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【発明の名称】 抗菌剤水溶液およびその製造装置
【発明者】 【氏名】佐々木 學
【住所又は居所】宮城県仙台市青葉区大町2丁目6−14 イオンコーポレーション株式会社内

【要約】 【課題】抗菌効果の持続性に優れた水溶液とその製造装置を提供する。

【解決手段】水道水をフィルタ及び活性炭槽に透過せしめて微細な異物などを除去し、この活性炭槽を透過した水道水は陽イオン交換樹脂槽および陰イオン交換樹脂槽に送られて純水とされ、更にゼオライト充填槽においてクラスターが細分化されて原水タンクに貯留され、この原水タンクに貯留された純水は攪拌槽にてホッキ貝粉末とリン酸カリウムとが添加され、攪拌された純水は遠心分離機に送られる。この遠心分離機では攪拌された混合水は高速で回転するスクリューフィーダの軸の中間部分からケース内に供給され、遠心力によって沈降部分と飽和水溶液部分に分けられ、スクリューフィーダの回転によって沈降部分は脱水ケーキとなり、飽和水溶液が抗菌剤水溶液として回収される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水にホッキ貝の焼成粉末とリン酸カリウムとが飽和状態まで溶解していることを特徴とする抗菌剤水溶液。
【請求項2】
請求項1に記載の抗菌剤水溶液において、前記純水を構成する水分子のクラスターが細分化されていることを特徴とする抗菌剤水溶液。
【請求項3】
水道水中の微細なゴミを除去する除去装置と、この活性炭槽からの水中のイオンを除去して純水にする純粋化装置と、このイオン交換樹脂槽を透過した純水を構成する水分子のクラスターを小さくする細分化装置と、この細分化装置を透過した純水にホッキ貝の焼成粉末とリン酸カリウムとを過飽和に添加して攪拌する攪拌槽と、この攪拌された混合水から飽和水溶液の部分を分離する分離装置とを備えることを特徴とする抗菌剤水溶液の製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載の抗菌剤水溶液の製造装置において、前記除去装置は活性炭を充填した活性炭槽であり、前記純水化装置はイオン交換樹脂槽であり、前記クラスターの細分化装置はセラミック充填槽であり、前記攪拌槽はエア噴出パイプを備え、前記分離装置は連続的に飽和水溶液と脱水ケーキとを分離可能な遠心分離機としたことを特徴とする抗菌剤水溶液の製造装置。











【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は加工食品製造業、外食産業、医療産業、医療福祉産業、家庭内における殺菌、消毒、除菌、更には農薬の分解に優れた抗菌剤水溶液およびその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は特許文献1として、ホッキ(北寄)貝の貝殻を最終到達温度800〜1000℃で焼成してなる粉末状の抗菌剤を提案している。
特許文献2には、塗工紙の片面に顔料塗工層を設け、この顔料塗工層と塗工紙との間に貝殻の焼成体を含有した樹脂層を介在せしめた抗菌性の塗工紙が提案され、特に貝殻としてホッキ貝が例示されている。
特許文献3には、リン酸カリウムを殺菌・除菌用アルカリイオン剤の安定剤として使用することが開示されている。
特許文献4には、アルカリイオン水からなる殺菌・除菌用の水溶液にリン酸カリウムを添加することが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−26508号公報
【特許文献2】特開平11−50391号公報
【特許文献3】特開平10−284361号公報
【特許文献4】特開2000−107265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
未焼成の貝殻の主成分はCaCO(炭酸カルシウム)であり、これを焼成するとCaOに変わり、このCaOが水と接触することでCa(OH)(水酸化カルシウム)が生じ、この水溶液は強いアルカリ性を呈する。そして、水溶液中の(OH)が細菌の細胞膜を透過し細胞質を加水分解することによって強い抗菌作用を発揮する。
【0005】
特許文献1に開示される抗菌剤は、他の特許文献に開示される抗菌剤よりも高い抗菌作用を発揮している。これは、材料としてCaCO(炭酸カルシウム)の割合が牡蠣などよりも多いホッキ貝を使用していることと、焼成温度を適切な温度範囲にした結果と考えられる。
【0006】
しかしながら、上記の抗菌剤は水溶液として保存すると、抗菌能力が低下する。これはCa(OH)が再びCaCOに変化するからと思われる。
また、特許文献3,4に開示される抗菌剤は殺菌・除菌効果の面において劣っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る抗菌剤水溶液は、純水にホッキ貝の焼成粉末とリン酸カリウムとを飽和状態まで溶解せしめた。
水道水を用いると、溶解しているNaやCO2−などの各種イオンによってCaOを添加しても抗菌性を発揮するCa(OH)に変化する割合が低下する。そこで、本発明にあってはこれらイオンを取り除いた純水を用いる。ただし、純水といっても上記のイオンなどが存在しなければよいので、蒸留によって純水を精製する必要はなく、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂を透過せしめるようにする。
【0008】
また、KPO(リン酸カリウム)を添加することで、抗菌効果が向上する。これは、Ca(OH)がCaCOに変化するのをからと思われる。
【0009】
更に、用いる純水はクラスターが細分化されたものが好ましい。水は、複数の水分子が水素結合によって結合したクラスターを形成している。このクラスターの外側の水分子は活性になっているため、クラスターの境界面に添加物質がトラップされる。つまり、水分子にエネルギーを与えることで上記の水素結合を切断してクラスターを細分化すれば、クラスターの表面積が増加し、CaO(酸化カルシウム)やKPO(リン酸カリウム)の溶解度が上がり、結果として水溶液の抗菌効果が向上する。
【0010】
上記のクラスターが細分化手段としては、ゼオライト粒子を充填したセラミック充填槽が考えられる。充填するゼオライト粒子は1000℃以上で焼成したものを用いることで遠赤外線効果によりクラスターが効果的に細分化される。またセラミック充填槽に磁場または電場の印加手段、振動手段、光(UV)照射手段などを付加すれば、更に細分化効果は高まる。
【0011】
また、ホッキ貝の焼成粉末とリン酸カリウムとが飽和状態まで溶解した水溶液を得るには、これらを攪拌した後にタンクに移し、静置して沈降せしめて上清部分を取り出すか、遠心分離機によって強制的に分離することが考えられる。特に、スクリューフィーダを用いた連続式の遠心分離機を用いることが量産性の面で有利である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る抗菌剤水溶液は、長期間抗菌(殺菌)効果を維持でき、例えば、 Pseudomonas aeruginosa ATCC15442、 Escherichia coli ATCC10536、Vibrio parahaemolyticus ATCC17802等の細菌に有効に作用する。
【0013】
また、本発明に係る抗菌剤水溶液は強アルカリ性であり、有機リン系農薬の早期分解にも有効である。
例えば、有機リン系農薬として、DDVP(リン酸ジメチル2,2-ジクロルビニル)の化学式は、(CHO)−PO−OCH=Cclであり、これにアルカリ(3OH)を添加すると加水分解が生じ、HPO(リン酸)とCH(メチル基)とCH=Ccl(二塩化エチレン)に分解する。
【0014】
更に本発明に係る製造装置によれば、抗菌性および殺菌性に優れた抗菌剤水溶液を連続して製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図1に示した製造装置の全体図に基づいて説明する。抗菌剤水溶液の製造装置は、上流側から下流側(図の左側から右側)に向かって、フィルタ、活性炭層、イオン交換樹脂槽、ゼオライト充填槽、原水タンク、攪拌槽、遠心分離機を配置している。
【0016】
水道水をフィルタ及び活性炭槽に透過せしめることで、微細な異物などが吸着除去される。活性炭槽の代わりに麦飯石や他の吸着剤を用いてもよい。そして、活性炭槽を透過した水道水は陽イオン交換樹脂槽および陰イオン交換樹脂槽に送られ、このイオン交換樹脂槽において、ナトリウムイオン、塩素イオン或いは炭酸イオンなどが除去され純水とされ、更にゼオライト充填槽においてクラスターが細分化されて原水タンクに貯留される。
【0017】
原水タンクに貯留された純水は必要量だけ攪拌槽に移され、この攪拌層にホッキ貝粉末(焼成温度:700〜1200℃ 平均粒径:5〜10μm)とリン酸カリウムとを過剰に添加(1:1)して攪拌する。攪拌の手段として、図示例ではエアを底部から噴出されているが、攪拌羽を用いてもよい。
【0018】
そして、ホッキ貝粉末とリン酸カリウムとが添加され攪拌された純水は遠心分離機に送られる。本実施例では遠心分離機としてスクリューフィーダを用いた例を示している。この遠心分離機では攪拌された混合水は高速で回転するスクリューフィーダの軸の中間部分からケース内に供給され、遠心力によって沈降部分と飽和水溶液部分に分けられ、スクリューフィーダの回転によって沈降部分は図中左側に移動して脱水ケーキとなり、飽和水溶液は図中右側に移動して回収される。
尚、脱水ケーキについては再度攪拌槽に戻してもよい。
【0019】
以下の(表)は本発明に係る抗菌性水溶液(表中ではサーフリキッドと記している)と従来の抗菌性水溶液(表中ではサーフセラと記している)の抗菌性を比較したものである。
供試菌は(1)Pseudomonas aeruginosa ATCC15442、(2)Escherichia coli ATCC10536、(3)Vibrio parahaemolyticus ATCC17802である。
供試菌液の調整は、上記の菌をTSA培地((3)には3%相当量Nacl添加)に一夜培養後リン酸緩衝液に懸濁させ、約10cfu/mlの濃度になるように調整したものを供試菌液とした。
試験液の調整は、滅菌水道水を用い試験品の希釈液(150倍)を調整し、10mlずつ滅菌試験管に分注した。
試験方法は、各試験液10mlに供試菌液0.1mlをそれぞれ添加、混和し、20±1℃で10分間作用後、30分間作用後、直ちに試験液をリン酸緩衝液に希釈後SPC培地((3)には3%相当量Nacl添加)にて35±1℃、48
±3時間後培養後、1ml当たりの残存菌数を求めた。
【0020】
【表1】


【0021】
(表)から明らかなように、本発明に係る抗菌剤水溶液は何れの細菌に対しても抗菌性が大幅に改善されていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る抗菌剤水溶液の製造装置の全体構成図
【出願人】 【識別番号】595164545
【氏名又は名称】イオンコーポレーション株式会社
【住所又は居所】宮城県仙台市青葉区大町二丁目6番14号
【出願日】 平成16年4月20日(2004.4.20)
【代理人】 【識別番号】100085257
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 有

【公開番号】 特開2005−306758(P2005−306758A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2004−124134(P2004−124134)