜85℃の亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理することがより好ましい。
【0020】
本発明で用いる亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHは、一般に4〜10であり、殺菌力を高めたい場合は、例えばpHを4〜7の微酸性にすることが好ましい。また、亜塩素酸ナトリウム水溶液を繰り返し使用したい場合は、pHを7〜10の微アルカリ性にすることが好ましい。pHが低すぎると野菜が損傷を受けやすくなることがあり、また、亜塩素酸ナトリウムの分解速度が速くなるため、亜塩素酸ナトリウム溶液を繰り返して使用することが難しくなる。また、pHが高すぎると十分な殺菌効果が得られないことがある。亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHは、殺菌の目的、態様、生食用野菜の種類などに応じて適宜決定することができる。
【0021】
pHの調整には、食品用に用いられているpH調整剤を適宜選択して用いることができる。例えば、酢酸(醸造酢を含む)、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、リン酸など、及びこれらの塩類(水溶性)、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを用いることができる。
【0022】
本発明で用いる亜塩素酸ナトリウム水溶液には、亜塩素酸ナトリウムやpH調整剤以外に、本発明の効果を著しく低下させない範囲内で添加剤を加えることができる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどを加えることができる。
【0023】
本発明では、市販の亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いることもできる。例えば、昭和商事(株)の亜塩素酸ナトリウム製剤「アイエム85」を例示することができる。
【0024】
本発明の殺菌方法によれば、一般生菌数を100分の1〜10,000分の1に低減することができ、大腸菌群については陰性にすることができる。また、殺菌した野菜の生食用としての性状も良好であり、風味や栄養成分の損失も少ない。
【0025】
本発明の殺菌方法は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等を使った殺菌と異なり、塩素臭がほとんどない。このため、作業者の作業環境を良好に保つことが可能である。また、殺菌用の設備に金属が使用されていても腐食されることがないという利点もある。このため、設備設計の自由度が大きく、メンテナンスのコストも抑えることができる。さらに、本発明で用いる亜塩素酸ナトリウム水溶液は有機物による消耗が少なくて繰り返して利用するのに適しているという利点もある。このため、本発明の殺菌方法は実際上の利用価値が高い。
【0026】
本発明の方法は、生食用野菜の殺菌に広く適用することができる。本明細書において生食用野菜とは、加熱などの調理をせずに生のまま食することができる野菜を意味する。例えば、葉菜類(キャベツ、レタス、サラダナ、パセリ、ミツバ、クレソン、グリーンカール、サニーレタス、トレビス、レッドキャベツなど)、茎菜類(長ネギ、九条ネギ、アサツキ、セロリ、モヤシ、カイワレ大根など)、根菜類(人参、大根、タマネギ、ミョウガ、エシャーレットなど)、果菜類(キュウリ、ピーマン、トマト、オクラ、パプリカなど)、花菜類(ブロッコリー、カリフラワーなど)の野菜を挙げることができる。なかでも、本発明の殺菌方法は、葉菜類、茎菜類、根菜類および果菜類に好ましく適用することができる。
【0027】
本発明の殺菌方法を実施するに際して、生食用野菜はそのままの状態で丸ごと殺菌してもよいし、剥皮や分割を行ってから殺菌してもよい。分割する場合、例えば葉菜類の場合は葉を1枚ずつ切り離してもよいし、刃物で細断してもよい。分割後の生食用野菜の大きさは特に制限されないが、例えば九条ネギやアサツキのような青ネギは、可食部が筒状を呈しているため、一端カットされると筒状内部に菌が侵入しやすい。従って、内部の空気を逃し、亜塩素酸ナトリウム水溶液に速やかに浸漬されるようにする必要がある。そこで、青ネギのような可食部が筒状を呈している野菜を殺菌する場合は、両端除去後、長辺を約20cm以下(1/2から1/3程度)にカットして殺菌することが好ましい。
【0028】
亜塩素酸ナトリウム水溶液に生食用野菜を浸漬する具体的手段は特に制限されない。例えば、亜塩素酸ナトリウム水溶液が入った容器中に生食用野菜を入れ、水面から野菜が浮き上がらないようにするために上から蓋や網で押さえて殺菌し、その後、容器から生食用野菜を取り出す態様を例示することができる。また、生食用野菜をあらかじめ金網や繊維製ネット等で構成される収納具に入れておき、亜塩素酸ナトリウム水溶液が入った容器中に収納具ごと浸漬して殺菌後に取り出す態様も例示することができる。これらの殺菌処理は、自動化や連続化をすることが可能である。
【0029】
本発明の殺菌方法は、上述のようにさまざまな大きさや形状の生食用野菜に広く適用することができる。このため、あらかじめ所望の大きさや形状に加工された生食用野菜に対して本発明を適用し、その後、直ちにパーケージングなどを行って市場に流通させることが可能である。また、飲食店などにおいては、皿に盛りつけるときの状態にあらかじめ剥皮や分割した生食用野菜に対して本発明を適用しておき、その後、注文に応じて殺菌済みの生食用野菜を盛りつけることが可能である。このように、本発明の殺菌方法はさまざまな状況下で必要に応じて実施することが可能であり、その応用範囲は極めて広い。
【0030】
本発明の殺菌方法を実施した生食用野菜は、生のまま食してもよいし、加熱を伴う調理をしてから食してもよい。本発明の効果をより十分に享受することができるのは、生のまま食する場合である。
【0031】
本発明の殺菌方法は、必要に応じて通常用いられている殺菌方法と組み合わせて実施しても構わない。例えば、通常用いられている殺菌方法で殺菌済みの生食用野菜に対して、さらに本発明の殺菌方法を実施しても構わない。
【0032】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0033】
<実施例1>
市販キュウリを水洗後、両端を包丁でカットして除去した。得られたサンプルを表1の条件にしたがって浸漬殺菌し、水冷後、殺菌した包丁で約5×5mm角に角切りした。再度水洗し、脱水後に常法にしたがって細菌検査を行った。すなわち、一般生菌数を標準寒天培地を用いて30℃で2日間培養した後に計測し、大腸菌群数をデソキシコレート培地を用いて35℃で24時間培養した後に計測した。また、殺菌処理後のサンプルの性状も観察した。
【0034】
<実施例2>
市販業務用カットキュウリ(約5×5mm角、斜め切り)を表1の条件にしたがって浸漬殺菌し、水冷し脱水した後に、実施例1と同じ方法により細菌検査を行った。また、殺菌処理後のサンプルの性状も観察した。
【0035】
<実施例3>
市販長ネギの根元及び上部緑色部を包丁でカット除去後、水洗し、中央部を1/2にカットした。中央部で1/2にカットしたのは、殺菌液が内部の室間まで入り込み易くし、殺菌不良を防止するためである。得られたサンプルを表1の条件にしたがって浸漬殺菌し、水冷後、殺菌した包丁で2〜3mm巾にきざんだ。さらに水洗し、脱水した後に実施例1と同じ方法により細菌検査を行った。また、殺菌処理後のサンプルの性状も観察した。
【0036】
<実施例4>
市販九条ネギ(骨ネギ)の根元及び先端を包丁でカットして除去し、水洗し、中央部を1/2にカットした。得られたサンプルを表1の条件にしたがって浸漬殺菌し、水冷後、殺菌した包丁で2〜3mm巾にきざんだ。さらに水洗し、脱水した後に、ネギの粘質物を除去して実施例1と同じ方法により細菌検査を行った。また、殺菌処理後のサンプルの性状も観察した。
【0037】
<実施例5>
市販レタスの外葉3枚を除去後、根元を包丁でカット除去し、5×5cm角程度にカットした。得られたサンプルを表1の条件にしたがって浸漬殺菌し、水冷した後に、実施例1と同じ方法により細菌検査を行った。また、殺菌処理後のサンプルの性状も観察した。
【0038】
<実施例6〜8および比較例1〜3>
市販人参を水洗し、上部約1cmを包丁でカット除去し、厚さ約15mm、重さ約15g/個になる部位だけを用いて輪切りにした。得られたサンプルを表1の条件にしたがって浸漬殺菌し、水冷後、水切りして、実施例1と同じ方法により細菌検査を行った。また、殺菌処理後のサンプルの性状も観察した。
【0039】
<実施例9および比較例4〜5>
市販九条ネギ(骨ネギ)の根元及び先端を包丁でカットして除去し、水洗し、中央部を1/2にカットした。得られたサンプルを表1の条件にしたがって浸漬殺菌し、水冷後、殺菌した包丁で2〜3mm巾にきざんだ。さらに水洗し、脱水した後に、ネギの粘質物を除去して実施例1と同じ方法により細菌検査を行った。また、殺菌処理後のサンプルの性状も観察した。
【0040】
<対照>
実施例1〜8および比較例1〜3の対照として、浸漬殺菌処理を行わなかった点だけを変更してそれぞれ同じ操作を実施した。得られたサンプルについて、実施例1と同じ方法により細菌検査を行い、サンプルの性状も観察した。
【0041】
<結果>
各サンプルの細菌検査結果および殺菌処理後のサンプルの性状観察結果は、表1に示すとおりであった。
【0042】
【表1】


【0043】
表1の結果から明らかなように、本発明の条件を満たす殺菌を行った場合は、一般生菌の検出数が極めて少なく、大腸菌群はまったく検出されなかった。また、殺菌後の性状も生食用として良好であった。これに対して、本発明外の条件で殺菌を行った場合は、一般生菌と大腸菌群の検出数が比較的多かった。
【0044】
本発明の条件を満たす場合は、90℃で殺菌を行った後でも生食用として良好な性状を維持していた(実施例8)。また、90℃、80℃、70℃と温度を下げるにしたがって、本発明外の条件で殺菌した場合と本発明の条件で殺菌した場合の差が大きくなることも確認された(比較例1〜3と実施例6〜8の比較)。よって、本発明によれば比較的低い温度においても効果的に殺菌することができ、高温処理による野菜の劣化を回避することが可能である。
【0045】
また、亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いて低温で殺菌した場合は、長時間浸漬しても本発明ほどの殺菌効果は得られなかった(比較例4〜5と実施例9の比較)。また、本発明に比較して生食用野菜としての性状も劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の殺菌方法を用いれば、野菜の生食用としての性状を十分に維持しつつ、効果的に殺菌することができる。また、殺菌装置を比較的安価に用意することができ、かつ、有機物による殺菌液の消耗も小さいため、大量の生食用野菜を処理するために殺菌液を繰り返し使用することができる。このため、本発明は、生食用野菜に対する簡便で高効率な殺菌方法として広く採用することができるものであり、産業上の利用可能性が極めて高い。
【出願人】 【識別番号】000141509
【氏名又は名称】株式会社紀文食品
【住所又は居所】東京都中央区銀座7丁目14番13号
【出願日】 平成16年5月13日(2004.5.13)
【代理人】 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス

【公開番号】 特開2005−323521(P2005−323521A)
【公開日】 平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願番号】 特願2004−143153(P2004−143153)